30秒でわかる要点
- ステマ規制が向くのは事業者:ステマ告示(2023年3月)は、事業者の表示なのに、一般消費者がそうと見分けにくい表示を指定した国の告示です。告示は、国が決めたことを広く知らせる形式の文書です。もとになる景品表示法第5条の主語は「事業者」です。消費者庁の運用基準(告示の運用の考え方を示した文書)は、「事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない」と書いています。
- 第三者の投稿に見えても、事業者の表示になり得る:事業者が表示内容の決定に関与したと認められれば、事業者の表示とされます。はっきりした依頼や指示がなくても、対価(お金や物に限らず、イベントへの招待などのもてなしも含む)と関係性の実態から判断されます。
- 薬機法などの主語は「何人も」:薬機法第66条第1項・第68条の主語は「何人も」(だれであっても)です。医療法(病院や診療所などについての法律)第6条の5第1項と、健康増進法(国民の健康の増進について定めた法律)第65条第1項も同じです。医療の広告について、厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、規制の対象者を挙げています。医師・歯科医師や病院などの医療機関だけでなく、マスコミ・広告代理店・アフィリエイター・患者又は一般人等です。アフィリエイターは、ブログなどで商品を紹介し、成果に応じて報酬を受ける人です。
1. 同じ投稿でも、法律ごとに名宛人が違うのはなぜですか?
条文の主語が違うためです。景品表示法第5条の主語は「事業者」です。薬機法第66条第1項などの主語は「何人も」(だれであっても)です。
そのため同じ投稿でも、景品表示法の側では「だれの表示か」が問われ、薬機法などの側では投稿した本人も名宛人になり得ます。
条文の主語は、その決まりで「だれが」してはならないかを示す部分です。主語を見ると、その決まりがだれに向けられているか、つまり名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)がわかります。
景品表示法第5条は、「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き出しています。自分が供給する商品やサービスの取引について、事業者に向けて表示を規制する形です。ステマ告示は、同条第3号にもとづく指定です。号は、条の中で一、二、三と番号を振って並べた項目です。
これに対し、薬機法第66条第1項および第68条、医療法第6条の5第1項、健康増進法第65条第1項は、いずれも「何人も」を主語にしています。「何人も」(なんぴとも)は「だれであっても」という意味で、事業者に限りません。医療法は病院や診療所などについて、健康増進法は国民の健康の増進について定めた法律です。
直感的なポイント
条文の主語は、手紙の宛名のようなものです。宛名が「事業者」なら、その手紙は事業者に向けたものです。宛名が「何人も」なら、だれに向けたものでもあります。景品表示法はこの宛名を「事業者」に絞り、薬機法・医療法・健康増進法の上の条文は絞っていません。
「事業者」と「表示」の意味
「事業者」と「表示」の意味は、どちらも景品表示法第2条に書かれています。第1項は「事業者」を、商業、工業、金融業その他の事業を行う者と定めています。第5条の名宛人は、この「事業者」にあたる者です。
「表示」の意味は、同じ条の第4項にあります。顧客を誘引する(お客を引きつける)ための手段として、事業者が行う広告その他の表示です。自分の商品やサービスの内容や取引条件などについての表示で、内閣総理大臣が指定するもの、とされています。
主語で比べる(表1)
表1は、広告や表示を規律する条文を、主語で並べたものです。真ん中の列が主語です。右の列は、それぞれの条文が禁じたり制限したりしている内容です。
| 法令・条項 | 条文の主語 | 禁止・制限の |
|---|---|---|
| 景品表示法 第5条 | 事業者は、 | 優良誤認表示 |
| 薬機法 第66条第1項 | 何人も | 医薬品等の |
| 薬機法 第68条 | 何人も | 承認又は |
| 医療法 第6条の5第1項 | 何人も | 医業若しくは |
| 健康増進法 第65条第1項 | 何人も | 食品と |
主語と対象は各条文の文言によります。条文はいずれも e-Gov 法令検索で確認しました(2026-09-08)。
例
A社が売る化粧品について、Bさんが自分のSNSに投稿した場面で考えます。景品表示法第5条の名宛人は「事業者」です。そのため景品表示法の側では、投稿がA社の表示にあたるかどうかが問われます(3.の節)。薬機法第66条第1項の主語は「何人も」です。こちらでは、Bさん自身も名宛人になり得ます(6.の節)。
同じ投稿に、いくつもの法律がかかることもある
主語が違うからといって、同じ表示に複数の法律がかからないわけではありません。
運用基準第2は、ほかの法律との関係を書いています。ほかの法律がかかる場合でも、事業者が表示内容の決定に関与した実態があれば、ステマ告示の対象にもなる、というものです。
原文で確かめる
他法令の適用がある場合であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる実態があるものについては、他法令だけでなく、告示の対象となる(例えば、特定商取引に関する法律における連鎖販売取引)。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第2運用基準第2は、景品表示法の中での重なりにも触れています。ステマ告示の対象となる事業者の表示の中に、景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号の規定にもとづく他の告示の規定にあたる表示があるとします。その場合は、それらの表示が第5条違反とされる、という内容です。
関連する内容は、次のページで扱っています。
- 薬機法上の「広告」にあたるかどうかの基準:『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』
- 第66条が禁じる内容:『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』
- 第68条:『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』
- 「何人も」という主語がどこまで及ぶか:『1-6 規制されるのは誰?』
2. ステマ告示は、投稿した個人に向けた決まりですか?
