30秒でわかる要点
- 書いてよい事項を並べる形(限定列挙):医療法第6条の5第3項は、省令(厚生労働大臣が定める命令)で定める場合を除き、「掲げる事項以外の広告をしてはならない」と定めています。医療広告等ガイドライン(厚生労働省が示す指針)が挙げる理由は2つです。医療が人の生命・身体に関わること、専門性が高く、広告の文言から実際のサービスの質を前もって判断しにくいことです。
- 広告の3要件と、規制を受ける人:ガイドラインは、次の3つをすべて満たすものを医療広告としています。受診に誘う意図(誘引性)、医療機関などが特定できること(特定性)、医業(医師が行う診療の仕事)・歯科医業や病院・診療所に関する内容であることです。ガイドラインは、広告代理店、アフィリエイター(成果に応じた報酬を受けて紹介する人)、患者なども、広告規制の対象とされるとしています。
- ウェブサイトも規制の対象:医療法施行規則(厚生労働省令)第1条の9の2の要件をすべて満たした場合に限り、広告できる事項の限定が外れます(限定解除)。外れるのはその限定だけで、うその広告、大げさな広告、他より優れているとする広告、体験談などの禁止は、そのまま適用されます。
1. 医療の広告は、なぜ「書いてよい事項」を並べる形なのですか?
ガイドラインは理由を2つ挙げています。医療が人の生命・身体に関わること、専門性が高く、広告の文言から実際のサービスの質を前もって判断しにくいことです。
仕組みとしては、医療法第6条の5第3項が、第1号から第16号までに並べた事項以外の広告を、限定解除(6.で説明)の場合を除いて禁じています。
医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5第3項は、広告してよい事項を、第1号から第16号までの号(条文の中の箇条書き)に並べています。そのうえで、並べた事項「以外の広告をしてはならない」と定めています。禁止する行為を並べるのではなく、広告してよい事項を並べる書き方です。この形を「限定列挙」と呼びます。
ただし、条文は例外を置いています。厚生労働省令(厚生労働大臣が定める命令)で定める場合です。これが、ウェブサイトなどでの「限定解除」にあたります(6.の節)。
直感的なポイント
禁止する行為を並べる書き方は、通行止めの標識を要所に立てるやり方に似ています。標識の無い道は通れます。医療法第6条の5第3項は、通ってよい道だけを描いた地図を配るやり方に近い書き方です。地図に無い道は、原則として通れません。
ガイドラインが挙げている理由は2つ
医療広告等ガイドライン(以下「ガイドライン」)は、背景として次の2つを挙げています(第1の2-1)。
- 医療は、人の生命・身体に関わるサービスです。不当な広告にひかれて不適当なサービスを受けたときの被害は、ほかの分野に比べて著しいものです。
- 医療は、専門性がとても高いサービスです。広告を見る人が、その文言から、実際のサービスの質を前もって判断することは、非常に困難です。
あわせてガイドラインは、広告してよい事項が、患者などが治療を選ぶのに役立つ情報であることを前提にしています。そのうえで、医療の内容などについては、客観的に評価でき、あとから検証できる事項に限られる、と述べています(第1の2-1(3))。
例
あるクリニックが、手術後の生存率を広告に載せたい場面で考えます。限定列挙の形では、まずそれが並べた事項のどれかに当たるかを確かめます。ガイドラインは、死亡率・術後生存率など(医療機能情報提供制度で報告が義務付けられた事項以外)を、広告できる事項以外の例に挙げています(5.の節)。医療機能情報提供制度は、医療機関が自院の診療の情報を都道府県に報告し、公表される仕組みです。
原文で確かめる(ガイドラインが挙げる2つの理由)
① 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
② 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)第1の2-1号は第16号まである
よく見かける解説には、「その他」の号を第15号とするものがあります。令和7年の法改正で、新しい第15号が入りました。病院・診療所の医師・歯科医師が、オンライン診療受診施設(オンライン診療を受けるための施設)を使ってオンライン診療を行う旨と、その内容に関する号です。「その他」の号は、第16号に移りました。
原文で確かめる(号の数の変わり方)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
広告できる事項は第6条の5第3項の第1号から第15号までで、第15号が「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」。
現行
号は第16号まである。第15号は、その勤務する医師又は歯科医師がオンライン診療受診施設を利用してオンライン診療を行う病院又は診療所について、当該オンライン診療を行う旨及び当該オンライン診療の内容に関する事項。「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」は第16号になっている。
現行の号立ては e-Gov 法令検索の医療法第6条の5第3項(施行日 2026-06-05)による。第15号の内容は医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-2の4(15)も同じ文言で掲げている。旧番号は厚生労働省の参照条文集(令和4年1月)に第15号として掲載されている。改正は医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)によるもので、この改正法の一部は令和8年4月1日から施行されている(医療広告等ガイドラインに関するQ&A 冒頭)。
2. 広告できる事項は、法律の条文を読めば全部わかるのですか?
