30秒でわかる要点
- 形式ごとの区分はない:LP・リスティング広告・タイアップ記事・オウンドメディアという区分は、薬機法の条文にも、国の広告の基準(医薬品等適正広告基準)にもありません。基準は「すべての媒体における広告」を対象にしています。
- 1ページだけでは判断されないことがある:トップページに医薬品名等が無いサイトについて、厚生労働省のQ&A(2014年)が答えています。ほかのページで三要件(広告かどうかを判断する3つの条件)を満たす広告をしていれば、その事業者は広告しているとみなすことができる、という答えです。ただし、このQ&Aの問いは、ネットで医薬品などを売る事業者や、個人輸入代行を行う事業者のサイトを前提にしています。
- メール広告には3つの方法:基準は、メールで広告を送るときの方法を3つ挙げています。連絡先の表示、頼まれず承諾も得ずに送るときの件名欄での広告であることの表示、受け取りを断る方法の表示と、断った人への送信の停止です。
1. LPやタイアップ記事といった区分は、薬機法にありますか?
ありません。国の広告の基準(医薬品等適正広告基準)は「すべての媒体における広告」を対象にしていて、形式ごとの区分を置いていません。
薬機法の第66条第1項と第68条も、条文の中で媒体を挙げていません。
基準は「すべての媒体」の広告を対象にしている
医薬品等適正広告基準(以下、基準)は、厚生労働省が2017年9月に出した通知の別紙(通知に添えられた文書)です。通知は、国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。
基準の第1は、対象の製品を、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品としています。この5つをまとめて「医薬品等」と呼びます。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品です(薬用化粧品など)。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。
第2は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)等を挙げています。そのうえで、「すべての媒体における広告を対象とする」と書いています。媒体の一覧とその位置づけは、『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱っています。
例
冒頭の化粧品の会社(A社)で考えます。A社は、LP、リスティング広告、タイアップ記事、オウンドメディアで宣伝しています。これらが広告にあたる場合、LPやオウンドメディアといった呼び名を理由に、基準の対象から外れることはありません。
基準は1980年の通知に示されている、という古い説明も見かけます。その古い通知は、2017年9月の通知で廃止されています。
原文で確かめる(古い説明と、現行の基準)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
医薬品等適正広告基準は、昭和55年10月9日 薬発第1339号(薬務局長通知)に示されている。
現行
現行の基準は平成29年9月29日 薬生発0929第4号の別紙です。改正通知の本文は「なお、本通知をもって、旧通知は廃止します。」と書いています。現行の別紙 第2は、対象となる広告の媒体に「ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等」を含めて列挙しています。
医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)本文および別紙 第1・第2。旧通知は昭和55年10月9日 薬発第1339号(改正 平成14年3月28日 医薬発第0328009号)。
法律の条文も、媒体を挙げていない
第66条第1項は、医薬品等の名前、作り方、効き目や性能について、うそや大げさな記事を広告したり、書いたり、広めたりすることを禁じています。はっきり言う形でも、ほのめかす形でも同じです。禁じられる行為は「広告し、記述し、又は流布してはならない」と書かれ、媒体の名前は出てきません。
第68条は、承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告を禁じる条文です。承認は、製品ごとに国が審査して、製造販売を認めることです。第68条も「その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない」と書き、媒体には触れていません。2つの条文の中身は、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』と第68条の解説で扱います。
基準の中は、媒体ではなく「事項」で分かれている
基準の第4には、14の項が並んでいます。項の区分は、名称、製造方法、効能効果等(効き目など)、推せん(すすめること)、懸賞といった事項(話題)です。媒体や形式ごとには分かれていません。
直感的なポイント
基準を本棚にたとえると、仕切りは「新聞の棚」「ウェブの棚」のような媒体ごとには入っていません。「名前」「作り方」「効き目」「推せん」「懸賞」のような話題ごとに入っています。
第4の中で、媒体の名前が文言に出てくるのは、次の3か所です。
- 電子メール:第4の12です。メールで広告を送るときの方法を定めています(5.の節)。
