30秒でわかる要点
- 景品表示法第5条の名宛人は「事業者」。ステルスマーケティング告示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)は同条第3号に基づく指定で、運用基準は「事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない」と書いている。
- 外形上は第三者の投稿でも、事業者が表示内容の決定に関与したと認められれば事業者の表示になる。明示的な依頼・指示がない場合も、対価(金銭・物品に限らず、イベント招待等のきょう応を含む)と関係性の実態から判断される。
- 薬機法第66条第1項・第68条、医療法第6条の5第1項、健康増進法第65条第1項の主語は「何人も」。医療広告等ガイドラインは規制の対象者として、医療機関だけでなくマスコミ・広告代理店・アフィリエイター・患者又は一般人等を挙げている。
同じ投稿でも、法律ごとに名宛人が違うのはなぜか
条文の主語が違うためです。景品表示法第5条の主語は「事業者」で、薬機法第66条第1項、医療法第6条の5第1項、健康増進法第65条第1項の主語は「何人も」です。
運用基準第2は、他法令の適用がある場合であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる実態があるものは告示の対象となる、としています。
SNSの投稿がどの法律の名宛人になるかは、条文の主語で決まります。景品表示法第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と書き出し、ステルスマーケティング告示はこの条の第3号に基づく指定です。薬機法第66条第1項および第68条、医療法第6条の5第1項、健康増進法第65条第1項は、いずれも「何人も」を主語にしています。
条文の主語は、その規定が誰に向けられているかを決める入口にあたります。景品表示法はこの入口に「事業者」という絞りを置き、薬機法・医療法・健康増進法は絞りを置いていません。
「事業者」と「表示」の定義は、いずれも同法第2条にあります。第1項は「事業者」を、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう、と定めています。第5条の名宛人は、この第2条第1項の「事業者」に当たる者です。
「表示」の定義は同条第4項です。顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するもの、とされています。
主語が異なることは、同じ表示に複数の法律がかかることを妨げるものではありません。運用基準第2は、告示の対象となる事業者の表示において景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号の規定に基づく他の告示の規定に該当する表示がある場合には、これらの表示が景品表示法第5条違反とされる、としています。そのうえで、他の法令との関係について次のように書いています。
他法令の適用がある場合であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる実態があるものについては、他法令だけでなく、告示の対象となる(例えば、特定商取引に関する法律における連鎖販売取引)。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第2| 法令・条項 | 条文の主語 | 禁止・制限の対象 |
|---|---|---|
| 景品表示法 第5条 | 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について | 優良誤認表示(第1号)、有利誤認表示(第2号)、内閣総理大臣が指定する表示(第3号) |
| 薬機法 第66条第1項 | 何人も | 医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する虚偽又は誇大な記事の広告・記述・流布 |
| 薬機法 第68条 | 何人も | 承認又は認証を受けていない医薬品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告 |
| 医療法 第6条の5第1項 | 何人も | 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する虚偽の広告 |
| 健康増進法 第65条第1項 | 何人も | 食品として販売に供する物に関する健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示・著しく人を誤認させるような表示 |
主語と対象は各条文の文言によります。条文はいずれも e-Gov 法令検索で確認しました(2026-09-08)。
薬機法上の「広告」に該当するかどうかの基準はそもそも「広告」とは — 薬機法における広告該当性の3要件で、第66条が禁じる内容は第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止で、第68条は第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱っています。「何人も」という主語の射程そのものは規制されるのは誰か — 「何人も」と、代理店・媒体・個人で扱っています。
景品表示法のステルスマーケティング告示は、投稿した個人を名宛人にしているか
していません。運用基準は、告示の対象は「事業者」が行う「表示」であり、事業者でない者が行う行為については何ら告示の対象となるものではないとしています。
同じ注は、その結果として第三者の表示に対しても一定の制約が事実上課せられることとなる、とも書いています。
ステルスマーケティング告示の名宛人は、事業者です。運用基準の第1に置かれた注が、告示の対象は景品表示法第2条第1項の「事業者」が行う同条第4項の「表示」であることを明示しています。
