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医療広告規制はなぜ限定列挙なのか — 医療法第6条の5から第6条の8まで

医療法の広告規制は、書いてはいけないことではなく、書いてよいことを並べる形をとっています。医療法第6条の5第3項が、そこに掲げる事項以外の広告をしてはならないと定めているためです。ただし条文だけでは範囲が決まらず、告示と省令に委ねられた部分があります。このページでは、限定列挙になっている理由、どこからが「広告」か、誰が名宛人か、禁止される類型、ウェブサイトでの限定解除、違反時の命令までを、条文と医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)から確認します。個別の表示物の可否は扱いません。

30秒でわかる要点

  • 禁じ方が逆向き。第6条の5第3項は「掲げる事項以外の広告をしてはならない」と書き、広告してよい事項を第1号から第16号まで並べています。理由として指針が挙げるのは、医療が人の生命・身体に関わること、専門性が高く広告の文言から実際のサービスの質を事前に判断しにくいことの2点です。
  • 条文だけでは範囲が決まらない。第9号・第13号・第14号・第16号の中身は厚生労働大臣の告示(平成19年厚生労働省告示第108号)に委ねられ、診療科名(第2号)は医療法施行令第3条の2の政令と大臣の許可で決まります。名宛人も医療機関に限らず、第6条の5第1項は「何人も」と書いています。
  • ウェブサイトも広告規制の対象。医療法施行規則第1条の9の2の要件をすべて満たした場合に限り、広告可能事項の限定が解除されます。解除されるのはその限定だけで、虚偽広告の禁止と、第6条の5第2項・省令第1条の9が定める内容及び方法の基準は適用され続けます。

医療法の広告規制は、なぜ「書いてよい事項」を並べる形になっているのか

医療法第6条の5第3項が、そこに掲げる事項以外の広告をしてはならないと定めているためです。広告してよい事項は、第1号から第16号までに列挙されています。

指針は、この考え方を支える理由として、医療が人の生命・身体に関わること、専門性が高く広告の文言から実際のサービスの質を事前に判断することが困難であることの2点を挙げています。

医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5第3項は、掲げられた事項「以外の広告をしてはならない」という書き方をしています。禁止行為を並べるのではなく、広告してよい事項を並べる構造です。広告してよい事項は、第1号から第16号までに置かれています。

規制の形としては、通行止めの標識を要所に立てていくのではなく、通ってよい道だけを描いた地図を配るのに近い書き方です。

指針が挙げている理由は2つ

指針は、この構造の背景として2点を挙げています。医療が人の生命・身体に関わるサービスであること。そして、専門性が高く、広告の文言から実際のサービスの質を事前に判断することが困難であることです。

① 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。

② 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)第1の2-1

あわせて指針は、広告可能な事項が患者等の治療選択等に資する情報であることを前提としています。そのうえで、医療の内容等については客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限られる、と述べています(第1の2-1(3))。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

広告できる事項は第6条の5第3項の第1号から第15号までで、第15号が「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」。

現行

号は第16号まである。第15号は、その勤務する医師又は歯科医師がオンライン診療受診施設を利用してオンライン診療を行う病院又は診療所について、当該オンライン診療を行う旨及び当該オンライン診療の内容に関する事項。「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」は第16号になっている。

現行の号立ては e-Gov 法令検索の医療法第6条の5第3項(施行日 2026-06-05)による。第15号の内容は医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-2の4(15)も同じ文言で掲げている。旧番号は厚生労働省の参照条文集(令和4年1月)に第15号として掲載されている。改正は医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)によるもので、この改正法の一部は令和8年4月1日から施行されている(医療広告等ガイドラインに関するQ&A 冒頭)。

