30秒でわかる要点
- 薬機法第66条第1項と第68条は「何人も」で始まる。業の許可や届出の有無は条文の要件に入っておらず、広告主・代理店・媒体という区分の規定も、広告の章には置かれていません。
- 措置命令も罰則も課徴金も、業態では区切られていない。第72条の5第1項の相手方は「第66条第1項又は第68条の規定に違反した者」、第75条の5の2第1項は課徴金対象行為者、第90条は行為者に加えてその法人又は人です。
- 景品表示法は名宛人を「事業者」に限る。第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き、ステルスマーケティング告示の運用基準は「事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない」としています。名宛人の範囲は法律ごとに違います。
薬機法の広告規制は、誰に向けて書かれているのか
第66条第1項と第68条は、いずれも「何人も」で始まります。業の許可や届出の有無は、条文の要件に入っていません。
同じ法律の中に、名宛人を許可を受けた者に限る規定もあります。
薬機法の第十章(医薬品等の広告)には、2つの禁止規定が置かれています。どちらも「何人も」という語で始まり、行為をする者の業態や資格を書いていません。条文の書き出しは、その規定の宛名にあたります。広告の章では、その宛名の欄に、業態も資格も書き込まれていません。
第66条第1項は、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布することを禁じています。第68条は、承認又は認証を受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告を禁じています。
禁止の内容そのものは、第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止と第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱います。このページで見るのは、条文が誰を名宛人にしているかです。
同じ法律にある、もう一つの書き方
薬機法には、名宛人を許可を受けた者に限る規定もあります。第12条第1項は、医薬品、医薬部外品又は化粧品の種類に応じた厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、業として製造販売をしてはならないと定めています。第24条第1項は、販売の側について同じ形をとっています。
要点
薬機法の条文には、名宛人を「何人も」と書くものと、「〜でなければ〜してはならない」と書いて許可の有無を要件に組み込むものがあります。広告の章の第66条第1項と第68条は前者です。
行政の命令は、誰に対して出せると書かれているのか
第72条の5第1項は、命令の相手方を「第66条第1項又は第68条の規定に違反した者」と書いています。業の許可の有無は、要件に入っていません。
違反行為が既になくなっている場合の名宛人は、同項各号に列挙されています。
命令の相手方は「第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反した者」です。業の許可の有無は書かれていません。
この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置の命令(現行の第72条の4)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。
この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。
違反行為が既になくなっている場合について、同項各号は次の者を挙げています。
- 当該違反行為をした者
- 当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
- 当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
- 当該違反行為をした者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者
情報を流している側について書かれていること
第72条の5第2項は、第66条第1項又は第68条の規定に違反する広告である特定電気通信による情報の送信があるときについて定めています。厚生労働大臣又は都道府県知事は、特定電気通信役務提供者に対して、当該送信を防止する措置を講ずることを要請することができるとされています。第1項の命令とは別の項に、別の語で置かれています。
同項の括弧書きは、この広告について「次条において「特定違法広告」という。」と書いており、定義が働く先は次条(第72条の6)です。
第72条の6は、送信を防止する措置を講じた特定電気通信役務提供者について定めています。対象になるのは、前条第2項の規定による要請を受けて特定違法広告である特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合その他の特定違法広告である特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合です。
この場合、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害は、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものであるときは、賠償の責めに任じない、とされています。この第72条の6も、2027年5月20日に第72条の7へ移ります。
行政指導から刑事罰までのルート全体は薬機法に違反するとどうなるかで扱います。
罰則と課徴金は、行為をした者と法人のどちらに向くのか
第85条は違反行為をした者を、第90条は加えてその法人又は人を、罰金刑の対象にしています。課徴金の名宛人は課徴金対象行為者です。
課徴金対象行為として第75条の5の2第1項が挙げているのは、第66条第1項の規定に違反する行為です。
名宛人は、条文ごとに書き分けられています。第85条は違反行為をした者、第90条は行為者に加えてその法人又は人、第75条の5の2第1項は課徴金対象行為者です。
第90条は両罰規定です。法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときが対象になります。このとき、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する、と書かれています。第85条は同条第2号に掲げられており、そこで法人に科されるのは「各本条の罰金刑」です。
課徴金の名宛人
