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承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか? — 薬機法第68条

承認が必要な海外の医療機器を、日本で扱おうとしている会社があるとします。国の承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)を受ける前に、製品名や性能を自社サイトで紹介してよいのでしょうか。紹介が広告にあたる場合、薬機法第68条がこれを禁じています。対象は、医薬品・医療機器・再生医療等製品(人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品など)です。認証(国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めること)をまだ受けていないものも対象です。このページでは、禁止の範囲、第66条第1項との違い、ネット上を含む広告の考え方、違反への措置と罰則、2027年の条番号の変更を説明します。

30秒でわかる要点

  • 承認・認証の前の医薬品・医療機器などの広告は、だれがしても禁止:承認や認証をまだ受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品について、名称・製造方法・効能・効果・性能を広告することを禁じています。名宛人(禁止の対象になる人)は「何人も」で、製造販売業者(製品を市場に出すための許可を受けた業者)や販売業者に限られません。
  • 承認・認証の前なら、中身が正確でも禁止にかかる:虚偽・誇大な広告を禁じる第66条第1項は、記事(広告に書かれている内容)の中身を見ます。第68条は、記事の中身を問いません。承認・認証を受けていない段階だ、という一点で禁止がかかります。
  • 広告かは3つの条件で判断、違反には命令と罰則:広告にあたるかは、国の通知(国の役所が、法律の運用のしかたを示す文書)が示す3つの条件(3要件)で判断されます。買いたい気持ちを高める意図が明確(顧客誘引性)、商品名が明らか(特定性)、一般の人が知ることのできる状態(一般認知性)の3つです。厚生労働省のQ&Aは、ネットでログインを求めても、それだけで広告にあたらなくなるわけではない、としています。違反には、措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令。第72条の5第1項、2027年5月20日から第72条の6)と刑事罰(第85条)の定めがあります。

1. 第68条は、何を禁じているのですか?

承認や認証をまだ受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品の、名称・製造方法・効能・効果・性能の広告を禁じています。

名宛人(禁止の対象になる人)は「何人も」で、製造販売業者(製品を市場に出すための許可を受けた業者)や販売業者に限られません。

第68条は、承認や認証を受けることが前提になっている品目についての決まりです。その承認や認証を、まだ受けていない段階で広告することを禁じています。

対象の品目は3つで、禁止がかかる事項は5つに限られます。条文の言葉では「名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告」です。

「何人も」は、だれであっても禁止の対象になる、という意味です。

例

冒頭の場面で考えます。A社は、承認が必要な医療機器を海外から取り寄せて扱う準備をしていますが、まだ承認を受けていません。A社が自社サイトで、この機器の名称と性能を紹介すると、第68条の禁止の対象になり得ます。

広告にあたるかは、3.の節の3つの条件で判断されます。

条文が挙げる品目と「まだ受けていない」承認・認証

条文は、対象の品目や承認・認証を、ほかの条文の番号を引いて細かく指定しています。まだ受けていないものとして挙がっているのは、6つの承認と1つの認証です。

承認には、外国で製造される品目についての承認も入っています。認証は、国に登録された機関(登録認証機関)が行います。

条文が引いている条番号を確かめる

品目の範囲は、条文では「第14条第1項、第23条の2の5第1項若しくは第23条の2の23第1項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品」です。引かれている3か条の見出しは、次のとおりです。

  • 第14条 — 医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認
  • 第23条の2の5 — 医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売の承認
  • 第23条の2の23 — 指定高度管理医療機器等の製造販売の認証

「まだ受けていない」ものとして条文が名指ししている承認・認証は、次のとおりです。

  • 第14条第1項(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)
  • 第19条の2第1項(外国製造医薬品等の製造販売の承認)
  • 第23条の2の5第1項(医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売の承認)
  • 第23条の2の17第1項(外国製造医療機器等の製造販売の承認)
  • 第23条の25第1項(再生医療等製品の製造販売の承認)
  • 第23条の37第1項(外国製造再生医療等製品の製造販売の承認)
  • 第23条の2の23第1項(指定高度管理医療機器等の製造販売の認証。登録認証機関が行う)

2. 虚偽・誇大広告の禁止(第66条第1項)とは、何が違うのですか?

