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医療広告の「限定解除」、要件はいくつある? — 4つの要件と、未承認医薬品等の追加記載

あるクリニックが、自由診療(公的医療保険などの給付の対象にならない診療)を自院のサイトで紹介しようとしています。医療法は、広告してよい事項を限っています。医療法施行規則(医療法の細かな決まり)の要件をすべて満たせば、この限定が外れます。これが「限定解除」です。要件は4つで、うち2つは自由診療の情報を載せる場合に限ってかかります。未承認医薬品等は、国の承認(国が製品ごとに審査し、製造販売を認めること)などを受けていないか、承認と違う目的や使い方で使う医薬品などです。これを自由診療で使う場合、厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、限定解除の要件として5項目の十分な記載も求めています。4つの要件、追加の5項目、満たさないときの手続を、例で説明します。

30秒でわかる要点

  • 外れるのは「広告できる事項の限定」だけ:限定解除で外れるのは、医療法第6条の5第3項の限定だけです。第1項の虚偽広告(うその広告)の禁止と、第2項の広告の内容及び方法の基準(ほかより優れていると示す広告や、おおげさな広告の禁止など)は残ります。体験談の広告と、治療などの前や後の写真などの広告の禁止(医療法施行規則第1条の9)も残ります。
  • 要件は4つ。うち2つは自由診療に限ってかかる:医療法施行規則第1条の9の2の第1号から第4号までです。第1号・第2号は限定解除を受けるすべての場合にかかります。第3号(治療の内容・費用)と第4号(主なリスク・副作用)は、自由診療について情報を提供する場合に限ってかかります。ガイドラインは、第3号・第4号の情報をリンク先のページに載せる形や、利点や長所の情報より極端に小さな文字で載せる形は採用しないとしています。
  • 「5要件」は、根拠の違う2つを混ぜた数え方:未承認医薬品等を自由診療で使用する場合は、限定解除の要件として追加の記載が求められます。医療広告等ガイドライン第3-3の2が求める(ⅰ)〜(ⅴ)の5項目です。中身は、未承認であること、入手経路など、国内の承認品の有無、海外での安全性などの情報、救済制度の対象にならないことです。根拠も、かかる場面も、医療法施行規則の4つの要件とは別です。

1. 「限定解除」をすると、何が外れるのですか?

外れるのは、医療法第6条の5第3項の「掲げる事項以外は広告してはならない」という限定です。厚生労働省令(大臣が定める細かな決まり)の要件を満たすと外れます。

虚偽広告(うその広告)の禁止と、広告の内容及び方法の基準は、限定解除の後もそのまま残ります。

医療法第6条の5は、医療の広告について、3つの決まりを重ねて置いています。

  • 第1項:虚偽の広告(うその広告)をしてはならない。
  • 第2項:広告の内容及び方法の基準。比較優良広告(ほかと比べて優れていると示す広告)、誇大広告(おおげさな広告)、公序良俗(社会の秩序や道徳)に反する内容の広告の禁止です。これに、厚生労働省令で定める基準が加わります。
  • 第3項:広告してよい事項を、第1号から第16号までに限る。

このうち限定解除が外すのは、第3項の限定です。

直感的なポイント

第3項は、店の宣伝に書いてよい料理を、決められた品目に限る決まりに似ています。限定解除は、条件を満たしたメニュー表(客が自分から手に取って見る詳しい品書きなど)に限って、決められた品目の外の料理も載せられるようにする仕組みです。それでも、料理を偽って書いてはいけないことや、守るべき基準は変わりません。

第3項は、広告してよい事項を並べる形

第3項は、広告してよい事項を第1号から第16号までに並べ、それ以外の広告を禁じています。並んでいるのは、たとえば医師・歯科医師である旨(第1号)や、診療科名(第2号)です。

