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事業者間の情報提供はどこまで広告か — 販売情報提供活動ガイドラインの射程

事業者間の情報提供にも、専用の文書があります。平成30年9月25日 薬生発0925第1号の別添「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」です。このガイドラインは適用範囲を医療用医薬品に限る一方で、能動的か受動的かを問わず、口頭による説明まで対象に含め、記録の作成と保管まで求めています。このページは、その射程と原則を原文で確認し、あわせて学会の展示ブースと添付文書の公開について行政が示してきた整理を並べます。

30秒でわかる要点

  • 対象は、医薬品製造販売業者・その委託先/提携先企業・医薬品卸売販売業者が、医療用医薬品について行う活動。能動的か受動的かを問わず、口頭による説明や電磁的に提供されるものも「資材等」に入る(第1の2(1)〜(3))。
  • 求められているのは4つ。承認された範囲内であること、有効性だけでなく副作用を含む安全性等も提供して情報を恣意的に選択しないこと、根拠を示せること、引用元を明記すること。しないことは7つ、積極的にすることは3つ挙げられ、ネガティブな情報の提供は「積極的にすること」の側にある(第1の3)。
  • 学会の展示ブース等は「原則として」一般人を対象とする広告活動とは解さない(平成30年3月26日 事務連絡)。自社サイトでの添付文書の公開は、公開されている添付文書の内容と同一でこれを超えない場合に限る(平成15年3月28日 医薬監第0328006号)。どちらも留保付きの整理。

「販売情報提供活動」とは、どの文書が、何を指す語として定めているのか

平成30年9月25日 薬生発0925第1号のガイドラインです。第1の2(2)が、能動的・受動的を問わず販売促進を期待して情報を提供すること、と定めています。

医療用医薬品の効能・効果に係る疾患を啓発すること(一般人を対象とするものを含む)も、この語に含まれると書かれています。

この語を置いているのは、平成30年9月25日 薬生発0925第1号の別添「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」です。発出通知の題名は「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて」で、厚生労働省医薬・生活衛生局長が都道府県知事・保健所設置市長・特別区長あてに発出しています。定義は第1の2「適用範囲等」の(2)に置かれています。

(2)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動」とは、能動的・受動的を問わず、医薬品製造販売業者等が、特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安全性の認知の向上等による販売促進を期待して、当該医療用医薬品に関する情報を提供することをいい、医療用医薬品の効能・効果に係る疾患を啓発(一般人を対象とするものを含む。)することも含まれること。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)第1の2(2)

定義は「能動的・受動的を問わず」と書き出されています。相手から求められて答えた場合を、定義の外に置いていません。

活動に使う資料と情報の側にも、別に定義があります。こちらは提供方法と媒体を問わないと書かれています。

(3)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動の資材等」とは、販売情報提供活動に使用される資料及び情報をいい、口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わないこと。

同ガイドライン 第1の2(3)

このガイドラインが作られた理由として書かれていること

発出通知の本文は、策定に至った状況として3つの行為を挙げています。証拠が残りにくい行為(口頭説明等)、明確な虚偽誇大とまではいえないものの不適正使用を助長すると考えられる行為、企業側の関与が直ちに判別しにくく広告該当性の判断が難しいもの(研究論文等)の提供です。

ガイドライン本体の第1の1「目的」も、同じ3つを挙げています。そのうえで目的を「販売情報提供活動において行う広告又は広告に類する行為を適正化する」ことと書いています。

広告に当たるかどうかは、この文書が決めているのではない

薬機法上の広告に当たるかどうかを、このガイドラインが定めているわけではありません。広告該当性は顧客誘引性・特定性・一般認知性の3要件で判断されるとされており、その根拠は別の通知にあります(そもそも「広告」とは — 薬機法における広告該当性の3要件)。

広告に当たるかどうかを測る物差しは、その別の通知の側にあります。このガイドラインは、その物差しを作り替えるものではありません。自らの対象にすると書いているのは、広告と「広告に類する行為」の両方です。

