30秒でわかる要点
- 刑の名前は「拘禁刑」と「罰金」:薬機法の罰則は第十八章(第83条の6〜第91条)にあります。刑事施設に入れる刑は、どの条でも「拘禁刑」と書かれています。2025年6月1日施行(法律の決まりが効力を持ち始めること)の改正で、旧来の刑の名前から置き換わりました。
- 第66条・第68条の広告の違反は第85条:うそや大げさな広告などの禁止(第66条第1項・第3項)と、承認前の医薬品などの広告の禁止(第68条)への違反は、第85条にあります。承認は、国が製品ごとに審査して、製造販売(作ったり輸入したりした製品を、世に出すこと)を認めることです。広告についての措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)への違反も、第85条です。刑は2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金で、両方を科すこと(併科)もあります。
- 法人にも罰金刑(上限は違反の種類で違う):第90条の両罰規定(違反した人だけでなく、その法人なども罰する決まり)により、違反した本人を罰するほか、法人にも罰金刑を科します。1億円以下になるのは、第90条の第1号(条の中の箇条書きの1つ目)に挙がる違反です。指定薬物(厚生労働大臣が指定する薬物)を業として(仕事として)製造することなどと、第84条の一部の号が入ります。広告の違反(第85条)は第2号に挙がっていて、法人への罰金は200万円以下です。
1. 薬機法の刑罰には、どんな種類があるのですか?
拘禁刑と罰金です。刑事施設に入れる刑は、第十八章のどの条でも「拘禁刑」と書かれ、本則(法律の本体)に旧来の刑の名前は残っていません。
旧来の刑の名前が「拘禁刑」に置き換わったのは、2025年6月1日施行の改正からです。
薬機法の罰則は、第十八章「罰則」にまとまっています。第83条の6から第91条までの14の条があります。このうち、第83条の8を除く第83条の6から第90条までが刑を定めます。第91条は刑ではなく、過料(刑罰ではない、お金の制裁)を定めます。
拘禁刑は、刑事施設に入れる刑です。罰金は、お金を納めさせる刑です。
刑の名前の置き換えは、刑法などの改正にあわせて関係する法律を整理した法律(令和4年法律第68号)によるものです。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
薬機法の罰則は「○年以下の懲役若しくは○○万円以下の罰金」と定めている。
現行
本則に「懲役」「禁錮」の語は無い。刑を定める条はすべて「拘禁刑」と書かれている。該当するのは第83条の6、第83条の7、第83条の9、第84条、第85条、第86条第1項及び第2項、第86条の2、第86条の3第1項である。
刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)による。薬機法への反映は2025年6月1日施行分(e-Gov 法令検索の沿革、版ID 335AC0000000145_20250601_504AC0000000068)。本ページは2026年5月21日施行の現行版(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)の本則で確認した。
古い表記の資料を読むとき
行政の資料や解説には、出された時点の表記がそのまま残ります。そのため、旧来の刑の名前で書かれた資料も見つかります。
表記が古いことと、その資料が今も使われているかどうかとは、別のことです。条文が定める刑は、資料の記述ではなく、e-Gov 法令検索(国が法令の条文を公開しているサイト)で確かめます。見るのは、その条の現行の版(いま効力のある条文)です。
例
あるクリニックの事務長が、行政が以前に出した資料で、旧来の刑の名前の罰則の説明を見つけたとします。この場合は、e-Gov 法令検索で現行の条文を開き、刑の名前と上限を確かめます。
古い記述と現行の対応は『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』にまとめています。
2. 刑の種類は、条文ごとにどう分かれているのですか?