広告できる事項は、法律の条文だけを読めば分かるのか

分かりません。第6条の5第3項は項目群でまとめる包括規定方式をとり、第9号・第13号・第14号・第16号の中身は厚生労働大臣の告示に委ねられます。

診療科名(第2号)の範囲も、第6条の6第1項により、政令で定める診療科名か、厚生労働大臣の許可を受けたものに限られます。

条文だけでは決まりません。理由は2つあり、どちらも第6条の5第3項の書き方に由来します。

1つは、号の立て方です。指針は、一つ一つの事項を個別に列記するのではなく、一定の性質を持った項目群としてまとめて「○○に関する事項」と規定する、いわゆる「包括規定方式」をとっている、と説明しています(第3-2の4 柱書)。

もう1つは、号の中身の委任です。第9号(当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者に関する事項)、第13号(提供される医療の内容のうち、検査、手術その他の治療の方法)、第14号(医療の提供の結果に関する事項)、第16号(その他前各号に掲げる事項に準ずるもの)は、いずれも条文自体が「厚生労働大臣が定めるもの」と書いています。

受け皿は「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」(平成19年厚生労働省告示第108号。指針では「広告告示」)です。条文は棚のラベルまでを書き、棚に何を入れるかは告示が決める、という分担になっています。

法第6条の5第4項が、厚生労働大臣が案を作成する際に診療に関する学識経験者の団体の意見を聴かなければならないとしているのも、この第9号・第13号・第14号・第16号です。

指針は第16号について、法第6条の5第3項第1号から第15号に掲げられた事項に準じるものとして厚生労働大臣が広告告示第4条で定めたものを広告可能である、と書いています(第3-2の4(16))。

診療科名は政令と許可で決まる

診療科名は第2号ですが、その範囲も条文の中では閉じていません。法第6条の6第1項により、医業及び歯科医業につき政令で定める診療科名と、当該診療に従事する医師又は歯科医師が厚生労働大臣の許可を受けた診療科名に限られます。政令は医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2です。

表1:広告規制に関する医療法の条文の並び
対象定めている内容
第6条の5医業・歯科医業、病院・診療所虚偽広告の禁止(第1項)、広告の内容及び方法の基準(第2項)、広告可能事項の限定(第3項)、省令・告示の立案時の意見聴取(第4項)
第6条の6診療科名広告できる診療科名は、政令で定めるもの又は厚生労働大臣の許可を受けたもの(第1項)
第6条の7助産師の業務、助産所第6条の5と同じ構造の規制
第6条の7の2オンライン診療受診施設厚生労働省令で定める場合を除き広告を禁止
第6条の8違反広告の実施者報告命令・立入検査(第1項)、中止命令・是正命令(第2項)

条文はいずれも e-Gov 法令検索の医療法(法令ID 323AC0000000205、版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026-06-05)の本文による(2026-09-08 確認)。第6条の7の2 と第6条の5第3項第15号は、医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)により設けられたもので、同改正法の一部は令和8年4月1日から施行されている(医療広告等ガイドラインに関するQ&A 冒頭)。

どこからが医療法上の「広告」になるのか

指針が挙げる3つをすべて満たしたときです。誘引性、特定性、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する内容であることの3つです。

「これは広告ではありません」と書いてあっても、病院名や連絡先から医療機関が特定できる場合は、実質的に広告として取り扱うことが適当だとされています。

指針は、医療広告の該当性を3つの要件で示しています。3つをすべて満たすものが医療広告です(第2の1-1)。

  1. 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
  2. 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院、診療所若しくはオンライン診療受診施設の名称が特定可能であること(特定性)
  3. 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する内容であること

誘引性は、広告に該当するか否かを判断する情報物の客体の利益を期待して誘引しているか否かにより判断するとされています。特定性は、対象が一つに絞られている必要はありません。複数の提供者又は医療機関等を対象としている場合も満たします。

指針は、新聞記事が特定の病院等を推薦している内容であっても、誘引性の要件を満たさないものとして取り扱うとしています。一方、当該病院等が自らのウェブサイト等に掲載する治療等の内容又は効果に関する体験談は、広告に該当するとしています。

回避の外形をとっても実質で判断される

指針 第2の2は、広告規制の対象となることを避ける意図で、外形的に誘引性・特定性を回避する表現が行われることを想定しています。そのうえで、次の場合には広告に該当するものとして取り扱うことが適当だとしています。

