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通信販売の表示義務 — 特定商取引法第11条は何を表示させ、第12条の6は何を加えたのか

通販ページの「特定商取引法に基づく表記」は、特定商取引法第11条と同法施行規則第23条が求めている表示です。2022年6月1日には、申込みを受ける画面そのものを縛る第12条の6と、その違反を理由とする取消権の第15条の4が加わり、表示の義務は広告の段階と申込みの段階の二段構えになりました。このページは、第11条から第15条の4までが何を表示させ、何を禁じ、違反にどの手続と罰則を置いているかを、e-Gov 法令検索の現行版の条文で確認します。条文の版IDと施行日は各所に併記します。

30秒でわかる要点

  • 通販ページに置く表示事項は、法第11条第1号から第6号までと、その第6号を受けた施行規則第23条第1号から第10号まで。表示の方法は規則第24条、一部を表示しないでよい場合は規則第25条にある。
  • 2022年6月1日からは、申込みを受ける画面にも表示義務がある(第12条の6)。表示させるのは「分量」と法第11条第1号から第5号までで、違反は第15条の4の取消権と第70条第2号の罰則に結び付いている。
  • 違反の受け皿は行政処分と罰則の2本立て。第14条の指示と公表、第15条の2年以内の業務停止命令、第70条から第74条までの罰則があり、第74条第1項の両罰規定は第70条第3号について3億円以下の罰金を置く。

通信販売にあたるのはどの取引で、表示の義務は誰に向けられているのか

法第2条第2項が通信販売を定義し、第11条以下の義務は販売業者と役務提供事業者に向けられています。第26条第1項第1号は営業として締結する契約を除いています。

「郵便等」の中身は施行規則第2条が4号に分けて定めています。

表示の義務を負うのは、通信販売をする販売業者と役務提供事業者です。買い手の側に表示の義務は置かれていません。どの取引が通信販売にあたるかは、法第2条第2項が定めています。

その定義は、販売業者又は役務提供事業者が、郵便その他の主務省令で定める方法(条文はこれを「郵便等」と呼びます)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う、商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供、というものです。ただし電話勧誘販売に該当するものは除かれています。特定商取引法は規制の対象となる取引の類型ごとに節を分けており、通信販売はそのうちの1つです。

第11条がいう「主務省令」は、第67条第4項により内閣総理大臣及び経済産業大臣が共同で発する命令とされています。これが特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)です。表示すべき事項の細目は、この省令に置かれています。

「郵便等」に何が入るか

施行規則第2条が、4号に分けて定めています。

  • 第1号:郵便又は信書便
  • 第2号:「電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」
  • 第3号:電報
  • 第4号:預金又は貯金の口座に対する払込み

消費者庁の「特定商取引法ガイド」は、通信販売の項目の下に「インターネットで通信販売を行う場合のルール」という項を置いています。

適用しないと書かれている取引

第26条第1項は、同項各号に掲げる販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについて、前三節の規定を適用しないと定めています。各号が挙げているのは次の3つです。

  • 第1号:申込みをした者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が「営業のために若しくは営業として締結するもの」に係る販売又は役務の提供
  • 第2号:本邦外に在る者に対する商品若しくは権利の販売又は役務の提供
  • 第3号:国又は地方公共団体が行う販売又は役務の提供

同じ表示に景品表示法や薬機法が重ねて働く場面の整理はどの法律で見るかにあります。本ページは特定商取引法の側だけを扱います。

広告に表示すべき事項は、どこに列挙されているのか

法第11条第1号から第6号までと、施行規則第23条第1号から第10号までです。表示の方法は規則第24条が定めています。

表示を省略できる場合は規則第25条にあり、電磁的記録による提供の技術的基準も同条に置かれています。

表示すべき事項は、2つの条文に分かれて置かれています。法第11条が第1号から第6号までを掲げ、その第6号を「前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項」としています。その主務省令が施行規則第23条で、第1号から第10号までを置いています。法律が枠を決め、省令が枠の中を書き込む形です。