例外は、並べた事項以外の広告がされても、医療を受ける人の適切な選択が妨げられるおそれが少ない場合として、厚生労働省令で定める場合です。

この条文の「厚生労働省令で定める場合」にあたるのが、医療法施行規則(厚生労働大臣が定める、医療法の細かな決まり。以下「省令」)第1条の9の2です。そこに要件が並びます(2.の節)。

限定解除の後も残る決まり

限定解除の後も残る決まりについては、医療広告等ガイドライン(厚生労働省が示す、医療広告の考え方の指針。以下「ガイドライン」)の第3-3の1も書いています。広告できる事項以外の事項も、第6条の5第2項と省令第1条の9の基準に合わなければならず、内容が虚偽であってはならない、という内容です。

原文で確かめる(ガイドライン 第3-3の1)

なお、こうした広告可能事項以外の事項についても、法第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽にわたってはならない。

医療広告等ガイドライン 第3-3 の1(基本的な考え方)

ここで引かれている省令第1条の9は、次の2つの広告を禁じる規定です。限定解除の要件を満たしても、この2つの禁止は残ります。

  • 患者などの主観や、人から聞いた話(伝聞)にもとづく、治療などの内容や効果についての体験談の広告
  • 治療などの内容や効果について、患者などを誤認させるおそれがある、治療などの前や後の写真などの広告

例

あるクリニックが、自由診療のページで限定解除の要件をすべて満たしたとします。そのページに、治療の効果についての患者の体験談を広告として載せる場面では、省令第1条の9の禁止が問題になり得ます。

ガイドラインの最終改正は2026年3月30日です。正式名称と、もとになる通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)は、次の箱にあります。

原文で確かめる(ガイドラインの正式名称と改正日)

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

指針の名称は「医療広告ガイドライン」。

現行

正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」で、令和8年3月30日が最終改正。なお発出の根拠となる通知番号(平成30年5月8日付け医政発0508第1号 厚生労働省医政局長通知、その別紙3)は変わっていない。Q&Aは平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添で、最終改正は同じく令和8年3月30日。

「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について」(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課 事務連絡)の記載による。

2. 限定解除の要件は、いくつありますか?

医療法施行規則第1条の9の2が定める4つです。そのうち第3号と第4号は、自由診療について情報を提供する場合に限ってかかります。

条文は「次に掲げる要件の全てを満たす場合」と書いており、どれか1つを満たせば足りる形ではありません。

第1号から第4号までの全てを満たす場合が、第6条の5第3項の「厚生労働省令で定める場合」にあたります。

4つの要件を、ふつうの言葉で

  • 第1号:医療を選ぶのに役立つ情報で、患者などが自分から求めて手に入れる情報を表示する、ウェブサイトなどの広告であること
  • 第2号:表示した内容について患者などが簡単に問い合わせられるよう、問い合わせ先を書くなどの方法で示すこと
  • 第3号:自由診療で通常必要とされる治療などの内容や費用などについて、情報を提供すること
  • 第4号:自由診療の治療などの、主なリスクや副作用などについて、情報を提供すること

第3号と第4号は、条文のただし書(本文に条件を付け加える部分)により、かかる場面が限られます(表1)。

表1:限定解除の4要件と、適用される場面
要件適用される場面根拠
第1号 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること限定解除を受けるすべての場合医療法施行規則第1条の9の2第1号
第2号 問い合わせ先の記載その他の方法による明示限定解除を受けるすべての場合同条第2号
第3号 通常必要とされる治療等の内容、費用等の情報提供自由診療について情報を提供する場合に限る同条ただし書・第3号
第4号 主なリスク、副作用等の情報提供自由診療について情報を提供する場合に限る同条ただし書・第4号

表の内容は、医療法施行規則第1条の9の2の本文とただし書をそのまま並べ直したものです。当サイトが独自に区分を作ったものではありません。

条文のただし書は、自由診療を、公的医療保険や公費負担医療(国や自治体が医療費を負担する制度)の給付の対象にならない、検査・手術その他の治療と定めています。

例

冒頭のクリニックの場面で考えます。自由診療の治療をウェブサイトで紹介して限定解除を受けるなら、第1号から第4号までの全てを満たす必要があります。自由診療について情報を提供しないページで限定解除を受ける場合なら、かかるのは第1号と第2号です。