課徴金納付命令は第75条の5の2にあります。第1項は、第66条第1項の規定に違反する行為を「課徴金対象行為」、これをした者を「課徴金対象行為者」と呼んでいます。
同項が定める課徴金の額は、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額に、百分の四・五を乗じて得た額に相当する額です。厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、この課徴金を国庫に納付することを命じなければならない、とされています。
第4項は、第1項の規定により計算した課徴金の額が二百二十五万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができないと定めています。
第75条の5の3は、課徴金の額の減額を定めています。対象は、同じ課徴金対象行為について景品表示法第8条第1項の規定による命令があるとき、又は同法第11条の規定により課徴金の納付を命じないものとされるときです。この場合、対価合計額に百分の三を乗じて得た額を課徴金の額から減額するものとする、としています。
2027年5月20日に変わるところ
第85条第6号が引く条番号は、2027年5月20日から第72条の5第1項ではなく第72条の6第1項になります。同日、第85条は柱書が次のとおりに改められ、各号の語尾も「〜したとき。」になります。
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
薬機法 第85条 柱書(令和7年法律第37号による改正後。2027年5月20日施行)業の許可に対する処分の側は業許可への処分で扱います。
販売代理店や紹介サイトが載せた表示は、どう扱われると書かれているのか
薬機法の広告の章に、広告主・代理店・媒体という区分の規定はありません。通知は、紹介サイトの広告該当性は個別具体的に判断されることとなるとしています。
平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号のA5が、この場面を扱っています。
薬機法の広告の章には、広告主・代理店・媒体という区分での規定がありません。第66条第1項も第68条も名宛人を限定していません。
薬機法上の「広告」に該当するかどうかの基準は、条文ではなく通知にあります。平成10年9月29日 医薬監第148号が3要件を示しています。3要件の内容とインターネット上の表示への当てはめはそもそも「広告」とはで扱います。
他の事業者のサイトへ誘導するサイトについては、平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号のA5が答えています。
当該紹介サイトが医薬品等の広告に該当するかどうかについては、個別具体的に判断されることとなるが、当該紹介サイトが、リンク先の販売又は輸入代行行為を行う主体となる事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合等には、医薬品等の広告に該当する可能性がある。なお、リンク先のサイトのみが薬事法違反の場合もあるので、留意されたい。
インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A5。法律名は発出当時の表記同じQ&Aは、A1からA4で、事業者のサイト内の検索結果、製品分類やカテゴリの項目、会員限定のログインを求めるページ、違反である旨への同意を求めるページを扱っています。各回答の内容は、そもそも「広告」とはが回答ごとに扱っています。
行政の文書に残る発出当時の法律の題名と現行の表記の対応は古い理解の一覧で扱います。
景品表示法では、名宛人がどう違うのか
名宛人が「事業者」に限られます。第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き、供給する側に名宛人を置いています。
運用基準は、事業者でない者が行う行為については何ら告示の対象となるものではない、と書いています。
「事業者」の定義は第2条第1項にあります。同項は、事業者を「商業、工業、金融業その他の事業を行う者」としています。
同項は続けて、「当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第三十六条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす」と書いています。このみなしが働く範囲は、条文上、次項(事業者団体の定義)と第36条の適用に限られています。
ステルスマーケティング告示の書き方
令和5年3月28日 内閣府告示第19号は、景品表示法第5条第3号の規定に基づく指定で、令和5年10月1日から施行されています。指定された表示は次のとおりです。
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)は、第1の(注)で、告示が及ぶ範囲を次のように書いています。
告示の対象となるのは、景品表示法第2条第1項に規定する「事業者」が行う同条第4項に規定する「表示」である。したがって、事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の(注)命令と課徴金の書き方
命令の側も同じ書き方です。第7条第1項は「当該事業者に対し」と書いています。違反行為が既になくなっている場合の相手方として挙げているのは、当該違反行為をした事業者、合併後存続し又は合併により設立された法人、分割により当該違反行為に係る事業を承継した法人、当該事業を譲り受けた事業者です。
課徴金は第8条第1項にあります。売上額に百分の三を乗じて得た額とされ、第5条第3号に該当する表示に係るものは課徴金対象行為から除かれています。同項ただし書は、その額が百五十万円未満であるときは納付を命ずることができないとしています。
景品表示法の表示規制の内容は隣接法令のカテゴリで扱います。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
広告や投稿の表示に責任を負うのは、商品・役務を供給する広告主である。
現行
景品表示法第5条とステルスマーケティング告示は、名宛人を「事業者」(自己の供給する商品又は役務の取引について表示を行う者)と書いている。これに対し薬機法第66条第1項・第68条は「何人も」と書き、名宛人を限定していない。名宛人の範囲は法律ごとに違う。
根拠:景品表示法第5条・第2条第1項(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行)/令和5年3月28日 内閣府告示第19号および同運用基準 第1の(注)/薬機法第66条第1項・第68条(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行)。いずれも 2026-09-08 に原文で確認
