製品 卸売供給 選ばれる理由 サポート 製造施設 安全体制 技術資料 ニュース 会員申請
会員ログイン お問い合わせ

違反広告の措置命令では、何を命じられる? — 第72条の5(中止・再発防止・公示)

医療機器を扱うA社が、自社サイトに出していた広告を、すでに取り下げたとします。それでも行政から、措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)を受けることはあるのでしょうか。薬機法第72条の5は、2つの広告の違反に対する措置命令を定めています。虚偽・誇大な広告(うそや大げさな広告。第66条第1項)と、国の承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)を受ける前の広告(第68条)です。命令は、違反した広告をやめた後でもできます。このページでは、命令の中身と相手、ネット広告への要請、従わないときの罰則、2027年5月20日に変わる条番号を、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • 命じられるのは、中止・再発防止・公示(広く一般に知らせること)など:措置命令の対象は、第66条第1項(虚偽・誇大広告)か第68条(承認前の広告)に違反した者です。命じることができるのは、厚生労働大臣又は都道府県知事です。
  • 広告をやめた後でも、命令はできる:条文は、違反行為がすでになくなっている場合の相手を4つ挙げています。違反行為をした者、合併後の法人、分割で違反に係る事業を引き継いだ法人、その事業を譲り受けた者です。
  • 命令に違反すると、罰則がある:命令に違反した者の刑は、2年以下の拘禁刑、200万円以下の罰金、またはその両方です(第85条第6号)。拘禁刑は、刑務所などに入れる刑です。この措置命令の条番号は、2027年5月20日に第72条の6へ繰り下がります。

1. 措置命令では、何を命じられるのですか?

違反した行為の中止、同じ行為の再発を防ぐために必要な事項、又はこれらに関連する公示(広く一般に知らせること)その他の措置です。

命じることができるのは厚生労働大臣又は都道府県知事で、相手は第66条第1項か第68条に違反した者などです(広告をやめた後の相手は3.)。

命じる中身として、第72条の5第1項は、次の3つを「又は」で結んでいます。

  • その行為の中止:違反した広告をやめること
  • 再発を防ぐために必要な事項:同じ行為が再び行われないようにするために、必要な事項
  • 公示その他の措置:これらの実施に関連する公示など、公衆衛生上の危険の発生を防ぐのに足りる措置

3つ目は「公示その他……措置」という形なので、公示はそこに挙がった例の1つです。「公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる」という限定も、この3つ目に付いています。

公示について、条文は「これらの実施に関連する公示」と書いています。公示の方法、媒体、期間は、第72条の5の条文の中には書かれていません。

条文の文末は「命ずることができる」です。命じなければならない、という書き方ではありません。

例

A社が、医療機器について、うそや大げさな広告をまだ出している場面で考えます(冒頭の、取り下げた後の話は3.の節)。第66条第1項に違反するとされれば、措置命令の対象になり得ます。

原文で確かめる(第72条の5第1項)

上の3つは、条文の「その行為の中止、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置」の部分です。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置の命令(現行の第72条の4)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

違反に対して薬機法が用意しているのは、措置命令だけではありません。全体の流れは、『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』にまとめています。業許可(製造や販売を仕事として行うために、国や都道府県から受ける許可)そのものへの処分は、『6-3 業務停止や許可の取消しは、どの条文で決まる?』で扱います。業務の停止や許可の取消しが、これにあたります。

2. 措置命令の条文は、どの違反を挙げているのですか?

第72条の5第1項が挙げるのは、第66条第1項(虚偽・誇大広告)と第68条(承認前の広告)の2つです。

第66条第2項は、医師などが効能などを保証したと誤解されるおそれがある記事の広告などを、第1項にあたるものとしています。

第72条の5第1項は「第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反した者に対して」と書き出しています。広告に関する条文はほかにもありますが、この項が条番号を挙げているのは、この2つだけです。

表1:広告に関する各条を、第72条の5第1項が掲げているかどうか
条文第72条の5第1項の掲げ方根拠
第66条第1項(誇大広告等)掲げられている薬機法第72条の5第1項
第66条第2項(医師その他の者が保証したものと誤解されるおそれがある記事)掲げられていない薬機法第72条の5第1項
第66条第3項(堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画)掲げられていない薬機法第72条の5第1項
第67条(特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限)掲げられていない薬機法第72条の5第1項
第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)掲げられている薬機法第72条の5第1項