原文で確かめる(医療法施行規則 第1条の9の2)

番号の付け方は、文書によって違います。ガイドラインは同じ4つの要件を、丸数字の①〜④で書いています。①が第1号、②が第2号、③が第3号、④が第4号にあたります。

各号について、ガイドラインが述べていること

第1号(ガイドラインの①):ガイドラインによると、ウェブサイトのほか、メルマガや、患者などの求めに応じて送るパンフレットなどが、これにあたり得ます。一方、次のものは①を満たさないものとされています。

  • インターネット上のバナー広告
  • 検索サイト上で、スポンサーとして表示されるもの
  • 検索サイトの運営会社に費用を払って、意図的に検索結果の上位に表示される状態にしたもの

例

あるクリニックが、自院のウェブサイトとは別に、検索サイトの運営会社に費用を払って、意図的に検索結果の上位に表示される状態にしたものも使う場面で考えます。ガイドラインの例に沿うと、自院のウェブサイトは①にあたり得ます。一方、費用を払って意図的に検索結果の上位に表示される状態にしたものは、①を満たさないものとされています。

第2号(②):問い合わせ先とは、電話番号やEメールアドレスなどです。ガイドラインによると、②は、問い合わせ先が書かれていることなどにより、簡単に照会ができる場合を指します。それによって、患者などと医療機関などの間の情報の差(情報の非対称性)が小さくなることが確保されている場合です。実際に照会に応じられるかどうかは、ガイドラインについての厚生労働省の問答集(Q&A)に例があります(6.の節)。

第3号(③):ガイドラインは、この要件の趣旨を次のように説明しています。自由診療は、保険診療として行うものと違い、内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得ます。そのため、内容をはっきりさせ、料金などのトラブルを防ぐ、という観点です。

求められるのは、治療などの名称や、最低限の治療内容・費用だけの紹介ではありません。通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間と回数を載せることです。

例

ある自由診療の治療で、標準的な費用がはっきりしない場合を考えます。ガイドラインは、その場合、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額までの範囲を示すなどすることを挙げています。この範囲には、発生頻度の高い追加費用も含めます。

第4号(④):ガイドラインは趣旨を、次のように説明しています。自由診療の利点や長所ばかりが強調され、主なリスクなどの情報が乏しいと、受診する人が適切な選択をできないおそれがある、という点です。そのうえで、主なリスクや副作用などの情報も、分かりやすく載せることを挙げています。

載せる場所:第3号・第4号のどちらについても、ガイドラインは、次のような形式を採用しないこととしています。

  • リンクを張った先のページに載せる形
  • 利点や長所の情報と比べて、極端に小さな文字で載せる形

3. 未承認医薬品等を自由診療で使うと、何が加わりますか?

医療広告等ガイドラインが、限定解除の要件として、(ⅰ)〜(ⅴ)の5項目についても十分に記載する必要があるとしています。

5項目は、未承認であること、入手経路など、国内の承認品の有無、海外での安全性などの情報、救済制度の対象にならないことを示すものです。

省令の4つの要件はそのままで、そこに(ⅰ)〜(ⅴ)が加わります。根拠は省令ではなくガイドライン第3-3の2で、かかる場面も、未承認医薬品等を自由診療で使用する場合に限られます。

ガイドラインのいう「未承認医薬品等」は、次の2つです。どちらも、医薬品医療機器等法(薬機法)での承認などを基準にしています。

  • 承認などを受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品(人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品など)
  • 承認などを受けた効能・効果(使いみち)や用法・用量(使い方と量)とは異なる、医薬品・医療機器・再生医療等製品