わかりません。号は項目のまとまりで書かれ、医療従事者・治療の方法・医療の提供の結果などの号の中身は、告示(厚生労働大臣が公に示す決まり)に任されているためです。
診療科名(第2号)の範囲も、第6条の6第1項により、政令(内閣が定める命令)で定める診療科名か、厚生労働大臣の許可を受けた診療科名に限られます。
理由は2つあり、どちらも第6条の5第3項の書き方から来ています。
1つ目:号は「項目のまとまり」で書かれている
ガイドラインによると、第6条の5第3項の号は、一つ一つの事項を個別に並べる形ではありません。一定の性質を持った項目をまとめて「○○に関する事項」と書く、「包括規定方式」がとられています(第3-2の4 柱書)。
2つ目:号の中身を告示に任せている
次の4つの号は、条文自体が、中身は「厚生労働大臣が定めるもの」と書いています。
- 第9号:その病院・診療所で診療に従事する医療従事者に関する事項
- 第13号:提供される医療の内容のうち、検査、手術その他の治療の方法
- 第14号:医療の提供の結果に関する事項
- 第16号:その他前各号に掲げる事項に準ずるもの
中身を定めているのは、厚生労働大臣の告示です。ガイドラインでは「広告告示」と呼ばれています。
例
本棚にたとえると、条文は棚のラベルまでを書いています。棚に何を入れるかは告示が決める、という分担です。たとえば第13号の棚には「治療の方法」というラベルが付いています。そこにどんな治療の方法が入るかは、告示まで見ないとわかりません。
広告告示は、平成19年厚生労働省告示第108号です。正式な題名は「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」です。
第6条の5第4項は、厚生労働大臣が案を作る際に、診療に関する学識経験者の団体の意見を聴かなければならない、としています。この4つの号も、その対象です。
第16号について、ガイドラインはこう書いています(第3-2の4(16))。法第6条の5第3項第1号から第15号に掲げた事項に準じるものとして、厚生労働大臣が広告告示第4条で定めたものは、広告できます。
診療科名は、政令と大臣の許可で決まる
診療科名は第2号です。その範囲も、条文の中だけでは決まりません。第6条の6第1項により、広告できる診療科名は、医業・歯科医業について次のどちらかに限られます。
- 政令(内閣が定める命令)で定める診療科名。政令は、医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2です。
- その診療に従事する医師・歯科医師が、厚生労働大臣の許可を受けた診療科名
例
ガイドラインは、「専門外来」という表記を、広告できる事項以外の例に挙げています。理由は、広告できる診療科名と誤認を与える事項だからです(5.の節)。
広告規制の条文の全体像
医療法の広告規制の条文は、次の表のように並んでいます。
| 条 | 対象 | 定めている |
|---|---|---|
| 第6条の5 | 医業・ | 虚偽 |
| 第6条の6 | 診療科名 | 広告できる |
| 第6条の7 | 助産師の | 第6条の5と |
| 第6条の7の2 | オンライン | 厚生労働省令で |
| 第6条の8 | 違反 | 報告命令・ |
詳しく見る(表の出どころ)
条文はいずれも e-Gov 法令検索の医療法(法令ID 323AC0000000205、版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026-06-05)の本文による(2026-09-08 確認)。第6条の7の2 と第6条の5第3項第15号は、医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)により設けられたもので、同改正法の一部は令和8年4月1日から施行されている(医療広告等ガイドラインに関するQ&A 冒頭)。
3. どこからが、医療法の「広告」になるのですか?