第66条第1項は、記事が虚偽(うそ)か誇大(大げさ)であることが要件(禁止がかかる条件)です。第68条の要件は、品目が承認・認証の前であることです。

条文が挙げる品目の範囲も違い、第66条第1項は5つの区分、第68条は3つの区分を挙げています。

第68条は、記事の中身を問いません。そのため、書いてあることが正確でも、承認・認証を受けていない段階で名称・製造方法・効能・効果・性能を広告すれば、第68条の禁止にかかります。

例

A社が、承認前の医療機器について、試験で得られた数値を正確に書いた広告を出す場面で考えます。書いてある数値が正確でも、承認・認証を受けていない段階の広告であることで、第68条の禁止にかかり得ます。

表1の読み方

表1は、2つの条文の書き方を、項目ごとに並べたものです。要件の違いが出ているのは、4行目の「記事についての要件」です。

2行目の品目を見ると、医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)と化粧品は、第68条には挙がっていません(第66条第1項には入っています)。名宛人と対象の事項は、2つの条文で同じです。

表1:第66条第1項と第68条の、条文上の書き分け
比べる点第66条第1項第68条
名宛人何人も何人も
条文が挙げる品目医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品医薬品、医療機器、再生医療等製品(まだ承認又は認証を受けていないもの)
対象となる事項名称、製造方法、効能、効果又は性能名称、製造方法、効能、効果又は性能
記事についての要件虚偽又は誇大な記事であること。明示的か暗示的かを問わない条文に定めなし(承認又は認証を受けていない品目についての広告であること)
禁止される行為広告し、記述し、又は流布すること広告をすること
措置命令の根拠第72条の5第1項第72条の5第1項

薬機法(昭和35年法律第145号)第66条第1項、第68条および第72条の5第1項の条文による(法令確認日 2026-09-08)。条文の文言を並べたもので、行政の判断を示すものではありません。

薬機法で広告について定める条文は、第66条から第68条までの3つです。厚生労働省の通知(2017年9月)も、この3つを、行政が広告を見て指導する監視指導の根拠として挙げています。第66条第1項の条文と罰則は、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』で扱います。

第66条と第68条の間には、第67条があります。対象は、政令で定めるがんその他の特殊疾病に使うことが目的とされている医薬品や再生医療等製品です。ただし、医師または歯科医師の指導の下で使わなければ、危害が生じるおそれが特に大きいものに限られます。

第67条は、これらについて厚生労働省令で品目を指定し、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告の方法を制限するなどの措置を定めることができる、としています。第66条・第68条とは別の規定です。

3. どういうときに「広告」にあたるのですか?

国の通知は、広告にあたるかを3つの条件(3要件)で判断するとしています。3つとも満たすものは、第68条の広告にあたり得る、としています。

3つの条件は、顧客誘引性(買いたい気持ちを高める意図が明確)、特定性(商品名が明らか)、一般認知性(一般の人が知ることのできる状態)です。

3要件は、条文ではなく、国の通知(国の役所が、法律の運用のしかたを示す文書)に書かれています。通知が示す3つの条件は、次のとおりです。太字のあとが通知の言葉です。わかりにくいものには、意味を添えています。

  • 顧客誘引性:顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。買いたい気持ちを高める意図が、はっきりしていることです。
  • 特定性:特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。どの商品のことか、商品名からわかることです。
  • 一般認知性:一般人が認知できる状態であること。一般の人が、見たり聞いたりして知ることのできる状態です。

「医薬品等」は、薬機法が扱う5つの製品(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)をまとめた呼び方です。

3要件は、どの通知にあるのか

3要件のもとになったのは、厚生省の通知(1998年9月)です。この通知は、広告の監視指導を、当時の法律(今の薬機法)の第66条から第68条までにもとづいて行っていると述べています。

そのうえで3つの要件を挙げ、「下記のいずれの要件も満たす場合、これを広告に該当するものと判断している」としています。

今の通知も、この3要件をそのまま引いています。厚生労働省の通知(2026年3月)は、治験(承認に向けて人で確かめる試験)に係る情報提供について、第68条を名指しして、次の2点を書いています。

  • 3要件を満たせば、治験に係る情報提供も、第68条が禁じる未承認医薬品等(国の承認をまだ受けていない医薬品など)の広告にあたり得る。
  • 一方で、治験に係る情報提供のすべてが、広告にあたるわけではない。