このガイドラインは、誰の、どの製品についての活動に適用されるのか

医薬品製造販売業者、その委託先・提携先企業、医薬品卸売販売業者が、医療用医薬品について行う販売情報提供活動です。第1の2(1)が定めています。

適用される人は、医薬情報担当者、メディカル・サイエンス・リエゾンその他の名称や所属部門にかかわらず、これらの事業者が雇用する全ての者等とされています。

適用範囲を定めているのは第1の2(1)です。対象は医療用医薬品についての販売情報提供活動で、行う側として3種類の事業者が挙げられています。

(1)本ガイドラインは、医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・提携先企業(いわゆるコ・プロモーションの相手先企業を含む。)及び医薬品卸売販売業者(以下「医薬品製造販売業者等」という。)が医療用医薬品について行う販売情報提供活動を対象とすること。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)第1の2(1)

誰に適用されるかは(4)が別に定めています。医薬情報担当者、メディカル・サイエンス・リエゾンその他の名称やその所属部門にかかわらず、これらの事業者が雇用する全ての者等が対象です。適用範囲の項が定めているのは、次の5つです。

表1:ガイドライン第1の2「適用範囲等」が定めていること
定めている内容
(1)対象は、医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・提携先企業(いわゆるコ・プロモーションの相手先企業を含む)及び医薬品卸売販売業者が、医療用医薬品について行う販売情報提供活動
(2)「販売情報提供活動」の定義。能動的・受動的を問わず、販売促進を期待して当該医療用医薬品に関する情報を提供すること。効能・効果に係る疾患の啓発(一般人を対象とするものを含む)も含む
(3)「販売情報提供活動の資材等」の定義。口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等を含み、提供方法・媒体を問わない
(4)医薬情報担当者、メディカル・サイエンス・リエゾンその他の名称やその所属部門にかかわらず、医薬品製造販売業者等が雇用する全ての者等に適用
(5)各医薬品製造販売業者等及びその関連団体が、本ガイドラインをベースに自らに適した規約を別途作成し、役員・従業員に遵守させること

出典:同ガイドライン 第1の2(1)〜(5)。(4)の医薬情報担当者は、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第135号)第2条第5項に規定する者とされています。

ガイドラインの適用範囲と、条文の名宛人は別のもの

適用範囲として書かれているのは、医療用医薬品についての販売情報提供活動です。研究用の試薬や、医薬品以外の物について、このガイドラインが適用されるとは書かれていません。

他方、薬機法第66条第1項と第68条の名宛人は「何人も」で、業の種類でも相手方でも限定されていません(規制されるのは誰か — 「何人も」と、代理店・媒体・個人)。ガイドラインが自ら定める適用範囲と、条文の名宛人の範囲は別のものです。供給する側から見た線の引き方は供給者はどこまで言えるかで扱っています。

未承認薬・適応外薬は、第4の3が別に扱っている

未承認薬・適応外薬及び国内では認められていない用法・用量に関する情報提供については、ガイドライン自身が第4の3「未承認薬・適応外薬等に関する情報提供」という項を置き、8つの条件を挙げています。適用範囲を定める第1の2(1)と、第4の3は別の規定です。

第4の3の中身は、本ページの「口頭の説明や、求めに応じた情報提供は、どう扱われると書かれているのか」で扱います。

患者向けの整理は、別の文書に置かれている

逆向きの線も、行政の文書に書かれています。令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号は、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について、広告に当たらないと判断して差し支えない要件を示しました。

そのうえで、その項は「それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)について適用することはできない」と付記しています(第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)。患者向けの整理と事業者間の整理は、別々の文書で別々に置かれています。

第1の2(5)は、事業者側が作る規約について「本ガイドラインの定める事項にとどまらず、更なる自主的な取組に関する事項を含み、かつ、遵守すべき事項を具体化したものであること」と書いています。第4の4は、本ガイドラインのほか、公正競争規約、その他の関連法規、業界団体の自主規範も遵守することを挙げています。