ガイドラインの3要件をすべて満たすときです。受診に誘う意図(誘引性)、医療機関などを特定できること(特定性)、医業・歯科医業や病院・診療所に関する内容です。
ガイドラインは、「これは広告ではありません」と書いてあっても、病院名などが書かれている場合は、広告として取り扱うことが適当だとしています。
ガイドライン 第2の1-1が示す3つの要件は、次のとおりです。
- 誘引性:患者の受診などを誘う意図があること
- 特定性:医業・歯科医業を提供する人の氏名・名称、または病院・診療所・オンライン診療受診施設の名称が特定できること
- 医業・歯科医業、または病院・診療所に関する内容であること
ガイドラインによると、誘引性は、広告などで取り上げられている病院などの利益を期待して誘っているかどうかで判断されます。特定性は、対象が1つに絞られている必要はありません。複数の医師・歯科医師や医療機関などを取り上げている場合も満たします。
例
ガイドラインは、新聞記事が特定の病院などを推薦する内容であっても、誘引性の要件を満たさないものとして扱うとしています。ただし、下の一覧(第2の5)では、費用を負担して掲載を頼む記事風の広告が除かれています。一方で、病院などが自分のウェブサイトなどに載せる、治療などの内容や効果についての体験談は、広告にあたるとしています。
「広告ではない」形をとっても、中身で見られる
ガイドライン 第2の2は、広告規制を避ける意図で、見た目の上で誘引性や特定性を外そうとする表現を想定しています。そのうえで、次の場合は広告にあたるものとして取り扱うことが適当だ、としています。
- 「これは広告ではありません。」と書いてあるが、病院名などが書かれている場合
- 具体的な病院名は書けないとしながら、住所・電話番号・ウェブサイトのアドレスなどから病院などを特定できる場合
- 治療法などを紹介する書籍・冊子・ウェブサイトの形をとっているが、特定の病院などの名称や連絡先が書かれていて、一般の人が容易に特定できる場合
ガイドラインは、医療機関が広告料などを負担して掲載を頼むステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)にも、同じように注意が必要だとしています。
ガイドライン 第2の3によると、医療広告には、直接的な表現だけでなく、暗示的・間接的なものも含まれます。情報物を全体で見たとき、医療広告だと一般の人が認識し得るものです。挙げられているのは、次のようなものです。
- 名称やキャッチフレーズによるもの
- 写真・イラスト・絵文字によるもの
- 記事や談話・学説・体験談の引用によるもの
- ウェブサイトのURLやEメールアドレスによるもの
ふつうは広告と見なされないもの
ガイドライン 第2の5は、次のものを「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」として挙げています。理由は、いずれも誘引性を持たないことです。
- 学会や専門誌などで発表される学術論文、ポスター、講演など(学術論文などを装って、不特定多数にダイレクトメールで送るなどの場合を除く)
- 新聞や雑誌などの記事(費用を負担して掲載を頼む、記事風の広告を除く)
- 患者などが自分で載せる体験談、手記など(医療機関からの依頼や謝礼、経営に関わる人の家族などによる場合を除く)
- 医療機関などの施設内の掲示、施設内で配るパンフレットなど
- 医療機関などの職員募集に関する広告
いずれの項目にも、ガイドラインは上のような除外の条件を付けています。
例
ある患者が、自分の通院の体験を、自分のブログに書いた場面です。これは、一覧にある、患者などが自分で載せる体験談にあたり得ます。ただし、医療機関が頼んだり謝礼を渡したりしていれば、かっこ書きの除外にあたり、この一覧の例には入りません。
4. 広告規制を受けるのは、医療機関だけですか?
