30秒でわかる要点
- 外れるのは「広告できる事項の限定」だけ。医療法第6条の5第3項の限定は要件を満たせば外れますが、第1項の虚偽広告の禁止と、第2項の広告の内容及び方法の基準は残ります。省令第1条の9が禁じる体験談の広告と、治療等の前又は後の写真等の広告も残ります。
- 省令が定める要件は4つ。医療法施行規則第1条の9の2の第1号から第4号までで、第1号・第2号は限定解除を受けるすべての場合に、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合に限ってかかります。
- 「5要件」は、4と5を足した数。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合は、医療広告等ガイドライン第3-3の2が(ⅰ)〜(ⅴ)の5項目の記載を追加で求めます。根拠も、かかる場面も、省令の4要件とは別です。
「限定解除」は何を解除するのか
医療法第6条の5第3項が課している「掲げる事項以外は広告してはならない」という限定を、厚生労働省令が定める要件を満たしたときに外す仕組みです。
解除されるのは広告できる事項の限定だけで、虚偽広告の禁止と、広告の内容及び方法の基準は解除されません。
医療法第6条の5は、三つの層でできています。第1項が虚偽の広告の禁止、第2項が広告の内容及び方法の基準(比較優良広告・誇大広告・公序良俗に反する内容の広告の禁止と、厚生労働省令で定める基準)、第3項が広告できる事項を第1号から第16号までに限る規定です。
限定解除が働くのは、このうち第3項の層だけです。上の二つの層は、限定解除の後もそのまま残ります。
この条文の「厚生労働省令で定める場合」にあたるのが、医療法施行規則第1条の9の2です。そこに要件が並びます。
限定解除が働いたあとも他の規律が残ることを、ガイドラインは次のように書いています。
なお、こうした広告可能事項以外の事項についても、法第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽にわたってはならない。
医療広告等ガイドライン 第3-3 の1(基本的な考え方)ここで引かれている省令第1条の9は、二つの広告を禁じる規定です。患者等の主観又は伝聞に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談の広告と、治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告です。限定解除の要件を満たしても、この二つの禁止は残ります。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
指針の名称は「医療広告ガイドライン」。
現行
正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」で、令和8年3月30日が最終改正。なお発出の根拠となる通知番号(平成30年5月8日付け医政発0508第1号 厚生労働省医政局長通知、その別紙3)は変わっていない。Q&Aは平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添で、最終改正は同じく令和8年3月30日。
「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について」(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課 事務連絡)の記載による。
限定解除の要件はいくつあるのか
医療法施行規則第1条の9の2が定める4つです。ただし第3号と第4号は、自由診療について情報を提供する場合に限られます。
条文は「次に掲げる要件の全てを満たす場合」と書いており、いずれか一つを満たせば足りるという構造ではありません。
要件は4つです。医療法施行規則第1条の9の2が第1号から第4号までを並べ、その全てを満たす場合を「厚生労働省令で定める場合」としています。
4つが同じようにかかるわけではありません。第1号と第2号は限定解除を受けるすべての場合に、第3号と第4号はただし書によって、自由診療について情報を提供する場合に限ってかかります。
ただし書の括弧の中が、この条にいう自由診療の定義です。要件が4つであること、そのうち第3号と第4号にだけただし書がかかることは、条文の文言から読み取れます。
番号の付け方は、文書によって違います。ガイドラインは同じ要件を丸数字の①〜④で書いており、①が第1号、②が第2号、③が第3号、④が第4号にあたります。
各号についてガイドラインが述べていること
- 第1号(ガイドラインの①)。ウェブサイトのほか、メルマガ、患者等の求めに応じて送付するパンフレット等が該当しうる。一方、インターネット上のバナー広告、検索サイト上でスポンサーとして表示されるもの、検索サイトの運営会社に費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にしたものは、①を満たさないものとされている。
- 第2号(②)。問い合わせ先とは、電話番号、Eメールアドレス等をいう。患者等と医療機関等との情報の非対称性が軽減されるよう担保されている場合を指す。
- 第3号(③)。ガイドラインは趣旨を、自由診療は保険診療として実施されるものとは異なりその内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため、その内容を明確化し料金等に関するトラブルを防止する観点から、と書いている。掲げているのは、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけの紹介ではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載すること。標準的な費用が明確でない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む。)までの範囲を示すなどすること。
- 第4号(④)。ガイドラインは趣旨を、自由診療についてその利点や長所のみが強調され主なリスク等についての情報が乏しい場合には当該医療機関を受診する者が適切な選択を行うことができないおそれがあるため、と書いている。そのうえで、主なリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく掲載することを挙げている。