拘禁刑を定めるのは第83条の6・第83条の7・第83条の9と、第84条から第86条の3までです。第87条から第90条までは罰金だけを定めます。
第83条の8は刑を定めない条で、第91条は刑ではなく20万円以下の過料を定めます。
第十八章は、違反した規定ごとに条を分けて、刑を定めています。1つの条でいくつもの違反をまとめて扱うときは、号(条の中の箇条書きの一つ一つ)を使います。その場合は、号の前にある柱書(各号に共通する書き出しの部分)が刑を定め、各号が対象になる規定を挙げます。条の中の段落は「項」と呼びます。
直感的なポイント
引き出しの並んだ棚に似た作りです。引き出し(条)ごとに刑が決まっていて、号は、その引き出しに何が入るかの一覧にあたります。
号を持たない条もあります。第83条の6、第83条の7、第83条の9と第86条の2は、条の本文に対象と刑の両方を書いています。
拘禁刑の上限の長い順に、罰金・過料を続けて並べると
条の並び順は、刑の重さの順ではありません。たとえば第83条の7は3年以下の拘禁刑ですが、その後ろに置かれた第83条の9は5年以下の拘禁刑です。拘禁刑の上限が長い順に並べ直し、罰金だけの条と過料を続けると、次のとおりです。
- 第83条の6 — 5年以下の拘禁刑。登録認証機関の役員や職員などが、わいろを受け取るなどしたときの罪です。登録認証機関は、医療機器などが基準に合っているかを確かめて認める「認証」を行う、国に登録された機関です。その役員や職員が(第1項)、職務に関してわいろを受け取り・求め・約束し、それによって不正をした、またはすべきことをしなかったときは7年以下です(第1項後段)。
- 第83条の9 — 5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金(併科あり)。指定薬物(厚生労働大臣が指定する薬物)を、業として(仕事として)製造・輸入・販売などしたときです。
- 第84条 — 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)。薬局の開設の許可、製造販売業の許可(製造や販売を仕事として行うために、国や都道府県から受ける許可)、製造販売の承認に関する規定などへの違反です。29の号があります。
- 第83条の7 — 3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金。第83条の6のわいろを渡した人や、渡す申込み・約束をした人です。
- 第85条 — 2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金(併科あり)。広告の規制などへの違反で、10の号があります(3.の節)。
- 第86条第1項 — 1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金(併科あり)。業務の停止命令への違反などで、27の号があります。
- 第86条第2項 — 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。この法律に基づいて知った他人の業務上の秘密を、自分のために使ったり、正当な理由なく、権限のある職員以外の人に漏らしたりした人です。
- 第86条の2 — 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。業務の停止の命令に違反した、登録認証機関の役員や職員です。
- 第86条の3第1項 — 6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金。11の号があります。告訴(被害を受けた人などが、処罰を求めて申し出ること)がなければ、起訴(検察官が裁判所に訴えること)できない罪です(5.の節)。
- 第87条 — 50万円以下の罰金。立入検査(役所の職員が施設に入って調べること)を拒んだときなど、17の号があります。
- 第88条・第89条 — どちらも30万円以下の罰金。第88条は名称の使用制限などへの違反、第89条は登録認証機関の役員や職員の報告・帳簿などの義務への違反です。
- 第91条 — 20万円以下の過料。
表1を開く(各条の刑と、条文が掲げている違反)
| 条 | 条文が | 条文が |
|---|---|---|
| 第83条の6 | 5年以下の | 第1項=基準 |
| 第83条の7 | 3年以下の | 第83条の6第1項から |
| 第83条の9 | 5年以下の | 第76条の4 |
| 第84条 | 3年以下の | 29の |
| 第85条 | 2年以下の | 10の |
| 第86条第1項 | 1年以下の | 27の号 |
| 第86条第2項 | 1年以下の | この |
| 第86条の2 | 1年以下の | 第23条の16第2項 |
| 第86条の3第1項 | 6月以下の | 11の号 |
| 第87条 | 50万円以下の | 17の |
| 第88条 | 30万円以下の | 4の |
| 第89条 | 30万円以下の | 4の |
| 第91条 | 20万円以下の | 2の |
「条文が掲げている違反」欄は各条の号の一部です。号の全部は e-Gov 法令検索で条文をご確認ください。括弧内の条見出しは e-Gov の表示によります。第84条から第91条までには条見出しが付されていないため、括弧内は当該条が引用している側の条の見出しです。第十八章には、このほか第83条の8(第83条の6の罪について「刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う」と定める規定)と、両罰規定である第90条があります。
「併科」がある条と、ない条
併科とは、拘禁刑と罰金の両方を科すことです。「併科する」の文言を置いているのは、第83条の9、第84条、第85条と第86条第1項の柱書です。どれも「…拘禁刑若しくは…罰金に処し、又はこれを併科する」と書かれています。
これに対し、第83条の7、第86条第2項、第86条の2と第86条の3第1項は「…拘禁刑又は…罰金に処する」と書いていて、併科の文言がありません。第83条の6は、拘禁刑だけを定めます。
例
冒頭のA社の担当者が第85条の対象になった場合、条文上は、2年以下の拘禁刑と200万円以下の罰金の両方が科されることもあり得ます。
第91条だけが「過料」を定める
第十八章の最後にある第91条は、「次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する」と書いています。ほかの条の「…の拘禁刑」「…の罰金に処する」とは、言葉が違います。
挙げられているのは2つの号です。1つは、第23条の8の2第2項の届出(決められた事項を行政に知らせる手続)をしなかった人や、うその届出をした人です。もう1つは、第23条の17第1項・第2項(財務諸表などの備付けと閲覧)に関する違反をした人です。
3. 広告の違反には、どの条文の刑が定められているのですか?