- テレビ、ラジオの提供番組等:第4の13です。提供番組は、企業がスポンサーとして提供する番組です(4.の節)。
- 看板等の工作物:第4の8のただし書き(例外を述べる一文)です。「看板等の工作物で商品名のみを広告する場合はこの限りではない。」と書いています。「この限りではない」は、第4の8の決まり(使用や取扱いの注意を広告に書き添えたり、言い添えたりすること)が、この場合には当てはまらない、という意味です。
第4の14の項の見出しを見る
- 名称関係(1)
- 製造方法関係(2)
- 効能効果、性能及び安全性関係(3)
- 過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限(4)
- 医療用医薬品等の広告の制限(5)
- 一般向広告における効能効果についての表現の制限(6)
- 習慣性医薬品の広告に付記し、又は付言すべき事項(7)
- 使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項(8)
- 他社の製品の誹謗広告の制限(9)
- 医薬関係者等の推せん(10)
- 懸賞、賞品等による広告の制限(11)
- 不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限(12)
- テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い(13)
- 医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限(14)
行政のQ&Aも、形式の名前を使っていない
厚生労働省のQ&A(2.の節)も、形式の名前を使っていません。出てくるのは「当該事業者のサイト」(その事業者のサイト)、「トップページ」「製品分類」「製品カテゴリ」「ログイン」「リンク先」「紹介サイト」という書き方です。
記事風広告・ランディングページなどの語が出てくる文書
こうした形式に近い呼び名は、薬機法とは別の法律についての文書に出てきます。
- 記事風広告:厚生労働省の医療広告等ガイドラインが使っています。第2の5(2)は、「費用を負担して記事の掲載を依頼することにより、患者等を誘引するいわゆる記事風広告は、広告規制の対象となるものである」と書いています。ただし、この指針が扱っているのは医療法(病院や診療所についての法律)の広告規制です。その枠組み(医療法第6条の5から第6条の8まで)は、『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』で扱います。
- 「ランディングページ」「リスティング広告」:消費者庁の検討会の報告書(2022年2月)が使っている語です。報告書は脚注7で、ランディングページを「消費者がアフィリエイトリンクをクリックして、たどり着くウェブページのこと」と説明しています。Ⅱの3(1)では、「検索連動型広告といったリスティング広告」と書いています。こちらは景品表示法(表示や景品についての法律)についての検討で、薬機法の広告規制を定めた文書ではありません。
医療広告等ガイドラインの正式な名前は、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」です(令和8年3月30日最終改正)。消費者庁の報告書は、アフィリエイト広告等に関する検討会の報告書(令和4年2月15日)です。
2. 広告にあたるかどうかは、1ページずつ見るのですか?
トップページに医薬品名等が無くても、ほかのページで三要件を満たす広告をしていれば、その事業者は広告しているとみなせる、と厚生労働省のQ&Aは答えています。
三要件は広告かどうかを判断する3つの条件で、このQ&Aは、ネットで医薬品等を販売する事業者や個人輸入代行を行う事業者のサイトを前提にした問いに答えたものです。
答えているのは、厚生労働省が2014年5月に出した、ネット上の広告についての質疑応答集(以下、Q&A)です。5つの問い(Q1〜Q5)と、その答え(A1〜A5)をまとめた文書です。
Q2が取り上げているのは、トップページには具体的な医薬品の名前が無いサイトです。「製品分類」や「製品カテゴリ」といった項目をクリックすると、具体的な医薬品名等が出てきます。
A2の答えは、上の結論のとおりです。三要件を示したのは、1998年の国の通知です(中身は『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱っています)。
例
医薬品をネットで販売するB社のサイトで考えます。トップページには商品名が無く、「製品カテゴリ」をクリックすると商品名が並びます。Q2と同じ形です。A2によれば、ほかのページで三要件を満たす広告をしていれば、B社は広告しているとみなすことができます。
原文で確かめる(Q2・A2)
Q2が問うているのは、「当該事業者のサイトにおいて、トップページに具体的な医薬品の名称等は記載されていないものの「製品分類」や「製品カテゴリ」などの項目があり、その項目をクリックすると具体的な医薬品名等が表示される場合」です。
トップページに具体的な医薬品名等が表示されていなくても、他のページで通達において示した三つの要件(以下「三要件」という。)を満たした広告行為が行われている場合には、当該事業者は医薬品等について広告していると見なすことができる。
インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A2ここでいう「通達」は、Q&Aの本文が引いている平成10年9月29日 医薬監第148号です。
このQ&Aが前提にしている場面
Q&Aの問いが置いている場面は、限られています。Q1とQ2は、ネットで医薬品等を販売している事業者や、個人輸入代行をしている事業者のサイトを前提にしています。個人輸入代行は、個人に代わって、海外から医薬品等を取り寄せる手続をする業です。Q3(会員専用のログインを求める場合)も同じです。
このQ&Aは、平成25年法律第103号による改正で、一般用医薬品(市販薬)のネット販売等の新しい制度が始まることから作られました。ネット上の医薬品等の広告の監視指導(行政が広告を見て、問題があれば指導すること)に役立てるためです。
サイト内で検索しないと出てこない場合
Q1は、同じ場面で、サイトの中での検索を取り上げています。検索する前は、具体的な医薬品名等がサイトに出ていません。買いたい人が医薬品名等で検索し、完全一致検索(入れた言葉とぴったり合うものを探す検索)の結果として、初めて出てくる場合です。
A1は、この場合は原則として医薬品等の広告に該当するとはいえない、と答えています。その事業者が自分から進んで(能動的に)広告しているとはみなせず、客を呼び込む意図がはっきりしているとは考えられない、という理由です。
ただし、A1には例外を述べるただし書きが続きます(全文はそもそも薬機法の「広告」とは?にあります)。
原文で確かめる(Q1〜Q3の場面と、A1)
Q1は「インターネット上で医薬品等を販売している場合や個人輸入代行行為を行っている場合において」と書き出しています。問うているのは、「当該事業者のサイト内で医薬品名等で検索し、検索前には当該サイト内で具体的な医薬品名等は表示されていなかったが、完全一致検索の結果として初めて検索した医薬品名等が表示される場合」です。
Q3は、「インターネット上で会員専用のログインを求めた上で医薬品等の販売や個人輸入代行行為を行っている場合」を問うものです。
購入希望者が当該業者のサイト上で購入を希望する医薬品等を検索しなければ具体的な医薬品名等が表示されないのであれば、当該事業者が当該医薬品等を能動的に広告しているとはみなせず、顧客を誘因する意図が明確とは考えられないため、原則として、医薬品等の広告に該当するとはいえないと考える。
同Q&A A1(この後にただし書きが続きます)例
冒頭のA社が、リスティング広告を出す場面で考えます。A1が扱っているのは「当該業者のサイト上で」検索する場面で、これとは違います。検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告について述べた記載は、このQ&Aにはありません。
3. ほかのサイトへ誘導する紹介サイトも、広告にあたりますか?
Q&Aは、紹介サイトが広告にあたるかは場合ごとの事情で判断されるとし、リンク先の事業者と同一か、同一とみなせる場合などには、あたる可能性があると答えています。
この問いは、海外から日本国内に医薬品等を販売するサイトや、個人輸入代行を行うサイトを紹介・誘導するサイトについてのものです。
答えているのは、同じQ&AのA5です。Q5は、そうした紹介・誘導サイトに、特定の医薬品名等が出ている場合を問うています。
A5の答えは、次の3つに分けられます。
- 紹介サイトが広告にあたるかどうかは、個別具体的に(その場合ごとの事情によって)判断される
- 紹介サイトが、リンク先で販売や輸入代行をする事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合などには、広告にあたる可能性がある
- リンク先のサイトだけが法令に違反している場合もあるので、注意すること
原文で確かめる(Q5・A5)
Q5が対象にしているのは、「医薬品等を海外から日本国内に販売するサイト又は個人輸入代行を行うサイトを紹介・誘導しているサイト」です。
当該紹介サイトが医薬品等の広告に該当するかどうかについては、個別具体的に判断されることとなるが、当該紹介サイトが、リンク先の販売又は輸入代行行為を行う主体となる事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合等には、医薬品等の広告に該当する可能性がある。なお、リンク先のサイトのみが薬事法違反の場合もあるので、留意されたい。
インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A5。法律名は発出当時の表記で、現在の題名は薬機法条文は「何人も」で始まる
第66条第1項も第68条も、主語は「何人も」(だれであっても)です。名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)は、限定されていません。そのため、紹介する側も名宛人になり得ます。
Q&Aが答えているのは、上の限られた問いです。これ以外の形の紹介・誘導について述べた記載は、このQ&Aにはありません。
例
冒頭のA社のオウンドメディアが、自社の化粧品の国内向け販売ページへ、読者を誘導する場面で考えます。Q5が前提にしている、海外から日本国内に販売するサイトや、個人輸入代行のサイトへの誘導ではありません。Q&Aに記載が無いからといって、広告にあたらないと決まるわけではありません。
4. 記事や番組の形の宣伝について、基準に定めはありますか?