  • 「これは広告ではありません。」との記述があるが、病院名等が記載されている場合
  • 具体的な病院名は記載できないとしながら、住所・電話番号・ウェブサイトのアドレス等から病院等が特定可能な場合
  • 治療法等を紹介する書籍・冊子・ウェブサイトの形態をとっているが、特定の病院等の名称や連絡先の記載により一般人が容易に特定できる場合

医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼するステルスマーケティングについても、同様に留意が必要とされています。

さらに指針 第2の3は、直接的な表現だけでなく、情報物を全体でみた場合に暗示的・間接的に医療広告等であると一般人が認識し得るものも含まれるとしています。挙げられているのは、名称やキャッチフレーズによるもの、写真・イラスト・絵文字によるもの、記事や談話・学説・体験談の引用によるもの、ウェブサイトのURLやEメールアドレスによるものです。

通常は広告と見なされないものとして挙げられているもの

指針 第2の5は、次のものを「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」として挙げています。いずれも誘引性を有しないことが理由とされています。

  • 学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等(学術論文等を装って不特定多数にダイレクトメールで送る等の場合を除く)
  • 新聞や雑誌等での記事(費用を負担して掲載を依頼する記事風広告を除く)
  • 患者等が自ら掲載する体験談、手記等(医療機関からの依頼や謝礼、経営に関与する者の家族等による場合を除く)
  • 医療機関等の施設内の掲示、施設内で配布するパンフレット等
  • 医療機関等の職員募集に関する広告

いずれの項目にも、指針は上のような除外の但し書きを付けています。

「何人も」とあるが、規制を受けるのは医療機関だけなのか

医療機関に限りません。指針は、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされると記載しています。

日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象とされています。

指針は、この「何人も」について、医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされると書いています(第2の6(1))。

アフィリエイターは、閲覧した人を誘引することを目的としてブログ等で紹介し、その成果に応じて報酬が支払われる広告を行う者と定義されています。

媒体・代理店の位置づけ

指針 第2の6(2)が名指ししているのは、広告依頼者から依頼を受けて広告を企画・制作する広告代理店、広告を掲載する新聞・雑誌・テレビ・出版等の業務に携わる者、およびアフィリエイターです。掲載や放送等に当たって、当該広告の内容が虚偽誇大なもの等、法や指針に違反する内容となっていないか十分留意する必要があるとされています。

違反等があった場合には、広告依頼者とともに法や指針による指導等の対象となり得る、とも書かれています。

オンライン診療受診施設は、広告の主体で名宛人が分かれる

オンライン診療を実施する医療機関が主体となって当該施設に関する広告を行う場合は、当該医療機関が規制の対象になります。施設を設置する法人等が主体となってオンライン診療に関する広告を行う場合は、当該法人等が対象になると指針は書いています(第2の6(1))。

薬機法の「何人も」との対比は規制されるのは誰か — 「何人も」と代理店・媒体・個人で扱います。

禁止される広告には、どのような類型があるのか

虚偽広告、比較優良広告、誇大広告、公序良俗に反する広告、広告可能事項以外の広告、体験談、誤認させるおそれのある治療前後の写真等です。

このほか、品位を損ねる内容の広告と、他法令や他法令に関連する広告ガイドラインで禁止される内容の広告は「厳に慎むべき」ものとされています。

指針 第3-1の1は、禁止の対象となる広告の内容を(1)から(8)に整理しています。根拠となる条項は次のとおりです。

  • 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)— 法第6条の5第1項
  • 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)— 同条第2項第1号
  • 誇大な広告(誇大広告)— 同条第2項第2号
  • 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告 — 同条第2項第3号
  • 広告可能事項以外の広告 — 同条第3項
  • 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告 — 医療法施行規則第1条の9第1号
  • 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告 — 同条第2号

後半の2つは、法第6条の5第2項第4号が「その他医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定める基準」として省令に委ねている部分にあたります。

