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どの法律で見るか — 薬機法・景品表示法・健康増進法・医療法の重なり

広告や表示についての規定は、薬機法だけにあるのではありません。景品表示法、健康増進法、医療法にも、それぞれ独自の条文が置かれています。だから1つの表示物が、複数の法律の条文に同時に当てはまることがあります。どの法律で見るかは、各法律の条文が主語・客体・禁止行為・執行主体をどう書いているかで決まり、その書き方は法律ごとに違います。このページは、4つの法律の条文をこの4点で並べ、重なりを前提として条文の側に置かれている調整の規定(薬機法第75条の5の3)まで確認します。

30秒でわかる要点

  • 「何人も」で始まるのが3つ、「事業者は」で始まるのが1つ。薬機法第66条第1項、健康増進法第65条第1項、医療法第6条の5第1項は主語が「何人も」です。景品表示法第5条だけが「事業者は」で始まり、そこに「自己の供給する商品又は役務の取引について」という限定が重なります。
  • 禁じ方の言葉が3通りに分かれる。薬機法第66条第1項は「虚偽又は誇大」、健康増進法第65条第1項と景品表示法第5条は「著しく」、医療法第6条の5は第1項の「虚偽」の禁止に加えて、第3項で広告することができる事項を第1号から第16号まで挙げる限定列挙です。
  • 重なりは条文の側にも書き込まれている。薬機法第75条の5の3は、同じ課徴金対象行為について景品表示法第8条第1項の規定による命令があるとき、又は同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされるときは、対価合計額に100分の3を乗じて得た額を課徴金の額から減額するものとしています。

同じ1つの表示に、複数の法律がかかることがあるのはなぜか

薬機法・景品表示法・健康増進法・医療法が、それぞれ別の主語・客体・禁止行為を自分の条文に置いているためです。

薬機法第75条の5の3は、景品表示法の課徴金納付命令があるときの減額を定めており、同じ行為に両法が及ぶ場面を条文が想定しています。

薬機法、景品表示法、健康増進法、医療法は、それぞれ独立した法律です。広告や表示についての規定を、どれも自分の条文の中に置いています。

ある表示がその法律の対象になるかどうかは、条文の書き方で決まります。誰を名宛人とするか(主語)、何に関する表示か(客体)、何をしてはならないか(行為)の3点です。この3点の書き方が法律ごとに違うため、1つの表示物が、複数の法律の条文の文言に同時に当てはまることがあります。

重なりは、条文の側にも書き込まれています。薬機法第75条の5の3は、薬機法の課徴金納付命令をする場合の減額を定めた規定です。減額が働くのは、同じ課徴金対象行為について次のいずれかにあたるときです。

  • 景品表示法第8条第1項の規定による命令があるとき
  • 同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされるとき

このとき、対価合計額に100分の3を乗じて得た額を課徴金の額から減額するものとされています。2つの法律が同じ行為に及ぶ場面を、条文が明示して置いている規定です。

以下では、4つの法律の条文を、主語・客体・禁止行為・行政上の措置を行う者の4点で並べます。それぞれの法律の内容そのものは、公開済みの各ページで扱っています。薬機法の広告規制の名宛人については規制されるのは誰か、薬機法上の広告該当性についてはそもそも「広告」とはにあります。

要点

4つの法律は、主語・客体・禁止行為・執行主体を、それぞれ自分の条文に置いています。「どの法律で見るか」は、その4点を法律ごとに1本ずつ確かめる作業です。

それぞれの法律は、条文の主語を誰に置いているのか

薬機法第66条第1項、健康増進法第65条第1項、医療法第6条の5第1項はいずれも「何人も」です。景品表示法第5条は「事業者は」です。

景品表示法第5条は、主語に加えて「自己の供給する商品又は役務の取引について」という限定を重ねています。

4つのうち3つは、主語を「何人も」と書いています。条文の文言をそのまま並べます。

医療法には条見出しが置かれていません。上のカードに付けた見出しは、条文の末尾の「虚偽の広告をしてはならない」から取ったもので、e-Gov 法令検索の条見出しではありません。この条が置かれているのは、医療法第2章の「第二節 医業、歯科医業又は助産師の業務等の広告」です。

主語が違うのは景品表示法だけです。同法第5条は「事業者は」で始まり、そこに「自己の供給する商品又は役務の取引について」という限定を重ねています。

「事業者」の意味は、同法第2条第1項が定義しています。商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう、とされています。