提供する情報の中身について、ガイドラインは何を求めているのか

第1の3(1)が4つの要件を挙げています。承認された範囲内であること、安全性等も提供して情報を恣意的に選択しないこと、根拠を示せること、引用元の明記です。

その前提として、法第68条の2に基づく適正使用のために必要となる情報提供を適切に実施すべきことに留意するよう書かれています。

第1の3「販売情報提供活動の原則」の(1)が、販売情報提供活動は次の要件を全て満たすものであること、と書いています。

  1. 提供する医療用医薬品の効能・効果、用法・用量等の情報は、承認された範囲内のものであること
  2. 医療用医薬品の有効性のみではなく、副作用を含む安全性等の必要な情報についても提供し、提供する情報を恣意的に選択しないこと
  3. 提供する情報は、科学的及び客観的な根拠に基づくものであり、その根拠を示すことができる正確な内容のものであること。その科学的根拠は、元データを含め、第三者による客観的評価及び検証が可能なもの、又は第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの(承認審査に用いられた評価資料や審査報告書を含む。)であること
  4. 販売情報提供活動の資材等に引用される情報は、その引用元が明記されたものであること。また、社外の調査研究について、その調査研究の実施や論文等の作成に関して医薬品製造販売業者等による物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的内容も明記されたものであること

4番目には、続きがあります。社外の調査研究については、臨床研究法(平成29年法律第16号)、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)その他これらに準ずる指針等を遵守したもののみを使用することと書いています。論文や研究成果の扱いは研究成果の発信と広告の境界 — 論文引用・治験情報の扱いで扱っています。

4つの要件の前に置かれている前提

第1の3は、この4つに入る前に前提を1つ置いています。法第68条の2に基づく、医療用医薬品の適正使用のために必要となる情報提供を適切に実施すべきであることに留意すること、という書き方です。かっこ書きで例として挙げられているのは、添付文書に記載された禁忌に関する情報提供と、医薬品リスク管理計画(RMP)に関する情報提供等です。

ここで挙げられている条番号は、ガイドラインが発出された平成30年9月25日時点のものです。同じ番号を現行の条文で引くと、別の見出しの規定に当たります。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

ガイドラインが「法第68条の2」を挙げているので、現在の第68条の2を見ればよい。

現行

ガイドライン発出時の第68条の2は「情報の提供等」だった。この規定は令和元年法律第63号により、2021年8月1日から第68条の2の5へ、2022年12月1日から第68条の2の6へ移り、2027年5月20日からは第68条の2の8になる。空いた第68条の2には、2021年8月1日から「注意事項等情報の公表」が、2027年5月20日からは「医薬品の安全性及び有効性に係る情報収集等に関する計画の作成等」が入る。第68条の2の5には、2022年12月1日から「医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号の容器への表示等」が入る。

根拠:e-Gov 法令検索の各施行版で条見出しを照合。版ID 335AC0000000145_20161216_428AC0000000108(第68条の2=情報の提供等)/同_20210801_501AC0000000063(第68条の2=注意事項等情報の公表、第68条の2の5=情報の提供等)/同_20221201_501AC0000000063(第68条の2の5=医薬品、医療機器又は再生医療等製品を特定するための符号の容器への表示等、第68条の2の6=情報の提供等)/同_20260521_505AC0000000063(第68条の2の6=情報の提供等)/同_20270520_507AC0000000037(第68条の2の8=情報の提供等)。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第68条の2の8 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第68条の2の6 は機構による注意事項等情報の届出の受理になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

してはならない行為と、積極的に行う行為として挙げられているのは何か

第1の3(2)にしないことが7つ、(3)に積極的にすることが3つ。虚偽・誇大な表現の使用や不安を煽ることは(2)、ネガティブな情報の提供は(3)にあります。

第4の1は、定められていないこと(禁じられていないこと)であれば自由に行ってもよい、との誤った認識を持たないようにと書いています。

第1の3(2)は、不適正使用又は誤使用を誘発しないよう、販売情報提供活動において次の行為をしないことと書いています。

  1. 虚偽若しくは誇大な表現又は誤認を誘発させるような表現の使用その他広告規制において禁じられている行為をすること
  2. 承認された効能・効果、用法・用量等以外の使用方法を推奨すること。なお、外国において承認等を得ている場合であっても同様であること
  3. 科学的又は客観的な根拠なく恣意的に、特定の医療用医薬品の処方、使用等に誘引すること
  4. 他社製品を誹謗、中傷すること等により、自社製品を優れたものと訴えること
  5. 疾患の罹患や疾病の症状を過度に強調し、不安を煽ること
  6. 一般人向けの疾患啓発において、医療用医薬品による治療(診断及び予防を含む。以下同じ。)のみを推奨するなど、医療用医薬品による治療以外に治療の手段がないかのように誤認させること
  7. その他医療用医薬品の不適正使用又は誤使用を誘発させるおそれのある表現を行うこと