追加される5項目

  • (ⅰ)未承認医薬品等であることの明示:使う未承認医薬品等が、薬機法上の承認などを得ていないものであることを、はっきり示す。
  • (ⅱ)入手経路などの明示:医師などの個人輸入による未承認医薬品等を使う場合は、その旨をはっきり書く。あわせて、厚生労働省ホームページの「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供する。
  • (ⅲ)国内の承認医薬品等の有無の明示:同じ成分や性能を持つ、ほかの国内承認医薬品等があるかどうかを書く。その国内承認医薬品等に、流通管理などの承認条件(承認のときに付けられた条件)が付いている場合は、その旨も書く。
  • (ⅳ)諸外国での安全性などの情報の明示:主要な欧米各国で承認されている場合は、海外の情報も日本語で分かりやすく説明する。この情報には、各国の添付文書(製品に付ける、使い方や注意を書いた文書)にある重大な副作用や、使用状況(承認年月日、使用者数、副作用報告など)を含める。承認している主要な欧米の国がないなど、情報が足りない場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを示す。
  • (ⅴ)救済制度の対象にならないことの明示:未承認医薬品等は、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にはならないことを示す。示すのは次の3つです。
    • 万が一健康被害があったときの、公的な救済制度があること。対象は、国内で承認を受けて製造販売されている医薬品・医療機器・再生医療等製品による、副作用やウイルスなどによる感染被害です。(ⅴ)の中の医療機器は、生物由来等製品である場合に限ります。
    • 未承認の医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用は、救済の対象にならないこと
    • 承認を受けて製造販売されているものでも、原則として、決められた効能・効果、用法・用量、使用上の注意に従って使われていない場合は、救済の対象にならないこと

例

あるクリニックが、国内で承認されていない医薬品を医師の個人輸入で取り寄せ、自由診療で使う場面で考えます。この治療をウェブサイトで紹介して限定解除を受けるには、省令の4つの要件に加えて、(ⅰ)〜(ⅴ)の記載が求められます。たとえば(ⅱ)により、医師の個人輸入によるものである旨を書くことになります。

この(ⅰ)〜(ⅴ)について、ガイドラインは、患者などにとって分かりやすい掲載場所になるよう十分に配慮することを求めています。2.の節の第3号・第4号と同じく、リンクを張った先のページへの掲載や、利点や長所の情報と比べて極端に小さな文字での掲載といった形式は、採用しないこととされています。

原文で確かめる(ガイドライン 第3-3の2)

また、医薬品医療機器等法において、承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品、あるいは承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器・再生医療等製品(以下「未承認医薬品等」という。)を自由診療で使用する場合は、限定解除の要件として以下の内容についても十分に記載する必要がある。

医療広告等ガイドライン 第3-3 の2

Q&Aが加えていること

厚生労働省は、ガイドラインについての問答集として、医療広告等ガイドラインに関するQ&A(以下「Q&A」)を示しています。適用の範囲について、Q&Aには2つの記載があります。番号の「A」は答えの印で、「2-14」などは項目の番号です。

A2-14は、医薬品などを、承認を受けていない効能・効果の目的で使う適応外使用の場合、広告の取り扱いも未承認医薬品等と同様である、としています。

A2-15は、医薬品又は医療機器の販売名(製品の名前)については広告できないとしています。これは、医薬品等適正広告基準(医薬品などの広告について国が示した基準)を踏まえたものです。この基準により、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとされています。そのうえで、患者などが自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、限定解除要件を満たした場合に限定を解除できる、としています。

4. 「限定解除は5要件」という説明は、何を混ぜているのですか?