告示は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第5条第3号の規定に基づくものであり、告示においても景品表示法に規定される定義が前提となる。告示の対象となるのは、景品表示法第2条第1項に規定する「事業者」が行う同条第4項に規定する「表示」である。したがって、事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の注告示そのものは、景品表示法第5条第3号に基づく指定です。本文は短く、令和5年10月1日から施行されています。指定されているのは、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるものです。
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を次のように指定し、令和五年十月一日から施行する。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)全文ただし、これは第三者の側に何の影響も及ばないという意味ではありません。同じ注は、事業者が第三者の表示において事業者の表示であることを明瞭にしなければならないことの結果として、第三者の表示に対しても一定の制約が事実上課せられることとなる、と続けています。そのうえで、その制約は一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択を確保するという景品表示法の目的達成の観点から行われるもので、第三者の自由な表現活動を不当に制約しようとするものではない、としています。
規制の趣旨についても、運用基準第1は理由を述べています。一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考えて商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、第三者の表示であると誤認する場合にはそう考えないことになる、という説明です。
あわせて、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である又は社会通念上明らかであるものは告示の対象となるものではなく、告示はそのようなものについての事業者の自由な広告・宣伝活動を阻害するものではない、としています。
要点
景品表示法の側で問われるのは、投稿が誰の表示にあたるかです。告示は、商品又は役務を供給する事業者が行う表示を対象としています。同じ投稿に、主語を「何人も」とする他の法律がかかるかどうかは、この告示の範囲とは別に決まります。
外形上は第三者の投稿でも、事業者の表示とされるのはどういう場合か
事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合です。運用基準は、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合と書いています。
明示的な依頼・指示がない場合も、この判断の枠に含まれます。
分かれ目は、事業者が表示内容の決定に関与したと認められるかどうかです。運用基準第2は、告示の対象となるのは外形上第三者の表示のように見えるものが事業者の表示に該当することが前提だとしたうえで、該当するのはどういう場合かを述べています。
外形上第三者の表示のように見えるものが、事業者の表示に該当するとされるのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合である。
同運用基準 第2明示的な依頼・指示がない場合についても、第2の1(2)イが基準を置いています。事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、客観的な状況に基づき第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある場合には、事業者が表示内容の決定に関与した表示とされる、という書き方です。判断に当たっての考慮要素として挙げられているのは次のものです。
- 事業者と第三者との間の具体的なやり取りの態様や内容(メール、口頭、送付状等の内容)
- 事業者が第三者の表示に対して提供する対価の内容
- その主な提供理由(宣伝する目的であるかどうか)
- 事業者と第三者の関係性の状況(過去に対価を提供していた関係性がどの程度続いていたのか、今後対価を提供する関係性がどの程度続くのか)
ここでいう対価の範囲には、注が付いています。
事業者が第三者の表示に対して支払う対価については、金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のものが含まれる。
同運用基準 第2の1(2)イの注反対の側は、第2の2に置かれています。第2の2は「事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない。」としたうえで、具体例をアからコまでと(2)に並べています。
次の表は、運用基準が挙げている場面を、その場面が運用基準のどちらの節に置かれているかで並べたものです。第2の1は「事業者が表示内容の決定に関与したとされるものについて」、第2の2は「事業者が表示内容の決定に関与したとされないものについて」という見出しです。
| 運用基準が挙げている場面 | 置かれている節 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事業者が第三者に対して当該第三者のSNS上や口コミサイト上等に自らの商品又は役務に係る表示をさせる場合 | 関与したとされるもの | 同運用基準 第2の1(2)ア(ア) |
| 事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際に、アフィリエイターに委託して、自らの商品又は役務について表示させる場合 | 関与したとされるもの | 同運用基準 第2の1(2)ア(ウ) |
| 事業者が第三者にSNSを通じた表示を行うことを依頼しつつ、表示してもらうことを目的に商品又は役務を無償で提供し、提供を受けた第三者が事業者の方針や内容に沿った表示を行うなど、表示内容が第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合 | 関与したとされるもの | 同運用基準 第2の1(2)イ(ア) |
