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モール・プラットフォームでは誰が責任を負うか — 取引デジタルプラットフォーム提供者に置かれた条文と、薬機法の要請

モールに出品したとき、条文の主語は法律ごとに違います。薬機法第66条第1項は「何人も」、景品表示法第5条は「事業者」、特定商取引法第11条は「販売業者又は役務提供事業者」。場を提供する側を正面から扱うのは取引DPF法(令和3年法律第32号)で、提供者に置かれているのは努力義務、行政ができるのは要請です。このページは、同法の条文と、薬機法が送信防止措置の要請の相手方として挙げる「特定電気通信役務提供者」を確認します。

30秒でわかる要点

  • 主語は法律ごとに違う。薬機法第66条第1項と第68条は「何人も」、景品表示法第5条は「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について」、特定商取引法第11条は「販売業者又は役務提供事業者は」。場そのものを提供する側を主語に置いているのは、取引DPF法(令和3年法律第32号)第3条第1項です。
  • 提供者に置かれているのは努力義務、行政にできるのは要請。取引DPF法第3条第1項は3つの措置を「講ずるよう努めなければならない」と書き、第4条第1項は利用の停止その他の必要な措置を「要請することができる」と書いています。第4条第2項は要請をした旨の公表、第5条第1項は消費者から提供者への開示請求です。
  • 薬機法が場の提供者に触れるのは「特定電気通信役務提供者」という語で、送信防止措置の要請2組だけ。第66条第1項又は第68条に違反する広告についての第72条の5第2項と、指定薬物等に係る違法広告についての第76条の7の2第3項です。前者は2027年5月20日から第72条の6第2項になります。

モールに出品したとき、それぞれの法律は誰を主語にしているか

条文の主語は法律ごとに違います。薬機法第66条第1項は「何人も」、景品表示法第5条は「事業者」、特定商取引法第11条は「販売業者又は役務提供事業者」です。

場を提供する側を主語に置いた条は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)にあります。

1つの出品ページには、複数の法律の条文が同時にかかります。どの条文が誰にかかるかを決めているのは、条文の主語です。主語は宛名書きにあたり、そこに書かれていない者には、その条文は向いていません。

表1は、モールでの通信販売に関係する条文が主語に置いている語を、原文の表記のまま並べたものです。取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)は、以下このページでは「取引DPF法」と書きます。

表1:モールでの通信販売に関係する条文が、主語に置いている語
条文主語に置かれている語(原文)出典
薬機法 第66条第1項何人も医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条第1項
薬機法 第68条何人も同法第68条
景品表示法 第5条事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条柱書
景品表示法 第22条第1項事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について同法第22条第1項
特定商取引法 第11条・第12条販売業者又は役務提供事業者は特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第11条柱書・第12条
取引DPF法 第3条第1項取引デジタルプラットフォーム提供者は取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)第3条第1項柱書
取引DPF法 第4条第1項内閣総理大臣は(要請の相手方は取引デジタルプラットフォーム提供者)同法第4条第1項
薬機法 第72条の5第2項厚生労働大臣又は都道府県知事は(要請の相手方は特定電気通信役務提供者)薬機法第72条の5第2項

確認した版は、薬機法と景品表示法が2026年5月21日施行版、特定商取引法が2026年8月12日施行版(版ID 351AC0000000057_20260812_508AC0000000064)、取引DPF法が2025年6月1日施行版(版ID 503AC0000000032_20250601_504AC0000000068)です。

薬機法の「何人も」と、景品表示法の「自己の供給する」という限定の違いは規制されるのは誰かで扱っています。3つの法律の重なりと執行主体はどの法律で見るか、景品表示法第5条第1号と第2号の書き分けは優良誤認と有利誤認にあります。

出品ページに表示する事項そのものは通信販売の表示義務にあります。ここでは繰り返しません。

「デジタルプラットフォーム」という語が置かれている法律

表1のうち、条文に「デジタルプラットフォーム」という語を使っているのは取引DPF法だけです。薬機法・景品表示法・特定商取引法の現行条文に、この語は出てきません(3法の e-Gov 現行版の全文を2026年9月8日に検索して確認)。

薬機法が場の提供者に触れるのは、「特定電気通信役務提供者」という別の語によってです。この語を名宛人としている条は、現行の薬機法に2組あります。

  • 第66条第1項又は第68条に違反する広告についての、第72条の5第2項と第72条の6
  • 指定薬物等に係る違法広告についての、第76条の7の2第3項と第76条の7の3

2組の条文は、同じ「特定電気通信役務提供者に対して、当該送信を防止する措置を講ずることを要請することができる」という書き方をしています。本ページで扱うのは1組目で、指定薬物に関する2組目は扱いません。