- 掲載場所。第3号・第4号のいずれについても、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと、とされている。
| 要件 | 適用される場面 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第1号 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること | 限定解除を受けるすべての場合 | 医療法施行規則第1条の9の2第1号 |
| 第2号 問い合わせ先の記載その他の方法による明示 | 限定解除を受けるすべての場合 | 同条第2号 |
| 第3号 通常必要とされる治療等の内容、費用等の情報提供 | 自由診療について情報を提供する場合に限る | 同条ただし書・第3号 |
| 第4号 主なリスク、副作用等の情報提供 | 自由診療について情報を提供する場合に限る | 同条ただし書・第4号 |
表の内容は、医療法施行規則第1条の9の2の本文とただし書をそのまま並べ直したものです。当サイトが独自に区分を作ったものではありません。
未承認医薬品等を自由診療で使う場合には、何が追加されるのか
医療広告等ガイドラインが、限定解除の要件として(ⅰ)〜(ⅴ)の5項目についても十分に記載する必要があるとしています。
「未承認医薬品等」には、承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品のほか、承認等された効能・効果又は用法・用量が異なるものが含まれます。
追加されるのは、ガイドラインが求める5項目の記載です。省令の4要件はそのままで、そこに(ⅰ)〜(ⅴ)が加わります。根拠は省令ではなく医療広告等ガイドライン第3-3の2で、かかる場面も未承認医薬品等を自由診療で使用する場合に限られます。
また、医薬品医療機器等法において、承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品、あるいは承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器・再生医療等製品(以下「未承認医薬品等」という。)を自由診療で使用する場合は、限定解除の要件として以下の内容についても十分に記載する必要がある。
医療広告等ガイドライン 第3-3 の2- (ⅰ)未承認医薬品等であることの明示。用いる未承認医薬品等が、医薬品医療機器等法上の承認等を得ていないものであることを明示する。
- (ⅱ)入手経路等の明示。医師等の個人輸入による未承認医薬品等を用いる場合は、その旨を明記する。合わせて、厚生労働省ホームページに掲載された「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供する。
- (ⅲ)国内の承認医薬品等の有無の明示。同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等の有無を記載する。その国内承認医薬品等に流通管理等の承認条件が課されている場合には、その旨を記載する。
- (ⅳ)諸外国における安全性等に係る情報の明示。主要な欧米各国で承認されている場合は、各国の添付文書に記載された重大な副作用やその使用状況(承認年月日、使用者数、副作用報告等)を含めた海外情報についても、日本語で分かりやすく説明する。主要な欧米各国で承認されている国がないなど情報が不足している場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示する。
- (ⅴ)未承認医薬品等は医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にはならないことの明示。明示するのは次の三つ。国内で承認を受けて製造販売されている医薬品・医療機器(生物由来等製品である場合に限る。(ⅴ)において同じ。)・再生医療等製品による副作用やウイルス等による感染被害で万が一健康被害があったときの公的な救済制度があること。未承認の医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用は救済対象にならないこと。また、承認を受けて製造販売されているものであっても、原則として決められた効能・効果、用法・用量及び使用上の注意に従って使用されていない場合は救済対象にならないこと。
この(ⅰ)〜(ⅴ)についても、掲載場所を患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと、とされています。
適用の範囲については、Q&Aに二つの記載があります。A2-14は、医薬品等について当該効能・効果への承認がない適応外使用の場合、広告の取り扱いも未承認医薬品等と同様である、としています。
A2-15は、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとされている医薬品等適正広告基準に鑑み、医薬品又は医療機器の販売名については広告できないとしています。そのうえで、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、限定解除要件を満たした場合に限定を解除できる、としています。
「限定解除は5要件」という説明は、何を混ぜているのか
省令が定める4つの要件と、未承認医薬品等を使う場合にガイドラインが追加で求める記載事項とを、一つの数に足し合わせています。
追加分も「限定解除の要件として」求められますが、根拠が省令ではなくガイドラインであり、かかる場面も未承認医薬品等を自由診療で使用する場合に限られます。
「5要件」という説明は、根拠の違う二つを一つの数に足しています。省令が定める4つの要件と、未承認医薬品等を自由診療で使用する場合にガイドラインが追加で求める5項目です。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
医療広告の限定解除の要件は5つある。あるいは、4つの要件のうちの一つが「未承認医薬品等に関する記載」である。
現行
