30秒でわかる要点
- 医療広告規制の名宛人は「何人も」。医師や医療機関に限らず、マスコミ・広告代理店・アフィリエイター・患者や一般人も対象になる。形の上で誘引性や特定性を外しても、実質で両要件を満たせば広告として扱われる。
- 再生医療等提供計画の提出は、再生医療等安全性確保法第4条第1項が病院・診療所の管理者に課している。義務が及ぶ範囲は第2条第2項の「再生医療等技術」の定義と政令で決まり、行政のQ&Aは細胞外小胞について「細胞を含まないことが明らかである場合には、法の対象外である」と記している。
- 未承認医薬品等による治療は、広告可能な事項ではない。患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等で、医療法施行規則第1条の9の2の①から④をすべて満たしたときにだけ限定が外れ、そのうえで(ⅰ)から(ⅴ)までの5つの記載が求められる。
医療広告の規制は、誰に向けられたルールなのか?
医療法第6条の5第1項の名宛人は「何人も」です。医師や医療機関に限られず、広告代理店やアフィリエイターも規制の対象になります。
本ページが扱うのは、このうち病院・診療所の側にかかる部分です。
医療法の広告規制は、医療機関だけを縛るルールではありません。条文が主語に置いているのは「何人も」です。
医療広告等ガイドラインは、この「何人も」について、医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人等が対象になるとしています。日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告も対象です(第2の6(1))。
広告に当たるかどうかの3要件
同ガイドラインは、次の①から③までのいずれの要件も満たす場合に医療広告に該当すると判断するとしています(第2の1-1)。
- 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
- 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院、診療所若しくはオンライン診療受診施設の名称が特定可能であること(特定性)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する内容であること
特定性は、複数の提供者又は医療機関等を対象としている場合も該当するとされています。
他方、医療機関の内部の掲示や内部で配布するパンフレット等は、情報の受け手が通常すでに受診している患者等に限定されるため、誘引性を満たさないとされています。ガイドラインはこれを情報提供や広報と解しています(第2の5(4))。
形の上で要件を外しても、実質で見られる
第2の2は、規制の対象となることを避ける意図で外形的に誘引性・特定性を回避する表現がとられた場合を扱っています。実質的に両要件を満たすときは、広告に該当するものとして取り扱うことが適当としています。
挙げられている例は2つです。ひとつは、治療法等を紹介する書籍、冊子及びウェブサイトの形態をとっていても、特定の病院等の名称や電話番号、ウェブサイトのアドレスから一般人が容易に医療機関を特定できる場合。もうひとつは、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼するステルスマーケティングです。
媒体の側も無関係ではありません。第2の6(2)が挙げているのは、広告依頼者から依頼を受けて広告を企画・制作する広告代理店と、広告を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者及びアフィリエイターです。違反等があった場合には広告依頼者とともに法や指針による指導等の対象となり得るとしています。
限定列挙という仕組みの由来は医療広告規制はなぜ限定列挙なのかで扱います。
再生医療等提供計画の提出は、どの医療に求められるのか?
再生医療等安全性確保法第4条第1項が、再生医療等を提供しようとする病院・診療所の管理者に、あらかじめ提供計画を厚生労働大臣へ提出することを求めています。
「再生医療等」は同法第2条第1項の定義で、その範囲は第2項の「再生医療等技術」の定義と政令で決まります。
再生医療等を提供しようとする病院・診療所の管理者は、提供を始める前に計画を出さなければなりません。根拠は再生医療等安全性確保法第4条第1項です。
計画に記載する事項は第1号から第8号までです。
- 病院・診療所の名称と住所
- 管理者の氏名
- 提供しようとする再生医療等及びその内容
- 人員及び構造設備
- 細胞の入手の方法
- 安全性の確保等に関する措置
- 健康被害の補償の方法