6番目は、相手が医療関係者ではなく一般人である疾患啓発を名指ししています。第1の2(2)の定義が、疾患の啓発を「一般人を対象とするものを含む」として販売情報提供活動に含めていることと対応しています。

積極的に行うものとして挙げられている3つ

第1の3(3)は、次の行為を積極的にすることと書いています。

  1. 試験研究の結果に加えてその試験方法も示すなど、正確な理解を促すために必要な情報を提供すること
  2. 比較試験では、優越性試験、非劣性試験等の試験の設計及びそれに基づく結果を正確に明示すること。また、優位性を示せなかったことなど、医療用医薬品の品質・有効性・安全性に関し、ネガティブな情報についても提供すること
  3. 厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から要求された事項(副作用の発生率の調査等)に関する情報を提供すること

要点

ネガティブな情報の提供は、してはならない行為の側ではなく、積極的に行う行為の側に置かれています。試験の設計と結果を正確に明示することも同じ側にあります。

書かれていない事項の扱い

ガイドラインは、自らが書いていない事項についても述べています。第4の1「本ガイドラインに明示されていない事項」がそれです。

そこには、「本ガイドラインで定められていないこと(禁じられていないこと)であれば自由に行ってもよいとの誤った認識を持つことなく、医薬品製造販売業者等に求められる本来の責務とは何かという原点を判断の基軸として、自らを厳しく律した上で、販売情報提供活動を行うこと」と書かれています。

口頭の説明や、求めに応じた情報提供は、どう扱われると書かれているのか

口頭による説明も「資材等」に含まれます。第2の6が、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録を作成させ、適切に保管させることを求めています。

求めに応じて未承認薬・適応外薬の情報を提供する場合の条件は、第4の3に8つ挙げられています。

第1の2(3)が「資材等」に口頭による説明を含めているのに対応して、第2の6は記録の作成と保管を求めています。紙の資料を配っていなくても、説明した内容そのものが記録の対象です。

医薬品製造販売業者等の経営陣は、販売情報提供活動の担当部門・担当者に、販売情報提供活動に係る業務を適切に行うために必要な手順書を作成させるとともに、業務記録(販売情報提供活動において口頭で説明等を行った内容の記録を含む。)を作成させ、当該業務記録を適切に保管させること。また、厚生労働省、関係自治体や PMDA から販売情報提供活動に関係する資料の提出を求められた場合には、販売情報提供活動の資材等に加えて手順書や業務記録を提出すること等により、活動状況を速やかに報告させること。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)第2の6

記録のほかに、第2が挙げている体制

第2「医薬品製造販売業者等の責務」は、記録のほかにも体制を挙げています。第2の2が求めているのは、2つの設置です。資材等や販売情報提供活動自体の適切性等をモニタリングする「販売情報提供活動監督部門」を担当部門から独立した形で社内に設けること、および自社からの独立性を有する者が含まれる審査・監督委員会を設けることです。

第2の3は、資材等が使用される前に予め監督部門の審査を受けることを求めています。第2の8は、販売情報提供活動について苦情を受け付ける、外部から認識可能な窓口を設けることを求めています。

委託先・提携先企業と医薬品卸売販売業者については、第4の5・第4の6が、審査・監督委員会の設置等に関する特例を置いています。資材そのものの置かれ方については医療機関へ渡した資料の置かれ方と、資材の管理で扱っています。

求めに応じて未承認薬・適応外薬の情報を提供する場合

第4の3は、未承認薬・適応外薬及び国内では認められていない用法・用量に関する情報提供について医療関係者から求めがあった場合には、第1の3(1)①又は(2)②の規定にかかわらず、当該情報を当該医療関係者に提供することは差し支えないとしています。医療関係者以外の国民、患者やその団体から求めがあった場合も同様と書かれています。