次の表は、両方の条文が掲げる事項を条項ごとに並べたものです。

表1:通信販売の広告に表示すべき事項(特定商取引法第11条・同法施行規則第23条)
根拠条項表示すべき事項
法第11条第1号商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
法第11条第2号商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
法第11条第3号商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
法第11条第4号商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約に係る申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
法第11条第5号商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第15条の3第1項ただし書に規定する特約がある場合にはその内容を、第26条第2項の規定の適用がある場合には同項の規定に関する事項を含む。)
法第11条第6号前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項(内容は次の各行)
規則第23条第1号販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
規則第23条第2号販売業者又は役務提供事業者が法人であつて、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
規則第23条第3号販売業者又は役務提供事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であつて、国内にその行う事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの(以下「事務所等」という。)を有する場合には、当該事務所等の所在場所及び電話番号
規則第23条第4号法第11条第1号に定める金銭以外に購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
規則第23条第5号引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
規則第23条第6号磁気的方法又は光学的方法によりプログラム(略)を記録した物を販売する場合、又は電子計算機を使用する方法により映画、演劇、音楽、スポーツ、写真若しくは絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞させ、若しくは観覧させる役務を提供する場合、若しくはプログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、若しくは記録させる役務を提供する場合には、当該商品又は役務を利用するために必要な電子計算機の仕様及び性能その他の必要な条件
規則第23条第7号商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件又は提供条件
規則第23条第8号前四号に掲げるもののほか商品の販売数量の制限その他の特別の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件があるときは、その内容
規則第23条第9号広告の表示事項の一部を表示しない場合であつて、法第11条ただし書の書面又は電磁的記録を請求した者に当該書面又は電磁的記録に係る金銭を負担させるときは、その額
規則第23条第10号通信販売電子メール広告(法第12条の3第1項第1号の通信販売電子メール広告をいう。)をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス

表中の文言は条文から写しています。ただし、定義や読替えの括弧書きの一部を「(略)」等として省き、条番号の漢数字は算用数字に直しています。正確な文言は各条項を参照してください。各行は特定商取引に関する法律(版ID 351AC0000000057_20260812_508AC0000000064、施行日 2026-08-12)および同法施行規則(版ID 351M50000400089_20260521_508M60000402002、施行日 2026-05-21)の条文によります。

表示の方法(規則第24条)

何を書くかだけでなく、書き方についても3つの定めがあります。

  • 商品の送料を表示するときは、金額をもつて表示すること(第1号)
  • 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期は期間又は期限をもつて表示すること(第2号)
  • 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(法第15条の3第1項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)については、顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること(第3号)

一部を表示しないことができる場合(規則第25条)

第11条ただし書は、請求により書面を交付し又は電磁的記録を提供する旨を広告に表示する場合に、事項の一部を表示しないことができるとしています。規則第25条第1項と第2項は、これを2つの場合に分けて定めています。

  • 第1項:購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭を全部表示しない場合。法第11条第1号から第3号まで、第5号及び第6号に定める事項の一部を表示しないことができます。
  • 第2項:その金銭の全部を表示する場合。法第11条第2号、第3号、第5号及び第6号に定める事項の一部を表示しないことができます。

いずれの項も、括弧書きで対象から除いているものがあります。規則第23条第6号から第10号までに掲げる事項と、法第15条の3第1項ただし書に規定する特約がある場合の申込みの撤回等の可否・可能である期間その他の条件・商品又は特定権利の引取り又は返還に要する費用の負担に係る事項です。第2項はさらに規則第23条第4号も除いています。

第2項ただし書は、次の3つについて「この限りでない」としています。

  • 売買契約又は役務提供契約に係る金銭の全部又は一部の支払が商品の引渡し若しくは権利の移転又は役務の提供前である場合の、商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払時期
  • 売買契約又は役務提供契約の申込みを受けた後遅滞なく当該申込みに係る商品を送付しない場合若しくは権利を移転しない場合又は役務を提供しない場合の、法第11条第3号に掲げる事項
  • 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に販売業者がその不適合の責任を負わない場合の、販売業者の責任に関する事項