| 第三者が事業者の商品又は役務について、SNS等に当該第三者の自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合 | 関与したとされないもの | 同運用基準 第2の2(1)ア |
| 事業者が第三者に商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合 | 関与したとされないもの | 同運用基準 第2の2(1)イ |
| 事業者が自社のウェブサイトの一部において第三者が行う表示を利用する場合であって、恣意的な抽出も表示内容の変更もせず、そのまま引用するとき | 関与したとされないもの | 同運用基準 第2の2(1)キ。同キの注は、これはウェブサイトの一部のみをもって当該事業者の表示とされないことを示すもので、当該一部を含めたウェブサイト全体が当該事業者の表示とされることは当然にあり得る、としている |
| 新聞・雑誌発行、放送等を業とする媒体事業者が自主的な意思で企画、編集、制作した表示 | 関与したとされないもの | 同運用基準 第2の2(2)柱書・ア。同(2)イは、媒体事業者の表示であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる場合は事業者の表示となる、としている |
この表は、投稿の内容の適否ではなく、その表示が誰の表示として扱われるかについての運用基準の記載を示しています。第2の2の柱書は、そこに並ぶ具体例に共通して「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない」という条件を置いています。3行目と5行目はどちらも無償提供を含む場面で、分かれ目は表示内容が第三者の自主的な意思によるものと認められるかどうかに置かれています。
口コミ・体験談という表示の類型そのものは体験談・口コミは誰の表示か — 2023年10月に加わったステルスマーケティング告示で扱っています。
従業員が自分のアカウントで自社製品を投稿したら、誰の表示になるのか
事業者と一体と認められる従業員の投稿は、事業者が自ら行う表示に含まれます。判断は、地位・立場・権限・担当業務・表示目的等の実態を踏まえた総合考慮によります。
運用基準は、事業者の表示に該当する場合と該当しない場合の双方を例示しています。
事業者と一体と認められる従業員が行った投稿は、「事業者が自ら行う表示」に含まれます。運用基準第2の1(1)アが、その範囲を書いています。
事業者が自ら行う表示には、事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示、例えば、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示も含まれる。
同運用基準 第2の1(1)ア続くイは、判断の方法を「従業員の事業者内における地位、立場、権限、担当業務、表示目的等の実態を踏まえて、事業者が表示内容の決定に関与したかについて総合的に考慮し判断する」としています。そのうえで、次の2つを挙げています。
- 該当するものとして挙げられているもの — 商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者(販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員等)が、当該商品又は役務の販売を促進するための表示(商品又は役務の画像や文章を投稿し一般消費者の当該商品又は役務の認知を向上させようとする表示、自社製品と競合する他社の製品を誹謗中傷し、自社製品の品質・性能の優良さについて言及する表示)を行う場合。他の者に指示をして表示を行わせる場合を含む(同運用基準 第2の1(1)イ(ア))
- 該当しないものとして挙げられているもの — 当該事業者や子会社等の従業員ではあるものの、当該商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にはない者が、当該商品又は役務に関して一般消費者でも知り得る情報を使うなどし、販売を促進する目的ではない表示を行う場合(同運用基準 第2の1(1)イ(イ))
事業者自身のアカウントからの投稿は、別の項に置かれています。運用基準第3の2(2)は、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である又は社会通念上明らかであるものの例を並べており、そのカが「事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を行う場合」です。
同じ項のオには、事業者自身のウェブサイトにおける表示も挙げられています。ただしオ(ア)には但し書きが付いており、ウェブサイトを構成する特定のページにおいて当該事業者の表示ではないと一般消費者に誤認されるおそれがあるような場合には、第三者の表示は当該事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならない、としています。
アフィリエイト広告は誰の表示とされているのか
広告主の表示です。アフィリエイト広告等に関する検討会報告書は、表示内容についてはまずは広告主が責任を負うべき主体であるとしています。
景品表示法上の表示主体は「表示内容の決定に関与した事業者」とされています。
アフィリエイト広告は、広告主の表示として扱われています。消費者庁の検討会が令和4年2月15日付けでまとめた報告書は、不当表示をした事業者すなわち表示主体を「表示内容の決定に関与した事業者」としたうえで、アフィリエイト広告の実態を次のように書いています。
そもそも広告とは広告主が行うものであり、アフィリエイト広告についても、広告主が自らの判断でアフィリエイトプログラムを利用して自らが供給する商品・サービスの宣伝を行うことを選択しているところ、ASPやアフィリエイターはあくまでその広告主の提示条件の下で、アフィリエイト広告を提供する際の機能を果たしているに過ぎず、広告主がアフィリエイト広告の基本的な表示内容を決定しているといった実態が認められる。
アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの1(2)ア「表示内容の決定に関与した事業者」の中身は、報告書の脚注が判例を引いて示しています。
「表示内容の決定に関与した事業者」とは、「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず、「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」や「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるものと解するのが相当である。
同報告書 脚注14が引用する東京高判平成20年5月23日(平成19年(行ケ)第5号)。同脚注は、判示中の「法4条1項」が現行の景品表示法の第5条に該当する旨を注記している報告書は、ASPやアフィリエイターを広告主と同様の規制対象とすることについては、慎重に考える必要があるとしています。理由として挙げられているのは、多くの誠実な事業者に対する萎縮効果とアフィリエイト広告市場全体の縮小を招く可能性、および景品表示法が表示規制の一般法であることから表示主体・供給主体の対象を拡大するとアフィリエイト広告の対応だけには収まらないことです。そのうえで、他法との連携について次の提言を置いています。
不当なアフィリエイト広告の多くが健康食品と化粧品に集中していることを踏まえるならば、不当な表示を繰り返すASPやアフィリエイターに対する措置を視野に入れ、「何人も」と規制対象を限定していない健康増進法第 65 条や薬機法第 66 条を柔軟に活用して虚偽・誇大表示の執行を強化すべきであると考えられる。
同報告書 Ⅲの2(2)未然防止の側は、景品表示法が事業者に課している表示等の管理上の措置です。現行の指針(平成26年11月14日 内閣府告示第276号。改正 平成28年4月1日 内閣府告示第125号、令和4年6月29日 内閣府告示第74号、令和6年4月18日 内閣府告示第92号)の第4の3は、次のように書いています。
アフィリエイトプログラム(注4)を利用した広告を行うような業態では、当該広告を利用する事業者がアフィリエイター等の作成する表示等を確認することが必要となる場合があることに留意する必要がある。
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日 内閣府告示第276号)第4の3同じ指針の注5は、反対の場合について書いています。広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にあるものについては、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる、としています。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
表示等の管理上の措置は景品表示法第26条第1項。指導及び助言が第27条、勧告及び公表が第28条第1項・第2項。
現行
表示等の管理上の措置は第22条第1項。指導及び助言が第23条、勧告及び公表が第24条第1項・第2項。現行の第26条から第33条までは、令和5年改正で新設された確約手続の規定(令和6年10月1日施行)で、第26条は継続中の違反被疑行為に係る通知の規定(既に違反被疑行為がなくなっている場合の通知は第30条)。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第22条〜第24条・第26条〜第27条・第30条(e-Gov 法令検索、2026-09-08 確認)/【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(消費者庁 表示対策課)「確約手続に関する規定(第26条~第33条)の新設」/アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)は当時の条番号で第26条・第27条・第28条と記載している
指針の本体は、必要な措置が求められる事業者の範囲についても書いています。第2の1は、措置を求めるのは景品類の提供又は自己の供給する商品又は役務についての一般消費者向けの表示をする事業者に対してであり、当該事業者と取引関係はあるが表示等を行っていない事業者に対して措置を求めるものではない、としています。そのうえで、取引関係事業者が表示等の作成を委ねられる場合には、表示等を行う事業者が取引関係事業者に対し、自らの措置についての理解を求め、作成する表示等が不当表示等に該当することのないよう指示することが求められる、と書いています。
薬機法の側では、投稿した人はどう扱われるのか
第66条第1項と第68条の主語は「何人も」です。医薬品等適正広告基準第2は、ウェブサイトやSNS等のすべての媒体における広告を対象としています。
同基準の第3は「広告を行う者の責務」を定めています。
薬機法の広告規制は、行為者を業許可の有無で絞っていません。第66条第1項の主語は「何人も」です。
第68条も同じ主語で、承認又は認証を受けていない医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない、と定めています。媒体の範囲は、医薬品等適正広告基準が示しています。
第2(対象となる広告) この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする。
第3(広告を行う者の責務) 1 医薬品等の広告を行う者は、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めなければならない。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第2・第3医療法の側も、主語は「何人も」です。医療広告等ガイドラインは、この主語から誰が対象になるかを具体的に挙げています。
