製品 卸売供給 選ばれる理由 サポート 製造施設 安全体制 技術資料 ニュース 会員申請
会員ログイン お問い合わせ

そもそも薬機法の「広告」とは? — 判断に使われる3つの条件(3要件)

化粧品の会社が、自社サイトに商品ページを作る。医薬品をネットで売る会社が、ログインした会員だけに販売ページを見せる。こうした表示が薬機法の「広告」にあたると、うそや大げさな広告を禁じる決まりなどの対象になります。広告かどうかは、国の通知(法律の読み方や扱い方を国が示す文書)が示す3つの条件(3要件)で判断されます。このページでは、3つの条件の意味、1つが欠ける場合の考え方、会員限定ページなどネット上の表示の扱いを、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • 3つの条件で判断される:顧客誘引性(買わせる意図が明確)、特定性(商品名が明らかにされている)、一般認知性(広告を出す本人以外の人が見られる)の3つです。3つがそろうと、広告にあたり得ます。この3つは、条文ではなく国の通知に書かれています。
  • 欠ける例は、限られた場面の話:3つがそろって初めて広告にあたり得る、という組み立てです。通知は、特定性や顧客誘引性が欠ける場合を、広告にあたらない例に挙げています。ただし、これは治験(国の承認に向けて、人で確かめる試験)の情報提供という限られた場面の話です。
  • 会員限定でも、広告になり得る:ログインを求めても、それだけで一般認知性が無くなるわけではない、と行政のQ&Aは答えています。

1. 薬機法の「広告」かどうかは、何で決まるのですか?

3つの条件(3要件)で判断されます。顧客誘引性(買わせる意図が明確)、特定性(商品名が明らかにされている)、一般認知性(広告を出す本人以外の人が見られる)です。

この3つは法律の条文ではなく、国の通知に書かれています。

薬機法には、広告についての決まりがあります。たとえば第66条は、うそや大げさな広告を禁じています(中身は『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』で扱います)。第68条は、未承認医薬品等(国の承認をまだ受けていない医薬品など)の広告を禁じています。どの品目が対象かは、『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』で扱います。ところが、どちらの条文にも、何が「広告」なのかという説明はありません。

その説明をしているのが、国の通知です。通知とは、国が都道府県などに向けて、法律の読み方や扱い方を示す文書です。1998年に当時の厚生省が出した通知が、広告かどうかを3つの条件で判断すると示しました。厚生労働省の通知(2026年3月)も、この1998年の通知を名指しして、同じ3つの条件を示しています。

3つの条件の意味

  • 顧客誘引性(こきゃくゆういんせい):買いたい気持ちにさせる意図が、はっきりしていること。
  • 特定性:特定の医薬品などの商品名が、明らかにされていること。
  • 一般認知性:一般の人が見て知ることができる状態にあること。行政のQ&Aは、この「一般人」に「広告を行っている者以外の者を指す」という説明を付けています。広告を出している本人以外の人、という意味です。

第66条が対象にしているのは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の5つです。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品です(薬用化粧品など)。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。厚生労働省の広告の基準(医薬品等適正広告基準)も、この5つを「医薬品等」と呼んで対象にしています。

例

化粧品の会社が、自社サイトの商品ページに、商品名と購入ボタンを載せたとします。ページは、サイトを訪れた人ならだれでも見られます。買ってほしいという意図があり、商品名が出ていて、会社以外の人が見られる状態です。3つの条件がそろい得る場面で、薬機法の「広告」として扱われ得ます。

直感的なポイント

条文と通知は、ルールブックと用語集のような関係です。ルールブック(条文)には、広告でしてはいけないことが書かれています。何が広告なのかは、用語集(通知)を引いて確かめます。

原文で確かめる(通知と第66条)

通知の原文は、薬機法を「医薬品医療機器等法」と呼んでいます。原文の「昂進させる」は、高めるという意味です。

医薬品医療機器等法上の広告に該当するかについては、「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日付け医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)において示されているとおり、顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること(顧客誘引性)、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること(特定性)、一般人が認知できる状態であること(一般認知性)の3要件により判断されるものである。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記の1

第66条は「広告し」という行為を禁止の対象に置くだけで、「広告」の意味は書いていません。

2. 3つの条件のうち1つでも欠けたら、広告ではないのですか?