いいえ。消費者庁の運用基準は、告示の対象を「事業者」が行う「表示」とし、事業者でない者が行う行為は何ら告示の対象とならない、としています。
ただし運用基準は、事業者が第三者の表示の中で自らの表示だと明瞭にする必要がある結果、第三者の表示にも一定の制約が事実上かかる、とも書いています。
運用基準の第1に付いた注が、このことを書いています。告示の対象は、景品表示法第2条第1項の「事業者」が行う、同じ条の第4項の「表示」だ、という書き方です。
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告示は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第5条第3号の規定に基づくものであり、告示においても景品表示法に規定される定義が前提となる。告示の対象となるのは、景品表示法第2条第1項に規定する「事業者」が行う同条第4項に規定する「表示」である。したがって、事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の注告示そのものは短い
告示の本文は短いものです。指定されているのは、事業者が自分の商品やサービスの取引について行う表示です。そのうち、一般の消費者が事業者の表示だと見分けにくいと認められるものです。
告示は、2023年10月1日から施行されています(施行:法律などの決まりが効力を持ち始めること)。
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不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を次のように指定し、令和五年十月一日から施行する。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)全文告示の本文がいう施行日は、令和5年10月1日です。
第三者の側に、影響はないのか
第三者の側に、何の影響もないわけではありません。結論の補足に書いた制約は、運用基準第1の同じ注が書いているものです。
同じ注は、この制約は、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を確保するという景品表示法の目的のためのものだとしています。第三者の自由な表現活動を不当に制約しようとするものではない、という説明です。
なぜ、見分けにくい表示を規制するのか
規制の理由は、運用基準第1が述べています。一般消費者は、事業者の表示だとわかれば、ある程度の誇張や誇大が含まれ得ると考えて商品を選びます。第三者の表示だと誤認すると、そうは考えません。
運用基準は、次のものは告示の対象にならないともしています。事業者の表示であることが、一般消費者にとって明瞭なもの、または社会通念上明らか(世の中の一般的な受け止め方から見て明らか)なものです。告示は、そうした表示についての事業者の自由な広告・宣伝活動を妨げるものではない、という説明です。
例
ある人の投稿を、読む人が友人の率直な感想だと思って読む場面で考えます。その投稿が実は事業者の表示だったとすると、読む人は、誇張が含まれ得ることを考えに入れないまま商品を選ぶことになります。ステマ告示が指定しているのは、このように一般消費者が事業者の表示だと見分けにくい表示です。
景品表示法の側で問われるのは、投稿がだれの表示にあたるかです。同じ投稿に、主語を「何人も」とする薬機法第66条などの法律がかかるかどうかは、この告示の範囲とは別に決まります(6.の節)。
3. 第三者の投稿に見えても、事業者の表示とされるのはどんなときですか?