省令が定める4つの要件と、未承認医薬品等を使う場合にガイドラインが追加で求める記載事項とを、一つの数にまとめています。

追加分も「限定解除の要件として」求められますが、根拠は省令ではなくガイドラインです。

根拠の違う2つを並べると、次のとおりです。

  • 省令の4つの要件:根拠は医療法施行規則第1条の9の2です。番号は第1号〜第4号で、ガイドラインでは①〜④と書かれます。第1号・第2号は限定解除を受けるすべての場合に、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合に限ってかかります。
  • ガイドラインの5項目:根拠は医療広告等ガイドライン第3-3の2です。番号は(ⅰ)〜(ⅴ)です。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合にかかります。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

医療広告の限定解除の要件は5つある。あるいは、4つの要件のうちの一つが「未承認医薬品等に関する記載」である。

現行

医療法施行規則第1条の9の2の要件は第1号から第4号までの4つで、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合に限られる。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合は、これに加えて医療広告等ガイドライン第3-3の2の(ⅰ)〜(ⅴ)の記載が求められる。

医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9の2(e-Gov 法令検索、施行日2026年5月1日の版)および医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の2。

原文にあたるときは、この2つが別の文書の別の箇所にあることを見ておくと、数の食い違いの出どころが分かります。

例

あるクリニックが、承認を受けた医薬品を承認の内容どおりに使う自由診療を、ウェブサイトで紹介する場面で考えます。限定解除を受けるなら、求められるのは省令の4つの要件で、(ⅰ)〜(ⅴ)の追加はありません。同じクリニックが、未承認医薬品等を使う自由診療も限定解除を受けて紹介するなら、その紹介には(ⅰ)〜(ⅴ)の記載も求められます。

5. 再生医療等を自由診療で行う場合、Q&Aはどう答えていますか?

A3-26は、承認を受けた再生医療等製品のみを承認の内容に従って使う医療技術は広告可能、承認を受けていない製品を使う再生医療等は広告できない、としています。

後者も、患者などが自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトで限定解除要件を満たせば限定を解除できますが、未承認医薬品等と同様の対応が必要とされています。

ここでいう再生医療等は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律が定める再生医療等(加工した細胞などを使って行う医療)です。A3-26の答は、薬機法の承認を受けた製品を、承認の内容どおりに使うかどうかで分かれます。

未承認医薬品等の扱いは、3.の節で説明しました。

例

あるクリニックが、承認を受けていない製品を使う再生医療等を、自由診療で行う場面は、上の結論の「後者」の場面です。

原文で確かめる(Q&A A3-26)

医薬品医療機器等法の承認を受けた再生医療等製品のみを用いて、かつ当該承認の内容に従って行う医療技術については、広告可能です。

ただし、承認を受けていない製品を用いる再生医療等(再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成 25 年法律第 85 号)第2条第1項に規定する再生医療等をいう。)については、広告できません。

また、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトにおいて、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。ただし、その場合は、未承認医薬品等と同様の対応が必要です。

医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26

同じ順序の答は、再生医療等とは別の項目にも置かれています。A3-25は、医薬品であるプラセンタ注射についての答です。A3-25によると、プラセンタ注射が医薬品医療機器等法上認められているのは、次の「効能・効果」を目的に用いる場合のみです。更年期障害、乳汁分泌不全、慢性肝疾患における肝機能の改善です。

そのうえでA3-25は、承認された「効能・効果」以外の目的での使用については、広告できないとしています。ただし、患者などが自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトについては、限定解除要件を満たした場合に限定を解除できる、としています。

医療機関の側に別途かかる再生医療等提供計画などの手続は、『5-5 エクソソームなどを使う自由診療で、医療機関が守るルールは?』で扱います。

6. 記載してあれば、要件を満たしたことになりますか?

記載があるだけでは足りません。Q&Aは、問い合わせ先が実際に機能するかと、患者が容易に見て確かめられるかについて、要件を満たさない場合を示しています。

記載の内容についても、A6-12が、示された記述だけでは要件を満たしているとは認められないとしています。

問い合わせ先(第2号)

A6-10は、電話番号やメールアドレスが書いてあっても、照会に実際に応じられない状態であれば、要件を満たさないとしています。

例

A6-10は、次のような場合を挙げています。

  • 予約専用である旨が書かれ、問い合わせできる旨の記載がない電話番号
  • 電話はつながるが、自動音声が対応するだけで、問い合わせへの折り返しの連絡がない
  • メールアドレスが書かれているが、受付した旨の返信があるだけで、問い合わせへの返答がない
原文で確かめる(Q&A A6-10)