基本の組み立ては、3つがそろって初めて広告にあたり得る、というものです。通知も、特定性や顧客誘引性が欠ける場合を、広告にあたらない例に挙げています。

ただし、通知がこの例を挙げているのは、治験(国の承認に向けて、人で確かめる試験)の情報提供という限られた場面についてです。

1つが欠ける例は、厚生労働省の通知(2026年3月)にあります。

この通知は、治験の情報提供を題材にしています。通知はまず、3つの条件を満たせば、治験の情報提供も広告にあたり得るとしています。第68条が禁じる、未承認医薬品等の広告です。どの品目が対象かは『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』で扱います。

そのうえで通知は、条件が欠ける例を2つ挙げています。

  • 特定性がない:治験薬の名称などに触れておらず、特定性がない場合
  • 顧客誘引性がない:情報を求める人だけに向けた情報提供で、顧客誘引性がない場合

こうした場合があるので、治験の情報提供のすべてが広告にあたるわけではない、と通知は書いています。

例

通知は、治験の参加者を募る情報も取り上げています。募集の目的は参加者を集めることで、薬を買わせることではない、という見方です。通知は、募集について、3つの条件とは別に条件を定めています(対象となる試験の範囲、情報提供する内容の範囲、情報提供が可能な期間、留意事項の記載)。そのうえで、この条件を満たす募集の情報には顧客誘引性が認められず、載せる媒体によらず広告にあたらない、としています。条件の中身は研究成果の発信と広告の境界で扱います。

事業者どうしの情報提供がどこまで広告かは、『2-9 事業者間の情報提供は、どこまで広告ですか?』で扱います。

通知の原文で確かめる

治験に係る情報提供についても上記の広告該当性の3要件を満たす場合は、医薬品医療機器等法第68条で禁止される未承認医薬品等の広告に該当することになりえるが、一方で、治験薬の名称等について言及がなく特定性がない場合や、情報を求める者のみに対する情報提供であって顧客誘引性がない場合など、治験に係る情報提供のすべてが広告に該当するものではない。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の1

参加者の募集について、通知は理由を「その目的は治験等の参加者募集であり、治験薬等に対する顧客を誘引する目的のものではないことが明らかである」と書いています。そのうえで、記2(2)の要件を満たす募集の情報は「顧客誘引性が認められず、その情報が掲載される媒体によらず、当該治験薬等の広告には該当しない」としています。

3. 会員限定ページやサイト内検索など、ネット上の表示はどう扱われますか?

ログインを求めても、広告にあたり得ると行政は答えています。検索しないと医薬品名が出ない販売サイトなどは、原則としてあたらないとしています(例外あり)。

このQ&A(2014年)は、1998年の通知の3つの条件をもとに、ネット上の5つの場面について答えています。

厚生労働省は2014年に、ネット上の広告についての質疑応答集(以下、Q&A)を出しました。市販薬(一般用医薬品)のネット販売の新しい制度の開始に合わせ、監視指導(行政が広告を見て、問題があれば指導すること)に役立てるために作られました。

サイト内検索と会員限定ページについての問いには、前提があります。ネットで医薬品などを販売するサイトや、個人輸入代行(海外の薬を個人に代わって取り寄せる業)のサイトであることです。

5つの場面と、Q&Aの答え

  • サイト内検索:医薬品などの販売や個人輸入代行をするサイトで、買いたい人が検索しないと、具体的な医薬品名が出ない場合。原則として広告にあたらない、という答えです。理由には、買わせる意図がはっきりしているといえるかを挙げています。例外もあります(下の2つ目の例)。
  • カテゴリ表示:トップページに医薬品名は無く、「製品分類」などをクリックすると出るサイト。ほかのページで3つの条件を満たす広告をしている場合は、広告にあたり得る、という答えです。
  • 会員限定ページ:IDとパスワードでログインを求めたうえで、医薬品などの販売や個人輸入代行をするサイト。広告にあたり得る、という答えです。
  • 同意ページ:国内未承認薬の広告は法令違反だ、と表示し、了解した人だけが進めるページの先に、医薬品名が出るサイト。広告にあたり、第68条違反として指導の対象になる、という答えです(『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』)。
  • 紹介サイト:海外から日本に売るサイトや個人輸入代行のサイトを紹介・誘導するサイトに、医薬品名が出ている場合。個別に判断する、という答えです。リンク先の事業者と同じ場合などは、広告にあたる可能性があるとしています。

