30秒でわかる要点
- 食品の効果の表示には、健康増進法がかかる:健康増進法第65条第1項は、食品として売る物の広告や表示を対象にしています。禁じているのは、健康保持増進効果等(健康によい効果など)について、著しく事実に相違する表示と、著しく人を誤認させるような表示です。禁止の対象は「何人も」(なんぴとも。誰でも、という意味)です。消費者庁の留意事項は、健康食品の表示の考え方をまとめた文書です。留意事項によれば、アンケート結果などに「個人の感想です」などと添えても、虚偽誇大表示等(うそや大げさな表示など)にあたるかどうかの判断には影響しません。
- 病気の治療・予防などの効果は、承認が先:留意事項は、病気の治療・予防を目的とする効果と、体の組織や機能を全般的に強める・高めることを主な目的とする効果を挙げています。この2つは、「著しく」かどうかを問わず、医薬品としての承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)を受けない限り表示できない、としています。特定の保健の用途に適する旨の効果(健康の維持や増進に役立つ・適する、という効果)は、健康増進法第43条第1項による表示の許可が入口です。栄養成分の効果は、食品表示基準(食品の表示について国が定めたルール)が入口です。
- 商品名や成分の説明でも「うたった」とみなされ得る:46通知は、1971年(昭和46年)に出た国の通知(役所が法律の運用のしかたを示す文書)の1つです。46通知は、医薬品的な効能効果(病気の治療・予防など、医薬品のような効き目)をうたっているかどうかを、書かれた場所を問わずに見ます。容器・包装・添付文書(製品に添えた説明の文書)・チラシ・インターネット等の広告・口頭の説明のどれでも同じです。名称・含有成分・製法・起源などの説明による暗示も含みます(46通知 別紙Ⅰの2)。
1. サプリメントなど食品の広告や表示には、どの法律がかかるのですか?
正面から規制するのは、健康増進法第65条第1項です。薬機法・食品表示法・景品表示法(不当な表示や景品を規制する法律)・食品衛生法・特定商取引法も、重ねてかかり得ます。
消費者庁の指針(運用の考え方を示す文書)は、第65条第1項への違反やその疑いがある広告等は、ほかの法律にも違反している可能性が十分にあり得る、としています。
サプリメントなどを「食品として」売るとき、その広告や表示にかかる法律は、健康増進法だけではありません。消費者庁の指針は、健康増進法のほかに、食品衛生法・薬機法(医薬品医療機器等法)・景品表示法・特定商取引法・食品表示法を挙げています。
指針は、これらの法律を担当する行政機関と連携する体制を整えるよう求めています。このページが主に扱うのは、健康増進法と薬機法の2つです。
例
A社が、サプリメントのチラシを1枚作ったとします。健康への効果の書き方は、健康増進法の面から見られます。病気の予防などをうたっていれば、薬機法の面からも見られます。同じ1枚のチラシが、いくつもの法律の対象になり得ます。
このページでは、消費者庁の3つの文書をよく引きます。「指針」「留意事項」と、第65条第1項の適用についての問答集「Q&A」です。
「食品として」売る物まで対象にしている理由
健康増進法と薬機法は、言葉の定義のところで重なります。留意事項の脚注1は、次のように説明しています。
健康増進法の「食品」は、薬機法の「医薬品」を除く、すべての飲食物と解されています。すると、困ることが起きます。医薬品的な効能効果(病気の治療・予防など、医薬品のような効き目)をうたう物は、食品として売っていても、薬機法の「医薬品」にあたります。そのため、健康増進法の「食品」からは外れてしまいます。
それでも、こうした物についても、健康保持増進効果等の虚偽誇大表示(うそや大げさな表示)は禁じる必要があります。そこで第65条第1項は、対象を「販売に供する食品」に限らず、「食品として販売に供する物」としています。
直感的なポイント
「食品」という箱で受け止めようとすると、医薬品にあたる物が箱からこぼれます。そこで条文は、食品として売られている物という、一回り大きな箱で受け止めています。
この結果、食品として売られる無承認無許可医薬品(必要な承認や許可を受けずに作られたり売られたりしている医薬品)は、両方の規制の下に置かれます。指針は、この場合、薬機法の担当課に加えて、健康増進法の担当課と食品衛生法の担当課も、それぞれ監視指導を行い得るとしています(第2の2⑴)。
原文で確かめる(指針と留意事項)
食品の表示・広告を対象とする規定をもつ法律として、健康増進法のほかに、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特商法」という。)、食品表示法(平成25年法律第70号)等がある。健康増進法第65条第1項の規定に違反し、又は違反が疑われる広告等は、これら広告等を規制する他法令の規定に違反し、又は違反している可能性が十分にあり得る。
食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号、消費者庁表示対策課)第1の3健康増進法における「食品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年8月10日法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)上の「医薬品」を除く全ての飲食物をいうものと解されている。そのため、医薬品的効能効果を標ぼうするものは、食品として販売するものであっても、医薬品医療機器等法上の「医薬品」に該当し、健康増進法の「食品」には該当しない。しかし、医薬品的効能効果を標ぼうして販売しているものについても、健康保持増進効果等についての虚偽誇大表示を禁止する必要があることから、健康増進法第65条第1項は、「販売に供する食品」に限定せず、「食品として販売に供する物」を規制対象としている。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日、消費者庁表示対策課)第2の1⑴ 脚注1薬機法の側で、広告に何が禁じられているかは、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』と第68条 承認前の広告禁止で扱います。3つの法律の重なりと、どの役所が担当するかは、『3-4 食品の広告、責任を負うのは誰?』にあります。
2. 健康増進法第65条第1項は、何を禁じているのですか?