第85条です。第4号が第66条第1項・第3項、第5号が第68条、第6号が第72条の5第1項の命令への違反を挙げています。
第66条第2項は号に出てきませんが、医薬品などの効能・効果・性能を医師などが保証したと誤解されるおそれのある記事の広告などを、第1項にあたるものとする規定です。
第85条は、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金を定める条で、併科もあります。10の号のうち、広告に関するものは次の3つです。
- 第4号 — 第66条第1項又は第3項(誇大広告等)の規定に違反した者。誇大広告等は、うそや大げさな広告などのことです。
- 第5号 — 第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)の規定に違反した者。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。
- 第6号 — 第72条の5第1項(違反広告に係る措置命令等)の規定による命令に違反した者
条文では、次のように書かれています。「処し」は刑を科すこと、「併科する」は拘禁刑と罰金の両方を科すことです。
例
冒頭のA社の担当者が、化粧品の効果を大げさに書いた広告を出した場面で考えます。この広告が第66条第1項の違反とされれば、担当者は第85条第4号の対象になり得ます。その場合に条文が定める刑は、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金で、併科もあります。
号に出てこない第66条第2項
第66条は3つの項からなります。第85条第4号が挙げているのは第1項と第3項で、第2項は号に出てきません。
第2項が扱うのは、医薬品等の効能・効果・性能について、医師などが保証したと誤解されるおそれのある記事です。医薬品等は、薬機法が扱う5つの製品(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)です。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品(薬用化粧品など)です。条文は、こうした記事を広告することなどを「前項に該当するものとする」と書いています。前項、つまり第1項にあたるものとして扱う、という意味です。
原文で確かめる(第66条第2項)
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする
薬機法第66条第2項(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)各条が禁じている内容は『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』と2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?で扱います。
第6号:措置命令に従わないこと
措置命令は、第66条第1項または第68条に違反した者に対し、行為の中止などを命じるものです。第6号が引く措置命令は、それ自体が行政の処分(役所が出す命令など)です。その命令に従わないことを、第85条第6号が刑の対象にしています。
例
A社が、広告について第72条の5第1項の措置命令を受け、広告の中止を命じられたとします。それでも広告を続けた場合は、続けた担当者が、命令への違反として第85条第6号の対象になり得ます。第90条により、A社も罰金刑の対象になり得ます。
第72条の5は、2027年5月20日に番号が動きます。違反広告の措置命令は第72条の6へ移り、空いた第72条の5には、業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定が入ります。2027年5月20日以降に条番号だけで調べると、別の規定にたどり着きます。
原文で確かめる(第72条の5第1項と、番号が動くことの注記)
この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定(現行の第72条の4。条見出しは付されていない)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。
この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。
命令の内容と手続は第72条の5 措置命令、行政の命令・処分の全体は『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』で扱います。業許可(仕事として行うための許可)に対する処分は、『6-3 業務停止や許可の取消しは、どの条文で決まる?』で扱います。
番号が動いた後の第72条の5第1項・第2項の命令への違反が、罰則のどこに置かれるかは6.の節で説明します。
広告に関するほかの規定
広告に関する規定には、次のものもあります。厚生労働省令は、厚生労働省が定める細かい決まりです。
- 第67条(特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限)に基づく厚生労働省令の定める制限その他の措置に違反したとき — 第86条第1項第17号。1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金で、併科もあります。
- 第76条の5(広告の制限。指定薬物に関するもの)に違反した者 — 第85条第9号
どの表示が「広告」にあたるかの基準は、条文ではなく通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)に示されています。『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』を参照してください。供給する側から見た線の引き方は『5-6 供給者の説明は、どこから「広告」になる?』で扱います。
4. 法人には、どんな罰金が科されるのですか?
