30秒でわかる要点
- 広告かどうかは、3つの要件で見る:客を呼ぶ意図が明確(顧客誘引性)、商品名が明らか(特定性)、一般人が知り得る(一般認知性)の3つです。すべて満たすと、広告と判断されます(厚生省の通知、1998年9月)。会員専用のログインを求めても、それだけでネット上の表示が広告にあたらないことにはなりません(厚生労働省のQ&A、2014年5月)。
- 決まりは「誰でも」に向いている:第66条第1項と第68条の名宛人(その条文で禁止の対象になる人)は、どちらも「何人も」です。製造販売業(製品を市場に出す仕事)や販売業の許可(その仕事を行うために受ける許可)の有無や、相手が事業者か消費者かでは、限定されていません。
- 見られるのは、表示だけではない:厚生労働省の事務連絡(2024年7月)は、エクソソーム試薬について指導の対象を挙げています。そこには、医療機関に病気の治療などに使えると説明して売る製品も入っています。医薬品と誤認させる製品などへの指導は、そこに挙げた6つの型や、エクソソーム等と称する製品に限られない、ともしています。
1. 薬機法の「広告」にあたるかどうかは、何で決まるのですか?
顧客誘引性・特定性・一般認知性の3つの要件を、すべて満たすかどうかで判断されます。厚生省の通知(1998年9月)が示した枠組みです。
厚生労働省の通知(2026年3月)も、同じ3つの要件をそのまま引いています。
ある説明が薬機法の「広告」にあたるかどうかは、次の3つの要件で判断されています。
- 顧客誘引性:客を呼び込む(買う気を高める)意図がはっきりしていること
- 特定性:特定の医薬品等(薬機法が扱う5つの製品)の商品名が明らかにされていること
- 一般認知性:一般人が知ることのできる状態にあること(「一般人」の意味は5.の節で見ます)
5つの製品とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品です。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品(薬用化粧品など)です。
例
ある会社が、自社の医薬品の商品名を挙げて購入をすすめる説明を、自社サイトに載せたとします。買う気を高める意図が明確で、商品名が明らかで、一般人が知り得る状態なら、3つの要件がそろい、広告と判断され得ます。
この3つの要件は、どこから来たのか
3つの要件を示したのは、当時の厚生省の通知(1998年9月)です。それまでの判断のしかたを、都道府県の衛生の担当部署の長にあてて改めて示したものです。通知は、「いずれの要件も満たす場合」に広告にあたると判断している、と書いています。厚生労働省の通知(2026年3月)もこれをそのまま引き、それぞれに顧客誘引性・特定性・一般認知性という呼び名を付けています。
1998年の通知は背景に、インターネットが広がりつつあることと、個人輸入の手続を仲立ちする輸入代行業者の広告が見られることを挙げています。
厚生労働省の通知(2026年3月)は、要件を欠く場合の例も挙げています。ただし、ここで述べられているのは治験等に関する情報提供についてです。治験は、薬などとして国に認めてもらうために、人で効き目や安全性を確かめる試験です。
通知は、治験薬の名称などに触れず特定性がない場合や、情報を求める人だけに渡していて顧客誘引性がない場合を挙げます。こうした場合など、治験に関する情報提供のすべてが広告にあたるわけではない、としています。
原文の「薬事法」は、薬機法の以前の名前です。
原文で確かめる(平成10年と令和8年の通知)
薬事法における医薬品等の広告の該当性については、かねてより、下記のいずれの要件も満たす場合、これを広告に該当するものと判断しているので、ご了知の上、今後とも薬事法に基づく広告の監視指導について、よろしくご配慮を煩わせたい。
記
顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
一般人が認知できる状態であること
薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号 都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局監視指導課長通知)医薬品医療機器等法上の広告に該当するかについては、「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成10年9月29日付け医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)において示されているとおり、顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること(顧客誘引性)、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること(特定性)、一般人が認知できる状態であること(一般認知性)の3要件により判断されるものである。
治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記1「基本的な考え方」治験薬の名称等について言及がなく特定性がない場合や、情報を求める者のみに対する情報提供であって顧客誘引性がない場合など、治験に係る情報提供のすべてが広告に該当するものではない。
治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記1「基本的な考え方」2. 広告の決まり(第66条第1項・第68条)は、誰に向けられているのですか?