例

同じ通知は、治験に係る情報提供について、3要件のどれかが欠ける例を2つ挙げています。1つは、治験薬の名称などに触れておらず、特定性がない場合です。もう1つは、情報を求める人だけに向けた情報提供で、顧客誘引性がない場合です。

原文で確かめる(2026年3月の通知と、廃止された通知)

医薬品医療機器等法上の広告に該当するかについては、「薬事法における医薬品等の広告の該当性について」(平成 10 年9月 29 日付け医薬監第 148 号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)において示されているとおり、顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること(顧客誘引性)、特定医薬品等の商品名が明らかにされていること(特定性)、一般人が認知できる状態であること(一般認知性)の3要件により判断されるものである。治験に係る情報提供についても上記の広告該当性の3要件を満たす場合は、医薬品医療機器等法第 68 条で禁止される未承認医薬品等の広告に該当することになりえるが、一方で、治験薬の名称等について言及がなく特定性がない場合や、情報を求める者のみに対する情報提供であって顧客誘引性がない場合など、治験に係る情報提供のすべてが広告に該当するものではない。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の1「基本的な考え方」

治験の情報提供について、2023年1月の通知を根拠に挙げる説明を見かけることがあります。この通知は、2026年3月の通知が出たことに伴い、廃止されています。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

治験に係る情報提供の広告該当性は、「治験に係る情報提供の取扱いについて」(令和5年1月24日 薬生監麻発0124第1号)による。

現行

令和5年通知は廃止された。現行は「治験等に係る情報提供の取扱いについて」(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)。

令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号の本文に「なお、本通知の発出に伴い、令和5年通知は廃止します。」と記載(2026-09-08 確認)。

通知が分けている2つの場面

2026年3月の通知は、治験などに係る情報提供を2つの場面に分けています。「参加者募集のための情報提供」と「それ以外の情報提供」です。

まず、参加者募集のための情報提供です。通知は、通知が挙げる4つの要件を満たすものについて、目的が参加者募集であり、治験薬等の顧客を誘う目的ではないことが明らかだとしています。そのため顧客誘引性が認められず、媒体によらず、その治験薬等の広告にはあたらない、としています。

次に、参加者募集以外の情報提供です。こちらについて通知は、顧客誘引性がないことが明らかではなく、未承認医薬品等の広告にあたる可能性がある、としています。

通知が挙げる要件を確かめる(治験の情報提供に関わる人向け)

参加者募集のための情報提供について、通知が挙げる4つの要件は、次のとおりです。

  1. 対象となる試験の範囲。医薬品・医療機器・再生医療等製品の治験と製造販売後臨床試験(承認を受けたあとに行う臨床試験)であること。または、未承認か適応外(承認された使い方の範囲の外)のものを使う特定臨床研究(臨床研究法にもとづく臨床研究の一種)であること。これらは「臨床研究等提出・公開システム」(jRCT:臨床研究などの計画を登録して公開する、国のデータベース)に登録されている必要がある。
  2. 情報提供する内容の範囲。その試験の同意説明文書(参加する人に内容を説明し、同意を得るための文書)に書かれている内容までとし、参加者募集のための情報提供であることをはっきり示すこと。
  3. 情報提供が可能な期間。その試験の実施期間中。治験の場合は、治験届(治験を始める前に国に出す届出)の提出日以降とする。
  4. 留意事項の記載。治験が試験段階のもので研究を伴うこと、治験薬の有効性と安全性は検証されたものではないことなど、一般的な説明を、わかりやすく見やすい場所に書くこと。

参加者募集以外の情報提供について、通知は、広告にあたらないと判断して差し支えない場合の要件を、4つの項目で示しています。提供方法、対象となる試験の範囲、個別ページで情報提供する内容の範囲、留意事項の記載です。

この項には、なお書き(「なお」で始まる補足)が付いています。この項は、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものだ、という内容です。それ以外の情報提供には、適用することはできない、としています。例として挙がっているのは、医療関係者に対する販売情報提供活動(製薬会社などが、販売を促すために医薬品の情報を伝える活動)などです。

4. ネット上の表示について、行政はどう答えていますか?