ただし、次の条件を全て満たすこととされています。

  1. 通常の販売情報提供活動とは切り分けること
  2. 情報提供する内容は、要求内容に沿ったものに限定するとともに、情報提供先は要求者に限定すること
  3. 医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと
  4. 提供する情報は、虚偽・誇大な内容であってはならず、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、情報提供にあたっては、要約、省略、強調等を行わないこと
  5. 医薬品製造販売業者等による関与があった試験研究の結果やそれに基づく論文等を提供する場合は、当該試験研究が医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)若しくは臨床研究法(平成29年法律第16号)又はこれらに相当するものにより適切に管理されたものであること
  6. 副作用の危険性が高まることや、臨床試験において有意差を証明できなかったこと等、ネガティブな情報についても適切に提供すること
  7. 情報提供する医療用医薬品の効能・効果、用法・用量等が承認を受けていないことを明確に伝えること
  8. 経緯、提供先、提供内容等、情報提供に関する記録を作成し、保管すること

3番目と8番目は、記録の側から見た条件です。求めがあったという事実そのものと、その経緯・提供先・提供内容を残すことが、条件に置かれています。

医薬関係者向けの資材が一般の人に届く場面を、行政はどう整理してきたか

学会の展示ブース等は「原則として」一般人を対象とする広告活動とは解さないとされ、添付文書の公開は内容が同一で超えない場合に限る整理が示されています。

いずれも留保付きです。展示ブースは医薬関係者向けの情報提供資材であることがわかる工夫が必要とされ、添付文書は公開されている内容を超えない場合に限られています。

この場面を扱った行政の文書が2つあります。学会の展示ブースについての平成30年3月26日 事務連絡と、自社サイトでの添付文書の公開についての平成15年3月28日 医薬監第0328006号です。どちらも、留保を付けたうえでの整理です。

前提になっている規定 — 医薬品等適正広告基準 第4の5

医薬品等適正広告基準 第4の5(1)が対象にしているのは、医師若しくは歯科医師が自ら使用し、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によって使用することを目的として供給される医薬品及び再生医療等製品です。これらについて、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはならないと定めています。

(2)が扱っているのは医療機器です。医師、歯科医師、はり師等医療関係者が自ら使用することを目的として供給される医療機器で、一般人が使用した場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのあるものについても、(1)と同様にするものとすると定めています。ただし、一般人が使用するおそれのないものは除かれます(条文そのものは医薬品等適正広告基準 — 本体(薬生発0929第4号)の構成と、解説通知の位置づけ)。

この「医薬関係者以外の一般人を対象とする広告」が何を指すかは、同日付の解説通知が、除外するものを挙げる形で書いています。

「医薬関係者以外の一般人を対象とする広告」とは、以下のものを除く広告をいう。

①医事又は薬事に関する記事を掲載する医薬関係者向けの新聞又は雑誌による場合

②MRによる説明、ダイレクトメール、若しくは文献及び説明書等の印刷物(カレンダー、ポスター等医薬関係者以外の者の目につくおそれの多いものを除く。)による場合

③主として医薬関係者が参集する学会、後援会、説明会等による場合

④その他主として医薬関係者を対象として行う場合

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)別紙 第4の5<共通>(1)。東京都 医薬品等広告講習会資料 第2章「医薬品等適正広告基準に関する通知集」に収載された全文で確認

学会の展示ブースについて示されていること

患者団体等が学会に参加する場面を取り上げた事務連絡が、平成30年3月26日に発出されています。この事務連絡は「医療用医薬品等」を、医療用医薬品、医療機器及び再生医療等製品を指す語として使っています。

問われたのは、医学薬学関連学会において製薬企業等が設置・運営する展示ブース等での配布です。医薬関係者向けの医療用医薬品等に関する広告資材を主に医薬関係者に配布し、あわせて一般参加者にも配布する行為が、上記の制限にいう一般人を対象とする広告と解するのか、という問いです。

