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医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか? — 薬機法第66条

化粧品の会社で、新商品の広告を作っているとします。老けて見える肌と若く見える肌のイラストを並べたり、「大学との共同研究」と書き添えたりしてよいのでしょうか。薬機法第66条は、医薬品や化粧品など、薬機法が扱う5つの製品(医薬品等)の広告についての決まりです。中心の第1項は、名称・製造方法・効能・効果・性能についての記事(広告などに書かれた内容)が対象です。虚偽(事実と違う)や誇大(大げさ)な記事の広告などを、だれに対しても禁じています。このページでは、条文の読み方、行政の基準、違反したときの措置と罰則を、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • だれがしても対象、ほのめかす書き方も含む:第66条第1項は、医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能についての虚偽または誇大な記事を、広告する・書く・広めることを禁じています。名宛人(禁止の対象になる人)は「何人も」(なんぴとも。だれでも、という意味)です。業の許可(製造や販売を仕事として行うための許可)の有無は、条文の要件に入っていません。はっきり書くか、ほのめかすかも問いません。
  • 何が「虚偽・誇大」かは、行政の基準で見られる:条文は「虚偽又は誇大」の中身を定めていません。行政が広告を監視し、指導するときの基準は、厚生労働省の通知(2017年9月)の別紙「医薬品等適正広告基準」です。通知は、国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。効能効果・性能・安全性の表現は、基準の第4の3が8つの号(項目の中の細かい区分)に分けて定めています。
  • 違反への措置は3種類:中止などを命じる措置命令(第72条の5第1項)、課徴金の納付命令(第75条の5の2)、刑事罰の3つです。課徴金は、違反で得た売上などをもとに国が納めさせるお金で、額は対象の売上(対価の額)の合計の百分の四・五(4.5パーセント)です。罰則は、2年以下の拘禁刑(刑事施設に収容する刑)または200万円以下の罰金です(第85条第4号)。第72条の5は、2027年5月20日から第72条の6になります。

1. 第66条第1項は、何を禁じているのですか?

医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能について、虚偽(事実と違う)や誇大(大げさ)な記事を広告し、記述し、流布する(広める)ことを、だれに対しても禁じます。

対象の製品は薬機法が扱う5つ(医薬品等)で、条文は、はっきり書くか、ほのめかすかを問わないと書いています。

第66条第1項は、薬機法で広告を規制する条文の中心です。条文は一文ですが、4つの要素に分けると読みやすくなります。

  • 名宛人:「何人も」。だれでも、という意味です。製造販売業者(製品を市場に出すための許可を受けた事業者)や販売業者に限る文言は置かれていません。
  • 対象となる物:医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5区分です。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品です(薬用化粧品など)。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。
  • 対象となる事項:名称、製造方法、効能、効果、性能の5つです。
  • 禁じられる行為:虚偽または誇大な記事を「広告し、記述し、又は流布」することです。広告する、書く、広める、の3つの行為が並べて書かれています。

はっきり書かない表現も含まれる

条文には、「虚偽又は誇大な記事」の直前に「明示的であると暗示的であるとを問わず」という言葉があります。明示的は、はっきり書くことです。暗示的は、はっきり書かずに、ほのめかすことです。条文の文言のうえでは、両者は区別されていません。

例

A社が、ある医療機器の広告で、その性能を実際より大げさに書く場面で考えます。名宛人は「何人も」なので、A社から広告の制作を頼まれたB社も、この禁止の対象になり得ます。大げさな内容をはっきり書かず、ほのめかすだけでも、第66条第1項の対象になり得ます。

条文に、国の承認の有無による限定はない

第66条第1項には、承認や認証の有無で対象をしぼる文言は置かれていません。承認は、製品ごとに国が審査して、製造販売を認めることです。認証は、国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めることです。

承認等を受けていない医薬品等の広告については、別に第68条が置かれています。

ある表示物が「広告」にあたるかどうかは、第66条とは別に、行政の通知が示す該当性の要件(広告にあたるかを見る条件)で見られます。くわしくは『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱います。

2. 第66条の第2項と第3項は、何を定めているのですか?