事業者が表示内容の決定に関与したと認められるときです。運用基準は、客観的な状況から、第三者の自主的な意思による内容と認められない場合としています。
はっきりした依頼や指示がない場合も、この判断の枠に含まれます。
運用基準第2は、見た目は第三者の表示のものが告示の対象になるには、それが事業者の表示にあたることが前提だとしています。分かれ目は、上の結論に書いた「関与」が認められるかどうかです。
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外形上第三者の表示のように見えるものが、事業者の表示に該当するとされるのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合である。
同運用基準 第2はっきり頼んでいなくても、関与とされることがある
運用基準は、明示的な依頼や指示がない場合についても基準を置いています。事業者と第三者の間に、次の2つがそろう関係性があれば、事業者が表示内容の決定に関与した表示とされます。
- 事業者が、第三者の表示内容を決められる程度の関係性がある
- 客観的な状況から、第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある
判断で考えに入れるもの(考慮要素)として、運用基準は次のものを挙げています。
- 事業者と第三者の具体的なやり取りの形や内容(メール、口頭、送付状などの内容)
- 事業者が第三者の表示に対して渡す対価の内容
- 対価を渡す主な理由(宣伝する目的かどうか)
- 事業者と第三者の関係性の状況(これまで対価を渡す関係がどのくらい続いてきたか、これからどのくらい続くか)
ここでいう対価は、お金や物に限りません。運用基準の注は、ほかの経済上の利益、たとえばイベントへの招待などのきょう応(もてなし)も含め、対価性のある一切のものが含まれる、としています。
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事業者が第三者の表示に対して支払う対価については、金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のものが含まれる。
同運用基準 第2の1(2)イの注例
ある事業者が、SNSで発信している人を新商品の発表イベントに招き、もてなした場面で考えます。このもてなしも、対価の内容として考えに入れられ得ます。
運用基準が挙げている場面(表2)
反対の側(関与したとされない場合)は、運用基準第2の2にあります。第2の2は、具体例をアからコまでと(2)に並べています。
表2は、運用基準が挙げている場面を、どちらの節に置かれているかで並べたものです。○は第2の1に置かれた場面です。第2の1の見出しは「事業者が表示内容の決定に関与したとされるものについて」です。×は第2の2に置かれた場面で、見出しは「事業者が表示内容の決定に関与したとされないものについて」です。右の列は、運用基準の中の箇所です。
2行目のアフィリエイトプログラムは、成果に応じて報酬が支払われる広告の仕組みです(5.の節)。
| 運用基準が | 置かれている節 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事業者が |
関与したとされる |
同運用基準 第2の |
| 事業者が |
関与したとされる |
同運用基準 第2の |
| 事業者が |
関与したとされる |
同運用基準 第2の |
| 第三者が |
関与したとされない |
同運用基準 第2の |
| 事業者が |
関与したとされない |
同運用基準 第2の |
| 事業者が |
関与したとされない |
同運用基準 第2の |
| 新聞・ |
関与したとされない |
同運用基準 第2の |
この表は、投稿の内容の適否ではなく、その表示が誰の表示として扱われるかについての運用基準の記載を示しています。第2の2の柱書(具体例を並べる前に置かれた本文の部分)は、そこに並ぶ具体例に共通して「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない」という条件を置いています。
原文の言い回しを見る
第2の2の柱書は、「事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない。」としています。
例
冒頭の場面で考えます。化粧品の会社が、SNSで発信している人に商品を無償で送り、投稿を頼んだとします。表2では、無償提供を含む場面が3行目(○)と5行目(×)の両方にあります。
3行目の場面で、運用基準は、提供を受けた第三者が事業者の方針や内容に沿った表示を行う例を挙げています。表示内容が、第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合です。5行目は、依頼はあっても、第三者が自主的な意思にもとづく内容として表示を行う場合です。分かれ目は、表示内容が第三者の自主的な意思によるものと認められるかどうかです。運用基準によれば、これは客観的な状況にもとづいて判断されます。どちらの場合も、薬機法第66条などがかかるかどうかは、これとは別に決まります(6.の節)。
口コミ・体験談という表示の種類そのものは『2-7 体験談・口コミは誰の表示になる?』(2023年10月)で扱っています。
4. 従業員が自分のアカウントで自社製品を投稿したら、だれの表示ですか?