「取引デジタルプラットフォーム」と「販売業者等」は、どう定義されているか

取引DPF法第2条が定義しています。同条第4項の「販売業者等」からは、提供者が自ら販売する場合が除かれています。

同法第1条は、対象を特定商取引法第2条第2項に規定する通信販売に係る取引としています。

定義は第2条にまとまっています。第1項の書き方は入れ子です。外側の「デジタルプラットフォーム」という枠を別の法律の定義から借り、内側で、その場が持つ機能によって範囲を絞ります。

絞り込みに使われている機能は2つです。第1号は、消費者が画面に表示される手続に従って送信することで、申込みの意思表示を行うことができる機能。第2号は、競りその他の政令で定める方法により、契約の相手方となるべき消費者を決定する手続に参加することができる機能です。

提供者の側は第2項が定義しています。「事業として」「単独で又は共同して」取引デジタルプラットフォームを提供する者が当たります。

「消費者」と「販売業者等」

この2つの語も第2条にあります。どちらも括弧書きで範囲を狭めている点が共通しています。

第3項の「消費者」は個人に限られ、商業、工業、金融業その他の事業を行う場合は除かれます。第4項の括弧書きは、自らが提供する取引デジタルプラットフォームを利用して販売又は役務の提供を行う場合を、「販売業者等」から除いています。「特定権利」の意味は、特定商取引法第2条第4項から借りています。

対象になる取引

対象となる取引の範囲は第1条に書かれています。同条は、この法律が「取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売(特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第二条第二項に規定する通信販売をいう。以下同じ。)に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進」に関し提供者の協力を確保することを目的とすると定めています。

括弧書きが引いている特定商取引法第2条第2項の通信販売は、次のとおりです。

販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないもの

特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第2条第2項

要点

取引DPF法は、場を提供する者と、その場で売る者とを別の語で定義し、別の条で扱っています。提供者が自ら売る分は「販売業者等」から除かれます(第2条第4項)。

取引デジタルプラットフォーム提供者には、どのような措置が求められているか

第3条第1項が3つの措置を「講ずるよう努めなければならない」と定め、第2項が講じた措置の概要及び実施の状況の開示を定めています。

第3項は、内閣総理大臣がこれらの措置の適切かつ有効な実施に資するために必要な指針を定めるものとしています。

提供者に向けられた条は第3条です。第1項は3つの措置を挙げ、それらを「講ずるよう努めなければならない」と書いています。求められている強さは、この語尾に出ています。

3つの号は、向いている先が異なります。第1号は消費者と販売業者等の間の連絡、第2号は表示について消費者から苦情の申出を受けた場合の調査その他の措置、第3号は販売業者等に対する情報提供の求めです。

第2号だけは、条文に要件が書き込まれています。対象は「販売条件又は役務の提供条件の表示」で、消費者から苦情の申出を受けた場合であることが要件です。

第2項は、内閣府令で定めるところにより、第1項に基づき講じた措置の概要及び実施の状況その他の内閣府令で定める事項を、消費者に開示するものとしています。

第3項および第4項は、内閣総理大臣がこれらの措置について「その適切かつ有効な実施に資するために必要な指針」を定めるものとし、定め又は変更したときは遅滞なく公表しなければならないとしています。指針の本文は本ページでは扱いません。

条文の語尾

同じ法律の中でも語尾が書き分けられています。第3条第1項は「努めなければならない」、第2項は「開示するものとする」、第3項は「定めるものとする」、第4条第1項は「要請することができる」です。

指針を定めて事業者の措置を促す仕組みは、景品表示法にも置かれています。同法第22条第1項は、事業者に「景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置」を講じなければならないと定め、第2項は内閣総理大臣が指針を定めるものとしています。同項が並べている2つの事項のうち、本ページで関係するのは後段の表示に関する事項です。景品表示法側の内容は優良誤認と有利誤認で扱っています。

行政はプラットフォームに対して何ができると書かれているか

取引DPF法第4条第1項と薬機法第72条の5第2項が、いずれも「要請することができる」と定めています。命令ではありません。

これに対し薬機法第72条の5第1項は、違反した者に対して「命ずることができる」という書き方です。

場を提供する側に対して行政ができるのは、取引DPF法でも薬機法でも「要請」までです。取引DPF法第4条第1項も薬機法第72条の5第2項も、語尾は「要請することができる」と書かれています。

取引DPF法第4条第1項は、表示が2つの要件のいずれにも該当し、消費者の利益が害されるおそれがあると認めるときに、利用の停止その他の必要な措置をとることを要請できるとしています。

2つの要件は、見ている先が違います。第1号は表示の内容についての要件、第2号は表示をした販売業者等の側の事情についての要件です。第1号の「重要事項」は内閣府令に委ねられています。

