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エクソソームなどを使う自由診療で、医療機関が守るルールは? — 提供計画と医療広告

あるクリニックの事務長が、自由診療(公的医療保険などの給付の対象にならない診療)を始める準備をしています。使うのは、エクソソーム(細胞が外に出す小さな粒の一種)など細胞の分泌物です。国に計画を出す必要はあるのか。ウェブサイトでどこまで紹介できるのか。医療機関の側には、この2つに対応するルールがかかります。再生医療等安全性確保法(再生医療などを安全に行うための法律)の「再生医療等提供計画」と、医療法(病院や診療所について定める法律)の広告のルールです。計画が要るかは、その医療が法律の定める範囲に入るかで決まります。このページでは、2つのルールが誰に何を求めるかを、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • 提供計画を出すのは、病院・診療所の管理者:根拠は再生医療等安全性確保法第4条第1項です。細胞外小胞(エクソソームを含む、細胞が外に出す小さな粒)を使う医療技術について、厚生労働省のQ&Aは「細胞を含まないことが明らかである場合には、法の対象外である」としています。これは同法についての整理で、医療法の広告のルールは別に働きます。
  • 広告のルールは「何人も」に向いている:医療法第6条の5第1項の名宛人(義務や禁止の対象になる人)は「何人も」です。医療機関だけでなく、広告代理店やアフィリエイター(成果に応じた報酬を受けて紹介する人)、患者や一般人も対象です。受診を誘う意図(誘引性)や、どの医師や医療機関かわかること(特定性)を、形の上だけ外す表現もあります。厚生労働省のガイドラインは、実質的に両方を満たせば、広告として扱うのが適当としています。
  • 未承認医薬品等を使う治療は、そのままでは広告できない:未承認医薬品等は、国の承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)などを受けていない医薬品など、または承認と違う使いみち・使い方をするものです。これによる治療は、広告できる事項ではありません。医療法施行規則(厚生労働省令)第1条の9の2の4つの要件をすべて満たしたときに限り、限定が外れます(限定解除)。そのうえで、未承認医薬品等であることなど5つの記載が求められます。

1. 再生医療等提供計画は、誰が、どんな医療について出すのですか?

再生医療等を提供しようとする病院・診療所の管理者が、始める前に厚生労働大臣へ出さなければなりません。根拠は再生医療等安全性確保法第4条第1項です。

「再生医療等」の範囲は、同法第2条第2項の「再生医療等技術」の定義と、政令(法律を実施するために内閣が定める決まり)で決まります。

このページでは、再生医療等提供計画を「提供計画」とも呼びます。

計画には、第1号から第8号までの事項を書きます。

  • 病院・診療所の名称と住所
  • 管理者の氏名
  • 提供しようとする再生医療等及びその内容
  • 人員及び構造設備
  • 細胞の入手の方法
  • 安全性の確保等に関する措置
  • 健康被害の補償の方法
  • 認定再生医療等委員会の名称と委員の構成

計画を出す前には、認定再生医療等委員会(国の認定を受けた委員会)の意見を聴かなければなりません(同条第2項)。意見を聴くのは、計画が再生医療等提供基準(再生医療等を提供するときに守る基準)に合っているかについてです。

条文上の提出先は厚生労働大臣です。実際の出し先は、厚生労働省の通知(2025年5月)が次のように示しています。通知は、国の役所が法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。第一種から第三種は、この法律が再生医療等を3つに分けた区分です。

  • 第一種再生医療等の計画:地方厚生局長(地方厚生局は厚生労働省の地方の機関)を経由して、厚生労働大臣に出します。
  • 第二種・第三種再生医療等の計画:地方厚生局長に出します。
詳しく見る(通知の番号)

