30秒でわかる要点
- 罰則の刑の名前は「拘禁刑」:2025年6月1日から、薬機法の罰則の刑名は拘禁刑に改まりました。それより前の刑名は、薬機法の本則(法律の本体部分)に残っていません。変わったのは刑名だけで、期間の上限や罰金額は動いていません。
- 不実証広告規制は第7条第2項、対象は優良誤認表示だけ:景品表示法の仕組みで、表示の裏付けとなる資料の提出を事業者に求めることができます。条文が名指ししているのは、第5条第1号の優良誤認表示(品質など中身についての不当表示)だけです。第2号の有利誤認表示(価格など取引条件についての不当表示)は入っていません。課徴金(違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金)の納付命令にも、第8条第3項に同じ仕組みがあります。資料が出されないとき、措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)では優良誤認表示と「みなす」(反対の事情を示しても覆らない)とされます。課徴金納付命令では、同じ場合の効果が「推定する」(反対の事情を示せば覆る余地がある)と書き分けられています。
- 薬機法第72条の5は、2027年5月20日に第72条の6へ動く:違反広告に係る措置命令等の規定です。空いた第72条の5には、いまの第72条の4の規定が入ります。番号だけを控えていると、別の規定に当たります。条番号は、法令ID(国の法令検索サイト「e-Gov 法令検索」で、法令ごとに付いている番号)と施行日(決まりが効力を持ち始める日)とそろえて控えます。
1. 薬機法の罰則は、いまの条文では何という刑で書かれていますか?
「拘禁刑」です。2025年6月1日から刑の名前が改まり、それより前の「懲役」「禁錮」は、薬機法の本則に残っていません。
改まったのは刑の名前だけで、期間の上限も罰金額も動いていません。
薬機法の罰則の章(第十八章)では、いま、刑の名前が「拘禁刑」と書かれています。たとえば次のとおりです。
- 第84条 — 三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金
- 第86条 — 一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金
- 第86条の3 — 六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金
罰則の章の外にも、刑の名前は出てくる
置き換わったのは、罰則の章だけではありません。許可(製造や販売を仕事として行うために、国や都道府県から受ける許可)を与えないことができる場合を定める第5条第3号ハも、同じように改まっています。
いまの第5条第3号ハ(第3号の中の3つめの項目)は「拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた後、三年を経過していない者」です。拘禁刑以上の刑を受けて、刑の執行が終わるか、執行を受けることがなくなってから、3年たっていない人を指します。
例
冒頭の研修資料で、罰則や許可の説明に「懲役」「禁錮」と書かれていたとします。その記述は、2025年6月1日より前の条文を写したものと考えられます。いまの条文で同じ箇所を開くと、刑名は「拘禁刑」になっています。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
第84条は「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金」。許可の欠格事由は「禁錮以上の刑に処せられた者」。
現行
第84条は「三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金」、第5条第3号ハは「拘禁刑以上の刑に処せられ…」。「懲役」「禁錮」は、2025年6月1日より前の条文の表記。
根拠:薬機法 2026年5月21日施行版(e-Gov 法令検索、2026-09-08 取得)。改正前の表記は同法の2025年5月21日施行版の条文で確認。刑名の変更の根拠は令和4年法律第68号。
刑名を改めたのは、刑法などの改正に伴う整理法(令和4年法律第68号)です。この法律の公布日(法律が公に知らされた日)は、e-Gov 法令検索の沿革(改正の履歴)に2022年6月17日と記録されています。薬機法に対する施行日は、2022年6月17日と2025年6月1日の2つです。刑名が改まったのは、このうち2025年6月1日施行分です(2026-09-08 取得)。
罰則の全体は、『6-7 薬機法に違反すると、どんな刑罰がある?』で扱っています。
原文で確かめる(第85条)
2. 「薬機法第72条の5=違反広告に係る措置命令」は、いつまで正しいのですか?