第90条の両罰規定により、違反した本人(行為者)を罰するほか、法人にも罰金刑を科します。第1号の違反(指定薬物の業としての製造など)は1億円以下の罰金刑です。
第2号の違反は、行為者に科される条と同じ額の「各本条の罰金刑」で、広告の違反(第85条)なら200万円以下です。
両罰規定は、違反した本人だけでなく、その人が属する法人なども罰する決まりです。薬機法では第90条がこれにあたります。第90条が書き分けているのは、次の3つです。
- だれの行為か — 「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者」。代表者・代理人・従業員などです。
- どんな場面か — 「その法人又は人の業務に関して」の違反行為であること
- 何が科されるか — 「行為者を罰するほか」、法人には各号に定める罰金刑を、人には各本条の罰金刑を科すこと
第90条は「行為者を罰するほか」と書いていて、法人への罰金刑を、本人の処罰の代わりとはしていません。
例
冒頭のA社の場面で考えます。担当者がA社の業務として出した広告が、第66条第1項の違反とされたとします。この場合、担当者本人が第85条の対象になり得るほか、第90条により、A社も罰金刑の対象になり得ます。A社について条文が定める罰金刑は、第85条と同じ200万円以下の罰金です。
原文で確かめる(第90条)
1億円以下の罰金刑になる違反(第1号)
第1号が挙げているのは、第83条の9と、第84条の一部の号です。第83条の9は、指定薬物を業として製造・輸入・販売などした罪です。第84条は、号ごとに入るかどうかが決まっていて、入らない号もあります。たとえば、第14条第1項(医薬品などの製造販売の承認)や、第56条(販売、製造等の禁止)への違反を挙げた号は入ります。
例
医療機器の修理を仕事にするB社の従業員が、B社の業務として、修理業の許可に関する規定(第40条の2第1項)に違反したとされたとします。この違反は第84条第13号の対象になり得ます。第90条第1号はこの号を挙げているので、B社について条文が定める罰金刑は1億円以下です。
第1号に入る号と、それぞれが引いている規定
第84条で挙がるのは、第3号・第5号・第6号・第8号・第13号・第15号です。第18号から第21号まで、第23号から第27号まで(第70条第3項及び第76条の7第2項の規定に係る部分を除く。)も入ります。それぞれの号が引いている規定は次のとおりです。
- 第83条の9 — 第76条の4(製造等の禁止)に違反して、業として、指定薬物を製造・輸入・販売・授与したとき。販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列して所持したときも含みます。
- 第84条第3号・第5号・第8号 — 次の規定と、これらに対応する命令
- 第14条第1項・第13項(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)
- 第23条の2の5第1項・第13項(医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売の承認)
- 第23条の25第1項・第13項(再生医療等製品の製造販売の承認)
- 第84条第6号 — 第23条の2の23第1項・第7項(指定高度管理医療機器等の製造販売の認証)
- 第84条第13号 — 第40条の2第1項・第7項(医療機器の修理業の許可)
- 第84条第15号 — 第43条第1項・第2項(検査)
- 第84条第18号から第21号まで — 次の規定と、これらを準用する規定(同じ決まりを別の場面にも使う規定)
- 第55条第2項(販売、授与等の禁止)
- 第55条の2(模造に係る医薬品の販売、製造等の禁止)
- 第56条(販売、製造等の禁止)
- 第56条の2第1項(輸入の確認)
- 第84条第23号から第27号まで — 次の規定への違反と、命令への違反
- 第65条(販売、製造等の禁止。医療機器に関する規定)
- 第65条の5(販売、製造等の禁止。再生医療等製品に関する規定)
- 第68条の20(販売、製造等の禁止。生物由来製品に関する規定)
- 第69条の3(緊急命令)の命令違反
- 第70条第1項・第2項(廃棄等)及び第76条の7第1項の命令違反
第65条・第65条の5・第68条の20は、e-Gov 法令検索ではいずれも条見出し(条の題名)が「販売、製造等の禁止」です。括弧内に添えた「医療機器に関する規定」等は、条見出しではなく、各条の本文が対象としている製品の区分です。
第2号に挙がる条は「各本条の罰金刑」
第2号は、第84条の残りの号と、第85条、第86条第1項、第86条の3第1項、第87条、第88条について、「各本条の罰金刑」と定めます。行為者に科される条が定める罰金と同じ額、という意味です。
広告規制の違反を挙げる第85条も、こちらに入っています。
刑事罰とは別に、課徴金(違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金)の制度もあります。『6-6 薬機法の課徴金は、どう計算される?』(第75条の5)で扱います。
5. 刑罰を科す手続は、罰則の章に書かれているのですか?