医療機関に限りません。ガイドラインは、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者や一般の人など、何人も広告規制の対象とされると書いています。
日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者などによる広告(海外から送られるダイレクトメールやEメールなど)も、規制の対象とされています。
医療法第6条の5第1項は、「何人も」(なんぴとも。だれでも、という意味)という言葉で始まります。この項は、うその広告(虚偽広告)を禁じる規定です。決まりが義務や禁止の対象とする人を「名宛人」と呼びます。第1項の名宛人は、「何人も」、つまりだれでもです。
ガイドラインは、この「何人も」について、医師・歯科医師や病院などの医療機関だけではないと書いています(第2の6(1))。
ガイドラインでは、アフィリエイターは、見た人を誘う目的でブログなどで紹介し、その成果に応じて報酬が支払われる広告をする人と定義されています。
広告代理店と媒体の位置づけ
ガイドライン 第2の6(2)は、次の人たちを名指ししています。
- 広告を頼んだ人(広告依頼者)から依頼を受けて、広告を企画・制作する広告代理店
- 広告を載せる新聞・雑誌・テレビ・出版などの業務に携わる人
- アフィリエイター
ガイドラインによると、これらの人は、広告を載せたり放送したりするとき、その内容が法やガイドラインに違反していないか、十分注意する必要があります。違反の例として挙げられているのは、内容がうそや大げさなもの(虚偽誇大)などです。
ガイドラインは、違反などがあった場合、広告依頼者とともに、法やガイドラインによる指導などの対象となり得る、とも書いています。
例
あるクリニックから依頼を受けた広告代理店が、ウェブ広告を作る場面です。できた広告が法やガイドラインに違反していれば、クリニックとともに、代理店も指導などの対象となり得ます。
オンライン診療受診施設の広告は、誰が主体かで対象が分かれる
ガイドラインは、次のように書いています(第2の6(1))。
- オンライン診療を行う医療機関が主体になって、その施設の広告をする場合:その医療機関
- 施設を設置する法人などが主体になって、オンライン診療の広告をする場合:その法人など
薬機法の「何人も」との比べ方は、『1-6 規制されるのは誰?』で扱います。
5. 禁止される広告には、どんな種類がありますか?
うそ・大げさな広告、他より優れているとする広告、社会の秩序や道徳に反する広告、広告できる事項以外の広告、体験談、誤認させるおそれのある治療前後の写真などです。
このほか、品位を損ねる内容の広告と、ほかの法令やそれに関連する広告ガイドラインで禁止される内容の広告は、「厳に慎むべき」ものとされています。
ガイドライン 第3-1の1は、禁止される広告の内容を(1)から(8)に整理しています。根拠になる条項とあわせて並べると、次のとおりです。
- 内容がうその広告(虚偽広告)— 法第6条の5第1項
- ほかの病院・診療所と比べて優れているとする広告(比較優良広告)— 同条第2項第1号
- 大げさな広告(誇大広告)— 同条第2項第2号
- 公の秩序や善良の風俗(社会の一般的な道徳)に反する内容の広告 — 同条第2項第3号
- 広告できる事項以外の広告 — 同条第3項
- 患者などの主観や、人から聞いた話(伝聞)に基づく、治療などの内容や効果についての体験談の広告 — 医療法施行規則第1条の9第1号
- 治療などの内容や効果について、患者などを誤認させるおそれがある、治療などの前後の写真などの広告 — 同条第2号
最後の2つは、省令が定めています。法第6条の5第2項第4号が、「その他医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定める基準」を省令に任せているためです。
ガイドラインの整理の最後、(8)は「その他」です。品位を損ねる内容の広告と、ほかの法令やそれに関連する広告ガイドラインで禁止される内容の広告が置かれています。品位を損ねる内容の広告として、ガイドラインは次の3つを挙げています。
- 費用を強調した広告
- 提供される医療の内容とは直接関係ない事項で誘う広告
- ふざけたもの・ドタバタ的な表現による広告
例
あるクリニックが、治療の値段の安さを大きく打ち出したチラシを作る場面です。ガイドラインが品位を損ねる広告の例に挙げる、費用を強調した広告にあたるかが問題になり得ます。
「誇大」と「比較優良」の判断について書かれていること
誇大広告の「人を誤認させる」について、ガイドラインは次のように書いています(第3-1の1(3))。一般の人が広告から受け取る「印象」や「期待感」と、実際の内容に違いがあると、常識的な判断として言えれば足ります。誤認することの証明や、実際に誤認したという結果までは必要としません。
例
ある治療の広告を見た人が、1回で終わる治療だという印象を持つのに、実際には何回か通う必要がある場面です。実際に誤認した人がいなくても、印象と実際の違いが常識的に言えれば、誇大広告にあたるかが問題になり得ます。
他より優れているとする広告(比較優良広告)についても、ガイドラインは考え方を示しています(同(2))。最上級を意味する表現など、優秀性について著しい誤認を与える表現を除けば、客観的な事実を書くことは必ずしも妨げられません。ただし、求められれば、内容の裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。調査結果などを引用して広告するときは、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期などを併記する必要があるとされています。
「広告可能事項以外」として挙げられている具体例
ガイドライン 第3-1の1(5)は、広告できる事項以外の例として3つを挙げ、それぞれ理由を示しています。
- 専門外来という表記。理由は、広告できる診療科名と誤認を与える事項であることです。
- 死亡率、術後生存率など。理由は、医療機能情報提供制度で報告が義務付けられた事項以外は、対象になった患者の状態などによる影響も大きいことです。これらの事項は、適切な選択に役立つ情報だという評価がされる段階にはない、とされています。
- 未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品など)による治療の内容。未承認医薬品とは、国の承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)をまだ受けていない医薬品です。理由は、治療の方法が限られていることです。広告告示で認められた保険診療(公的医療保険を使う診療)で可能なものや、医薬品医療機器等法(薬機法)で承認された医薬品による治療などに限られます。
6. ウェブサイトなら、広告できる事項の外のことも自由に書けるのですか?