出典:薬機法第72条の5第1項(e-Gov 法令検索、2026-09-08 確認)。第72条の5第1項が条番号を掲げているかどうかだけを並べたもので、各条の内容や、各条の違反に置かれた罰則とは別です。条見出しは e-Gov 法令検索の表示によります。

第66条第2項の記事は、第1項にあたるものとされる

表1では、第66条第2項は「掲げられていない」側にあります。ただし第66条第2項は、ある種の記事の広告などを、第1項にあたるものとしています。医師その他の者が効能などを保証したと誤解されるおそれがある記事です。

このため、第2項にあたる記事も、第66条第1項の違反として、措置命令の対象になり得ます。

原文の言い回しを見る(第66条第2項)

第66条第2項が対象とする製品は、医薬品、医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)、化粧品、医療機器又は再生医療等製品です。同項は、これらの効能、効果又は性能について「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする」と定めています。

挙げられていない条文にも、罰則はある

挙げられていないことは、その条文の違反に罰則などが置かれていない、という意味ではありません。第66条第1項・第3項、第67条、第68条の違反には、それぞれ罰則の条文が別に置かれています(第85条は7.の節、第86条第1項は下の例)。措置命令の対象に挙げられた条文と、罰則の側が挙げる条文とは、範囲が一致していません。

例

表1で、第67条の行を見てみます。第67条は、特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限です。この行は「掲げられていない」です。

一方で、罰則の側を見ると、第86条第1項第17号があります。第67条の規定に基づく厚生労働省令(厚生労働大臣が定める命令)の定める制限その他の措置に、違反したときの規定です。刑は、1年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、またはその両方です。

原文の言い回しを見る(第86条第1項)

第86条第1項の柱書(号に分かれる前の本文)は「一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(併科は、両方を科すこと)と定めています。

3. 広告をやめた後でも、措置命令はできるのですか?

できます。条文は、違反行為がすでになくなっている場合の命令の相手を、第1号から第4号(号は、条文の中の箇条書き)に挙げています。

違反行為をした者のほか、合併後の法人、分割で違反に係る事業を引き継いだ法人、その事業を譲り受けた者です。

命令の中身には、中止のほかに、再発を防ぐために必要な事項と、公示その他の措置が入っています(1.の節)。中止だけを命じるものなら、広告をやめた時点で、命じる中身がなくなります。再発防止に必要な事項と公示は、やめた後にも残ります。

そのうえで、第1項の後段(後半の文)が、命令の相手を定めています。条文は「その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、次に掲げる者に対し、することができる。」です。挙げられている相手は、表2の4つです。

表2:第72条の5第1項が命令の相手方として掲げる者
号条文の文言
第1号当該違反行為をした者
第2号当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
第3号当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
第4号当該違反行為をした者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者

出典:薬機法第72条の5第1項各号(e-Gov 法令検索、2026-09-08 確認)。条文の文言をそのまま引いたものです。

表2の読み方です。第1号は、違反行為をした本人です。第2号と第3号は、違反行為をした者が法人(会社など)である場合です(条文では「当該違反行為をした者が法人である場合において」)。

  • 第2号:法人が合併で消滅したときの、合併後に存続する法人、又は合併で新しく設立された法人
  • 第3号:その法人から、分割によって、違反に係る事業の全部又は一部を引き継いだ法人
  • 第4号:違反行為をした者から、違反に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者。法人であることは条件になっていません

第3号と第4号には、「当該違反行為に係る事業」という限定が付いています。第2号には、この限定がありません。

例

冒頭のA社が取り下げた医療機器の広告が、第66条第1項に違反するとされた場面で考えます。A社自身が、第1号(違反行為をした者)として、命令の相手になり得ます。

その後、A社がB社との合併で消滅し、B社が存続したなら、B社が第2号により、命令の相手になり得ます。A社が、その医療機器の事業をC社に譲った場面なら、C社が第4号により、命令の相手になり得ます。

この4つの相手は、第72条の5第1項にだけ置かれていて、同条第2項にはありません(4.の節)。

4. ネット上の違反広告について、条文は何を定めていますか?