医療法施行規則第1条の9の2の要件は第1号から第4号までの4つで、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合に限られる。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合は、これに加えて医療広告等ガイドライン第3-3の2の(ⅰ)〜(ⅴ)の記載が求められる。
医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9の2(e-Gov 法令検索、施行日2026年5月1日の版)および医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の2。
番号の付け方も、文書ごとに違います。省令の要件は第1号から第4号までの号番号、ガイドラインは同じ4要件を①〜④の丸数字、追加分を(ⅰ)から(ⅴ)までの記号で示しています。原文にあたるときは、この二つが別の文書の別の箇所にあることを見ておくと、数の食い違いの出どころが分かります。
要点
4は省令が定める要件の数、5はガイドラインが未承認医薬品等について追加した記載事項の数です。省令の4つのうち第1号・第2号は限定解除を受けるすべての場合に、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合にかかります。ガイドラインの5項目は、未承認医薬品等を自由診療で使用する場合にかかります。
再生医療等を自由診療で行う場合は、どう書かれているのか
Q&AのA3-26は、承認を受けた再生医療等製品のみを承認内容に従って用いる医療技術は広告可能、未承認の製品を用いる再生医療等は広告できないとしています。
後者もウェブサイトで限定解除要件を満たせば限定を解除できますが、その場合は未承認医薬品等と同様の対応が必要とされています。
Q&AのA3-26が、この場合を正面から扱っています。承認を受けた製品を承認の内容に従って用いるかどうかで、扱いが分かれます。
医薬品医療機器等法の承認を受けた再生医療等製品のみを用いて、かつ当該承認の内容に従って行う医療技術については、広告可能です。
ただし、承認を受けていない製品を用いる再生医療等(再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成 25 年法律第 85 号)第2条第1項に規定する再生医療等をいう。)については、広告できません。
また、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトにおいて、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。ただし、その場合は、未承認医薬品等と同様の対応が必要です。
医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26同じ順序の答は、他の項目にも置かれています。A3-25は、プラセンタ注射について、医薬品医療機器等法上、更年期障害、乳汁分泌不全、慢性肝疾患における肝機能の改善の「効能・効果」を目的に用いる場合のみ認められているとしています。そのうえで、承認された「効能・効果」以外の目的での使用については広告できないとし、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトについては限定解除要件を満たした場合に限定を解除できる、と書いています。
医療機関の側に別途かかる再生医療等提供計画などの手続は、医療機関側のルールで扱います。
記載してあれば、要件を満たしたことになるのか
なりません。Q&Aは、問い合わせ先の実効性と、患者が容易に視認できることについて、記載があっても要件を満たさない場合を示しています。
記載の内容についても、A6-12が、示された記述だけでは要件を満たしているとは認められないとしています。
記載があるだけでは足りません。Q&Aは、問い合わせ先・視認できる状態か・記載の内容のそれぞれについて、限定解除要件を満たしているとは認められない場合を挙げています。
問い合わせ先(第2号)について
A6-10は、電話番号やメールアドレスが記載されていても、照会に実際に応じられない状態であれば要件を満たさないとしています。
予約専用である旨が記載され、問い合わせ可能である旨の記載のない電話番号などの場合は、患者等が容易に照会できるとは言えず、限定解除要件を満たしているとは認められません。問い合わせ先の電話番号につながるものの自動音声が対応するのみで、問い合わせに対する折り返しの連絡がないような場合についても同様です。
また、メールアドレスが記載されている場合であって、受付した旨の返信があるのみで問い合わせに対する返答がないような場合等についても、患者等が容易に照会できるとはみなされないため、限定解除要件を満たしているとは認められません。
医療広告等ガイドラインに関するQ&A A6-10視認できる状態かどうか
A6-11は、限定解除要件について患者が容易に視認できることが必要だとしたうえで、そうといえないケースを三つ挙げています。
限定解除要件については、患者が容易に視認できることが必要です。例えば、以下のようなケースは容易に視認できる状態ではないと考えられます。
・文字が極端に小さく容易に確認が出来ないと考えられるもの
・背景色と同じあるいは同系統の文字色で記載されているなど、配色に問題があると考えられるもの
・意図的に情報量を増やし、必要事項を見逃す恐れがあると判断できるもの
医療広告等ガイドラインに関するQ&A A6-11A6-11には、患者の求めがあった場合には、広告可能事項の限定解除の要件として記載されたものと同じ内容を紙面等で提供することが望ましい、との記載も置かれています。
リスク・副作用の記載(第4号)について
Q6-12は、次の記述を設問の中に示したうえで、これで限定解除要件を満たすかを問うています。
(例)デメリットとしては、
・時間の経過によって体内へと吸収され、元に戻る
・十分な効果を得るために、数回の注射が必要な場合がある
が挙げられます。
医療広告等ガイドラインに関するQ&A Q6-12(設問中の例)A6-12の答は、次のとおりです。
