30秒でわかる要点
- 刑事罰は第十八章(第83条の6〜第91条)にあり、刑を定める条はすべて「拘禁刑」と書いている。本則に旧来の刑種の語は残っていません。置き換えたのは令和4年法律第68号で、薬機法への反映は2025年6月1日施行分です。
- 広告規制の違反を掲げているのは第85条。2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金(併科あり)で、第4号が第66条第1項・第3項、第5号が第68条、第6号が第72条の5第1項の命令違反です。
- 法人には第90条の両罰規定で、行為者とは別に罰金刑が科される。第1号に挙げる違反行為は1億円以下の罰金刑、それ以外は「各本条の罰金刑」です。第85条は後者にあたり、200万円以下の罰金です。
薬機法の罰則は、いま何という刑を定めているのか
拘禁刑と罰金です。薬機法第十八章の各条は「拘禁刑」と定めており、本則に旧来の刑種の語は残っていません。
置き換えたのは令和4年法律第68号で、薬機法への反映は2025年6月1日施行分です。
薬機法の罰則は第十八章にまとまっています。第83条の6から第91条までの14の条があり、このうち第83条の6から第90条までが刑を定め、第91条は過料を定めます。この章と、行政の命令・処分を定める第十三章「監督」との関係は薬機法に違反するとどうなるかで扱います。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
薬機法の罰則は「○年以下の懲役若しくは○○万円以下の罰金」と定めている。
現行
本則に「懲役」「禁錮」の語は無い。刑を定める条はすべて「拘禁刑」と書かれている。該当するのは第83条の6、第83条の7、第83条の9、第84条、第85条、第86条第1項及び第2項、第86条の2、第86条の3第1項である。
刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)による。薬機法への反映は2025年6月1日施行分(e-Gov 法令検索の沿革、版ID 335AC0000000145_20250601_504AC0000000068)。本ページは2026年5月21日施行の現行版(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)の本則で確認した。
「拘禁刑」の語が条文でどう使われているかは、広告規制の違反を掲げる第85条で見られます。
行政の資料や解説には、発出時点の表記がそのまま残ります。表記が古いことと、その資料が現に使われているかどうかとは別のことです。
条文が定める刑を確認するときは、資料の記述ではなく、e-Gov 法令検索でその条の現行の版を見ます。古い記述と現行の対応は古い理解の一覧にまとめています。
法定刑は、条文ごとにどう分かれているのか
拘禁刑を定めるのは第83条の6・第83条の7・第83条の9と第84条から第86条の3まで、罰金だけを定めるのが第87条から第90条までです。
第83条の8は刑を定めず、第83条の6の罪について刑法第4条の例に従うと定める条です。第91条は刑ではなく、二十万円以下の過料を定めます。
第十八章は、違反した条文ごとに条を分けて刑を定めています。号を掲げる条では、柱書が刑を定め、各号がその刑の対象となる規定を挙げます。引き出しの並んだ棚に似た作りで、引き出し(条)ごとに刑が決まっていて、号はその引き出しに何が入るかの一覧にあたります。
第83条の6、第83条の7、第83条の9及び第86条の2は号を持たず、条の本文に対象と刑の両方を書いています。条の並び順は刑の重さの順ではありません。第83条の7は3年以下の拘禁刑、その次に置かれた第83条の9は5年以下の拘禁刑です。
| 条 | 条文が定める刑 | 条文が掲げている違反(抜粋) |
|---|---|---|
| 第83条の6 | 5年以下の拘禁刑(第1項前段・第2項・第3項)。これによつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは7年以下の拘禁刑(第1項後段) | 第1項=基準適合性認証の業務に従事する登録認証機関の役員又は職員が、その職務に関し賄賂を収受・要求・約束したとき。第2項=これになろうとする者が、就任後担当すべき職務に関し請託を受けて収受等をしたとき。第3項=その役員又は職員であつた者が、在職中に請託を受けて職務上不正の行為をしたこと等に関し収受等をしたとき。第4項に没収と追徴 |
| 第83条の7 | 3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金 | 第83条の6第1項から第3項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者。第2項に自首による減軽・免除 |
| 第83条の9 | 5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金(併科あり) | 第76条の4(製造等の禁止)に違反して、業として、指定薬物を製造・輸入・販売・授与したとき、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し若しくは陳列して所持したとき |
