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薬機法の課徴金 — 第75条の5の2が定める計算と手続

薬機法の課徴金は、第66条第1項に違反する行為について、対価合計額に4.5%を乗じて計算されます。その基礎になる「対価合計額」の出し方は条文になく、令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号が、売上高を基準とする算定の方法と控除項目を示しています。このページは、対価合計額の算定、自主報告の方法、命令の手続と納期限といった細目を、条文と通知の原文で確認します。制度全体のどこに課徴金が置かれているかは、別のページで扱います。

30秒でわかる要点

  • 課徴金の対象は、第66条第1項に違反する行為だけです。額は対価合計額に4.5%を乗じた額で、その額が225万円未満のときは納付を命ずることができません(第75条の5の2第1項・第4項)。
  • 計算の基礎になる「対価合計額」の出し方は、条文にありません。令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号が、売上高(消費税相当額を含む)を基準に、値引き・返品・割戻金を控除して算定すると示しています。
  • 減額は2つです。景品表示法の命令等があるときは対価合計額の3%(第75条の5の3)、事実を厚生労働大臣に報告したときは計算した額の50%(第75条の5の4)。報告の提出先は厚生労働省のみで、都道府県に出しても報告としては認められません。

課徴金の対象になる違反行為は、条文でどこまでに限られているのか

第66条第1項に違反する行為です。第66条第3項の違反行為と第68条の違反行為は、第75条の5の2第1項に挙げられていません。

条文はこの行為を「課徴金対象行為」、行為をした者を「課徴金対象行為者」と定義しています。

課徴金の対象になるのは、第66条第1項に違反する行為だけです。第75条の5の2第1項は、対象になる行為を「第六十六条第一項の規定に違反する行為」と書き、これを「課徴金対象行為」、行為をした者を「課徴金対象行為者」と定義しています。第66条第1項が何を禁じているかは第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止で扱います。

第66条第2項は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布すること」を、前項に該当するものとすると定めています。

条文に挙げられていない違反行為

第66条第3項の違反行為と、第68条の違反行為は、第75条の5の2第1項に挙げられていません。第66条第3項は堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書若しくは図画を用いることの禁止、第68条は承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止です。

第68条の違反行為が挙げられているのは、措置命令の側です。根拠は第72条の5第1項(2027年5月20日から第72条の6第1項)にあります。

この第72条の5という条番号は、2027年5月20日に動きます。違反広告に係る措置命令等が第72条の6へ移り、空いた第72条の5には現行の第72条の4と同じ内容の規定が入ります。繰下げの中身は、下の「課徴金が、ほかの命令・処分や景品表示法の課徴金と重なるときは、どう調整されるのか」で扱います。

このページが扱う範囲

ここから先で扱うのは、額の計算の基礎になる「対価合計額」の算定、自主報告の方法、命令の手続といった細目です。薬機法に用意されている命令・処分・罰則の全体の中で課徴金がどこに置かれているかと、率・下限・減額の一覧は薬機法に違反するとどうなるかで扱っているため、ここでは繰り返しません。

課徴金の額は、どの条文をどの順に適用して計算されるのか

対価合計額に4.5%を乗じた額が第75条の5の2第1項の額です。第75条の5の3が3%、第75条の5の4が50%の減額を定めています。

1万円未満の端数の切捨ては第75条の5の5第2項に置かれています。

条文は、計算の各段を別々の条に置いています。率は第75条の5の2第1項、景品表示法との調整による控除は第75条の5の3、報告による控除は第75条の5の4、端数の処理は第75条の5の5第2項です。

計算は階段状で、前の段で出た額が次の段の基準になります。第75条の5の4は「第七十五条の五の二第一項又は前条の場合において」と書き始め、減額の基準を「同項又は同条の規定により計算した課徴金の額」としています。第75条の5の3が働く場合には、その控除を経た額が基準になります。

  1. 対価合計額を出す

    課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額を合計します(第75条の5の2第1項)。算定の方法は令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号にあります。

  2. 4.5%を乗じる

    対価合計額に百分の四・五を乗じて得た額に相当する額が、第75条の5の2第1項による課徴金の額です。

  3. 景品表示法の命令等があるときは、対価合計額の3%を控除する

    同じ課徴金対象行為について景品表示法第8条第1項の規定による命令があるとき、又は同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされるときは、対価合計額に百分の三を乗じて得た額を減額します(第75条の5の3)。