同項は、あわせて、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第三十六条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす、としています。このみなし規定には「次項及び第三十六条の規定の適用については」という限定が付いています。定義の内容は優良誤認と有利誤認で扱っています。

「何人も」の側に置かれている他の条文

薬機法第68条も「何人も」で始まります。承認又は認証を受けていない医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない、という条文です。

医療法の側では、第6条の7第1項(助産師の業務又は助産所)と第6条の7の2(オンライン診療受診施設)が、同じく「何人も」で始まります。薬機法の名宛人の範囲は規制されるのは誰か、医療法の名宛人は医療広告規制はなぜ限定列挙なのかにあります。

「広告」「表示」という語は、どの法律でも同じ定義か

同じではありません。医療法は条文の括弧書きで、景品表示法は第2条第4項で定義を置き、薬機法の判断基準は通知に示されています。

健康増進法第65条第1項は「広告その他の表示」と書いており、その範囲は健康増進法第65条のページで扱っています。

4つの法律はいずれも広告または表示を規律していますが、その語の意味をどこに置いているかが違います。同じ「広告」という語について、辞書がどこに置いてあるかが法律ごとに違う、と考えると位置関係をつかみやすくなります。条番号を引くときは、この所在の違いもあわせて確かめることになります。

医療法 — 条文の中に定義がある

医療法第6条の5第1項は、規律の対象を「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」と書いています。これに「(以下この節において単に「広告」という。)」という括弧書きが付いています。定義が条文そのものに置かれ、その効力の範囲も「この節において」と限定されている形です。同じ節には第6条の6から第6条の8までが置かれています。

景品表示法 — 別の条に定義がある

景品表示法は、「表示」の定義を第2条第4項に置いています。条文は次のように書いています。

「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

定義の中に、主語(事業者)と範囲(自己の供給する商品又は役務)が織り込まれています。末尾には内閣総理大臣の指定が置かれています。この定義の読み方は優良誤認と有利誤認で扱っています。

薬機法 — 判断基準は通知に示されている

薬機法第66条と第68条は「広告」の語を使いますが、どの表示が広告にあたるかの基準は、条文ではなく通知に示されています。顧客誘引性・特定性・一般認知性の3要件と、その根拠となる通知の発出日・番号はそもそも「広告」とはで扱っています。

健康増進法 — 「広告その他の表示」

健康増進法第65条第1項は「広告その他の表示」と書いています。同項の「健康保持増進効果等」は「その他内閣府令で定める事項」を含む形で書かれており、内閣府令に委ねられている部分があります。この範囲は健康増進法第65条で扱っています。

どの物・どの役務についての表示が、それぞれの対象になるのか

薬機法は医薬品等の5区分、健康増進法は食品として販売に供する物、医療法は医業・歯科医業と病院・診療所、景品表示法は事業者が供給する商品又は役務です。

景品表示法だけが、物の種類ではなく「自己の供給する」という関係で範囲を書いています。

客体の書き方は、法律ごとにかなり違います。薬機法と健康増進法は物の種類を挙げ、医療法は業と施設を挙げ、景品表示法は供給の関係で書いています。条文の語をそのまま並べます。

表1:4つの法律が客体としているもの(条文の語)
法律客体として書かれているもの根拠となる条
薬機法医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能薬機法第66条第1項
薬機法承認又は認証を受けていない医薬品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能薬機法第68条
景品表示法事業者が自己の供給する商品又は役務の品質、規格その他の内容(第1号)、価格その他の取引条件(第2号)景品表示法第5条第1号・第2号
健康増進法食品として販売に供する物に関する、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項健康増進法第65条第1項
医療法医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所医療法第6条の5第1項
医療法助産師の業務又は助産所医療法第6条の7第1項
医療法オンライン診療受診施設医療法第6条の7の2

表1は各法律の条文の語を写したものです。出典はいずれも e-Gov 法令検索(法令確認日 2026-09-08。版と施行日は表3および末尾の出典欄に記載)。

薬機法の5区分は同法第2条が定義しており、その内容は薬機法とは何を規制する法律かで扱っています。食品として販売する物についての表示に、薬機法と健康増進法がどう並ぶかはサプリメントの表現はどこまで書けるかにあります。

