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培養上清液の「1mL〇〇円」はなぜ比較指標にならないのか
実質コストを見抜く計算式

複数のメーカーから見積もりを取ったとき、「1mLあたりの単価が一番安い製品」を選んでいないでしょうか。単位が揃っているので一見フェアな比較に思えますが、培養上清液やエクソソーム製品において「mL単価」で比べることは、実質的なコストを見誤ります。なぜ1mLいくらで比べてはいけないのか、本当のコストパフォーマンスを見抜くにはどこを確認すればよいのかを整理しました。当社の製品を選ぶかどうかとは関係なく使える形にしています。

30秒でわかる、この記事の要点

  • 薄めるほど「1mL単価」は安く見える。原液を水で2倍に割れば液量は2倍になり、1mLあたりの価格は簡単に半額になります。中身は1ミリも増えていないのにです。
  • フリーズドライにしても、粉の量では中身の量が分かりません。飛んでいくのは水だけですが、残る固形分の大半は培地由来の塩と糖で、賦形剤を加えて粉を増やすこともできるためです。
  • 比較の正解は「同じ成分量を用意するのにいくらかかるか」。表面上の液量ではなく、実際に含まれている成分の総額で計算します。
  • 安さの理由は、薄さだけとは限りません。ロットごとの試験や書類を省けば、そのぶん安く売れます。
罠 01

「1mLいくら」は、中身の価値ではなく「水の量」を測っている

薄めるほど、安く見える

培養上清液の見積もりは、しばしば「1cc(=1mL)あたりいくら」という形で語られます。単位が揃っているので比べられそうに見えます。ここが最大の罠です。

液量は、薄めれば増えます。原液を水で2倍に割れば液量は2倍になり、「1mLあたりの価格」は半分になります。中身(成分)は1ミリも増えていません。それでも薄い製品ほど「1mL単価が安いお得な製品」に見えてしまうのです。

mL単価で比較するということは、製品の価値ではなく「どれだけ水で薄められているか」を競わせていることになりかねません。

下の3本は、いずれも液量1mL・同じ価格です。違うのは、その1mLに何が入っているかだけです。

同じ1mLでも中身の量が違うため、必要な本数が変わる 3本のバイアルはいずれも液量1mLで液面の高さは同じ、価格も同じです。しかし含まれる総タンパク量が違い、原液のままのものは1.0mg、2倍に濃縮したものは2.0mg、5倍に希釈したものは0.2mgです。総タンパク2.0mgを用意しようとすると、必要な本数はそれぞれ2本、1本、10本になります。1本の値段が同じなら、かかる費用も2倍、1倍、10倍です。 どれも 液量 1mL・同じ価格。違うのは中に入っている量。 1mL 原液のまま 総タンパク 1.0mg 2本 2倍に濃縮 総タンパク 2.0mg 1本 5倍に希釈 総タンパク 0.2mg 10本 同じ成分量(総タンパク 2.0mg)を用意するのに、必要な本数は 1本の値段が同じなら、かかる費用も 2倍・1倍・10倍。数字は説明のための例。
図1:液面の高さ(=液量)は3本とも同じで、価格も同じ。それでも中身の量は10倍ひらきます。同じ成分量を用意しようとすると、右の製品は真ん中の10倍の本数が要ります。

右の製品は「1mLあたり」で見れば他と同額です。ところが同じ成分量を用意しようとすると、真ん中の製品なら1本で済むところに10本要ります。薄い製品ほど有利に見えるのが、mL単価という物差しの性質です。

なぜ、こんなことが起きるのか — 表示のルールが無い

培養上清液は薬機法の承認を受けた医薬品ではありません再生医療の第1種・第2種・第3種とはで扱った法の対象からも外れます)。そのため、濃度や濃縮倍率の表示方法を定めた公的な基準がありません。

厚生労働省が令和6年(2024年)7月31日に出した2本の事務連絡も、この点には触れていません。医政局研究開発政策課の「幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)」は、薬事承認を得た医薬品が存在しないことの周知と安全な実施の依頼です。医薬局監視指導・麻薬対策課の「エクソソーム試薬に係る監視指導について」は、医薬品的な効能効果を標ぼうする製品を無承認無許可医薬品として指導するよう、都道府県等に求めたものです(指導・取締りの根拠は薬機法であって、事務連絡そのものではありません)。該当する製品の類型が6つ挙げられています。いずれも扱っているのは効能効果の標ぼうであって、含有量や濃度の表示方法ではありません(両文書に「濃度」「含有量」「表示」の語は出てきません)。