  4. 報告があるときは、計算した額の50%を控除する

    課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告したときは、第75条の5の2第1項又は第75条の5の3の規定により計算した課徴金の額に百分の五十を乗じて得た額を減額します(第75条の5の4本文)。

  5. 1万円未満の端数を切り捨てる

    第75条の5の5第2項は、第75条の5の2第1項、第75条の5の3又は第75条の5の4の規定により計算した課徴金の額に1万円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てると定めています。

225万円の下限は、条文でどう書かれているか

第75条の5の2第4項は「第一項の規定により計算した課徴金の額が二百二十五万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない」と書いています。第4項が挙げている規定は、同条第1項です。

要点

率・下限・2つの減額・端数処理は、それぞれ別の条項に置かれています。どの規定により計算した額を基準にするかも、条項ごとに書き分けられています。

表1:薬機法と景品表示法で、課徴金について条文が置いている数値
項目薬機法景品表示法
算定率対価合計額の百分の四・五(第75条の5の2第1項)売上額の百分の三(第8条第1項)。基準日から遡り10年以内に確定した課徴金納付命令を受けたことがあり、かつ、その命令の日以後において課徴金対象行為をしていた者は百分の四・五(第8条第5項)
命じない・命ずることができない下限第1項の規定により計算した額が225万円未満(第75条の5の2第4項)その額が150万円未満(第8条第1項ただし書)
報告による減額百分の五十。調査があったことにより命令があるべきことを予知してされた報告を除く(第75条の5の4)百分の五十。同じただし書がある(第9条)
認識に関する除外第75条の5の2第1項から第4項までに、これに相当する定めは置かれていない課徴金対象行為をした期間を通じて表示が各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき(第8条第1項ただし書)
命ずることができなくなる期間課徴金対象行為をやめた日から5年(第75条の5の5第7項)課徴金対象行為をやめた日から5年(第12条第7項)

両法の条文の文言を並べたもので、ある行為にどちらが適用されるかを示す表ではありません。数値は各法の現行の規定です(法令確認日 2026-09-08)。

計算の基礎になる「対価合計額」は、何を足し、何を引いた額なのか

通知は対価合計額を売上高(消費税相当額を含む)とし、総対価額から値引き・返品・割戻金を控除して算定するとしています。

令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号が、その算定の方法を示しています。

通知は、対価合計額を売上高としています。条文は「対価合計額」という器の名前を第75条の5の2第1項の括弧書きに置いただけで、中身の出し方は書いていません。それを埋めているのが、令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号です。

この通知は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)の一部が令和3年8月1日に施行されて課徴金納付命令が規定されることに伴い、算定の方法を示したものです。都道府県・保健所設置市・特別区の薬務主管部(局)長あてに発出されています。

課徴金額算定の根拠となる、(中略)第75条の5の2第1項に規定する、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為(以下「課徴金対象行為」という。)に係る医薬品等の対価の額(以下「対価額」という。)の合計額(以下「対価合計額」という。)は、売上高(事業活動から生ずる収益から費用を差し引く前の額(消費税相当額を含む。)をいう。)とする。

課徴金納付命令に係る対価合計額の算定の方法について(令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長)第1

算定の手順は第2に置かれています。同通知の第2は「課徴金算定の基礎となる対価合計額は、『1 総対価額の算定方法』のとおり算定した総対価額から、『2 総対価額からの控除項目』の控除項目の合計額を控除して算定する」と書いています。総対価額の出し方が第2の1、控除項目が第2の2です。

総対価額を、どちらの基準で出すか

通知は、総対価額を原則として引渡基準で算定するとしています。課徴金対象期間において引き渡した(医療機器プログラムの場合は電気通信回線を通じて提供することを含む)課徴金対象行為に係る医薬品等の対価を合計する方法です。

契約基準によるのは、対価がその契約の締結の際に定められる場合において、課徴金対象期間に引き渡した額の合計額と、同期間に締結した契約により定められた額の合計額との間に著しい差異を生ずる事情があると認められるときです。どちらを用いるかの見方も、通知が書いています。

なお、契約基準を用いるか否かについては、実際に両方の方法で額を計算し、その額に著しい差異が生じたか否かによってではなく、そのような著しい差異が生じる蓋然性が類型的又は定性的に認められるか否かによって判断する。