限定解除要件とされている、自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項、自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項を記載することが必要です。上記のような記載のみでは、限定解除要件を満たしているとは認められません。
医療広告等ガイドラインに関するQ&A A6-12要件を満たさない広告には、何が用意されているのか
医療法第6条の8が報告命令・立入検査と広告の中止・是正命令を定め、その命令に違反した場合の罰則が第87条に置かれています。
ガイドラインは、まず任意の調査と行政指導を行い、それに応じない場合に命令へ進む手順を示しています。
用意されているのは、報告命令・立入検査(医療法第6条の8第1項)と、広告の中止・是正命令(同条第2項)です。命令に違反した場合の罰則は、第87条に置かれています。
そこへ至るまでの手順は、ガイドラインが書いています。以下の4つは、医療広告等ガイドライン 第5の4(2)ア〜ウが記載している手順です。同(2)の柱書は、各都道府県等が個別の事例に応じて効果的かつ柔軟に対応すべきものであり、以下のような手順に限定されるものではない、と書いています。
任意の調査と行政指導(第5の4(2)ア)
違反が疑われる広告を発見した際は、通常はまず任意の調査として、広告に記載された医師等又は医療機関等に説明を求める等の調査を行う。違反を確認した場合は、通常はまず行政指導として広告の中止や内容の是正を求め、必要に応じて違反広告物の回収、廃棄等を指導する。
医療機関等以外の者への調査・指導(同ア)
併せて、必要な場合には、広告代理店、雑誌社、新聞社、放送局等の、医師等又は医療機関等以外の広告を作成した者や広告を掲載した者に対しても、任意での調査や指導を行う。
報告命令又は立入検査(同イ、法第6条の8第1項関係)
任意の調査に応じない場合又は任意での説明や提出される書類に疑義がある場合等、必要な場合に、報告を命じ、又は事務所に立ち入って広告に関する文書その他の物件を検査させる。
中止命令又は是正命令(同ウ、法第6条の8第2項関係)
行政指導に従わない場合や違反を繰り返す等の悪質な事例の場合に、期限を定めて広告の中止又はその内容を是正すべき旨を命ずる。同ウはあわせて、不利益処分たる中止命令又は是正命令については、その実施に先立ち、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条に規定する弁明の機会を付与しなければならないことに留意されたい、と記している。
命令に従わなかった場合の罰則は第87条です。同条は「六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する」としたうえで、第1号に第6条の5第1項(虚偽の広告)ほかの規定に違反したときを、第3号に第6条の8第2項ほかの規定に基づく命令又は処分に違反したときを掲げています。
報告と検査については、別の条に罰則があります。第6条の8第1項による報告若しくは提出を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同項による当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは第89条第2号に掲げられており、同条の法定刑は二十万円以下の罰金です。
名宛人は医療機関に限られません。Q&AのA5-2は、医療広告規制は何人にも適用されるため、サイト運営会社や広告を作成した広告代理店等にも、是正が命じられたり、罰則が科されたりすることがある、としています。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
中止命令・是正命令に従わなかった場合は「6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」。
現行
医療法第87条の法定刑は「六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金」。医療法については、令和4年法律第68号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)による改正が2025年6月1日から施行されている。
医療法第87条(e-Gov 法令検索、施行日2026年6月5日の版)。施行日は e-Gov 法令検索の医療法の改正沿革(版 323AC0000000205_20250601_504AC0000000068、施行日2025-06-01、改正法=令和4年法律第68号)で確認。なお医療広告等ガイドライン 第5の4(2)エには「6月以下の懲役又は 30 万円以下の罰金(法第 87 条第1号)」との記載が残っている(令和8年3月30日最終改正版)。
相談先・通報先と、行政が公表している資料
Q&AのA5-1は、医療広告違反を見つけた場合や医療広告に関する疑問がある場合の相談先として、各医療機関を所管する地方自治体や保健所を挙げています。問い合わせ窓口一覧を厚生労働省ホームページに掲載していること、ネットパトロールに通報することも可能であることも示しています。どちらも所在のURLがA5-1に併記されています。
実際に抵触が認められた事例をまとめた資料としては、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」があります。令和8年3月30日の事務連絡は、第6版について「自由診療における限定解除要件を満たしていない事例や、SNS・動画における広告事例等について内容を拡充」したと述べ、別紙の所在を示しています。
広告規制の運用は、厚生労働省の医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会でも議題とされています。第7回は2026年3月26日に「医療等に関する広告規制について」を議題の一つとして開催されています。
理解の確認
限定解除の要件を満たしても、体験談の広告と、治療等の前又は後の写真等の広告の禁止が残るのはなぜか。
