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景品表示法の課徴金と確約手続 — 令和5年改正で増えたルート

景品表示法の課徴金は第8条に、確約手続は第26条から第33条までに置かれています。課徴金の額は売上額の3%を起点に、減額・控除・端数切捨てを順に通して決まります。確約手続は書面の通知で始まり、計画が認定されれば措置命令と課徴金納付命令の条文が適用されません。確約手続、10年以内の再違反に対する課徴金の加算、優良誤認表示・有利誤認表示への直罰は、いずれも令和5年改正で加わったものです。このページは、計算の順序、手続の流れ、そして措置命令と課徴金納付命令を誰が出しているかを、条文と消費者庁が公表した資料で確認します。

30秒でわかる要点

  • 令和5年改正で加わったのは、確約手続(第26条〜第33条)、10年以内の再違反に対する課徴金の加算(第8条第5項・第6項)、優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰(第48条)。消費者庁の資料は施行日を令和6年10月1日と記載している。
  • 課徴金の額は、第8条第1項の売上額3%を起点に、第9条の5割減額、第11条第2項の返金額の控除、第12条第2項の1万円未満切捨てを順に通して決まる。再違反にあたるときは、3%が4.5%に読み替えられる(第8条第5項)。
  • 確約計画の認定を受けると、その疑いの理由となった行為には第7条第1項(措置命令)と第8条第1項(課徴金納付命令)が適用されない(第28条・第32条)。認定が取り消されれば、この効果は失われる。

令和5年改正で、景品表示法の手続には何が加わったのか

確約手続(第26条〜第33条)、課徴金の加算(第8条第5項・第6項)、直罰(第48条)などです。消費者庁の資料は施行日を令和6年10月1日と記載しています。

改正法は不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(令和5年法律第29号)で、公布は2023年5月17日です。

令和5年改正で加わった主なものは3つあります。確約手続(第26条〜第33条)、10年以内の再違反に対する課徴金の加算(第8条第5項・第6項)、優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰(第48条)です。全体は、消費者庁 表示対策課が公表した資料「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法)」に整理されています。

同資料は改正の趣旨を「事業者の自主的な取組の促進、違反行為に対する抑止力の強化等を講ずることで、一般消費者の利益の一層の保護を図る」と書き、主な改正事項を3つの柱に分けています。①事業者の自主的な取組の促進、②違反行為に対する抑止力の強化、③円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等です。施行日については「令和5年改正景品表示法は、令和6年10月1日から施行」と記載しています。

表1:令和5年改正で新設・改正された規定
内容条項
自主的な取組の促進確約手続の新設第26条〜第33条
自主的な取組の促進返金措置の方法に第三者型前払式支払手段を許容第10条
抑止力の強化売上額の推計規定の整備第8条第4項
抑止力の強化10年以内の再違反に対する課徴金の加算(1.5倍)第8条第5項・第6項
抑止力の強化優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰(100万円以下の罰金)第48条
法執行の整備送達制度の整備・拡充、外国執行当局への情報提供制度の創設第41条〜第44条
法執行の整備適格消費者団体による資料の開示要請第35条

出典:【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法)(消費者庁 表示対策課)「主な改正事項」。条項の表記と各行の施行日は同資料の記載による。e-Gov 法令検索の版は 2023-05-17 / 2024-10-01 / 2026-05-15 の3つに分かれており、2026年5月15日施行分の内容は未確認。

改正前は何があったと書かれているか

改正前、違反被疑行為に対して消費者庁がとれる選択肢は2つしかなかったと、同資料は書いています。

改正前景品表示法では、不当表示等に当たる疑いがある行為(違反被疑行為)に対し、消費者庁のとりうる選択肢は、事件調査を行い、①違反を認定できる場合に措置命令・課徴金納付命令を行うか、②違反のおそれがある場合に行政指導を行うか、の二つしかなかった。

【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(消費者庁 表示対策課)「確約手続の導入 【改正の背景】」

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

景品表示法の処理は、行政指導か、措置命令・課徴金納付命令かのどちらかである。

現行

これに加えて確約手続がある。認定を受けた確約計画に係る疑いの理由となった行為については、第7条第1項および第8条第1項は適用されない(第28条・第32条)。

根拠:不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第26条〜第33条。新設は不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(令和5年法律第29号)。改正前の状況は消費者庁 表示対策課「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」の記載による。