第2項は、要請をしたときにその旨を公表することができるとしています。第3項は、要請を受けて措置をとった場合に、その措置により販売業者等に生じた損害について提供者は賠償の責任を負わないとしています。

薬機法の側

薬機法は第72条の5に、性質の違う2つの手段を並べています。

第1項は第66条第1項又は第68条に違反した者に対する命令の規定で、語尾は「命ずることができる」です。第2項は、違反する広告である特定電気通信による情報の送信があるときに、特定電気通信役務提供者に対して送信を防止する措置を講ずることを求めるもので、語尾は「要請することができる」です。

第1項が命ずる内容と名宛人、および要請を受けて措置を講じた場合の損害賠償責任の制限を定める第72条の6は、第72条の5 措置命令が条文とともに扱っているので、ここでは繰り返しません。本ページで引くのは、要請の相手方が誰かを書いている第2項です。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務運営の改善命令になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

この項が要請の相手方として置いている「特定電気通信役務提供者」は、括弧書きのとおり、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第4号の定義を借りたものです。

同じ語を使う要請の規定は、指定薬物等に係る違法広告についても第76条の7の2第3項に置かれ、その場合の損害賠償責任の制限が第76条の7の3にあります。本ページは、第66条第1項・第68条に違反する広告の側だけを扱います。

薬機法第72条の5第2項は、過去の版と文言が異なります。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

送信防止措置の要請の対象は、第68条に違反する広告だけ。条文上の呼称は「承認前の医薬品等に係る違法広告」。引用されている法律の題名は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)」で、特定電気通信役務提供者は同法第2条第3号。

現行

対象は第66条第1項又は第68条に違反する広告で、条文はこれを「特定違法広告」と呼ぶ。引用されている法律の題名は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)」で、特定電気通信役務提供者は同法第2条第4号。

古い側は、日本法令外国語訳データベースシステムが掲載する薬機法(最終更新 平成27年法律第50号)の日本語条文の第72条の5。現行側は e-Gov 法令検索の薬機法2026年5月21日施行版(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)第72条の5第2項。引用先の法律の法令番号は平成13年法律第137号のまま変わっておらず、現行の題名は e-Gov 法令検索の法令ID 413AC0000000137 で確認できます。どの改正によって題名と号番号の差が生じたかは確認できていません。

条文と食い違う古い記述の一覧は古い理解の一覧にあります。

消費者は、販売業者の情報の開示を求められると書かれているか

第5条第1項が開示請求を定めています。自己の債権を行使するために販売業者等情報の確認を必要とする場合に限られます。

その債権は、金銭の支払を目的とし、かつ、その額が内閣府令で定める額を超えるものに限られます。

求められると書かれています。ただし条文は、請求できる場面を重ねて狭めています。債権の種類(金銭の支払を目的とするもの)、その額(内閣府令で定める額を超えるもの)、販売業者等情報の確認を必要とする場合であること。さらにただし書が、不正の目的による請求を除いています。

請求をする消費者は、内閣府令で定めるところにより、次の3つを記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を提出し、又は提供しなければならないとされています(第2項)。

  1. 当該請求に係る販売業者等情報の確認を必要とする理由
  2. 当該請求の対象となる販売業者等情報の項目
  3. 開示を受けた販売業者等情報を第1項ただし書に規定する不正の目的のために利用しないことを誓約する旨

第3項は、提供者の側の手続です。請求が第1項本文の要件に該当し、かつ、ただし書に規定する不正の目的によるものでないと思料するときは、提供者は、当該販売業者等と連絡することができない場合を除き、開示するかどうかについて当該販売業者等の意見を聴かなければならないとされています。

情報が動く向きは、条によって違います。第5条は消費者から提供者への開示請求、第3条第1項第3号は提供者から販売業者等への情報提供の求めで、後者は「講ずるよう努めなければならない」措置の1つです。

第5条第1項の「内閣府令で定める額」と「内閣府令で定めるもの」の内容は、本ページでは扱いません。

この法律は、行政と事業者の間にどんな仕組みを置いているか

官民協議会(第6条・第7条)と、何人もできる内閣総理大臣への申出(第10条)です。庶務は消費者庁が処理します。

この法律による権限は、第3条第3項・第4項、第6条第1項及び第7条第1項によるものを除き、消費者庁長官に委任されます(第11条)。

この法律は、行政と事業者が向き合う場を2つ置いています。1つは官民協議会(第6条・第7条)、もう1つは、何人もできる内閣総理大臣への申出(第10条)です。

官民協議会

第6条第1項は、内閣総理大臣が取引デジタルプラットフォーム官民協議会を組織するものとしています。構成員として条文が挙げているのは、内閣総理大臣、国の関係行政機関、取引デジタルプラットフォーム提供者を構成員とする団体、独立行政法人国民生活センター、地方公共団体及び消費者団体です。