同通知 第2の1(2)

総対価額から控除する項目

表2:引渡基準で算定する場合に、総対価額から控除する項目
場面控除する額根拠
課徴金対象期間において医薬品等の量目不足、品質不良又は破損、役務の不足又は不良その他の事由により対価の額の全部又は一部を控除した場合控除した額同通知 第2の2(1)ア
課徴金対象期間において医薬品等が返品された場合返品された医薬品等の対価の額同通知 第2の2(1)イ
医薬品等の引渡しを行う者が引渡しの実績に応じて割戻金の支払を行うべき旨の書面による契約があった場合(一定の期間内の実績が一定の額又は数量に達しない場合に割戻しを行わない旨を定めるものを除く)課徴金対象期間におけるその実績について当該契約で定めるところにより算定した割戻金の額(一定の期間内の実績に応じて異なる割合又は額によって算定すべき場合は、それらのうち最も低い割合又は額により算定した額)同通知 第2の2(1)ウ

3行とも出典は令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号です(2026-09-08 確認)。契約基準で総対価額を算定する場合は、上のウを準用するとされています(同通知 第2の2(2))。

通知は、アとイについて、同期間中に引き渡した医薬品等の量目不足等による控除であるか、返品であるかは、ア又はイの該当性とは関係がないとしています。一方でウに該当する割戻金の額は、課徴金対象期間中に引き渡した医薬品等に対応する割戻金の額に限定されるとしています。

契約基準による場合について同通知は、引渡基準では総売上額からの控除項目となる不足等による値引きと返品は、契約基準では契約の修正という形で行われ、修正された契約額が総売上額となると書いています。

「課徴金対象期間」は、いつからいつまでを指すのか

課徴金対象行為をした期間です。やめた後6月を経過する日までに取引があれば最後の取引の日までが加わり、期間全体の上限は3年です。

6月を経過する日より前に、誤解を生ずるおそれを解消するための厚生労働省令で定める措置をとったときは、その日までです。

基本は、課徴金対象行為をした期間です。行為をやめた後の取引が加算される場合と、期間全体に3年の上限がかかる場合が、同じ括弧の中に書かれています。この期間の定義は、率を定める項の次の項に置かれています。

加算の終期を早める「厚生労働省令で定める措置」

この措置の内容は、薬機法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第249条の2にあります。

法第七十五条の五の二第二項に規定する厚生労働省令で定める措置は、課徴金対象行為に係る記事が法第六十六条第一項に規定する虚偽又は誇大な記事に該当することを時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法その他の不当に顧客を誘引し、医薬関係者及び医薬関係者以外の一般人による医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品(以下この条において「医薬品等」という。)の適正かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するために相当であり、課徴金対象行為に係る医薬品等に応じて必要と認められる方法により、医薬関係者若しくは医薬関係者以外の一般人又はその双方に周知する措置とする。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第249条の2(法第75条の5の2第2項に規定する厚生労働省令で定める措置)

命令ができなくなるまでの期間

第75条の5の5第7項は、課徴金対象行為をやめた日から5年を経過したときは、厚生労働大臣は当該課徴金対象行為に係る課徴金の納付を命ずることができないと定めています。課徴金対象期間の上限である3年とは別の期間です。

法人が消滅した場合

第75条の5の5第3項は、合併の場合を定めています。課徴金対象行為者である法人が合併により消滅したときは、その法人がした課徴金対象行為を、合併後存続し、又は合併により設立された法人がした課徴金対象行為とみなします。

第4項は、合併以外の事由により消滅した場合を定めています。要件は、当該法人が調査開始日以後に子会社等へ当該課徴金対象行為に係る事業の全部を譲渡し、又は分割により承継させ、かつ、合併以外の事由により消滅したことです。このときは、当該事業の全部若しくは一部を譲り受け、又は分割により承継した子会社等(特定事業承継子会社等)がした課徴金対象行為とみなします。特定事業承継子会社等が2以上あるときは、他の特定事業承継子会社等と連帯して命令を受ける形に読み替えます。

同項の「調査開始日」は、第69条第5項の規定による報告の徴収、帳簿書類その他の物件の提出の命令、立入検査又は質問が最初に行われた日です。これらが行われなかったときは、第75条の5の8第1項の規定による通知を受けた日になります。