ほとんど書かれていません。第十八章(罰則)が定めるのは刑と過料の中身です。手続の定めは、第86条の3第2項の告訴(処罰を求める申出)の規定のほかにありません。
略式命令は、簡易裁判所が法廷での裁判(公判)を開く前に罰金などを科す命令で、科せる罰金の上限は刑事訴訟法第461条が百万円以下と定めています。
第十八章の各条は「…に処する」「…を科する」と書き、だれがどの手続で科すかを定める文言を置いていません。例外は、第86条の3第2項の告訴の規定だけです。
これに対し、行政の命令・処分を定める第十三章「監督」の各条には、命令や処分をする主体が書かれています。行政の側の仕組みは『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』で扱います。
告訴がなければ起訴できない罪(第86条の3)
告訴は、犯罪の被害を受けた人などが、処罰を求めて申し出ることです。公訴の提起は、検察官が裁判所に訴えを起こすこと(起訴)です。第86条の3第2項は、同条第1項の各号の罪について、告訴がなければ公訴を提起できないと定めています。
第86条の3第1項は、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金を定めます。現行版(施行日 2026-05-21)では、11の号を掲げています。号の数は、2027年5月20日から12になります(6.の節)。
11の号は、第14条の2の2第5項、第14条の4第8項、第14条の6第6項などの規定に違反したときです。第23条の2の6の2第5項、第68条の5第5項、第80条の2第10項なども挙がっています。
略式命令で科せる罰金の上限
略式命令は、簡易裁判所が、検察官の請求を受けて、公判(法廷で開かれる裁判)の前に罰金などを科す命令です。この命令で科せる罰金の上限を定めているのは、薬機法ではなく、刑事訴訟法の第461条です。
罰金の上限は条ごとに違う
例
ある事務長が、「薬機法違反の罰金は50万円程度」という説明を見かけたとします。条文で見ると、罰金の上限は条ごとに違います。たとえば第85条は200万円以下、第87条は50万円以下です。どれも条文が定める上限で、実際に科された額を示すものではありません。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
薬機法違反の罰金は50万円程度である。
現行
条文が定める罰金の上限は条ごとに異なる。第83条の9は500万円以下、第84条は300万円以下、第83条の7は250万円以下、第85条は200万円以下、第86条第1項・第2項及び第86条の2は100万円以下、第87条は50万円以下、第86条の3第1項・第88条・第89条は30万円以下。法人には第90条第1号が挙げる違反行為について1億円以下の罰金刑。略式命令で科すことができるのは「百万円以下の罰金又は科料」である(刑事訴訟法第461条)。
薬機法第83条の7・第83条の9・第84条から第90条まで(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)/刑事訴訟法第461条(e-Gov 法令検索、施行日 2026-08-13 の版)。いずれも条文が定める上限であり、実際に科された額の分布を示すものではない。
登録認証機関の役員・職員のわいろについての定め(第83条の6から第83条の8まで)
第83条の6第4項は、受け取ったわいろの没収(取り上げること)を定めます。その全部又は一部を没収できないときは、その価額を追徴します(その額のお金を納めさせること)。第83条の7第2項は、同条第1項の罪(わいろを渡すなどの罪)を犯した人が自首したときに、刑を軽くし(減軽)、又は免除することができると定めます。
第83条の8は「第八十三条の六の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う」と書いています。第83条の6の罪を刑法第4条と同じように扱う、という規定で、この条自体は刑を定めていません。刑法第4条の中身は、このページでは扱いません。
6. 2027年5月20日から、罰則の条文はどこが変わるのですか?
