30秒でわかる要点
- 通知が見ているのは、事業者の名乗りではなく、貨物を引き取る効果が誰に帰属するか。第1の2は「輸入者」を、実質的にみて本邦に引き取る貨物の処分権を有している者、すなわち実質的に輸入の効果が帰属する者と定義しています。第2の2の柱書は、輸入代行業と称していても実態として輸入行為を行っている場合は輸入販売業の許可の取得が必要だとしています。
- 代行業者である旨の広告は規制しない。無承認医薬品の広告は違法。第4の1は、商品名の一部を伏せ字にする、文字をぼかす、写真や画像イメージのみを表示するといった場合でも、金額を示すなど顧客誘因性が認められ、当該商品の認知度や付随する写真・説明書きから特定医薬品であることが認知できるときは、広告に該当するものとして取り扱うとしています。
- 通知の用語は2002年当時のもので、現行の薬機法の条文に「輸入販売業」の語はない。輸入は第2条第13項の「製造販売」の定義に含まれ、業として行うには第12条第1項の許可が要ります。承認前の広告の禁止は第68条で、名宛人は「何人も」です。
個人輸入そのものは、法令のどこに置かれているのか
承認・認証を受けず、又は届出をしないで医薬品を輸入しようとする者に、薬機法第56条の2第1項が厚生労働大臣の確認を求めています。
同条は、医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品にも準用されています(第60条・第62条・第64条・第65条の4)。
個人輸入そのものを扱っているのは、薬機法第56条の2です。承認若しくは認証を受けず、又は届出をしないで医薬品を輸入しようとする者は、厚生労働大臣の確認を受けなければならない、と第1項が定めています。
同条第2項は確認をしない場合を、第3項は確認を受けることを要しない場合を定めています。第2項第1号が挙げているのは、「個人的使用に供せられ、かつ、売買の対象とならないと認められる程度の数量を超える数量の医薬品の輸入をする場合その他の申請者が販売又は授与の目的で輸入するおそれがある場合として厚生労働省令で定める場合」です。
申請書の記載事項・添付書類と、確認を受けることを要しない場合の細目は、厚生労働省令に置かれています。輸入の確認の手続と、医薬品以外の区分への準用は海外製品を扱うとき — 紹介・仲介はどう評価されるかで扱います。
この条文が置かれたのは、通知よりも後
第56条の2は、令和元年法律第63号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年12月4日公布)による改正で置かれ、2020年9月1日に施行されました。同改正の施行前の版の本則に、第56条の2はありません。
つまり、2002年に発出された次節以降の通知は、この条文に触れていません。通知が書いているのは、当時の許可の名称と、無承認医薬品の広告の2つです。
通知が対象にしているのも、輸入そのものではなく、輸入の手続に介在する事業者です。広告該当性の3要件を示した平成10年9月29日 医薬監第148号も、発出の背景としてこの介在に触れています。
医薬品等の広告に係る監視指導については、薬事法第66条から第68条までの規定に基づき実施しているところであるが、近年、新聞、雑誌、テレビ等の従来の広告媒体に加えインターネットが普及しつつあり、情報伝達経路の多様化、国際化が進捗している。また、医薬品等がいわゆる「個人輸入」により国内に輸入され、その輸入手続きに介在する輸入代行業者の広告の中にも医薬品等について取り扱われている状況が散見される。
薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長通知)本文。法律名は発出当時の表記個人輸入代行業について、行政はどの文書で何を示したのか
平成14年8月28日 医薬発第0828014号「個人輸入代行業の指導・取締り等について」です。厚生労働省医薬局長から各都道府県知事あてに発出されました。
記は、第1 定義、第2 無許可輸入に該当する事例等、第3 輸入代行業者への指導等、第4 無承認医薬品の広告の4つに分かれています。
「記」の見出しは「無許可輸入の具体例等について」で、その下に第1から第4までが置かれています。第1が定義、第2が無許可輸入に該当する事例等、第3が輸入代行業者への指導等、第4が無承認医薬品の広告です。
文書の名宛人は各都道府県知事で、末尾は「指導・取締りを行われたい」という求めの形になっています。発出の理由は、冒頭に書かれています。
近年、国民の健康意識の高まりやインターネットの普及等に伴い、国内で承認されていない医薬品(以下「無承認医薬品」という。)を国民が自ら海外より輸入し(以下「個人輸入」という。)、使用する事例が増加しているが、その際、個人輸入代行業者に輸入手続きの代行を委託するものがみられる。
先般の個人輸入したダイエット用健康食品等によると疑われる健康被害事例において、これらの個人輸入代行業者が、実際には無承認医薬品の輸入や無承認医薬品の広告を行うなど薬事法(昭和35年法律第145号)に違反する行為を行っている事例がみられることから、今般、医薬品の無許可輸入に該当する事例等を明確化し、指導取締りの参考としたので、今後は、下記に従い、貴管下関係業者に対して、遺漏のないよう指導・取締りを行われたい。