医療法第6条の5は三つの層でできていて、限定解除が外すのは第3項の「掲げる事項以外の広告をしてはならない」という広告可能事項の限定だけだからです。体験談の広告と、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告を禁じているのは、第2項の広告の内容及び方法の基準を受けた医療法施行規則第1条の9であり、第3項とは別の層に置かれています。第1項の虚偽の広告の禁止も、同じ理由でそのまま残ります。医療広告等ガイドライン第3-3の1も、広告可能事項以外の事項についても法第6条の5第2項及び省令第1条の9の基準に適合し、その内容が虚偽にわたってはならない、と書いています。
根拠:医療法第6条の5第1項・第2項・第3項、医療法施行規則第1条の9、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の1(法令確認日 2026-09-08)
「限定解除の要件は5つ」という説明は、根拠の違う何と何を一つの数にまとめてしまっているのか。
医療法施行規則第1条の9の2が定める要件と、医療広告等ガイドライン第3-3の2が未承認医薬品等について追加で求める記載事項です。省令の要件は第1号から第4号までで、限定解除を受ける場合にかかります(ただし書により、第3号・第4号は自由診療について情報を提供する場合に限られます)。ガイドラインの(ⅰ)〜(ⅴ)は、未承認医薬品等を自由診療で使用する場合にだけかかる記載事項で、根拠となる文書も、かかる場面も、省令の要件とは別です。性質もかかる範囲も違うものなので、足し合わせて一つの要件の数として数えることはできません。
根拠:医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9の2、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の2(法令確認日 2026-09-08)
検索サイトの運営会社に費用を支払って意図的に検索結果の上位に表示される状態にしたページが第1号(ガイドラインの①)を満たさないものとされるのは、この号がどのような情報を対象にしている規定だからか。
第1号が「医療に関する適切な選択に資する情報であつて患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること」を求めているからです。ガイドラインは、ウェブサイトのほかメルマガや患者等の求めに応じて送付するパンフレット等を該当しうるものとし、インターネット上のバナー広告、検索サイト上でスポンサーとして表示されるもの、費用を支払うことによって意図的に上位に表示される状態にしたものを、①を満たさないものとしています。分かれ目は、情報が患者等の求めに応じて届くか、医療機関等の側から届けられるかにあります。第6条の5第3項自体が、広告がされても医療を受ける者による適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合に限って限定を外す立て付けなので、要件がこの点に置かれています。
根拠:医療法第6条の5第3項、医療法施行規則第1条の9の2第1号、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-3の2(①の説明)(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 7-6 医療広告規制はなぜ限定列挙なのか — 医療法第6条の5から第6条の8まで 医療法の広告規制は、書いてはいけないことではなく、書いてよいことを並べる形をとっています。
- 5-5 医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律 エクソソームなど細胞の分泌物を用いる自由診療では、医療機関の側に2系統の規律がかかります。
- 5-1 令和6年7月31日 事務連絡 — エクソソーム試薬に係る監視指導の6類型 令和6年7月31日の事務連絡は、エクソソーム試薬のうち記1の(1)から(6)までに当たるものを無承認無許可医薬品として、指導及び取締りの徹底を求めるものです。
- 8-9 公開前に確認される観点 — 行政の文書は、何を「確認すること」と書いているか 公開前の確認は、社内の慣行ではなく、法令上の措置として書かれています。
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5・第6条の8・第87条・第89条(施行日2026年6月5日の版)/医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9・第1条の9の2(施行日2026年5月1日の版) e-Gov 法令検索(医療法)・e-Gov 法令検索(医療法施行規則)(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。平成30年5月8日付け医政発0508第1号 厚生労働省医政局長通知の別紙3、令和8年3月30日最終改正)第3-3、第5 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添、令和8年3月30日最終改正)A2-14・A2-15・A3-25・A3-26・A5-1・A5-2・A6-10〜A6-12 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課 事務連絡) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 行政手続法(平成5年法律第88号)第13条 — 本ページでの引用は医療広告等ガイドライン 第5の4(2)ウの記載を通じたもの e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 個人輸入において注意すべき医薬品等について(厚生労働省) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告相談窓口一覧/医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省 医政局) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 第7回 医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会(2026年3月26日開催。議題に「医療等に関する広告規制について」) 厚生労働省(2026-09-08 確認)