第2項は、第66条第1項か第68条に違反する広告の送信があるとき、送信を防ぐ措置を要請できると定めています。相手は、特定電気通信役務提供者(別の法律が定める、ネット上の発信の場を提供する者など)です。

第2項の文言は「命ずる」ではなく「要請することができる」です。

第1項の措置命令は、違反した者などに向けたものでした。第2項の相手は、条文が「特定電気通信役務提供者」と呼ぶ事業者です。ウェブサイトやSNSでの発信と、その場を提供する事業者を思い浮かべると、わかりやすいでしょう。ただし正確な意味は、別の法律の定義によります。

引かれているのは、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)の第2条第1号と第2条第4号です。

第2項は、第66条第1項又は第68条に違反する広告を「特定違法広告」と呼んでいます。この広告の送信があるとき、厚生労働大臣又は都道府県知事は、送信を防止する措置を講ずるよう要請できます。

例

A社が、承認前の医療機器を紹介する広告を、あるSNSに投稿していた場面で考えます。この投稿が第68条に違反する広告なら、第2項の要請が問題になり得ます。

そのSNSの運営会社が特定電気通信役務提供者にあたれば、要請の相手になり得ます。

原文で確かめる(第72条の5第2項)

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置の命令(現行の第72条の4)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

送信を止めた事業者の賠償責任(第72条の6)

「特定違法広告」という語を使う先が、次の第72条の6(損害賠償責任の制限)です。事業者が、特定違法広告の送信を防ぐ措置を講じた場合の定めです。

その措置で送信を止められた情報の発信者に、損害が出ることがあります。第72条の6は、一定の場合には、事業者は賠償の責めに任じない(賠償する責任を負わない)と定めています。その場合とは「当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものであるとき」です。

要請を受けて措置を講じた場合と、要請によらずに措置を講じた場合(「その他の……講じた場合」)の両方が、この定めの対象です。「発信者」の意味は、同じ法律の第2条第5号を引いて定められています。

原文で確かめる(第72条の6)

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の7 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の6 は違反広告に係る措置命令等(現行の第72条の5)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

5. 措置命令は、だれが出すのですか?

条文の主語は「厚生労働大臣又は都道府県知事」です。第69条第2項は、この「都道府県知事」を市長又は区長と読み替える(置き換えて読む)場合を定めています。

読み替えるのは、薬局、店舗販売業(店舗で一般向けの医薬品を売る業)、一部の医療機器の販売業・貸与業が、保健所を設置する市又は特別区(東京23区)にある場合です。

第72条の5の第1項と第2項は、どちらも「厚生労働大臣又は都道府県知事は」で始まります。

「都道府県知事」が市長・区長になる場合

「都道府県知事」については、法律自身が読替え(別の語に置き換えて読むこと)を定めています。第69条第2項の柱書(号に分かれる前の本文)にある括弧書きです。

括弧書きは、同じ読替えをする条文を「において同じ」として並べています。その中に第七十二条の五が入っています。

読替えが起きるのは、次の業種について、その薬局・店舗・営業所が、保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合です。このとき「都道府県知事」は、市長又は区長になります。

  • 薬局
  • 店舗販売業
  • 高度管理医療機器等(高度管理医療機器又は特定保守管理医療機器)を売る業・貸す業(販売業・貸与業)
  • 管理医療機器(特定保守管理医療機器を除く)を売る業・貸す業

高度管理医療機器や管理医療機器は、リスクの程度で分けた医療機器の区分です。

例

ある薬局が、保健所を設置する市にある場面で考えます。この場合、第72条の5の「都道府県知事」は、括弧書きの読替えにより、その市の市長になり得ます。

原文で確かめる(第69条第2項の括弧書き)

事務の位置づけ:第81条の3は、第72条の5などの事務を、第一号法定受託事務としています。地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する区分です。第81条の3第1項が挙げるのは「規定により都道府県が処理することとされている事務」です。その規定は、第21条、第69条第1項・第4項・第6項・第7項、第69条の2第2項、第70条第1項・第3項、第71条、第72条第3項、第72条の5などです。同条第2項は、第72条の5などの規定により「保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務」を挙げています。

関連する条文(第81条・第81条の4)

どちらも、厚生労働大臣の権限や事務の一部を、ほかの者が行えるようにする定めです。

第81条は「この法律に規定する厚生労働大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長が行うこととすることができる」と定めています。

第81条の4第1項は「この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる」と定めています。

6. 厚生労働省が公表した措置命令の資料には、何が書かれていますか?