食品として売る物の広告や表示で、健康保持増進効果等について、事実と著しく違う表示と、人を著しく誤認させるような表示を禁じています。
禁止の対象になる人(名宛人)は「何人も」(誰でも)とされ、食品等の製造業者・販売業者等に限られません(指針 第2の1)。
条文は、3つの部分に分けて読めます。
- 誰が:「何人も」、つまり誰でも
- どんな場面で:「食品として販売に供する物に関して」する「広告その他の表示」
- 何を禁じるか:「健康保持増進効果等」についての「著しく事実に相違する表示」と「著しく人を誤認させるような表示」
3つ目は、3.「健康保持増進効果等」と5.「著しく」の意味で説明します。
誰が対象か —「何人も」
指針は、この規定の対象は、食品等の製造業者・販売業者等に何ら限定されないとしています。新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社などの広告媒体事業者等も、対象となり得ます。
ただし指針は、虚偽誇大広告について第一義的に(まず)規制の対象となるのは、健康食品の製造業者と販売業者だとしています。そのため、直ちに広告媒体事業者等に健康増進法を適用することはない、としています(第2の1)。指針によれば、適用があり得るのは、表示の内容が虚偽誇大だと予見していた、または容易に予見できた場合など、特別な事情がある場合です。
例
ある健康食品の広告が、ウェブメディアに載ったとします。指針の考え方では、まず規制の対象となるのは、その食品の製造業者や販売業者です。メディアに健康増進法が適用され得るのは、上のような特別な事情がある場合です。
何が「表示」にあたるか —「広告その他の表示」
指針は、「広告その他の表示」を、客を引きつける(顧客を誘引する)ための手段として行う広告その他の表示としています。あたるかどうかは、チラシやCMといった形だけでは決まりません。その内容や表示の方法にも着目する必要がある、としています(第2の2⑵)。
商品名が出ていない広告も、それだけで対象から外れるわけではありません。Q&Aは、具体的な商品名が書かれていなくても、そのことだけで直ちに「表示」にあたらないと判断されるものではない、としています。広告の説明などによって特定の商品に誘引するような事情が認められるときは、「広告その他の表示」にあたるとしています(Q2)。
例
商品名を出さずに、ある成分の話だけを載せた記事があるとします。Q&Aの考え方では、記事の説明などによって特定の商品に誘引するような事情が認められれば、「広告その他の表示」として対象になり得ます。
薬機法の側で「広告」にあたるかどうかは、これとは別の3つの要件で判断されます(『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』)。
留意事項の脚注6によれば、第43条の特別用途表示の「表示」にも、容器包装の表示だけでなく広告が含まれます。第65条第1項が「広告その他の表示」と書くのは、広告が規制の対象であることを明確にする趣旨です。特にインターネット広告を通じた虚偽誇大表示による販売を、規制する必要性が高いためです(第3の2 脚注6)。
よく見かける説明では、この禁止を「健康増進法第31条」と書いていることがあります。いまの条番号は第65条第1項です。いまの第31条は、受動喫煙を防止するための措置の節にある、別の規定です。
原文で確かめる(古い条番号と、いまの条文)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
食品の虚偽誇大な表示は、健康増進法第31条が禁じている。
現行
誇大表示の禁止は第65条第1項に置かれている。現行の第31条は「受動喫煙を防止するための措置」の節にあり、都道府県知事が特定施設等の管理権原者等に対して行う指導及び助言を定める規定。
根拠:健康増進法第31条・第65条第1項(e-Gov 法令検索、2025年12月12日施行版、2026-09-08 確認)。旧番号の記載は、無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号/最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添マニュアルに「場合によっては健康増進法第31条等他法令に抵触するおそれがあるので」として複数箇所に残っている。第31条から第65条へ条番号が移った改正法の番号と施行日は、本ページの参照資料では確認できていない。
3. 「健康保持増進効果等」には、何が含まれるのですか?