提出先を示しているのは、施行通知(令和7年5月15日 医政研発0515第18号)のⅤ(再生医療等提供計画について)です。

どこまでが「再生医療等」に入るのか

「再生医療等」は、この法律の第2条第1項が定義しています。範囲をたどる先は、第2項の「再生医療等技術」の定義です。この項が挙げるのは、細胞加工物(人や動物の細胞に培養などの加工をしたもの)を使う医療技術と、核酸等を使う医療技術です。核酸等は、体内で細胞に導入されるDNAやRNAなどです。そのうち、安全性の確保など、この法律で定める措置が必要なものとして政令で定めるものが、「再生医療等技術」です。

エクソソームについての行政の整理

この範囲について、厚生労働省医政局研究開発政策課は、2025年5月30日の事務連絡の別紙(Q&A)で整理を示しています。事務連絡は、役所が運用上の注意などを担当者あてに伝える文書です。

このQ&Aは、いわゆるエクソソームを含む細胞外小胞(細胞が外に出す小さな粒)を使う医療技術を取り上げています。細胞を含まないことが明らかである場合には、法(再生医療等安全性確保法)の対象外である、としています。

同じ回答は、改正法(再生医療等安全性確保法と臨床研究法の一部を改正した法律)の附則にも触れています。附則は、法律の本体のあとに置かれる決まりです。細胞の分泌物を使う医療技術について、改正法の施行後2年を目途に、法の適用のあり方などを検討すること等が定められている、というものです。施行は、法律の決まりが効力を持ち始めることです。同じ事務連絡によれば、改正法は2025年5月31日に施行されました。

例

冒頭の事務長の場面で考えます。エクソソームを使う自由診療に提供計画が要るかは、その医療技術が「再生医療等」に入るかにかかっています。Q&Aの整理には、細胞を含まないことが明らかである場合、という条件が付いています。ウェブサイトで紹介するときの広告のルールは、これとは別に働きます(3.の節以降)。

原文で確かめる

いわゆるエクソソームを含む細胞外小胞を用いた医療技術については、細胞を含まないことが明らかである場合には、法の対象外である。なお、改正法の附則において、細胞の分泌物を用いる医療技術については、改正法施行後2年を目途として、法の適用の在り方等について検討を加えること等が定められている。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律等に関するQ&Aについて(令和7年5月30日 事務連絡)別紙 A.1-1-07

ここでいう改正法は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律(令和6年法律第51号)です。同事務連絡は、これが令和7年5月31日に施行されたと記しています。

同じ別紙は、細胞の分泌物と呼ばれる他の物にも項目を立てています(『5-3 培養上清液・セクレトームは、どの法律のどこに入る?』)。提供計画が要るかどうかは、『5-9 エクソソーム・培養上清液の投与に、提供計画は要るのか?』で詳しく扱います。

2. エクソソーム等を使う医療について、医療機関は何を求められていますか?

厚生労働省の事務連絡(2024年7月31日)が、再生医療等提供機関の管理者あてに、安全性への留意と、学会のガイダンスの参照を求めています。

事務連絡は、エクソソーム等で薬事承認を得て製造販売されている医薬品は現時点でない、と書いています。

この事務連絡は、厚生労働省医政局研究開発政策課が、再生医療等提供機関(再生医療等を提供する医療機関)の管理者にあてて出したものです。取り上げているのは、ヒトの幹細胞の培養上清液(細胞を培養したあとの液の上澄み)と、そこに含まれる可能性のある細胞外小胞などの細胞の分泌物です。これらをまとめて「エクソソーム等」と呼んでいます。

  • エクソソーム等の承認医薬品は、現時点でない:エクソソーム等で、諸外国を含めて有効性・安全性が示され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品は、現時点でない、としています。
  • 実施する医師・歯科医師の責任で、安全性に留意:そのため、この医療を行う場合は、実施する医師・歯科医師の責任のもとで、特に安全性に留意する必要があると考えられる、としています。
  • 学会のガイダンスも参照:日本再生医療学会の「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」が、学会のウェブサイトで公表されていることを示しています。そのうえで、品質やリスクの管理などについて、このガイダンスも適宜参照し、安全な実施に努めるよう求めています。
原文で確かめる