第66条第1項も第68条も、名宛人(禁止の対象になる人)を「何人も」、つまり誰でもとしています。業の許可の有無や相手方の違いでは限定されていません。
第68条が広告を禁じるのは、承認や認証(国などが製品を審査して認めること)をまだ受けていない医薬品などの「名称、製造方法、効能、効果又は性能」です。
第66条第1項は、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する条文です。これらについて、うそ(虚偽)や大げさ(誇大)な記事を広告したり、記述したり、広めたり(流布)することを禁じています。はっきり言うか、ほのめかすかを問いません。
第68条がかかるのは、医薬品・医療機器・再生医療等製品のうち、承認や認証を「まだ受けていないもの」です。その名称・製造方法・効能・効果・性能の広告を禁じています。
原文で確かめる(第68条)
承認は、製品ごとに国が審査して、製造販売を認めることです。認証は、国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めることです。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。
2つの条文は、どちらも「何人も」で始まります。「だれであっても」という意味です。名宛人の書き方には、製造販売業や販売業の許可の有無の区別も、相手が事業者か消費者かの区別も出てきません。
例
化粧品の販売を請け負うA社は、製造販売業の許可を持っていないとします。そのA社が、ある化粧品の効能について、大げさな広告を出したとします。
第66条第1項は「何人も」で始まるので、A社のこの広告も、この条文の対象になり得ます。
同じ条の第2項は、医師などが効能・効果・性能を保証したと誤解されるおそれがある記事を広告したり、記述したり、広めたりすることも、第1項にあたるとしています。第3項は、堕胎をほのめかしたり、わいせつにわたったりする文書や図画を使うことを禁じています。
エクソソーム等と称する製品の承認の状況
この点は、厚生労働省の事務連絡(2024年7月)が次のように書いています。「現時点」は、事務連絡が出た2024年7月31日の時点です。
なお、現時点において、エクソソーム試薬を含め、エクソソーム等と称する製品に、薬機法に基づく承認を受けた医薬品は存在しないことに留意すること。
エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課)記2第68条の条文そのものの読み方は、『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』で扱います。
3. 行政は、供給者のどんな説明や売り方を、指導の対象にしているのですか?
厚生労働省の事務連絡(2024年7月)は、エクソソーム試薬で指導する6つの型を挙げます。製品に付された説明や表現の5つと、使用目的の示し方・売り方の1つです。
医薬品と誤認させる製品などは、この6つにも、エクソソーム等と称する製品にも限らず指導する、ともしています(記2・記3)。
この事務連絡は、厚生労働省医薬局の監視指導・麻薬対策課が出したものです。宛先は、都道府県・保健所を置く市・東京23区(特別区)で、衛生の仕事を受け持つ部署です。本文の「記」の1つ目の項目(記1)に、指導を行う対象として、(1)から(6)までの6つの型(類型)が並んでいます。
なぜ出されたのか
事務連絡は、ヒトの幹細胞(いろいろな細胞のもとになる細胞)の培養上清液(細胞を育てた液の上澄み)と、細胞の分泌物を「エクソソーム等」と呼んでいます。分泌物とは、上清液に含まれる可能性のある細胞外小胞(細胞が外に出す小さな粒)などです。背景に挙げるのは、これを病気の治療や予防に使わない「試薬」と称した製剤(製品の形に仕上げたもの)として、医療機関向けに広告・販売する例が見られることです。
そのうえで、こうした製品のうち、次のものについて指導と取締りの徹底を求めています。
- 医薬品と誤認させるもの
- 医薬品のような効き目(医薬品的効果効能)をうたう(標ぼうする)もの、またはほのめかす(暗示する)もの
指導は、これらを無承認無許可医薬品として、管下(その自治体が受け持つ範囲)の販売業者などに行うものです。無承認無許可医薬品とは、必要な承認や許可を受けずに作られたり売られたりしている医薬品です。
6つの型の分かれ方
6つのうち、(1)から(5)は、製品に付された(書かれた・添えられた)説明や表現に関するものです。(6)は、使用目的がはっきり示されているかどうかと、売り方に関するものです。
