30秒でわかる要点
- 食品として販売する物の表示・広告に正面からかかるのは、健康増進法第65条第1項。名宛人は「何人も」で、製造業者・販売業者に限らず、新聞社や放送事業者などの広告媒体事業者等も対象となり得る。禁じているのは、健康保持増進効果等について著しく事実に相違する表示と、著しく人を誤認させるような表示。
- 疾病の治療又は予防を目的とする効果と、身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果は、著しく事実に相違するか、著しく人を誤認させるかを問わず、医薬品としての承認を受けない限り表示することはできない、と留意事項は書いている。特定の保健の用途に適する旨の効果は許可(健康増進法第43条第1項)、栄養成分の効果は食品表示基準が入口。
- 医薬品的な効能効果の標ぼうとみなされるかどうかは、書かれた場所を問わない。容器、包装、添付文書、チラシ、インターネット等の広告宣伝物、演述のいずれでも同じで、名称、含有成分、製法、起源等の記載説明による暗示も含む(昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙Ⅰの2)。
食品として販売する物の表示・広告には、どの法律がかかるのか
健康増進法第65条第1項が正面から定めています。薬機法、食品表示法、景品表示法、食品衛生法、特定商取引法が重ねて適用され得ます。
指針は、健康増進法第65条第1項に違反し、又は違反が疑われる広告等について、他法令の規定にも違反している可能性が十分にあり得るとしています。
食品として販売する物の表示・広告にかかる法律は、健康増進法だけではありません。消費者庁の指針は、健康増進法のほかに5つの法律を名前で挙げています。食品衛生法、薬機法(医薬品医療機器等法)、景品表示法、特定商取引法、食品表示法です。
指針は、これらを所管する行政機関との連携体制を確保するよう求めています。1つの表示が複数の法律の規定に同時に触れ得る、という前提に立った書き方です。
食品の表示・広告を対象とする規定をもつ法律として、健康増進法のほかに、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特商法」という。)、食品表示法(平成25年法律第70号)等がある。健康増進法第65条第1項の規定に違反し、又は違反が疑われる広告等は、これら広告等を規制する他法令の規定に違反し、又は違反している可能性が十分にあり得る。
食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号、消費者庁表示対策課)第1の3「食品」と「食品として販売に供する物」
健康増進法と薬機法は、言葉の定義のところで交差します。健康増進法の「食品」は、薬機法上の「医薬品」を除く全ての飲食物と解されています。医薬品的効能効果を標ぼうする物は薬機法上の「医薬品」に当たるため、健康増進法の「食品」からは外れることになります。
そこで条文は、受け皿を一回り大きく取っています。第65条第1項が規制対象としているのは「販売に供する食品」ではなく「食品として販売に供する物」です。留意事項の脚注が、この書き分けの理由を書いています。
健康増進法における「食品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年8月10日法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)上の「医薬品」を除く全ての飲食物をいうものと解されている。そのため、医薬品的効能効果を標ぼうするものは、食品として販売するものであっても、医薬品医療機器等法上の「医薬品」に該当し、健康増進法の「食品」には該当しない。しかし、医薬品的効能効果を標ぼうして販売しているものについても、健康保持増進効果等についての虚偽誇大表示を禁止する必要があることから、健康増進法第65条第1項は、「販売に供する食品」に限定せず、「食品として販売に供する物」を規制対象としている。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日、消費者庁表示対策課)第2の1⑴ 脚注1この結果、食品として販売される無承認無許可医薬品は、両方の規制の下に置かれます。指針は、この場合に薬機法の主管課室に加え、健康増進法の主管課室および食品衛生法の主管課室がそれぞれ監視指導を行い得るとしています(第2の2⑴)。
薬機法の側で広告に何が禁じられているかは第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止と第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱います。3法の重なりと所管は食品広告は誰が責任を負うか — 3法の重なりと所管にあります。
健康増進法第65条第1項は、何を禁じているのか
食品として販売に供する物について、健康保持増進効果等に関し、著しく事実に相違する表示と、著しく人を誤認させるような表示を禁じています。
名宛人は「何人も」で、食品等の製造業者、販売業者等に限定されません(指針 第2の1)。
条文は3つの部分でできています。名宛人は「何人も」。対象は「食品として販売に供する物に関して」する「広告その他の表示」。禁じられるのは「健康保持増進効果等」についての「著しく事実に相違する表示」と「著しく人を誤認させるような表示」です。
前の2つをこの節で見ます。3つ目については、「健康保持増進効果等」の中身を次の節で、「著しく」の意味を後の節で扱います。
名宛人 — 「何人も」
指針は、同項が対象とする者は食品等の製造業者、販売業者等に何ら限定されないとしています。新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社等の広告媒体事業者等も対象となり得ます。