予約専用である旨が記載され、問い合わせ可能である旨の記載のない電話番号などの場合は、患者等が容易に照会できるとは言えず、限定解除要件を満たしているとは認められません。問い合わせ先の電話番号につながるものの自動音声が対応するのみで、問い合わせに対する折り返しの連絡がないような場合についても同様です。

また、メールアドレスが記載されている場合であって、受付した旨の返信があるのみで問い合わせに対する返答がないような場合等についても、患者等が容易に照会できるとはみなされないため、限定解除要件を満たしているとは認められません。

医療広告等ガイドラインに関するQ&A A6-10

簡単に見て確かめられるか

A6-11は、限定解除要件について、患者が容易に視認できる(簡単に目で見て確かめられる)ことが必要だとしています。そのうえで、そうとはいえないケースを3つ挙げています。

限定解除要件については、患者が容易に視認できることが必要です。例えば、以下のようなケースは容易に視認できる状態ではないと考えられます。

・文字が極端に小さく容易に確認が出来ないと考えられるもの

・背景色と同じあるいは同系統の文字色で記載されているなど、配色に問題があると考えられるもの

・意図的に情報量を増やし、必要事項を見逃す恐れがあると判断できるもの

医療広告等ガイドラインに関するQ&A A6-11

例

あるクリニックのページで、白い背景に、背景と同系統の薄い色の文字でリスクを書く場面で考えます。これは、A6-11の2つ目のケース(配色に問題があると考えられるもの)にあたり得ます。

A6-11には、患者の求めがあった場合には、限定解除の要件として記載したものと同じ内容を紙面などで提供することが望ましい、との記載もあります。

リスク・副作用の記載(第4号)

Q6-12は、ある治療のデメリットとして次の記述を設問の中に示し、これで限定解除要件を満たすかを問うています。

(例)デメリットとしては、

・時間の経過によって体内へと吸収され、元に戻る

・十分な効果を得るために、数回の注射が必要な場合がある

が挙げられます。

医療広告等ガイドラインに関するQ&A Q6-12(設問中の例)

A6-12は、上のような記載のみでは、限定解除要件を満たしているとは認められないと答えています。求められるのは、自由診療で通常必要とされる治療などの内容・費用などと、主なリスク・副作用などを記載することです。

原文で確かめる(Q&A A6-12)

限定解除要件とされている、自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項、自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項を記載することが必要です。上記のような記載のみでは、限定解除要件を満たしているとは認められません。

医療広告等ガイドラインに関するQ&A A6-12

7. 要件を満たさない広告には、どんな手続がありますか?

医療法第6条の8が、報告命令・立入検査と、広告の中止命令・是正命令(広告をやめさせ、直させる命令)を定めています。後者に違反した場合の罰則は第87条です。

ガイドラインは、まず任意の調査と行政指導(役所が、法的な強制力なしに協力を求めて行う指導)を行い、それに応じない場合に命令へ進む手順を示しています。

第6条の8の2つの項は、次のとおりです。

  • 第1項:報告命令(報告を命じること)と、立入検査(事務所に立ち入って、広告に関する文書などを検査すること)
  • 第2項:広告の中止命令と、内容の是正命令

第2項の命令を出せるのは、都道府県知事、保健所を設置する市の市長、特別区の区長です。広告が第6条の5第2項・第3項などに違反していると認めるとき、広告をした者に、期限を定めて命じることができます。

原文で確かめる(医療法 第6条の8第2項)

命令までの手順

命令に至るまでの手順は、ガイドライン第5の4(2)ア〜ウに書かれています。ただし、同(2)の柱書(項目の冒頭の文)は、次のように書いています。各都道府県等が個別の事例に応じて効果的かつ柔軟に対応すべきもので、以下のような手順に限定されるものではない、という内容です。

  1. 任意の調査と行政指導(第5の4(2)ア)