健康の保持増進の効果(4つの類型)と、内閣府令(国が定める細かなルール)で定める4つの事項です。暗示的・間接的に示すものも含まれます。
留意事項によれば、効果を表示しただけで直ちに第65条第1項の虚偽誇大表示にあたるわけではありませんが、類型ごとに承認・許可・基準という別の入口があります。
条文は「健康保持増進効果等」を、「健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項」と定めています。前半と後半で中身が違うので、分けて見ます。
前半:健康の保持増進の効果(4つの類型)
指針と留意事項は、これを健康状態を改善したり、維持したりする効果とし、次の4つを挙げています。このページでは、留意事項に合わせてア〜エと呼びます。
- ア 疾病の治療又は予防を目的とする効果(病気を治す・防ぐ)
- イ 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果(体の組織や機能を、全般的に強める・高める)
- ウ 特定の保健の用途に適する旨の効果
- エ 栄養成分の効果
指針は、このうちアとイが、医薬品的な効能効果にあたるとしています。
ウの「特定の保健の用途」は、健康の維持や増進に役立つ、または適することを表すものです。指針は次の3つを挙げています。
- 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨(測りやすい体調の目安を保つ・よくする)
- 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨(体の働きを良い状態に保つ・よくする)
- 身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨(本人が感じる一時的な体調の変化をよくする)
留意事項は、これに「疾病リスクの低減に資する旨(医学的、栄養学的に広く確立されているもの)」(病気になる危険を減らすのに役立つ、という表示)を加えた4つを挙げています。
例
ある病気の名前を挙げて「予防に」とうたえば、アの類型にあたり得ます。体の機能を全体として高めるとうたえば、イの類型にあたり得ます。どの類型にあたるかで、4. 表示の入口で見る「入口」が変わります。
後半:内閣府令で定める事項(4つ)
指針によれば、内閣府令が定めるのは次の4つです(第2の2⑶②)。
- 含有する食品又は成分の量
- 特定の食品又は成分を含有する旨
- 熱量(カロリー)
- 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果(見た目を美しくする、肌や髪を健やかに保つ効果など)
この4つは、いつでも規制の対象になるわけではありません。指針は、「健康の保持増進の効果とともに、国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることに関係する場合において規制対象となる」と、条件を付けています(第2の2⑶②)。
指針が示している内閣府令は、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21年内閣府令第57号)の第19条です。
はっきり書いていなくても含まれるもの
留意事項は、こうした書き方として次の6つを挙げています。指針が挙げるのは、このうち4番目を除く5つです。
- 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
- 含有成分の表示及び説明により表示するもの
- 起源、由来等の説明により表示するもの
- 身体の組織機能等に係る不安や悩みなどの問題事項を例示して表示するもの(体の不調や悩みを例に挙げて示す)
- 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話やアンケート結果、学説、体験談などを引用又は掲載することにより表示するもの
- 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの(国や研究機関に効果を認められている、と示す)
例
冒頭のチラシで考えます。体の働きを連想させる商品名、成分の由来の説明、利用者アンケートの結果は、どれも上の6つに挙がっている書き方です。効果を直接書いていなくても、広告全体から一般の消費者がどう受け取るかによっては、健康保持増進効果等の表示とされ得ます。
留意事項によれば、効果を表示しただけで、直ちに第65条第1項の虚偽誇大表示にあたるわけではありません。あたるのは、著しく事実と違う表示や、人を著しく誤認させる表示をしたときです。
原文の言い回しを見る(留意事項 第2の2)
留意事項は、「『健康保持増進効果等』を表示したことをもって直ちに虚偽誇大表示に該当するものではなく、健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示をする場合に虚偽誇大表示に該当することになる」と書いています(第2の2)。
ただし留意事項は、類型ごとに、「著しく」かどうかを問わない別の入口を示しています(4. 表示の入口)。
4. 効果を表示できるかどうかは、何で決まるのですか?