ただし、指針は運用の順序も書いています。虚偽誇大広告について第一義的に規制の対象となるのは健康食品の製造業者、販売業者であるから、直ちに広告媒体事業者等に対して健康増進法を適用することはない、というものです。適用があり得るのは、当該表示の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等、特別な事情がある場合です(第2の1)。
対象 — 「広告その他の表示」
指針は、これを顧客を誘引するための手段として行う広告その他の表示であるとしています。個々の表示が該当するかどうかはチラシやCMといった形態のみならず、その内容や表示方法にも着目する必要があるとしています(第2の2⑵)。
商品名が出ていない広告等も、それだけで外れるわけではありません。消費者庁のQ&Aは、広告その他の表示において具体的な商品名が明示されていない場合であっても、そのことをもって直ちに健康増進法上の「表示」に該当しないと判断されるものではないとしています。広告等における説明などによって特定の商品に誘引するような事情が認められるときは、健康増進法上の「広告その他の表示」に該当するとされています(健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A Q2)。
薬機法の側の広告該当性は、これとは別の3要件で判断されます(そもそも「広告」とは)。
留意事項の脚注は、健康増進法第43条で規制している特別用途表示の「表示」にも、容器包装における表示のみならず広告が含まれるとし、第65条第1項が「広告その他の表示」としているのは、特にインターネット広告を通じた虚偽誇大表示による販売を規制する必要性が高いことから、広告が規制の対象であることを明確化する趣旨であるとしています(第3の2 脚注6)。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
食品の虚偽誇大な表示は、健康増進法第31条が禁じている。
現行
誇大表示の禁止は第65条第1項に置かれている。現行の第31条は「受動喫煙を防止するための措置」の節にあり、都道府県知事が特定施設等の管理権原者等に対して行う指導及び助言を定める規定。
根拠:健康増進法第31条・第65条第1項(e-Gov 法令検索、2025年12月12日施行版、2026-09-08 確認)。旧番号の記載は、無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号/最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添マニュアルに「場合によっては健康増進法第31条等他法令に抵触するおそれがあるので」として複数箇所に残っている。第31条から第65条へ条番号が移った改正法の番号と施行日は、本ページの参照資料では確認できていない。
「健康保持増進効果等」には、何が含まれるのか
健康の保持増進の効果の4類型と、内閣府令が定める4つの事項です。暗示的又は間接的に表示するものも含まれます。
指針は、後半について、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21年内閣府令第57号)第19条が定めるものとしています(第2の2⑶②)。
条文上の「健康保持増進効果等」は、「健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項」です。前半と後半で中身が違うので、分けて見ます。
前半 — 健康の保持増進の効果(4類型)
指針と留意事項は、これを健康状態の改善又は健康状態の維持の効果とし、次の4つを挙げています。
- 疾病の治療又は予防を目的とする効果
- 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果
- 特定の保健の用途に適する旨の効果
- 栄養成分の効果
指針は、このうち1と2が医薬品的な効能効果に相当するとしています。
3の「特定の保健の用途」は、健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表現するものです。指針は次の3つを挙げています。
- 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
- 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
- 身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨
留意事項は、これに「疾病リスクの低減に資する旨(医学的、栄養学的に広く確立されているもの)」を加えた4つを挙げています。
後半 — 内閣府令で定める事項(4つ)
指針は、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21年内閣府令第57号)第19条において次に掲げるものを定めることとしているとして、次の4つを挙げています(第2の2⑶②)。
- 含有する食品又は成分の量
- 特定の食品又は成分を含有する旨
- 熱量
- 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果
この4つについて、指針は「健康の保持増進の効果とともに、国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることに関係する場合において規制対象となる」と書いています(第2の2⑶②)。
明示していなくても表示に当たるとされるもの
健康保持増進効果等の表示は、明示的又は直接的なものに限りません。広告等全体でみた場合に間接的に健康保持増進効果等を表示していると一般消費者が認識し得るものも含まれます。