| 第84条 | 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり) | 29の号。第4条第1項(開設の許可)、第12条第1項・第23条の2第1項・第23条の20第1項(製造販売業の許可)、第14条第1項(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)、第43条第1項・第2項(検査)、第55条第2項(販売、授与等の禁止)、第55条の2(模造に係る医薬品の販売、製造等の禁止)、第56条(販売、製造等の禁止)、第69条の3(緊急命令)及び第70条第1項・第2項(廃棄等)の命令違反 ほか |
| 第85条 | 2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金(併科あり) | 10の号。第37条第1項(販売方法等の制限)、第47条(交付の制限)、第55条第1項(販売、授与等の禁止)、第66条第1項・第3項(誇大広告等)、第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)、第72条の5第1項の命令、第75条第1項・第3項及び第75条の2第1項の業務の停止命令、第76条の5(広告の制限) |
| 第86条第1項 | 1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金(併科あり) | 27の号(現行版)。第67条に基づく厚生労働省令の定める制限その他の措置(第17号)、第68条の16第1項(生物由来製品の製造管理者)(第18号)、第72条第1項・第2項の業務の停止命令(第19号)、第72条第3項から第5項までの施設の使用禁止の処分(第20号)、第72条の4第1項・第2項の命令(第21号)ほか |
| 第86条第2項 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | この法律に基づいて得た他人の業務上の秘密を自己の利益のために使用し、又は正当な理由なく、権限を有する職員以外の者に漏らした者 |
| 第86条の2 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 第23条の16第2項(登録の取消し等)による業務の停止の命令に違反した登録認証機関の役員又は職員 |
| 第86条の3第1項 | 6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 | 11の号(現行版。2027年5月20日から12の号)。第2項により、この各号の罪は告訴がなければ公訴を提起することができない |
| 第87条 | 50万円以下の罰金 | 17の号。第69条第1項から第6項まで(立入検査等)の報告をせず若しくは虚偽の報告をし、立入検査・収去を拒み妨げ忌避し、又は質問に正当な理由なしに答弁せず若しくは虚偽の答弁をしたとき(第13号)、第71条(検査命令)の命令違反(第14号)ほか |
| 第88条 | 30万円以下の罰金 | 4の号。第6条(名称の使用制限)、第23条の2の6第3項・第23条の2の24第3項(基準適合証の交付等)、第32条(配置従事の届出) |
| 第89条 | 30万円以下の罰金 | 4の号。登録認証機関の役員又は職員による、第23条の5(報告書の提出)の報告義務違反、第23条の11(帳簿の備付け等)に関する違反、第23条の15第1項(業務の休廃止)の届出義務違反、第69条第7項の報告・立入検査・質問に関する違反 |
| 第91条 | 20万円以下の過料 | 2の号。第23条の8の2第2項(承継)の届出義務違反、第23条の17第1項・第2項(財務諸表の備付け及び閲覧等)に関する違反 |
「条文が掲げている違反」欄は各条の号の一部です。号の全部は e-Gov 法令検索で条文をご確認ください。括弧内の条見出しは e-Gov の表示によります。第84条から第91条までには条見出しが付されていないため、括弧内は当該条が引用している側の条の見出しです。第十八章には、このほか第83条の8(第83条の6の罪について「刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う」と定める規定)と、両罰規定である第90条があります。
「併科する」と書かれている条と、書かれていない条
「併科する」の文言を置いているのは、第83条の9、第84条、第85条及び第86条第1項の柱書です。いずれも「…拘禁刑若しくは…罰金に処し、又はこれを併科する」と書かれています。
これに対し第83条の7、第86条第2項、第86条の2及び第86条の3第1項は「…拘禁刑又は…罰金に処する」で、併科の文言がありません。
第83条の6は拘禁刑だけを定めます。第4項で、犯人が収受した賄賂を没収すること、その全部又は一部を没収することができないときはその価額を追徴することを定めています。
第91条だけが「過料」を定める
第十八章の最後にある第91条は「次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する」と書かれ、他の条の「…の拘禁刑」「…の罰金に処する」とは語が異なります。
掲げられているのは2号です。第23条の8の2第2項の届出をせず又は虚偽の届出をした者と、第23条の17第1項に違反して財務諸表等を備えて置かず、記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第2項の請求を拒んだ者です。