A 学会における展示ブース等は、本来的に医学薬学関係者である学会会員を対象に設置されるものであることに鑑み、原則として、一般人を対象とする広告活動とは解さない。

ただし、その際は、医薬関係者向けの情報提供資材であることがわかる何らかの工夫が必要である。

また、例えば製薬企業等が医学薬学関係者以外の一般人の参加を想定し、患者向けの広告資材を別途作成して配布するなど、一般人を誘因する意図が確認できる際には、一般人を対象とする広告に該当することに留意する必要がある。

学会展示ブース等における医薬関係者向け広告資材の一般参加者への配布について(Q&A)(平成30年3月26日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)。東京都 医薬品等広告講習会資料 第4章「表示・広告関連通知等」に 18 として収載された全文で確認

添付文書を一般の人が見られる場所に置くことについて示されていること

これより前に、添付文書の公開を広告該当性の側から整理した通知があります。平成15年3月28日 医薬監第0328006号で、「総合規制改革会議の『規制改革の推進に関する第2次答申』に関する対処方針について」(平成14年12月17日閣議決定)に基づいて発出されたものです。この通知は薬事法の下で書かれており、記1と記2は次のように書いています。

1 薬事法における医薬品等の広告の該当性については、従前より「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知(以下「通知」という。))により、判断しているところであるが、製薬企業等が自社のホームページ上で医療用医薬品の「添付文書」について、医薬関係者以外の一般人を対象として、情報提供を行うことは、通知中の「1.顧客を誘因する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること」に該当せず、薬事法における広告には当たらないものと判断することとしたので、御了知願いたい。

2 上記1に云う「添付文書」の内容は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構によって「医薬品情報提供ホームページ」上で公開されている「添付文書」の内容と同一であり、かつ、当該内容を超えないものとし、これ以外の場合は、通知中の「1.顧客を誘因する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること」に該当するおそれがあることとする。

医療用医薬品等の情報提供と薬事法における広告との関係について(平成15年3月28日 医薬監第0328006号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記1・記2。東京都 医薬品等広告講習会資料 第4章「表示・広告関連通知等」に 8 として収載された全文で確認

この通知が現在も効力を持つかどうかは、本ページでは確認していません。厚生労働省側の原文URLが取れておらず、廃止・改正の有無も確認できていません。

通知が前提とする「薬事法」は現在の薬機法の旧法令名です。記2が内容の同一性の基準として挙げる「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」と「医薬品情報提供ホームページ」も、いずれも発出当時の組織名と仕組みです。記1が引く平成10年9月29日 医薬監第148号は、広告該当性の3要件を示した通知です(そもそも「広告」とは — 薬機法における広告該当性の3要件)。

2つの文書は、違うところに線を引いている

学会の事務連絡が挙げているのは場の性質です。本来的に学会会員を対象に設置されるものであることを挙げたうえで「原則として」と書き、「ただし」以下に、工夫の必要と、一般人を誘因する意図が確認できる場合を置いています。

添付文書の通知が挙げているのは内容の範囲です。「医薬品情報提供ホームページ」上で公開されている添付文書の内容と同一で、それを超えないことを条件として挙げ、これ以外の場合は顧客誘引性の要件に該当するおそれがあると書いています。

このガイドラインが守られているかは、どのように見られているのか

厚生労働省の委託事業で、モニター医療機関と一般からの報告を集め、事例検討会で評価し、必要に応じて行政指導を行うと報告書に書かれています。

令和7年度のモニター報告は9か月で延べ9件、うち違反が疑われたものは延べ6件でした。

厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課の委託事業として、医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業が行われています。令和7年度の報告書(令和8年3月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)は、この事業が5つで構成されると書いています。モニター調査、モニター医療機関以外からの報告(一般報告)の収集・評価、医療関係者に対する普及・啓発活動、医学専門誌・製薬企業ホームページ等に関する調査、事例検討会の5つです。

事例検討会の評価結果について厚生労働省が法令違反に該当するかどうかの行政上の判断を行い、地方自治体と連携して行政指導を行うという流れが、図で示されています。

報告はどこから集まるか

モニター調査は、全国から選定したモニター医療機関が、入手した広告資材、製薬企業の社員等から受けた販売情報提供活動(院内での製品説明会等を含む)、参加したイベント(講演会や学会のランチョンセミナー)等を対象として行われます。モニター医療機関の所在する地域・特性等は秘匿情報とされています。