第2項は、医師などが効能などを保証したと誤解されるおそれのある記事を、第1項に当たるものとします。第3項は、堕胎(妊娠を人工的に中断させること)の暗示と、わいせつな文書・図画(絵や写真など)の使用を禁じます。

罰則の第85条第4号が挙げるのは第1項と第3項で、第2項は第1項に取り込まれる形になっています。

第66条の3つの項のうち、第2項と第3項は、条文としての働きがそれぞれ違います。

第2項:医師などが保証したように見える記事

第2項は、それだけで独立した禁止の決まりではありません。条文の結びは「前項に該当するものとする」です。そこに書かれた記事を、第1項の虚偽・誇大広告として扱う、という意味です。

条文が挙げているのは「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事」です。保証したとされる人を、医師に限る書き方はしていません。

例

ある化粧品の広告に、医師がその効能を保証しているように読める記事を載せる場面です。この場面では、第2項が問題になり得ます。第2項は、読む人がそう誤解するおそれがある記事を、第1項に当たるものとしています。

行政の基準では、別々の項目に置かれている

保証や推せんについては、3の節で説明する行政の基準「医薬品等適正広告基準」にも定めがあり、別々の箇所に置かれています。第4の3(5)(第4の中の3番目の項目の、(5)の号)は、効能効果や安全性を具体的に示して、それが確実だと保証するような表現を禁じています。

第4の10(第4の中の10番目の項目)は、医薬関係者(医師や薬剤師など)や病院などが推せんなどをしている、といった広告を禁じています。推せんなどをする側には、公務所(役所など)・学校・学会を含む団体で、効能効果などについて世の中の人の認識に相当の影響を与えるものも入ります。ただし書きがあり、公衆衛生の維持増進のため、公務所などが指定等をしている事実を広告する必要がある場合など、特別の場合は除かれます。

原文で確かめる(基準 第4の3(5)・第4の10)

(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。

医薬品等適正広告基準 第4の3(5)(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)

10 医薬関係者等の推せん

医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。

ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

医薬品等適正広告基準 第4の10(同上)

第3項:堕胎の暗示と、わいせつな文書・図画

第3項は、医薬品等に関して、堕胎を暗示することを禁じています。わいせつにわたる文書や図画を用いることも禁じています。

効能効果の表示とは内容が違います。それでも、罰則は第1項と同じ第85条第4号に置かれています。

3. 事実と違うか、大げさかは、行政のどの基準で見られるのですか?

厚生労働省の通知(2017年9月)の別紙「医薬品等適正広告基準」です。都道府県などが広告を監視指導するときの基準として示されています。

この通知により、それまでの古い通知(1980年10月)は廃止されました。

第66条は、何が「虚偽又は誇大」にあたるかを定義していません。その中身を埋めているのが、この基準です。

基準の目的と、対象になる媒体

基準の第1は、医薬品等の広告が虚偽や誇大にならないようにし、適正にすることを目的に掲げています。第2は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト、SNSなど、すべての媒体の広告を対象にしています。

第3は、広告をする人の責務です。1つは、使う人が正しく使えるよう、正確な情報を伝えるよう努めることです。もう1つは、医薬品等の品位を損なう、または信用を傷つけるおそれのある広告をしないことです。

例

冒頭の化粧品の会社が、同じ広告を新聞にも自社のSNSにも載せる場面です。基準の第2は「すべての媒体」の広告を対象にしているので、どちらもこの基準の対象に含まれます。

原文で確かめる(基準 第1・第2)

第1(目的) この基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。) の広告が虚偽、誇大にわたらないようにするとともにその適正を図ることを目的とする。

第2(対象となる広告) この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。

医薬品等適正広告基準 第1・第2(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)