ヒトの幹細胞の培養上清液及び当該上清液に含まれる可能性のある細胞外小胞等の細胞の分泌物(以下「エクソソーム等」という。)を用いた医療(以下「当該医療」という。)については、現時点で、使用されるエクソソーム等で諸外国を含め有効性・安全性が示され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品はありません。このため、当該医療を行う場合には、実施する医師・歯科医師の責任のもと、特にその安全性について留意する必要があると考えられます。

幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)(令和6年7月31日 厚生労働省医政局研究開発政策課 事務連絡)

同じ日に、供給する側を対象とする事務連絡も出ている

同じ2024年7月31日には、もう1本の事務連絡が出ています。2本は、出した課も宛先も違います。

  • 医療を提供する側にあてたもの:ここまで見てきた、医政局研究開発政策課の1本です。
  • 供給する側を対象とするもの:出したのは厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課で、宛先は都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部局です。指導の対象となる製品の6類型を挙げるものです。

例

冒頭の事務長が、エクソソームについて2024年7月31日に事務連絡が出たと聞いたとします。同じ日付の事務連絡は2本あるので、宛先を見ればどちらの1本かがわかります。

供給する側を対象とする1本は、『5-1 エクソソーム「試薬」は、どんなときに指導の対象?』で扱います。供給する側の説明がどこから広告として扱われ得るかは、『5-6 供給者の説明は、どこから「広告」になる?』にあります。

3. 医療広告のルールは、誰に向けられていますか?

医療法第6条の5第1項の名宛人(義務や禁止の対象になる人)は「何人も」です。医師や医療機関に限られず、広告代理店やアフィリエイターも対象になります。

このページが扱うのは、そのうち病院・診療所の側にかかる部分です。

条文は「何人も」、つまり「だれであっても」で始まります。

厚生労働省の医療広告等ガイドライン(医療法の広告のルールの考え方を示した指針)は、この「何人も」に入る人を挙げています。医師・歯科医師や医療機関だけでなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者や一般人なども対象です。日本国内向けの広告なら、外国人や海外の事業者などによる広告も対象です(第2の6(1))。

「広告」に当たるかは、3つの要件で見る

ガイドラインは、次の①から③をすべて満たす場合に、医療広告に当たると判断するとしています(第2の1-1)。

  1. 患者の受診などを誘う意図がある(誘引性)
  2. 医業・歯科医業を提供する人の氏名や名称、または病院・診療所・オンライン診療受診施設の名称が特定できる(特定性)
  3. 医業・歯科医業や、病院・診療所に関する内容である

特定性は、複数の医師や医療機関などをまとめて対象にしている場合も当たる、とされています。

院内の掲示や院内で配るパンフレットなどは、受け手がふつうはすでに受診している患者などに限られます。そのため誘引性を満たさず、情報提供や広報にあたる、とガイドラインは考えています(第2の5(4))。

例

あるクリニックが、同じ治療の説明を待合室に掲示し、誰でも見られるウェブサイトにも載せたとします。受け手が不特定の人に広がるウェブサイトでは、①の誘引性が満たされ得ます。②の特定性、③の内容とあわせて満たせば、広告として扱われ得ます。

見た目だけ要件を外しても、中身で見られる

規制を避けるつもりで、見た目の上だけ誘引性や特定性を外した表現もあります。ガイドライン第2の2は、実質的に両方の要件を満たすときは、広告に当たるものとして扱うのが適当、としています。挙げられている例は2つです。

  • 治療法などを紹介する書籍・冊子・ウェブサイトの形でも、病院などの名称や電話番号、ウェブサイトのアドレスから、一般の人が医療機関を簡単に特定できる場合
  • 医療機関が広告料などの費用を負担するなどの便宜を図って、掲載を頼むステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)