自由には書けません。ウェブサイトも広告規制の対象で、医療法施行規則第1条の9の2の要件をすべて満たす場合に限り、広告できる事項の限定が外れます(限定解除)。
外れるのは広告できる事項の限定だけで、うその広告の禁止と、第6条の5第2項・省令第1条の9の基準は、そのまま適用されます。
ウェブサイトなども、ほかの広告媒体と同じように、医療法の広告規制の対象です。虚偽や誇大などの表示は禁止されています。
ガイドライン 第1の1(1)によると、以前は、医療機関のウェブサイトについて、厚生労働省の通知で、関係団体などの自主的な取組を促していました。通知は、国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。その後の法改正で、いまの扱いになりました。
原文で確かめる(以前の扱いとの違い)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
医療機関のウェブサイトは医療法の広告規制の対象ではなく、ホームページガイドラインに基づく関係団体等の自主的な取組に委ねられている。
現行
ウェブサイト等も他の広告媒体と同様に規制の対象で、虚偽又は誇大等の表示は禁止されている。そのうえで、要件を満たす場合に広告可能事項の限定が解除される。
医療広告等ガイドライン 第1の1(1)。同項は、以前は「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)について」(平成24年9月28日付け医政発0928第1号厚生労働省医政局長通知)により自主的な取組を促してきたが、医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)によりウェブサイト等も他の広告媒体と同様に規制の対象とした、と記載している。
ガイドラインは、限定解除の趣旨を次のように説明しています(第3-3の1)。患者などが自分から求めて手に入れる情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要がある、という考え方です。
限定解除の4つの要件
要件は、省令(医療法施行規則)が定めています。次の4つを、すべて満たす必要があります。ただし、3と4の要件が求められるのは、自由診療について情報を出す場合に限ります。
- 医療に関する適切な選択に役立つ情報で、患者などが自分から求めて手に入れる情報を表示する、ウェブサイトなどであること
- 表示する内容について、患者などが簡単に問い合わせできるよう、問い合わせ先を書くなどして示すこと
- 自由診療で通常必要とされる治療などの内容や費用などについて、情報を出すこと
- 自由診療の治療などの主なリスクや副作用などについて、情報を出すこと
省令の4つの要件は、ガイドライン 第3-3の2 が①から④として掲げている内容と同じ文言です。ただし、省令の条文(下の原文)は、厚生労働省の参照条文集(令和4年1月)の抜粋によっています。e-Gov 法令検索での現行版の確認と、施行日(決まりが効力を持ち始める日)の特定はしていません。
原文で確かめる(医療法施行規則 第1条の9の2)
外れるのは「限定」だけ
限定解除で外れるのは、広告できる事項の限定だけです。ガイドラインは、限定解除で広告する事項についても、2つのことを求めています(第3-3の1)。1つは、法第6条の5第2項と省令第1条の9に定める、広告の内容と方法の基準に合うことです。もう1つは、その内容が虚偽にわたらないことです。
例
冒頭のクリニックが、4つの要件を満たしたウェブサイトに、患者が治療の効果を語る体験談も載せたいと考える場面です。外れるのは広告できる事項の限定だけなので、体験談の広告の禁止(省令第1条の9第1号)が問題になり得ます。なお、未承認の医薬品などを使うときは、限定解除の要件として、さらに書くべき内容があります(この節の後半で説明します)。
「自ら求めて入手する情報」にあたらないとされているもの
ガイドラインは、要件1について、次のものはこの要件を満たさないとしています(第3-3の2)。
- インターネット上のバナー広告
- 検索サイトで、スポンサーとして表示されるもの
- 検索サイトの運営会社にお金を払って、わざと検索結果の上位に表示されるようにしたもの
一方で、厚生労働省のQ&Aは、バナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトについて、次のように述べています(A1-7)。リンク先は、患者などが自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトになります。そのため、要件を満たした場合には限定を解除できる、としています。