課徴金が、ほかの命令・処分や景品表示法の課徴金と重なるときは、どう調整されるのか

第75条の5の3が対価合計額の3%の減額を、第75条の5の2第3項が納付を命じないことができる2つの場合を定めています。

命令の後に景品表示法の命令等があったときの額の変更は、第75条の5の5第8項にあります。

薬機法は、同じ行為について景品表示法の課徴金や、薬機法の別の命令・処分が動く場面を、条文の側で調整しています。調整は3つに分かれます。減額(第75条の5の3)、納付を命じないことができる場合(第75条の5の2第3項)、そして命令の後に景品表示法の命令等があった場合の額の変更(第75条の5の5第8項)です。減額と命じないことができる場合の一覧は薬機法に違反するとどうなるかにも置いています。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務運営の改善命令になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

2027年5月20日には、現行の第72条の4も第72条の5へ移ります。第72条の4は、第72条から前条までに規定するもののほか、業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる旨の規定で、この条に条見出しは置かれていません。

これに伴い、2027年5月20日施行の条文では、第75条の5の2第3項第1号の引用も「第七十二条の五第一項又は第七十二条の六第一項の命令をする場合」に改められています。第75条の5の2という条番号そのものは動きません。

表3:課徴金の額と命令の有無に関わる規定
場面条文が定める効果根拠
同じ課徴金対象行為について景品表示法第8条第1項の規定による命令があるとき、又は同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされるとき対価合計額に百分の三を乗じて得た額を減額する薬機法第75条の5の3
課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告したとき(調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してされた報告を除く)計算した課徴金の額に百分の五十を乗じて得た額を減額する薬機法第75条の5の4
第72条の4第1項又は第72条の5第1項の命令をする場合(保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合に限る)納付を命じないことができる薬機法第75条の5の2第3項第1号
第75条第1項又は第75条の2第1項の処分をする場合納付を命じないことができる薬機法第75条の5の2第3項第2号
第1項の規定により計算した課徴金の額が225万円未満であるとき納付を命ずることができない薬機法第75条の5の2第4項
課徴金納付命令を受けた者について、後に景品表示法第8条第1項の規定による命令があったとき、又は同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされたとき課徴金の額を、対価合計額の百分の三を控除した額(報告による減額を受けていた場合は、さらにその百分の五十を控除した額)に変更しなければならない。変更後の額の1万円未満の端数は切り捨てる薬機法第75条の5の5第8項

全行の根拠は薬機法の各条項です(法令確認日 2026-09-08)。

命令の後に景品表示法の命令等があったとき

第75条の5の5第8項は、課徴金納付命令を受けた者について、次のいずれかがあったときは、当該課徴金納付命令に係る課徴金の額を変更しなければならないと定めています。

  • 当該課徴金対象行為につき景品表示法第8条第1項の規定による命令があったとき
  • 同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされたとき

変更の手続は薬機法施行規則第249条の4にあります。同条第1項は、変更の処分に係る文書に変更後の課徴金の額、変更の理由及び変更後の課徴金の納付期限を記載しなければならないとしています。第2項は、変更の処分をした後の命令に係る額を超える額が既に納付されているときは、速やかにその超える額を還付する手続をとらなければならないとしています。

第3項第2号が引いている第75条第1項(許可の取消し等)と第75条の2第1項(登録の取消し等)は、業許可への処分 — 業務停止・許可取消し・改善命令は、どの条文にあるかで扱います。

第75条の5の4の報告は、どこへ、どのように出すものとされているか

様式第106の2による報告書を、直接持参・書留郵便等・電磁的記録の送信のいずれかで厚生労働大臣に提出します(施行規則第249条の3)。

厚生労働省は、提出先は厚生労働省のみで、都道府県に提出しても第75条の5の4に基づく報告としては認められないとしています。

提出先は厚生労働大臣です。第75条の5の4は、報告を「厚生労働省令で定めるところにより」行うものとしています。これを受けた薬機法施行規則第249条の3第1項は、様式第百六の二による報告書(当該報告書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む)を、次のいずれかの方法により厚生労働大臣に提出しなければならないと定めています。

  1. 直接持参する方法
  2. 書留郵便、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便の役務であって当該事業者において引受け及び配達の記録を行うもの、又はこれらに準ずる方法により送付する方法
  3. 電磁的記録を電子情報処理組織を使用して送信する方法