留意事項は次の6つを挙げています。指針が挙げるのは、このうち4番目を除く5つです。
- 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
- 含有成分の表示及び説明により表示するもの
- 起源、由来等の説明により表示するもの
- 身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示して表示するもの
- 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話やアンケート結果、学説、体験談などを引用又は掲載することにより表示するもの
- 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの
要点
留意事項は、「『健康保持増進効果等』を表示したことをもって直ちに虚偽誇大表示に該当するものではなく、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示をする場合に虚偽誇大表示に該当することになる」と書いています(第2の2)。
効果に関する表示ができるかどうかは、何によって決まるのか
類型ごとに別の法令が入口を定めています。留意事項は、承認・許可・基準を要する類型について「著しく」に当たるかを問わないと書いています。
この整理は、留意事項 第2の2の末尾に置かれた3つの段落(「なお」「また」「さらに」で始まるもの)にあります。
前の節で挙げた4類型は、虚偽誇大かどうかの判断だけで扱われるものではありません。類型ごとに、その手前に通らなければならない入口が、別の法令に置かれています。アとイは薬機法の承認、ウは健康増進法の許可、エは食品表示基準です。
留意事項は、第2の2の末尾に3つの段落を置き、「なお」で始まる段落でア・イを、「また」で始まる段落でウを、「さらに」で始まる段落でエを、それぞれ別の法令に結び付けています。
なお、前記⑴ア及びイのような医薬品的な効果効能を標ぼうするものは、医薬品医療機器等法上の医薬品とみなされ、野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物を除き、原則として、医薬品医療機器等法上の承認を受けずにその名称、製造方法、効能、効果に関する広告をしてはならない(医薬品医療機器等法第68条)。したがって、前記⑴ア及びイに掲げる健康保持増進効果等の表示は、当該表示が著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させる表示であるかを問わず、医薬品としての承認を受けない限り、表示することはできない。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第2の2の「なお」で始まる段落ウの入口は、健康増進法第43条第1項の許可です。
条文上の許可権者は内閣総理大臣です。この法律による権限は、政令で定めるものを除き消費者庁長官に委任されています(第69条第3項)。留意事項は「消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43条第1項)」と書いています。
4類型と、内閣府令が定める4事項について、指針・留意事項が書いている内容は次のとおりです。
| 類型 | 指針・留意事項が書いている内容 | 出典の箇所 |
|---|---|---|
| ア 疾病の治療又は予防を目的とする効果 | 医薬品医療機器等法上の医薬品とみなされ、明らかに食品と認識される物を除き、原則として、承認を受けずにその名称、製造方法、効能、効果に関する広告をしてはならない(同法第68条)。著しく事実に相違するか、著しく人を誤認させるかを問わず、承認を受けない限り表示することはできない | 留意事項 第2の2の「なお」で始まる段落 |
| イ 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果 | アと同じ記載 | 留意事項 第2の2の「なお」で始まる段落 |
| ウ 特定の保健の用途に適する旨の効果 | 販売に供する食品につきこの表示をしようとする者は、消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43条第1項)。著しく事実に相違するか、著しく人を誤認させるかを問わず、許可を受けない限りすることができない | 留意事項 第2の2の「また」で始まる段落 |
| エ 栄養成分の効果 | 食品表示基準に従った表示をしなければならない。著しく事実に相違するか、著しく人を誤認させるかを問わず、食品表示基準に従って表示をしなければならない | 留意事項 第2の2の「さらに」で始まる段落 |
| 内閣府令で定める4事項(含有する食品又は成分の量、特定の食品又は成分を含有する旨、熱量、人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果) | 健康の保持増進の効果とともに、国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることに関係する場合において規制対象となる | 指針 第2の2⑶②のなお書き |
表の2列目は、いずれも出典元の文書が書いている内容です。表示が第65条第1項の禁止に当たるかどうかの判断は、この表とは別に、次の節の基準で行われます。
エ(栄養成分の効果)には、留意事項の脚注が付いています。栄養成分の体内における作用を示す表現かどうかで、扱いが分かれます。