例
あるクリニックが、ほかのサイトにバナー広告を出し、自院のウェブサイトにリンクさせる場面です。ガイドラインによると、バナー広告そのものは要件1を満たしません。リンク先の自院のウェブサイトは、Q&Aによると、要件を満たした場合には限定を解除できます。
未承認の医薬品などを使う場合
ガイドラインは、自由診療で次のものを使う場合について、限定解除の要件として、さらに書くべき内容を定めています。
- 承認などを受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品(人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品など)
- 承認などを受けていても、承認された効能・効果(使いみち)や用法・用量(使い方と量)と異なるもの
その内訳は『7-7 医療広告の「限定解除」、要件はいくつある?』で扱います。
再生医療等の広告の扱い(Q&A A3-26)は『5-5 エクソソームなどを使う自由診療で、医療機関が守るルールは?』で扱います。
7. 違反があると、誰が何をするのですか?
都道府県知事、保健所を設置する市の市長、特別区(東京23区)の区長が、報告命令・立入検査と、第6条の5第2項・第3項などの違反への中止命令・是正命令を行えます。
ガイドラインは、まず任意の調査と行政指導(強制力のない指導)を行い、従わない場合や違反を繰り返すなど悪質な場合に命令、という通常の順序を示しています。
医療法第6条の8が、違反への対応を定めています。
- 第1項:報告命令・立入検査 — 違反しているおそれがあると認めるときに使えます。広告をした人に必要な報告を命じたり、職員に、広告をした人の事務所へ立ち入らせて、広告に関する文書などを検査させたりできます。
- 第2項:中止命令・是正命令 — 違反していると認めるときに使えます。広告をした人に、期限を決めて、広告をやめるか内容を直すよう命じることができます。
原文で確かめる(医療法 第6条の8)
第1項の「前二条」は第6条の7(助産師の業務・助産所)と第6条の7の2(オンライン診療受診施設)を、第2項の「前条」は第6条の7の2を指します。
第2項が挙げているのは第6条の5第2項と第3項で、第1項のうその広告(虚偽広告)は、中止命令・是正命令の対象に入っていません。
ガイドラインは、うその広告を、「直接罰」(命令を経ずに罰則の対象になること)が適用されるものとしています。そのうえで、告発(捜査機関に犯罪を知らせ、処罰を求めること)を考えるべき場合の一つとして、次の場合を挙げています(第5の4(2)エ①)。うその広告(法第6条の5第1項違反)をした人が、中止や内容の是正を求める行政指導に応じない場合です。
ガイドラインによると、この告発は、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項により、司法警察員(捜査を行う警察官など)に書面で行うものです。
ガイドラインが示している手順
ガイドライン 第5の4(2)は、次の順で書いています。
- ア 調査と行政指導
- イ 報告命令または立入検査
- ウ 中止命令または是正命令
- エ 告発
- オ 行政処分(役所が法律に基づいて、相手の権利や義務を一方的に決める処分)
違反が疑われる広告を見つけたときは、通常はまず任意の調査(相手の協力を得て行う調査)をします。任意の調査に応じない場合や、任意の説明や出された書類に疑いがある場合など、必要なときに、第1項の報告命令・立入検査を行うとされています。
違反を確かめたときも、通常はまず行政指導として、広告の中止や内容の是正を求めます。行政指導に従わない場合や、違反を繰り返すなど悪質な場合に、第2項の命令を行う、という順序です。
中止命令・是正命令は、不利益処分(相手の権利を制限したり、義務を課したりする処分)です。そのため、命令の前に、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条に定める弁明の機会(相手が言い分を述べる機会)を与えなければならないとされています。
ガイドラインは、この手順は各都道府県などが個別の事例に応じて効果的かつ柔軟に対応すべきもので、書かれた手順に限定されるものではない、とも付け加えています。
例