厚生労働省のQ&A(2014年5月)が、5つの場面に答えています。たとえば、ログインを求めるだけでは、広告にあたらなくなるわけではない、としています。

広告の基準(医薬品等適正広告基準)は、ウェブサイトやSNSを含む、すべての媒体の広告を対象にしています。

ネット上の表示も、広告の決まりの外にはありません。厚生労働省の広告の基準(医薬品等適正広告基準)は、厚生労働省の通知「医薬品等適正広告基準の改正について」(2017年9月)の別紙です。この基準は、対象の媒体を次のように定めています。

この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。

医薬品等適正広告基準 第2(対象となる広告)/医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙

個別の場面については、厚生労働省の質疑応答集(2014年5月。以下、Q&A)が、5つの問いに答えています。Q&Aの本文は、法律の題名が今の名前に改められる前の題名で書かれています。ただし、引いている条番号は第68条で、今と同じです。

5つの場面と、Q&Aの答え

  • サイト内検索(Q1):買いたい人がサイトで検索しないと、具体的な医薬品名などが出ない場合です。能動的に広告しているとはみなせず、買いたい気持ちを高める意図が明確とは考えられないため、原則として広告にあたるとはいえない、という答えです。ただし例外があります(下の2つ目の例)。
  • トップページ(Q2):トップページに具体的な医薬品名などが無くても、ほかのページで3要件を満たす広告行為をしている場合です。その事業者は広告していると見なすことができる、という答えです。
  • ログイン(Q3):IDやパスワードの設定などで、ログインを求める場合です。そのことをもって、一般の人が知ることのできない状態になるなど、ネット上の表示が広告にあたらないことにはならない、という答えです。
  • 同意のページ(Q4):国内未承認薬の広告が法令違反である旨を表示し、購入者が了解しないと医薬品名などのページへ進めない場合です。進んだ先に具体的な医薬品などが出れば、広告にあたり、第68条違反で指導の対象となる、という答えです。
  • 紹介サイト(Q5):販売サイトや個人輸入代行(海外の薬などを、個人に代わって取り寄せる業)のサイトを、紹介・誘導するサイトです。個別具体的に判断される、という答えです。そのうえで、紹介サイトがリンク先で販売や輸入代行をする事業者と同じ場合や、同じとみなせる場合などには、広告にあたる可能性があるとしています。

例

Q4の場面を思い浮かべてみます。あるサイトの入口に、国内未承認薬の広告は法令違反だという表示と、了解のボタンがあります。ボタンを押した人だけが、医薬品名の出るページへ進めます。

Q&Aの答えは、上のQ4のとおりです。この場面のように了解の一段をはさんでも、一般認知性(一般の人が知ることのできる状態)を失わせる事情としては扱われていません。

例

Q1の例外です。ある販売サイトで、検索した言葉に合う医薬品が無く、その情報が出なかったとします。それでも、ほかの医薬品の購入などに誘う情報があわせて出て、誘う先の医薬品の情報が出る場合は、その表示は広告にあたる、とQ&Aは答えています。

Q&Aを示した通知は、個別の事例が広告にあたるか疑問が生じたときは、厚生労働省の監視指導・麻薬対策課に照会(問い合わせ)するよう、都道府県などに求めています。これは行政機関どうしの手順です。事業者の相談先は、所管の都道府県の薬務主管課です。

原文で確かめる(Q4)

Q&Aを示した通知の題名は「インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について」です。5問のうち、第68条を名指しで扱っているのがQ4です。

Q4.国内未承認薬の広告行為が薬事法違反である旨をインターネット上に表示し、購入者がその旨を了解した上でなければ具体的な医薬品名等が表示されているページに進めない場合において、進んだ先に具体的な医薬品等が表示される場合、薬事法第 68 条違反で指導の対象となるか。

A4.医薬品等の広告に該当し、薬事法第 68 条違反で指導の対象となる。

インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)別添 Q4・A4

5. 違反があったとき、行政は何ができるのですか?

措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)と、ネットの場を提供する事業者への送信防止の要請ができます(第72条の5第1項・第2項)。罰則は第85条です。

課徴金(違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金)の納付命令(第75条の5の2第1項)が対象とするのは、第66条第1項に違反する行為です。

措置命令

第66条第1項または第68条に違反した者に対しては、厚生労働大臣または都道府県知事が、措置命令を出すことができます。命じる内容は、次のとおりです。

  • 違反行為の中止
  • 同じ行為が再び行われないようにするために必要な事項
  • これらの実施に関連する公示(広く知らせること)その他の措置

違反行為がすでになくなっている場合でも、条文が挙げる相手には命令ができます。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置を命ずる規定(現行の第72条の4。見出しは「改善命令等」)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