本文が変わるのは第84条・第85条・第86条・第86条の3・第87条・第88条の6条です。第90条・第91条は変わりません。
第85条第6号が引く条は第72条の5第1項から第72条の6第1項に変わり、第86条第1項は号が27から29に増えます。
2027年5月20日に施行される改正で、第十八章の条文も一部が変わります。この改正を定めた法律は、令和7年法律第37号です。
第十八章の14の条(第83条の6〜第91条)のうち、今の版(2026年5月21日施行)と2027年5月20日施行の版で本文が違うのは、上に挙げた6条です。残る8つの条は、どちらの版でも同じです。
変わるのは、号の数や、号が引く条文の番号、柱書の言い回しなどです。第86条の3第1項は、号が11から12に増えます。広告に関係が深いのは、第85条第6号が引く条の変更です。次の見出しで説明します。
6条の変わる箇所を、条文の言い回しで確かめる
- 第84条 — 号の数は29のままです。次の号が変わります。
- 第1号 — 「第四条第一項又は第五項」に変わります。
- 第3号 — 引用が「第十四条第一項若しくは第十四項」に変わります。
- 第5号 — 引用が「第二十三条の二の十の四第七項」に変わります。
- 第9号 — 「第二十四条第一項又は第二十六条第六項」に変わります。
- 第24号 — 「第六十五条の五第一項」に変わります。
- 第85条 — 号の数は10のままです。柱書が「次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は」に変わり、各号の文末が「…したとき。」の形になります。第6号の引用が「第七十二条の五第一項」から「第七十二条の六第一項」に変わります。
- 第86条第1項 — 号が2つ加わり、27から29になります。加わるのは、第10号「第二十九条の五第一項の規定による登録を受けずに受渡しを行つたとき。」(第29条の5は同日新設される「登録受渡店舗に係る登録」)と、第23号「第七十二条の五第一項又は第二項の規定による命令に違反したとき。」の2つです。この2つの挿入により、第67条に係る号は第17号から第18号へ移ります。第72条第1項・第2項の業務の停止命令に係る号は、第19号から第20号へ移ります。第72条第3項から第5項までの施設の使用禁止の処分に係る号は、第20号から第21号へ移ります。第22号は「第七十二条の四第一項から第三項まで」、第24号は「第七十二条の八又は第七十三条」の命令違反になります。第4号は、第17条の引用が「第一項、第六項若しくは第十三項」に変わります。そのうえで、第4号には次の2つが加わります。
- 第18条の2の2第1項(特定医薬品供給体制管理責任者の設置及び遵守事項)
- 第18条の2の5第1項・第5項(医薬部外品等総括製造販売責任者等の設置及び遵守事項)
- 第86条の3第1項 — 号が1つ加わり、11から12になります。加わるのは第6号「第二十三条の二の十の二第六項(第二十三条の二の十九において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。」(第23条の2の10の2は体外診断用医薬品の性能等再評価)で、以降の号が繰り下がります。第68条の5第5項に係る号は第8号から第9号へ、第80条の2第10項に係る号は第11号から第12号へ移ります。第2項(前項各号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない)は変わりません。
- 第87条 — 号の数は17のままです。第2号の引用が「第十四条第十四項」から「第十四条第十五項」に変わります。
- 第88条 — 号の数は4のままです。柱書が第85条と同じ形に変わり、第1号に「第六条の四第三項」(第6条の4は同日新設される「健康増進支援薬局」)が加わります。
「第72条の5」の中身が入れ替わる
2027年5月20日に、違反広告の措置命令(今の第72条の5)は第72条の6へ移ります。同じ日に、業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定(今の第72条の4。条見出し(条の題名)は付されていない)が、第72条の5へ移ります。
第85条第6号の引用が変わるのは、措置命令が第72条の6へ移ることに対応するものです。新しい第72条の5の第1項又は第2項の命令に違反したときは、第86条第1項に置かれる第23号が扱います。第72条の5という番号の札はそのまま残り、中身だけが別の条から入れ替わる形です。
この結果、同じ「第72条の5第1項の命令に違反したとき」でも、刑を定める条は施行日によって違います。
- 今の版 — 第85条第6号(2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、併科あり)
- 2027年5月20日から — 第86条第1項第23号(1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、併科あり)
例
2027年5月20日以降に、第72条の5第1項の命令への違反を第85条第6号とする資料を読んだとします。これは2026年5月21日施行の版(2027年5月20日より前の版)での対応です。2027年5月20日以降の置き場所は、上の箇条の2つ目で確かめます。
ほかのページでは、次のことを扱います。
- 第72条に続く条(第72条の4・第72条の5など)の番号が後ろにずれ、空いた番号に別の規定が入ることの全体 — 『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』
- 同じ日に新設される第72条の8(薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令) — 『6-3 業務停止や許可の取消しは、どの条文で決まる?』
- 施行日ごとに変わった条文 — 『8-6 2025年の薬機法改正は、いつから、どの条が変わる?』
2027年5月20日は、e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されている日です(施行期日を定める政令の番号は未確認)。同じ改正法でも、2028年5月20日施行分は e-Gov 上も予定日で、政令(内閣が定める命令)で確定します。施行日ごとの条文の異同は『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』にも整理しています。
理解の確認
行政の資料や解説を読んだだけでは、刑を定める条が今どう書かれているかを確かめたことにならないのは、なぜですか?