医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター(閲覧した人を誘引することを目的としてブログ等で紹介し、その成果に応じて報酬が支払われる広告を行う者をいう。以下同じ。)、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされるものである。
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の6(1)同じ箇所は、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象である、としています。
医療広告規制の枠組みは医療広告規制はなぜ限定列挙なのか — 医療法第6条の5から第6条の8までと限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載で、医療機関の側の規律は医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律で扱っています。
健康増進法第65条第1項も「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは」と書き出しています。アフィリエイト広告等に関する検討会報告書は、この条と薬機法第66条を、「何人も」と規制対象を限定していない条文として挙げています。
なお、このページの末尾の免責は景品表示法の窓口に振っています。薬機法の広告についての事前相談の窓口は、所管の都道府県の薬務主管課(名称は自治体により異なります)です。
実際に名宛人になっているのは誰か、行政の公表資料は何を示しているか
令和7年度のステルスマーケティング告示に係る処理は合計11件です。措置命令・確約計画の認定が4件、指導が7件で、措置命令13件の内訳にステマ告示はありません。
確約計画の認定を行った事件は、対象事業者名と認定日を付して公表されています。
消費者庁は、令和8年5月28日に令和7年度の景品表示法等の運用状況を公表しています。同資料の表6「表示事件の内訳」では、第5条第3号のうちステルスマーケティング告示について、措置命令・確約計画の認定が4件、指導が7件、合計11件と記載されています。
同資料の第1の1(1)によれば、令和7年度に消費者庁が行った措置命令は13名の事業者に対する13件で、内訳は優良誤認3件、有利誤認8件、原産国告示2件です。措置命令13件の内訳として挙げられているのは優良誤認・有利誤認・原産国告示の3つで、ステルスマーケティング告示は挙がっていません。
確約計画の認定は8名の事業者に対する8件で、違反被疑行為の内訳は優良誤認1件、有利誤認5件、ステルスマーケティング告示4件です。件数には、関係法条が2以上にわたる事件があるため認定件数と一致しない旨の注が付いています。したがって、表6の4件は、いずれも確約計画の認定です。
| 違反被疑行為(事件一覧の記載) | 関係法条 | 件数 |
|---|---|---|
| エステティックサロンで提供する施術サービスの料金及び口コミに関する違反被疑行為 | 有利誤認/ステマ告示 | 1件 |
| 冷凍宅配食に係る体験談に関する違反被疑行為 | ステマ告示 | 2件 |
| 冷凍宅配食に係るNo.1表示及び体験談に関する違反被疑行為 | 優良誤認/ステマ告示 | 1件 |
出典:令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁)別紙1「事件一覧(確約計画の認定)」。関係法条欄の表記は同一覧のものです。
別紙1の「2 令和7年度において消費者庁が確約計画の認定を行った事件」には、これらについて対象事業者名、認定日、関係法条、事件概要が記載されています。認定を受けているのは、いずれも当該商品又は役務を一般消費者に販売・提供する事業者です。
事件概要には、次のような行為が記載されています。
- 第三者に対して口コミサイトの口コミ表示欄に星5の口コミを投稿することを条件に次回の施術料金の割引を伝えたこと
- 同社の従業員が同じ口コミ表示欄に星5の口コミを投稿したこと
- 第三者に対して商品の無償提供や対価の提供を条件にSNSへの投稿を依頼し、その投稿を自社の販売サイトやウェブサイトで抜粋するなどして表示したこと
指導の側は、別紙1の「4 令和7年度において消費者庁が指導を行った主な事件」の(3)に、第5条第3号(指定告示)(ステルスマーケティング告示)として3件が挙げられています。事業者はG・H・Iと記号で示されています。
挙げられているのは、次の事案です。
- クッションを販売する事業者が購入者に対しギフトカードの付与を伝えて星5の投稿及びレビューの投稿をさせた事案
- サプリメントを販売する事業者がモニター募集サイトの閲覧者に対価の提供を条件に星5の投稿等を依頼した事案
- 葬儀サービスを提供する事業者が口コミサイト内の口コミを示すページに自ら評価を投稿した事案
いずれについても、当該投稿による表示は表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているとは認められなかった、と書かれています。
この節の末尾には「なお、指導事案については、表示内容等を一部加工して記載している。」との注が付いています。記号による表記と概要の記述は、この注を前提に読むものです。
金銭的な制裁の設計にも、号による差があります。景品表示法第8条第1項は、課徴金対象行為を「第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)」と定義しており、第5条第3号に該当する表示に係るものはこの定義から除かれています。
令和5年改正で新設された第48条(100万円以下の罰金。令和6年10月1日施行)が掲げるのは、著しく優良であると一般消費者を誤認させるような表示をしたときと、著しく有利であると一般消費者を誤認させるような表示をしたときの2つの号です。
薬機法の側の制裁の全体像は薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルートで、業許可への処分は業許可への処分 — 業務停止・許可取消し・改善命令は、どの条文にあるかで扱っています。景品表示法の側で優良誤認表示と有利誤認表示がどう分かれるかは優良誤認と有利誤認 — 景品表示法第5条第1号と第2号は、条文のどこが違うのかで扱っています。