また、近年の健康被害事例の発生を踏まえ、厚生労働省としては安易な個人輸入に対して注意喚起を行ってきているところであるので、都道府県においても必要な周知・啓発を図られたい。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号、厚生労働省医薬局長)本文。法律名は発出当時の表記第3が求めている指導の内容
輸入代行業者が、過去に輸入者から代行手続きの委託を受け輸入代行行為を行った医薬品等について、海外等において当該医薬品等に関する危害が発生している等の情報に接した場合にあっては、消費者に対し当該情報を伝えるなど健康被害の発生防止に努めることを指導されたい。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第3冒頭は、都道府県に対して周知・啓発も求めています。厚生労働省が個人輸入について注意喚起を行っているページ(あやしいヤクブツ連絡ネット)には、「実際に、個人輸入した未承認医薬品による健康被害や、個人輸入した医薬品が偽造品であったという事例があります。」「個人輸入した医薬品等により起こった健康被害は、多くの場合、自己責任となります。」という記載があります。
この通知が現行かどうか
手元の資料では、この通知が後の通知によって廃止または改正されたかどうかを確認できていません。全文は、東京都が公開している医薬品等広告関係通知集(医薬品等広告講習会資料 第4章 表示・広告関連通知等)の6に収載されており、本ページの引用はこれによります。
通知を発出日と番号で特定し、後の文書に引かれているか、廃止されていないかを確かめる手順は法令・通知の読み方 — 一次資料へ自分で辿り着くで扱います。
通知は「輸入」と「輸入者」をどう定義しているか
輸入は外国から積み出された貨物を本邦の領土内に引き取ること、輸入者は実質的に輸入の効果が帰属する者と定義されています。
この2つの定義が、続く第2の類型を分ける軸になっています。
第1に3つの定義が置かれています。輸入は貨物の動きで、輸入者は効果の帰属で書かれています。
第1 定義
1 輸入
「輸入」とは、外国から積み出された貨物を本邦の領土内に引き取ることをいう。
2 輸入者
「輸入者」とは、実質的にみて本邦に引き取る貨物の処分権を有している者、すなわち実質的に輸入の効果が帰属する者をいう。
3 輸入販売業者
「輸入販売業者」とは、業として、医薬品等を輸入する者をいう。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第12つ目の定義は、貨物の処分権と、輸入の効果が誰に帰属するかで書かれています。第2の1は、この定義を代行業者の業務の範囲に当てはめています。
輸入代行業者の行う業務の範囲については、一般に、輸入者の要請に基づき個別商品の輸入に関する役務(手続き)を請け負うものであり、商品の受け取り等の輸入の効果が帰属する場合は、輸入販売業の許可の取得が必要なものであること。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第2の1(業務の範囲)続く第2の2の柱書は、事業者の名乗りではなく実態を見ると書いたうえで、類型化の趣旨を示しています。
輸入代行業と称している場合であっても、外国の業者から医薬品を輸入し、顧客に販売する行為を行うなど実態として輸入行為を行っている場合は輸入販売業の許可の取得が必要であるので、必要な指導取締り等適切な措置を行われたい。なお、現在までに輸入代行業と称するもののうち、その事業の形態により薬事法違反行為と考えられるものについて以下のとおり類型化したので、取締り等に当たり参考とされたい。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第2の2(輸入代行業者の行う違反事例等の態様)柱書。法律名は発出当時の表記要点
通知が分岐に使っているのは、事業者の名乗りではなく、貨物を引き取る効果が誰に帰属するかです。「輸入販売業者」という語も、通知の中では「業として、医薬品等を輸入する者」という定義で使われています。
通知は代行業者の態様をどのように類型化したか
第2の2に「違反事例等の態様」として2つ、第2の3に違反事例とならない態様として1つを挙げ、それぞれ別紙に図を付しています。
別紙3のあとに、参考として代行業者が介在しない個人輸入の図も置かれています。
3つの態様は、分岐が2回ある道筋として書かれています。1回目の分岐は、商品のリストを不特定多数に示して輸入の希望を募る①があるかどうか。2回目は、商品が代行業者の手を経て消費者に渡るか、外国の販売業者から消費者へ直接届くかです。
第2の2は(1)輸入行為(別紙1参照)と(2)能動的手続代行行為(別紙2参照)を挙げ、第2の3は「違反事例とならない輸入代行業者の行う態様」として受動的手続代行行為(別紙3参照)を挙げます。3つとも、消費者・代行業者・外国の業者の間の①②③…という手順の並びとして書かれています。
| 通知の類型 | 通知が書いている手順 | 通知が付している注記 |
|---|---|---|