同条第3項は、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合を定めています。掲げる3つの方法により法第11条各号の事項の一部を提供する旨を表示するときは、当該事項の一部を表示しないことができるとしています。同条第4項第2号は、そのうち顧客ファイルに記録して閲覧に供する方法について、記録された時から起算して6月間、消去し、又は改変できないものであることを求めています。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

特定商取引法第11条が広告に表示させる事項は5つで、第4号が申込みの撤回・解除に関する事項、第5号が「主務省令で定める事項」。

現行

第1号から第6号までの6つ。第4号として「申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容」が置かれ、撤回・解除に関する事項は第5号、「主務省令で定める事項」は第6号になっている。第5号は売買契約だけでなく役務提供契約も対象に含む。

e-Gov 法令検索で、令和3年法律第72号の施行前の版(版ID 351AC0000000057_20220525_504AC0000000048、施行日 2022-05-25)と現行版(版ID 351AC0000000057_20260812_508AC0000000064、施行日 2026-08-12)の第11条を照合して確認(2026-09-08)。

広告の内容そのものを縛っているのは、どの条文か

法第12条です。施行規則第26条が定める事項について、著しく事実に相違する表示と、著しく優良・有利と誤認させる表示を禁じています。

資料の提出を求める第12条の2は、提出がないときに当該表示を第12条の表示に該当するものと「みなす」と定めています。

広告の内容そのものを縛るのは第12条です。第11条が「何を書くか」を求めるのに対し、第12条は「どう書いてはいけないか」を定めています。名宛人は第11条と同じく販売業者又は役務提供事業者です。

禁じられているのは2つの表示です。著しく事実に相違する表示と、実際のものよりも著しく優良であり若しくは有利であると人を誤認させるような表示です。条文が末尾で委ねている「主務省令で定める事項」は、施行規則第26条が4号に分けて定めています。

  • 商品の種類、性能、品質若しくは効能、役務の種類、内容若しくは効果又は権利の種類、内容若しくはその権利に係る役務の種類、内容若しくは効果(第1号)
  • 商品、権利若しくは役務、販売業者若しくは役務提供事業者又は販売業者若しくは役務提供事業者の営む事業についての国、地方公共団体、通信販売協会その他著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与(第2号)
  • 商品の原産地若しくは製造地、商標又は製造者名(第3号)
  • 法第11条各号に掲げる事項(第4号)

第26条第4号により、第11条が表示させる価格・支払時期・引渡時期・申込みの期間・撤回や解除に関する事項も、第12条が禁じる表示の対象事項に入っています。表示すべき事項と、誤認させてはならない事項は、ここで重なります。

第12条の2は、主務大臣が期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとし、提出がないときの効果を「みなす」と書いています。みなしが働く範囲は、第14条第1項(指示)と第15条第1項(業務の停止等)の適用に限られています。

同じ構造の規定が景品表示法第7条第2項にあり、その条文と運用指針の内容は不実証広告規制で扱っています。第12条が使う「著しく事実に相違する表示」「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」という文言と、景品表示法第5条第1号・第2号の文言との違いは優良誤認と有利誤認にあります。

申込みを受ける画面には、何を表示させることになっているのか

法第12条の6です。特定申込みを受ける画面に、分量と法第11条第1号から第5号までの事項を表示させ、誤認させる表示を禁じています。

この規定は令和3年法律第72号で新設され、2022年6月1日から施行されています。

第12条の6が表示させるのは、分量法第11条第1号から第5号までに掲げる事項です。あわせて第2項が、申込みになること自体と第1項各号の事項について、人を誤認させるような表示を禁じています。対象は広告一般ではなく、「特定申込み」を受ける場面です。