古い通知の番号で説明している資料に注意

この基準を、古い通知(1980年10月)の番号で説明している資料を見かけることがあります。

よく見かける説明と、現行を確かめる

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

医薬品等適正広告基準は、昭和55年10月9日 薬発第1339号(平成14年3月28日 医薬発第0328009号改正)による。

現行

平成29年9月29日 薬生発0929第4号により全面的に改正された。同通知は「なお、本通知をもって、旧通知は廃止します。」と書いている。

根拠:平成29年9月29日 薬生発0929第4号「医薬品等適正広告基準の改正について」本文(旧通知の名称と、その廃止の記載)。2026-09-08 確認。

4. 効能効果の表現について、基準はどんな決まりを置いているのですか?

効能効果・性能・安全性の表現は、基準の第4の3が8つの号に分けて定めています。承認等を受けた範囲をこえる表現、確実だと保証する表現、最大級の表現などを禁じる決まりです。

(1)から(8)までの号は、それぞれ別の内容を定めています。

効能効果、性能及び安全性の表現を扱うのは、基準の第4の3です。第4は14の項目からなり、その3番目にあたります。

直感的なポイント

号の分かれ方は、論点ごとに引き出しを割り当てた収納棚に似ています。承認等を受けた範囲の話、保証する表現の話、最大級の表現の話は、それぞれ別の引き出しに入っています。どの号の話かを分けて読まないと、別の引き出しの中身を持ち出すことになります。

表1:医薬品等適正広告基準 第4の3(効能効果、性能及び安全性関係)の各号
号見出し定めている内容(要約)根拠
(1)承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず、承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはならない同基準 第4の3(1)
(2)承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲化粧品を除き、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。承認を要しない化粧品については別の通知が定める効能の範囲による同基準 第4の3(2)
(3)医薬品等の成分等及び医療機器の原材料等についての表現の範囲承認書等への記載の有無にかかわらず、虚偽の表現、不正確な表現等を用いて効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない同基準 第4の3(3)
(4)用法用量についての表現の範囲承認等を要するものは承認等を受けた範囲、要しないものは医学、薬学上認められている範囲をこえた表現・不正確な表現等を用いて、効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない同基準 第4の3(4)
(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない同基準 第4の3(5)
(6)効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止最大級の表現又はこれに類する表現をしてはならない同基準 第4の3(6)
(7)効能効果の発現程度についての表現の範囲速効性、持続性等についての表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない同基準 第4の3(7)
(8)本来の効能効果等と認められない表現の禁止本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告を行ってはならない同基準 第4の3(8)

「定めている内容」は基準本文を短くしたものです。号によっては但書(例外を定める「ただし」の部分)や適用範囲の限定が付くため、確認するときは通知の別紙本文を参照してください。

表1の読み方

表1は、8つの号を番号の順に並べたものです。基準のどの号の話かを探すときは、論点から見当をつけます。たとえば、効能効果の範囲の話なら(1)か(2)、確実だと保証する話なら(5)、最大級の表現の話なら(6)です。

(1)と(2)は、承認等が必要な製品かどうかで分かれます。必要な製品は、承認等を受けた範囲が上限です。必要でない製品は、化粧品を除き、医学・薬学上認められている範囲が上限です。承認を要しない化粧品は、別の通知が定める効能の範囲によります。

例

A社が、承認を受けた医薬部外品の広告で、承認を受けた効能効果の範囲をこえる効き目を、はっきりとは書かずにほのめかす場面です。表1の(1)は、明示的か暗示的かにかかわらず、承認等を受けた範囲をこえてはならないとしています。この場面では、(1)の号が問題になり得ます。

第4には、ほかに次のような項目が並びます。

  • (4)過量消費又は乱用助長:使いすぎや乱用をうながすおそれのある広告の制限
  • (5)医療用医薬品等の広告の制限:医療用医薬品は、医師などが使うか、その処方や指示で使われる医薬品です
  • (6)一般向広告における効能効果についての表現の制限
  • (9)他社の製品の誹謗広告の制限:他社の製品を悪く言う広告の制限
  • (10)医薬関係者等の推せん
  • (11)懸賞、賞品等による広告の制限

5. はっきり書かない「ほのめかし」は、行政の資料でどう扱われていますか?