一般報告は、令和元年10月に設置された「医療関係者向け医療用医薬品の販売情報提供活動に関する調査窓口」で受け付けられます。

報告された件数

表2:報告が行われた延べ医薬品数と、違反が疑われた延べ医薬品数等(令和7年度・令和6年度)
区分対象期間報告が行われた延べ医薬品数うち違反が疑われた延べ医薬品数左記について違反が疑われた延べ項目数
モニター報告(令和7年度)9か月9件6件11件
モニター報告(令和6年度)9か月18件18件23件
一般報告(令和7年度)12か月14件8件12件
一般報告(令和6年度)12か月16件7件18件

出典:医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月)図表9・図表13。原文では列の名称が異なり、図表9は「モニタリング対象期間」「疑義報告が行われた延べ医薬品数等」、図表13は「対象期間」「一般報告が行われた延べ医薬品数等」です。報告書は、違反が疑われた延べ項目数について、年度ごとに分類上の項目の追加・修正を行っているため単純な比較はできないと注記しています。

令和7年度に違反が疑われた項目で最も多かったのは、「エビデンスのない説明を行った」の4件でした。違反が疑われた延べ11項目の36.4%です。次いで多かったのは「有効性のみを強調した(副作用を含む安全性等の情報提供が不十分な場合も含む)」の2件で、同18.2%でした。

情報の入手方法で最も多かったのは、「製薬企業担当者(直接対面)」の3件でした。違反が疑われた延べ6医薬品の50.0%です。「製薬企業担当者(メール・電話)」と「製薬企業担当者(オンライン・Webグループ面談(院内))」が各1件で、同16.7%でした。

形式だけを整えた活動について、報告書が書いていること

報告書は、ガイドラインを意識した形式をとる活動についても述べています。

オンライン形式の病院向け説明会で、MR による販売情報提供活動後に、カメラオフだった学術担当者がカメラオンにし、医療従事者からの求めに応じた形で説明を行ったという形式をとりつつ、実際には、資料は一連のものとなっているなど、ガイドラインを意識しそれを回避する形式をとった情報提供を行っている事例もみられた

医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社。厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 委託事業)

報告書は、これを「いわば劇場型の販売情報提供活動」と書いています。第4の3は、求めに応じた情報提供の条件として「通常の販売情報提供活動とは切り分けること」と「医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと」を挙げています。

ガイドラインには、その後に発出されたQ&Aがあります。報告書の脚注は、平成31年2月20日に初めてQ&Aが発出され、その後、その2(平成31年3月29日)、その3(令和元年9月6日)、その4(令和6年2月21日)が発出されたと記しています。本文はさらに、令和6年2月21日のその4について、他社製品との比較情報についてもどのような情報提供であれば問題がないかを明確にしたものと書いています。本ページはこれらのQ&Aの原文を確認していないため、内容には立ち入りません。

理解の確認

「販売情報提供活動」の定義が「能動的・受動的を問わず」と書き出され、「資材等」の定義が「その提供方法、媒体を問わない」と続くのはなぜか。

発出通知と第1の1が、策定に至った状況として「証拠が残りにくい行為(口頭説明等)」を挙げているためです。能動性や媒体で線を引くと、求められて口頭で答えた説明が定義から抜け落ち、狙った行為が範囲の外に出てしまいます。そこで第1の2(2)は受動的な提供も定義に含め、(3)は口頭による説明・パソコン上の映像・電磁的に提供されるものを「資材等」に入れています。その帰結として第2の6は、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録の作成と保管を求めています。

根拠:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)第1の1・第1の2(2)(3)・第2の6(法令確認日 2026-09-08)

同じ「医薬関係者向けの情報が一般の人に届く」場面を扱いながら、学会展示ブースの事務連絡(平成30年3月26日)と添付文書公開の通知(平成15年3月28日 医薬監第0328006号)とで、線の引き方が違うのはなぜか。