例

冒頭の、医薬品をネットで売る会社が、ログインした会員だけに販売ページを見せる場面で考えます。上の3つ目の場面です。Q&Aはこの場面について、ログインを求めても、それだけで一般人(広告を出す本人以外の人)が見られない状態になるわけではない、と答えています。広告にあたるかどうかは、残る2つの条件もあわせて、3つの条件で判断されます。

例

サイト内検索の例外です。検索した言葉に合う医薬品が無く、医薬品名が出なかったとします。それでも、ほかの医薬品の購入をすすめる情報があわせて出て、その医薬品の情報が出る場合は、Q&Aは広告にあたると答えています。

供給する側から見た線の引き方は、『5-6 供給者の説明は、どこから「広告」になる?』で扱います。

Q&Aの原文(5つの場面)
表1:インターネット上の表示についての行政の回答(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)
問われた場面広告に該当するか根拠
事業者のサイト内で医薬品名等を検索しなければ、具体的な医薬品名等が表示されない場合 原則 該当せず 同Q&A A1(ただし書きあり。下の引用)
トップページに具体的な医薬品名等はないが、「製品分類」「製品カテゴリ」等の項目をクリックすると表示される場合 該当し得る 同Q&A A2(他のページで三要件を満たした広告行為が行われている場合)
ID・パスワードによるログインを求めたうえで、医薬品等の販売や個人輸入代行行為を行う場合 該当し得る 同Q&A A3
国内未承認薬の広告行為が法令違反である旨を表示し、了解した者だけが進めるページの先に、具体的な医薬品名等が表示される場合 該当する 同Q&A A4
海外から日本国内に販売するサイト又は個人輸入代行を行うサイトを紹介・誘導するサイトに、特定の医薬品名等が表示されている場合 個別に判断 同Q&A A5(リンク先の事業者と同一である場合等には該当する可能性がある)

表の記号は、表示の中身の良し悪しではなく、広告にあたるかどうかについての回答です。原文の「薬事法」は、薬機法の以前の名前です。

A2は、1998年の通知の3つの条件を「通達において示した三つの要件」と呼んでいます。A4は要件に触れず、「医薬品等の広告に該当し、薬事法第68条違反で指導の対象となる。」と結論だけを述べています。A5は「個別具体的に判断されることとなる」としています。

表の1行目(A1)のただし書き(「ただし」で始まる、例外を述べる一文)です。

ただし、検索した文言による医薬品等の該当がなく医薬品等の情報が表示されない場合でも、併せて、他の医薬品等の購入等を誘導するような情報が表示され、当該医薬品等の情報が表示される場合には、当該表示は薬事法上の広告に該当する。

インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A1 のただし書き。法律名は発出当時の表記

表の3行目(A3)の回答です。

IDやパスワードの設定等により、ログインを求める場合であっても、そのことをもって、一般人(広告を行っている者以外の者を指す。)が認知できる状態ではなくなる等、インターネット上の表示が医薬品等の広告に該当しないということにはならない。

同Q&A A3

4. 医療法(病院や診療所についての法律)の広告規制も、同じ3つの条件で判断するのですか?

いいえ。医療法の広告規制は、別の3つの条件を使っています。薬機法の一般認知性にあたる条件は、挙げられていません。

第66条は「何人も」(だれであっても)と定めているので、クリニックが医薬品などについて出す表示にも、薬機法の決まりが関わり得ます。

病院や診療所についての広告には、薬機法とは別に、医療法の決まりがあります。医療法の広告規制では、国の指針(2026年3月改正)が、医療広告かどうかを次の3つで判断するとしています。

  • 誘引性:患者の受診などを誘う意図があること
  • 特定性:医業・歯科医業を行う人の名前や、病院・診療所・オンライン診療受診施設(オンライン診療を受けるための施設)の名前がわかること
  • 医業・歯科医業、または病院・診療所に関する内容であること

