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違反はどう見つかるか — 4系統の端緒

「違反はどう見つかるか」の答えは、一つの条文にはありません。端緒は4つの系統に分かれます。薬機法第69条が置く報告命令・立入検査・収去、消費者庁と厚生労働省がそれぞれ結果を公表している監視と買上調査、分野ごとに置かれた通報窓口、そして厚生労働省の委託事業によるモニター報告です。このページは、それぞれがどの条文・指針・公表資料に書かれているのかを、出典を付けて確認します。

30秒でわかる要点

  • 端緒は4系統に分かれる。薬機法第69条の立入検査・収去、消費者庁のインターネット監視と厚生労働省の買上調査、分野ごとに置かれた通報窓口、厚生労働省の委託事業によるモニター報告です。法令がこの4つに分類しているのではなく、条文と行政の公表資料に書かれている仕組みを並べたものです。
  • 立入検査を行うのは薬事監視員で、その権限は犯罪捜査のためのものではない。第69条第1項から第6項までの職権は、第76条の3により命じられた薬事監視員が行います。第69条第9項は、第1項から第7項までの権限を犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと定めています。収去できるのは、試験のため必要な最少分量に限られます。
  • 見つけた機関は、そこで終わりにしない。監視指導の指針 第4の2(3)は、健康増進法及び景品表示法に違反が疑われる表示を発見した場合に、景品表示法の主管課室へ情報提供するよう求めています。薬機法第76条の3の3は、第十三章の権限行使について関係機関が情報交換を行い、緊密に連携することを定めています。

違反の端緒は、どの系統から生じるのか

立入検査・収去、行政による能動的な監視、外部からの通報、委託事業によるモニターの4系統です。本ページは、各系統の根拠となる条文と公表資料を示します。

法令がこの4つに分類しているわけではなく、条文と行政の公表資料に書かれている仕組みを並べたものです。

端緒の系統が違えば、動く主体も、見ている対象も、公表される内容も変わります。

条文が権限として書いているのは、立入検査と収去です。監視や調査の中身は条文の側にはなく、行政が公表する資料に書かれています。通報の受け皿は、分野ごとに別々の窓口として置かれています。

以下では、この4つを順に見ます。

表1:本ページで扱う4系統
系統動く主体見ている対象根拠・出典
1 立入検査・収去厚生労働大臣・都道府県知事等が命じた薬事監視員(独立行政法人医薬品医療機器総合機構、麻薬取締官・麻薬取締員に行わせる場合がある)構造設備、帳簿書類その他の物件、従業員その他の関係者への質問、疑いのある物の収去薬機法 第69条・第69条の2・第76条の3・第76条の3の2
2 行政による監視・買上調査消費者庁(インターネット監視)、厚生労働省(インターネット販売製品の買上調査)検索エンジンで検索した商品のサイトの表示、販売されている製品そのもの健康増進法第65条第1項に係る監視(令和8年9月4日 消費者庁公表資料)/厚生労働省「インターネット販売製品の買上調査」の結果公表ページ
3 外部からの通報・情報提供医療機関ネットパトロール、厚生労働省の再生医療等情報提供・通報窓口、消費者庁および公正取引委員会の地方事務所等通報された医療機関のウェブサイト、再生医療等の提供、景品表示法違反の被疑情報厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」/同「再生医療等情報提供・通報窓口」/消費者庁「景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口」
4 委託事業によるモニター厚生労働省の委託事業で選定されたモニター医療機関と、一般報告の窓口製薬企業の販売情報提供活動、広告資材医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月)

4つの系統は、条文と行政の公表資料に書かれている仕組みを当ページで並べたものです。法令がこの4つに分類しているわけではありません。行1は薬機法の権限、行2のうち消費者庁のインターネット監視は健康増進法第65条第1項に係る監視であって薬機法の執行ではありません。系統ごとの根拠は、以下の各節で示します。

行政は、どの権限で製品や帳簿を確かめるのか

薬機法第69条が、報告・立入検査・質問・収去の権限を定めています。うち第1項から第6項までの職権は、第76条の3により命じられた薬事監視員が行います。

同条第9項は、これらの権限を犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと定めています。

製品や帳簿を確かめる権限は、薬機法第69条にまとまっています。第十三章「監督」の冒頭に置かれた「立入検査等」の条文です。

第69条は1か条ですが、中は相手方ごとに引き出しが分かれています。どの引き出しに書かれているかで、名宛人が誰か、収去(物を持ち帰ること)が含まれるかどうかが変わります。