前者が基準に置いているのは場の性質です。学会の展示ブースは本来的に医学薬学関係者である学会会員を対象に設置されるものだとして「原則として」一般人を対象とする広告活動とは解さず、医薬関係者向けだとわかる工夫の必要と、一般人を誘因する意図が確認できる場合を留保に置いています。後者が基準に置いているのは内容の範囲です。公開されている添付文書の内容と同一でこれを超えない場合に顧客誘引性の要件に該当しないとし、これ以外の場合は同要件に該当するおそれがあるとしています。

根拠:学会展示ブース等における医薬関係者向け広告資材の一般参加者への配布について(Q&A)(平成30年3月26日 事務連絡)/医療用医薬品等の情報提供と薬事法における広告との関係について(平成15年3月28日 医薬監第0328006号)記1・記2(法令確認日 2026-09-08)

ある活動がこのガイドラインの適用範囲に入らないことは、その活動が薬機法の広告規制の外にあることを意味するか。

意味しません。ガイドラインが第1の2(1)で自らの対象としているのは、医薬品製造販売業者・その委託先/提携先企業・医薬品卸売販売業者が医療用医薬品について行う販売情報提供活動という、守る側を限った範囲です。これに対して第66条第1項と第68条の名宛人は「何人も」で、業の種類でも相手方でも限定されていません。広告に当たるかどうかを測るのは顧客誘引性・特定性・一般認知性の3要件(平成10年9月29日 医薬監第148号)であり、ガイドラインはこの物差しを作り替えるものではありません。

根拠:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン 第1の2(1)/薬機法第66条第1項・第68条/薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号)(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて(平成30年9月25日 薬生発0925第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)別添「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aについて(その1=平成31年2月20日/その2=平成31年3月29日/その3=令和元年9月6日/その4=令和6年2月21日)原文URL未確認。本ページは発出日のみを、医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月)脚注2の記載により確認(2026-09-08 確認)
  • 医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社。厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 委託事業)図表9・図表13ほか 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」第4の5(1)(2)厚生労働省(2026-09-08 確認)。本ページが引いた同日付の解説通知「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(薬生監麻発0929第5号)別紙 第4の5<共通>(1)は、この厚生労働省のPDFには含まれていません。解説通知は、東京都 医薬品等広告講習会資料 第2章「医薬品等適正広告基準に関する通知集」に収載された全文で確認しました
  • 学会展示ブース等における医薬関係者向け広告資材の一般参加者への配布について(Q&A)(平成30年3月26日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)厚生労働省側の原文URLは確認できていません。本ページは東京都 医薬品等広告講習会資料 第4章「表示・広告関連通知等」に 18 として収載された全文で確認しました(2026-09-08 確認)
  • 医療用医薬品等の情報提供と薬事法における広告との関係について(平成15年3月28日 医薬監第0328006号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記1・記2。厚生労働省側の原文URLは確認できていません。本ページは東京都 医薬品等広告講習会資料 第4章「表示・広告関連通知等」に 8 として収載された全文で確認しました。廃止・改正の有無は確認できていません(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等広告講習会 資料(冊子の第2章「医薬品等適正広告基準に関する通知集」に平成29年9月29日付 薬生発0929第4号と同日付 薬生監麻発0929第5号が、第4章「表示・広告関連通知等」に 8「医療用医薬品等の情報提供と薬事法における広告との関係について」と 18「学会展示ブース等における医薬関係者向け広告資材の一般参加者への配布について(Q&A)」が収載されている)東京都保健医療局健康安全部薬務課(2026-09-08 確認)。東京都が作成した資料で、全国一律の基準ではありません
  • 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記3(1)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条・第68条の2・第68条の2の6 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)。条番号の沿革は、版ID 335AC0000000145_20161216_428AC0000000108(第68条の2=情報の提供等)、同_20210801_501AC0000000063(第68条の2の5=情報の提供等)、同_20221201_501AC0000000063(第68条の2の6=情報の提供等)、同_20260521_505AC0000000063(第68条の2の6=情報の提供等)の各施行版で条見出しを確認
  • 薬機法 2027年5月20日施行版条文(e-Gov 版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第68条の2・第68条の2の6・第68条の2の8 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)