- 認定再生医療等委員会の名称と委員の構成
提出しようとするときは、計画が再生医療等提供基準に適合しているかどうかについて、あらかじめ認定再生医療等委員会の意見を聴かなければならないとされています(同条第2項)。
提出先を示しているのは施行通知(令和7年5月15日 医政研発0515第18号)Ⅴです。第一種再生医療等提供計画は地方厚生局長を経由して厚生労働大臣、第二種及び第三種再生医療等提供計画は地方厚生局長とされています。
この義務が及ぶ範囲は何で決まるか
範囲は、条文が入れ子に定義を重ねて決めています。第4条第1項がいう「再生医療等」は同法第2条第1項の定義であり、その中身は第2項の「再生医療等技術」の定義を経て、最後は政令で確定します。
同法第2条第2項は、細胞加工物を用いる医療技術と核酸等を用いる医療技術のうち、安全性の確保等に関する措置その他のこの法律で定める措置を講ずることが必要なものとして政令で定めるものとしています。
この範囲について、厚生労働省医政局研究開発政策課は令和7年5月30日付けの事務連絡の別紙で次のように示しています。
いわゆるエクソソームを含む細胞外小胞を用いた医療技術については、細胞を含まないことが明らかである場合には、法の対象外である。なお、改正法の附則において、細胞の分泌物を用いる医療技術については、改正法施行後2年を目途として、法の適用の在り方等について検討を加えること等が定められている。
再生医療等の安全性の確保等に関する法律等に関するQ&Aについて(令和7年5月30日 事務連絡)別紙 A.1-1-07ここでいう改正法は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律(令和6年法律第51号)です。同事務連絡は、これが令和7年5月31日に施行されたと記しています。
同じ別紙は、細胞の分泌物として呼ばれる他の物についても、それぞれ項目を立てています。その扱いは培養上清液・セクレトームの法的位置で扱います。
エクソソーム等を用いる医療について、医療機関は何を示されているのか?
令和6年7月31日付けの厚生労働省医政局研究開発政策課の事務連絡が、再生医療等提供機関の管理者あてに、安全性への留意と学会ガイダンスの参照を求めています。
エクソソーム等で薬事承認を得て製造販売されている医薬品は現時点でない、と記されています。
厚生労働省医政局研究開発政策課は、令和6年7月31日付けの事務連絡を再生医療等提供機関の管理者あてに出しています。中心となる部分は次のとおりです。
ヒトの幹細胞の培養上清液及び当該上清液に含まれる可能性のある細胞外小胞等の細胞の分泌物(以下「エクソソーム等」という。)を用いた医療(以下「当該医療」という。)については、現時点で、使用されるエクソソーム等で諸外国を含め有効性・安全性が示され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品はありません。このため、当該医療を行う場合には、実施する医師・歯科医師の責任のもと、特にその安全性について留意する必要があると考えられます。
幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)(令和6年7月31日 厚生労働省医政局研究開発政策課 事務連絡)責任の所在として挙げられているのは、実施する医師・歯科医師です。
同事務連絡は続けて、一般社団法人日本再生医療学会から「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」が発出され、同学会ウェブサイトで公表されていることを示しています。そのうえで、当該医療を行う際には品質やリスクの管理等についてこのガイダンスも適宜参照のうえ、安全な実施に努めるよう求めています。
本文はこの4段落で、末尾に参考としてガイダンスの名称と学会ウェブサイトのURLが記載されています。
要点
この事務連絡は、医療を提供する側にあてて出されています。同じ日に、供給する側を対象とする事務連絡が厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課から都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部局あてに出されており、2本は宛先も所管課も別です。
供給する側にあてられた同日の事務連絡は、指導の対象となる製品の6類型を挙げるものです。令和6年7月31日 事務連絡 — エクソソーム試薬に係る監視指導の6類型で扱います。供給する側の説明がどこから広告として扱われうるかは供給者はどこまで言えるかにあります。
未承認の医薬品等を用いる医療は、そのまま広告できるのか?