第1項が製造販売業者・製造業者等、第2項が薬局開設者・販売業者等、第3項が薬局開設者・地域連携薬局等の開設者、第4項が輸入しようとする者又は輸入した者、第5項が課徴金対象行為者等、第7項が登録認証機関を対象としています。収去を含むのは第4項と第6項です。

収去の対象は、項によって違います。第6項が収去できるのは「第七十条第一項に規定する物に該当する疑いのある物」です。第70条第1項は、廃棄、回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずることができる物を列挙した規定で、第55条・第56条・第65条などに規定する医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品が並びます。

第4項の収去は、相手方も対象も別です。相手方は、輸入しようとする者若しくは輸入した者又は第56条の2第1項に規定する確認の手続に係る関係者です。収去できるのは、同条第1項に規定する物に該当する疑いのある物です。いずれの項も「試験のため必要な最少分量に限り」としています。

職権を行うのは誰か

条文が挙げているのは第69条第1項から第6項までで、第7項(登録認証機関に対する立入検査・質問)は列挙に含まれていません。

機構・麻薬取締官に行わせる場合

第69条の2は、第69条の権限のうち一部を、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に行わせることができるとしています。厚生労働大臣について挙げられているのは、第69条第1項若しくは第7項の規定による立入検査若しくは質問と、同条第6項の規定による立入検査、質問若しくは収去のうち政令で定めるものです。

都道府県知事について同条第2項が挙げているのは、第69条第1項の規定による立入検査若しくは質問と、同条第6項の規定による立入検査、質問若しくは収去のうち政令で定めるものです。同条第3項は、機構がその結果を厚生労働大臣又は都道府県知事に通知しなければならないと定めています。

第76条の3の2(麻薬取締官及び麻薬取締員による職権の行使)は、第69条第4項の職権と、第55条の2に規定する模造に係る医薬品に該当する疑いのある物に係る第69条第6項の職権などを、麻薬取締官又は麻薬取締員に行わせることができるとしています。

身分証明書と、犯罪捜査との書き分け

手続の面では、第69条第8項が、立入検査・質問・収去をする場合に身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときはこれを提示しなければならないと定めています。

権限の性質については、第69条第9項が次のように書いています。

第一項から第七項までの権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第69条第9項

要点

権限の範囲を第69条が、その担い手を第76条の3が、権限の性質の限界を第69条第9項が、それぞれ別に書いています。

令和7年法律第37号による2027年5月20日施行版の条文でも、第69条と第76条の3の条番号は変わらず、第69条第9項の文言も同じです。ただし上に引いた第69条第6項の本文は同日から変わり、名宛人に「登録受渡業者」が、立入先に「登録受渡店舗」が加わります(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)。

見つかったあとに用意されている命令・処分・罰則の一覧は、薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルートで扱います。

行政は、自分から探しに行っているのか

行っています。消費者庁は検索エンジンで検索した商品のサイトを目視で確認する監視を四半期ごとに、厚生労働省は販売製品の買上調査を年度ごとに公表しています。

直近の公表は令和8年9月4日で、令和8年4月から6月までの監視結果です。

消費者庁は、健康増進法第65条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれのある表示について、インターネット監視を行っています。令和8年9月4日に公表された資料は、監視期間を令和8年4月から6月までとし、検索方法を次のように書いています。

一般的な検索エンジンを用いて、キーワードによる検索の上、検索された商品のサイトを目視により確認。

インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和8年4月~6月)(令和8年9月4日、消費者庁)別紙「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視状況」1.監視方法

この監視で、インターネットにおいて健康食品等を販売している117事業者による126商品の表示に、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある文言等が確認され、当該事業者に対して表示の改善指導が行われました。

事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者に対しても指導を行った旨が通知され、表示の適正化について協力が依頼されています。公表資料は、商品区分ごとの商品数と、表示されていた健康保持増進効果等を列挙しています。

表2:令和8年4月~6月の監視で改善指導の対象となった商品数(商品区分別)
商品区分商品数
生鮮食品(農産物、水産物)3
加工食品(農産加工品等)23
飲料等(茶、コーヒー及び飲料水)5
いわゆる健康食品(カプセル、錠剤、顆粒状等)95

出典:令和8年9月4日 消費者庁公表資料 3.表示されていた健康保持増進効果等(一部)。区分名と商品数は同資料の表記によります。同資料は区分ごとに、表示されていた健康保持増進効果等を具体的に列挙しています。