都道府県など(所管の自治体)が、あるクリニックのチラシに、広告できる事項以外の内容が載っているのではないかと気づいた場面です。ガイドラインの手順では、通常は任意の調査と行政指導から始まり、中止命令・是正命令はその後の段階です。ただし、この手順に限られません。また、チラシの内容がうそであれば、命令を経ずに罰則の対象になり得ます。
命令を受ける人(名宛人)
ガイドライン 第5の4(3)は、報告命令・中止命令・是正命令を誰にあてて出すかを、次のように示しています。
- 違反広告をしたのが個人の場合:その個人
- 病院・診療所の場合:その開設者(病院・診療所を開いた個人や法人)または管理者(院長など)
- オンライン診療受診施設の場合:その設置者
- 広告代理店、雑誌社、新聞社、放送局などの場合:その代表者
告発では、これらの人に加えて、法人そのものや、その広告違反で主導的な立場にあった人なども、事例に応じて対象にするとされています。
罰則と公表
ガイドラインは、罰則の条項を次のように整理しています(第5の4(2)エ)。
- 法第87条第1号:うその広告(虚偽広告)をした場合、診療科名についての第6条の6第4項に違反する場合、中止命令・是正命令に従わなかった場合
- 法第89条第2号:報告命令に対して報告を怠ったり、うその報告をしたりした場合。立入検査を拒んだり、妨げたり、避けたり(忌避)した場合
現行の医療法では、第87条は、6月以下(半年以下)の拘禁刑(刑事施設に入れる刑)または30万円以下の罰金です。第89条は、20万円以下の罰金です。どちらも、e-Gov 法令検索にある、施行日が 2026-06-05 の版によります。ガイドライン本文の罰則の書き方は、法改正で刑の種類が変わる前の呼び方のままです(令和4年法律第68号)。
ガイドラインは、公表についても書いています。行政指導に従わず、中止命令・是正命令や刑事告発などをしたときは、原則として事例を公表し、患者などに、その違反広告への注意を呼びかける、としています。
原文で確かめる(公表)
行政指導に従わず中止命令若しくは是正命令又は刑事告発等を実施した際には、原則として、事例を公表することにより、患者等に対して当該違反広告に対する注意喚起を行うこと。
医療広告等ガイドライン 第5の4(4)(公表)ほかの法律にも触れる場合はどうなるか
ガイドライン 第1の3によると、医療広告の規制は、医療法に基づくものだけではありません。景品表示法(商品やサービスの不当な表示などを規制する法律)や、薬機法などもあります。ガイドラインは、ほかの法令に触れる内容を広告しないのは当然のことだ、と述べています。
ガイドライン 第5の3は、複数の法令の関係を次のように整理しています。
- 広告に関する規定は、重ねて適用され得ます。医療法第6条の5・第6条の7の2に違反する(または違反が疑われる)広告が、同時にほかの法令の違反も疑われる場合があります。そのときは、違反が疑われる法令の担当課が、それぞれ連携しながら指導・処分などを行うよう求めています。
- ほかの法令に違反する、またはほかの法令で処分を受けるという理由で、医療法の広告違反が免責されることはありません。
原文で確かめる(ほかの法令との関係)
これらの広告に関する規定は、重畳的に適用され得るものであるので、法第6条の5又は第6条の7の2の規定に違反し、又は違反が疑われる広告等が同時に、関係法令に違反していることが疑われる場合については、違反が疑われる法令の主管課室がそれぞれ連携しながら指導・処分等を行うなど、所要の取組を効果的に行われたい。(中略)他法令に違反するとの理由や他法令に基づく処分を受けるとの理由で、法の広告違反が免責されることはない。
医療広告等ガイドライン 第5の3(景表法等の他法令等との対応)同じ第5の3は、医薬品や医療機器による診断・治療の方法などを、医療広告として広告する場面を2つに書き分けています。
- 医療行為として医薬品などを使う・処方する旨の広告:ガイドラインは、薬機法の広告規制の対象とはならないとしています(医療広告として、医療法の広告規制は受けます)。
- 医薬品などを販売する、または無償で渡す(授与する)旨が書かれた広告:薬機法の広告規制も受けることになります。
ここで引かれている薬機法の条文は、第66条第1項(うそや大げさな広告の禁止)と第68条(承認前の医薬品などの広告の禁止)です。健康増進法については、第31条第1項が引かれています。
どの法律の目でその表示物を見るかという整理は、『7-10 1つの広告や表示に、どの法律がかかり得る?』で扱います。
理解の確認
医療法が「してはならない広告」ではなく「広告してよい事項」の側を並べているのは、ガイドラインがどんな事情を挙げているからですか?