| (1) 輸入行為(別紙1) | ①輸入代行業者は、無承認医薬品である商品のリストを不特定多数の者に示し、その輸入の希望を募る〈注1〉/②消費者は、輸入代行業者の提示するリスト中の特定の商品の輸入手続きを依頼する/③消費者は、輸入代行業者の手数料が上乗せされた価格を支払う/④輸入代行業者は、予め注文を見込んで個人使用目的として輸入していた商品を消費者に渡すか、又は消費者の依頼に応じて自らの資金で商品を輸入し、消費者に渡す〈注2〉 | ①に注1(広告該当性)、④に注2(輸入販売業の許可)。原文は表の下に引用 |
| (2) 能動的手続代行行為(別紙2) | ①〜③は(1)と同じ〈①に注1〉/④輸入代行業者は、預かった代金等をとりまとめ、送付先等リスト(消費者の氏名、現住所等)とともに、外国の販売業者に送付する/⑤外国の販売業者は、消費者に対し、直接商品を送付する〈注2〉 | ①に注1(広告該当性)。⑤の注2は「消費者=輸入者」 |
| (3) 受動的手続代行行為(別紙3) | ①消費者は、輸入代行業者に希望する商品の輸入を依頼する/②消費者は、輸入代行業者の手数料が上乗せされた価格を支払う/③輸入代行業者は、預かった代金等をとりまとめ、送付先等リスト(消費者の氏名、現住所等)とともに、外国の販売業者に送付する/④外国の販売業者は、消費者に対し、直接商品を送付する〈注1〉 | ④の注1は「消費者=輸入者」。第2の3の見出しは「違反事例とならない輸入代行業者の行う態様」 |
手順の文言は通知の原文によります。〈 〉は、原文で各手順に付されている注の位置を示すために本文で補ったものです。
(1)と(2)には「不特定多数の者に示し、その輸入の希望を募る」という起点があり、(3)にはありません。(1)は④で輸入代行業者が商品を消費者に渡す形で、通知は注2で許可の取得が必要としています。(2)と(3)は外国の販売業者が消費者に直接送付する形で、通知は「消費者=輸入者」と注記しています。
(1)と(2)に付されている注1と、(1)の注2は、次のとおりです。
注1) 商品リストが無承認医薬品の広告に該当する場合、薬事法違反となる。なお、商品名が伏せ字などであっても、当該商品の認知度、付随している写真等から総合的にみて広告に該当すると考えられる場合は、薬事法違反となる。
注2) 輸入販売業の許可が必要となるため、許可なく行えば薬事法違反となる。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第2の2(1)の注1・注2。同じ注1は(2)にも付されている。法律名は発出当時の表記第2の3の柱書は、(3)を「輸入代行業者は、消費者の要請に基づき個別商品の発注、支払い等の輸入に関する手続を請け負うものであり、商品の受け取り等の輸入の効果が消費者に帰属する場合。」と書いています。
通知がこの3つを示したのは、冒頭が書くとおり「医薬品の無許可輸入に該当する事例等を明確化し、指導取締りの参考とした」ためです。個別の事業がどの態様にあたるかは、この記載だけでは決まりません。
別紙3のあとに、参考として「代行業者不在型の個人輸入」の図が置かれています。消費者が①注文、②代金の支払いを外国の業者に対して行い、③商品が送付されるという3手順だけの図で、代行業者は現れません。
代行業者の表示は、広告としてどう扱われるとされているか
通知は、代行業者である旨の広告は規制しないとしたうえで、無承認医薬品の広告を行うことは違法であるとし、第4に監視指導の留意点を置いています。
第4の1は、伏せ字・ぼかし・画像のみの表示についての取扱いを書いています。
通知が分けているのは、事業そのものを知らせる表示と、承認を受けていない医薬品についての表示です。前者は規制するものではないとしたうえで、後者は違法だとしています。第2の2の柱書の末尾に、次の一文があります。
また、薬事法上、輸入代行業者が、輸入代行業者である旨の広告を行うことを規制するものではないが、この様な場合においても、無承認医薬品の広告を行うことは違法であることについて、十分に周知指導されたい。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第2の2 柱書。法律名は発出当時の表記後者について、通知は第4に独立した節を置いています。
第4 無承認医薬品の広告
輸入代行業者によるインターネット等を利用した無承認医薬品の広告については、安易な個人輸入を助長する行為によって健康被害のおそれが危惧されるとともに、薬事法上違法な行為であることから、以下に留意の上、厳正な監視指導を図られたい。
1 医薬品の広告該当性
医薬品の広告に該当するかについては、かねてより、①顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること②特定医薬品等の商品名が明らかにされていること③一般人が認知できる状態にあることに基づき判断してきているが、輸入代行業者のホームページ上等におけるいわゆる無承認医薬品の商品名等の表示については、名称の一部を伏せ字とした場合や文字をぼかす、写真や画像イメージのみを表示するなどの場合であっても、金額を示すなど商品に対する顧客誘因性が認められる場合などであって、当該商品の認知度、付随している写真及び説明書き等から特定医薬品であることが認知できる場合は、広告に該当するものとして取り扱うこと。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第4の柱書・第4の1。法律名は発出当時の表記。原文の「顧客誘因性」は原文どおりここで引かれている①②③は、平成10年9月29日 医薬監第148号が示した3つの要件です。禁止の条文は第68条で、名宛人は「何人も」です。