表3:直近のインターネット監視結果(改善指導件数)
監視期間事業者数商品数
令和7年4月~6月139140
令和7年7月~9月142155
令和7年10月~12月152170
令和8年1月~3月156176
令和7年度 合計589641
令和8年4月~6月117126

出典:令和8年9月4日 消費者庁公表資料 4.直近のインターネット監視結果。同資料は改善指導件数と改善件数を並べて示しており、令和7年度の各期は事業者数・商品数とも両者が同数です。令和8年4月~6月の改善件数は「ー」と記載されています。同資料は四半期ごとに公表され、公表のたびにPDFのファイル名が変わります。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

消費者庁のインターネット監視の結果として行われるのは「改善要請」である。

現行

直近の公表資料は、表題も本文も「改善指導」と書いています。問合せ先として記載されているのは、消費者庁 表示対策課ヘルスケア表示指導室です。

根拠:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和8年4月~6月)(令和8年9月4日、消費者庁)の表題・本文および問合せ先の記載。名称が変わった時期は当ページでは確認していません。

健康増進法第65条第1項の内容と、勧告・命令の手続は健康増進法第65条 — 誇大表示の禁止と勧告・命令で扱います。Web上の表示が薬機法の広告としてどう見られるかはWebは全部広告かで扱います。

製品そのものを買って調べる調査

厚生労働省は、「インターネット販売製品の買上調査」の結果を年度ごとに公表しています。公表ページには平成23年度分から令和6年度分まで14件が並びます。公表日は、令和6年度分が令和8年3月31日、令和5年度分が令和7年6月30日、令和4年度分が令和7年1月31日です。

公表ページは各年度の結果へのリンクと公表日を並べたもので、調査の方法や根拠条文は書かれていません。当ページでは各年度の結果本体を確認していません。

食品として販売されている物が医薬品に当たるかどうかの判断の枠組みは、昭和62年9月22日 薬監第88号(最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)の別添「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」にあります。同マニュアルは、その物の成分本質(原材料)、形状、効能効果、用法用量等を総合的に判断するとしています。

外部からの通報は、どこで受け付けられているのか

分野ごとに別の窓口です。医療広告は医療機関ネットパトロール、再生医療等は厚生労働省の情報提供・通報窓口、景品表示法は消費者庁のフォームが受け付けます。

再生医療等の窓口は匿名での通報を受け付ける一方、医療機関の広告・Webサイト・SNS等の表示は受付の対象外としています。

通報の受け皿は、一つにまとまっていません。扱う分野ごとに、別の機関が別の窓口を置いています。

医療機関のウェブサイト

厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページは、「相談・通報窓口」の欄に「医療機関のウェブサイトにうそや大げさな表示があったら、情報をお寄せください。」と書き、「医療機関ネットパトロール 通報フォーム」を置いています。

同じ欄は、医療に関する広告についての相談は医療機関を所管する自治体の窓口へ、契約内容や解約条件など契約についての相談は消費者ホットライン188へ案内しています。医療広告の規制そのものは医療広告規制はなぜ限定列挙なのかで扱います。

再生医療等

再生医療等については、別の窓口が置かれています。厚生労働省の「再生医療等情報提供・通報窓口」は、再生医療等に関する法令違反や患者保護上の懸念が疑われる事例の情報提供を受け付けるとし、提供された情報を「再生医療等の適正な実施状況の把握や、必要な監督・指導等の参考として活用します」と書いています。

原則として個別の回答・返信は行わず、調査の有無や結果の公表等についても個別には答えないとされています。匿名での通報も可能とされています。

表4:再生医療等情報提供・通報窓口が挙げている例
区分ページに挙げられている例
法令違反が疑われる事例再生医療等提供計画が未提出と思われる/認定再生医療等委員会の審査を受けていない疑いがある/再生医療等提供計画の記載と異なる方法で再生医療等を実施している/厚生労働大臣又は地方厚生局長の指導に従っていない
安全性上の懸念がある事例重篤な健康被害が発生したとの情報がある/感染症対策や品質管理に問題が疑われる/細胞の採取・加工・投与に関する安全管理上の問題
その他特定細胞加工物等の取扱いに関する懸念/再生医療等に関する不適切な事案/患者保護の観点から確認が必要と思われる情報
この窓口が受付の対象外としているもの公益通報/医療機関の広告・Webサイト・SNS等の表示に関する情報/医療費返還等の個別民事紛争/診療内容に対する医学的評価依頼/明らかな誹謗中傷