    違反が疑われる広告を見つけたときは、通常はまず任意の調査として、広告に書かれた医師や医療機関などに説明を求めるなどの調査を行います。違反を確認した場合は、通常はまず行政指導として、広告の中止や内容の是正を求めます。必要に応じて、違反広告物の回収や廃棄なども指導します。

  2. 医療機関等以外の者への調査・指導(同ア)

    あわせて、必要な場合は、広告代理店・雑誌社・新聞社・放送局など、医師や医療機関など以外で広告を作った者や載せた者にも、任意の調査や指導を行います。

  3. 報告命令又は立入検査(同イ、法第6条の8第1項関係)

    任意の調査に応じない場合や、任意での説明・提出された書類に疑義(疑わしい点)がある場合などです。こうした必要な場合に、報告命令や立入検査を行います。

  4. 中止命令又は是正命令(同ウ、法第6条の8第2項関係)

    行政指導に従わない場合や、違反を繰り返すなどの悪質な事例の場合に、期限を定めて、広告の中止や内容の是正を命じます。同ウは、あわせて次の点に留意するよう記しています。中止命令・是正命令は、不利益処分(特定の人に義務を課したり、権利を制限したりする処分)です。その実施の前に、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条に規定する弁明の機会(処分を受ける側が言い分を述べる機会)を与えなければならない、という点です。

罰則

命令に従わなかった場合の罰則は、第87条にあります。同条は「六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する」と定めています。六か月以下の拘禁刑(刑事施設に収容する刑)、または三十万円以下の罰金です。

第87条は、対象として次のようなときを掲げています。

  • 第1号:第6条の5第1項(虚偽の広告)ほかの規定に違反したとき
  • 第3号:第6条の8第2項ほかの規定に基づく命令又は処分に違反したとき

報告と検査については、別の条に罰則があります。第6条の8第1項の報告や提出を怠ったり、虚偽の報告をしたり、同項の検査を拒んだり、妨げたり、忌避(避けること)したりしたときです。これは第89条第2号に掲げられており、同条の法定刑(法律が定める刑)は二十万円以下の罰金です。

第87条の刑を、改正前の呼び方で書いた説明もよく見かけます。現行の条文は「拘禁刑」です。ガイドライン第5の4(2)エには、改正前の呼び方の記載が残っています。

原文で確かめる(刑の呼び方の変更)

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

中止命令・是正命令に従わなかった場合は「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」。

現行

医療法第87条の法定刑は「六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金」。医療法については、令和4年法律第68号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)による改正が2025年6月1日から施行されている。

医療法第87条(e-Gov 法令検索、施行日2026年6月5日の版)。施行日は e-Gov 法令検索の医療法の改正沿革(版 323AC0000000205_20250601_504AC0000000068、施行日2025-06-01、改正法=令和4年法律第68号)で確認。なお医療広告等ガイドライン 第5の4(2)エには「6月以下の懲役又は 30 万円以下の罰金(法第 87 条第1号)」との記載が残っている(令和8年3月30日最終改正版)。

規制を受けるのは、医療機関だけではない

医療広告規制の名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)は、医療機関に限られません。

例

ある広告代理店が、クリニックのウェブサイトの広告を作った場面で考えます。Q&AのA5-2によると、医療広告規制は何人にも(だれにでも)適用されます。そのため、サイト運営会社や、広告を作成した広告代理店などにも、是正が命じられたり、罰則が科されたりすることがある、とされています。

相談先と、行政が公表している資料

Q&AのA5-1は、医療広告違反を見つけた場合や、医療広告に関する疑問がある場合の相談先を挙げています。各医療機関を所管する(担当する)地方自治体や保健所です。厚生労働省ホームページに問い合わせ窓口一覧を掲載していることも示しています。ネットパトロールに通報することも可能としています。どちらも所在のURLが、A5-1に併記されています。

実際に規制に触れると認められた事例をまとめた資料には、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」があります。その第6版について、厚生労働省は2026年3月30日に事務連絡(役所が、運用上の注意などを担当者あてに伝える文書)を出しています。この事務連絡は、第6版で「自由診療における限定解除要件を満たしていない事例や、SNS・動画における広告事例等について内容を拡充」したと述べています。別紙の所在も示しています。

広告規制の運用は、厚生労働省の医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会でも議題になっています。第7回は2026年3月26日に開かれ、「医療等に関する広告規制について」が議題の一つでした。

理解の確認

限定解除の要件を満たしても、体験談の広告と、治療等の前又は後の写真等の広告の禁止が残るのはなぜですか?