基準の第4の3(1)にも、明示か暗示かを問わない趣旨の言葉があります。行政のQ&Aは、絵や写真の並べ方など、広告全体から判断するという運用を示しています。

厚生労働省の事務連絡(役所が担当者あてに運用上の注意を伝える文書。2018年8月)が、印象を比べる絵や写真の並べ方と「大学との共同研究」の書き方に答えています。

基準の第4の3(1)は「明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず」と書いています。第66条第1項の「明示的であると暗示的であるとを問わず」とは、言葉が少し違います。

行政がどう運用しているかは、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課が出したQ&Aに表れています。2018年8月の事務連絡です。

印象の良い絵と悪い絵を並べる場合

Q&AのQ1への回答は、良い印象と悪い印象のイラストを並べる場合と、異なる部位の写真で印象の良いものと悪いものを並べる場合を取り上げています。

対象は、こうした並べ方で、製品の効果と結びつけて受け取られることをねらったものです。回答は、それが第4の3(5)に抵触する(決まりに触れる)と判断される場合には、指導の対象とすべきだとしています。使用前後の写真などの表現であるかどうかは問わない、ともしています。

例

冒頭の化粧品の会社が、老けて見える肌と若く見える肌のイラストを並べ、製品を使うと若く見える方になると受け取られることをねらった場面です。この並べ方は、Q1への回答が取り上げている並べ方にあたり得ます。

原文で確かめる(Q1への回答)

良い印象のイラストと悪い印象のイラストを並べて記載することや、異なる部位の写真で印象が良いものと悪いものを並べて記載することで製品による効果と結びつけて受け取られることを企図したものは、それが、使用前後の写真等の表現であるかどうかを問わず、医薬品等適正広告基準第4の3(5)に抵触すると判断される場合には、指導対象とすべきと解する。

医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q1に対する回答

「大学との共同研究」と書く場合

同じ事務連絡は、「○○大学との共同研究」といった標榜(広告の中でうたうこと)についても回答しています。

例

冒頭の化粧品の会社が、広告に「大学との共同研究」と書き添える場面です。Q3への回答のうち、化粧品等の広告についての部分は、次の2点を示しています。

1つめに、第4の10(医薬関係者等の推せん)に抵触するため、「大学との共同研究」との記載は認められない、としています。

2つめに、この記載により広告全体として効能効果の逸脱(認められた範囲からはみ出すこと)となる場合は、第4の3(1)または3(2)に抵触する、としています。

原文で確かめる(Q3への回答)

(前略)化粧品等の広告に関する事例については、医薬品等適正広告基準第4の10の医薬関係者等の推せんに抵触するため、「大学との共同研究」との記載は認められない。さらに、「大学との共同研究」と記載することにより広告全体として効能効果の逸脱となる場合は、医薬品等適正広告基準第4の3(1)若しくは3(2)に抵触することとなる。

同Q&A Q3に対する回答(抜粋)

この事務連絡は、平成29年度に実施された全国医薬品等広告監視協議会の協議結果にもとづいて作られました。

6. 第66条第1項に違反すると、どんな措置がありますか?

法律は、措置命令(違反の中止などを命じる命令。第72条の5第1項)、課徴金納付命令(第75条の5の2)、罰則(第85条第4号)の3つを定めています。

課徴金対象行為として条文が挙げているのは、第66条第1項の規定に違反する行為です。

3つは性格が違います。役所が違反を正すよう命じるもの、お金を納めさせる処分(不利益処分)、刑事罰です。

措置命令

条文は、措置命令を出す者を、厚生労働大臣または都道府県知事としています。命じられるのは、その行為の中止や再発防止に必要な事項、それらの実施に関連する公示(広く知らせること)など、公衆衛生上の危険の発生を防ぐための措置です。