2027年5月19日までです。2027年5月20日からは、違反広告に係る措置命令等の規定は第72条の6になります。
空いた第72条の5には、業務の運営の改善に必要な措置の命令(いまの第72条の4の規定)が入ります。
第72条の5は、広告の決まり(第66条第1項、第68条)に違反した者などに向けた規定です。厚生労働大臣または都道府県知事は、違反した者に、違反の中止や再発の防止などを命じることができます。
令和7年法律第37号による改正で、この規定は、見出しも本文もそのままに番号だけが第72条の6へずれます。
気をつけたいのは、空いた第72条の5に、いまの第72条の4が移ってくることです。
例
冒頭の研修資料に、「違反広告に係る措置命令の根拠は薬機法第72条の5」とだけ書かれていたとします。2027年5月19日までは、その番号で措置命令の規定に行き着きます。2027年5月20日以降に同じ番号で条文を開くと、業務の運営の改善に関する規定が出てきます。措置命令の規定は、第72条の6に移っています。
同じ日に、第72条の4から第72条の8までが入れ替わる
上で見た2つの移動のほかに、同じ日に次の3つが変わります。
- 第72条の4:新しく置かれる規定です。医薬品の製造販売業者(製品を市場に出す責任を負う事業者)が、第68条の2第2項又は第4項の報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりしたときの是正命令等です。
- 第72条の7:いまの第72条の6(損害賠償責任の制限)が移ってきます。
- 第72条の8:薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令が、新しく置かれます。
施行日ごとに、どの条が増え、どの番号が動くかは、改正の時間軸で追えます。
番号を引いている条文も、同じ日に改まる
第72条の5の番号は、罰則の第85条第6号でも引かれています。いまの同号は「第七十二条の五第一項の規定による命令に違反した者」です。2027年5月20日施行版の同号は「第七十二条の六第一項の規定による命令に違反したとき。」になります。
同じ日に、第85条の柱書(各号の前に置かれた本文)も改まります。いまの「次の各号のいずれかに該当する者は」が、「次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は」になります。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
違反広告に対する措置命令の根拠は薬機法第72条の5である、として条番号だけを控える。
現行
2027年5月19日までは第72条の5、2027年5月20日からは第72条の6。空いた第72条の5には業務の運営の改善に関する規定が入るため、番号だけを引くと別の規定に当たる。
根拠:薬機法 2026年5月21日施行版および2027年5月20日施行版(e-Gov 法令検索、2026-09-08 取得)。施行日が確定したものか予定日かは、同API の沿革で確認。
原文で確かめる(第72条の5と、番号が動くことの注記)
この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置の命令(現行の第72条の4の規定)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。
この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。
2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)では、見出し「違反広告に係る措置命令等」が付くのは第72条の6です。本文は現行の第72条の5と同じです。
3. 課徴金の「3パーセント」と「4.5パーセント」は、同じ制度の数字ですか?
いいえ、別の法律の数字です。薬機法の課徴金は対価の合計額の4.5パーセント、景品表示法の課徴金は売上額の3パーセントです。
景品表示法は一定の場合に4.5パーセントとなり、命令をしない下限額も、薬機法は225万円未満、景品表示法は150万円未満と別に定められています。
課徴金は、薬機法にも景品表示法にもあります。4.5パーセントは薬機法第75条の5の2の率、3パーセントは景品表示法第8条の率で、1つの制度の中の区分ではありません。何に率を掛けるか(算定の基礎)も、下限額も、それぞれの法律が別に定めています。
表1は、真ん中の列が薬機法、右の列が景品表示法です。「命令をしない下限額」の行は、計算した課徴金の額がその範囲なら納付を命ずることができない、という意味です。最後の行の課徴金対象期間は、課徴金の計算に入れる期間のことです。
| 項目 | 薬機法 第75条の5の2 | 景品表示法 第8条 |
|---|---|---|
| 対象と | 第66条第1項の | 第5条の |
| 算定の基礎 | 課徴金対象期間に | 課徴金対象期間に |
| 率 | 100分の | 100分の3 |
| 命令を | 225万円未満 | 150万円未満 |
| 課徴金対象期間の | 3年 | 3年 |
2026年9月8日時点の条文による。薬機法は2026年5月21日施行版、景品表示法は2026年5月21日施行版(いずれもe-Gov 法令検索、2026-09-08 取得)。