第三者の投稿が「事業者の表示」に当たるのは、どのような場合と書かれているのか
運用基準は、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合、つまり第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合としています。
明示的な依頼・指示がない場合の判断要素も、運用基準に列挙されています。
運用基準は、第2で判断の枠組みを示しています。
外形上第三者の表示のように見えるものが、事業者の表示に該当するとされるのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合である。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第2運用基準の第2の1(2)イは、事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合について書いています。
同イが挙げているのは、事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、客観的な状況に基づき、第三者の表示内容について、事業者と第三者との間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある場合です。この場合には、事業者が表示内容の決定に関与した表示とされ、事業者の表示となる、としています。
そのうえで、この「関係性がある」かどうかの判断に当たっては、次の実態も踏まえて総合的に考慮し判断するとしています。
- 事業者と第三者との間の具体的なやり取りの態様や内容(例えば、メール、口頭、送付状等の内容)
- 事業者が第三者の表示に対して提供する対価の内容
- その主な提供理由(例えば、宣伝する目的であるかどうか。)
- 事業者と第三者の関係性の状況(例えば、過去に事業者が第三者の表示に対して対価を提供していた関係性がある場合に、その関係性がどの程度続いていたのか、今後、第三者の表示に対して対価を提供する関係性がどの程度続くのか。)
ここでいう対価の範囲は、同イの(注)が書いています。
事業者が第三者の表示に対して支払う対価については、金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のものが含まれる
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第2の1(2)イ(注)第2の2は、事業者の表示に当たらない場合を書いています。事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらないとしています。
第2の2(1)ウは、その例を挙げています。アフィリエイターの表示であっても、事業者と当該アフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にある表示を行う場合です。
検討会の報告書が「何人も」に触れている箇所
令和4年2月15日のアフィリエイト広告等に関する検討会報告書は、Ⅲの2(2)「健康増進法及び薬機法との連携」(50ページ)で次のように書いています。
不当な表示を繰り返すASPやアフィリエイターに対する措置を視野に入れ、「何人も」と規制対象を限定していない健康増進法第 65 条や薬機法第 66 条を柔軟に活用して虚偽・誇大表示の執行を強化すべきであると考えられる。
アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの2(2)健康増進法及び薬機法との連携(50ページ)同じ報告書のⅢの2(1)「特定商取引法との連携」(50ページ)は、景品表示法と特定商取引法とで規制対象が異なることに触れています。
景品表示法は、主にその広告主を規制対象とする一方、特定商取引法は、個人を規制対象とすることもできるため、問題のある表示の実態を踏まえた上で、両法律による適切かつ有効な法執行が必要である
アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの2(1)特定商取引法との連携(50ページ)同じ「何人も」の書き方は、ほかの法律にもあるのか
医療法第6条の5第1項と健康増進法第65条第1項も「何人も」で始まります。表示・広告の禁止規定に共通する書き方です。
以下の表は、各規定の書き出しの語をそのまま並べたものです。
医療法第6条の5第1項も「何人も」で始まります。
健康増進法第65条第1項も「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは」と書き出しています。
医療広告の枠組みは医療広告規制はなぜ限定列挙なのかと限定解除の4要件で扱います。医療機関の側のルールは医療機関側のルールで扱います。
| 規定 | 条文上の名宛人 | 出典 |
|---|---|---|
| 薬機法 第66条第1項(誇大広告等) | 何人も | 薬機法第66条第1項(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 薬機法 第68条(承認前の広告の禁止) | 何人も | 薬機法第68条(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 薬機法 第24条第1項(医薬品の販売業の許可) | 薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ | 薬機法第24条第1項(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 薬機法 第72条の5第1項(違反広告に係る措置命令等) | 第66条第1項又は第68条の規定に違反した者(同項各号の承継法人・譲受人を含む) | 薬機法第72条の5第1項(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行。2027年5月20日から第72条の6第1項) |