なお、前記⑴エについては、栄養成分の体内における作用を示す表現である場合には、医薬品的な効能効果に該当する。ただし、特定商品に関連しない栄養に関する一般的な知識の普及については、この限りではない。他方、具体的な作用を標ぼうせずに単に健康維持に重要であることを示す表現又はタンパク質、カルシウム等生体を構成する栄養成分について構成成分であることを示す表現は、直ちに医薬品的な効能効果に関するものには該当しない。
同 第2の2 脚注4アとイに置かれている入口は、薬機法第68条です。同条が誰に対して何を禁じているかは第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱います。保健機能食品の3つの制度それぞれの要件は特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品 — 3つの区分の違いと、2024年の見直しの経過措置で扱います。
「著しく事実に相違する」「著しく人を誤認させる」とは、どういう意味か
誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指します。判断は、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準です。
指針は、この2つを第2の3で説明しています。
「著しく」「事実に相違する」「人を誤認させる」の3つを、指針は分けて説明しています。順に見ます。
「著しく」
誇張・誇大の程度が、社会一般に許容されている程度を超えていることを指します。その程度を超えるかどうかは、当該広告その他の表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかで判断されます。
具体的に何が「著しく」に該当するかの判断は、個々の広告その他の表示に即してなされるべきであるが、ここにいう「著しく」とは、誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指しているものであり、誇張・誇大が社会一般に許容される程度を超えるものであるかどうかは、当該広告その他の表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかで判断され、その誤認がなければ顧客が誘引されることは通常ないであろうと認められる程度に達する広告その他の表示が該当する。
指針(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号)第2の3⑴「事実に相違する」
広告その他の表示に表示されている健康保持増進効果等と、実際の健康保持増進効果等が異なることを指します。指針は、十分な実験結果等の根拠が存在しないにもかかわらず実証されている旨を表示する場合や、体験談をねつ造等し、又はねつ造された資料を表示した場合等がこの状態に該当するとしています。
「人を誤認させる」
食品等の広告その他の表示から認識することとなる健康保持増進効果等の「印象」や「期待感」と、健康の保持増進の実際の効果等に相違があることを指します。
指針は、社会常識や用語等などの一般的な意味などを基準に判断してこうした差が生じる可能性が高いと認められる場合には「誤認させる」ものに該当するというべきであるとしています。現実に一般消費者が誤認したという結果まで必要としない、とも書かれています。
そのうえで指針は、次の場合を「一般的にこれに該当するものと考えられる」と記載しています。
- 特定の成分について、健康保持増進効果等が得られるだけの分量を含んでいないにもかかわらず、生活習慣を改善するための運動等をしなくても、摂り過ぎた栄養成分若しくは熱量又は体脂肪若しくは老廃物質等を排出し、又は燃焼させることをイメージさせる
- 健康保持増進効果等に関し、メリットとなる情報を断定的に表示しているにもかかわらず、デメリットとなる情報(効果が現れない者が実際にいること、一定の条件下でなければ効果が得られにくいこと 等)が表示されておらず、又は著しく消費者が認識し難い方法で表示されている
- 健康の保持増進の効果等について公的な認証があると表示しておきながら、実際には、当該効果等に係る認証を受けていない
- 根拠となる学術データのうち、当該食品にとって不都合な箇所を捨象し、有利な箇所のみを引用する
打消しの文言と、判断の単位
打消しの文言についても記載があります。留意事項は、アンケートやモニター調査等の結果の使用について次のように書いています。
なお、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、アンケート結果等を含む表示内容全体から当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。
留意事項 第4の1⑴ウのなお書き。同 脚注12は、第4の1⑴イないしエのような表示について、機能性表示食品や栄養機能食品、保健機能食品以外の健康食品でも同様であるとしている判断の単位は、個々の語句ではなく表示の全体です。留意事項は、表示例を挙げる章の冒頭でこの点を先に断っています。
虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではない。また、一般消費者が表示から受ける認識、印象、期待は、表示された一部の用語や文言のみで判断されるものではなく、当該用語等のほか周辺に記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、時にはコントラストも含め、表示全体で判断することとなる。したがって、虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示ごとに個別具体的に判断しなければならず、一律に違反となる表示例、又は違反とならない表示例を示すことは容易ではない。
留意事項 第4の柱書食品の表示が医薬品的な効能効果とみなされるのは、どのような場合か