医療法第6条の5は3つの層でできていて、限定解除が外すのは、第3項の「掲げる事項以外の広告をしてはならない」という広告可能事項の限定だけだからです。体験談の広告と、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告を禁じているのは、医療法施行規則第1条の9です。これは第2項の広告の内容及び方法の基準を受けた規定で、第3項とは別の層に置かれています。第1項の虚偽の広告の禁止も、同じ理由でそのまま残ります。医療広告等ガイドライン第3-3の1も、同じことを書いています。広告可能事項以外の事項も、法第6条の5第2項及び省令第1条の9の基準に適合しなければならず、その内容が虚偽にわたってはならない、という内容です。

根拠:医療法第6条の5第1項・第2項・第3項、医療法施行規則第1条の9、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の1(法令確認日 2026-09-08)

「限定解除の要件は5つ」という説明は、根拠の違う何と何を、一つの数にまとめてしまっていますか?

医療法施行規則第1条の9の2が定める要件と、医療広告等ガイドライン第3-3の2が未承認医薬品等について追加で求める記載事項です。省令の要件は第1号から第4号までで、限定解除を受ける場合にかかります。ただし書により、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合に限られます。ガイドラインの(ⅰ)〜(ⅴ)は、未承認医薬品等を自由診療で使用する場合にだけかかる記載事項です。根拠となる文書も、かかる場面も、省令の要件とは別です。性質もかかる範囲も違うので、足し合わせて一つの要件の数として数えることはできません。

根拠:医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9の2、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の2(法令確認日 2026-09-08)

検索サイトの運営会社に費用を払って上位に表示させたページは、第1号(ガイドラインの①)を満たさないものとされています。第1号が、どのような情報を対象にした規定だからですか?

第1号が「医療に関する適切な選択に資する情報であつて患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること」を求めているからです。ガイドラインは、ウェブサイトのほか、メルマガや患者等の求めに応じて送付するパンフレット等を該当しうるものとしています。一方で、次のものを、①を満たさないものとしています。インターネット上のバナー広告、検索サイト上でスポンサーとして表示されるもの、費用を支払うことによって意図的に上位に表示される状態にしたものです。分かれ目は、情報が患者等の求めに応じて届くか、医療機関等の側から届けられるかにあります。第6条の5第3項自体が、広告がされても医療を受ける者による適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合に限って限定を外す立て付けです。そのため、要件がこの点に置かれています。

根拠:医療法第6条の5第3項、医療法施行規則第1条の9の2第1号、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の2(①の説明)(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5・第6条の8・第87条・第89条(施行日2026年6月5日の版)/医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9・第1条の9の2(施行日2026年5月1日の版) e-Gov 法令検索(医療法)・e-Gov 法令検索(医療法施行規則)(2026-09-08 確認)
  • 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。平成30年5月8日付け医政発0508第1号 厚生労働省医政局長通知の別紙3、令和8年3月30日最終改正)第3-3、第5 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添、令和8年3月30日最終改正)A2-14・A2-15・A3-25・A3-26・A5-1・A5-2・A6-10〜A6-12 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課 事務連絡) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 行政手続法(平成5年法律第88号)第13条 — 本ページでの引用は医療広告等ガイドライン 第5の4(2)ウの記載を通じたもの e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療広告相談窓口一覧/医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省 医政局) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 第7回 医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会(2026年3月26日開催。議題に「医療等に関する広告規制について」) 厚生労働省(2026-09-08 確認)