基準は、テレビ・ラジオの提供番組や映画演劇等で、出演者が特定の医薬品等の品質や効き目、安全性などに触れたり、ほのめかしたりすることを禁じています。
ウェブ上の記事広告やタイアップ記事を名指しした項は基準にありませんが、事項ごとの第4の各項と、広告を行う者の務めを定めた第3はかかります。
基準が名指ししている場は、テレビ、ラジオの提供番組と、映画演劇等です。第4の13が、そこでの出演者の行為を取り上げています。
- (1)出演者の行為:出演者が、「特定の医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他」について、言及したり(触れたり)、暗示したり(ほのめかしたり)してはならない、としています。
- (2)子ども向けの番組:テレビ、ラジオの子ども向け提供番組での広告は、医薬品等について誤った認識を与えないよう、特に注意しなければならない、としています。
例
ある化粧品の会社が提供するラジオ番組で、出演者が、その会社の特定の化粧品の品質や安全性について話す場面で考えます。この場面では、第4の13(1)が問題になり得ます。
原文で確かめる(第4の13)
13 テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い
(1)テレビ、ラジオの提供番組又は映画演劇等において出演者が特定の医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について言及し、又は暗示する行為をしてはならない。
(2)テレビ、ラジオの子ども向け提供番組における広告については、医薬品等について誤った認識を与えないよう特に注意しなければならない。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の13形式を問わない定め:広告を行う者の責務(第3)
形式にかかわらず、広告を行う者に向けた定めは、第4ではなく第3に置かれています。責務は、果たすべき務めのことです。第3は、次の2つを定めています。
- 第3の1:使う人が適正に使えるよう、正確な情報を伝えるように「努めなければならない」(努力を求める書き方)
- 第3の2:医薬品等の品位を損なう、または信用を傷つけるおそれのある広告は「行ってはならない」(禁止の書き方)
どちらも、媒体や表示の形式で対象を分けていません。
例
冒頭のA社が、ウェブメディアとのタイアップ記事の形で、自社の化粧品の広告を出す場面で考えます。この広告にも、形式で対象を分けていない第3の責務がかかります。名称や効き目といった事項ごとの第4の各項も、形式の名前が無いことを理由に外れるわけではありません。
原文で確かめる(第3)
第3(広告を行う者の責務)
1 医薬品等の広告を行う者は、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めなければならない。
2 医薬品等の広告を行う者は、医薬品等の本質に鑑み、医薬品等の品位を損なう又は信用を傷つけるおそれのある広告は行ってはならない。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第3記事の中で大学名を挙げる標榜(掲げて示すこと)は、厚生労働省の事務連絡(2018年8月)がQ3で取り上げています。「○○大学との共同研究」等の標榜についての回答です。事務連絡は、役所が、運用上の注意などを担当者あてに伝える文書です。その原文は『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』で引いています。この事務連絡は平成30年8月8日付けで、正式な題名は「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」です。
5. メールで広告を送るとき、基準はどんな方法を挙げていますか?
連絡先の表示、頼まれず承諾も得ずに送るときの件名欄での広告であることの表示、受け取りを断る方法の表示と、断った人への送信の停止の3つです。
基準の第4の12(不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限)に置かれている定めです。
第4の12の書き出しの部分を、柱書(はしらがき)といいます。柱書はまず、広告一般について「広告に接した者に、不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現や方法を用いた広告を行ってはならない。」と定めています。
そのうえで、「特に、電子メールによる広告を行う際は、次の方法によらなければならない。」と続けます。続く(1)から(3)は、表現の中身ではなく、広告を行う際の方法として並べられています。
3つの方法が、それぞれ求めていること
- (1)連絡先の表示:「医薬品販売業者の電子メールアドレス等の連絡先」を表示すること。3つのうち、この号(項の中の小さな区切り)だけが、業態(どんな業種か)を特定して書かれています。
- (2)件名欄での表示:「消費者の請求又は承諾を得ずに一方的に」送る場合、つまり頼まれても承諾を得てもいない相手に送る場合です。そのときは、メールの件名欄に、広告である旨を表示すること。
- (3)受け取りを断る方法:2つのことを求めています。受け取りを希望しない人が、その意思を表示するための方法を表示すること。そして、意思を示した人には、電子メールによる広告を送らないことです。
例
医薬品をネットで販売するB社が、広告メールを送る場面で考えます。案内を自分から申し込んだ人に送るときと、頼まれても承諾を得てもいない人に送るときとでは、(2)のかかわり方が違います。基準の文言では、件名欄での表示を求めているのは、後者の「一方的に」送る場合です。(1)と(3)の文言には、この区別はありません。
電子メールの送信そのものを決めている法律は、薬機法の外にもあります。メールについて、このページで確かめたのは、医薬品等適正広告基準の記載だけです。
第4の12の柱書は、「行ってはならない」と「よらなければならない」という書き方です。第3の1のような、努力を求める書き方とは区別されています。
原文で確かめる(第4の12)
12 不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限
広告に接した者に、不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現や方法を用いた広告を行ってはならない。
特に、電子メールによる広告を行う際は、次の方法によらなければならない。
(1)医薬品販売業者の電子メールアドレス等の連絡先を表示すること。
(2)消費者の請求又は承諾を得ずに一方的に電子メールにより広告を送る場合、メールの件名欄に広告である旨を表示すること。
(3)消費者が、今後電子メールによる広告の受け取りを希望しない場合、その旨の意思を表示するための方法を表示するとともに、意思表示を示した者に対しては、電子メールによる広告の提供を行ってはならないこと。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の12理解の確認
ウェブのタイアップ記事を名指しした項は、医薬品等適正広告基準にありません。それは、タイアップ記事の形の広告が、基準の対象から外れるという意味ですか?