(8)は「その他」で、品位を損ねる内容の広告と、他法令又は他法令に関連する広告ガイドラインで禁止される内容の広告が置かれています。品位を損ねる内容の広告として指針が挙げているのは、費用を強調した広告、提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引、ふざけたもの・ドタバタ的な表現による広告です。

「誇大」の判断について書かれていること

指針は、誇大広告の「人を誤認させる」について、一般人が広告内容から認識する「印象」や「期待感」と実際の内容に相違があることを常識的判断として言えれば足りる、としています。誤認することを証明したり、実際に誤認したという結果までは必要としない、とも述べています(第3-1の1(3))。

比較優良広告については、最上級を意味する表現その他優秀性について著しい誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではないとされています。ただし、求められれば内容に係る裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。調査結果等の引用による広告には、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期等を併記する必要があるとされています(同(2))。

「広告可能事項以外」として挙げられている具体例

指針 第3-1の1(5)が挙げているのは3つです。いずれも、なぜそうなるかの理由が併せて示されています。

  • 専門外来という表記 — 広告が可能な診療科名と誤認を与える事項であること。
  • 死亡率、術後生存率等 — 医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項以外は、対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされる段階にはないこと。
  • 未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容 — 治療の方法が広告告示で認められた保険診療で可能なものや医薬品医療機器等法で承認された医薬品による治療等に限定されていること。

ウェブサイトなら、限定列挙の外のことも自由に書けるのか

書けません。ウェブサイトも広告規制の対象です。医療法施行規則第1条の9の2の要件をすべて満たす場合に限り、広告可能事項の限定が解除されます。

限定が解除されるのは広告可能事項の限定だけで、虚偽広告の禁止と第2項・省令第1条の9の基準は適用され続けます。

ウェブサイト等も、他の広告媒体と同様に医療法の広告規制の対象です。そのうえで、要件を満たした場合に広告可能事項の限定だけが解除されます。この扱いは、以前の説明から変わった部分です。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

医療機関のウェブサイトは医療法の広告規制の対象ではなく、ホームページガイドラインに基づく関係団体等の自主的な取組に委ねられている。

現行

ウェブサイト等も他の広告媒体と同様に規制の対象で、虚偽又は誇大等の表示は禁止されている。そのうえで、要件を満たす場合に広告可能事項の限定が解除される。

医療広告等ガイドライン 第1の1(1)。同項は、以前は「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)について」(平成24年9月28日付け医政発0928第1号厚生労働省医政局長通知)により自主的な取組を促してきたが、医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)によりウェブサイト等も他の広告媒体と同様に規制の対象とした、と記載している。

指針は、限定解除の趣旨を、患者等が自ら求めて入手する情報については適切な情報提供が円滑に行われる必要があるとの考え方によると説明しています(第3-3の1)。要件は医療法施行規則が定めます。

この4つの要件は、指針 第3-3の2 が①から④として掲げている内容と同じ文言です。ただし省令の条文そのものは、ここでは厚生労働省の参照条文集(令和4年1月)の抜粋によっており、e-Gov 法令検索での現行版の確認と施行日の特定はしていません。

要点

解除されるのは広告可能事項の限定だけです。指針は、限定解除により広告する事項についても、法第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽にわたってはならない、と記載しています(第3-3の1)。

第1号の「自ら求めて入手する情報」に当たらないとされているもの

指針は、第1号について、次のものはこの要件を満たさないとしています。インターネット上のバナー広告、検索サイト上でスポンサーとして表示されるもの、検索サイトの運営会社に費用を支払うことによって意図的に検索結果の上位に表示される状態にしたものです(第3-3の2)。

一方でQ&Aは、バナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトについては、リンク先が患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトになるため、要件を満たした場合には限定を解除できるとしています(A1-7)。

承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品、あるいは承認等された効能・効果又は用法・用量が異なるものを自由診療で使用する場合には、限定解除の要件としてさらに記載すべき内容が指針に定められています。その内訳は限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載で扱います。