広告規制の違反は、どの罰則の条に置かれているのか
第85条です。第4号に第66条第1項・第3項、第5号に第68条、第6号に第72条の5第1項の命令違反が掲げられています。
第66条第2項は号に現れません。同項は「前項に該当するものとする」と定める規定です。
第85条は、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金(併科あり)を定める条です。10の号のうち、広告に関するものは次の3つです。
- 第4号 — 第66条第1項又は第3項(誇大広告等)の規定に違反した者
- 第5号 — 第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)の規定に違反した者
- 第6号 — 第72条の5第1項(違反広告に係る措置命令等)の規定による命令に違反した者
第66条は3項からなります。第85条第4号が挙げているのは第1項と第3項で、第2項は号に現れません。第2項は、次のとおり「前項に該当するものとする」と定める規定です。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする
薬機法第66条第2項(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)各条が禁じている内容は第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止と第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱います。
第85条第6号が引いている条文
第6号が引く措置命令は、それ自体が行政の処分です。その命令に従わないことが、罰則の側に置かれています。この条は2027年5月20日に番号が動きます。
この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定(現行の第72条の4。条見出しは付されていない)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。
この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。
命令の内容と手続は第72条の5 措置命令、行政の命令・処分の全体は薬機法に違反するとどうなるか、業許可に対する処分は業許可への処分で扱います。
繰下げ後の第72条の5第1項・第2項の命令に違反したときが罰則のどこに置かれるかは、後の2027年5月20日から、罰則の条文はどこが変わるのかで示します。
広告に関する規定のうち、別の条に置かれているもの
- 第67条(特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限)に基づく厚生労働省令の定める制限その他の措置に違反したとき — 第86条第1項第17号(1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、併科あり)
- 第76条の5(広告の制限。指定薬物に関するもの)に違反した者 — 第85条第9号
どの表示が「広告」にあたるかの基準は、条文ではなく通知に示されています。そもそも「広告」とはを参照してください。供給する側から見た線の引き方は供給者はどこまで言えるかで扱います。
法人には、どのような罰金刑が科されるのか
第90条の両罰規定により、行為者を罰するほか法人にも罰金刑を科します。第1号に掲げる違反行為は1億円以下の罰金刑です。
第2号に掲げるものは「各本条の罰金刑」で、行為者に科される条の罰金額と同じ額です。
第90条は両罰規定です。行為者を罰するほか、その法人に対しても罰金刑を科すことを定めています。
条文が書き分けているのは3つです。
- 起点となる行為者 — 「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者」
- 場面 — 「その法人又は人の業務に関して」の違反行為であること
- 効果 — 「行為者を罰するほか」、法人には各号に定める罰金刑を、人には各本条の罰金刑を科すこと
行為者への処罰と法人への罰金刑は、条文上どちらか一方に置き換わるものとして書かれていません。
1億円以下の罰金刑が定められている号
第1号が挙げているのは、第83条の9と、第84条のうち第3号・第5号・第6号・第8号・第13号・第15号・第18号から第21号まで・第23号から第27号まで(第70条第3項及び第76条の7第2項の規定に係る部分を除く。)です。それぞれの号が引いている規定は次のとおりです。
- 第83条の9 — 第76条の4(製造等の禁止)に違反して、業として、指定薬物を製造・輸入・販売・授与したとき、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し若しくは陳列して所持したとき
- 第84条第3号・第5号・第8号 — 第14条第1項・第13項(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)、第23条の2の5第1項・第13項(医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売の承認)、第23条の25第1項・第13項(再生医療等製品の製造販売の承認)と、これらに対応する命令