例

ある会社が、治療法を紹介するウェブサイトを作ったとします。記事の終わりに、あるクリニックの名前と電話番号が載っています。記事の形でも、一般の人がクリニックを簡単に特定できるなら、ガイドラインが挙げる1つ目の例(書籍・冊子・ウェブサイトの形)と同じ場面です。実質的に誘引性と特定性を満たせば、広告として扱われ得ます。

広告を載せる媒体の側も、無関係ではありません。ガイドライン第2の6(2)は、次の人たちを挙げています。広告依頼者(広告を頼む人)から依頼を受けて広告を企画・制作する広告代理店、広告を載せる新聞・雑誌・テレビ・出版などの仕事をする人、アフィリエイターです。違反などがあった場合は、広告依頼者とともに、法や指針による指導などの対象となり得る、としています。

広告してよい事項を限って並べる仕組み(限定列挙)の由来は、『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』で扱います。

4. 承認されていない医薬品などを使う治療は、広告できますか?

原則として広告できません。医療法第6条の5第3項が広告できる事項を限って並べ、ガイドラインは未承認医薬品による治療をその事項ではないとしています。

患者などが自ら求めて見るウェブサイトなどでは、限定解除の要件を満たした場合に限り、この限定が外れます。

広告してよい事項は、医療法第6条の5第3項があらかじめ並べています。「厚生労働省令で定める場合」を除いて、並べた事項以外は広告してはならない、という書き方です。第1号の「医師又は歯科医師である旨」から、第16号の「その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項」まで並びます。

直感的なポイント

広告してよいことを先に書き出した「目録」があり、目録に載っていないことは広告できない、という作りです。

ガイドラインは、広告できる事項に含まれない例として、未承認医薬品(海外の医薬品や、いわゆる健康食品など)による治療の内容を挙げています。治療の方法で広告できるものは限られている、という理由です。広告告示(広告できる事項を定めた国の告示)で認められた保険診療でできるものや、医薬品医療機器等法(薬機法)で承認された医薬品による治療などです。

承認された物を、承認の範囲で使う自由診療

薬機法の承認か認証を受けた医薬品・医療機器・再生医療等製品(人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品など)があります。認証は、国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めることです。自由診療で、これらを承認などの範囲で使う検査・手術・治療の方法は、広告できるとされています。ただし、公的医療保険が適用されないことと、標準的な費用を併せて書く場合に限られます(広告告示第2条第5号関係。ガイドライン 第3-2の4(13)⑤)。

再生医療等と、承認と違う使い方

再生医療等については、厚生労働省の医療広告等ガイドラインに関するQ&A(A3-26)が次のように整理しています。

  • 承認を受けた再生医療等製品だけを使い、その承認の内容どおりに行う医療技術は、広告できる。
  • 承認を受けていない製品を使う再生医療等(再生医療等安全性確保法第2条第1項の再生医療等)は、広告できない。
  • ただし、患者などが自ら求めて見るウェブサイトで、限定解除の要件を満たした場合は、限定を外せる。その場合は、未承認医薬品等と同じ対応が必要。

承認された医薬品などを、承認を受けていない効能・効果(使いみち)で使うこと(適応外使用)もあります。この場合も、広告の扱いは未承認医薬品等と同じとされています(同Q&A A2-14)。

医薬品や医療機器の販売名も、広告できないとされています(同 A2-15)。医薬品等適正広告基準(医薬品などの広告の基準)で、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとされていることを踏まえた整理です。これも、患者などが自ら求めて見るウェブサイトなどで限定解除の要件を満たせば、限定を外せるとされています。

例

あるクリニックが、承認を受けていない製品を使う再生医療等を、ウェブサイトで紹介したいとします。上のQ&A(A3-26)の整理では、広告できないのが原則です。患者などが自ら求めて見るウェブサイトで限定を外すには、限定解除の要件と、未承認医薬品等と同じ対応が必要です(5.の節・6.の節)。