6つの全文と、それぞれが何を挙げているかは、『5-1 エクソソーム「試薬」は、どんなときに指導の対象?』で扱います。このページでは、売り方にかかわる(6)(4.の節)と、指導の範囲を広げる記2・記3を見ます。
6つは「これだけ」という一覧ではない
記2は6つの型の外に、記3はエクソソーム等と称する製品の外に、指導の方針を広げています。
- 記2:6つの型に当てはまる場合に限らず、上で見た2種類の製品(医薬品と誤認させるものなど)には、指導を行うこと。
- 記3:この指導の方針は、エクソソーム等と称する製品に限らない。治療等に使うことを目的としていないのに、医薬品と誤認させるものなども同様であること。
事務連絡の前書きも、記の内容は現時点で想定される製品の例を含むもので、今後の状況をふまえて見直すことがある、と断っています。
例
B社は、エクソソーム等とは名乗らない別の製品を、治療には使わない試薬として売っているとします。
それでも、その製品が医薬品と誤認させるものであれば、記3により、同じ指導の方針が及び得ます。
原文で確かめる(記2と記3)
2.上記に該当する場合に限らず、医薬品と誤認させるものや医薬品的効果効能を標ぼうし、又は暗示する製品については指導を行うこと。個別の具体的な事例の対応について判然としない場合には、当課まで相談されたい。なお、現時点において、エクソソーム試薬を含め、エクソソーム等と称する製品に、薬機法に基づく承認を受けた医薬品は存在しないことに留意すること。
エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡)記23.本事務連絡は、特にエクソソーム試薬に対する指導及び取締りの徹底を周知するものであるが、上記の指導の方針については、エクソソーム等を称する製品に限らず、疾病の治療等に用いることを目的としていないにも関わらず、医薬品と誤認させるものや医薬品的効果効能を標ぼうし、又は暗示する製品についても同様であることに留意すること。
エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡)記34. 表示だけでなく「売り方」も見られるのは、どこですか?
記1の(6)です。試薬としての使用目的が示されていないものと、「試薬」と称しながら試薬の用途とは違う方法で売るものを挙げています。
違う売り方の例として、医療機関に治療等に使えると説明して売るものと、治療等に使えるという口コミを載せているものが挙がっています。
3.の節で見たとおり、(1)から(5)は製品に付された説明や表現を、(6)は使用目的の示し方と、売り方を対象にしています。(6)が挙げているのは、次の2つの別々の事柄です。
- 試薬としての使用目的が示されていないなど、「治療等以外の目的で使用するもの」であることが明らかでないもの
- 「試薬」と称しながら、試薬の用途とは違う方法で売るもの
事務連絡は、病気の治療や予防をまとめて「治療等」と呼んでいます。2つ目(試薬の用途とは違う売り方)の例として、事務連絡は次の2つを書いています。
- 医療機関に、病気の治療などの目的のために使えると説明して売るもの
- インターネットのサイトなどに、使った人の口コミとして、病気の治療などの目的で使えるという口コミを載せているもの
製品に書かれた文言だけでなく、口頭での説明と、サイトへの掲載も、並べて挙げられています。
なお、記1の書き出し(柱書き)は、「以下の(1)から(6)までのいずれかに該当する製品については、指導を行うこと」です。指導の対象として挙げられているのは製品です。
例
冒頭の場面で考えます。営業担当が院長の質問に答えて、エクソソーム試薬を、病気の治療に使えると説明して売ったとします。これは(6)が例に挙げる売り方と重なり、その製品は指導の対象になり得ます。
原文で確かめる(記1の(6))
1.エクソソーム試薬のうち以下の(1)から(6)までのいずれかに該当する製品については、指導を行うこと。
(中略)
(6) 以上のほか、試薬としての使用目的が明示されていないなど、「治療等以外の目的で使用するもの」であることが明らかでないものや、試薬と称しながらも次のように試薬の用途とは異なる方法で販売するもの
・ 医療機関に対し、疾病の治療等の目的のために使用できる旨説明して販売するもの
・ インターネットサイト等において、使用者の口コミとして、疾病の治療等の目的で使用できる旨の口コミを掲載しているもの
エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡)記1「研究用」という表示それ自体がどう扱われるかは、『5-2 「研究用」と書けば、薬機法の医薬品にあたらない?』で扱います。
5. 相手を医療機関に限れば、広告にあたらないのですか?