命令の相手は「第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反した者」です。違反行為がすでになくなっている場合も、条文が挙げる次の4者に命令をすることができます。

  • その違反行為をした者
  • 合併により消滅した法人に代わって存続する法人、または合併により設立された法人
  • 分割により、その違反行為に係る事業の全部または一部を承継した(引き継いだ)法人
  • その事業の全部または一部を譲り受けた者

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

例

A社が、第66条第1項に違反する広告を出し、その後に取り下げた場面で考えます。違反行為がすでになくなっていても、A社は措置命令の相手になり得ます。その違反行為に係る事業をB社が譲り受けていた場合は、B社も命令の相手になり得ます。

同じ条の第2項は、第66条第1項または第68条に違反する広告が、インターネット上で不特定の人に向けて発信されているときの定めです。発信の場を提供する特定電気通信役務提供者に、送信を防止する措置を講ずるよう要請できる、としています。措置命令そのものの手続は『6-5 違反広告の措置命令では、何を命じられる?』で扱います。

課徴金納付命令

第75条の5の2第1項は、第66条第1項の規定に違反する行為を「課徴金対象行為」と呼びます。

課徴金対象期間は、課徴金対象行為をした期間をいいます。ただし、その行為をやめた日から6月(六か月)を経過する日までの間に、その行為に係る医薬品等を取引していたとします。その場合は、その間の最後の取引の日までが期間に加わります(同条第2項)。

厚生労働省令(厚生労働大臣が定める決まり)は、誤解を生ずるおそれを解消するための措置を定めています。6月を経過する日より前にその措置をとったときは、取引を数える区切りはその日になります。期間が3年を超えるときは、末日から遡って3年間とされます。

課徴金の額は、課徴金対象期間に取引をした、課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額(売上の額)の合計額に、百分の四・五(4.5パーセント)を掛けた額です。

例

A社が、第66条第1項に違反する広告をやめたあとも、その広告の対象だった医療機器をしばらく売っていた場面です。省令の措置をとらないまま、やめた日から6月を経過する日までの間に取引をしていれば、その間の最後の取引の日までが期間に加わります。広告をやめた日で期間が終わるとは限りません。

同条第4項は、計算した額が225万円未満であるときは、納付を命ずることができないと定めています。

罰則

第85条は、各号のどれかにあたる者を、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処すと定めています。両方をあわせて科す(併科する)ことも定めています。

第85条の中では、第66条第1項または第3項の違反は同条第4号に、第72条の5第1項の命令に違反した場合は同条第6号に置かれています。

第90条は、両罰規定(違反した人だけでなく、その人が属する会社も罰する決まり)です。ここでいう違反した人とは、法人の代表者や、法人または人(個人で事業をしている人)の代理人、使用人その他の従業者のことです。これらの者が、その法人または人の業務に関して違反行為をしたとします。そのときは、第90条第2号により、行為者を罰するほか、法人に対しても各本条の罰金刑(その違反行為を罰する条文に定められている罰金刑)が科されます。

公表された措置命令

厚生労働省は2025年11月7日、家庭用医療機器の広告について、第72条の5第1項に基づく措置命令を行った旨を公表しています。認証を受けた使用目的又は効能だけでなく、他の疾病にも効果を有するかのような虚偽又は誇大な広告が行われていたことが確認された、としています。

7. 第66条について、よく見かける説明のうち、直す必要があるのはどこですか?