原文で確かめる

未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容

→治療の方法については、広告告示で認められた保険診療で可能なものや医薬品医療機器等法で承認された医薬品による治療等に限定されており、未承認医薬品による治療は、広告可能な事項ではない。

医療広告等ガイドライン 第3-1の1(5)広告可能事項以外の広告【具体例】

医薬品医療機器等法の承認を受けた再生医療等製品のみを用いて、かつ当該承認の内容に従って行う医療技術については、広告可能です。

ただし、承認を受けていない製品を用いる再生医療等(再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条第1項に規定する再生医療等をいう。)については、広告できません。

また、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトにおいて、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。ただし、その場合は、未承認医薬品等と同様の対応が必要です。

医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26(再生医療等は、広告可能でしょうか。)

5. 広告できる事項の限定が外れる「限定解除」は、どんなときですか?

医療法施行規則(医療法について大臣が定める決まり=省令)第1条の9の2の①から④を、すべて満たしたときです。①患者などが自ら求めて見るウェブサイトなどであること、②問い合わせ先を示すこと、③治療の内容・費用、④主なリスク・副作用の情報を出すことです。ただし③と④は、自由診療について情報を出す場合に限られます。

①から④を満たしても、虚偽(うそ)や誇大(おおげさ)な広告などの禁止(法第6条の5第1項・第2項、省令第1条の9)は外れません。

広告できる事項の「目録」の外に出られる場合が、省令(大臣が定める決まり)に置かれています。これを広告可能事項の限定解除と呼びます。根拠は、医療法第6条の5第3項の「厚生労働省令で定める場合」で、その省令が医療法施行規則第1条の9の2です。

ガイドライン(第3-3の2)が示す要件と、各要件についての説明は次のとおりです。

  1. 患者などが自ら求めて見るウェブサイトなどであること:医療の適切な選択に役立つ情報で、患者などが自ら求めて手に入れる情報を載せたウェブサイトなどであることです。メールマガジンや、患者などの求めに応じて送るパンフレットなども当たり得るとされています。インターネット上のバナー広告や、検索サイトの運営会社にお金を払って検索結果の上位に意図的に出したものは、①を満たさないとされています。
  2. 問い合わせ先がわかること:患者などが簡単に問い合わせできるよう、問い合わせ先を書くなどして示すことです。問い合わせ先とは、電話番号やEメールアドレスなどをいうとされています。
  3. 治療の内容と費用がわかること:自由診療で通常必要とされる治療などの内容や、費用などの情報を出すことです。治療の名前や最低限の内容・費用だけでなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間と回数を載せるとされています。標準的な費用がはっきりしない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額まで(よく発生する追加費用を含む)の幅を示すなどとされています。
  4. 主なリスクや副作用がわかること:自由診療の治療などの主なリスクや副作用などの情報を出すことです。利点や長所だけを強調せず、主なリスクや副作用なども、わかりやすく載せるとされています。
原文で確かめる

広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④までのいずれも満たした場合とする。ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。

① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること

② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること

③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること

④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

医療広告等ガイドライン 第3-3の2(令和8年3月30日最終改正)

載せ方にも条件がある

ガイドラインは、掲載の形式にも条件を付けています。リンク先の別ページに載せる形や、利点・長所の情報と比べて極端に小さい文字で載せる形はとらない、としています。

医療広告等ガイドラインに関するQ&A(A6-12)は、デメリットとして2項目を挙げただけの記載を取り上げています。そして、限定解除の要件を満たしているとは認められない、としています。

例

あるクリニックのウェブサイトで、自由診療の良い点は本文に大きな文字で書き、リスクや副作用はリンク先の別ページに小さな文字で置いているとします。ガイドラインが「とらない」としている載せ方にあたるかが問題になり得ます。

①から④を満たしても、外れないルール

ガイドライン(第3-3の1)によると、限定解除のもとでも、内容が虚偽にわたってはなりません。また、法第6条の5第2項と省令第1条の9が定める、広告の内容と方法の基準に合うものとされています。省令第1条の9が禁じているのは、次の2つです。

  • 患者などの主観や伝聞にもとづく、治療などの内容や効果についての体験談の広告
  • 治療などの内容や効果について、患者などを誤認させるおそれがある、治療などの前後の写真などの広告

例

①から④をすべて満たしたページに、患者の感想にもとづく効果の体験談を載せたとします。省令第1条の9との関係が問題になり得ます。

6. 未承認医薬品等を自由診療で使う場合、さらに何を書く必要がありますか?