第68条の内容そのものは第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止、名宛人の広がりは規制されるのは誰か — 「何人も」と、代理店・媒体・個人で扱います。
3つの要件の内容と、インターネット上の表示について平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号が示したQ1からQ5まではそもそも「広告」とは — 薬機法における広告該当性の3要件にあります。同Q&AのQ1とQ3は「個人輸入代行行為を行っている場合」を、Q5は「個人輸入代行を行うサイトを紹介・誘導しているサイト」を、それぞれ問いの中で名指ししています。紹介・誘導するサイトについてのA5は海外製品を扱うとき — 紹介・仲介はどう評価されるかで扱っています。
第4の2が指している基準
第4の2は、医薬品にあたるかどうかの判断基準がどこにあるかを指しています。
2 医薬品の範囲
薬事法第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かについては、昭和46年6月1日薬発第476号厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の監視指導について」の中の「医薬品の範囲に関する基準」として、具体的な判断のための基準が示されているところであること。
個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第4の2。法律名・表題は発出当時の表記ここで引かれている昭和46年6月1日 薬発第476号の表題は、令和2年3月31日 薬生発0331第33号の本文では「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」と書かれています。同通知の別紙が「医薬品の範囲に関する基準」で、その内容は食薬区分 — 医薬品と判断される4つの要素と、判定を要しない3類型で扱います。
通知の用語は、現行の法令とどう対応するのか
通知は発出当時の題名と用語で書かれています。現行の薬機法の条文に「輸入販売業」の語は置かれていません。
輸入は第2条第13項の「製造販売」の定義に含まれ、第12条第1項の許可の対象になります。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
医薬品を業として輸入するには「輸入販売業の許可」が要る。広告の禁止は「薬事法第68条」。
平成14年8月28日 医薬発第0828014号は、第1の3で「輸入販売業者」を定義し、第2の1・第2の2で「輸入販売業の許可の取得が必要」と書き、第4で「薬事法上違法な行為」と書いています。
現行
現行の薬機法の条文に「輸入販売業」の語は置かれていません。輸入は第2条第13項の「製造販売」の定義に含まれ、業として製造販売をするには第12条第1項の許可を受けた者でなければなりません。条番号の第68条は、現在も第68条です。
根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第2条第13項・第12条第1項・第68条。参照した版は版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21。e-Gov 法令検索の本則の全文に「輸入販売業」の語が現れないことを確認(2026-09-08)。通知側の用語は平成14年8月28日 医薬発第0828014号 第1の3・第2の1・第2の2・第4
現行の薬機法で輸入を受け止めているのは、「製造販売」の定義です。
第12条第1項は、医薬品・医薬部外品・化粧品の種類に応じた許可を受けた者でなければ、業としてその製造販売をしてはならないと定めています。製造そのものは、第13条第1項の製造業の許可にかかります。
第24条第1項は、薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならないと定めたうえで、ただし書を置いています。許可・承認・認証・届出がそれぞれどこに置かれているかは承認・認証・届出・許可の地図 — どの手続がどこに載っているかにあります。
法律の題名も変わっている
通知の本文は発出当時の題名で書かれています。現在の題名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。題名を改めたのは平成25年法律第84号で、法令番号は昭和35年法律第145号のまま変わっていません。
古い記述と現行の対応は古い理解の一覧 — 現行の条文と食い違う記述を更新する、改正の施行日の並びは改正の時間軸 — 施行日別に変わった条文を追うで扱います。