名前は似ていても、1つ目は受診などを誘う意図を、2つ目は医療者や施設の名前を見る点で、薬機法とは中身が違います。3つ目は別の条件で、一般の人が見られる状態にあること(一般認知性)は要件に挙げられていません。

例

あるクリニックが、自院のサイトに院名と診療の内容を載せ、受診を呼びかけるとします。こうした表示は、医療法の広告規制の対象になり得ます。同じページで医薬品などの名前や効き目に触れていれば、薬機法の決まりも問題になり得ます。

医療法の枠組みは『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』で扱います。

5. 新聞・テレビ・ネット・SNSで、扱いは変わるのですか?

媒体では区切られていません。厚生労働省の広告の基準(医薬品等適正広告基準)は、「すべての媒体における広告」を対象にしています。

広告かどうかを見る段階でも、厚生労働省の通知(2026年3月)に「媒体によらず」という書き方があります。

広告の決まりは、2段階で考えるとわかりやすくなります。まず、3つの条件で広告かどうかを見ます。広告にあたれば、次に中身が基準に合うかを見ます。

中身の基準の1つが、厚生労働省の医薬品等適正広告基準です。医薬品などの広告が、うそや大げさにならないようにし、適正にするための基準です。この基準は、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・ウェブサイト・SNSなどを並べたうえで、「すべての媒体における広告を対象とする」と書いています。

例

化粧品の会社が、同じ広告を新聞とSNSの両方に出すとします。基準は媒体で区切っていないので、どちらも基準の対象になります。SNSの投稿だからといって、基準の外になるわけではありません。

通知は、治験の参加者募集の情報のうち、通知が別に定める募集の条件を満たすものを、「その情報が掲載される媒体によらず」広告にあたらないとしています(2.の節)。

基準の各項の中身は『2-4 医薬品等適正広告基準とは何ですか?』で扱います。LP(ランディングページ)やタイアップ記事など、ネット上の形ごとの扱いは『2-5 Web上の表示は形式で扱いが違う?』で扱います。

原文で確かめる(基準の第1・第2)

第1(目的) この基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。) の広告が虚偽、誇大にわたらないようにするとともにその適正を図ることを目的とする。

第2(対象となる広告) この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第1・第2

6. 広告かどうかは、誰が、何を見て判断するのですか?

監視指導(広告を見て、問題があれば指導すること)は、都道府県などが中心になって行っています。

都道府県などが個別の事例で迷ったときは、厚生労働省の監視指導・麻薬対策課に問い合わせるよう示されています。

医薬品等適正広告基準を改正したときの厚生労働省の通知(2017年9月)は、冒頭で、監視指導が都道府県などを中心に行われていると述べています。この通知は、都道府県のほか、保健所設置市(保健所を置く市)と特別区(東京23区)に宛てられています。

厚生労働省への問い合わせを示した一文は、2014年のQ&Aにあります。Q&Aの宛先である都道府県などに向けたものです。

事業者の相談先は、所管の都道府県の薬務主管課(名称は自治体により異なります)です。薬務主管課は、都道府県の中で薬の行政を担当する課のことです。窓口の使い分けは『6-10 どこに相談すればいい?』で扱います。

いわゆる健康食品の広告は、全体から判断される

2018年の事務連絡(国から都道府県などへ送る連絡の文書)は、いわゆる健康食品の広告についての問いに、「広告全体から判断することとなる」と答えています。

原文で確かめる(監視指導と問い合わせ先)

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の広告については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 66 条から第 68 条までの規定及び(中略)に基づき、都道府県等を中心として監視指導が行われているところです。

医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)本文

なお、個別具体的な事例が広告に該当するか否かについて疑義が生じた場合には、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課まで御照会ください。

インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)本文。局名は発出当時の表記で、現在は医薬局

判断の単位について答えているのは、平成30年8月8日の事務連絡「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」です。平成29年度に実施された全国医薬品等広告監視協議会の協議結果をもとに作られました。

7. 1998年の古い通知が、いまも基準になっているのですか?