例
冒頭の研修資料に「課徴金は4.5パーセント」とだけ書かれていたとします。薬機法の課徴金の説明なら、率は4.5パーセントです。景品表示法の課徴金の説明なら、率は3パーセントで、第8条第5項に当たる場合に4.5パーセントになります。どちらの法律の話かで、率が変わることがあり、率を掛ける金額の決め方も別です。
景品表示法が4.5パーセントになる場合
景品表示法の100分の4.5は、第8条第5項が定める読替え(率を100分の4.5に置き換えて読む決まり)です。対象は「基準日から遡り十年以内に、課徴金納付命令(当該課徴金納付命令が確定している場合に限る。)を受けたことがあり、かつ、当該課徴金納付命令の日以後において課徴金対象行為をしていた者」とされています。
ひらたく言うと、基準日(条文が定める、10年を数える起点の日)からさかのぼって10年以内に、課徴金納付命令を受けたことがある者です。ただし、その命令が確定している場合に限ります。さらに、その命令の日以後に課徴金対象行為をしていたことが条件です。
景品表示法第8条第1項ただし書(条文の後半で例外を定める部分)は、下限額のほかにもう1つ、納付を命ずることができない場合を置いています。表示が同項の各号に当たることを知らず、知らなかったことについて、相当の注意を払っていたと認められるときです。
4. 景品表示法の不実証広告規制は、どの条文で、何を対象にしていますか?
いまの条番号は第7条第2項です。対象は、表示が第5条第1号の優良誤認表示に当たるかどうかを判断する場面に限られます。
課徴金納付命令には第8条第3項に同じ仕組みがあり、資料が出されないときは優良誤認表示と「推定する」とされます。
不実証広告規制は、表示の裏付けとなる資料を、事業者に求めることができる仕組みです。第7条第2項の中身は、次の2つです。
- 措置命令に関し、表示が第5条第1号に当たるかどうかを判断するため必要があると認めるときは、表示をした事業者に、期間を定めて資料の提出を求めることができます。求めるのは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料です。
- 事業者が資料を出さないときは、措置命令との関係では、その表示は第5条第1号に当たる表示とみなされます。
条文の主語は内閣総理大臣です。景品表示法の権限は、政令(内閣が定める命令)で定めるものを除き、消費者庁長官に委任されています(5.の節で説明します)。
名指しされているのは、優良誤認表示だけ
景品表示法第5条は、してはならない表示を号に分けて定めています。第1号は品質・規格その他の内容についての優良誤認表示、第2号は価格その他の取引条件についての有利誤認表示です。第7条第2項が掲げるのは第1号のみです。
例
A社が、1つの広告に、商品の品質についての表示と、価格についての表示を載せていた場面で考えます。第7条第2項で資料の提出が求められ得るのは、品質などの中身についての表示が、優良誤認表示に当たるかを判断する場面です。価格についての表示は、第5条第2号の有利誤認表示として問題になり得ます。その判断について、第7条第2項は名指ししていません。
課徴金納付命令では「推定する」
課徴金納付命令については、第8条第3項に同じ仕組みが置かれています。ただし、資料が出されないときの効果は「同号に該当する表示と推定する」です。措置命令の「みなす」とは書き分けられています。
消費者庁は「不実証広告規制」の説明で、この違いを次のように書いています。
(前略)事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合には、当該表示は、措置命令との関係では不当表示とみなされ(第7条第2項)、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます(第8条第3項)。
消費者庁「不実証広告規制」(担当:表示対策課)法令の用語として、一般に「みなす」は、反対の事情を示しても覆らない扱いです。「推定する」は、反対の事情が示されれば覆る余地がある扱いです。
消費者庁の同じ資料は、提出資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められるための要件を、2つ挙げています。
- 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
- 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
不実証広告規制の根拠は第4条第2項であり、優良誤認表示と有利誤認表示の双方が対象になる。
現行
措置命令については第7条第2項、課徴金納付命令については第8条第3項。いずれも、表示が第5条第1号(優良誤認表示)に該当するか否かを判断する場面について定める。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法 第5条・第7条第2項・第8条第3項(2026年5月21日施行版、e-Gov 法令検索、2026-09-08 取得)/消費者庁「不実証広告規制」(2026-09-08 確認)
原文で確かめる(第7条第2項)
5. 景品表示法は、何のための法律で、権限はどこに置かれていますか?