業界側の基準としては、一般社団法人日本臨床培養上清研究会の「幹細胞培養上清安全性基準」があります。ただし審査項目は細胞提供者・感染症・培養工程・保存輸送・情報開示の5領域で、濃度・濃縮倍率・含有量に関する項目は置かれていません

そのことは、同会が公表している認定製品一覧の書きぶりにも表れています。「容器形状/内容量」の欄には、「クライオチューブ1ml/1バイアル1cc」「クライオバイアル/2ml」「Ampoule/1Kit(Vial 1: 20mg / Vial 2: 5ml)」「凍結乾燥」といった表記が並びます。単位が mL と cc と mg で混在し、「凍結乾燥」とだけ書かれて量の記載が無い行もあります。同一覧に濃度・濃縮倍率・総タンパク量の欄はありません。業界の認定を受けた製品でさえ、分母が揃っていないのが現状です(2026年9月4日確認)

したがって、「5倍濃縮」という表示を見ても、何を基準にした5倍なのかは分かりません。回収した上清液そのものを基準にしているのか、培養に使った培地量なのか、その会社の標準品なのかで意味が変わります。聞くべきは倍率ではなく、実測の総タンパク濃度(mg/mL)です。

罠 02

「フリーズドライなら安心」も、そのままでは成り立たない

フリーズドライは、もとの液体を乾燥させたもの

「液体の単価が当てにならないなら、粉末状のフリーズドライ品を選べば確実だろう」と思われるかもしれません。ここにも注意が要ります。

フリーズドライ(凍結乾燥)は魔法の製法ではありません。もとの液体から、水分だけを飛ばして乾燥させたものです。飛んでいくのは水だけで、それ以外は何も足されず、何も濃くなりません。詳しい原理はフリーズドライ(凍結乾燥)とはにまとめています。

ここから、ひとつの帰結が出てきます。もとの液体の濃度が薄ければ、フリーズドライされた製品に入っている有効成分も、その分だけ少なくなります。劣悪なまでに薄められた製品を乾燥させれば、水が飛んだ容器の底にはほとんど何も残っていないということすら起こり得ます。

粉末になったからといって、中身が濃くなるわけではないのです。すべては、乾燥させる前の液体の濃度で決まります。

同じ1mL表示のフリーズドライでも1本に入っている総タンパクの量が違う 3本のフリーズドライのバイアルは、いずれもラベルの表示が1mLで同じです。しかし乾燥前の液をどれだけ薄めていたかによって、1本に入っている総タンパクの量が変わります。原液のまま乾燥したものを1とすると、3倍に薄めて乾燥したものは3分の1、10倍に薄めて乾燥したものは10分の1です。1mLで戻したあとの1本あたり総タンパクは、それぞれ1.00mg、0.33mg、0.10mgです。ラベルの1mLは液量の表示であって、中身の量を表していません。 どれもラベルは「1mL」。違うのは、中に入っている総タンパクの量。 1mL 原液のまま乾燥 中身が最も多い 1.00mg 1mL 3倍に薄めて乾燥 中身は3分の1 0.33mg 1mL 10倍に薄めて乾燥 中身は10分の1 0.10mg 1mLで戻したあとの、1本あたり総タンパク ラベルの「1mL」は液量の表示であって、中身の量ではない。数字は説明のための例。
図2:ラベルはどれも「1mL」。乾燥前の液を薄めていれば、1本に入っている中身はその分だけ少なくなります。バイアルの絵は中身の量を模式的に表したものです。

フリーズドライ品の「1mL」は、乾燥前の液量か、戻すときの液量を指しているのが通例で、バイアルに入っている物の量ではありません。前の節でふれた認定製品一覧にも、内容量欄が「凍結乾燥」とだけで量の記載が無い行がありました。

だから、もとの液体が濃いかどうかがすべてになる

逆に言えば、もとの液体が濃い製品は、乾燥させてもバイアルにしっかりと中身が残ります。フリーズドライという工程は、もとの液体の濃さをそのまま持ち越すからです。

当社の幹細胞セクレトームは、回収した上清液を希釈せずに製剤化しています。もとの液体が濃いまま乾燥させているため、フリーズドライにしてもバイアルには相応の量の有効成分が残ります。1本あたりの量は、ロット別のCOAに実測の総タンパク濃度として記載し、製品に同梱しています。