類型ごとに、別の法令が入口を定めています。ア・イ(病気の治療・予防など)は医薬品の承認、ウ(特定の保健の用途)は健康増進法の許可、エ(栄養成分の効果)は食品表示基準です。
留意事項は、ア〜エのどれについても、著しく事実に相違するか、著しく人を誤認させるかを問わず、それぞれの入口の決まりに従う必要がある、としています。
アとイ:医薬品としての承認
留意事項は、アとイのような医薬品的な効果をうたう物は、薬機法上の医薬品とみなされるとしています。
そのうえで、こうした物は、原則として、承認を受けずに名称・製造方法・効能・効果の広告をしてはならない、としています(薬機法第68条)。ここから除かれるのは、野菜・果物・料理など、見た目や形から明らかに食品とわかる物です。
例
あるサプリメントの広告が、特定の病気の予防をうたったとします。これはアの類型にあたり得ます。留意事項の考え方では、書かれた効果が本当かどうか、大げさかどうかとは別に、医薬品としての承認を受けていなければ、そのことが問題になり得ます。
原文で確かめる(留意事項の「なお」で始まる段落)
なお、前記⑴ア及びイのような医薬品的な効果効能を標ぼうするものは、医薬品医療機器等法上の医薬品とみなされ、野菜、果物、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物を除き、原則として、医薬品医療機器等法上の承認を受けずにその名称、製造方法、効能、効果に関する広告をしてはならない(医薬品医療機器等法第68条)。したがって、前記⑴ア及びイに掲げる健康保持増進効果等の表示は、当該表示が著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させる表示であるかを問わず、医薬品としての承認を受けない限り、表示することはできない。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第2の2の「なお」で始まる段落ウ:健康増進法第43条第1項の許可
留意事項は、販売する食品についてウの表示をしようとする者は、「消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43条第1項)」としています。
第43条第1項は、販売する食品の、乳児用・病者用など特別の用途に適する旨の表示(特別用途表示)の許可を定めています。
条文上、許可を出すのは内閣総理大臣です。ただ、この法律による権限は、政令(内閣が定める決まり)で定めるものを除き、消費者庁長官に任されています(委任、第69条第3項)。
留意事項は、ウの表示も、「著しく」かどうかを問わず、許可を受けない限りすることができない、としています。
エ:食品表示基準
留意事項は、エの栄養成分の効果について、食品表示基準(食品の表示について国が定めたルール)に従った表示をしなければならないとしています。ここでも、「著しく」かどうかは問わない、としています。
エには、留意事項の脚注4が付いています。栄養成分の体の中での働き(作用)を示す表現は、医薬品的な効能効果にあたる、とされています。ただし、特定の商品に関係しない、栄養についての一般的な知識の普及は別です。
一方、次の2つは、直ちに医薬品的な効能効果にはあたらないとされています。
- 具体的な作用をうたわずに、単に健康維持に重要であることを示す表現
- タンパク質・カルシウム等、体を構成する栄養成分について、構成成分であることを示す表現
例
栄養素の体内での働きを解説する、一般向けの記事があるとします。特定の商品に関連しない一般的な知識の普及であれば、脚注4は「この限りではない」(医薬品的な効能効果にあたる、という扱いにならない)としています。同じ解説でも、特定の商品の広告の中で、その商品の成分の作用として示す場合は、この例外の前提から外れ得ます。記事でも、特定の商品に誘引する事情があれば「広告その他の表示」にあたり得ます(2.のQ&A)。
原文で確かめる(留意事項の脚注4)
留意事項(2022年12月一部改定)の第2の2に付いた脚注4です。
なお、前記⑴エについては、栄養成分の体内における作用を示す表現である場合には、医薬品的な効能効果に該当する。ただし、特定商品に関連しない栄養に関する一般的な知識の普及については、この限りではない。他方、具体的な作用を標ぼうせずに単に健康維持に重要であることを示す表現又はタンパク質、カルシウム等生体を構成する栄養成分について構成成分であることを示す表現は、直ちに医薬品的な効能効果に関するものには該当しない。
同 第2の2 脚注44つの入口を一覧で見る
| 類型 | 指針・ | 出典の箇所 |
|---|---|---|
| ア 疾病の | 医薬品医療機器等法上の | 留意事項 第2の |
| イ 身体の | アと | 留意事項 第2の |
| ウ 特定の | 販売に | 留意事項 第2の |
| エ 栄養成分の | 食品 | 留意事項 第2の |
| 内閣府令で | 健康の | 指針 第2の |
表の2列目は、いずれも出典元の文書が書いている内容です。表示が第65条第1項の禁止に当たるかどうかの判断は、この表とは別に、次の節の基準で行われます。
アとイの入口である薬機法第68条が、誰に何を禁じているかは『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』で扱います。保健機能食品の3つの制度それぞれの要件は、『3-3 特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品は何が違う?』(2024年)で扱います。
5. 「著しく」違う・誤認させる表示とは、どういうものですか?