医療法第6条の5第3項が広告できる事項を限定列挙しており、ガイドラインは未承認医薬品による治療を広告可能な事項ではないとしています。
患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等では、限定解除の要件を満たした場合に限りこの限定が外れます。
広告してよい事項は、医療法第6条の5第3項があらかじめ列挙しています。厚生労働省令で定める場合を除いては、同項各号に掲げる事項以外の広告をしてはならない、という書き方です。第1号の「医師又は歯科医師である旨」から第16号の「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」まで並びます。
掲げてよいものを先に並べた目録があり、目録に無いものは載せられない、という作りです。ガイドラインは、広告可能な事項に含まれない例として次を挙げています。
未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容
→治療の方法については、広告告示で認められた保険診療で可能なものや医薬品医療機器等法で承認された医薬品による治療等に限定されており、未承認医薬品による治療は、広告可能な事項ではない。
医療広告等ガイドライン 第3-1の1(5)広告可能事項以外の広告【具体例】承認等を受けたものであれば、扱いが変わります。自由診療のうち医薬品医療機器等法に基づく承認若しくは認証を受けた医薬品、医療機器又は再生医療等製品を、その承認等の範囲で用いる検査、手術その他の治療の方法は、広告可能とされています。ただし、公的医療保険が適用されない旨と標準的な費用を併記する場合に限られます(広告告示第2条第5号関係。ガイドライン 第3-2の4(13)⑤)。
再生医療等についての行政の整理
医薬品医療機器等法の承認を受けた再生医療等製品のみを用いて、かつ当該承認の内容に従って行う医療技術については、広告可能です。
ただし、承認を受けていない製品を用いる再生医療等(再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条第1項に規定する再生医療等をいう。)については、広告できません。
また、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトにおいて、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。ただし、その場合は、未承認医薬品等と同様の対応が必要です。
医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26(再生医療等は、広告可能でしょうか。)当該効能・効果への承認がない適応外使用の場合も、広告の取扱いは未承認医薬品等と同様とされています(同Q&A A2-14)。
医薬品又は医療機器の販売名についても、広告できないとされています。医薬品等適正広告基準により医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとされていることに鑑みた整理です。ただしこれも、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどで限定解除の要件を満たした場合には、限定を解除可能とされています(同 A2-15)。
広告可能事項の限定解除は、何を満たしたときに認められるのか?
医療法施行規則第1条の9の2が定める①から④までのすべてを満たした場合です。③と④は、自由診療について情報を提供する場合に限られます。
①から④を満たしても、虚偽・誇大等の禁止(法第6条の5第1項・第2項、省令第1条の9)は外れません。
この目録の外に出られる場合が、省令に置かれています。広告可能事項の限定解除です。根拠は医療法第6条の5第3項の「厚生労働省令で定める場合」で、その省令が医療法施行規則第1条の9の2です。
ガイドラインは要件を次のように示しています。
広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④までのいずれも満たした場合とする。ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
医療広告等ガイドライン 第3-3の2(令和8年3月30日最終改正)各要件についてガイドラインが述べていること
- ①は、ウェブサイトのほか、メルマガ、患者等の求めに応じて送付するパンフレット等が該当しうるとされます。インターネット上のバナー広告や、検索サイトの運営会社に費用を支払うことで意図的に検索結果の上位に表示させたものは、①を満たさないとされています。
- ②の問い合わせ先とは、電話番号、Eメールアドレス等をいうとされています。
- ③は、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけの紹介ではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載するとされます。標準的な費用が明確でない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む。)までの範囲を示すなどとされています。
- ④は、利点や長所のみを強調するのではなく、主なリスクや副作用などの情報も分かりやすく掲載するとされています。
掲載の形式にも条件が付いています。リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこととされています。行政Q&Aは、デメリットとして2項目を挙げただけの記載について、限定解除要件を満たしているとは認められないとしています(A6-12)。
①から④を満たしても、そこで終わりではありません。内容が虚偽にわたってはならず、法第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとされています(第3-3の1)。
省令第1条の9が禁じているのは2つです。患者等の主観又は伝聞に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談の広告と、治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告です。
未承認医薬品等を自由診療で使う場合、限定解除に加えて何を記載する必要があるのか?