いまの第1条は、一般消費者の利益の保護を目的に掲げ、独占禁止法(公正な競争を守る法律)に触れていません。権限は第38条第1項で消費者庁長官に委任されています。
公正取引委員会(独占禁止法を運用する国の機関)が条文に出てくるのは、協定又は規約(業界の自主ルール)の認定(第36条)と、権限の再委任(第38条第2項)です。
いまの第1条は、この法律の目的を「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること」と定めています。
ひらたく言うと、不当な景品や表示で客を誘うのを防ぐため、消費者が自分で合理的に選ぶのを妨げるおそれのある行為を制限・禁止します。そうすることで一般消費者の利益を守ることが、この法律の目的です。第1条に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)は出てきません。
権限は、条文の上では内閣総理大臣のものとして書かれています。そのうえで第38条第1項が、政令で定めるものを除き、権限を消費者庁長官に委任しています。
公正取引委員会が条文に出てくる場面
公正取引委員会が名指しで置かれているのは、次の規定です。
- 第36条第1項:事業者又は事業者団体は、景品類又は表示に関する事項について、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて、協定又は規約を締結し、又は設定することができます。
- 第36条第5項:第36条第1項の認定を受けた協定又は規約と、これらに基づく事業者又は事業者団体の行為には、独占禁止法の一部の規定を適用しません。
- 第38条第2項:消費者庁長官は、委任された権限の一部を、公正取引委員会に委任することができます(再委任:任された権限を、さらに別の機関に任せること)。
適用しない独占禁止法の規定は、第7条第1項及び第2項、第8条の2第1項及び第3項、第20条第1項、第70条の4第1項並びに第74条です。
権限は、都道府県知事へ渡ることもあります。第38条第11項は、消費者庁長官に委任された権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができると定めています。
例
冒頭の研修資料に、景品表示法は公正取引委員会が担当する法律だ、と書かれていたとします。いまの条文では、権限は第38条第1項で消費者庁長官に委任されています。公正取引委員会が条文に出てくるのは、上に挙げた限られた場面です。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
景品表示法は独占禁止法の特別法であり、公正取引委員会が所管している。
現行
第1条は独占禁止法に触れず、一般消費者の利益を保護することを目的とする。同法が条文に名指しで現れるのは第36条第5項(認定を受けた協定又は規約への適用除外)。権限は第38条第1項で消費者庁長官に委任され、その一部は同条第2項で公正取引委員会へ、同条第11項で都道府県知事へ渡ることがある。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法 第1条・第36条第1項・第36条第5項・第38条(2026年5月21日施行版、e-Gov 法令検索、2026-09-08 取得)
原文で確かめる(第38条第1項)
6. 機能性表示食品の2024年の見直しは、もう終わった話ですか?