誇張・誇大(大げさ)の程度が、社会一般に許される程度を超えていることです。判断は、一般の消費者が表示の全体から受ける印象・認識が基準です。
アンケート結果などを使う表示について、留意事項は、「個人の感想です」などと添えても、虚偽誇大表示等にあたるかどうかの判断には影響しないとしています。
条文が禁じているのは、「著しく事実に相違する」表示と、「著しく人を誤認させる」ような表示です。指針は、これを「著しく」「事実に相違する」「人を誤認させる」の3つに分けて説明しています(第2の3)。
「著しく」
誇張・誇大の程度が、社会一般に許される程度を超えていることです。超えるかどうかは、その表示を誤認して、客が引きつけられる(誘引される)かどうかで判断されます。
指針の言い方では、その誤認がなければ、客が引きつけられることは通常ないだろうと認められる程度に達した表示が、これにあたります。どの表示があたるかは、個々の広告や表示に即して判断すべきものとされています。
例
ある健康食品のチラシが、実際にはない効果を大きな見出しで書いているとします。チラシを見た客は、その効果を期待して、この商品に関心を持ちます。その効果を信じなければ、客がこの商品に引きつけられることは通常なかった、という場面です。指針の考え方では、こうした表示は「著しく」にあたり得ます。
原文で確かめる(指針 第2の3⑴)
具体的に何が「著しく」に該当するかの判断は、個々の広告その他の表示に即してなされるべきであるが、ここにいう「著しく」とは、誇張・誇大の程度が社会一般に許容されている程度を超えていることを指しているものであり、誇張・誇大が社会一般に許容される程度を超えるものであるかどうかは、当該広告その他の表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかで判断され、その誤認がなければ顧客が誘引されることは通常ないであろうと認められる程度に達する広告その他の表示が該当する。
指針(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号)第2の3⑴「事実に相違する」
表示されている効果と、実際の効果が違うことです。指針は、次のような場合などが、これにあたるとしています。
- 十分な実験結果などの根拠が無いのに、実証されていると表示する場合
- 体験談をねつ造するなどした場合や、ねつ造された資料を表示した場合
「人を誤認させる」
表示から受ける効果の「印象」や「期待感」と、実際の効果に差があることです。
指針は、社会常識や言葉の一般的な意味などを基準にして、こうした差が生じる可能性が高いと認められれば、「誤認させる」ものにあたるとしています。実際に一般の消費者が誤認したという結果までは必要としない、とも書いています。
そのうえで指針は、次の場合を「一般的にこれに該当するものと考えられる」としています。
- 特定の成分が、効果を得られるだけの量入っていない。それなのに、生活習慣を改善するための運動などをしなくても、摂り過ぎた栄養成分・熱量や体脂肪・老廃物質などを出したり燃やしたりするイメージを与える
- 効果について、良い情報を言い切っている。それなのに、悪い情報(効果が現れない人が実際にいる、一定の条件でないと効果が得られにくい、など)を書いていないか、消費者が著しく認識しにくい方法で書いている
- 効果について公的な認証があると表示しながら、実際には、その効果についての認証を受けていない
- 根拠となる学術データのうち、その食品に都合の悪い部分を捨て、有利な部分だけを引用する
「個人の感想です」と添えれば済むのか
アンケートやモニター調査の結果の横に、「個人の感想です」と添えた広告があります。留意事項は、こうした結果を使う表示について、次のように書いています(第4の1⑴ウのなお書き)。
- 「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」などと書いても、虚偽誇大表示等にあたるかどうかの判断には影響しない
- アンケート結果などを含む表示の全体から、一般の消費者がその商品に効果があると受け取るのに、実際にはそのような効果がなければ、その表示は虚偽誇大表示等にあたる
例
冒頭のチラシでは、利用者アンケートの結果の横に「個人の感想です」と添えていました。留意事項の考え方では、この一文を添えても、判断には影響しません。
原文で確かめる(留意事項 第4の1⑴ウ)
なお、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、アンケート結果等を含む表示内容全体から当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。
留意事項 第4の1⑴ウのなお書き。同 脚注12は、第4の1⑴イないしエのような表示について、機能性表示食品や栄養機能食品、保健機能食品以外の健康食品でも同様であるとしている判断は、言葉1つではなく表示の全体で
留意事項は、表示の例を挙げる章の冒頭で、次の点を先に断っています。
- 虚偽誇大表示等についての景品表示法と健康増進法の規定は、どちらも、特定の言葉の使用を一律に禁止するものではない
- 消費者が表示から受ける印象は、その言葉だけでは決まらない。まわりの表現、写真、イラスト、時にはコントラストも含めた、表示全体で判断される
- そのため、表示ごとに個別具体的に判断しなければならず、一律に違反となる表示例や、違反とならない表示例を示すことは容易ではない
原文で確かめる(留意事項 第4の柱書)
虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではない。また、一般消費者が表示から受ける認識、印象、期待は、表示された一部の用語や文言のみで判断されるものではなく、当該用語等のほか周辺に記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、時にはコントラストも含め、表示全体で判断することとなる。したがって、虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示ごとに個別具体的に判断しなければならず、一律に違反となる表示例、又は違反とならない表示例を示すことは容易ではない。
留意事項 第4の柱書6. 食品の表示が「医薬品的」とみなされるのは、どんなときですか?