禁止されている行為は、条文でどう書き分けられているか

薬機法は「虚偽又は誇大」、健康増進法は「著しく事実に相違」「著しく人を誤認」、景品表示法は「著しく優良」「著しく有利」、医療法は「虚偽」と限定列挙です。

薬機法第68条は、承認前のものについて名称・製造方法・効能、効果又は性能に関する広告そのものを禁じています。

同じ「広告の規制」でも、条文が禁じている行為の書き方は一様ではありません。薬機法の「虚偽又は誇大」、健康増進法と景品表示法の「著しく」、医療法の「虚偽」と限定列挙の3通りに分かれます。

薬機法 — 虚偽又は誇大、および承認前の広告

薬機法第66条第1項は、名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならないとしています。

同条第2項は、効能、効果又は性能について医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することを、前項に該当するものとしています。同条第3項は、堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならないとしています。条文の内容は第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止にあります。

第68条は書き方が違います。承認又は認証を受けていないものについて、名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならないとするもので、その記事が虚偽か誇大かを問う文言は条文に置かれていません。この違いは第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱っています。

健康増進法と景品表示法 — 「著しく」が入る

健康増進法第65条第1項は「著しく事実に相違する表示」と「著しく人を誤認させるような表示」を禁じています。

景品表示法第5条第1号は、商品又は役務の内容についての表示を対象にしています。条文が挙げているのは、次の2つの表示です。

  • 実際のものよりも著しく優良であると示す表示
  • 事実に相違して同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示

そのうえで、いずれについても「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」という限定を重ねています。

第2号は、価格その他の取引条件について著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を、同じ構文で書いています。第3号は、前二号に掲げるもののほか、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて内閣総理大臣が指定するものです。

景品表示法の第1号と第2号の文言の違いは優良誤認と有利誤認、健康増進法の「著しく」の説明は健康増進法第65条で扱っています。

医療法 — 虚偽の禁止、基準への適合、そして限定列挙

医療法第6条の5は3段構えです。第1項が虚偽の広告の禁止、第2項が広告の内容及び方法が適合すべき基準、第3項が広告することができる事項の列挙です。

第2項が挙げている、広告の内容及び方法が適合すべき基準は次のとおりです。

  • 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと
  • 誇大な広告をしないこと
  • 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと
  • その他厚生労働省令で定める基準

第3項は「次に掲げる事項以外の広告をしてはならない」と書き、第1号から第16号までを挙げたうえで、厚生労働省令で定める場合をその例外として置いています。この構造は医療広告規制はなぜ限定列挙なのか、省令で定める場合の要件は限定解除の4要件で扱っています。

執行するのはどの行政機関で、どの措置と罰則が定められているか

薬機法は厚生労働大臣又は都道府県知事、健康増進法は内閣総理大臣又は都道府県知事、景品表示法は内閣総理大臣、医療法は都道府県知事等です。

景品表示法第38条第11項は、消費者庁長官に委任された権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができるとしています。

行政上の措置を行う者と、その措置の内容は、それぞれの法律の条文に書かれています。

表2:行政上の措置と、それを行う者
法律措置の内容措置を行う者根拠となる条
薬機法第66条第1項又は第68条の規定に違反した者に対して、その行為の中止、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずる厚生労働大臣又は都道府県知事薬機法第72条の5第1項
薬機法課徴金の納付を命ずる(対価合計額に100分の4.5を乗じた額。計算した額が225万円未満のときは命ずることができない)厚生労働大臣薬機法第75条の5の2第1項・第4項
景品表示法行為の差止め、再び行われることを防止するために必要な事項、これらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずる内閣総理大臣景品表示法第7条第1項
景品表示法課徴金の納付を命ずる(売上額に100分の3を乗じた額。第8条第5項は、事業者が基準日から遡り10年以内に確定した課徴金納付命令を受けたことがあり、かつその命令の日以後において課徴金対象行為をしていた者であるときは、第1項の「百分の三」を「百分の四・五」とすると定める)。同条第1項ただし書は、事業者が課徴金対象行為をした期間を通じて表示が同項各号のいずれかに該当することを知らず、かつ知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が150万円未満であるときを、納付を命ずることができない場合として置いている内閣総理大臣景品表示法第8条第1項・第5項
健康増進法第65条第1項の規定に違反して表示をした者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨を勧告する内閣総理大臣又は都道府県知事健康増進法第66条第1項
健康増進法勧告に係る措置をとるべきことを命ずる内閣総理大臣又は都道府県知事健康増進法第66条第2項
医療法広告が第6条の5第1項から第3項まで又は第6条の7・第6条の7の2の規定に違反しているおそれがあると認めるときに、必要な報告を命じ、又は職員に事務所へ立ち入り、広告に関する文書その他の物件を検査させる都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長医療法第6条の8第1項
医療法広告が第6条の5第2項若しくは第3項、第6条の7第2項若しくは第3項又は第6条の7の2の規定に違反していると認める場合に、期限を定めて、当該広告を中止し、又はその内容を是正すべき旨を命ずる都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長医療法第6条の8第2項