条文がいう「特定申込み」は、2つの申込みをあわせた呼び方です。1つは、事業者又はその委託を受けた者が定める様式の書面により顧客が行う通信販売の申込み。もう1つは、事業者等が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続に従つて顧客が行う申込みです。

第11条第6号(施行規則第23条の各号)は、この場面の表示事項としては挙げられていません。広告の段階で第11条が求める事項のうち、申込みの画面で改めて求められるのは第1号から第5号までです。

申込内容の確認・訂正は、別の条文にある

申込みの内容を確認し訂正できるようにしていないことは、第12条の6ではなく第14条で扱われています。第14条第1項第2号が「顧客の意に反して通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みをさせようとする行為として主務省令で定めるもの」を指示の対象に挙げています。施行規則第42条第1項は、電子契約の申込みを受ける場合において申込みの内容を顧客が操作を行う際に容易に確認し及び訂正することができるようにしていないことを、その行為として定めています。

事業者が定める様式等(申込書面や最終確認画面)に基づいて申込みの意思表示が行われる場合には、その申込み段階において、一定の事項を表示しなければならないほか、そこで誤認させるような表示を行うことも禁止されており、違反した場合には行政処分や罰則の対象となります(法第12条の6)。 また、インターネットで行う通信販売の場合には、最終確認画面において、顧客が申込みの内容を容易に確認し及び訂正することができるようにしていない場合には、顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為として、行政処分の対象となります(法第14条第1項第2号、省令第16条第1項)。

消費者庁「ガイドライン|通信販売|特定商取引法ガイド」

同じページは、申込み段階における表示の詳細な解釈について「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」を策定していると記しています。本ページはそのガイドライン本体を参照していないため、内容には触れません。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

通信販売の広告表示事項の細目は施行規則第8条、誇大広告等の禁止の対象事項は第11条、顧客の意に反して申込みをさせようとする行為は第16条第1項。

現行

同じ規定は施行規則第23条、第26条、第42条第1項にある。2023年6月1日施行の版から、通信販売の節の条番号がこの位置に動いている。

e-Gov 法令検索で、版ID 351M50000400089_20220601_504M60000402001(施行日 2022-06-01、令和4年内閣府・経済産業省令第1号)では第8条・第11条・第16条、版ID 351M50000400089_20230601_505M60000402002(施行日 2023-06-01、令和5年内閣府・経済産業省令第2号)および現行の版ID 351M50000400089_20260521_508M60000402002(施行日 2026-05-21)では第23条・第26条・第42条であることを照合して確認した。あわせて同法令(法令ID 351M50000400089)の改正沿革を取得し、施行日順の全9版のうち2022年6月1日施行の版の次が2023年6月1日施行の版で、その間に別の版が無いことを確認した(いずれも2026-09-08)。

上に引いた消費者庁のページは、2026年9月8日に閲覧した時点で「省令第16条第1項」と記しています。同じ規定は現行の施行規則では第42条第1項です。条文を引くときに版と条番号をどう確かめるかは法令・通知の読み方、ほかの分野で同じ種類の食い違いが起きている箇所は古い理解の一覧にまとめています。

承諾を得ていない相手への電子メール広告・ファクシミリ広告は、どう扱われているか

法第12条の3と第12条の5が、承諾を得ない送信を原則として禁じ、承諾・請求の記録の作成と保存を求めています。

記録の保存期間は施行規則第30条第2項が3年間と定めています。

承諾を得ていない相手への送信は、電子メール広告が第12条の3、ファクシミリ広告が第12条の5で、いずれも原則として禁じられています。まず電子メール広告から見ます。

第12条の3第1項は、通信販売をする場合の販売条件・提供条件について、その相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならないと定め、次の3つの場合を除いています。

  1. 相手方となる者の請求に基づき、通信販売電子メール広告をするとき(第1号)
  2. 申込みをした者又は契約を締結した者に対し、主務省令で定める方法により当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合において、主務省令で定めるところにより通信販売電子メール広告をするとき(第2号)
  3. 通常その提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合(第3号。施行規則第29条が2つの場合を挙げています)