病気の治療・予防や、体の組織機能の一般的な増強・増進といった効能効果が、容器・包装・添付文書・広告宣伝物や口頭の説明で示されている場合です。
昭和46年に出た国の通知(46通知)は、名称・含有成分・製法・起源などの説明で、同じような効能効果をうたったり暗示したりするものも、同様としています。
この見方を定めているのは、1971年(昭和46年)に出た国の通知です。このページでは、出た年から「46通知」と呼びます。正式な名前は「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」で、最後の改正は2020年3月です。判断のしかたは、別紙の「医薬品の範囲に関する基準」に書かれています。
別紙は、口から飲んだり食べたりする物(人が経口的に服用する物)が医薬品にあたるかを、総合的に判断すべきものとしています。ここでいう医薬品は、薬機法第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品です。
判断の材料は、原材料(成分本質)、形状、表示された使用目的・効能効果・用法用量(使い方や量)、販売方法、売るときの口頭の説明(演述)などです。
このうち表示に関わるのが、別紙Ⅰの2「医薬品的な効能効果の解釈」です。書かれた場所を問わない書き方になっています。
原文で確かめる(46通知 別紙Ⅰの2)
その物の容器、包装、添付文書並びにチラシ、パンフレット、刊行物、インターネット等の広告宣伝物あるいは演述によって、次のような効能効果が表示説明されている場合は、医薬品的な効能効果を標ぼうしているものとみなす。また、名称、含有成分、製法、起源等の記載説明においてこれと同様な効能効果を標ぼうし又は暗示するものも同様とする。
無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号/最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」Ⅰの2挙げられている類型は、次の3つです。
- (一) 疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
- (二) 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果。ただし書があり、「栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない」(この類型として扱わない)とされています
- (三) 医薬品的な効能効果の暗示
(一)と(二)は、3.「健康保持増進効果等」で見た指針・留意事項のアとイと、ほぼ同じ言葉で書かれています。(三)の暗示は、次の5つに分かれます。
- 名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの
- 含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの
- 製法の説明よりみて暗示するもの
- 起源、由来等の説明よりみて暗示するもの
- 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの
例
冒頭のチラシの商品名や、成分の由来の説明が、病気の治療や予防を思わせるものだったとします。46通知では、こうした書き方も、医薬品的な効能効果の暗示として扱われ得ます。効果を直接書いていなくても、薬機法の医薬品にあたるかどうかが問題になり得ます。
判定の手順
手順は別紙Ⅱにあります。原材料を分類し、効能効果・形状・用法用量が医薬品的かどうかを検討します。そのうえで、別紙が示す「医薬品とみなす範囲」にあたるものを、原則として医薬品とみなすものとされています。
2種類以上の成分を混ぜた物は、どれか1つの成分が医薬品と判定されれば、その製品を医薬品とみなすとされています。
ただし、総合的に判断して、医薬品と認識されるおそれのないことが明らかな場合は、この限りでない(その製品を医薬品とみなす扱いにならない)とされています。例として挙げられているのは、次の2つの条件がそろう場合などです。
- その成分が、薬理作用(薬としての働き)を期待できない程度の量で、着色や着香などの目的で使われていると認められる
- その成分を含むことを、うたっていない(標ぼうしない)
例
ある飲み物に、色づけのためだけに、ごく少量の成分Xが入っているとします。成分Xは、それだけなら医薬品と判定されるものです。薬理作用を期待できない程度の量で、成分Xを含むこともうたっていなければ、この例外にあたる可能性があります。最後は、医薬品と認識されるおそれがないことが明らかかどうかを、総合的に見て判断されます。
栄養機能食品(国の基準に沿って、栄養成分の働きを表示する食品)には、別の記載があります。対象は、食品表示基準第2条第1項第11号の規定に基づき内閣総理大臣が定める基準に従って、栄養成分の機能を表示するものです。別紙Ⅰの2は、その表示等を、医薬品的な効能効果と判断しないこととして差し支えないとしています。別紙Ⅰの4には、用法用量について同じような記載があります。ただし、医薬品と誤認させることを目的としていると考えられる場合は、引き続き医薬品的な用法用量の表示とみなす、とされています。例えば、「食前」「食後」「食間」など、ふつうの食品の摂取時期等とは考えられない表現を用いる場合です。
原材料の分類そのものは、46通知が引く別の課長通知(課長名で出た通知、2020年3月)に移されています。形状や用法用量の考え方も含めた食薬区分(食品か医薬品かの区別)の全体は、『3-1 健康食品が医薬品とみなされるのはどんなとき?』で扱います。
原材料の分類を移した課長通知は、令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」です。
通知に残る古い条番号
46通知の別紙は、ふつうの人(通常人)が医薬品としての目的をもつ物だと認識しない、と判断して差し支えない物の1つに、特別用途食品を挙げています。その根拠に書かれた第26条は、いまの健康増進法の条番号ではありません。いまは第43条第1項です(4. 表示の入口)。
原文で確かめる(古い条番号と、いまの条文)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
特別用途食品の表示は、健康増進法第26条の規定に基づき、厚生労働大臣の許可を受けて行う。
現行
特別用途表示の許可は第43条第1項に置かれ、許可権者は内閣総理大臣。この法律による権限は、政令で定めるものを除き消費者庁長官に委任されている(第69条第3項)。令和4年12月5日一部改定の留意事項も「消費者庁長官の許可を受けなければならない(健康増進法第43条第1項)」と書いている。
根拠:健康増進法第43条第1項・第69条第3項(e-Gov 法令検索、2025年12月12日施行版、2026-09-08 確認)。旧番号の記載は、昭和46年6月1日 薬発第476号 別紙の柱書ただし書「健康増進法(平成14年法律第103号)第26条の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品」(最終改正 令和2年3月31日)と、無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号/最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添マニュアルの5⑴「健康増進法第26条の規定に基づき厚生労働大臣の許可を受けた特別用途食品」に残っている。
ほかの古い条番号・法令名は、『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』で扱います。
7. 第65条第1項に違反すると、どうなるのですか?