事業者と一体と認められる従業員の投稿は、事業者が自ら行う表示に含まれます。地位・立場・権限・担当業務・表示の目的などの実態から、総合的に判断されます。
運用基準は、事業者の表示にあたる場合と、あたらない場合の両方の例を挙げています。
運用基準は、「事業者が自ら行う表示」には、事業者が自ら表示しているのに、第三者が表示しているかのように誤認させる表示も含まれるとしています。その例として挙げているのが、事業者と一定の関係があり、事業者と一体と認められる従業員や、子会社などの従業員が、事業者の商品やサービスについて行った表示です。
原文で確かめる
事業者が自ら行う表示には、事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示、例えば、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示も含まれる。
同運用基準 第2の1(1)アどう判断するのか
判断のしかたは、運用基準の続く項に書かれています。「従業員の事業者内における地位、立場、権限、担当業務、表示目的等の実態を踏まえて、事業者が表示内容の決定に関与したかについて総合的に考慮し判断する」というものです。そのうえで、次の2つを挙げています。
- 事業者の表示にあたるとされる例:販売を促すことが求められる地位や立場の人が、その商品やサービスの販売を促すための表示をする場合です。販売や開発にかかわる役員、管理職、担当チームの一員などです。商品の画像や文章を投稿して認知を高めようとする表示や、競合する他社の製品をけなして自社製品の優良さに触れる表示が挙げられています。ほかの人に指示して表示させる場合も含みます(同運用基準 第2の1(1)イ(ア))。
- 事業者の表示にあたらないとされる例:事業者や子会社などの従業員でも、その商品やサービスの販売を促すことが求められる地位や立場にない人がいます。そうした人が、一般消費者でも知り得る情報を使うなどして、販売を促す目的ではない表示をする場合です(同運用基準 第2の1(1)イ(イ))。
例
化粧品の会社で、ある商品の担当チームの一員が、自分のアカウントでその商品の画像と紹介文を投稿した場面で考えます。運用基準が上の1つ目に挙げる例(担当チームの一員などが、販売を促すための表示をする場合)と重なり得る場面です。この投稿は、事業者が自ら行う表示とされ得ます。
会社自身のアカウントやウェブサイトは
事業者自身のアカウントからの投稿は、運用基準の別の項に置かれています。事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭なもの、または社会通念上明らかなものの例を並べた項です(第3の2(2))。その1つが「事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を行う場合」です(同カ)。
同じ項には、事業者自身のウェブサイトでの表示も挙げられています(同オ)。ただし、これには但し書きがあります(同オ(ア))。サイトの特定のページで、事業者の表示ではないと一般消費者に誤認されるおそれがある場合についてです。その場合は、第三者の表示が事業者の表示であることを、はっきり示さなければならないとしています。
5. アフィリエイト広告は、だれの表示とされていますか?
広告主の表示です。消費者庁の検討会の報告書(2022年2月)は、表示内容について、まずは広告主が責任を負うべき主体だとしています。
報告書は、ASP(広告主とアフィリエイターの仲介役)やアフィリエイターを、景品表示法で広告主と同じ規制の対象にすることには、慎重に考える必要があるとしています。一方で報告書は、「何人も」と規制対象を限定していない薬機法第66条や健康増進法第65条を柔軟に使って、取締りを強めるべきだとしています。
アフィリエイト広告は、ブログなどで商品を紹介した人(アフィリエイター)に、成果に応じて報酬が支払われる広告です。広告主とアフィリエイターの間には、仲介役のASPが入ることがあります。
報告書は、不当表示をした事業者(表示主体)を「表示内容の決定に関与した事業者」としています。不当表示は、景品表示法第5条が禁じる表示です。そのうえで、アフィリエイト広告の実態を次のように見ています。
広告は、もともと広告主が行うものです。アフィリエイト広告も、広告主が自分の判断で使うことを選んでいます。ASPやアフィリエイターは、広告主が示す条件のもとで、広告を提供する際の機能を果たしているにすぎません。基本的な表示内容を決めているのは広告主だ、という実態が認められる、という見方です。
原文で確かめる
そもそも広告とは広告主が行うものであり、アフィリエイト広告についても、広告主が自らの判断でアフィリエイトプログラムを利用して自らが供給する商品・サービスの宣伝を行うことを選択しているところ、ASPやアフィリエイターはあくまでその広告主の提示条件の下で、アフィリエイト広告を提供する際の機能を果たしているに過ぎず、広告主がアフィリエイト広告の基本的な表示内容を決定しているといった実態が認められる。
アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの1(2)ア「表示内容の決定に関与した事業者」は、どこまで含むか
この言葉の中身は、報告書の脚注が、東京高等裁判所の判決(2008年5月)を引いて示しています。判決は、自ら、またはほかの者と共同して積極的に表示の内容を決めた事業者に限らないとしています。ほかの者の説明にもとづいて内容を決めた事業者や、ほかの事業者に決定を任せた事業者も含まれる、という考え方です。
原文で確かめる