出典:厚生労働省「再生医療等情報提供・通報窓口」【重要】通報の前にご確認ください(2026-09-08 確認)。最下行は、この窓口が受け付ける範囲の説明であって、規制の適用範囲を示すものではありません。同ページは、医療広告違反に関する情報提供は「医療機関ネットパトロール」へ、公益通報に該当する場合は公益通報に関する情報へ、契約トラブルや高額請求などの消費者問題については消費者ホットライン(188)へと案内しています。

再生医療等の提供側に課されている手続と、医療機関の側の広告の規律は医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律で扱います。

景品表示法の情報提供と、事業者からの報告

景品表示法については、消費者庁が「景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口」を公表しています。オンラインでは「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」のほか、ステルスマーケティングに関するフォーム、携帯電話に関するフォームが分けて置かれています。

郵送又は電話による情報提供は消費者庁 表示対策課 情報管理担当が受け付け、公正取引委員会の地方事務所等(北海道・東北・中部・近畿中国四国の各事務所、中国支所、四国支所、九州事務所、内閣府沖縄総合事務局)でも情報提供を受け付けるとされています。同ページは「御提供いただいた情報に基づく措置結果や調査経過については、お答えしておりません」と書いています。

事業者の側から報告する経路も、同じページに置かれています。景品表示法第9条に基づく事実の報告(自主報告)について、消費者庁は様式と記載要領を示し、直接持参・書留郵便等・メールの3つの提出方法を挙げています。

提出先は消費者庁のみです。公正取引委員会や各都道府県に報告書を提出しても、同条に基づく報告としては認められないとされています。

医療現場からの報告を集める仕組みは、どうなっているのか

厚生労働省の委託事業で、選定されたモニター医療機関が製薬企業の販売情報提供活動を月1回程度報告し、モニター以外の医療機関等からは一般報告の窓口が受け付けます。

平成28年度に医療用医薬品を対象とした広告監視モニター制度として構築され、一般報告の窓口は令和元年10月から運用されています。

医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業は、厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課の委託事業です。

令和8年3月の報告書によれば、厚生労働省が全国の医療機関からモニターとなる医療機関を抽出・選定して協力を要請します。モニターは、入手した広告資材・販売情報提供活動等の内容を記録し、適切性に疑義のあるものを月に1回程度、事務局へ報告します。悪質性が高いと判断した情報は即時報告とされています。

モニター医療機関の名称は秘匿情報とされ、所在する地域・特性等も秘匿情報とされています。

モニター以外の医療機関等からの報告

報告書は、この事業が平成28年度に医療用医薬品を対象とした広告監視モニター制度として構築され、令和元年度から、モニター医療機関以外の医療関係者からの報告を広く受け付ける体制としたと書いています。この一般報告制度により、モニター医療機関以外の全国の医療機関等からも広く不適切と疑われる事例を受け付けるとされています。

周知の主な対象者は、医療機関等に勤務する医師・薬剤師です。窓口は事務局に置かれ、報告は記録を残すため原則としてメールで受け付け、報告様式と記載要領を窓口からダウンロードして提出する形式です。

事例の悪質性の判断には、3つの項目が設けられています。

  1. 法律違反が明確であるもの
  2. 保健衛生上の危害の発生が強く予想されるもの
  3. 問題行為が広範に行われていることが強く予想されるもの
表5:令和7年度の報告件数
区分対象期間報告が行われた延べ医薬品数うち違反が疑われた延べ医薬品数違反が疑われた延べ項目数
モニター報告9か月9件6件11件
一般報告12か月14件8件12件
(参考)令和6年度のモニター報告9か月18件18件23件

出典:医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月)図表9および図表13。同報告書は「違反が疑われた延べ項目数」について、年度ごとに分類上の項目の追加・修正を行っているため単純な比較はできないと注記しています。

報告された内容の内訳

令和7年度のモニター報告で違反が疑われた項目は、「エビデンスのない説明を行った」が4件(違反が疑われた延べ11項目の36.4%)で最も多く、次いで「有効性のみを強調した(副作用を含む安全性等の情報提供が不十分な場合も含む)」が2件(同18.2%)でした。

違反が疑われた医薬品に関する情報の入手方法は、「製薬企業担当者(直接対面)」が3件(違反が疑われた延べ6医薬品の50.0%)で最も多く、「製薬企業担当者(メール・電話)」と「製薬企業担当者(オンライン・Webグループ面談(院内))」がそれぞれ1件(同16.7%)でした。