まず消費者庁が、表示を改善するよう指導します。要件を満たせば内閣総理大臣か都道府県知事が勧告でき、正当な理由なく従わなければ命令できます。
勧告は必要な措置をとるよう求めること、命令はその措置をとるよう命じることで、命令に違反すると罰則があります(第71条)。
流れは3段階です。条文にあるのは勧告と命令だけですが、留意事項は、その手前に指導の段階を置いています。
- 指導:消費者庁は、第65条第1項に違反して表示した者に、表示を改善するよう指導を行います(留意事項)。
- 勧告:要件を満たすとき、内閣総理大臣または都道府県知事は、必要な措置をとるよう勧告できます(第66条第1項)。留意事項によれば、消費者庁は、勧告を行った際は公表します。
- 命令:勧告を受けた者が、正当な理由なく措置をとらなかったとき、その措置をとるよう命令できます(第66条第2項)。
原文で確かめる(留意事項 第3の6⑵:指導と勧告)
消費者庁は、健康増進法第65条第1項の規定に違反して表示した者がある場合は、その者に対し、当該表示を改善するよう指導を行う。
また、消費者庁は、健康増進法第66条第1項に基づき、同項の規定に違反して表示した者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができ、勧告を行った際は公表する。
健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第3の6⑵勧告の要件
勧告ができるのは、国民の健康の保持増進と、国民に正確な情報が伝わることに、重大な影響を与えるおそれがあると認めるときです。留意事項(第3の6⑵)は、これにあたる場合として、次のような例を挙げています(一部)。
- 表示されている効果について、苦情などが関係機関に数多く寄せられている場合
- その食品を食べた人が健康を害したとする苦情などが、関係機関に相当数寄せられている場合
- 虚偽誇大表示によって、診療を要する疾患などを抱える人が、適切な診療の機会を逃してしまうおそれがある場合
原文で確かめる(留意事項 第3の6⑵:勧告の要件)
留意事項(2022年12月一部改定)の第3の6⑵の続きです。
ここでいう「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」とは、例えば、表示されている健康保持増進効果等に関する苦情等が関係機関に数多く寄せられている場合や、当該食品を摂取した者が健康を害したとする苦情等が関係機関に相当数寄せられている場合、(中略)健康保持増進効果等に係る虚偽誇大表示がなされることにより、診療を要する疾患等を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがある場合は、これに当たるものといえる。
同 第3の6⑵例
A社のサプリメントの広告が第65条第1項に違反していて、その効果について、苦情が関係機関に数多く寄せられているとします。これは、留意事項が勧告の要件にあたる例として挙げている場面です。勧告を受けても正当な理由なく措置をとらなければ、命令の対象になり得ます。
指針(2020年4月一部改正)は、この要件を「国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」と書いています(第3の1)。いまの条文と留意事項は、「及び国民に対する正確な情報の伝達」を含む書き方です。
指針は、勧告を受けた者がとるべき措置として、広告その他の表示の掲載の差止め(掲載をやめさせること)などを挙げています。措置を実施する合理的な範囲内での期限と、実施したことの報告が勧告される場合もある、としています。命令も同様です(第3の1・2)。
罰則
命令に違反した者には、次の罰則があります。条文の「六月」は6か月のことで、拘禁刑は刑事施設に拘置される刑です。
また、第43条第1項(特別用途表示の許可)に違反した者には、第72条第2号により、50万円以下の罰金が定められています。
指針と留意事項は、出したときの古い刑名で罰則を書いています(下の原文の箱)。罰金の額は同じです。
原文で確かめる(古い刑名と、いまの条文)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
健康増進法第66条第2項の命令に違反した場合の罰則は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金である。
現行
第71条は「六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」と規定する。罰金額は同じで、刑名が異なる。
根拠:健康増進法第71条(e-Gov 法令検索、2025年12月12日施行版、2026-09-08 確認)。消費者庁の指針(令和2年4月1日一部改正)と留意事項(令和4年12月5日一部改定)は、いずれも発出時点の刑名で「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」と記載している。刑名の変更そのものについては、古い理解の一覧を参照。
国だけでなく、都道府県なども勧告できる
指針によれば、2016年4月から、都道府県・保健所設置市(保健所を置いている市)・特別区(東京都の区)も、勧告等の事務を行うこととなりました(第4の2⑵)。
指針が根拠に挙げるのは、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第51号)の施行です。指針の原文では、この時期を平成28年4月1日以降と書いています。
留意事項も、都道府県・保健所設置市・特別区で健康増進法が運用されており、その長も同じ要件で勧告できると書いています(第3の6⑵のなお書き)。都道府県知事は、権限を使ったときは、その旨を内閣総理大臣に通知します(第66条第4項)。
健康増進法第65条・第66条そのものの解説は、『7-5 食品の広告で健康効果の誇張はどこまで禁じられる?』にあります。
立入検査と収去(検査に必要な分の食品を持ち帰ること)も、第66条第3項が第61条を準用(ほかの条文の決まりを、この場面にも使うこと)して定めています。対象は、健康保持増進効果等の表示がされた、食品として販売に供する物です。特別用途食品と、第63条第1項の承認を受けた食品は除かれます。この権限は、食品衛生法第30条第1項に規定する食品衛生監視員が行います(第61条の第3項)。指針によれば、準用される第61条第1項の消費者庁長官の権限は、製造施設・貯蔵施設・販売施設の所在地を管轄する地方厚生局長に委任されています。ただし、長官が自ら行使することも妨げない、としています(第3の3)。指針(2020年4月一部改正)は、除かれるものとして、いまの条文の2つに「販売に供する食品であって栄養表示がされたもの」を加えた3つを挙げています。
理解の確認
第65条第1項が、対象を「販売に供する食品」ではなく「食品として販売に供する物」と書いているのはなぜですか?