「表示内容の決定に関与した事業者」とは、「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず、「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」や「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるものと解するのが相当である。
同報告書 脚注14が引用する東京高判平成20年5月23日(平成19年(行ケ)第5号)。同脚注は、判示中の「法4条1項」が現行の景品表示法の第5条に該当する旨を注記している例
A社が、自社商品のアフィリエイト広告の表示内容を、ほかの事業者に任せた場面で考えます。報告書が引く判決の考え方では、「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も、表示内容の決定に関与した事業者に含まれます。任せた側のA社も、表示主体とされ得ます。
ASPやアフィリエイターは、どう扱われるのか
結論の補足に書いた慎重な見方について、報告書は理由を2つ挙げています。
- 多くの誠実な事業者を萎縮させ、アフィリエイト広告の市場全体を縮小させる可能性があること
- 景品表示法は表示規制の一般法(分野を限らず広くかかる法律)であること。そのため、表示主体・供給主体(商品やサービスを供給する側)の対象を広げると、アフィリエイト広告への対応だけでは収まらないこと
そのうえで報告書は、ほかの法律との連携を提言しています。報告書によれば、不当なアフィリエイト広告の多くは、健康食品と化粧品に集中しています。そこで挙げているのが、健康増進法第65条と薬機法第66条です。どちらも「何人も」と規制対象を限定していない条文です。
報告書は、不当な表示を繰り返すASPやアフィリエイターへの措置も視野に入れています。そのうえで、これらの条文を柔軟に使って、虚偽・誇大表示の取締り(執行)を強めるべきだ、としています。
原文で確かめる
不当なアフィリエイト広告の多くが健康食品と化粧品に集中していることを踏まえるならば、不当な表示を繰り返すASPやアフィリエイターに対する措置を視野に入れ、「何人も」と規制対象を限定していない健康増進法第 65 条や薬機法第 66 条を柔軟に活用して虚偽・誇大表示の執行を強化すべきであると考えられる。
同報告書 Ⅲの2(2)広告主に求められる、表示の管理
違反を未然に防ぐ側の仕組みとして、景品表示法は、事業者に表示などの管理上の措置を求めています。自社の表示などを適正に管理するための措置です。その中身を示すのが、内閣府告示の形で出ている指針(2014年11月。その後改正)です。
指針の第4の3は、アフィリエイトプログラムを使った広告を行うような業態について、注意点を書いています。広告を使う事業者が、アフィリエイターなどが作る表示を確かめることが必要になる場合がある、というものです。
原文で確かめる
アフィリエイトプログラム(注4)を利用した広告を行うような業態では、当該広告を利用する事業者がアフィリエイター等の作成する表示等を確認することが必要となる場合があることに留意する必要がある。
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日 内閣府告示第276号)第4の3指針の日付と番号は、平成26年11月14日 内閣府告示第276号です。改正は、平成28年4月1日 内閣府告示第125号、令和4年6月29日 内閣府告示第74号、令和6年4月18日 内閣府告示第92号です。
同じ指針の注5は、反対の場合を書いています。対象は、アフィリエイトプログラムを使った広告主による広告とは認められない実態にあるものです。例として、広告主とアフィリエイターの間で、その表示についての情報のやり取りが一切ない場合が挙げられています。注5は、こうしたものについて、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる、としています。
管理上の措置を定めた条文の番号は、よく見かける説明と現行とで違います(下の対比)。いまの第26条から第33条にある確約手続は、違反の疑いについて、事業者が自ら是正の計画を出し、消費者庁の認定を受ける手続です。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
表示等の管理上の措置は景品表示法第26条第1項。指導及び助言が第27条、勧告及び公表が第28条第1項・第2項。
現行
表示等の管理上の措置は第22条第1項。指導及び助言が第23条、勧告及び公表が第24条第1項・第2項。現行の第26条から第33条までは、令和5年改正で新設された確約手続の規定(令和6年10月1日施行)で、第26条は継続中の違反被疑行為に係る通知の規定(既に違反被疑行為がなくなっている場合の通知は第30条)。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第22条〜第24条・第26条〜第27条・第30条(e-Gov 法令検索、2026-09-08 確認)/【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(消費者庁 表示対策課)「確約手続に関する規定(第26条~第33条)の新設」/アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)は当時の条番号で第26条・第27条・第28条と記載している
指針の第2の1は、措置を求める相手を、景品類を提供する事業者や、自分の商品やサービスについて一般消費者向けの表示をする事業者としています。取引関係はあっても表示などをしていない事業者に、措置を求めるものではありません。そのうえで、取引先の事業者が表示などの作成を任される場合について書いています。その場合、表示などを行う事業者は、取引先に自らの措置への理解を求め、不当表示などにあたらないよう指示することが求められる、としています。
6. 薬機法の側では、投稿した人はどう扱われますか?