2024年9月1日の施行だけで終わった話ではありません。2025年4月1日にも施行があり、経過措置(改正前の決まりに従ってよいとする扱い)もありました。
経過措置の対象は、2026年8月31日までに製造・加工・輸入された、業務用を除く加工食品と生鮮食品の表示で、一部の規定に限られます。
機能性表示食品は、事業者が届出(決められた事項を行政に知らせる手続)をしたうえで、機能性を表示する食品です。この制度は、2024年に見直されました。このページで扱うのは、その見直しのうち、食品表示基準(食品の表示のルールを定めた内閣府令)を改正した令和6年内閣府令第71号です。
附則(法令の末尾で施行日などを定める部分)は、第1条から第5条まであります。
施行日は2つある
附則第1条によると、府令は2024年9月1日から施行されました。ただし、別表第26(5の項を除く)と、別表第27の一部の項目を改める規定は、2025年4月1日からの施行です。別表は、食品表示基準の末尾の表です。
経過措置は、製造・加工・輸入の時期で決まる
附則第2条は、2026年8月31日までに製造され、加工され、又は輸入される食品の表示について、「なお従前の例によることができる」としていました。改正前の決まりに従ってもよい、という意味です。
附則第2条が基準にしているのは、販売の時期ではなく、製造・加工・輸入の時期です。2026年9月1日以降に製造等される食品は、この条の対象に入りません。期限の2026年8月31日は、このページの法令確認日(2026年9月8日)より前の日付です。
対象は、ほかにも2つの面で限られています。
- 食品:業務用加工食品を除く加工食品と、業務用生鮮食品を除く生鮮食品です。
- 規定:改正後の第3条第2項、第22条第1項、別表第20及び別表第27の二の項第1号です。そのうち、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品(天然抽出物などを原材料とする錠剤やカプセルなどの形の食品)として届出をした場合の規定に限られます。
例
A社が、業務用ではない機能性表示食品を2026年8月31日までに製造し、9月以降に販売する場面で考えます。この食品は、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品として届出をしたものとします。この食品の表示は、附則第2条が挙げる規定について、改正前の例によることができる対象になり得ます。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
機能性表示食品の見直しは令和6年(2024年)の府令改正で完了しており、施行日は令和6年9月1日の1つである。
現行
施行日は令和6年9月1日と令和7年4月1日の2つ。附則は第5条まであり、うち第2条は、同条が挙げる規定について、令和8年8月31日までに製造・加工・輸入される加工食品・生鮮食品(いずれも業務用を除く)は、なお従前の例によることができるとしていた。
根拠:令和6年内閣府令第71号 附則第1条〜第5条(消費者庁が公開する食品表示基準の本則・附則、2026-09-08 確認)
附則には、ほかに3つの規定があります。
- 附則第3条:2025年4月1日の時点で現に販売されている機能性表示食品について、改正後の別表第27の四の項イの「機能性表示食品に関する届出に係る届出番号が付与された日」を「令和七年四月一日」と読み替えます。
- 附則第4条:この府令の施行前に改正前の第2条第1項第10号の規定によりされた届出を、改正後の同項第10号イの規定によりされた届出とみなします。
- 附則第5条:2025年3月31日(令和7年3月31日)までの間の読替えです。改正後の第2条第1項第10号イにある届出の提出期限の記述を、「六十日前までに」と読み替えます。
3つの制度の違いと、この経過措置は、『3-3 特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品は何が違う?』で扱っています。
原文で確かめる(附則第1条・第2条)
改正したのは、食品表示基準の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第71号、令和6年8月23日公布)です。
この府令は、令和六年九月一日から施行する。ただし、別表第二十六(五の項を除く。)に掲げる事項並びに別表第二十七の二の項第八号及び四の項に掲げる事項の改正規定は、令和七年四月一日から施行する。
食品表示基準の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第71号)附則第1条(施行期日)令和八年八月三十一日までに製造され、加工され、又は輸入される加工食品(業務用加工食品を除く。)及び生鮮食品(業務用生鮮食品を除く。)の表示については、この府令による改正後の第三条第二項、第二十二条第一項、別表第二十及び別表第二十七の二の項第一号の規定中天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品として届出をした場合に関する規定にかかわらず、なお従前の例によることができる。
同令 附則第2条(経過措置)7. 手元の解説が古いかどうかは、何を見れば確かめられますか?