疾病の治療予防や、身体の組織機能の一般的増強、増進の効能効果が、容器、包装、添付文書、広告宣伝物あるいは演述によって表示説明されている場合です。
名称、含有成分、製法、起源等の記載説明でこれと同様な効能効果を標ぼうし、又は暗示するものも同様とされています。
基準を置いているのは、昭和46年6月1日 薬発第476号の別紙「医薬品の範囲に関する基準」です。別紙は、人が経口的に服用する物が薬機法第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かを、総合的に判断すべきものとしています。
判断の材料として挙げられているのは、その物の成分本質(原材料)、形状、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、販売の際の演述等です。
このうち表示に関わるのが、別紙Ⅰの2「医薬品的な効能効果の解釈」です。どこに書かれていたかを問わない書き方になっています。
その物の容器、包装、添付文書並びにチラシ、パンフレット、刊行物、インターネット等の広告宣伝物あるいは演述によって、次のような効能効果が表示説明されている場合は、医薬品的な効能効果を標ぼうしているものとみなす。また、名称、含有成分、製法、起源等の記載説明においてこれと同様な効能効果を標ぼうし又は暗示するものも同様とする。
無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号/最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」Ⅰの2挙げられている類型は3つです。(一) 疾病の治療又は予防を目的とする効能効果、(二) 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果、(三) 医薬品的な効能効果の暗示。(二) にはただし書があり、「栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない」と書かれています。
(三) は、次の5つに分かれます。
- 名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの
- 含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの
- 製法の説明よりみて暗示するもの
- 起源、由来等の説明よりみて暗示するもの
- 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの
判定の手順
手順は別紙Ⅱに置かれています。成分本質(原材料)を分類し、効能効果、形状及び用法用量について医薬品的であるかどうかを検討したうえで、別紙が示す「医薬品とみなす範囲」に該当するものを、原則として医薬品とみなすものとされています。
2種以上の成分が配合されている物については、各成分のうちいずれかが医薬品と判定される場合は当該製品を医薬品とみなすものとされています。ここにもただし書が付いていて、この限りでないとされるのは次の場合です。
当該成分が薬理作用の期待できない程度の量で着色、着香等の目的のために使用されているものと認められ、かつ、当該成分を含有する旨標ぼうしない場合等、総合的に判断して医薬品と認識されるおそれのないことが明らかな場合。
栄養機能食品については、別紙Ⅰの2に、食品表示基準第2条第1項第11号の規定に基づき内閣総理大臣が定める基準に従い栄養成分の機能の表示をするものについて、その表示等を医薬品的な効能効果と判断しないこととして差し支えないとする記載があります。別紙Ⅰの4には用法用量についての同様の記載があり、続けて、「食前」「食後」「食間」など通常の食品の摂取時期等とは考えられない表現を用いるなど医薬品と誤認させることを目的としていると考えられる場合においては、引き続き医薬品的用法用量の表示とみなすものとする、と書かれています。
成分本質(原材料)の分類そのものは、この通知が引く別の課長通知(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」)に移されています。形状と用法用量の解釈を含む食薬区分の全体は食薬区分 — 医薬品と判断される4つの要素と、判定を要しない3類型で扱います。
通知に残る条番号
この通知の別紙は、柱書のただし書で、通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識しないものと判断して差し支えない物を3つ挙げています。その2つ目が特別用途食品ですが、根拠として書かれている条番号は、現行の健康増進法のものではありません。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
特別用途食品の表示は、健康増進法第26条の規定に基づき、厚生労働大臣の許可を受けて行う。
現行
特別用途表示の許可は第43条第1項に置かれ、許可権者は内閣総理大臣。この法律による権限は、政令で定めるものを除き消費者庁長官に委任されている(第69条第3項)。令和4年12月5日一部改定の留意事項も「消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43条第1項)」と書いている。
根拠:健康増進法第43条第1項・第69条第3項(e-Gov 法令検索、2025年12月12日施行版、2026-09-08 確認)。旧番号の記載は、昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙の柱書ただし書「健康増進法(平成14年法律第103号)第26条の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品」(最終改正 令和2年3月31日)と、無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号/最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添マニュアルの5⑴「健康増進法第26条の規定に基づき厚生労働大臣の許可を受けた特別用途食品」に残っている。