薬機法第66条第1項と第68条は、主語が「何人も」(だれであっても)です。投稿した本人も、名宛人になり得ます。
厚生労働省の医薬品等適正広告基準は、ウェブサイトやSNSを含むすべての媒体の広告を対象にしています。
薬機法の側
薬機法の広告の決まりは、行う人を業許可(製造や販売を仕事として行うために、国や都道府県から受ける許可)の有無で絞っていません。第66条第1項の主語は「何人も」です。
第66条第1項が禁じているのは、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能についての、うその内容や大げさな内容です。それを広告したり、書いたり、広めたりすることを禁じています。明示的か暗示的かは問いません。医薬品等は、薬機法が扱う5つの製品(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)です。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品(薬用化粧品など)です。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。
第68条も、主語は同じ「何人も」です。対象は、承認又は認証を受けていない医薬品、医療機器又は再生医療等製品です。その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告を禁じています。承認は、製品ごとに国が審査して、製造販売を認めることです。認証は、国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めることです。
広告の媒体の範囲は、医薬品等適正広告基準が示しています。この基準は、厚生労働省の通知(2017年9月)の別紙です。通知は、国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。基準の第2は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト、SNSなど、すべての媒体の広告を対象としています。第3は「広告を行う者の責務」として、使う人が適正に使えるよう、正確な情報を伝えるよう努めることを求めています。
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第2(対象となる広告) この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。
第3(広告を行う者の責務) 1 医薬品等の広告を行う者は、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めなければならない。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第2・第3例
冒頭の場面で考えます。化粧品の会社に頼まれた人が、自分のSNSでその化粧品を紹介したとします。医薬品等適正広告基準の第2は、SNSを含むすべての媒体の広告を対象にしています。SNSという媒体であることは、基準の対象から外れる理由になりません。投稿が薬機法の「広告」にあたるかどうかは、1.の節の最後に挙げたページで説明しています。
医療法の側
医療法第6条の5第1項も、主語は「何人も」です。厚生労働省の医療広告等ガイドライン(2026年3月最終改正)は、医療の広告の規制について、この主語からだれが対象になるかを具体的に挙げています。医師・歯科医師や病院などの医療機関だけでなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人など、何人も広告規制の対象とされる、という内容です。
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医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター(閲覧した人を誘引することを目的としてブログ等で紹介し、その成果に応じて報酬が支払われる広告を行う者をいう。以下同じ。)、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされるものである。
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の6(1)同じ箇所は、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者などによる広告(海外から送られるダイレクトメールやEメールなど)も規制の対象である、としています。
例
あるクリニックの広告を、広告代理店が作って出す場面で考えます。医療広告等ガイドラインは、医療機関だけでなく広告代理店も、医療の広告規制の対象者として挙げています。この場面では、クリニックに加えて広告代理店も、規制の対象になり得ます。
関連する内容は、次のページで扱っています。
- 医療広告規制の枠組み:『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』(第6条の5・第6条の8)
- 限定解除の要件:『7-7 医療広告の「限定解除」、要件はいくつある?』
- 医療機関の側の決まり:『5-5 エクソソームなどを使う自由診療で、医療機関が守るルールは?』
健康増進法の側と、相談先
健康増進法第65条第1項も、「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは」と書き出しています。5.の節の報告書は、この条と薬機法第66条を、「何人も」と規制対象を限定していない条文として挙げています。
このページの末尾の注記では、相談先として景品表示法の窓口を挙げています。薬機法の広告について事前に相談する窓口は、所管の都道府県の薬務主管課(名称は自治体により異なります)です。
7. 行政の公表資料では、実際にだれが対象になっていますか?