法令名ではなく、法令IDと施行日で条文を引きます。e-Gov 法令検索で現行版を開き、沿革で改正の一覧と各版の施行日を確かめます。
通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)やガイドラインは、発出元が公開している原文を、発出日と文書番号で照合します。
直感的なポイント
法令は、版を重ねる本に似ています。題名は書名にあたり、変わることがあります。条番号はページにあたり、版によって動きます。変わらないのは、蔵書番号にあたる法令IDと法令番号(例:昭和35年法律第145号)です。どの版を見たかは、施行日で決まります。
そのため、控えるのは題名ではなく、法令ID・施行日・条番号の3つです。3つがそろっていれば、後から同じ条文に戻れます。手順は次のとおりです。
法令IDで開く
e-Gov 法令検索で、題名から法令を開きます。URLの末尾にある法令IDを控えます。薬機法なら 335AC0000000145 です。
施行日を指定して条文を見る
同じ法令でも、施行日ごとに版があります。いまの版と将来の版を並べると、条番号の移動がそのまま見えます。
沿革で、施行日と予定日・コメントの欄を控える
沿革には、改正の一覧と、各版の施行日が並んでいます。将来の施行日には、確定した日のほか、政令でこれから決まる予定日もあります。見分ける手がかりに、予定日とコメントの欄も控えます(下の補足)。
通知は発出元の原文で照合する
発出日・文書番号・最終改正の有無を、発出元の官公庁が公開している本文で確かめます。
例
冒頭の広報担当者が、研修資料にある「第72条の5」を確かめる場面で考えます。e-Gov 法令検索で薬機法を開き、法令ID 335AC0000000145 を控えます。沿革を見ると、2027年5月20日の版があることがわかります。その版といまの版で第72条の5を見比べると、中身が入れ替わることを自分で確かめられます。
将来の施行日には、「予定日」のものがある
薬機法に対する令和7年法律第37号の施行日は、5つあります。このうち2028年5月20日の版は、e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。第72条の5の番号が動く2027年5月20日は、e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されています(施行期日を定める政令の番号は未確認)。
e-Gov 法令API(プログラムから条文を取り出す窓口)は、法令IDのほかに、「法令ID_施行日_改正法令ID」の形の版IDでも条文を返します。
沿革の各版には、次の3つの欄があります。
- 施行日(amendment_enforcement_date)
- 予定日(amendment_scheduled_enforcement_date)
- コメント(amendment_enforcement_comment)
予定日とコメントの2欄の中身は、版によって違います(いずれも2026-09-08 取得)。
- 2025年5月21日・2025年11月20日・2026年5月1日・2027年5月20日の4つの版は、2欄とも空です。
- 2028年5月20日の版だけは、予定日に2028年5月20日が入り、コメントは「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」です。
- 令和8年法律第31号は、健康保険法等の一部を改正する法律です。公布日は2026年6月5日です。この法律による2027年6月4日施行の版は、予定日も同じ2027年6月4日です。コメントは「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」です。
このページは、この2欄の値だけで施行日の種類を決めていません。施行期日を定める政令の番号を特定できたかどうかも、併せて記しています。
法律の呼び名にも、古いものが残っている
古い資料では、薬機法が別の呼び名で書かれていることがあります(下の対比)。呼び名が違っても、法令番号と法令IDは変わりません。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
「薬事法第◯条」と書かれた条番号を、そのまま現行の条番号として引く。
現行
題名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。e-Gov 法令検索 の沿革は、この法令の略称として「薬事法」「医薬品医療機器等法」「薬機法」を記録しており、法令番号(昭和35年法律第145号)と法令ID(335AC0000000145)は変わらない。条番号は、施行日を指定した版で確認する。
根拠:e-Gov 法令検索(沿革)(law_revisions/335AC0000000145、2026-09-08 取得。公布日 1960年8月10日、2026年9月8日時点の現行版は令和5年法律第63号による2026年5月21日施行版)。改称がいつ行われたかは、確認した沿革データが2016年12月16日施行分以降に限られるため、本ページには記載していない。
表現ごとに根拠の一次資料を引くときは、『8-4 広告の表現の範囲は、どの資料のどこに書いてある?』が使えます。
理解の確認
刑法などの改正に伴う整理法(令和4年法律第68号)による刑名の変更で、薬機法の何が変わり、何が変わっていませんか?