相手を絞っただけでは決まりません。厚生労働省のQ&A(2014年5月)は、ネットでログインを求めても、それだけで一般認知性がなくなるとはいえない、としています。
同じQ&Aは、「一般人」を「広告を行っている者以外の者を指す」としています。
ネット上の表示については、厚生労働省のQ&A(2014年5月)が、会員専用のログインを求める場合を取り上げています。問い(Q3)は、ログインを求めて医薬品等の販売や個人輸入の代行をしている事業者は、広告を行っていると見なしてよいか、というものです。
答え(A3)は、IDやパスワードの設定などでログインを求める場合についてです。そのことをもって、一般人が認知できる状態でなくなるわけではなく、ネット上の表示が広告にあたらないことにもならない、と答えています。
「一般人」とは誰のことか
A3は、かっこ書きで「一般人」の意味も示しています。広告を行っている者以外の者のことです。閲覧する人を会員に絞っても、その会員は、広告を行っている者以外の者にあたります。
例
C社は、医薬品等を売る会社です。医薬品等の資料と注文の画面を、会員登録した医療機関だけがログインして見られるサイトに置いているとします。
A3によれば、ログインを求めていることだけを理由に、このサイトの表示が広告にあたらない、ということにはなりません。広告にあたるかは、3つの要件で判断されることになります。
原文で確かめる(Q3・A3と、よく見かける説明)
Q3.インターネット上で会員専用のログインを求めた上で医薬品等の販売や個人輸入代行行為を行っている場合、当該事業者は医薬品等の広告を行っていると見なしてよいか。
A3.IDやパスワードの設定等により、ログインを求める場合であっても、そのことをもって、一般人(広告を行っている者以外の者を指す。)が認知できる状態ではなくなる等、インターネット上の表示が医薬品等の広告に該当しないということにはならない。
インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)別添 Q3・A3よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
会員専用のログインを求めるサイトは、一般の人の目に触れないので「一般人が認知できる状態」にあたらず、広告にはならない。
現行
IDやパスワードの設定等によりログインを求める場合であっても、そのことをもって一般人が認知できる状態ではなくなる等、インターネット上の表示が広告に該当しないということにはならない。ここでいう「一般人」は、広告を行っている者以外の者を指す。
根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A3。厚生労働省が公開している原文で確認。同A3が述べているのは、インターネット上の表示についてである。
もう1つ、同じQ&AのA2は、トップページに具体的な医薬品名などが出ていない場合を取り上げています。他のページで3要件を満たした広告行為が行われていれば、広告をしていると見なすことができる、としています。判断の単位はページ単位ではない、という書き方です。
このQ&Aが扱っている範囲
このQ&Aが述べているのは、インターネット上の表示についてです。紙の資料や口頭の説明については述べていません。述べていないことは、紙や口頭の説明が広告の決まりの外にある、という意味ではありません。
医療機関に治療等に使えると説明して売るエクソソーム試薬は、4.の節で見たとおり、事務連絡(2024年7月)の記1の(6)が指導の対象に挙げています。
事業者どうしの情報提供のルールとの関係
事業者向けの情報提供については、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(厚生労働省、2018年9月)があります。医療用医薬品は、医師などが使う医薬品や、医師などの処方箋や指示で使われる医薬品です。販売情報提供活動は、販売が増えることを期待して、医療用医薬品の情報を伝える活動です。ガイドラインの第1の2「適用範囲等」は、対象を、医薬品製造販売業者等が医療用医薬品について行う販売情報提供活動と定めています。医薬品製造販売業者等とは、医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・提携先企業、医薬品卸売販売業者のことです。
一方、第66条第1項と第68条の名宛人は「何人も」で、業の種類でも相手方でも限定されていません。ガイドラインの適用範囲は、その文書が自分の宛先として引いた線です。条文の名宛人は、法律が別の場所に引いた線です。この2本の線は、別のものです。