いいえ。基準は第2で、対象を「すべての媒体における広告」としています。また第4の各項は、媒体や形式ではなく、名称、製造方法、効能効果等、推せん、懸賞といった事項ごとに分かれています。第4の中で媒体の名前が文言に出てくるのは、電子メール(第4の12)、テレビ、ラジオの提供番組等(第4の13)、看板等の工作物(第4の8のただし書き)です。どれも、その媒体に固有の方法や場面を書き足した箇所です。形式の名前が無くても、事項ごとの各項と、媒体で対象を分けていない第3の責務はかかります。
根拠:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第2・第3・第4(法令確認日 2026-09-08)
Q&Aによれば、同じサイトでも、トップページに医薬品名等が無くても広告しているとみなせる場合があります。一方で、サイト内で検索しないと出てこない場合は、原則として広告に該当するとはいえないとされます。この違いは、どこから来るのですか?
見られているのが、1ページごとの表示の有無ではなく、その事業者が能動的に広告しているといえるかどうかだからです。A2は「他のページで通達において示した三つの要件(中略)を満たした広告行為が行われている場合には、当該事業者は医薬品等について広告していると見なすことができる」としています。A1は、その事業者のサイト上で検索しなければ具体的な医薬品名等が出ない場合について、「当該事業者が当該医薬品等を能動的に広告しているとはみなせず、顧客を誘因する意図が明確とは考えられない」としています。どちらの問いも、ネットで医薬品等を販売する事業者や、個人輸入代行を行う事業者のサイトを例にしています。A1には、この後にただし書きが続きます。
根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)Q1・A1・Q2・A2(法令確認日 2026-09-08)
リンク先の販売サイトが法令に違反していることと、そこへ誘導する紹介サイトが医薬品等の広告に該当することは、同じ判断ですか?
別の判断です。A5は、紹介サイトが広告に該当するかは個別具体的に判断される、としています。そのうえで、リンク先で販売や輸入代行を行う事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合などには、該当する可能性があるとしています。さらに、リンク先のサイトだけが法令違反である場合もあるとして、注意を促しています。第66条第1項も第68条も主語は「何人も」で、名宛人が限定されていません。そのため、紹介する側も名宛人になり得ます。ただし、Q5が置いている場面は、医薬品等を海外から日本国内に販売するサイトや、個人輸入代行を行うサイトを、紹介・誘導しているサイトに限られています。
根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)Q5・A5、薬機法第66条第1項・第68条(法令確認日 2026-09-08)
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- 2-6 SNSの
投稿は 化粧品の会社が、SNSで発信している人に商品を送り、投稿を頼むことがあります。だれの 広告? — 景品表示法と 薬機法で、 対象に なる 人が違う - 2-7 体験談・
口コミは 化粧品の会社が、SNSで発信する人に新商品を無料で渡し、感想の投稿を頼んだとします。誰の 表示に なる? — 2023年10月に 加わった ステルスマーケティング 告示 - 2-1 そもそも
薬機法の 化粧品の会社が、自社サイトに商品ページを作る。「広告」とは? — 判断に 使われる 3つの 条件 (3要件) - 7-8 通販の
広告と 健康食品や化粧品の通販サイトには、「特定商取引法に基づく表記」という欄がよくあります。申込み画面には、 何を 表示する? — 特定商取引法の 表示義務
- 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」第1・第2・第3・第4の8・第4の12・第4の13 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)Q1〜Q3・Q5、A1・A2・A5 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の5(2) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- アフィリエイト広告等に関する検討会 報告書(令和4年2月15日)脚注7・Ⅱの3(1) 消費者庁(2026-09-08 確認)
- 医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)Q3 厚生労働省(2026-09-08 確認)