令和7年度のステマ告示に係る処理は、計11件です。このうち確約計画の認定を受けたのは、いずれもその商品やサービスを一般消費者に販売・提供する事業者です。
内訳は措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)・確約計画の認定が4件、指導が7件で、措置命令13件の内訳にステマ告示はありません。
消費者庁は2026年5月に、景品表示法などの運用状況をまとめた資料を公表しました。対象は令和7年度です。西暦では2025年度にあたります。資料の表6「表示事件の内訳」は、第5条第3号のうちステマ告示について、措置命令・確約計画の認定が4件、指導が7件、合計11件としています。確約計画の認定は、違反の疑いについて事業者が出した是正の計画を、消費者庁が認めることです(5.の節)。指導は、法的な強制力なしに協力を求めて行う行政指導です。
措置命令と確約計画の認定の内訳
同じ資料の第1の1(1)によれば、令和7年度に消費者庁が出した措置命令は、13名の事業者に対する13件です。内訳は、優良誤認3件、有利誤認8件、原産国告示2件です。優良誤認・有利誤認がどんな表示かは、この節の最後に挙げたページで説明しています。原産国告示は、商品の原産国の表示についての告示です。
確約計画の認定は、8名の事業者に対する8件です。違反の疑いがある行為(違反被疑行為)の内訳は、優良誤認1件、有利誤認5件、ステマ告示4件です。1つの事件が2つ以上の法条(関係する条文)にかかることがあるため、内訳の合計は認定件数と一致しない、という注が付いています。措置命令の内訳にステマ告示は無く、確約計画の認定の内訳にはステマ告示が4件あります。したがって、表6の4件は、いずれも確約計画の認定です。
表3は、その4件を事件一覧の書き方のまま並べたものです。右の件数の列を足すと4件です。関係法条の欄に、有利誤認や優良誤認が一緒に書かれた事件もあります。
| 違反被疑行為 | 関係法条 | 件数 |
|---|---|---|
| エステティックサロンで | 有利誤認/ステマ | 1件 |
| 冷凍宅配食に | ステマ告示 | 2件 |
| 冷凍宅配食に | 優良誤認/ステマ | 1件 |
出典:令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁)別紙1「事件一覧(確約計画の認定)」。関係法条欄の表記は同一覧のものです。
別紙1の「2 令和7年度において消費者庁が確約計画の認定を行った事件」には、これらの事件について、対象事業者名、認定日、関係法条、事件概要が載っています。認定を受けているのは、いずれも、その商品やサービスを一般消費者に販売・提供する事業者です。
事件概要には、次のような行為が書かれています。
- 第三者に、口コミサイトの口コミ欄に星5の口コミを投稿することを条件に、次回の施術料金の割引を伝えたこと
- 同じ会社の従業員が、同じ口コミ欄に星5の口コミを投稿したこと
- 第三者に、商品の無償提供や対価の提供を条件にSNSへの投稿を頼み、その投稿を自社の販売サイトやウェブサイトで抜粋するなどして表示したこと
指導の事案
指導の側では、別紙1の「4 令和7年度において消費者庁が指導を行った主な事件」の(3)に、第5条第3号(指定告示)(ステルスマーケティング告示)として3件が挙がっています。事業者は、G・H・Iという記号で示されています。挙がっているのは、次の事案です。
- クッションを販売する事業者が、購入者にギフトカードの付与を伝えて、星5の投稿とレビューの投稿をさせた事案
- サプリメントを販売する事業者が、モニター募集サイトの閲覧者に、対価の提供を条件に星5の投稿などを頼んだ事案
- 葬儀サービスを提供する事業者が、口コミサイト内の口コミを示すページに、自ら評価を投稿した事案
いずれも、投稿による表示は、表示内容全体から見て、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは認められなかった、と書かれています。
この部分の最後には、「なお、指導事案については、表示内容等を一部加工して記載している。」という注が付いています。記号による表記と概要の書き方は、この注を前提に読むものです。
課徴金と罰金は、号によって違う
お金による制裁の決まりにも、号による違いがあります。課徴金は、違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金です。景品表示法第8条第1項は、課徴金の対象となる行為を次のように定めています。
課徴金対象行為:「第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)」
かっこの中のとおり、第5条第3号にあたる表示に係るものは除かれています。つまり、第3号にもとづくステマ告示にあたる表示に係る違反行為は、課徴金対象行為に入りません。
罰金の決まりもあります。2023年の改正で新しく置かれた第48条は、100万円以下の罰金を定めています(2024年10月1日施行)。第48条が掲げているのは、次の2つの場合です。
- 著しく優良であると一般消費者を誤認させるような表示をしたとき
- 著しく有利であると一般消費者を誤認させるような表示をしたとき
関連する内容は、次のページで扱っています。
- 薬機法の側の制裁の全体像:『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』
- 業許可への処分:『6-3 業務停止や許可の取消しは、どの条文で決まる?』
- 景品表示法の側で、優良誤認表示と有利誤認表示がどう分かれるか:『7-1 優良誤認と有利誤認は、どこが違う?』
理解の確認
同じSNSの投稿でも、景品表示法のステマ告示と薬機法とで、名宛人(義務や禁止の対象になる人)が違うのはなぜですか?