原文で確かめる(ガイドラインの適用範囲)
(1)本ガイドラインは、医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・提携先企業(いわゆるコ・プロモーションの相手先企業を含む。)及び医薬品卸売販売業者(以下「医薬品製造販売業者等」という。)が医療用医薬品について行う販売情報提供活動を対象とすること。
医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の2(1)ガイドラインの内容そのものは、『2-9 事業者間の情報提供は、どこまで広告ですか?』で扱います。
6. 線を越えたとき、法律では何が起きると定められていますか?
措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)と罰則です。罰則は、2年以下の拘禁刑(刑事施設に入る刑)か200万円以下の罰金、またはその両方です。
措置命令は第66条第1項と第68条の違反の両方が対象で、課徴金(違反で得た売上などをもとに国が納めさせるお金)は第66条第1項の違反に限られます。
第66条第1項か第68条に違反した場合について、薬機法は措置命令と罰則を置いています。課徴金もあわせて、まとめると次のとおりです。
- 措置命令(第72条の5第1項):第66条第1項の違反と、第68条の違反の両方
- 罰則(第85条):第66条第1項・第3項の違反、第68条の違反、措置命令への違反
- 課徴金(第75条の5の2第1項):第66条第1項の違反(第68条の違反は入っていない)
措置命令
命令の根拠は第72条の5第1項です。厚生労働大臣か都道府県知事は、違反した者に対して、次のような措置をとるよう命じることができます。
- その行為の中止
- 同じ行為が再び行われるのを防ぐために必要な事項
- これらの実施に関連する公示など、公衆衛生上の危険の発生を防ぐのに足りる措置
命令は、違反行為がすでになくなっている場合でも、条文が挙げる者に対して出すことができます。
この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務運営の改善命令になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。
この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。
例
ある会社が、承認前の医薬品にあたる物について、その効能をうたう広告を出していたとします。第72条の5第1項により、広告の中止などを命じる措置命令の対象になり得ます。
同じ条の第2項は、第66条第1項か第68条に違反する広告を、かっこ書きで「次条において「特定違法広告」という。」と定めています。それがウェブサイトなどの特定電気通信で送信されているとき、厚生労働大臣か都道府県知事は、送信を防ぐ措置を要請できます。相手は、他人の通信を仲立ちする事業者など(特定電気通信役務提供者)です。「次条」の第72条の6(損害賠償責任の制限)は、要請を受けて措置をとったその事業者の賠償責任を定めています。
罰則
第85条が定める刑は、2年以下の拘禁刑(刑務所などの刑事施設に入る刑)か200万円以下の罰金です。両方を科すこと(併科)もできます。
原文で確かめる(第85条)
課徴金
課徴金の根拠は第75条の5の2第1項です。この条は、「第六十六条第一項の規定に違反する行為」を課徴金対象行為と定めています。
例
D社の化粧品の広告が、誇大な広告として第66条第1項に違反するとされた場合を考えます。この場合、措置命令や罰則の定めに加えて、課徴金の対象にもなり得ます。
課徴金の額は、課徴金対象期間に取引をした対価の額の合計額に、100分の4.5を掛けた額です。計算した額が225万円未満のときは、納付を命じることができません(第75条の5の2第1項・第4項)。
同じ条の第3項は、課徴金の納付を命じないことができる場合として、2つを挙げています。1つは、第72条の4第1項か第72条の5第1項の命令をする場合です(保健衛生上の危害の発生や拡大に与える影響が軽微だと認められる場合に限ります)。もう1つは、第75条第1項か第75条の2第1項の処分をする場合です。
理解の確認
医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインの対象に入らない供給者でも、第66条第1項・第68条の名宛人には入るのは、なぜですか?