参照している条文の版も確かめておきます。令和5年改正が施行された時点の版は、e-Gov 法令検索では 337AC0000000134_20241001_505AC0000000029(施行日 2024年10月1日)です。本ページが参照している現行版は 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048(施行日 2026年5月21日)です。令和5年法律第29号による改正は、2023年5月17日・2024年10月1日・2026年5月15日の3つの施行日で版が分かれています。

古い理解と現行の対照は古い理解の一覧にもまとめています。

課徴金の額は、どの条文をどの順に適用して決まるのか

第8条第1項の売上額の3%を起点に、第9条の5割減額、第11条第2項の返金額の控除、第12条第2項の端数切捨ての順で計算されます。

第5条第1号・第2号の内容と、150万円未満のときに納付を命ずることができない旨は別ページで扱っています。

課徴金の額は、1つの条文だけで決まりません。第8条第1項が出した数字を後ろの条文が順に受け取り、最後に残った数字が納付を命じられる額になります。上流から下流へ一方向に流れる水路のようなもので、途中に減額と控除の水門が並んでいる、と考えると順序をつかみやすくなります。

起点は第8条第1項です。第5条第1号・第2号の条文の違いと、150万円未満のときに納付を命ずることができないことは優良誤認と有利誤認で扱っています。

  1. 売上額に3%を乗じる(第8条第1項)

    課徴金対象期間に取引をした当該商品又は役務の、政令で定める方法により算定した売上額に百分の三を乗じます。売上額を推計して命ずることができる場合(第8条第4項)は後の節で扱います。

  2. 再違反にあたるときは4.5%に読み替える(第8条第5項)

    要件は次の節で扱います。

  3. 自ら報告したときは5割を減額する(第9条)

    課徴金対象行為に該当する事実を内閣府令で定めるところにより報告したときは、計算した課徴金の額に百分の五十を乗じて得た額が減額されます。ただし、調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してされた報告であるときは、この限りでないとされています(同条ただし書)。

  4. 返金措置の額を控除する(第11条第2項)

    認定を受けた実施予定返金措置計画に適合して返金措置が実施されたと認めるときは、交付された金銭の額として内閣府令で定めるところにより計算した額が減額されます。減額した額が零を下回るときは零とされ、計算した額が1万円未満となったときは納付を命じないものとされています(第11条第3項)。

  5. 1万円未満の端数を切り捨てる(第12条第2項)

    第8条第1項若しくは第4項、第9条又は第11条第2項の規定により計算した課徴金の額に1万円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てられます。

課徴金対象期間は、行為をやめた後まで伸びる

3%を乗じる相手は「課徴金対象期間」の売上額です。この期間は、行為をしていた期間とは一致しません。

公表された命令では、この2つの期間が別々に書かれています。消費者庁が令和7年12月2日に公表した課徴金納付命令(後の節で扱います)では、課徴金対象行為をした期間が令和4年7月2日から同年11月21日まで、課徴金対象期間が令和4年7月2日から令和5年5月3日までと記載されています。

期間には後ろ側の区切りもあります。第12条第7項は、課徴金対象行為をやめた日から5年を経過したときは納付を命ずることができないと定めています。

どの条項の違反が課徴金の対象か

第8条第1項は、対象となる行為を括弧書きで絞り込む形で書いています。

表2:第8条第1項が「課徴金対象行為」としている範囲
対象扱い根拠
第5条第1号に該当する表示に係る違反行為 課徴金対象行為 景品表示法 第8条第1項
第5条第2号に該当する表示に係る違反行為 課徴金対象行為 景品表示法 第8条第1項
第5条第3号に該当する表示に係る違反行為 定義から除かれる 同項の括弧書き「同条第三号に該当する表示に係るものを除く」
第4条の規定による制限若しくは禁止に違反する行為(景品類) 定めがない 第8条第1項は「第五条の規定に違反する行為」を課徴金対象行為としている

措置命令(第7条第1項)と確約手続(第26条・第30条)は、第4条の規定による制限若しくは禁止に違反する行為にも及びます。措置命令の側は優良誤認と有利誤認で扱っています。