- 第84条第6号 — 第23条の2の23第1項・第7項(指定高度管理医療機器等の製造販売の認証)
- 第84条第13号 — 第40条の2第1項・第7項(医療機器の修理業の許可)
- 第84条第15号 — 第43条第1項・第2項(検査)
- 第84条第18号から第21号まで — 第55条第2項(販売、授与等の禁止)、第55条の2(模造に係る医薬品の販売、製造等の禁止)、第56条(販売、製造等の禁止)、第56条の2第1項(輸入の確認)と、これらを準用する規定
- 第84条第23号から第27号まで — 第65条(販売、製造等の禁止。医療機器に関する規定)、第65条の5(販売、製造等の禁止。再生医療等製品に関する規定)、第68条の20(販売、製造等の禁止。生物由来製品に関する規定)、第69条の3(緊急命令)の命令違反、第70条第1項・第2項(廃棄等)及び第76条の7第1項の命令違反
第65条・第65条の5・第68条の20は、e-Gov 法令検索ではいずれも条見出しが「販売、製造等の禁止」です。括弧内に添えた「医療機器に関する規定」等は、条見出しではなく、各条の本文が対象としている製品の区分です。
第2号が定める「各本条の罰金刑」
第2号は、第84条の残りの号と、第85条、第86条第1項、第86条の3第1項、第87条、第88条について「各本条の罰金刑」と定めます。行為者に科される条の罰金額と同じ額です。
広告規制の違反を掲げる第85条はこちらに置かれており、この場合に法人に科される罰金刑は、第85条が定める200万円以下の罰金です。
第90条各号に条名が挙げられているのは、第83条の9、第84条、第85条、第86条第1項、第86条の3第1項、第87条及び第88条です。
刑事罰とは別に置かれている課徴金は、薬機法の課徴金 — 第75条の5の2が定める計算と手続で扱います。
罰則は、どういう手続で科されるのか
第十八章は刑と過料の内容を定める章です。手続の定めは、第86条の3第2項の告訴の規定のほかに置かれていません。
略式命令で科すことができる罰金の上限は、刑事訴訟法第461条が百万円以下と定めています。
第十八章の各条は「…に処する」「…を科する」と書き、誰がどの手続で科すかを定める文言を置いていません。例外は、第86条の3第2項の告訴の規定だけです。
行政の命令・処分は第十三章「監督」の各条に主体が書かれているのに対し、第十八章の側にはその書き方がありません。行政の側の系統は薬機法に違反するとどうなるかで扱います。
告訴がなければ公訴を提起することができない罪
第86条の3第1項は6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金を定め、現行版(施行日 2026-05-21)では11の号を掲げています。掲げられているのは、第14条の2の2第5項、第14条の4第8項、第14条の6第6項、第23条の2の6の2第5項、第68条の5第5項、第80条の2第10項などの規定に違反したときです。号の数は2027年5月20日から12になります(後の節を参照)。
第2項のような告訴の定めが置かれているのは第86条の3だけで、第十八章の他の条には同じ文言がありません。
略式命令で科すことができる罰金の上限
この上限を定めているのは薬機法ではなく、刑事訴訟法の第461条です。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
薬機法違反の罰金は50万円程度である。
現行
条文が定める罰金の上限は条ごとに異なる。第83条の9は500万円以下、第84条は300万円以下、第83条の7は250万円以下、第85条は200万円以下、第86条第1項・第2項及び第86条の2は100万円以下、第87条は50万円以下、第86条の3第1項・第88条・第89条は30万円以下。法人には第90条第1号が挙げる違反行為について1億円以下の罰金刑。略式命令で科すことができるのは「百万円以下の罰金又は科料」である(刑事訴訟法第461条)。
薬機法第83条の7・第83条の9・第84条から第90条まで(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)/刑事訴訟法第461条(e-Gov 法令検索、施行日 2026-08-13 の版)。いずれも条文が定める上限であり、実際に科された額の分布を示すものではない。
第83条の6から第83条の8まで(登録認証機関の役員又は職員に関する規定)
第83条の6第4項は、前3項の場合において犯人が収受した賄賂を没収し、その全部又は一部を没収することができないときはその価額を追徴すると定めます。
第83条の7第2項は、同条第1項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができると定めます。
第83条の8は「第八十三条の六の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う」と書いており、この条自体は刑を定めていません。
2027年5月20日から、罰則の条文はどこが変わるのか
本文が変わるのは第84条・第85条・第86条・第86条の3・第87条・第88条の6条です。第90条・第91条は変わりません。
第85条第6号の引用は第72条の5第1項から第72条の6第1項に変わり、第86条第1項は号が27から29に増えます。