行政の文書には、発出当時の条番号と機関名がそのまま残ります。ほかの旧条番号・旧法令名の一覧は古い理解の一覧 — 現行の条文と食い違う記述を更新するで扱います。
第65条第1項に違反したとき、誰が何をするのか
消費者庁が表示を改善するよう指導を行います。要件を満たすときは内閣総理大臣又は都道府県知事が勧告し、勧告に従わないときは命令ができます。
指導と勧告の公表は留意事項 第3の6⑵に書かれています。命令に違反した者への罰則は第71条です。
手順は3段です。まず指導、要件を満たすときは勧告、勧告に従わないときは命令、という順に並んでいます。条文にあるのは勧告と命令だけですが、留意事項はその手前に指導の段階を置き、勧告については公表することも書いています。
消費者庁は、健康増進法第65条第1項の規定に違反して表示した者がある場合は、その者に対し、当該表示を改善するよう指導を行う。
また、消費者庁は、健康増進法第66条第1項に基づき、同項の規定に違反して表示した者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができ、勧告を行った際は公表する。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第3の6⑵勧告の要件
要件は「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」です。これに当たる場合について、留意事項は次のように書いています。
ここでいう「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」とは、例えば、表示されている健康保持増進効果等に関する苦情等が関係機関に数多く寄せられている場合や、当該食品を摂取した者が健康を害したとする苦情等が関係機関に相当数寄せられている場合、(中略)健康保持増進効果等に係る虚偽誇大表示がなされることにより、診療を要する疾患等を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがある場合は、これに当たるものといえる。
同 第3の6⑵この要件の文言は、文書によって記載が異なります。令和2年4月1日一部改正の指針は「国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」と書いており(第3の1)、現行の条文と、令和4年12月5日一部改定の留意事項は、上のカードのとおり「及び国民に対する正確な情報の伝達」を含む文言です。
勧告の内容は個々の事例により異なります。指針が挙げているのは、広告その他の表示の掲載の差止め等、勧告を受けた者が実施しなければならない措置です。これとともに、当該措置の実施に関する合理的な範囲内での期限と、措置を実施したことの報告が併せて勧告される場合もあるとしています。命令についても同様の記載があります(第3の1・2)。
罰則
第43条第1項に違反した者には、第72条第2号により五十万円以下の罰金が定められています。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
健康増進法第66条第2項の命令に違反した場合の罰則は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金である。
現行
第71条は「六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と規定する。罰金額は同じで、刑名が異なる。
根拠:健康増進法第71条(e-Gov 法令検索、2025年12月12日施行版、2026-09-08 確認)。消費者庁の指針(令和2年4月1日一部改正)と留意事項(令和4年12月5日一部改定)は、いずれも発出時点の刑名で「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」と記載している。刑名の変更そのものについては、古い理解の一覧を参照。
勧告等を行うのは国だけではない
指針が挙げているのは、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第51号)の施行です。これにより、平成28年4月1日以降は都道府県並びに保健所設置市及び特別区においても勧告等の施行事務を行うこととなったとしています(第4の2⑵)。
留意事項も、各都道府県、保健所設置市及び特別区においても健康増進法が運用されており、都道府県知事、保健所設置市長及び特別区長が同じ要件の下で勧告をすることができると書いています(第3の6⑵のなお書き)。都道府県知事は、権限を行使したときはその旨を内閣総理大臣に通知します(第66条第4項)。
健康増進法第65条・第66条そのものの解説は健康増進法第65条 — 誇大表示の禁止と勧告・命令にあります。
立入検査と収去の規定も準用されています。第66条第3項は、食品として販売に供する物であって健康保持増進効果等についての表示がされたもの(特別用途食品及び第63条第1項の承認を受けた食品を除く。)について第61条を準用し、同条第3項により、この権限は食品衛生法第30条第1項に規定する食品衛生監視員が行います。指針は、準用される第61条第1項に規定する消費者庁長官の権限が、製造施設、貯蔵施設又は販売施設の所在地を管轄する地方厚生局長に委任されていること、ただし消費者庁長官が自ら当該権限を行使することを妨げていないことも書いています(第3の3)。なお、令和2年4月1日一部改正の指針は、準用の対象から除かれるものとして、現行の第66条第3項が挙げる2つに「販売に供する食品であって栄養表示がされたもの」を加えた3つを挙げています。