同条第2項は、報告書に課徴金対象行為に該当する事実の内容を示す資料を添付するものとしています。第3項は、書留郵便等による場合の提出の日時のみなしを定めています。第4項は、電磁的記録が送信された場合に、厚生労働省の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に報告書が提出されたものとみなすことを定めています。

厚生労働省が示している提出先

厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は、令和8年5月21日付けの「薬機法第75条の5の4に基づく、課徴金行為対象事実の報告方法について」で、提出方法として直接持参・書留郵便等による送付・メールによる送信の3つを挙げ、宛先を同課としています。直接持参の場合はまず電話連絡をするようにと書かれています。

なお、いずれの方法も、提出先は厚生労働省のみであり、各都道府県に報告書を提出しても薬機法第75条の5の4に基づく事実の報告としては認められませんのでご注意ください。

薬機法第75条の5の4に基づく、課徴金行為対象事実の報告方法について(令和8年5月21日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課)末尾

同じ文書は、普通郵便等、引受け及び配達が記録されない方法により提出された報告書は、第75条の5の4に基づく事実の報告としては認められないとしています。

メールについては受付専用のアドレスが示され、そのアドレスでは他の法令に基づく申告書・申請書・届出書・情報提供は提出できないこと、添付できるファイルの容量は合計で5MBまでであることが書かれています。同文書は、個別案件の相談等については都道府県薬務主管課に問い合わせるようにとも書いています。

命令はどんな手順で出され、納付しないとどうなるのか

弁明の機会の付与を経て文書で命じられ、納期限は課徴金納付命令書の謄本を発する日から7月を経過した日です。

納期限までに納付がないときは督促状による督促が行われ、年14.5%の割合の延滞金が徴収されることがあります。

手続は、調査から執行まで段階ごとに条文が置かれています。

  1. 調査

    厚生労働大臣は、第75条の5の2第1項の規定による命令を行うため必要があると認めるときは、調査をすることができます(第69条第5項)。相手方は、課徴金対象行為者又は課徴金対象行為に関して関係のある者です。内容は、その業務若しくは財産に関して報告をさせ、若しくは帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は当該職員に、これらの者の事務所、事業所その他当該課徴金対象行為に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは課徴金対象行為者その他の関係者に質問させることです。

  2. 弁明の機会の付与の通知

    厚生労働大臣は、課徴金納付命令をしようとするときは、名宛人となるべき者に対し弁明の機会を与えなければなりません(第75条の5の6)。通知は、弁明書の提出期限(口頭による付与を行う場合はその日時)までに相当な期間をおいて、書面により行われます(第75条の5の8第1項)。書面で知らせる事項は、納付を命じようとする課徴金の額、課徴金の計算の基礎及び当該課徴金に係る課徴金対象行為、弁明書の提出先及び提出期限です。

  3. 弁明

    厚生労働大臣が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面を提出して行い、証拠書類又は証拠物を提出することができます(第75条の5の7)。通知を受けた者は代理人を選任することができます(第75条の5の9)。

  4. 命令

    課徴金納付命令は文書によって行われ、命令書には納付すべき課徴金の額、課徴金の計算の基礎、当該課徴金に係る課徴金対象行為、納期限を記載します。名宛人に命令書の謄本を送達することによって効力を生じます(第75条の5の10第1項・第2項)。

  5. 納期限

    課徴金の納期限は、課徴金納付命令書の謄本を発する日から7月を経過した日です(第75条の5の10第3項)。

  6. 督促と延滞金

    納期限までに納付しない者があるときは、督促状により期限を指定して督促が行われます(第75条の5の11第1項)。督促をしたときは、督促に係る課徴金の額につき年14.5%の割合で、納期限の翌日から納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができます。延滞金の額が1000円未満であるときはこの限りでないとされています(同条第2項)。計算した延滞金の額に100円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます(同条第3項)。

  7. 執行

    督促を受けた者が指定する期限までに納付しないときは、厚生労働大臣の命令で課徴金納付命令を執行します。この命令は執行力のある債務名義と同一の効力を有し、執行は民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従います(第75条の5の12第1項・第2項)。

薬機法施行規則第249条の6は、延滞金を併せて徴収する場合の充当の順序を定めています。納付した金額がその延滞金の額の計算の基礎となる課徴金の額に達するまでは、まずその計算の基礎となる課徴金に充てられたものとします。