ガイドラインは2つを挙げています。1つ目は、医療が人の生命・身体に関わるサービスであることです。不当な広告にひかれて不適当なサービスを受けたときの被害は、ほかの分野に比べて著しいものです。2つ目は、医療はとても専門性が高いことです。広告を見る人は、その文言から、実際のサービスの質を前もって判断することが非常に困難です。見る側が質を前もって確かめられないという前提に立つため、ガイドラインは、広告してよい事項の範囲を示しています。患者などの治療の選択に役立つ情報であり、医療の内容などについては、客観的に評価でき、あとから検証できる事項に限られる、というものです。
根拠:医療法第6条の5第3項/医療広告等ガイドライン 第1の2-1・第1の2-1(3)(法令確認日 2026-09-08)
第6条の5第3項の第1号から第16号までを読めば、広告できる事項の範囲がわかる。この理解では足りないのはなぜですか?
理由は、号の書き方と、号の中身の決まり方の2つです。ガイドラインによると、号は一つ一つの事項を個別に並べていません。一定の性質を持った項目をまとめて「○○に関する事項」と書く、包括規定方式です。さらに第9号・第13号・第14号・第16号は、条文自体が「厚生労働大臣が定めるもの」と書いています。その中身は、広告告示(平成19年厚生労働省告示第108号)に任せています。診療科名(第2号)の範囲も、医療法施行令第3条の2の政令と、厚生労働大臣の許可で決まります。条文は棚のラベルまでを定め、棚に何を入れるかは告示や政令が決める分担です。そのため、条文だけでは範囲が決まりません。
根拠:医療法第6条の5第3項・第6条の6第1項、医療法施行令第3条の2、平成19年厚生労働省告示第108号/医療広告等ガイドライン 第3-2の4(法令確認日 2026-09-08)
医療法施行規則第1条の9の2の要件をすべて満たしたウェブサイトについて、「限定が解除される」とは、何が外れることですか?
外れるのは、広告できる事項の限定だけです。ガイドラインは、限定解除で広告する事項も、法第6条の5第2項と省令第1条の9に定める、広告の内容と方法の基準に合う必要があるとしています。その内容が虚偽にわたってはならない、とも書いています。そのため、虚偽広告・比較優良広告・誇大広告の禁止や、体験談・誤認させるおそれのある治療前後の写真などの禁止は、要件を満たしても適用され続けます。ウェブサイトなどは、もともとほかの広告媒体と同じく広告規制の対象です。限定解除は、規制の枠の外に出ることを意味しません。
根拠:医療法施行規則第1条の9の2、医療法第6条の5第2項・第3項/医療広告等ガイドライン 第1の1(1)・第3-3の1・第3-3の2(法令確認日 2026-09-08)
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- 7-7 医療
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使う あるクリニックの事務長が、自由診療(公的医療保険などの給付の対象にならない診療)を始める準備をしています。自由診療で、 医療機関が 守る ルールは? — 提供計画と 医療広告 - 7-10 1つの
広告や 健康食品の会社で、新しい商品の広告を作るとします。表示に、 どの 法律が かかり得る? — 薬機法・ 景品表示法・ 健康増進法・ 医療法の 重なり - 1-6 規制されるのは
誰? — 薬機法の 化粧品メーカーの広告を広告代理店が作り、ウェブメディアが載せる。「何人も」と、 代理店・ 媒体・個人
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5〜第6条の8、第87条、第89条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。法令ID 323AC0000000205/版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026-06-05)
- 広告関係法令等参照条文(抜粋)— 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9・第1条の9の2、医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項(平成19年厚生労働省告示第108号)/第19回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 参考資料1(令和4年1月13日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。平成30年5月8日付け医政発0508第1号厚生労働省医政局長通知の別紙3。最終改正 令和8年3月30日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添。最終改正 令和8年3月30日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課事務連絡) 厚生労働省(2026-09-08 確認)