第2項は、提供を受けない旨の意思の表示を受けた相手方への送信を禁じています。その後に改めて請求を受け又は承諾を得た場合は、ただし書で除かれています。

記録の作成と保存(第3項)

第3項は、通信販売電子メール広告をするときは「第一項第二号又は第三号に掲げる場合を除き」、承諾を得又は請求を受けたことの記録として主務省令で定めるものを作成し、主務省令で定めるところによりこれを保存しなければならないとしています。記録の内容は施行規則第30条第1項が定めています。同条第2項は「相手方に対し通信販売電子メール広告を行つた日から三年間保存しなければならない」としています。

受信拒否のための表示(第4項)

第4項も同じく「第一項第二号又は第三号に掲げる場合を除き」、第11条各号に掲げる事項のほか、相手方が提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項として主務省令で定めるものを表示しなければならないとしています。その事項は施行規則第31条が2号に分けて定めています。受信拒否ができる電子メールアドレス又は同等の符号等を、当該通信販売電子メール広告の本文に容易に認識できるように表示しなければならないとされています。

業務を一括して委託したとき

第12条の3第5項は、承諾・請求を受ける業務、記録を作成し保存する業務、受信拒否のための事項を表示する業務の全てを一括して他の者に委託しているときは、その委託に係る通信販売電子メール広告について第3項と第4項を適用しないとしています。委託を受けた者(条文はこれを「通信販売電子メール広告受託事業者」と呼びます)自身の義務は第12条の4にあります。同条第2項が第12条の3第2項から第4項までを準用したうえで、同条第3項及び第4項中「第一項第二号又は第三号」とあるのは「次条第一項第二号」と読み替えるものとしています。

ファクシミリ広告

ファクシミリ広告については、第12条の5が第1項から第4項まで同旨の規定を置いています。第1項が承諾を得ない送信を3つの場合を除いて禁じ、第2項が提供を受けない旨の意思の表示を受けた相手方への送信を禁じ、第3項と第4項が第1項第2号又は第3号に掲げる場合を除いて記録の作成・保存と受信拒否のための事項の表示を求める、という構造です。ただし、第12条の3第5項に相当する一括委託による不適用の項と、第12条の4に相当する受託事業者についての条は、置かれていません。

申込みを受けた後について、条文が求めているのは何か

求めているのは3つです。法第13条の承諾等の通知、商品・特定権利の売買契約についての法第15条の3の8日間、法第15条の4の取消権です。

第15条の3の8日間は、広告に特約を表示していた場合をただし書で除いています。

申込みを受けた後について条文が置いているのは3つです。第13条の承諾等の通知、第15条の3の8日間、第15条の4の取消権です。順に見ます。

承諾等の通知(第13条)

第13条第1項は、商品の引渡し等に先立って代金の全部又は一部を受領する通信販売についての規定です。郵便等により申込みを受け、かつ代金の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、申込みを承諾する旨又は承諾しない旨その他の主務省令で定める事項を書面で通知しなければならないとしています。ただし書は、受領後遅滞なく商品を送付し、権利を移転し、又は役務を提供したときを除いています。第2項は、申込みをした者の承諾を得て電磁的方法により提供することを認め、その場合は書面による通知をしたものとみなすとしています。

通知すべき事項は施行規則第37条が定めています。

  • 申込みを承諾する旨又は承諾しない旨(第1号)
  • 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号(第2号)
  • 受領した金銭の額及びそれ以前に受領した金銭があるときはその合計額(第3号)
  • 当該金銭を受領した年月日(第4号)
  • 申込みを受けた商品名及びその数量又は権利若しくは役務の種類(第5号)
  • 申込みを承諾するときは、その商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期(第6号)

8日間(第15条の3)