同項の各号は、命令の相手を挙げています。違反行為をした者のほか、次の者です。

  • 合併のあとに残った法人(会社など)や、合併で新しくできた法人
  • 法人の分割で、違反行為に関わる事業の全部または一部を引き継いだ法人
  • 違反行為に関わる事業の全部または一部を譲り受けた者
条文の言葉で確かめる
  • 合併後存続し若しくは合併により設立された法人
  • 分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
  • 当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者

例

承認前の医療機器について、第68条に違反する広告をしていたA社が、その広告をすでにやめているとします。その後、A社が別の会社に合併された場面では、合併後に存続する会社も、措置命令の相手になり得ます。

ネット上の違反広告に対する要請

同条第2項は、ネット上の違反広告について、送信そのものを止める手当てを定めています。対象は、第66条第1項または第68条に違反する広告の、特定電気通信による送信です。条文は、こうした広告を「特定違法広告」と呼んでいます。

この送信があるとき、厚生労働大臣または都道府県知事は、特定電気通信役務提供者に対して、送信を防止する措置をとるよう要請することができます。

ウェブサイトやSNSでの発信と、その場を提供する事業者を思い浮かべると、わかりやすいでしょう。ただし正確な意味は、別の法律の定義によります。引かれているのは、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)の第2条第1号・第4号です。

第72条の6は、この要請を受けて、特定電気通信役務提供者が送信を防止する措置をとった場合等についての決まりです。その措置が、不特定の者への送信を防止するために必要な限度で行われたものなら、その事業者は、発信者に生じた損害の賠償の責任を負わない、としています。

罰則

第85条は、同条の各号のどれかにあたる者を罰する決まりです。刑は、2年以下の拘禁刑(刑務所などに収容する刑)か200万円以下の罰金で、両方を科すこと(併科)もあります。

対象には、第68条に違反したことそのものと、措置命令に違反したことの両方が挙がっています。第68条の規定に違反した者は第5号、第72条の5第1項の規定による命令に違反した者は第6号です。

罰は、行為をした人だけにとどまりません。第90条第2号は、法人の代表者や、法人または人(個人の事業主など)の代理人・使用人その他の従業者が、その業務に関して第85条の違反行為をしたときを定めています。

この場合、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、各本条(ここでは第85条)の罰金刑が科されます。こうした決まりを、両罰規定といいます。

例

A社の社員が、会社の業務として、承認前の医療機器の広告を出した場面で考えます。社員本人が第85条の対象になり得るほか、第90条第2号により、A社にも罰金刑が科され得ます。

課徴金

措置命令の根拠(第72条の5第1項)は、第66条第1項と第68条に共通です。では、課徴金の条文はどうでしょうか。

第75条の5の2第1項は、第66条第1項の規定に違反する行為を「課徴金対象行為」と定めています。そのうえで、課徴金の納付を命じなければならない、と定めています。額は、課徴金対象期間(課徴金の額を計算する対象になる期間)に取引をした医薬品等の対価の合計額に、百分の四・五(4.5%)をかけた額です。

この条文が挙げているのは、第66条第1項です。

公表されている措置命令

第68条の違反にも出せる措置命令が、実際に出された例を1つ紹介します。厚生労働省は、2025年11月7日の報道発表資料で、第72条の5第1項の規定にもとづく措置命令を行ったことを公表しています。家庭用医療機器の広告に関するものです。

発表によれば、認証を受けた使用目的または効能だけでなく、他の病気にも効果があるかのような、虚偽または誇大な広告を行っていたことが確認されました。発表の別紙は、法令違反の具体的な内容を、第66条第1項違反と書いています。

6. 条番号は、これから変わるのですか?