令和7年法律第37号による2027年5月20日施行の改正後の版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)でも、第68条と第56条の2の条文は現行と同じ文言です。条番号から解説を引くときは条文索引 — 条番号から解説ページを引くを使えます。
通知が挙げている無許可の輸入と無承認医薬品の広告は、現行ではどの条文に置かれているのか
業として製造販売をするための許可は第12条第1項に、承認前の広告の禁止は第68条に置かれ、罰則は第84条第2号と第85条第5号です。
どのルートが動くかを決めるのは行政で、通知は都道府県知事あてに指導・取締りを求める形式の文書です。
現行の薬機法では、業として製造販売をするための許可は第12条第1項に、承認前の広告の禁止は第68条に置かれています。第十八章の各条は、違反した条文の番号で対象を書いています。
通知が「違反となる」と書いているのは2つです。第2の2の注1が無承認医薬品の広告を、注2が輸入販売業の許可を受けずに輸入することを挙げています。ただし「輸入販売業」は発出当時の許可の名称で、現行の条文には置かれていません(前節)。次の表は、現行の薬機法の側だけを並べたものです。
| 違反したとされる条文 | 罰則の条文 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 第12条第1項(製造販売業の許可) | 第84条第2号 | 3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又は併科 |
| 第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) | 第85条第5号 | 2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、又は併科 |
第84条第2号は「第十二条第一項の規定に違反したとき。」、第85条第5号は「第六十八条の規定に違反した者」と書かれています。法定刑は各条の柱書によります。参照した版は版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21。
罰則は、行政が動かすルートの一部です。第十三章 監督には、立入検査、廃棄・回収命令、業務の停止・許可の取消し、違反広告に係る措置命令のほか、第75条の5の2以下の課徴金が置かれています。
6つのルートの全体は薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルート、措置命令は第72条の5 措置命令 — 中止・再発防止・公示で扱います。課徴金は薬機法の課徴金 — 第75条の5の2が定める計算と手続、罰則の条文の全体は薬機法の刑事罰 — 第十八章の法定刑と、法人に科される両罰規定にあります。
通知そのものは、都道府県知事あてに「貴管下関係業者に対して、遺漏のないよう指導・取締りを行われたい」と求める文書です。行政指導の定義と任意性は行政指導 — 定義と任意性、書面の交付、中止の求めは、どの条文にあるか、違反が見つかる端緒は違反はどう見つかるか — 4系統の端緒で扱います。
第84条と第85条は、令和7年法律第37号により2027年5月20日に改正されます。表2に挙げた第84条第2号・第85条第5号の号番号は、2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)でも同じです。
理解の確認
「輸入代行業者と名乗っていれば許可は要らない」という説明は、通知の考え方のどこと食い違うか。
通知が見ているのは名乗りではなく、輸入の効果が誰に帰属するかです。第1の2は「輸入者」を、実質的にみて本邦に引き取る貨物の処分権を有している者、すなわち実質的に輸入の効果が帰属する者と定義しています。第2の2の柱書も、輸入代行業と称している場合であっても実態として輸入行為を行っているときは許可の取得が必要だとしています。類型(1)輸入行為で許可が要るとされるのは、商品が代行業者の手を経て消費者に渡り、効果が代行業者に帰属する形だからです。
根拠:個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第1の2・第2の1・第2の2 柱書・第2の2(1)注2
通知が、輸入代行業者である旨の広告は規制しないとしながら、同じ文で無承認医薬品の広告は違法だとしているのは、両者の何が違うからか。
禁止の対象が事業の種類ではなく、品目だからです。第68条は「何人も」を名宛人として、承認を受けていない医薬品等について、その名称・製造方法・効能・効果又は性能に関する広告をしてはならないと定めています。代行という事業を知らせる表示はこの対象に触れませんが、表示が無承認医薬品の名称等に及べば同条の対象になります。第4の1は、名称を伏せ字にする・文字をぼかす・画像のみを示す場合であっても、金額を示すなど顧客誘因性が認められ、商品の認知度や付随する写真・説明書きから特定医薬品であることが認知できるときは広告として取り扱うとしています。
根拠:薬機法第68条(法令確認日 2026-09-08)/個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第2の2 柱書・第4の1