ガイドライン第3-3の2が、限定解除の要件として、(ⅰ)から(ⅴ)までの5つの内容も十分に書く必要があるとしています。5つは、未承認医薬品等であること、入手経路など、国内の承認医薬品等の有無、海外での安全性などの情報、副作用や感染の被害の救済制度の対象にならないことです。

対象は、承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品と、承認等された効能・効果(認められた使いみち)または用法・用量(使い方と量)が異なるものです。

5つの内容は、ガイドライン第3-3の2で、④の説明に続けて示されています。

  • (ⅰ)未承認医薬品等であること:使う物が、薬機法上の承認等を得ていないものであることを明示します。
  • (ⅱ)入手経路など:医師などの個人輸入(個人として海外から取り寄せること)による物を使う場合は、その旨を明記します。あわせて、厚生労働省ホームページの「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供します。
  • (ⅲ)国内の承認医薬品等の有無:同じ成分や性能を持つ、国内で承認された医薬品等があるかどうかを書きます。その国内承認医薬品等に、流通管理などの承認条件が付いている場合は、その旨も書きます。
  • (ⅳ)海外での安全性などの情報:主要な欧米各国で承認されている場合は、海外の情報を日本語でわかりやすく説明します。各国の添付文書(製品に付く説明書)にある重大な副作用や、使用状況(承認年月日、使用者数、副作用報告など)を含めます。承認している国がないなど情報が足りない場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示します。
  • (ⅴ)救済制度の対象にならないこと:医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にはならないことを明示します。

ガイドラインは、これらの掲載場所についても、リンク先の別ページに載せる形や、利点・長所の情報と比べて極端に小さい文字で載せる形はとらない、としています。

例

あるクリニックが、医師の個人輸入による未承認の医薬品を自由診療で使い、患者などが自ら求めて見るウェブサイトで紹介するとします。ガイドラインの整理では、広告できる事項の限定を外すには、①から④に加えて(ⅰ)から(ⅴ)も求められます。たとえば(ⅱ)として、個人輸入によるものであることの明記と、厚生労働省の上記ページの情報提供が求められます。

要件は5つではない

限定解除の要件を5つと数える説明を見かけることがあります。今の枠組みと比べると、次のとおりです。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

広告可能事項の限定解除の要件は5つあり、そのうちの1つが未承認医薬品等についての記載である。

現行

要件は医療法施行規則第1条の9の2が定める①から④までの4つ。未承認医薬品等を自由診療で使用する場合の(ⅰ)から(ⅴ)までは、この4要件とは別に、限定解除の要件として記載を求められる内容として置かれている。

医療法施行規則第1条の9の2第1号〜第4号(広告関係法令等参照条文(抜粋)/厚生労働省)、医療広告等ガイドライン 第3-3の2(令和8年3月30日最終改正)で確認

4つの要件と追加の記載事項の関係は、『7-7 医療広告の「限定解除」、要件はいくつある?』でも扱います。

7. ルールに反する広告が疑われたら、行政はどう動きますか?