| 薬機法 第75条の5の2第1項(課徴金納付命令) | 第66条第1項の規定に違反する行為をした者(課徴金対象行為者) | 薬機法第75条の5の2第1項(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 薬機法 第90条(両罰規定) | 行為者を罰するほか、その法人又は人 | 薬機法第90条(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 景品表示法 第5条(不当な表示の禁止) | 事業者(自己の供給する商品又は役務の取引について) | 景品表示法第5条(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 令和5年3月28日 内閣府告示第19号(ステルスマーケティング告示) | 事業者(自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示) | 同告示本文および同運用基準 第1の(注) |
| 景品表示法 第7条第1項(措置命令) | 当該事業者(同項各号の承継法人・譲受事業者を含む) | 景品表示法第7条第1項(e-Gov 法令検索、2026-05-21施行) |
| 医療法 第6条の5第1項(虚偽広告の禁止) | 何人も | 医療法第6条の5第1項(e-Gov 法令検索、2026-06-05施行) |
| 健康増進法 第65条第1項(誇大表示の禁止) | 何人も | 健康増進法第65条第1項(e-Gov 法令検索、2025-12-12施行) |
各規定の書き出しの語を、条文のまま並べたものです。確認した版の施行日は法律ごとに異なるため、出典欄に規定ごとに記載しています。行為の内容・対象物・要件も規定ごとに異なるため、名宛人の欄だけを取り出して規定どうしを置き換えることはできません。
理解の確認
薬機法の広告の章が名宛人を「何人も」と書き、第12条第1項や第24条第1項のように許可の有無を要件に組み込んでいないことは、規制の及ぶ範囲に何をもたらすか。
条文の書き出しはその規定の宛名にあたり、第66条第1項と第68条の宛名の欄には、業態も資格も書き込まれていません。そのため業の許可や届出を持つかどうかは違反の要件に入らず、広告主だけでなく、販売代理店・媒体・個人も同じ規定の名宛人になり得ます。これに対し第12条第1項(製造販売業)や第24条第1項(販売業)は「〜でなければ〜してはならない」と書き、許可の有無そのものを要件に組み込んでいます。同じ法律の中に2つの書き方があり、宛名の書き方がそのまま規制の及ぶ範囲を決めています。
根拠:薬機法第66条第1項・第68条・第12条第1項・第24条第1項(法令確認日 2026-09-08)
同じ表示について、景品表示法の名宛人には当たらない者が、薬機法の名宛人には当たり得るのはなぜか。
景品表示法第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き、名宛人を供給する側の事業者に置いています。ステルスマーケティング告示の運用基準も、第1の(注)で「事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない」としています。薬機法第66条第1項と第68条は「何人も」で始まり、供給者かどうかを要件にしていません。名宛人の範囲は法律ごとに違うため、一方の法律で対象に入らないことは、もう一方の規制の外にあることを意味しません。
根拠:景品表示法第5条・第2条第1項、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の(注)、薬機法第66条第1項・第68条(法令確認日 2026-09-08)
第72条の5で、違反した者には第1項の「命令」が向くのに、情報を流している役務提供者には第2項の「要請」が置かれているのは、両者の何が違うからか。
第1項の命令の相手方は「第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反した者」で、違反行為をした者そのものに向いています。特定電気通信役務提供者は違反広告である情報を送信している側で、違反した者としては書かれていないため、厚生労働大臣又は都道府県知事が送信を防止する措置を講ずることを要請することができる、という別の項・別の語になっています。あわせて第72条の6は、措置を講じた役務提供者について、その措置が不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものであるときは、発信者に生じた損害の賠償の責めに任じないとしています。
根拠:薬機法第72条の5第1項・第2項、第72条の6(法令確認日 2026-09-08。いずれも2027年5月20日に第72条の6・第72条の7へ移る予定)
次に読む
- 2-2 第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止 薬機法第66条第1項が禁じているのは、医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能についての、虚偽又は誇大な記事の広告です。
- 2-6 SNSの投稿は誰の広告か — 薬機法と景品表示法で名宛人が違う SNSの投稿がどの法律の名宛人になるかは、条文の主語で決まります。
- 7-1 優良誤認と有利誤認 — 景品表示法第5条第1号と第2号は、条文のどこが違うのか 景品表示法で「優良誤認」と呼ばれるのは第5条第1号、「有利誤認」と呼ばれるのは第2号です。
- 7 隣接法令 — 景表法・健康増進法・医療法・特商法
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第12条第1項・第24条第1項・第66条・第68条・第72条の5・第72条の6・第75条の5の2・第75条の5の3・第85条・第90条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 薬機法 2027年5月20日施行版条文(令和7年法律第37号による改正後)第72条の5・第72条の6・第72条の7・第85条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
- インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A1〜A5 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第2条第1項・第5条・第7条第1項・第8条第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の(注)・第2・第2の1(2)イ・第2の2(1)ウ 消費者庁(2026-09-08 確認)
- アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの2(1)(2)(50ページ)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)