線を引いた場所が別だからです。ガイドラインは第1の2(1)で、自分の対象を、医薬品製造販売業者等が医療用医薬品について行う販売情報提供活動と定めています。これは、その文書が自分の宛先として引いた線です。一方、第66条第1項と第68条の主語は、どちらも「何人も」です。業の許可の有無でも、相手が事業者か消費者かでも、限定されていません。そのため、ガイドラインの適用範囲の外にいることは、条文の名宛人の外にいることを意味しません。
根拠:薬機法第66条第1項・第68条/医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の2(1)(法令確認日 2026-09-08)
会員専用のログインを求めれば見る人が限られるので、一般認知性を欠く。この説明は、厚生労働省のQ&A(2014年5月)のA3と、どこが食い違いますか?
A3は、ログインを求めても、そのことをもって一般人が認知できる状態でなくなるなどとして、ネット上の表示が広告にあたらないことにはならない、としています。ここでいう「一般人」は、広告を行っている者以外の者です。閲覧する人を会員に絞っても、会員はこれにあたります。同じQ&AのA2も、トップページに医薬品名などが無くても、他のページで3要件を満たす広告行為があれば広告と見なし得るとしています。判断の単位はページ単位ではありません。ただし、このQ&Aが述べているのはインターネット上の表示で、紙の資料や口頭の説明には触れていません。
根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)別添 A2・A3/薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号)記(法令確認日 2026-09-08)
製品に付ける表示の文言さえ整えれば、事務連絡(2024年7月)の指導の対象にはならない。この理解は、事務連絡のどこと食い違いますか?
記1の(6)と、記2・記3です。記1の(1)から(5)は、製品に付された説明や表現を対象にしています。これに対して(6)は、試薬の用途とは違う売り方として、2つを挙げています。医療機関に治療等の目的で使えると説明して売るものと、サイトなどに、治療等の目的で使えるという使用者の口コミを載せているものです。口頭の説明とサイトの掲載が、製品の文言と並べて置かれています。さらに記2は「上記に該当する場合に限らず」指導を行うとし、記3は、この方針がエクソソーム等と称する製品に限られないとしています。6つの型は、閉じた一覧ではありません。
根拠:エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課)記1(6)・記2・記3(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 2-3 承認前の
医薬品・ 承認が必要な海外の医療機器を、日本で扱おうとしている会社があるとします。医療機器などは、 広告できますか? — 薬機法第68条 - 5-1 エクソソーム
「試薬」は、 あるクリニックに、「試薬」と書かれたエクソソーム(細胞が外に出す小さな粒の一種)製品の案内が届いたとします。どんな ときに 指導の 対象? — 2024年7月の 事務連絡と 6類型 - 5-2 「研究用」と
書けば、 あるクリニックの事務長が、届いたカタログを見ています。薬機法の 医薬品に あたらない? — 表示だけでは 決まらない 理由 - 2-9 事業者間の
情報提供は、 クリニックに製薬会社の担当者が来て、新しい薬を口頭で説明していく。どこまで 広告ですか? — 販売情報提供活動 ガイドラインが 及ぶ範囲
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条・第72条の5・第72条の6・第75条の5の2・第85条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号 厚生省医薬安全局監視指導課長通知)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
- 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長通知)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
- インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)厚生労働省(2026-09-08 確認)