表2は各法律の条文の内容を写したものです。出典はいずれも e-Gov 法令検索(法令確認日 2026-09-08。版と施行日は表3および末尾の出典欄に記載)。医療法第6条の8は、第1項と第2項とで、条文が挙げている違反の対象条項が異なります(第1項は第6条の5第1項から第3項まで及び第6条の7・第6条の7の2、第2項は第6条の5第2項・第3項、第6条の7第2項・第3項及び第6条の7の2)。健康増進法第66条第4項は、都道府県知事が第1項又は第2項の権限を行使したときは、その旨を内閣総理大臣に通知するものとしています。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は改善命令等(現行の第72条の4)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

この繰下げは、条文を引く側にも及びます。令和7年法律第37号による2027年5月20日施行の版では、薬機法第85条第6号が「第七十二条の六第一項の規定による命令に違反したとき」となっています。e-Gov 法令検索の同日施行の版 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037 で確認したものです。

措置命令そのものは第72条の5 措置命令、施行日別の変更は改正の時間軸で扱っています。

景品表示法 — 権限の委任

景品表示法の側には、権限の委任についての規定があります。第38条第1項は、内閣総理大臣がこの法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任するとしています。同条第11項は、第1項の規定により消費者庁長官に委任された権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができるとしています。

罰則の条文

罰則は、各法律の罰則の章に置かれています。条文が定めている法定刑は次のとおりです。

  • 薬機法第85条 — 第66条第1項又は第3項の規定に違反した者(第4号)、第68条の規定に違反した者(第5号)、第72条の5第1項の規定による命令に違反した者(第6号)を、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  • 景品表示法第46条第1項 — 措置命令に違反したときは、2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金。同条第2項が併科を定める。
  • 景品表示法第48条 — 自己の供給する商品又は役務の取引における内容について著しく優良であると一般消費者を誤認させるような表示をしたとき(第1号)、取引条件について著しく有利であると一般消費者を誤認させるような表示をしたとき(第2号)を、100万円以下の罰金。
  • 健康増進法第71条 — 第66条第2項の規定に基づく命令に違反した者を、6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
  • 医療法第87条 — 第6条の5第1項の規定に違反したとき(第1号)と、第6条の8第2項の規定に基づく命令又は処分に違反したとき(第3号)を、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。

薬機法の罰則の条ごとの内容は薬機法の刑事罰、行政の措置から刑事罰までの流れは薬機法に違反するとどうなるかにあります。

課徴金が重なるときの調整

課徴金については、条文の側に調整の規定が置かれています。

課徴金の算定率は、2つの法律でもともと別の数字です。薬機法第75条の5の2第1項は対価合計額の100分の4.5、景品表示法第8条第1項は売上額の100分の3です。

景品表示法の側は、同条第5項により率が変わることがあります。対象は、基準日から遡り10年以内に確定した課徴金納付命令を受けたことがあり、かつその命令の日以後において課徴金対象行為をしていた者です。この場合、第1項の「百分の三」が「百分の四・五」となります。

薬機法第75条の5の3の減額に用いられている100分の3は、この売上額ではなく、薬機法の側の対価合計額に乗じる率として同条に書かれた数字です。薬機法の課徴金の計算と手続は薬機法の課徴金、景品表示法の課徴金の加重・減額は優良誤認と有利誤認で扱っています。

それぞれの法律の条文は、どの版で確認すればよいのか

法令番号と、e-Gov 法令検索の版で特定します。4つの法律は別々に改正されるため、条番号だけでは、どの時点の条文かが定まりません。

本ページが確認した版と施行日は表3のとおりです。

e-Gov 法令検索は、法令ごとに版を持っています。版は「法令ID+施行日+その施行の根拠となる改正法令のID」という形で示され、同じ条番号でも、版が違えば内容が違うことがあります。

条番号だけを控えるのは、本の書名とページ番号だけを控えて、版数を書き忘れるのに似ています。刷り直されれば、同じページに別の文章が載ります。本ページが条文を写した版は、次のとおりです。