再生医療等の広告の扱い(Q&A A3-26)は医療機関側のルール — 提供計画と医療広告の規律で扱います。

違反があると、誰が何をするのか

都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長が、報告命令・立入検査を行います。中止命令・是正命令の対象は、第6条の5第2項・第3項等の違反です。

指針は、通常はまず任意の調査と行政指導を行い、これに従わない場合や違反を繰り返す等の悪質な事例で命令を行うという順序を示しています。

動くのは都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長です。医療法第6条の8が、報告命令・立入検査を第1項に、中止命令・是正命令を第2項に置いています。

第1項の「前二条」は第6条の7(助産師の業務・助産所)と第6条の7の2(オンライン診療受診施設)を、第2項の「前条」は第6条の7の2を指します。

第2項が挙げているのは第6条の5第2項と第3項で、第1項の虚偽広告は中止命令・是正命令の対象に入っていません。指針は、直接罰の適用される虚偽広告(法第6条の5第1項違反)を行った者が中止若しくは内容の是正の行政指導に応じない場合を、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定により司法警察員に対して書面により告発を行うことを考慮すべき場合の一つとして挙げています(第5の4(2)エ①)。

指針が示している手順

指針 第5の4(2)は、ア 調査及び行政指導、イ 報告命令又は立入検査、ウ 中止命令又は是正命令、エ 告発、オ 行政処分の順で記載しています。

違反が疑われる広告を発見した際には、通常はまず任意の調査を行います。任意の調査に応じない場合や、任意での説明や提出される書類に疑義がある場合等、必要な場合に第1項の報告命令・立入検査を行うとされています。

違反を確認した場合も、通常はまず行政指導として広告の中止や内容の是正を求めます。行政指導に従わない場合や違反を繰り返す等の悪質な事例の場合に、第2項の命令を行うという順序です。中止命令・是正命令は不利益処分であるため、実施に先立ち行政手続法(平成5年法律第88号)第13条に規定する弁明の機会を付与しなければならないとされています。

指針は、この手順について、各都道府県等が個別の事例に応じて効果的かつ柔軟に対応すべきものであり、記載された手順に限定されるものではないとも付記しています。

命令の名宛人

指針 第5の4(3)は、報告命令・中止命令・是正命令の対象者を次のように示しています。違反広告の実施者が個人である場合は当該個人、病院又は診療所の場合はその開設者又は管理者、オンライン診療受診施設の場合はその設置者、広告代理店、雑誌社、新聞社、放送局等の場合はその代表者あてです。

告発については、それらの者に加え、法人自体又は当該広告違反の主導的な立場にあった者等を事例に応じて対象とするとされています。

罰則と公表

指針は、虚偽広告、法第6条の6第4項に違反する場合、中止命令若しくは是正命令に従わなかった場合に法第87条第1号が適用されると記載しています。報告命令に対して報告を怠り若しくは虚偽の報告をした場合や、立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合は法第89条第2号です(第5の4(2)エ)。

現行の医療法は、第87条を6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、第89条を20万円以下の罰金と定めています(e-Gov 法令検索、施行日 2026-06-05)。指針本文の罰則の記載は、令和4年法律第68号による刑の種類の変更より前の刑名のままです。

公表については次のように書かれています。

行政指導に従わず中止命令若しくは是正命令又は刑事告発等を実施した際には、原則として、事例を公表することにより、患者等に対して当該違反広告に対する注意喚起を行うこと。

医療広告等ガイドライン 第5の4(4)(公表)

他の法令にも触れる場合はどうなるか

指針 第1の3は、医療広告等の規制については法に基づく規定のほかに景表法や医薬品医療機器等法等があり、他法令等に抵触する内容について広告しないことは当然のことである、と述べています。そのうえで第5の3は、複数の法令の関係を次のように整理しています。

これらの広告に関する規定は、重畳的に適用され得るものであるので、法第6条の5又は第6条の7の2の規定に違反し、又は違反が疑われる広告等が同時に、関係法令に違反していることが疑われる場合については、違反が疑われる法令の主管課室がそれぞれ連携しながら指導・処分等を行うなど、所要の取組を効果的に行われたい。(中略)他法令に違反するとの理由や他法令に基づく処分を受けるとの理由で、法の広告違反が免責されることはない。