健康増進法の「食品」は、薬機法上の「医薬品」を除くすべての飲食物と解されています。そのため、医薬品的効能効果をうたう(標ぼうする)物は、薬機法上の「医薬品」にあたり、健康増進法の「食品」から外れてしまいます。それでも、健康保持増進効果等についての虚偽誇大表示は禁じる必要があります。そこで条文は「食品」に限定せず、受け皿を一回り大きく取っています。この結果、食品として売られる無承認無許可医薬品は、薬機法と健康増進法の両方の規制の下に置かれます。
根拠:健康増進法第65条第1項/健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日、消費者庁表示対策課)第2の1⑴ 脚注1(法令確認日 2026-09-08)
4つの類型のうちアとイについて、留意事項が「著しく事実に相違するものであるか、著しく人を誤認させる表示であるかを問わず」と書いているのはなぜですか?
ア(病気の治療・予防を目的とする効果)とイ(体の組織や機能を全般的に強める・高めることを主な目的とする効果)は、医薬品的な効能効果にあたります。これをうたう物は、薬機法上の医薬品とみなされます。明らかに食品と認識される物を除き、原則として、承認を受けずに名称・製造方法・効能・効果の広告をしてはならないとされています(薬機法第68条)。そのため、表示できるかどうかは、承認という別の入口の側で先に決まります。ウは健康増進法第43条第1項の許可、エは食品表示基準が、同じ位置に置かれた入口です。留意事項は、いずれについても同じ「問わず」の書き方をしています。
根拠:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第2の2の「なお」「また」「さらに」で始まる各段落/医薬品医療機器等法第68条・健康増進法第43条第1項(法令確認日 2026-09-08)
「個人の感想です」と添えれば虚偽誇大表示等にあたらなくなる、という理解は、留意事項の記述とどこが食い違いますか?
留意事項によれば、「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」等の表示をしても、虚偽誇大表示等にあたるかどうかの判断には影響しません。判断の単位が、1つ1つの用語や文言ではなく、表示の全体だからです。一般の消費者が受ける認識・印象・期待は、まわりのほかの表現や写真、イラスト、時にはコントラストも含めた全体で判断される、とされています。表示内容の全体から、一般の消費者がその商品に健康保持増進効果等があると受け取るとします。実際にはそのような効果がない場合は、打消しの文言(「個人の感想です」のように、効果の印象を打ち消そうとする断り書き)があっても虚偽誇大表示等にあたります。
根拠:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(一部改定 令和4年12月5日)第4の1⑴ウのなお書き・第4の柱書(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 3-1 健康食品が
医薬品と ハーブの粉末をカプセルに詰め、「1日3粒」と書いて売る。みなされるのは どんな とき? — 食薬区分の 4要素と 判断の順番 - 3-3 特定保健用食品・
栄養機能食品・ 店の棚に、「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」と書かれた食品が並んでいるとします。機能性表示食品は 何が 違う? — 3区分と 2024年の 見直し - 7-5 食品の
広告で 健康食品の会社が、雑誌やウェブの広告で、効き目を事実とかけ離れた形で書いたり、実際より大きな期待を抱かせたりしたとします。健康効果の 誇張は どこまで 禁じられる? — 健康増進法第65条と 勧告・命令 - 3-4 食品の
広告、 健康食品の会社が、サプリメントの広告を出すとします。責任を 負うのは 誰? — 3つの 法律の 重なりと 担当の役所
- 健康増進法(平成14年法律第103号)第31条、第43条、第61条、第65条、第66条、第69条、第71条、第72条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2025年12月12日施行版)
- 食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号、消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(制定 平成25年12月24日/全部改定 平成28年6月30日/一部改定 令和4年12月5日、消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A(令和6年7月作成、消費者庁)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号/最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号/最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項、第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)