現行の薬機法の条文に「輸入販売業」という語が置かれていないのに、業として医薬品を輸入して販売するには許可が要るのはなぜか。
輸入が「製造販売」の定義の中に入っているからです。第2条第13項は「製造販売」を、その製造をし、又は輸入をした医薬品等をそれぞれ販売し、貸与し、若しくは授与することと定義しています。したがって輸入して売る行為は製造販売にあたり、第12条第1項により、種類に応じた許可を受けた者でなければ業として製造販売をすることができません。通知の「輸入販売業の許可」は2002年当時の名称であり、許可が無くなったのではなく、現行では別の名前の枠に収められています。
根拠:薬機法第2条第13項・第12条第1項(法令確認日 2026-09-08、版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)/個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号)第1の3・第2の1
次に読む
- 1-9 輸入するとき何が要るか — 輸入の確認(薬監証明)と業許可 輸入には、品目ごとの承認・認証・届出とは別に、輸入という場面そのものを対象とする条文があります。
- 2-3 第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止 まだ承認又は認証を受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品について、名称・製造方法・効能・効果・性能の広告をしてはならない。
- 5-7 海外製品を扱うとき — 紹介・仲介はどう評価されるか 海外の製品を扱う場面では、「輸入」と「広告」という別々の条文が同時に働きます。
- 6-1 薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルート 「薬機法に違反すると2年以下の罰則」は、用意されている効果のうち刑事罰だけを取り出した説明です。
- 個人輸入代行業の指導・取締り等について(平成14年8月28日 医薬発第0828014号、厚生労働省医薬局長から各都道府県知事あて)第1〜第4および別紙1〜3。本文は東京都が公開する医薬品等広告関係通知集(医薬品等広告講習会資料 第4章 表示・広告関連通知等)の6により確認 東京都保健医療局(2026-09-08 確認)
- 東京都 医薬品等広告講習会資料(医薬品等広告関係通知集 第4章 表示・広告関連通知等)東京都保健医療局(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第13項・第12条第1項・第13条第1項・第24条第1項・第56条の2・第60条・第62条・第64条・第65条の4・第68条・第84条・第85条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。参照した版は版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号。令和元年12月4日公布)による改正後・2020年9月1日施行の薬機法。第56条の2(輸入の確認)はこの版から本則に現れる e-Gov 法令検索(薬機法 2020年9月1日施行版)(2026-09-08 確認。版ID 335AC0000000145_20200901_501AC0000000063。改正法そのものの条文ページではありません)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 2027年5月20日施行版(令和7年法律第37号による改正後・未施行)第56条の2・第68条・第84条・第85条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)
- 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長通知。表題・法律名は発出当時の表記)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
- インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)Q1・Q3・Q5 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- リスクが潜む個人輸入/医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(あやしいヤクブツ連絡ネット)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品の範囲に関する基準の一部改正について(令和2年3月31日 薬生発0331第33号。別紙は昭和46年6月1日 薬発第476号「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号。法律の題名の改正を含む)。e-Gov 法令検索には同改正法そのものの条文ページが無いため、リンク先は改正後の薬機法の条文ページです e-Gov 法令検索(薬機法)(2026-09-08 確認)