報告書は、事例検討会で不適切と判断された疑義報告の取扱いについて、広く一般に公表されている広告資材の場合は厚生労働省や都道府県から指導等を行うことを想定したと書いています。モニター医療機関が特定される可能性がある場合等については、企業名・医薬品名を匿名化したうえで報告書に不適切事例として掲載し、注意喚起することとされています。

報告書は、適切性に疑いがあってもモニター医療機関の特定につながりかねない等の判断により、事例集に非掲載としたものがあるとも書いています。

一つの表示を見つけた機関は、そこで終わりにするのか

終わりにしないとされています。監視指導の指針は、発見した機関が他法令の主管課室へ情報提供し、地方厚生局と連携することを求めています。

薬機法第76条の3の3も、第十三章の権限行使について情報交換と緊密な連携協力を定めています。

指針と条文の両方が、発見した機関から他の機関へ情報を渡すことを書いています。見つけた機関が自分の法律の範囲だけで処理を終える造りにはなっていません。

食品の広告 — 指針が書いている情報の行き先

食品として販売される物の広告については、消費者庁の「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号。以下「指針」)が、発見の局面まで書いています。

指針 第4の1は、食品衛生監視員が食品衛生法に基づく食品衛生監視の際に健康増進法第65条に違反する表示を発見する機会が多いとしたうえで、健康増進法の主管課室に対し、食品衛生監視員への周知徹底と、密接な情報共有を求めています。健康増進法第66条第3項が同法第61条を準用しており、健康保持増進効果等の表示がされた食品についての立入検査及び収去の事務は、食品衛生監視員の事務とされています。

指針 第4の2(2)は、都道府県、保健所設置市及び特別区が発見等した違反又は違反が疑われる表示に対する勧告等の施行事務について、「これまで消費者庁表示対策課食品表示対策室及び地方厚生局で一元的に行ってきたところ」と書いています。そのうえで、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第51号)の施行により、平成28年4月1日以降は都道府県並びに保健所設置市及び特別区においても勧告等の施行事務を行うこととなったとしています。

同項はさらに、各都道府県等が違反又はその疑いのある表示を発見した場合に、その区域を管轄する地方厚生局と密接な連携を図ることを求めています。域内厚生局は、表示をした者の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方厚生局と情報交換等を行うとされています。

同 第4の2(3)は、健康増進法及び景品表示法に違反が疑われる表示を発見した場合に、消費者庁及び都道府県における景品表示法の主管課室へ情報提供するよう求めています。一つの表示に複数の法律が重なる構造そのものは、健康増進法第65条で扱います。

薬機法の側に置かれている規定

薬機法の側にも、同じ趣旨の規定が第十三章の末尾に置かれています。

緊急時の分担も条文にあります。第81条の2は、第69条第2項および第72条第4項により都道府県知事の権限に属するものとされている事務について、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合には、厚生労働大臣又は都道府県知事が行うものとし、その場合は相互に密接な連携の下に行うと定めています。

都道府県等の間で運用をすり合わせる場も置かれています。平成30年8月8日 事務連絡「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」は、平成29年度に実施された全国医薬品等広告監視協議会の協議結果に基づいて作成されたもので、各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)薬務主管課あてに発出されています。

事前に行政へ相談する窓口はあるのか

あります。東京都は、監視指導や事前相談の充実により広告の適性化(原文ママ)を図っていると、広告規制のページに書いています。

同じページは、不適正な広告を未然に防止するには広告主自身による自主的な確認と、広告媒体業者等による審査体制の充実が必要だとしています。

東京都保健医療局の「医薬品等の広告規制について(医薬品医療機器等法)」のページは、医薬品医療機器等法及び関連品の広告・表示に関する規制について、具体的な事例をあげて紹介するページだと自らを説明しています。

同ページは、都の取組と、広告主・広告媒体業者の側に必要なこととを次のように書いています。

最近の健康志向の高まりの中、医薬品医療機器等法の認識不足等により、虚偽・誇大な広告・表示をしたものが見受けられます。本都においては監視指導や事前相談の充実により広告の適性化を図っているところです。しかしながら、不適正広告等を未然に防止するためには、広告主自身による自主的な確認や広告媒体業者等による審査体制の充実が必要となります。

東京都保健医療局「医薬品等の広告規制について(医薬品医療機器等法)」(「適性化」は原文の表記のまま)