第75条の5の13は、破産法、民事再生法、会社更生法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定の適用について、課徴金納付命令に係る課徴金の請求権及び延滞金の請求権を過料の請求権とみなすとしています。

送達については、第75条の5の14が、送達すべき書類を厚生労働省令に委ねています。第75条の5の15は、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第100条第1項、第101条、第102条の2、第103条、第105条、第106条及び第108条の規定を準用しています。第75条の5の16は、公示送達を定めています。

同条第3項は、公示送達は措置を開始した日から2週間を経過することによって効力を生ずるとし、第4項は外国においてすべき送達についてした公示送達の期間を6週間としています。第75条の5の19は、これらに定めるもののほか課徴金納付命令に関し必要な事項を厚生労働省令に委ねています。

課徴金の規定が最後に変わった日

第十三章「監督」に置かれた課徴金の規定のうち、4つの条は、令和5年法律第63号(デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律)により、2026年5月21日から現在の規定になっています。第75条の5の8(弁明の機会の付与の通知の方式)、第75条の5の15(送達に関する民事訴訟法の準用)、第75条の5の16(公示送達)及び第75条の5の17(電子情報処理組織の使用)です。第75条の5の2から第75条の5の5までの計算に関する規定は、この日には変わっていません。

理解の確認

第68条に違反する未承認の医薬品等の広告が第75条の5の2第1項の列挙に入っていないことは、その行為が薬機法の対応手段の外にあることを意味するか。

意味しません。第75条の5の2第1項が課徴金対象行為としているのは第66条第1項に違反する行為だけで、第66条第3項の違反行為と第68条の違反行為はここに挙げられていません。ただし第68条の違反行為は措置命令の側、第72条の5第1項(2027年5月20日から第72条の6第1項へ移る予定)に挙げられています。列挙の有無が分けているのは、その行為に課徴金という手段を使えるかどうかであって、薬機法が手を出せるかどうかではありません。

根拠:薬機法第75条の5の2第1項、第72条の5第1項(法令確認日 2026-09-08)

課徴金の額が225万円未満かどうかは、第75条の5の3・第75条の5の4による減額を経た後の額で見るのか。

見ません。第75条の5の2第4項は「第一項の規定により計算した課徴金の額が二百二十五万円未満であるとき」と書いており、第4項が引いている規定は同条第1項だけだからです。一方で減額の側は階段になっていて、第75条の5の4は減額の基準を「同項又は同条の規定により計算した課徴金の額」と書き、第75条の5の3が働く場合にはその控除を経た額を引き継ぎます。どの規定により計算した額を基準にするかが条項ごとに書き分けられているため、下限を見るときの額と、減額を計算するときの額は別のものになります。

根拠:薬機法第75条の5の2第1項・第4項、第75条の5の3、第75条の5の4(法令確認日 2026-09-08)

第75条の5の2第1項を読むだけでは、額の基礎になる対価合計額が決まらないのはなぜか。

同項の括弧書きは、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額を「対価合計額」と名付けているだけで、その中身の出し方を書いていないからです。売上高(事業活動から生ずる収益から費用を差し引く前の額で、消費税相当額を含む)を基準にすることも、総対価額から量目不足等による控除額・返品された医薬品等の対価の額・書面による契約に基づく割戻金の額を差し引くことも、令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号が示しています。同通知は、令和元年法律第63号の一部が令和3年8月1日に施行されて課徴金納付命令が規定されることに伴い、都道府県等の薬務主管部(局)長あてに発出されたものです。額の基礎は、条文と通知を合わせて読まないと決まりません。

根拠:薬機法第75条の5の2第1項、課徴金納付命令に係る対価合計額の算定の方法について(令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号)第1・第2(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第69条第5項・第72条の4・第72条の5・第75条の5の2から第75条の5の19まで e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026-06-19)第249条の2から第249条の7まで e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 課徴金納付命令に係る対価合計額の算定の方法について(令和3年7月6日 薬生監麻発0706第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 薬機法第75条の5の4に基づく、課徴金行為対象事実の報告方法について(令和8年5月21日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課。文書番号の記載なし)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第8条・第9条・第11条・第12条第7項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版条文(e-Gov 版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第72条の4から第72条の7まで・第75条の5の2第3項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)