資料には、出された時点の表記がそのまま残るからです。表記が古いことと、その資料が今も使われているかどうかとは、別のことです。薬機法では、令和4年法律第68号によって刑の名前が置き換わりました。薬機法の条文が変わったのは、2025年6月1日施行分です。いま刑事施設に入れる刑は、どの条でも「拘禁刑」と書かれています。一方で、置き換え前の表記のまま説明している資料も残っています。各条の現行の版は、e-Gov 法令検索で確かめます。
根拠:薬機法第十八章(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)/刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)、薬機法への反映は2025年6月1日施行分(法令確認日 2026-09-08)
広告規制の違反について第90条の両罰規定が働くとき、法人に科される罰金刑は1億円以下になりますか?
なりません。1億円以下の罰金刑を定めるのは第90条第1号で、挙げられているのは第83条の9と第84条の一部の号です。広告規制の違反を挙げる第85条は、第2号の「各本条の罰金刑」の側にあります。そのため、法人に科されるのは、第85条が定める200万円以下の罰金です。なお、第90条は「行為者を罰するほか」と書いています。法人への罰金刑は、行為者の処罰の代わりになるものではありません。
根拠:薬機法第90条第1号・第2号、第85条(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版)(法令確認日 2026-09-08)
2027年5月20日以降、「第72条の5第1項の命令に違反したとき」の刑を今の条番号のまま調べると、別の条にたどり着くのはなぜですか?
条番号の札はそのまま残り、中身だけが別の条から入れ替わるからです。同じ日に、違反広告に係る措置命令等(今の第72条の5)は第72条の6へ移ります。そして、業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定(今の第72条の4)が第72条の5に入ります。その結果、同じ「第72条の5第1項の命令に違反したとき」でも、刑を定める条が変わります。今の版では第85条第6号(2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、併科あり)です。2027年5月20日以降は第86条第1項第23号(1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、併科あり)です。
根拠:薬機法第85条第6号・第86条第1項第23号、第72条の5・第72条の6(e-Gov 法令検索、施行日 2026-05-21 の版と施行日 2027-05-20 の版、版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)(法令確認日 2026-09-08)
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違反すると、 化粧品を扱うA社の広報担当が、社内研修で「薬機法に違反すると2年以下の罰則」と聞いたとします。どうなる? — 行政指導から 刑事罰までの 6つの ルート - 6-5 違反
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課徴金は、 化粧品を扱うA社の広告が、医薬品や化粧品などについて、うそや大げさな広告を禁じる第66条第1項に違反するとされた場面を考えます。どう 計算される? — 4.5%・ 225万円・ 減額と手続 - 8-6 2025年の
薬機法 化粧品会社の広報担当者が、社内の広告ルールの資料を見直す場面です。改正は、 いつから、 どの 条が 変わる? — 施行日で 追う 改正の 時間軸
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- 薬機法 2027年5月20日施行版条文(令和7年法律第37号による改正後。版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第461条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。施行日 2026-08-13 の版、版ID 323AC0000000131_20260813_508AC0000000067)
- 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)による薬機法の改正。施行日 2025年6月1日の版(版ID 335AC0000000145_20250601_504AC0000000068)e-Gov 法令検索(沿革)(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)厚生労働省(2026-09-08 確認)