同じページには、「ネットオークションやフリマアプリを利用して出品された医薬品の購入などについて」「不適表示・広告例又は解説(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器)」「医薬品等広告講習会 資料」「令和8年度医薬品等広告講習会開催のお知らせ」が並んでいます。

ページには更新日として2021年3月4日が表示されていますが、掲載項目には令和8年度の講習会開催の案内が含まれています。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

東京都で医薬品等の広告を扱うのは、福祉保健局の課である。

現行

このページは東京都保健医療局のもとに置かれ、問い合わせ先も「保健医療局」と表示されています。

根拠:東京都保健医療局「医薬品等の広告規制について(医薬品医療機器等法)」のページ内の所属表示および問い合わせ先の記載(2026-09-08 確認)。組織再編の時期は当ページでは確認していません。

ここで引いたのは東京都のページの記載です。窓口の名称や事前相談の受け方は自治体ごとに置かれており、他の自治体では運用が異なる場合があります。窓口の使い分けは別ページで扱います。

理解の確認

行政の立入検査を受ける立場にあることは、その場で製品を収去され得ることを当然に意味するか。

意味しない。第69条は1か条の中で項ごとに相手方が分かれており、収去を含むのは第4項と第6項に限られる。収去できる物も項ごとに違い、第6項は第70条第1項に規定する物に該当する疑いのある物、第4項は第56条の2第1項に規定する物に該当する疑いのある物で、いずれも試験のため必要な最少分量に限られる。立入検査の相手方であることと、収去の相手方であることは、同じ条文の中で別々に決まる。

根拠:薬機法第69条第4項・第6項、第70条第1項、第56条の2第1項(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21、法令確認日 2026-09-08)

本ページが並べる4系統の端緒は、いずれも薬機法にもとづく執行と読んでよいか。

読めない。4系統は法令がそう分類しているのではなく、条文と行政の公表資料に書かれている仕組みを当ページで並べたもので、根拠となる法律が系統ごとに違う。立入検査・収去は薬機法第69条の権限だが、消費者庁のインターネット監視は健康増進法第65条第1項に係る監視であって薬機法の執行ではない。通報の受け皿も、医療広告・再生医療等・景品表示法と分野ごとに別の機関が別の窓口を置いており、動く主体と根拠がそろっていない。

根拠:薬機法第69条(法令確認日 2026-09-08)/インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和8年4月~6月)(令和8年9月4日、消費者庁)1.監視方法

厚生労働省の再生医療等情報提供・通報窓口が医療機関のウェブサイト等の表示を受付の範囲から外していることは、その表示が規制の外に置かれていることを意味するか。

意味しない。同ページの一覧は、その窓口が受け付ける情報の範囲を説明したものであって、規制の適用範囲を示すものではない。現に同ページは、医療広告違反に関する情報提供を「医療機関ネットパトロール」へ、公益通報を公益通報に関する情報へ、契約トラブルや高額請求を消費者ホットライン(188)へと案内しており、受け皿が分野ごとに分かれているだけである。窓口の守備範囲と、法令の守備範囲は別の話になる。

根拠:厚生労働省「再生医療等情報提供・通報窓口」【重要】通報の前にご確認ください(2026-09-08 確認)/同「医療法における病院等の広告規制について」相談・通報窓口

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第69条・第69条の2・第70条・第76条の3・第76条の3の2・第76条の3の3・第81条の2(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版(令和7年法律第37号による改正後。版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第69条・第76条の3 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導について(令和8年4月~6月)(令和8年9月4日、消費者庁 表示対策課ヘルスケア表示指導室)消費者庁(2026-09-08 確認)
  • 食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)(令和2年4月1日一部改正 消表対第431号)第4の1、第4の2(2)、第4の2(3) 消費者庁(2026-09-08 確認)
  • 健康増進法(平成14年法律第103号)第61条・第65条・第66条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 「インターネット販売製品の買上調査」の結果について(厚生労働省)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 無承認無許可医薬品の監視指導について(昭和62年9月22日 薬監第88号、最終改正 平成27年4月1日 薬食監麻発0401第3号)別添「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」Ⅰの2 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省 医政局)「相談・通報窓口」の欄 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 再生医療等情報提供・通報窓口(厚生労働省)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口(消費者庁 表示対策課)消費者庁(2026-09-08 確認)
  • 医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月、厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課 委託事業)1.事業の概要、図表9、図表13 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)本文および宛先 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等の広告規制について(医薬品医療機器等法)(東京都保健医療局)東京都保健医療局(2026-09-08 確認)