起算日は、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日です。ここで押さえておきたいのは条文が挙げている契約の範囲で、第15条の3第1項が挙げているのは商品又は特定権利の売買契約であり、条文は役務提供契約を挙げていません。名宛人も「通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者」と書かれており、役務提供事業者は入っていません。第11条・第12条・第12条の6が販売業者と役務提供事業者の双方を名宛人にしているのとは、条文の書き方が異なります。

ただし書がいう「広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法」は、施行規則第44条が定めています。顧客が申込みとなる操作を行うための表示において、顧客にとつて見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する方法とされています。第15条の3第2項は、申込みの撤回等があった場合の商品の引取り又は返還に要する費用を購入者の負担としています。

取消権(第15条の4)

第15条の4第1項は、特定申込みをした者に取消権を置いています。第12条の6第1項に違反する不実の表示または不表示、および第12条の6第2項各号の表示によって各号に定める誤認をし、それによって特定申込みの意思表示をしたときに、これを取り消すことができるという内容です。第2項は第9条の3第2項から第5項までを準用しています。

表示義務に違反したとき、条文はどの手続と罰則を置いているか

法第14条の指示と公表、法第15条の業務停止命令、そして法第70条から第74条までの罰則です。第74条は法人への両罰規定です。

第68条により、これらの事務の一部は政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができます。

受け皿は行政処分と罰則の2本立てです。行政処分は第14条の指示(と公表)および第15条の業務停止命令、罰則は第70条から第74条までに置かれています。

指示と公表(第14条)

第14条第1項が挙げている違反は、第11条、第12条、第12条の3(第5項を除く)、第12条の5、第12条の6、第13条第1項又は第13条の2の規定に違反した場合と、同項各号の行為をした場合です。これらの場合において、通信販売に係る取引の公正および購入者等の利益が害されるおそれがあると認めるときに、是正のための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができるとしています。第3項と第4項は、指示をしたときはその旨を公表しなければならないとしています。

業務の停止等(第15条・第15条の2)

期間は2年以内で、指示に従わないときも命令の理由に挙げられています。第15条第3項は、通信販売電子メール広告受託事業者に対する業務停止を1年以内としています。第15条第4項・第5項は、命令をしたときの公表を定めています。

第15条の2第1項は、業務の停止を命ずる場合について、人に対する禁止命令を置いています。範囲に入るのは次の者です。

  • 販売業者等が法人であれば、その役員及び使用人並びに命令の日前1年以内にその役員・使用人であつた者
  • 販売業者等が個人であれば、その使用人及び命令の日前1年以内にその使用人であつた者

このうち、当該命令の実効性を確保するためにその者による通信販売に関する業務を制限することが相当と認められる者として主務省令で定める者に対し、当該停止を命ずる範囲の業務を新たに開始することの禁止を命ずることができるとしています。施行規則第43条は、この「主務省令で定める者」を「法第十五条第一項前段の規定により停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしている者」としています。

罰則(第70条から第74条まで)

表2:通信販売の表示に関する違反について罰則章が定める法定刑
根拠条項対象となる違反法定刑
第70条第2号第12条の6第1項に違反して表示をせず、又は不実の表示をしたとき3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)
第70条第3号第15条第1項から第3項まで、第15条の2第1項・第2項等の命令に違反したとき3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)
第71条第2号第14条第1項又は第2項の規定による指示に違反したとき6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(併科あり)
第72条第1項第1号第12条に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示をしたとき100万円以下の罰金
第72条第1項第4号第12条の6第2項に違反して、同項各号に掲げる表示をしたとき100万円以下の罰金
第72条第1項第5号第13条第1項に違反して通知しなかったとき100万円以下の罰金
第72条第2項同条第1項第2号の罪を犯した者が、その提供した電子メール広告において第11条等に違反して表示せず、又は第12条に違反する表示をしたとき1年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金(併科あり)
第74条第1項法人の代表者等が、その法人の業務に関して違反行為をしたとき(両罰規定)第70条第3号は3億円以下、第70条第1号・第2号は1億円以下、第71条から第73条までは各本条の罰金刑