医療法第6条の8が、報告命令(報告を命じること)と立入検査(第1項)、期限を決めて広告の中止や内容の是正を命じること(第2項)を定めています。

ガイドライン第5の4は、通常はまず任意の調査と行政指導(強制力なしに協力を求める指導)から始めるとしています。

第6条の8第1項は、違反しているおそれがあると認めるときの報告命令と、事務所への立入検査(職員が立ち入って調べること)を定めています。第2項で中止や是正を命じるのは、都道府県知事、保健所を設置する市の市長、特別区の区長です。

原文で確かめる

行政の対応の順序

ガイドライン第5の4(2)は、指導と措置の手順を次のように書いています。ただし、個々の事例に応じて柔軟に対応すべきもので、この手順に限られるものではない、と断っています。

  1. 調査と行政指導

    通常はまず任意の調査をします。違反を確認した場合は、行政指導として広告の中止や内容の是正を求めます。広告代理店や雑誌社などにも、任意での調査や指導をします。

  2. 報告命令・立入検査(第6条の8第1項)

    任意の調査に応じない場合や、出された書類に疑問がある場合などに行います。

  3. 中止命令・是正命令(第6条の8第2項)

    行政指導に従わない場合や、違反を繰り返すなど悪質な事例の場合に、期限を決めて命じます。行政手続法第13条に定める、弁明の機会(処分を受ける人が言い分を述べる機会)を与えることが必要とされています。

  4. 告発

    虚偽広告について行政指導に応じない場合や、報告命令・立入検査・中止命令などに従わない場合です。刑事訴訟法第239条第2項により、司法警察員(捜査を担う警察官など)へ書面で告発することを考慮すべき、とされています。告発は、犯罪を捜査機関に知らせて処罰を求めることです。

  5. 行政処分(第28条、第29条)

    悪質な違反広告の場合に、管理者の変更命令や、開設の許可(病院などを開くために受ける許可)の取消し・閉鎖命令を考慮すべき、とされています。

例

あるクリニックに、広告について保健所の担当部署から連絡があったとします。上の手順では、通常はまず任意の調査から始まり、応じない場合などに報告命令(第6条の8第1項)に進むとされています。報告命令による報告を怠ると、罰則の対象になり得ます(第89条第2号)。

罰則

罰則は第87条と第89条にあります。

  • 第87条:第6条の5第1項(虚偽の広告の禁止)に違反したとき(第1号)と、第6条の8第2項の規定に基づく命令や処分に違反したとき(第3号)です。六か月以下の拘禁刑(刑事施設に収容する刑)または三十万円以下の罰金です。
  • 第89条第2号:第6条の8第1項による報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりしたときです。職員の検査を拒んだり、妨げたり、忌避したり(避けたり)したときも同じです。二十万円以下の罰金です。

ほかの法律も重ねてかかり得る

ガイドライン第5の3は、景品表示法、医薬品医療機器等法(薬機法)、健康増進法の広告に関する規定は、重ねて適用され得るとしています。ほかの法律による処分を受けることを理由に、医療法の広告違反が免責されることはない、ともしています。

同じ項は、薬機法との分かれ目にも触れています。医療行為として医薬品などを使う、または処方する旨であれば、薬機法上の広告規制の対象とはならないとしています。一方、販売や無償での授与をする旨が書かれた広告であれば、薬機法上の広告規制も受ける、としています。

例

あるクリニックの広告に、院内で医療行為として使う医薬品のことだけでなく、その医薬品を販売する旨も書かれていたとします。ガイドラインの整理では、この広告は薬機法上の広告規制も受けることになります。

ガイドライン第5の1は、各都道府県、保健所設置市、特別区に、相談窓口をはっきりさせるよう求めています。想定される窓口として、医療安全支援センターや保健所の医療法担当部署などを挙げています。

理解の確認

同じ治療の説明でも、院内の掲示は医療広告に当たらず、誰でも見られるウェブサイトでは当たり得るとされます。違いはどこにあるのでしょうか。

違いは、情報の受け手の範囲です。誰が出したかではありません。医療法第6条の5第1項の名宛人は「何人も」です。ガイドラインは、院内の掲示や院内で配るパンフレットなどを取り上げています。受け手がふつうはすでに受診している患者などに限られるので、誘引性(3要件の①)を満たさず、情報提供や広報に当たる、としています(第2の5(4))。受け手が不特定の人に広がれば①を満たし、②の特定性・③の内容とあわせて広告として扱われます。また第2の2は、規制の対象となることを避けるつもりで、見た目の上だけ誘引性・特定性を外した表現を取り上げています。実質的に両方を満たすときは、広告に当たるものとして扱うのが適当、としています。