薬機法の課徴金は別の条文に置かれ、対価合計額に4.5%を乗じるという別の算定式を持ちます。両者が重なるときの調整も含め、薬機法の課徴金で扱っています。

「10年以内の再違反で1.5倍」は、何を数えているのか

基準日から遡り10年以内に確定した課徴金納付命令を受け、その命令の日以後に課徴金対象行為をしていたことです。3%が4.5%に読み替えられます。

「1.5倍」は消費者庁の資料の表現で、条文は算定率の読替えという形をとっています。

数えているのは違反の回数ではなく、確定した課徴金納付命令です。基準日から遡り10年以内にその命令を受けたことがあり、かつ命令の日以後にも課徴金対象行為をしていた者であるときに、第8条第1項の「百分の三」が「百分の四・五」に読み替えられます。

条文に「1.5倍」という語はありません。第8条第5項が定めているのは、第1項の適用について「百分の三」を「百分の四・五」と読み替えることです。消費者庁の資料はこれを「違反行為から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対し、課徴金の額を加算(1.5倍)する規定の新設」と説明し、加算される場合の要件を2つに整理しています。

  • 基準日から遡り10年以内に、課徴金納付命令を受けたことがあること(確定している場合に限る)
  • 当該課徴金納付命令の日以後において課徴金対象行為をしていた者であること

10年は、どこから数えるのか

起点を決めるのが第6項の「基準日」です。同項は、調査に係る3つの行為が行われた日のうち最も早い日と定めています。第25条第1項の報告徴収等、第8条第3項による資料の提出の求め、第15条第1項による弁明の機会の付与に関する通知の3つです。

このうち第8条第3項の資料の提出の求めは、資料が提出されないときに表示が第5条第1号に該当すると推定する仕組みです。詳しくは不実証広告規制で扱っています。

要点

第5項は「基準日から遡り十年以内」と書き、その基準日を第6項が調査に係る3つの手続が行われた日のうち最も早い日と定めています。消費者庁の資料は、概要の頁で「違反行為から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者」と書き、要件の頁で「基準日から遡り10年以内に、課徴金納付命令を受けたことがあること(確定している場合に限る。)」と書いています。数えられるのは確定した課徴金納付命令であって、その命令の日以後に課徴金対象行為をしていた者であることが、あわせて条文に書かれています。

令和5年改正では、罰則の側にも規定が加わった

第48条は、優良誤認表示・有利誤認表示に相当する表示をしたときに100万円以下の罰金を定めるもので、消費者庁の資料はこれを直罰規定の新設としています。第48条の条文と両罰規定(第49条)は優良誤認と有利誤認で扱っています。

確約手続は、どこから始まり、どこで終わるのか

第26条または第30条の書面による通知に始まります。60日以内に計画を申請して認定を受けると、第7条第1項と第8条第1項は適用されません。

認定が取り消されたときは、この効果は失われます(第28条ただし書・第32条ただし書)。

始まりは書面の通知です。通知を受けた者が60日以内に計画を作って申請し、認定されると、疑いの理由となった行為には第7条第1項と第8条第1項が適用されません。認定が取り消されれば、その効果は失われます。

条文は2組に分かれています。違反被疑行為が継続している場合が第26条から第29条まで、疑うに足りる事実が既になくなっている場合が第30条から第33条までです。前者で作られる計画を是正措置計画、後者を影響是正措置計画といいます。

2組は、同じ形の階段が2本並んでいるようなものです。段の数も並び順も同じで、違うのは入口(行為が続いているか、既に終わっているか)と、計画の名前と、是正の対象の書き方です。以下は、通知から取消しまでの順序を追ったものです。

  1. 確約手続通知(第26条・第30条)

    内閣総理大臣は、第4条の規定による制限若しくは禁止又は第5条の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実がある場合において、一般消費者による自主的かつ合理的な商品及び役務の選択を確保する上で必要があると認めるときに、①行為の概要②違反する疑いのある法令の条項③認定の申請をすることができる旨を書面により通知することができます。ただし、措置命令に係る行政手続法第30条の規定による通知、または第15条第1項の規定による通知をした後は、この限りでないとされています。

  2. 計画の作成と申請(第27条第1項・第31条第1項)

    是正の対象は2つの条文で書き分けられています。第27条第1項は「疑いの理由となつた行為及びその影響を是正するために必要な措置」、第31条第1項は「疑いの理由となつた行為による影響を是正するために必要な措置」です。通知を受けた者は、その措置を自ら策定し、実施しようとするときに、計画を作成して通知を受けた日から60日以内に提出し、認定を申請することができます。計画には、措置の内容と実施期限、そのほか内閣府令で定める事項を記載しなければなりません(第27条第2項・第31条第2項)。