第2項は、必要があると認めるときに、学識経験を有する者その他の官民協議会が必要と認める者を構成員として加えることができるとしています。

第7条第1項は、官民協議会が必要な情報を交換し、消費者の利益の保護のための取組に関する協議を行うとともに、内閣総理大臣に対し、取引の適正化及び紛争の解決の促進に関する施策に関し意見を述べるものとしています。

第3項は、必要があると認めるときに、構成員に対し、情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができるとしています。第4項は「官民協議会の庶務は、消費者庁において処理する」と書いています。

第8条は、官民協議会の事務に従事する者およびかつて従事していた者に、事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないという義務を課しています。

誰でもできる申出

第10条第1項の主語は、薬機法第66条第1項と同じく「何人も」です。

何人も、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)第10条第1項

第2項は、申出があったときは内閣総理大臣が必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならないとしています。

権限の所在

この法律による権限は、第3条第3項及び第4項、第6条第1項並びに第7条第1項の規定によるものを除き、消費者庁長官に委任されます(第11条)。この法律の実施のため必要な手続その他施行に関し必要な事項は、内閣府令に委ねられています(第12条)。

薬機法・景品表示法・健康増進法・医療法が重なる場面で、どの役所がどの条文で動くかはどの法律で見るかで扱っています。違反の端緒がどこから入るかは違反はどう見つかるかにあります。

理解の確認

取引DPF法第2条第4項が、「販売業者等」の定義に、提供者が自らその場を利用して販売や役務の提供を行う場合を除く括弧書きを置いているのは、この法律の条文構造のどこから来るか。

この法律は、場を提供する者(第2条第2項の取引デジタルプラットフォーム提供者)と、その場で売る者(第4項の販売業者等)を別の語で定義し、別の条で扱っています。第3条第1項第3号は提供者が販売業者等に情報の提供を求める措置、第4条第1項は提供者に対して販売業者等の利用の停止等を要請する仕組みで、いずれも両者が別人であることを前提にしています。提供者が自ら売る場合は同じ者になってこの前提が成り立たないため、括弧書きが「販売業者等」から除いています。除かれるのはこの法律の中の語の範囲であって、表1に並べた他の条文の主語(薬機法第66条第1項・第68条の「何人も」など)が動くわけではありません。

根拠:取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)第2条第2項・第4項、第3条第1項第3号、第4条第1項(2025年6月1日施行版。法令確認日 2026-09-08)

取引DPF法第4条第1項の要請が、表示が第1号(著しく事実に相違する表示など)に当たるだけでは行えず、第2号も満たす必要があるとされているのはなぜか。

第1号は表示の内容についての要件、第2号は表示をした販売業者等の側の事情についての要件で、見ている先が違います。第2号は、販売業者等が特定できないこと、その所在が明らかでないことその他の事由により、その者によって表示が是正されることを期待することができないことを求めています。表示をした本人に是正させられる場面ではこの要件が欠け、場を提供する側へ利用の停止等を求める道には進みません。加えて第4条第1項の語尾は「要請することができる」で、命令ではありません。

根拠:取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)第4条第1項第1号・第2号(2025年6月1日施行版。法令確認日 2026-09-08)

薬機法第72条の5が、第1項では「命ずることができる」、第2項では「要請することができる」と語尾を書き分けているのは、両項の名宛人のどんな違いによるか。

第1項の名宛人は第66条第1項又は第68条に違反した者、つまり広告を行った本人です。第2項の名宛人は特定電気通信役務提供者で、これは特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第4号の定義を借りた語であり、違反する広告の送信が流れている場の側を指します。名宛人が違反した者本人か、その情報が流れている場の側かという違いに、命令と要請の書き分けが対応しています。場を提供する側に薬機法が触れるのはこの送信防止措置の要請の局面で、第66条第1項・第68条そのものの主語は「何人も」のままです。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第72条の5第1項・第2項(2026年5月21日施行版。法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号)第1条・第2条・第3条・第4条・第5条・第6条から第12条まで e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2025年6月1日施行版・版ID 503AC0000000032_20250601_504AC0000000068)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条第1項・第68条・第72条の5・第72条の6・第76条の7の2・第76条の7の3 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2026年5月21日施行版・版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第72条の5・第72条の6・第72条の7・第76条の7の2 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条・第22条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2026年5月21日施行版・版ID 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048)
  • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第2条第2項・第2条第4項・第11条・第12条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2026年8月12日施行版・版ID 351AC0000000057_20260812_508AC0000000064)
  • 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第1号・第4号・第5号 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(最終更新 平成27年法律第50号)第72条の5の日本語条文 日本法令外国語訳データベースシステム(2026-09-08 確認)