各行は特定商取引に関する法律(版ID 351AC0000000057_20260812_508AC0000000064、施行日 2026-08-12)第70条から第74条までの条文によります。第11条の違反そのものは、罰則章では第72条第2項が挙げる電子メール広告の場合を除いて掲げられておらず、第14条の指示と第15条の命令の対象として置かれています。

権限を持つのは誰か

これらの権限を持つ「主務大臣」は第67条第1項が定めています。第67条第3項は、消費者庁の所掌に係る権限を消費者庁長官に委任するとしています。第68条は、この法律に規定する主務大臣の権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができるとしています。

理解の確認

同じ表示事項でありながら、法第11条とは別に第12条の6が置かれているのは、両者が働く場面がどう違うからか。

第11条は販売条件・提供条件についての広告に向けられた義務で、第12条の6は特定申込みを受ける書面又は画面に向けられた義務です。広告を見る場面と申込みの意思表示をする場面は別なので、申込みの場面では分量と第11条第1号から第5号までを改めて表示させています。第11条第6号(施行規則第23条の各号)はこの場面の表示事項には挙げられておらず、広告の側の義務として残ります。違反の受け皿も別で、第12条の6は第15条の4の取消権と第70条第2号の罰則に結び付いています。

根拠:特定商取引法第11条、第12条の6第1項、第15条の4第1項、第70条第2号/同法施行規則第23条(法令確認日 2026-09-08)

広告に申込みの撤回等についての特約を表示していたかどうかが、第15条の3第1項の8日間が働くかどうかを分けるのは、条文がどう組み立てられているからか。

第15条の3第1項は本文で、商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまで申込みの撤回等ができるとし、ただし書で、販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合はこの限りでないとしています。法定の8日間は、特約の表示が無いときに働く既定値として置かれているわけです。だから第11条第5号が撤回・解除に関する事項を広告の表示事項に挙げ、施行規則第24条第3号が「見やすい箇所において明瞭に判読できるように」という表示の方法まで定めています。電子消費者契約に該当する場合等は、広告への表示に加えて規則第44条の方法による表示も求められます。

根拠:特定商取引法第15条の3第1項、第11条第5号/同法施行規則第24条第3号・第44条(法令確認日 2026-09-08)

第12条の2により求められた資料が提出されず、その表示が第12条に規定する表示に該当するものとみなされたとき、そのみなしはどこまで働くか。

条文は、みなしが働く範囲を第14条第1項(指示)と第15条第1項(業務の停止等)の規定の適用についてと書いており、この2つの規定に限られています。資料の提出を求める仕組みが、行政処分をするかどうかを主務大臣が判断するために置かれているからです。第72条第1項第1号は第12条に違反する表示に100万円以下の罰金を置いていますが、罰則の適用はみなしの範囲に入っていません。

根拠:特定商取引法第12条の2、第14条第1項、第15条第1項、第72条第1項第1号(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第2条第2項、第11条から第15条の4まで、第26条第1項、第67条、第68条、第70条から第74条まで。参照した版は 351AC0000000057_20260812_508AC0000000064(施行日 2026-08-12)。改正前との対照には 351AC0000000057_20220525_504AC0000000048(施行日 2022-05-25)を用いた e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)第2条、第23条から第26条まで、第29条から第31条まで、第37条、第42条から第44条まで。参照した版は 351M50000400089_20260521_508M60000402002(施行日 2026-05-21、令和8年内閣府・経済産業省令第2号による改正)。条番号の異動の確認には 351M50000400089_20220601_504M60000402001(施行日 2022-06-01)および 351M50000400089_20230601_505M60000402002(施行日 2023-06-01)と、同法令の改正沿革(施行日順に全9版)を用いた e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • ガイドライン|通信販売|特定商取引法ガイド(消費者庁)。本ページが引用したのはこの索引ページの記載であり、同ページが策定を挙げる「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」本体は参照していない 消費者庁(2026-09-08 確認)