ガイドライン第3-3の2が、限定解除の要件として(ⅰ)から(ⅴ)までの5つの内容も十分に記載する必要があるとしています。
対象は、承認等されていないもののほか、承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器・再生医療等製品です。
未承認医薬品等を自由診療で使う場合は、①から④のほかに、書かなければならない内容が加わります。ガイドライン第3-3の2が、④の説明に続けて、次の内容も十分に記載する必要があるとしています。
ここでいう未承認医薬品等は、2つの範囲を指すと定義されています。医薬品医療機器等法において承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品と、承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器・再生医療等製品です。
- (ⅰ)未承認医薬品等であることの明示。用いる未承認医薬品等が、医薬品医療機器等法上の承認等を得ていないものであることを明示すること。
- (ⅱ)入手経路等の明示。医師等の個人輸入によるものを用いる場合はその旨を明記し、あわせて厚生労働省ホームページに掲載された「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供すること。
- (ⅲ)国内の承認医薬品等の有無の明示。同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等の有無を記載し、その国内承認医薬品等に流通管理等の承認条件が課されている場合には、その旨を記載すること。
- (ⅳ)諸外国における安全性等に係る情報の明示。主要な欧米各国で承認されている場合は、各国の添付文書に記載された重大な副作用やその使用状況(承認年月日、使用者数、副作用報告等)を含めた海外情報を日本語で分かりやすく説明すること。承認されている国がないなど情報が不足している場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示すること。
- (ⅴ)未承認医薬品等は医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にはならないことの明示。
これらの掲載場所についても、リンクを張った先のページへの掲載や、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字での掲載といった形式を採用しないこととされています。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
広告可能事項の限定解除の要件は5つあり、そのうちの1つが未承認医薬品等についての記載である。
現行
要件は医療法施行規則第1条の9の2が定める①から④までの4つ。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合の(ⅰ)から(ⅴ)までは、この4要件とは別に、限定解除の要件として記載を求められる内容として置かれている。
医療法施行規則第1条の9の2第1号〜第4号(広告関係法令等参照条文(抜粋)/厚生労働省)、医療広告等ガイドライン 第3-3の2(令和8年3月30日最終改正)で確認
4要件と追加の記載事項の関係は、限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載でも扱います。
規制に反する広告が疑われたとき、行政はどう動くのか?
医療法第6条の8が、報告命令と立入検査(第1項)、期限を定めた中止命令と是正命令(第2項)を定めています。
ガイドライン第5の4は、通常はまず任意の調査と行政指導から始めるとしています。
行政の対応は、いきなり命令から始まるわけではありません。通常は任意の調査と行政指導から入り、それに従わない場合の手段として命令が置かれています。
同条第1項は、違反しているおそれがあると認めるときの報告命令と、事務所への立入検査を定めています。
ガイドライン第5の4(2)は指導及び措置の手順を次のように記しています。ただし、個別の事例に応じて柔軟に対応すべきもので、この手順に限定されるものではないと断っています。
調査及び行政指導
通常はまず任意の調査を行い、違反を確認した場合は行政指導として広告の中止や内容の是正を求める。広告代理店、雑誌社等に対しても任意での調査や指導を行う。
報告命令又は立入検査(第6条の8第1項)
任意の調査に応じない場合や、提出される書類に疑義がある場合等に行う。
中止命令又は是正命令(第6条の8第2項)
行政指導に従わない場合や違反を繰り返す等の悪質な事例の場合に、期限を定めて命ずる。行政手続法第13条に規定する弁明の機会の付与が必要とされる。
告発
虚偽広告について行政指導に応じない場合や、報告命令・立入検査・中止命令等に従わない場合に、刑事訴訟法第239条第2項により司法警察員へ書面で行うことを考慮すべきとされる。
行政処分(第28条、第29条)
悪質な違反広告の場合に、管理者変更命令や、開設の許可の取消し・閉鎖命令の実施を考慮すべきとされる。
罰則は第87条と第89条にあります。第87条は、第6条の5第1項に違反したとき(第1号)と、第6条の8第2項の規定に基づく命令又は処分に違反したとき(第3号)について、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金を定めています。
第89条第2号は、第6条の8第1項による報告を怠りもしくは虚偽の報告をしたとき、または当該職員の検査を拒み、妨げ、忌避したときについて、二十万円以下の罰金を定めています。
他の法律の規定も重ねて働きます。ガイドライン第5の3は、景品表示法、医薬品医療機器等法、健康増進法の広告に関する規定は重畳的に適用され得るとし、他法令に基づく処分を受けるとの理由で医療法の広告違反が免責されることはないとしています。
同項は、医薬品医療機器等法との切り分けにも触れています。医療行為として医薬品等を使用又は処方する旨であれば同法上の広告規制の対象とはならないが、販売又は無償での授与をする旨が記載された広告であれば同法上の広告規制も受けるとしています。
第5の1は、各都道府県、保健所設置市又は特別区に相談窓口の明確化を求め、想定される窓口として医療安全支援センターや保健所の医療法担当部署等を挙げています。
理解の確認