ひとつだけ補足します。粉の見た目だけで量を判断することはできません。乾燥後の固形分には培地由来の塩や緩衝剤が含まれますし、凍結乾燥では固形分の少ない液ほど賦形剤(マンニトール、トレハロース等)を加えて形のあるかたまりを作るのが通常の製剤設計だからです。目視でできるのは「底に何も入っていない製品を外す」ところまでで、量そのものはCOAの総タンパク濃度で確かめてください。目視は足切り、COAが本番という順序になります。フリーズドライ品を検討されるときは、賦形剤の添加の有無もあわせてご確認ください。

もうひとつ、何mLで戻すかを決めるのは使う側

戻す量を変えれば、液量も濃度も変わります。

フリーズドライ品は戻す液量で1mLあたりの価格が変わる 同じフリーズドライ1本を純水1mLで戻すと、液量1mLで濃度は5倍になり、1mLあたりの価格は1本の値段と同じになります。同じ1本を純水5mLで戻すと、液量5mLで濃度は1倍になり、1mLあたりの価格は1本の値段の5分の1になります。粒で示した中身の量はどちらも15個で変わりません。フリーズドライ品はミリリットルではなく本(バイアル)単位で比べる必要があります。 同じ1本。何mLで戻すかは使う側が決める(原料の上清液 5mL 分を乾燥した例) フリーズドライ 1本 純水を 1mL 加えて戻す 液量 1mL・濃度 5倍 1mL あたりの価格 = 1本の値段 粒の数(=中身の量)は同じ 15 フリーズドライ 1本 純水を 5mL 加えて戻す 液量 5mL・濃度 1倍 1mL あたりの価格 = 1本の値段 ÷ 5 粒の数(=中身の量)は同じ 15 中身は1ミリも変わっていないのに、「1mLいくら」は5倍動く。フリーズドライ品は本(バイアル)で比べる。
図3:同じ1本から、1mLの濃い液も5mLの薄い液も作れます。中身(粒)の数は変わりません。それでも「1mLあたりの価格」は5倍動きます。

したがってフリーズドライ品を mL 単価で比べることはできません。1本あたりで並べるか、1本に入っている総タンパク量で割ってください。戻したあとの液量が製品仕様として決まっている場合は、その前提のもとで mL でも比較できます。

罠 03

安さの理由は「薄めた」だけとは限らない — 何をしていないか

価格に含まれているものが、製品ごとに違う

価格を安く見せる要素は、水で薄めることだけではありません。

ロットごとの無菌試験やマイコプラズマ否定試験を行わず、ロット別の品質成績書(COA)が付かない製品は、そのぶんコストが下がります。製品共通の代表値だけで出荷すれば、ロットごとの試験費用はかかりません。これは企業努力というより、安全確認にかけていない分の安さです。

これは良し悪しの話ではなく、何を買っているかの話です。同じ成分量あたりの費用が同じ2製品があったとして、片方にロット別の試験報告書が付くなら、その2つは同じものではありません。何をどこまで調べるものなのかは培養上清液の安全性試験にまとめています。

正しい比較の計算式 — 液量ではなく「同じ成分量を用意するのにいくらか」

3つの手順で、比較可能な数字にする

  1. 見積書と一緒に、ロット別の品質成績書(COA)を請求する

    COA(Certificate of Analysis/品質成績書)は、そのロットを実際に試験した結果です。製品共通のカタログ値ではなく、ロット別に出るかどうかがここで分かります。

  2. COA の「実測の総タンパク濃度(mg/mL)」を確認する

    「N倍濃縮」という倍率ではなく、実測値です。液量(mL)と掛け合わせれば、1本に入っている総タンパク量(mg)が出ます。

  3. 必要な本数を出して、総額に直す

    下の2つの式で計算します。並べるのは1本の価格ではなく、この総額です。

まず、必要な本数を出す

必要な本数 = 用意したい総タンパク量(mg) ÷(総タンパク濃度 mg/mL × 1本の液量 mL)

分母のかっこの中が「1本に入っている総タンパク量」です。実際には本数を端数で買えないので、出た値は切り上げてください。

本数が出たら、費用にする

かかる費用 = 必要な本数 × 1本の価格(+ 送料・保管費)