  3. 認定または却下(第27条第3項・第6項)

    計画が2つの要件のいずれにも適合すると認めるときは認定がされ、いずれかに適合しないと認めるときは却下されます。認定は文書によって行われ、名宛人に認定書の謄本を送達することによって効力を生じます(同条第4項・第5項)。

  4. 認定の効果(第28条・第32条)

    認定に係る疑いの理由となった行為については、第7条第1項および第8条第1項は適用されません。ただし、認定の取消しがあった場合は、この限りでないとされています。

  5. 取消し(第29条・第33条)

    認定を受けた計画に従って措置が実施されていないと認めるとき、または虚偽もしくは不正の事実に基づいて認定を受けたことが判明したときは、認定は取り消されます。取消しが第12条第7項の期間の満了する日の2年前の日以後にあったときは、その行為に対する課徴金納付命令は、同項の規定にかかわらず取消しの日から2年間においてもすることができます(第29条第3項・第33条第3項)。

通知の相手方は、行為をした者だけではありません。既往の違反被疑行為に係る第30条の通知は、合併により消滅した法人の合併後存続し又は合併により設立された法人、分割により当該事業の全部または一部を承継した法人、当該事業の全部または一部を譲り受けた者にも行うことができるとされています(同条第1号イからニまで)。

いつまで通知できるかについて、消費者庁の資料は、確約手続通知を行えるのは弁明の機会の付与の通知がされるまでであると、手続の流れを示した図の中に記しています。

確約計画は、何を満たすと認定されるのか

第27条第3項の2つ、措置内容の十分性と措置実施の確実性です。消費者庁の運用基準が、これを満たす確約措置の典型例を挙げています。

運用基準には、確約手続の対象外となる場合も2つ挙げられています。

条文が置いている要件は2つだけです。第27条第3項は、是正措置が疑いの理由となった行為およびその影響を是正するために十分なものであること(第1号)、確実に実施されると見込まれるものであること(第2号)を挙げます。消費者庁の資料は、この2つを「措置内容の十分性」「措置実施の確実性」と呼んでいます。

影響是正措置計画も同じ形です。第31条第3項第1号は「影響是正措置が疑いの理由となつた行為による影響を是正するために十分なものであること」と書き、第2号が確実に実施されると見込まれるものであることを置いています。消費者庁の資料は、十分性の要件に「(※) 影響是正措置計画においては、違反被疑行為による影響」と注記しています。

十分性と確実性の中身は、条文には書かれていません。具体的な考え方は、確約手続に関する運用基準(令和6年4月18日 消費者庁長官決定)に置かれています。申請様式や添付資料は、不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づく確約手続に関する内閣府令(令和6年内閣府令第55号)に定められています。以下は、消費者庁 表示対策課の資料が運用基準の項番号とともに記載している内容です。

運用基準が「必要な措置」として挙げているもの

  • 違反被疑行為を取りやめること(運用基準6(3)イ(ア))
  • 違反被疑行為の内容について一般消費者へ周知徹底すること(同イ(イ))
  • 違反被疑行為および同種の行為の再発防止のための措置を行い、役員・従業員に周知徹底すること(同イ(ウ))
  • 履行状況を、事業者自ら、または履行状況の監視等を委託した独立した第三者(消費者庁が認める者に限る)により消費者庁に対して報告すること(同イ(エ))

資料は、これらを「措置命令がされる場合に事業者に命じられることが多い内容と同等のもの」とし、申請の時点で既に実施している場合を除いて計画に定めることが必要であると書いています。

このほか「有益な措置(重要な事情として考慮)」として一般消費者への被害回復(同イ(オ))が、「有益な措置」として契約変更(同イ(カ))と取引条件の変更(同イ(キ))が挙げられています。資料は、典型例はあくまでも例示であり、違反被疑行為およびその影響を是正するために十分なものであれば、例示されていない措置であっても評価されるとしています。

対象外とされる場合

入口の側にも線が引かれています。運用基準5(3)は、確約手続の対象外となるものを2つ挙げていると資料は記載しています。過去10年間に措置命令・課徴金納付命令を受けている場合(確定している場合に限る)と、表示に根拠がないことを認識しながらあえて表示を行っているなど悪質・重大な違反被疑行為の場合です。