令和7年法律第37号による2027年5月20日施行分で、第十八章の条文にも改正があります。
第十八章に置かれた14の条(第83条の6〜第91条)のうち、2026年5月21日施行の現行版と2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)とで本文が異なるのは、次の6条です。残る第83条の6、第83条の7、第83条の8、第83条の9、第86条の2、第89条、第90条及び第91条は、両版で同一です。
- 第84条 — 号の数は29のままです。第1号が「第四条第一項又は第五項」に、第3号の引用が「第十四条第一項若しくは第十四項」に、第5号の引用が「第二十三条の二の十の四第七項」に、第9号が「第二十四条第一項又は第二十六条第六項」に、第24号が「第六十五条の五第一項」に変わります。
- 第85条 — 号の数は10のままです。柱書が「次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は」に変わり、各号の文末が「…したとき。」の形になります。第6号の引用が「第七十二条の五第一項」から「第七十二条の六第一項」に変わります。
- 第86条第1項 — 号が2つ加わり、27から29になります。加わるのは、第10号「第二十九条の五第一項の規定による登録を受けずに受渡しを行つたとき。」(第29条の5は同日新設される「登録受渡店舗に係る登録」)と、第23号「第七十二条の五第一項又は第二項の規定による命令に違反したとき。」の2つです。この2つの挿入により、第67条に係る号は第17号から第18号へ、第72条第1項・第2項の業務の停止命令に係る号は第19号から第20号へ、第72条第3項から第5項までの施設の使用禁止の処分に係る号は第20号から第21号へ移ります。第22号は「第七十二条の四第一項から第三項まで」、第24号は「第七十二条の八又は第七十三条」の命令違反になります。第4号は、第17条の引用が「第一項、第六項若しくは第十三項」に変わったうえで、第18条の2の2第1項(特定医薬品供給体制管理責任者の設置及び遵守事項)と第18条の2の5第1項・第5項(医薬部外品等総括製造販売責任者等の設置及び遵守事項)が加わります。
- 第86条の3第1項 — 号が1つ加わり、11から12になります。加わるのは第6号「第二十三条の二の十の二第六項(第二十三条の二の十九において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。」(第23条の2の10の2は体外診断用医薬品の性能等再評価)で、以降の号が繰り下がります。第68条の5第5項に係る号は第8号から第9号へ、第80条の2第10項に係る号は第11号から第12号へ移ります。第2項(前項各号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない)は変わりません。
- 第87条 — 号の数は17のままです。第2号の引用が「第十四条第十四項」から「第十四条第十五項」に変わります。
- 第88条 — 号の数は4のままです。柱書が第85条と同じ形に変わり、第1号に「第六条の四第三項」(第6条の4は同日新設される「健康増進支援薬局」)が加わります。
第85条第6号と第86条第1項第23号の書き分け
第85条第6号の引用替えは、違反広告に係る措置命令等(現行の第72条の5)が第72条の6へ移ることに対応するものです。
同じ日に、現行の第72条の4(業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定。条見出しは付されていない)が第72条の5へ移ります。その第1項又は第2項の命令に違反したときを掲げる号が、第86条第1項第23号として置かれます。第72条の5という番号の札はそのまま残り、中身だけが別の条から入れ替わる形です。
この結果、同じ「第72条の5第1項の命令に違反したとき」でも、条文が定める刑は施行日によって別の条にあります。現行版では第85条(2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、併科あり)の第6号です。2027年5月20日以降は第86条第1項(1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、併科あり)の第23号で、第85条第6号が引くのは第72条の6第1項です。
第72条系の繰下げと再充填の全体は薬機法に違反するとどうなるか、同日に新設される第72条の8(薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令)は業許可への処分、施行日別に変わった条文は改正の時間軸で扱います。
要点
2027年5月20日は、e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されている日です(施行期日を定める政令の番号は未確認)。同じ令和7年法律第37号でも、2028年5月20日施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。施行日ごとの条文の異同は古い理解の一覧にも整理しています。
理解の確認
刑を定める条が現に何と書いているかを確かめるのに、行政の資料や解説の記述では足りないのはなぜか。