これが「同じ成分量を用意するのにいくらかかるか」です。1本の価格そのものではなく、この金額どうしを並べてください。剤形が違って総タンパク量で揃えられないときは、まず1本あたりの価格で並べます。少なくとも「薄めたほうが安く見える」という歪みは消えます。

総タンパクは万能の分母ではない

ここまで総タンパク濃度を分母に据えてきました。実務で最も揃えやすく、COAに載る量的な数値がそれしかないことも多いからです。ただし限界もあります。

  • 血清やアルブミンを使っている製品では、その数字に意味がありません。総タンパクはウシ血清アルブミンなどに支配され、細胞が出した成分の量を表さなくなります。培地設計はゼノフリー・血清フリー・プロテインフリーで扱っています。
  • タンパクの量は、活性を保証しません。変性していても総タンパクの測定値は同じです。
  • 粒子数と併せて見るのが本来の形です。日本再生医療学会のガイダンス[出典2]は、細胞外小胞の定量性を示す指標として粒子数とタンパク量が頻用されるとしたうえで、「これらに相関関係があることが望ましい」と述べています。片方だけが示された資料は、その意味で情報が足りません。粒子数の読み方はエクソソームの「〇〇兆個」は本当に信用できる?にまとめています。

それでも、桁違いの希釈を見つけるには総タンパクで十分です。まず総タンパクで分母を揃え、次に血清の有無と粒子数を確かめる、という順序でご確認ください。

1本1万円の製品が、1本5万円の製品より高くつく

言い換えると、こうなります。

1本1万円の製品でも、成分が薄くて10本必要なら、総額は10万円です。
1本5万円の製品でも、成分が濃くて1本で済むなら、総額は5万円です。

同じ見積書を、分母を変えて並べ替えると順位が変わります。

同じ見積書を、分母を変えて並べ替えると順位が変わる(数字は説明のための例)
分母A社
原液・1mL
B社
2倍濃縮・1mL
C社
5倍希釈・1mL
1本の価格10,000円10,000円10,000円
総タンパク(1本)1.0mg2.0mg0.2mg
1mLあたりの価格10,000円 同率1位10,000円 同率1位10,000円 同率1位
総タンパク2.0mgに
必要な本数
2本1本10本
そのときの費用20,000円 2位10,000円 1位100,000円 3位

mL で見るかぎり3社は同額です。同じ成分量を用意するのに要る本数で見ると、10倍の差が現れます。

最後に、金額と中身の両方を天秤にかける

「安く見える製品」に飛びつく前に、必要な成分を揃えるためのトータルコストと、その価格に安全性試験の書類が含まれているかを、両方並べてご判断ください。

結局、並べるのはこの2つ

① 同じ成分量を用意するのにかかる費用 ② その費用に何が含まれているか

①だけで選ぶと、薄い製品か、書類の出ない製品に寄ります。②だけで選ぶと、必要以上に払うことになります。両方を並べたときにはじめて比較になります。

供給元に投げる6つの質問

そのまま送れる形にしました。すべて書面で答えられる内容です。

  1. 1本に入っている総タンパク量は何mgですか。ロット別のCOAをいただけますか。 濃度(mg/mL)と液量(mL)の両方が分かれば、こちらで分母を揃えられます。ロットごとに出るかどうかも同時に分かります。
  2. 「N倍濃縮」と表示されている場合、何を基準にした何倍ですか。 基準が回収した上清液なのか、培地量なのか、自社標準品なのかで意味が変わります。公的な表示基準がないため、各社に聞くほかありません。
  3. フリーズドライの場合、何mLで戻す前提の価格ですか。 戻す量が決まっていなければ、mL単価は成立しません。1本あたりで比較する必要があります。
  4. フリーズドライの場合、ラベルの「1mL」は乾燥前の液量ですか、戻すときの液量ですか。1本あたりの乾燥固形分量と、賦形剤の添加の有無も教えてください。 同じ表示でも、乾燥後に残る量は製品ごとに違います。賦形剤を加えていれば固形分は増えるので、目視だけでは判断できません。
  5. 最小発注本数・送料・支払条件を教えてください。 1本単価が安くても、使い切れない量を抱えれば実質単価は上がります。1か月あたりの費用で見るために必要な数字です。