資料は、これらについて「その他の事情にかかわらず確約手続通知を行わない(要件①不充足)」と書いています。

確約計画の認定件数は優良誤認と有利誤認で扱っています。

認定の公表について、資料は運用基準9を引き、認定した確約計画の概要、当該認定に係る違反被疑行為の概要、認定を受けた事業者名その他必要な事項を公表するとしています。そのうえで「公表に当たっては、景品表示法の規定に違反することを認定したものではないことを付記する」と書かれています。確約計画の認定は、違反の認定とは別のものとして公表されます。

返金措置と売上額の推計は、どこが変わったのか

返金の方法に第三者型前払式支払手段が加わり(第10条第1項)、報告がないときに売上額を推計できる規定が置かれました(第8条第4項)。

いずれも基準と方法の中身は、施行規則に置かれていると資料は記載しています。

変わったのは2か所です。返金の方法が金銭に限られなくなり(第10条第1項)、事業者が売上額を報告しないときに推計して課徴金を命じられるようになりました(第8条第4項)。

返金の方法

返金措置は、課徴金の額から返金額を減額する仕組みで、平成26年11月改正で導入されたものです。消費者庁の資料は、改正の背景として「これまでの利用件数は4件にとどまっており、活発に利用されているとはいい難い状況にある」と書いています。令和5年改正は、返金の方法を金銭に限らないことにしました。

第10条第1項は、交付する「金銭」に一定の前払式支払手段を含めています。対象は、資金決済に関する法律第3条第7項に規定する第三者型発行者が発行する同条第1項第1号の前払式支払手段その他内閣府令で定めるものです。ただし、金銭と同様に通常使用することができるものとして内閣府令で定める基準に適合するものに限られます。

この方法による返金は、交付を承諾した者に対し行うものに限られます。資料は、要件を3つに整理し、「内閣府令で定める基準」は施行規則第10条の2に具体化されたと記載しています。

売上額の推計

売上額の推計は第8条第4項です。事業者が課徴金の計算の基礎となるべき事実について第25条第1項の報告を求められたにもかかわらずしないときに、その事実を把握することができない期間の売上額を推計して命ずることができます。推計は、他の事業者から入手した資料その他の資料を用いて、内閣府令で定める合理的な方法によります。

その合理的な方法は施行規則第8条の2に置かれたと、資料は記載しています。同資料によれば、「課徴金対象期間のうち課徴金の計算の基礎となるべき事実を把握した期間における売上額の日割平均額に、課徴金対象期間のうち当該事実を把握することができない期間の日数を乗じて算出する」方法です。

返金措置は実際に使われているか

消費者庁が公表している運用状況によると、実施予定返金措置計画に係る処分は、令和5年度・令和6年度・令和7年度のいずれも認定0件、不認定0件です。返金措置の弾力化が施行されたのは令和6年10月1日で、その施行日を含む令和6年度と令和7年度についても、認定の記録はありません。

措置命令を出す行政機関と、課徴金を命じる行政機関は同じか

同じではありません。都道府県知事に委任されているのは措置命令権限と調査権限で、確約手続と課徴金納付命令はその範囲として挙げられていません。

委任の根拠として、第38条第11項と景品表示法施行令第23条が挙げられています。

権限は、法律から消費者庁長官へ、そこから都道府県知事へと段階的に降りていきます。第38条第1項は、この法律による権限(政令で定めるものを除く)を消費者庁長官に委任すると定めています。同条第11項は、消費者庁長官に委任された権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができると定めています。

委任されている事務の範囲について、消費者庁が公表した運用状況は次のように書いています。

都道府県知事には、景品表示法第38条第11項及び景品表示法施行令第23条の規定に基づき、措置命令権限と調査権限が委任されており、都道府県知事は、自らの判断と責任によって景品表示法を運用することができる。

令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁表示対策課)第1の2

同資料によると、都道府県知事による措置命令の件数は、令和5年度が3件(埼玉県1件、東京都2件)、令和6年度が4件(埼玉県1件、東京都2件、京都府1件)、令和7年度が3件(東京都2件、三重県1件)です。同じ年度に消費者庁が行った措置命令は、令和5年度44件、令和6年度26件、令和7年度13件と記載されています。