理解の確認
同じSNS投稿でも、景品表示法のステルスマーケティング告示と薬機法とで名宛人が違うのはなぜか。
条文の主語が違うためです。景品表示法第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」と入口に絞りを置いており、告示はその第3号に基づく指定なので、運用基準は事業者でない者が行う行為については何ら告示の対象となるものではないとしています。薬機法第66条第1項・第68条、医療法第6条の5第1項、健康増進法第65条第1項は主語が「何人も」で、この絞りがありません。そのため同じ投稿について、告示の側では「誰の表示か」が問われ、薬機法等の側では投稿した本人が名宛人になり得ます。
根拠:景品表示法第5条柱書・第2条第1項・第4項/薬機法第66条第1項・第68条/医療法第6条の5第1項/健康増進法第65条第1項(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)、および「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1の注
事業者が第三者に明示的な依頼・指示をしていない場合でも、その第三者の投稿が事業者の表示とされることはあるか。
あります。運用基準が分かれ目に置いているのは依頼や指示の有無ではなく、事業者が表示内容の決定に関与したと認められるか、すなわち客観的な状況に基づき第三者の自主的な意思による表示内容と認められるかどうかだからです。第2の1(2)イは、事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性がある場合を挙げ、やり取りの態様や内容、対価の内容、その主な提供理由、関係性が続いてきた・続く程度を考慮要素としています。同イの注は、この対価に金銭又は物品に限らず、イベント招待等のきょう応を含む対価性を有する一切のものが含まれるとしています。
根拠:「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第2、第2の1(2)イおよびその注(法令確認日 2026-09-08)
アフィリエイト広告等に関する検討会報告書が、ASPやアフィリエイター自身を景品表示法の規制対象に加えることには慎重な一方で、薬機法第66条や健康増進法第65条の活用を提言しているのはなぜか。
二つの法律で、名宛人の作りが違うからです。景品表示法は表示規制の一般法で名宛人が「事業者」であるため、表示主体・供給主体の対象を広げるとアフィリエイト広告の対応だけには収まらず、多くの誠実な事業者への萎縮効果や市場全体の縮小を招く可能性がある、というのが慎重論の理由です。これに対し薬機法第66条と健康増進法第65条は「何人も」と規制対象を限定していないため、名宛人を広げる改正を経ずに、虚偽・誇大表示の執行を強める余地が条文の側に既にあります。報告書は、不当なアフィリエイト広告の多くが健康食品と化粧品に集中していることを踏まえて、この二つの条文の柔軟な活用を挙げています。
根拠:アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの1(2)ア・Ⅲの2(2)、薬機法第66条第1項・健康増進法第65条第1項(法令確認日 2026-09-08)
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- 2-7 体験談・口コミは誰の表示か — 2023年10月に加わったステルスマーケティング告示 体験談や口コミをめぐる線は、2023年10月1日に引き直されました。
- 7-1 優良誤認と有利誤認 — 景品表示法第5条第1号と第2号は、条文のどこが違うのか 景品表示法で「優良誤認」と呼ばれるのは第5条第1号、「有利誤認」と呼ばれるのは第2号です。
- 1-6 規制されるのは誰か — 「何人も」と、代理店・媒体・個人 薬機法の広告規制には、名宛人の限定がありません。
- 2-5 Webは全部広告か — LP・リスティング・タイアップ・オウンドメディア 薬機法の広告規制は、媒体の種類で線を引いていません。
- 一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)第1〜第3消費者庁(2026-09-08 確認)
- アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)Ⅲの1・2消費者庁(2026-09-08 確認)
- 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日 内閣府告示第276号。改正 平成28年4月1日 内閣府告示第125号、令和4年6月29日 内閣府告示第74号、令和6年4月18日 内閣府告示第92号)第2・第4消費者庁(2026-09-08 確認)
- 【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法、消費者庁表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
- 令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 News Release、消費者庁表示対策課)第1の1(1)・表6・別紙1消費者庁(2026-09-08 確認)
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第2条・第5条・第7条・第8条・第22条〜第24条・第26条・第30条・第48条e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5第1項e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の6厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」第2・第3厚生労働省(2026-09-08 確認)