条文の主語が違うためです。景品表示法第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き出し、対象を事業者に絞っています。ステマ告示はその第3号にもとづく指定なので、運用基準は、事業者でない者が行う行為は何ら告示の対象とならないとしています。薬機法第66条第1項・第68条、医療法第6条の5第1項、健康増進法第65条第1項は、主語が「何人も」で、この絞りがありません。そのため、告示の側では「だれの表示か」が問われ、薬機法などの側では投稿した本人が名宛人になり得ます。
根拠:景品表示法第5条柱書・第2条第1項・第4項/薬機法第66条第1項・第68条/医療法第6条の5第1項/健康増進法第65条第1項(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)、および「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の注
事業者が第三者にはっきり依頼や指示をしていなくても、その第三者の投稿が事業者の表示とされることはありますか?
あります。運用基準が分かれ目にしているのは、依頼や指示の有無ではありません。事業者が表示内容の決定に関与したと認められるか、つまり客観的な状況から、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるかどうかです。第2の1(2)イは、事業者が第三者の表示内容を決められる程度の関係性がある場合を挙げています。考えに入れるのは、やり取りの形や内容、対価の内容、対価を渡す主な理由、関係性がどのくらい続いてきたか・続くかです。同じイの注は、この対価には、お金や物に限らず、イベントへの招待などのきょう応(もてなし)を含む、対価性のある一切のものが含まれるとしています。
根拠:「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第2、第2の1(2)イおよびその注(法令確認日 2026-09-08)
アフィリエイト広告等に関する検討会の報告書は、ASPやアフィリエイター自身を景品表示法の規制対象に加えることには慎重です。一方で、薬機法第66条や健康増進法第65条を使うことを提言しています。なぜですか?
2つの法律で、名宛人の作りが違うからです。景品表示法は表示規制の一般法で、名宛人は「事業者」です。そのため、表示主体・供給主体の対象を広げると、アフィリエイト広告への対応だけには収まりません。多くの誠実な事業者を萎縮させ、市場全体を縮小させる可能性もある、というのが慎重論の理由です。これに対し、薬機法第66条と健康増進法第65条は「何人も」と規制対象を限定していません。名宛人を広げる改正をしなくても、虚偽・誇大表示の取締り(執行)を強める余地が、条文の側にすでにあります。報告書は、不当なアフィリエイト広告の多くが健康食品と化粧品に集中していることをふまえて、この2つの条文を柔軟に使うことを挙げています。
根拠:アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの1(2)ア・Ⅲの2(2)、薬機法第66条第1項・健康増進法第65条第1項(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 2-7 体験談・
口コミは 化粧品の会社が、SNSで発信する人に新商品を無料で渡し、感想の投稿を頼んだとします。誰の 表示に なる? — 2023年10月に 加わった ステルスマーケティング 告示 - 7-1 優良誤認と
有利誤認は、 健康食品を扱うA社の広報担当が、新しいチラシを作るとします。どこが 違う? — 景品表示法第5条に ある 2つの 号と 違反した ときの手続 - 1-6 規制されるのは
誰? — 薬機法の 化粧品メーカーの広告を広告代理店が作り、ウェブメディアが載せる。「何人も」と、 代理店・ 媒体・個人 - 2-5 Web上の
表示は 化粧品の会社で、ウェブの宣伝を任されたとします。形式で 扱いが 違う? — LP・ リスティング・ タイアップ・ オウンドメディア
- 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1〜第3消費者庁(2026-09-08 確認)
- アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの1・2消費者庁(2026-09-08 確認)
- 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日 内閣府告示第276号。改正 平成28年4月1日 内閣府告示第125号、令和4年6月29日 内閣府告示第74号、令和6年4月18日 内閣府告示第92号)第2・第4消費者庁(2026-09-08 確認)
- 【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法、消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 News Release、消費者庁表示対策課)第1の1(1)・表6・別紙1消費者庁(2026-09-08 確認)
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第2条・第5条・第7条・第8条・第22条〜第24条・第26条・第30条・第48条e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5第1項e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の6厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」第2・第3厚生労働省(2026-09-08 確認)