変わったのは刑名の表記だけです。第84条の「三年以下」「三百万円以下」のような、期間や金額の上限は動いていません。変更は罰則の章にとどまらず、許可を与えないことができる場合を定める第5条第3号ハも「拘禁刑以上の刑に処せられ…」に改まっています。薬機法に対する施行日は2022年6月17日と2025年6月1日の2つで、刑名が改まったのは後者です。そのため、改正前の刑名で書かれた記述は、2025年6月1日より前の条文を写したものということになります。
根拠:薬機法 第5条第3号ハ・第84条・第85条・第86条・第86条の3(2026年5月21日施行版、法令確認日 2026-09-08)/令和4年法律第68号
「違反広告に係る措置命令の根拠は薬機法第72条の5」と、条番号だけを控えていました。2027年5月20日以降、何が起きますか?
規定の中身は変わらないまま、番号だけが第72条の6へ移ります。空いた第72条の5には、いまの第72条の4(その業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずる規定)が入ります。そのため、控えた「第72条の5」という番号は、同じ日から別の規定を指します。番号を引いている条文も、同じ日に改まります。いまの第85条第6号が掲げる「第七十二条の五第一項の規定による命令に違反した者」は、同日の版では第72条の6第1項を引く形になります。
根拠:薬機法 第72条の4〜第72条の8・第85条第6号(2026年5月21日施行版および2027年5月20日施行版=版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037、法令確認日 2026-09-08)
「不実証広告規制は不当表示全般に使える」という説明は、景品表示法第7条第2項のどこと食い違いますか?
同項が資料の提出を求めることを認めているのは、事業者がした表示が第5条第1号に当たるかどうかを判断する場面に限られます。第1号は、品質・規格その他の内容についての優良誤認表示です。価格その他の取引条件についての第2号は、名指しされていません。そのため、有利誤認表示の判断に、同じ手続を及ぼすことはできません。課徴金納付命令については第8条第3項が同じ仕組みを置いていますが、資料が出されないときの効果は「みなす」ではなく「推定する」と書き分けられています。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法 第5条・第7条第2項・第8条第3項(2026年5月21日施行版、法令確認日 2026-09-08)/消費者庁「不実証広告規制」(2026-09-08 確認)
次に読む
- 8-6 2025年の
薬機法 化粧品会社の広報担当者が、社内の広告ルールの資料を見直す場面です。改正は、 いつから、 どの 条が 変わる? — 施行日で 追う 改正の 時間軸 - 8-4 広告の
表現の 化粧品会社の広報担当者が、新商品の広告を作るとします。範囲は、 どの 資料の どこに 書いてある? — 表現と 根拠の 対照表 - 3-3 特定保健用食品・
栄養機能食品・ 店の棚に、「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」と書かれた食品が並んでいるとします。機能性表示食品は 何が 違う? — 3区分と 2024年の 見直し - 6-7 薬機法に
違反すると、 化粧品を扱うA社の担当者が、仕事で、効果を大げさに書いた広告を出したとします。どんな 刑罰が ある? — 条文ごとの 刑と、 法人も 罰する 両罰規定
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号/2026年5月21日施行版・版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 同法 2027年5月20日施行版(令和7年法律第37号による改正後/版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 薬機法の沿革(改正履歴)— 令和4年法律第68号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)による改正の公布日・施行日を含むe-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号/2026年5月21日施行版・版ID 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 不実証広告規制/不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針(消費者庁 表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 食品表示基準の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第71号/令和6年8月23日公布)附則第1条〜第5条消費者庁(食品表示基準 本則・附則)(2026-09-08 確認)
- e-Gov 法令API 沿革(改正履歴)エンドポイントe-Gov(2026-09-08 確認)
- e-Gov 法令API 条文取得エンドポイント(版指定・時点指定)e-Gov(2026-09-08 確認)
- e-Gov 法令検索デジタル庁(2026-09-08 確認)