はい、いまも引かれています。厚生労働省の通知(2026年3月)が1998年の通知を名指しし、同じ3つの条件を示しています。

通知の題名にある法律名は、その通知が出された時点のものです。

薬機法は、以前は「薬事法」という名前でした。1998年の通知の題名は「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」で、当時の法律名のままです。行政の文書には、出されたときの法律名がそのまま残ります。

例

事務長が、題名に「薬事法」とある通知をネットで見つけたとします。古い名前なので、いまは関係ないと考えてしまうかもしれません。けれども1998年の通知は、いまの通知にも引かれています。

通知が廃止されることもある

一方で、新しい通知が、古い通知をはっきり廃止することもあります。たとえば厚生労働省の通知(2026年3月)は、2023年1月に出た、治験の情報提供についての前の通知を廃止しました。

通知を調べるときのコツ

  • 題名ではなく、出た日付と番号で探す(題名には古い法律名が残るため)
  • その通知を引いている、新しい文書があるかを確かめる
  • 後の通知で廃止されていないかを確かめる
原文の言い回しを見る

2026年3月の通知(記の1)は、1998年の通知を発出日・番号・発出者まで挙げて名指ししています。そのうえで「医薬品医療機器等法上の広告に該当するかについては(中略)3要件により判断されるものである」と書いています(全文は1.の節)。

ネット上の表示についてのQ&A(3の節)も、本文を「薬事法(昭和35年法律第145号)における医薬品等の広告の該当性については」と書き出しています。A4の回答にも「薬事法第68条違反で指導の対象となる」とあります。法律番号(法律ごとの固有の番号)の昭和35年法律第145号は、いまの薬機法と同じです。

廃止を書いた原文は「なお、本通知の発出に伴い、令和5年通知は廃止します。」です。廃止されたのは、令和5年1月24日 薬生監麻発0124第1号「治験に係る情報提供の取扱いについて」です。

理解の確認

第66条第1項の条文を読むだけでは、ある表示が「広告」にあたるかどうかが決まらないのはなぜですか?

条文は「広告し」という行為を禁止の対象に置くだけで、「広告」の意味を定めていないからです。意味を示しているのは1998年の通知で、顧客誘引性・特定性・一般認知性の3つの条件で判断するとしています。禁止を書く条文と、言葉の意味を示す通知とが二階建てになっているので、根拠は両方で確かめます。通知は題名に当時の法律名が残るので、題名ではなく、出た日付と番号で探します。

根拠:薬機法第66条第1項、治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の1が引く平成10年9月29日 医薬監第148号(法令確認日 2026-09-08)

治験の参加者を募る情報は、通知が別に定める募集の条件を満たせば、どの媒体に載せても広告にあたらないとされています。3つの条件のうち、どれが欠けるからですか?

顧客誘引性(買いたい気持ちにさせる意図)です。通知は、募集の目的は参加者を集めることで、治験薬などの顧客を誘う目的ではないことが明らかだとしています。そのうえで、通知が別に定める募集の条件を満たす情報に、顧客誘引性を認めていません。3つがそろって初めて広告と認められる組み立てなので、1つが欠ければ、載せる媒体の種類で結論は変わりません。医薬品等適正広告基準も、すべての媒体における広告を対象にしており、媒体で規制の内と外が分かれるわけではありません。

根拠:治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の1・記2(2)、医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第2(法令確認日 2026-09-08)

「会員限定にしてログインを求めれば、一般人が認知できる状態ではなくなる」から、広告にはならない。この考え方は正しいですか?

いいえ。Q&Aは、ログインを求める場合でも、そのことをもって一般人が認知できる状態ではなくなるとはならない、としています。ここでの一般人は「広告を行っている者以外の者を指す」とされています。見るまでに手順が増えることと、本人以外の人が見られないこととは、別のことです。またQ&Aは、トップページに商品名が無くても、ほかのページで3つの条件を満たす広告をしていれば、広告にあたり得るとしています。1ページの見え方だけで結論が出るわけではありません。

根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A3・A2(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長)原文URL未確定。本ページは令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号の引用により確認(2026-09-08 確認)
  • 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)原文URL未確定。本ページは厚生労働省が公表した本通知の全文により確認(2026-09-08 確認)
  • インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(令和8年3月30日最終改正)第2の1−1 厚生労働省(2026-09-08 確認)