2025年の改正法でも、第66条の本文は変わりません。書き直しが要るのは、罰則の刑の種類と、措置命令の条番号の2か所です。

刑の種類は別の法律で2025年6月1日に拘禁刑に変わり、第72条系の条番号は2027年5月20日に1つずつ繰り下がります。

罰則の刑の種類が変わった

1つめは罰則の刑の種類です。2025年6月1日から拘禁刑に変わりました。罰金の額は変わっていません。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

第66条に違反すると、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科あり)。

現行

2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金(併科あり)。刑の種類が2025年6月1日に変わった。罰金の額は変わっていない。

根拠:薬機法第85条(e-Gov 法令検索・2026年5月21日施行版)。刑の種類は令和4年法律第68号により2025年6月1日から拘禁刑。2026-09-08 確認。

条番号が動くのは、第66条ではなく措置命令の側

2つめは条番号です。e-Gov 法令検索は、国が法令の条文を公開しているサイトです。その2027年5月20日施行版と現行版を条ごとに照らし合わせると、第66条・第67条・第68条の本文は一致します。施行版とは、その日に施行される(効力を持ち始める)内容の条文のことです。動くのは第72条系です。

新しい第72条の4が置かれるため、それより後ろが1つずつ繰り下がります。

  • 現行の第72条の4(業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定)→ 第72条の5
  • 現行の第72条の5(違反広告に係る措置命令等)→ 第72条の6
  • 現行の第72条の6(損害賠償責任の制限)→ 第72条の7

例

2027年5月20日以降に、措置命令の根拠を第72条の5と書いた資料を読む場面です。その日以降の第72条の5は、業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定です。違反広告に係る措置命令は、第72条の6にあります。

引用している側の条文も書き替わります。第85条第6号の引用は「第七十二条の五第一項」から「第七十二条の六第一項」に替わります。第75条の5の2第3項第1号の引用も「第七十二条の四第一項又は第七十二条の五第一項」から「第七十二条の五第一項又は第七十二条の六第一項」に替わります。第75条の5の2で変わるのは、この引用条番号だけです。

理解の確認

「第66条第1項は、承認を受けた医薬品を扱う事業者に向けた規定である」という説明は、条文のどこと食い違いますか?

第1項の名宛人は「何人も」で、業の許可の有無も承認の有無も、要件に置かれていません。そのため、事業者に向けた規定と読むと、条文の文言と合わなくなります。条文が限定をかけているのは、行為者の側ではありません。対象となる物(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5区分)と、対象となる事項(名称、製造方法、効能、効果、性能)の側です。承認等を受けていない医薬品等の広告には、別に第68条が置かれています。承認の有無は、第66条と第68条のどちらが働くかを分ける事情です。

根拠:薬機法第66条第1項・第68条(法令確認日 2026-09-08)

罰則の第85条第4号は「第66条第1項又は第3項」の違反しか挙げていません。それでも第2項が定める記事が罰則の対象に入るのは、なぜですか?

第2項は独立した禁止規定ではなく、結びが「前項に該当するものとする」だからです。医師その他の者が効能等を保証したものと誤解されるおそれがある記事を、第1項に取り込む形になっています。第2項に当たる記事は第1項に該当するものとして扱われます。そのため、第85条第4号の罰則も、措置命令(第72条の5第1項)も、第1項違反として働きます。第85条が第2項を挙げていないことは、第2項の記事が罰則の外にあることを意味しません。

根拠:薬機法第66条第2項、第72条の5第1項、第85条第4号(法令確認日 2026-09-08)

課徴金対象期間が、違反行為をやめた日で終わるとは限らないのはなぜですか?

やめた日から6月を経過する日までの間に、課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をしたときは、やめてから最後にその取引をした日までの期間が加えられるからです。しかも、取引を数える区切りは、広告をやめた日ではありません。6月を経過する日か、それより前に、誤解を生ずるおそれを解消するための厚生労働省令で定める措置をとった日です。つまり期間は、広告行為そのものではなく、その後の取引に合わせて測られます。全体が3年を超えるときは、末日から遡って3年間とされます。

根拠:薬機法第75条の5の2第1項・第2項(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第72条の5・第75条の5の2・第85条・第90条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版条文(e-Gov 版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等適正広告基準の改正について 別紙「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品医療機器等法に基づく行政処分を行いました(2025年11月7日 報道発表資料)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)e-Gov 法令検索(薬機法 沿革)(2026-09-08 確認)