第68条の本文と条番号は変わりません。措置命令の第72条の5は、2027年5月20日から第72条の6に繰り下がり、空いた第72条の5には別の規定が入ります。

第85条が第72条の5を引いている箇所も、同じ日から第72条の6に改まります。

第68条は動きません。本文も条番号も、2025年の法改正のどの施行日(法律の決まりが効力を持ち始める日)でも変わりません。

動くのは、その周りの第72条のまとまりです。2027年5月20日から条番号が1つずつ繰り下がり、あわせて2つの規定が新しく設けられます。

直感的なポイント

本棚の途中に本を1冊差し込むと、その先の本の背番号が、すべて1つずつ押し出されます。条番号の繰り下げも、これと同じ形です。

表2の読み方

左の列が規定の中身、右の2列が2026年9月8日現在の番号と、2027年5月20日からの番号です。「違反広告に係る措置命令等」の行を右へたどると、第72条の5が第72条の6になることがわかります。

表2:2027年5月20日を境にした条番号の対応
規定の内容2026年9月8日現在2027年5月20日から
承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止第68条第68条(変更なし)
医薬品の製造販売業者の報告義務違反等に対する是正命令等(規定なし)第72条の4(新設)
業務の運営の改善に必要な措置の命令第72条の4第72条の5
違反広告に係る措置命令等第72条の5第72条の6
損害賠償責任の制限第72条の6第72条の7
薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令(規定なし)第72条の8(新設)

e-Gov 法令検索の2026年5月21日施行版(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)と2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)の本則を条単位で照合(2026-09-08 確認)。

罰則の側も、同じ日に引用が改まります。第85条は「第七十二条の六第一項の規定による命令に違反したとき」と読み替わります。

例

2027年5月20日より後に、ある資料が「第72条の5」とだけ書いていたとします。その日以降の条文で第72条の5を開くと、出てくるのは違反広告に係る措置命令ではありません。業務の運営の改善に必要な措置の命令です。

理解の確認

第66条第1項にあたるかは記事の中身を見て決まるのに、第68条が記事の中身を問わないのはなぜですか?

2つの条文で、要件(禁止がかかるための条件)の立て方が違うからです。第66条第1項は、記事が虚偽または誇大であることを要件にしています。第68条は、品目が承認・認証を受けているかという段階だけで線を引いています。そのため、書いてあることが正確でも、承認・認証を受けていない段階で名称・製造方法・効能・効果・性能を広告すれば、第68条の禁止にかかります。対象の事項がこの5つに限られる点と、名宛人が「何人も」である点は、2つの条文に共通です。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第66条第1項・第68条(法令確認日 2026-09-08)

治験に係る情報提供のすべてが第68条の広告にあたるわけではない、とされています。3要件のどれが欠けるからですか?

広告にあたるのは、顧客誘引性・特定性・一般認知性のいずれの要件も満たす場合です。そのため、1つでも欠ければ広告にはあたりません。通知が例に挙げているのは2つです。治験薬の名称などに触れておらず特定性がない場合と、情報を求める人だけに向けた情報提供で顧客誘引性がない場合です。参加者募集のための情報提供(通知が挙げる要件を満たすもの)が、媒体によらず広告にあたらないとされるのも、同じ考え方によります。目的が参加者募集で、治験薬等の顧客を誘う目的ではないことが明らかなので、顧客誘引性が認められない、という整理です。

根拠:治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の1「基本的な考え方」。3要件の原典は平成10年9月29日 医薬監第148号(2026-09-08 確認)

「IDやパスワードでログインを求めるサイトなら一般人が認知できる状態ではない」という説明は、行政の質疑応答集のどこと食い違いますか?

質疑応答集のQ3・A3と食い違います。A3は、ログインを求める場合であっても、そのことをもって一般人が認知できる状態ではなくなるなど、ネット上の表示が広告にあたらないことにはならない、としています。Q4・A4が扱うのは、未承認薬の広告が法令違反である旨を表示し、購入者が了解しなければ医薬品名などのページへ進めない場合です。A4は、これを広告にあたり、第68条違反で指導の対象となるとしています。ログイン(Q3)や了解の一段(Q4)のように、閲覧の前に一段はさむことは、一般認知性を失わせる事情としては扱われていません。

根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)別添 Q3・A3、Q4・A4(2026-09-08 確認)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第67条・第68条・第72条の5・第72条の6・第75条の5の2・第85条・第90条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版条文(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037。令和7年法律第37号による条番号繰下げ後) e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号 厚生省医薬安全局監視指導課長通知)。厚生労働省の恒久URLは未特定のため、リンクを付していません(2026-09-08 確認)
  • 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長通知) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品医療機器等法に基づく行政処分を行いました(2025年11月7日 厚生労働省 報道発表資料および同発表の別紙PDF。第72条の5第1項に基づく措置命令。法令違反の具体的な内容として第66条第1項違反と記載されているのは別紙) 厚生労働省(2026-09-08 確認)