同じ治療の説明でも、院内の掲示は医療広告に当たらず、一般に公開するウェブサイトでは当たりうるとされるのは、どこに違いがあるからか。
違いは情報の受け手の範囲であって、誰が出したかではない。医療法第6条の5第1項の名宛人は「何人も」であり、ガイドラインは院内の掲示や内部で配布するパンフレット等について、受け手が通常すでに受診している患者等に限られるため誘引性(3要件の①)を満たさず、情報提供や広報に当たるとしている(第2の5(4))。受け手が不特定の者に広がれば①が満たされ、②の特定性・③の内容とあわせて広告として扱われる。第2の2は、規制の対象となることを避ける意図で外形的に誘引性・特定性を回避した表現でも、実質的に両要件を満たすときは広告に該当するものとして取り扱うことが適当としている。
根拠:医療法第6条の5第1項/医療広告等ガイドライン 第2の1-1・第2の2・第2の5(4)(法令確認日 2026-09-08)
「広告可能事項の限定解除の要件は5つあり、そのうちの1つが未承認医薬品等についての記載である」という説明は、現行の枠組みのどこと食い違うか。
限定解除の要件を定めているのは医療法施行規則第1条の9の2で、そこに置かれているのは①から④までであり、うち③と④は自由診療について情報を提供する場合に限られる。未承認医薬品等を自由診療で用いる場合の(ⅰ)から(ⅴ)は、この省令の要件とは別に、限定解除の要件として記載を求められる内容としてガイドライン第3-3の2が示している。5つと数えると、省令が全ての限定解除に課す要件と、未承認医薬品等を用いるときに加えて求められる記載事項という層の違いが消えてしまう。
根拠:医療法施行規則第1条の9の2第1号〜第4号/医療広告等ガイドライン 第3-3の2(令和8年3月30日最終改正)(法令確認日 2026-09-08)
細胞外小胞を用いる医療技術について行政のQ&Aが「細胞を含まないことが明らかである場合には、法の対象外である」としていることは、その医療が他の規律も受けないことを意味するか。
いいえ。この整理は再生医療等安全性確保法の適用範囲についてのもので、同法第4条第1項が病院・診療所の管理者に課す再生医療等提供計画の提出義務が及ぶかどうかを述べたものにとどまる。医療法の広告規制は別に働き、承認を受けていない製品を用いる再生医療等は広告可能な事項とされておらず、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトで限定解除の要件を満たし、未承認医薬品等と同様の対応をとった場合に限って限定が解除されるとされている(医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26)。再生医療等の側のQ&Aも、改正法の附則で細胞の分泌物を用いる医療技術について改正法施行後2年を目途に法の適用の在り方等を検討することが定められていると付記している。
根拠:再生医療等の安全性の確保等に関する法律等に関するQ&Aについて(令和7年5月30日 事務連絡)別紙 A.1-1-07/医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 7-6 医療広告規制はなぜ限定列挙なのか — 医療法第6条の5から第6条の8まで 医療法の広告規制は、書いてはいけないことではなく、書いてよいことを並べる形をとっています。
- 7-7 限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載 限定解除の要件は4つです。
- 5-1 令和6年7月31日 事務連絡 — エクソソーム試薬に係る監視指導の6類型 令和6年7月31日の事務連絡は、エクソソーム試薬のうち記1の(1)から(6)までに当たるものを無承認無許可医薬品として、指導及び取締りの徹底を求めるものです。
- 5-6 供給者はどこまで言えるか — 越えると広告になる線 薬機法は、広告の規律を「何人も」に向けています。
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5・第6条の8・第87条・第89条 e-Gov 法令検索(施行日 2026-06-05 の版。2026-09-08 確認)
- 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9・第1条の9の2 — 広告関係法令等参照条文(抜粋)(第19回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 資料、令和4年1月13日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正) 厚生労働省医政局(2026-09-08 確認)
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月作成、令和8年3月改定) 厚生労働省医政局(2026-09-08 確認)
- 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条・第4条 e-Gov 法令検索(施行日 2025-06-01 の版。2026-09-08 確認)
- 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「同施行令」、「同施行規則」等の取扱いについて(令和7年5月15日 医政研発0515第18号)Ⅴ 再生医療等提供計画について 厚生労働省医政局研究開発政策課長(2026-09-08 確認)
- 再生医療等の安全性の確保等に関する法律等に関するQ&Aについて(令和7年5月30日 事務連絡)別紙 A.1-1-07 厚生労働省医政局研究開発政策課(2026-09-08 確認)
- 幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)(令和6年7月31日 事務連絡) 厚生労働省医政局研究開発政策課(2026-09-08 確認)
- エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡) 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課(2026-09-08 確認)
- 医療法における病院等の広告規制について(医療広告相談窓口一覧) 厚生労働省(2026-09-08 確認)