都道府県の措置命令と、国の課徴金納付命令が続いた例

消費者庁は、令和7年12月2日に、ある医薬部外品に係る表示について課徴金納付命令を公表しています。同社に対しては、令和5年3月28日に東京都が景品表示法第7条第1項の規定に基づく措置命令を行っており、消費者庁の公表資料は、これを踏まえて第8条第1項の規定に基づく課徴金納付命令を発出したと書いています。課徴金の額は588万円です。

同資料には、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を第8条第3項に基づき期間を定めて求めたところ、期間内に提出されなかったことが記載されています。また第8条第1項ただし書に該当しない理由として、表示内容の決定を委ねた者が作成した表示内容を十分に確認することなく課徴金対象行為をしていたことが挙げられています。

令和7年度の運用状況の別紙1も、この事件を第5条第1号(第8条第3項適用)として掲げ、課徴金額を588万円としています。

1つの表示に複数の法律と複数の行政機関が関わることについては、どの法律で見るかで扱っています。

理解の確認

「10年以内に2回違反すれば課徴金が1.5倍になる」という説明は、第8条第5項の書き方とどこが食い違うか。

同項が数えているのは違反の回数ではなく、確定した課徴金納付命令です。基準日から遡り10年以内にその命令を受けたことがあり、かつ当該命令の日以後にも課徴金対象行為をしていた者であるときに、第8条第1項の「百分の三」が「百分の四・五」と読み替えられます。10年の起点も違反の日ではなく、第8条第6項の基準日、すなわち報告徴収等・第8条第3項による資料の提出の求め・第15条第1項の通知が行われた日のうち最も早い日です。条文に「1.5倍」という語はなく、読替えの結果を消費者庁の資料がそう説明しています。

根拠:不当景品類及び不当表示防止法第8条第5項・第6項(法令確認日 2026-09-08)/【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(消費者庁 表示対策課)

確約計画の認定を受けたことは、その表示が景品表示法に違反していなかったという意味を持つか。

違反の有無の認定とは別のものです。認定の効果は、疑いの理由となった行為について第7条第1項(措置命令)と第8条第1項(課徴金納付命令)を適用しないという手続上のものにとどまり(第28条・第32条)、消費者庁の運用基準9は、認定を公表する際に景品表示法の規定に違反することを認定したものではない旨を付記するとしています。その効果も確定的ではなく、計画に従って措置が実施されていない等で認定が取り消されれば失われ(第29条・第33条)、取消しが第12条第7項の期間の満了する日の2年前の日以後であれば、取消しの日から2年間は課徴金納付命令をすることができます。

根拠:不当景品類及び不当表示防止法第28条・第32条、第29条第3項・第33条第3項、第12条第7項(法令確認日 2026-09-08)/確約手続に関する運用基準9(令和6年4月18日 消費者庁長官決定。引用は消費者庁 表示対策課「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」の記載による)

同じ事案で、措置命令を都道府県知事が行い、課徴金納付命令を消費者庁が行うという分かれ方が起きるのはなぜか。

委任されている権限の範囲が違うからです。第38条第1項がこの法律による権限(政令で定めるものを除く)を消費者庁長官に委任し、同条第11項と景品表示法施行令第23条によって都道府県知事に降りているのは措置命令権限と調査権限で、確約手続と課徴金納付命令はその範囲として挙げられていません。消費者庁が令和7年12月2日に公表した課徴金納付命令の事案でも、先行する措置命令は令和5年3月28日に東京都が行ったものでした。

根拠:不当景品類及び不当表示防止法第38条第1項・第11項、景品表示法施行令第23条(法令確認日 2026-09-08)/令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁表示対策課)第1の2

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  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第7条・第8条・第9条から第12条まで・第15条・第25条から第33条まで・第35条・第38条・第41条から第44条まで・第48条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)。参照した版は 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048(施行日 2026年5月21日)
  • 【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法)(消費者庁 表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
  • 令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
  • 不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づく確約手続に関する内閣府令(令和6年内閣府令第55号)/確約手続に関する運用基準(令和6年4月18日 消費者庁長官決定)原文URL未取得。本ページの運用基準に関する記載は、消費者庁 表示対策課「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」が項番号を挙げて引用している内容により確認(2026-09-08 確認)
  • 令和7年12月2日 消費者庁 News Release(都道府県の措置命令を踏まえた景品表示法第8条第1項の課徴金納付命令。原文URL未取得)本ページは同資料の全文と、令和7年度における景品表示法等の運用状況(令和8年5月28日)別紙1の記載により確認(2026-09-08 確認)