資料には発出時点の表記がそのまま残るからです。表記が古いことと、その資料が現に使われているかどうかとは別のことです。薬機法では令和4年法律第68号により刑種の語が置き換わり(薬機法への反映は2025年6月1日施行分)、いま刑を定める条はすべて「拘禁刑」と書かれていますが、置き換え前の表記のまま説明している資料は残っています。条ごとの現行の版は e-Gov 法令検索で確かめます。
根拠:薬機法第十八章(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)/刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)、薬機法への反映は2025年6月1日施行分(法令確認日 2026-09-08)
広告規制の違反について第90条の両罰規定が働くとき、法人に科される罰金刑は1億円以下になるか。
なりません。1億円以下の罰金刑を定めるのは第90条第1号で、そこに挙げられているのは第83条の9と第84条の一部の号です。広告規制の違反を掲げる第85条は第2号の「各本条の罰金刑」の側にあるため、法人に科されるのは第85条が定める200万円以下の罰金です。なお第90条は「行為者を罰するほか」と書いており、法人への罰金刑は行為者の処罰に代わるものではありません。
根拠:薬機法第90条第1号・第2号、第85条(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)(法令確認日 2026-09-08)
2027年5月20日以降、「第72条の5第1項の命令に違反したとき」の刑を現行の条番号のまま調べると別の条にたどり着くのはなぜか。
条番号の札はそのまま残り、中身だけが別の条から入れ替わるからです。同日、違反広告に係る措置命令等(現行の第72条の5)は第72条の6へ移り、業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定(現行の第72条の4)が第72条の5に入ります。その結果、同じ「第72条の5第1項の命令に違反したとき」でも、現行版では第85条第6号(2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、併科あり)、2027年5月20日以降は第86条第1項第23号(1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、併科あり)が刑を定めます。
根拠:薬機法第85条第6号・第86条第1項第23号、第72条の5・第72条の6(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版と施行日 2027-05-20 の版、版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)(法令確認日 2026-09-08)
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- 6-1 薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルート 「薬機法に違反すると2年以下の罰則」は、用意されている効果のうち刑事罰だけを取り出した説明です。
- 6-5 第72条の5 措置命令 — 中止・再発防止・公示 薬機法第72条の5の措置命令は、第66条第1項又は第68条に違反した者に対し、「その行為の中止、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他公衆…
- 6-6 薬機法の課徴金 — 第75条の5の2が定める計算と手続 薬機法の課徴金は、第66条第1項に違反する行為について、対価合計額に4.5%を乗じて計算されます。
- 8-6 改正の時間軸 — 施行日別に変わった条文を追う 令和7年法律第37号による薬機法の施行日は、5つに分かれます。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第十八章 罰則(第83条の6〜第91条)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。施行日 2026-05-21 の版、版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)
- 薬機法 2027年5月20日施行版条文(令和7年法律第37号による改正後。版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第461条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。施行日 2026-08-13 の版、版ID 323AC0000000131_20260813_508AC0000000067)
- 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)による薬機法の改正。施行日 2025年6月1日の版(版ID 335AC0000000145_20250601_504AC0000000068)e-Gov 法令検索(沿革)(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)厚生労働省(2026-09-08 確認)