表3:本ページが確認した版と、詳しく扱っている公開済みページ
法律法令番号確認した版と施行日詳しく扱っているページ
薬機法昭和35年法律第145号335AC0000000145_20260521_505AC0000000063(2026年5月21日施行)薬機法とは何を規制する法律か第66条第68条
景品表示法昭和37年法律第134号337AC0000000134_20260521_504AC0000000048(2026年5月21日施行)優良誤認と有利誤認
健康増進法平成14年法律第103号414AC0000000103_20251212_507AC0000000087(2025年12月12日施行)健康増進法第65条サプリメントの表現はどこまで書けるか
医療法昭和23年法律第205号323AC0000000205_20260605_508AC0000000031(2026年6月5日施行)医療広告規制はなぜ限定列挙なのか限定解除の4要件

表3の版はいずれも e-Gov 法令検索で 2026-09-08 に確認したものです。

薬機法の条番号は、令和7年法律第37号により2027年5月20日から一部が繰り下がります。広告に関するところでは、第72条の5(違反広告に係る措置命令等)が第72条の6になります。施行日別に変わる条文は改正の時間軸、旧い条番号のまま説明されている記述の更新は古い理解の一覧で扱っています。

要点

条番号だけを引くと、どの法律のどの版かが決まりません。法令名・条番号・版(または施行日)の3点をそろえて記録すると、後から同じ条文に戻れます。

理解の確認

同じ1つの表示物でも、景品表示法第5条と他の3つの法律とで名宛人の範囲が違ってくるのは、条文の書き出しがどう違うからか。

薬機法第66条第1項、健康増進法第65条第1項、医療法第6条の5第1項は「何人も」で始まり、表示をした者が誰であるかを問わない書き方になっています。景品表示法第5条だけが「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き、名宛人を事業者に限ったうえで、自己が供給する商品又は役務の取引という範囲を重ねています。限定が2つ重なっている分、条文の文言が及ぶ範囲は他の3つより狭くなります。

根拠:薬機法第66条第1項、健康増進法第65条第1項、医療法第6条の5第1項、景品表示法第5条(法令確認日 2026-09-08)

医療法第6条の5が、第1項で虚偽の広告を禁じるだけで終わらず、第3項で広告することができる事項を列挙しているのは、規制のかけ方がどう違うからか。

薬機法第66条第1項の「虚偽又は誇大」や健康増進法第65条第1項の「著しく事実に相違する表示」は、してはならない表示の側から線を引いています。医療法第6条の5第3項は「次に掲げる事項以外の広告をしてはならない」と書いて第1号から第16号までを挙げ、書くことができる事項の側から範囲を区切っています。線の引き方が逆向きなので、書かれた内容が事実であるかどうかと、第3項が求めているものとは別の事柄になります。第3項には、厚生労働省令で定める場合が例外として置かれています。

根拠:医療法第6条の5第1項・第3項、薬機法第66条第1項、健康増進法第65条第1項(法令確認日 2026-09-08)

薬機法の課徴金の条文の中に、景品表示法第8条第1項の命令や同法第11条の不納付という他の法律の場面が書き込まれているのは、2つの法律の関係がどうなっているからか。

4つの法律はそれぞれ独立していて、主語・客体・禁止行為を自分の条文に置いています。そのため1つの表示が複数の法律の文言に同時に当てはまることがあり、薬機法と景品表示法の課徴金が同じ行為に及ぶ場面が生じます。薬機法第75条の5の3は、その場面で対価合計額に100分の3を乗じて得た額を課徴金の額から減額するものとしており、重なりが起きる前提で調整を置いた規定です。一方が適用されれば他方が退くという関係ではないことが、条文の側から読み取れます。

根拠:薬機法第75条の5の3、景品表示法第8条第1項・第11条(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条・第66条・第68条・第72条の4・第72条の5・第75条の5の2・第75条の5の3・第85条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。版 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026年5月21日。2027年5月20日施行分は版 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037 で確認)
  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第2条・第5条・第7条・第8条・第11条・第38条・第46条・第48条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。版 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048、施行日 2026年5月21日)
  • 健康増進法(平成14年法律第103号)第65条・第66条・第71条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。版 414AC0000000103_20251212_507AC0000000087、施行日 2025年12月12日)
  • 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5・第6条の6・第6条の7・第6条の7の2・第6条の8・第87条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026年6月5日)