根拠:医療法第6条の5第1項/医療広告等ガイドライン 第2の1-1・第2の2・第2の5(4)(法令確認日 2026-09-08)

「広告可能事項の限定解除の要件は5つあり、そのうちの1つが未承認医薬品等についての記載である」という説明は、今の枠組みのどこと食い違うでしょうか。

限定解除の要件を定めているのは医療法施行規則第1条の9の2で、そこに置かれているのは①から④までです。そのうち③と④は、自由診療について情報を出す場合に限られます。未承認医薬品等を自由診療で使う場合の(ⅰ)から(ⅴ)は、この省令の要件とは別のものです。ガイドライン第3-3の2が、限定解除の要件として記載を求められる内容として示しています。5つと数えると、省令がすべての限定解除に課す要件と、未承認医薬品等を使うときに加えて求められる記載事項という、層の違いが消えてしまいます。

根拠:医療法施行規則第1条の9の2第1号〜第4号/医療広告等ガイドライン 第3-3の2(令和8年3月30日最終改正)(法令確認日 2026-09-08)

細胞外小胞を使う医療技術について、行政のQ&Aは「細胞を含まないことが明らかである場合には、法の対象外である」としています。これは、その医療がほかのルールも受けない、という意味でしょうか。

いいえ。この整理は、再生医療等安全性確保法の適用範囲についてのものです。同法第4条第1項が病院・診療所の管理者に課す、再生医療等提供計画を出す義務が及ぶかどうかを述べたものにとどまります。医療法の広告規制は別に働きます。承認を受けていない製品を使う再生医療等は、広告できる事項とされていません。医療広告等ガイドラインに関するQ&A(A3-26)によれば、限定が解除されるのは次の場合に限られます。患者などが自ら求めて見るウェブサイトで限定解除の要件を満たし、未承認医薬品等と同様の対応をとった場合です。再生医療等の側のQ&Aも、改正法の附則について付け加えています。細胞の分泌物を使う医療技術について、改正法の施行後2年を目途に法の適用のあり方などを検討することが定められている、という記載です。

根拠:再生医療等の安全性の確保等に関する法律等に関するQ&Aについて(令和7年5月30日 事務連絡)別紙 A.1-1-07/医療広告等ガイドラインに関するQ&A A3-26(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5・第6条の8・第87条・第89条 e-Gov 法令検索(施行日 2026-06-05 の版。2026-09-08 確認)
  • 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の9・第1条の9の2 — 広告関係法令等参照条文(抜粋)(第19回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会 資料、令和4年1月13日) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正) 厚生労働省医政局(2026-09-08 確認)
  • 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月作成、令和8年3月改定) 厚生労働省医政局(2026-09-08 確認)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条・第4条 e-Gov 法令検索(施行日 2025-06-01 の版。2026-09-08 確認)
  • 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「同施行令」、「同施行規則」等の取扱いについて(令和7年5月15日 医政研発0515第18号)Ⅴ 再生医療等提供計画について 厚生労働省医政局研究開発政策課長(2026-09-08 確認)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律等に関するQ&Aについて(令和7年5月30日 事務連絡)別紙 A.1-1-07 厚生労働省医政局研究開発政策課(2026-09-08 確認)
  • 幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)(令和6年7月31日 事務連絡) 厚生労働省医政局研究開発政策課(2026-09-08 確認)
  • エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡) 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課(2026-09-08 確認)
  • 医療法における病院等の広告規制について(医療広告相談窓口一覧) 厚生労働省(2026-09-08 確認)