当社の分母

比べていただくために、当社側の分母を先に開示します。

幹細胞セクレトームの、価格比較に必要な仕様
項目内容
1本の容量1mL/バイアル(フリーズドライ・液体凍結とも共通)
フリーズドライの戻し方1mLにつき1mL程度の純水または生理食塩水を添加。戻したあとの液量が仕様として決まっているため、mLでも比較できます
希釈していません。回収した上清液を薄めずに製剤化しています
乾燥固形分量はロット別COAの総タンパク濃度でご確認ください。上記のとおり、粉の量では中身の量は判断できません
総タンパク濃度ロット別のCOAに記載し、製品に同梱
最小発注本数10本から
ロットごとの試験無菌試験・マイコプラズマ検査・エンドトキシン測定(0.1 EU/mL未満)を全ロットで実施
価格会員ページで開示(会員申請のうえご確認いただけます)

価格そのものは会員ページでの開示としていますが、上の分母は会員登録なしで確認いただけます。他社製品と並べるための数字が足りなければ、お問い合わせからご請求ください。

分母を揃えたうえで、次に見るのは中身の作られ方です。何をどこまで確認すればよいかは供給元に確認すべき6項目に、培地設計の違いはゼノフリー・血清フリー・プロテインフリーにまとめています。

よくあるご質問

結局、何を分母にすれば比べられますか。

「同じ成分量を用意するのにかかる費用」です。1本に入っている総タンパク量(総タンパク濃度 mg/mL × 液量 mL)を出し、必要量を満たす本数を求めて、1本の価格を掛けます。総タンパク濃度はロット別のCOAに記載されるのが一般的なので、見積書とあわせてCOAの写しを請求すれば計算できます。剤形が違って比べにくい場合は、1本あたりの価格で並べるのが次善です。

「5倍濃縮」と書いてあれば5倍濃いのですか。

その表示だけでは分かりません。何を基準にした5倍なのか(回収した上清液そのものか、培養に使った培地量か、自社の標準品か)で意味が変わります。培養上清液は薬機法の承認を受けた医薬品ではないため、濃縮倍率の表示方法を定めた公的な基準がありません。倍率ではなく、実測の総タンパク濃度をmg/mLで聞いてください。

フリーズドライ品と液体凍結品は同じ土俵で比べられますか。

1mLあたりでは比べられません。フリーズドライ品は何mLで戻すかを使う側が決めるため、液量が製品仕様として固定されていないためです。1本あたりの価格と、1本に入っている総タンパク量で並べてください。戻したあとの液量が仕様として決まっている製品であれば、mLでも比較できます。

フリーズドライのバイアルの底に、ほとんど何も見えません。不良品ですか。

不良とは限りません。乾燥前の液が薄ければ、残る固形分は少なくなります。ただし逆は成り立たず、粉がしっかり見えるからといって中身が多いとは限りません。固形分の大半は培地由来の塩と糖で、賦形剤が加えられていることもあるためです。ラベルの「1mL」が乾燥前の液量か戻すときの液量かを確認したうえで、1本あたりの総タンパク量をCOAで確かめてください。

固形分が多く見えるほど良い製品ですか。

そうとは限りません。培養上清液の乾燥固形分には、培地由来の塩と糖が含まれます。培養に使うDMEM(高グルコース)の公表組成を足し上げると、無機塩だけで約10.9 g/L、グルコースとアミノ酸を含めると約17.1 g/L になります。さらに凍結乾燥では、固形分の少ない液ほど賦形剤を加えてかたまりの形を作るのが通常の製剤設計です。目視で分かるのは「そもそも中身があるかどうか」までで、量そのものはCOAの総タンパク濃度で確かめてください。

安いほうを選べばよいのではないですか。

1本の価格が安くても、薄ければ必要本数が増えて総額は上がります。また価格差の理由が希釈ではなく、ロットごとの試験をしていないことにある場合もあります。同じ成分量を用意するのにかかる費用と、その費用に何が含まれているかの2つを並べてください。

価格だけ揃えれば選べますか。

揃えられるのは分母までです。総タンパク量が同じでも、何が入っているかは製法で変わります。血清を使っているか、どの工程まで無血清か、ロットごとの試験報告書が出るかは、価格の比較とは別に確認してください。

出典・参考

本記事の金額・濃度・倍率はすべて計算の考え方を示すための例であり、市場価格や特定の製品の仕様を示すものではありません。当社の幹細胞セクレトーム(細胞が培養中に分泌した成分の総体)は研究用試薬として供給しており、特定の疾患に対する効果を示すものではありません。

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