理解の確認
第65条第1項が規制対象を「販売に供する食品」ではなく「食品として販売に供する物」としているのはなぜか。
健康増進法の「食品」は薬機法上の「医薬品」を除く全ての飲食物と解されているため、医薬品的効能効果を標ぼうする物は薬機法上の「医薬品」に当たり、健康増進法の「食品」からは外れてしまう。それでも健康保持増進効果等についての虚偽誇大表示は禁じる必要があることから、条文は「食品」に限定せず、受け皿を一回り大きく取っている。この結果、食品として販売される無承認無許可医薬品は、薬機法と健康増進法の両方の規制の下に置かれる。
根拠:健康増進法第65条第1項/健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日、消費者庁表示対策課)第2の1⑴ 脚注1(法令確認日 2026-09-08)
健康保持増進効果等の4類型のうちア・イについて、留意事項が「著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させる表示であるかを問わず」と書いているのはなぜか。
ア(疾病の治療又は予防を目的とする効果)とイ(身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果)は医薬品的な効能効果に相当し、これを標ぼうする物は医薬品医療機器等法上の医薬品とみなされる。明らかに食品と認識される物を除き、原則として承認を受けずに名称、製造方法、効能、効果に関する広告をしてはならないとされているため(同法第68条)、表示できるかどうかは承認という別の入口の側で先に決まる。ウは健康増進法第43条第1項の許可、エは食品表示基準が同じ位置に置かれた入口で、留意事項はいずれについても同じ「問わず」の書き方をしている。
根拠:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第2の2の「なお」「また」「さらに」で始まる各段落/医薬品医療機器等法第68条・健康増進法第43条第1項(法令確認日 2026-09-08)
「個人の感想です」と併記すれば虚偽誇大表示等には当たらなくなる、という理解は、留意事項の記述とどこで食い違うか。
留意事項は、「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではないと書いている。判断の単位が個々の用語や文言ではなく表示全体だからで、一般消費者が受ける認識、印象、期待は、周辺に記載されたその他の表現や写真、イラスト、時にはコントラストも含めた全体で判断されるとされている。アンケート結果等を含む表示内容全体から当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、打消しの文言があっても虚偽誇大表示等に当たる。
根拠:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第4の1⑴ウのなお書き・第4の柱書(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 3-1 食薬区分 — 医薬品と判断される4つの要素と、判定を要しない3類型 人が経口的に服用する物が薬機法第2条第1項第2号又は第3号の医薬品に当たるかどうかは、条文の側では決まりません。
- 3-3 特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品 — 3つの区分の違いと、2024年の見直しの経過措置 「保健機能食品」は、特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品の3つをまとめて指す語で、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第9条第1項第10号の括弧書きに置かれています。
- 7-5 健康増進法第65条 — 誇大表示の禁止と勧告・命令 食品の広告で健康への効果を著しく誇張してはならない。
- 3-4 食品広告は誰が責任を負うか — 3法の重なりと所管 食品の広告その他の表示にかかるのは、健康増進法と景品表示法です。
- 健康増進法(平成14年法律第103号)第31条、第43条、第61条、第65条、第66条、第69条、第71条、第72条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2025年12月12日施行版)
- 食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号、消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(制定 平成25年12月24日/全部改定 平成28年6月30日/一部改定 令和4年12月5日、消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A(令和6年7月作成、消費者庁)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号/最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号/最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項、第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)