医療広告等ガイドライン 第5の3(景表法等の他法令等との対応)

同じ第5の3は、医薬品又は医療機器による診断や治療の方法等を医療広告として広告する場面を、2つに書き分けています。医療行為として医薬品等を使用又は処方する旨であれば医薬品医療機器等法上の広告規制の対象とはならないが、販売又は無償での授与をする旨が記載された広告であれば同法上の広告規制も受けることとなる、というものです。

ここで引かれているのは医薬品医療機器等法第66条第1項(虚偽・誇大広告の禁止)と第68条(承認前の医薬品等の広告の禁止)で、健康増進法については第31条第1項が引かれています。どの法律の目でその表示物を見るかという整理はどの法律で見るか — 重なりの整理で扱います。

理解の確認

医療法が「してはならない広告」を並べるのではなく「広告してよい事項」の側を並べる形をとっているのは、指針がどのような事情を挙げているからか。

指針は2点を挙げています。医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により誘引されて不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べ著しいこと。もう1つは、医療は極めて専門性が高く、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質を事前に判断することが非常に困難であることです。受け手の側では質を事前に確かめられないという前提に立つため、指針は広告可能な事項を、患者等の治療選択等に資する情報であって、客観的な評価が可能でありかつ事後の検証が可能な事項に限られるとしています。

根拠:医療法第6条の5第3項/医療広告等ガイドライン 第1の2-1・第1の2-1(3)(法令確認日 2026-09-08)

第6条の5第3項の第1号から第16号までを読めば広告できる事項の範囲が分かる、という理解では足りないのはなぜか。

号の書き方と、号の中身の決まり方の2つが理由です。指針は、一つ一つの事項を個別に列記するのではなく、一定の性質を持った項目群としてまとめて「○○に関する事項」と規定する包括規定方式がとられていると説明しています。さらに第9号・第13号・第14号・第16号は条文自体が「厚生労働大臣が定めるもの」と書いて中身を広告告示(平成19年厚生労働省告示第108号)に委ね、診療科名(第2号)の範囲も医療法施行令第3条の2の政令と厚生労働大臣の許可で決まります。条文は棚のラベルまでを定め、棚に何を入れるかは告示や政令が決める分担になっているので、条文だけでは範囲が閉じません。

根拠:医療法第6条の5第3項・第6条の6第1項、医療法施行令第3条の2、平成19年厚生労働省告示第108号/医療広告等ガイドライン 第3-2の4(法令確認日 2026-09-08)

医療法施行規則第1条の9の2の要件をすべて満たしたウェブサイトについて、「限定が解除される」とは何が外れることを指すのか。

外れるのは広告可能事項の限定だけです。指針は、限定解除により広告する事項についても、法第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽にわたってはならないと記載しています。したがって虚偽広告・比較優良広告・誇大広告の禁止や、体験談・誤認させるおそれのある治療前後の写真等の禁止は、要件を満たしても適用され続けます。ウェブサイト等はもともと他の広告媒体と同様に広告規制の対象であり、解除は規制の枠の外へ出ることを意味しません。

根拠:医療法施行規則第1条の9の2、医療法第6条の5第2項・第3項/医療広告等ガイドライン 第1の1(1)・第3-3の1・第3-3の2(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5〜第6条の8、第87条、第89条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。法令ID 323AC0000000205/版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026-06-05)
  • 広告関係法令等参照条文(抜粋)— 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9・第1条の9の2、医療法施行令(昭和23年政令第326号)第3条の2、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項(平成19年厚生労働省告示第108号)/第19回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 参考資料1(令和4年1月13日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。平成30年5月8日付け医政発0508第1号厚生労働省医政局長通知の別紙3。最終改正 令和8年3月30日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添。最終改正 令和8年3月30日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について(令和8年3月30日 厚生労働省医政局総務課事務連絡) 厚生労働省(2026-09-08 確認)