厚生労働省は2025年11月7日の報道発表資料で、家庭用医療機器の広告について、第72条の5第1項に基づく措置命令を行ったと公表しています。

この資料では、命令の内容そのものは、本文ではなく別紙(PDF)に置かれています。

資料の題名は「医薬品医療機器等法に基づく行政処分を行いました」です。この資料では、薬機法を「医薬品医療機器等法」と呼んでいます。

資料の本文には、ある事業者が、家庭用医療機器について、虚偽又は誇大な広告を行っていたことが確認された、と書かれています。認証(国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めること)を受けた使用目的又は効能だけでなく、他の病気にも効果があるかのような広告です。

そのうえで、厚生労働省は、この事業者に対し、第72条の5第1項に基づく措置命令を別紙のとおり行った、と書いています。

原文で確かめる(報道発表資料の本文)

同資料の本文は、次のように書いています(事業者名・製品名は省略します)。

(前略)認証を受けた使用目的又は効能だけでなく、他の疾病にも効果を有するかのような虚偽又は誇大な広告を行っていたことが確認されました。

このことについて、厚生労働省は、本日付けで、同社に対し医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第72条の5第1項の規定に基づく措置命令を別紙のとおり行いましたので、お知らせします。

医薬品医療機器等法に基づく行政処分を行いました(2025年11月7日、厚生労働省報道発表資料)本文

本文には、その医療機器の一般的名称・定義・使用目的又は効果が、参考として併記されています。照会先は「医薬局 監視指導・麻薬対策課」と記載されています。

この資料は、厚生労働省の報道発表資料の月別の一覧に載っています。2025年11月分の一覧では、「2025年11月7日(金)掲載」の項目として並んでいます。一覧のURLは月ごとに分かれています。

7. 措置命令に従わないと、どうなるのですか?

第85条第6号は、命令に違反した者を、2年以下の拘禁刑(刑務所などに入れる刑)、200万円以下の罰金、またはその両方に処すと定めています。

法人に科されるのは、第90条の両罰規定(違反した人だけでなく、その人が属する会社も罰する決まり)により、第85条の罰金刑です。

措置命令を受けたのに従わないことは、それ自体が罰則の対象です。根拠は第85条第6号です。

併科とは、拘禁刑と罰金の両方を科すことです。刑の種類が拘禁刑になったのは、2025年6月1日からです。よく見かける説明との違いは、次のとおりです。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

措置命令に従わない場合は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」。

現行

第85条の柱書は「二年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」です。刑種は拘禁刑で、併科の定めが置かれています。

根拠:薬機法第85条(e-Gov 法令検索、2026-09-08 確認)。刑種は、刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)による改正が2025年6月1日に薬機法へ反映されたことによります(e-Gov 法令検索(沿革))。

広告の違反そのものとは、別の号

同じ第85条は、広告の違反そのものも挙げています。第4号が「第六十六条第一項又は第三項の規定に違反した者」、第5号が「第六十八条の規定に違反した者」です。

命令に従わないこと(第6号)と、その前提になった広告の違反(第4号・第5号)は、別々の号として並んでいます。命令に従わないことは、命令が出た後にしか起きません。行為も時点も別です。

例

冒頭のA社が、うそや大げさな広告を出し、その後に措置命令を受けた場面で考えます。広告を出したことは、第4号の対象になり得ます。命令に従わなければ、そのことが第6号の対象になり得ます。

会社への罰金と、課徴金(違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金)

課徴金の納付命令は、第75条の5の2にあります。措置命令との関係は、この条文の側に書かれています。

同条第3項第1号が挙げるのは、第72条の4第1項(業務の運営の改善に必要な措置の命令)又は第72条の5第1項の命令をする場合です。この場合、課徴金の納付を命じないことができるとしています。ただし、保健衛生上の危害の発生や拡大に与える影響が、軽微だと認められる場合に限ります。

原文の言い回しを見る(第75条の5の2第3項第1号)

同条第3項第1号は「第七十二条の四第一項又は第七十二条の五第一項の命令をする場合(保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合に限る。)」には、課徴金の納付を命じないことができると定めています。

法人(会社など)に対する罰金刑は、第90条の両罰規定が定めています。第85条は同条第2号に挙がっていて、法人に科されるのは「各本条の罰金刑」(ここでは第85条の罰金刑)です。

両罰規定の内容と、課徴金の算定率・下限額は『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』で扱っています。課徴金の計算と手続は、『6-6 薬機法の課徴金は、どう計算される?』で扱います。

8. 2027年5月20日から、条番号はどう変わりますか?

措置命令の規定は第72条の5から第72条の6へ、損害賠償責任の制限は第72条の6から第72条の7へ繰り下がります。空いた第72条の5には、別の規定が入ります。

繰り下げは、薬機法などを改正する法律(令和7年法律第37号)によるものです。

2027年5月20日に施行(法律の決まりが効力を持ち始めること)される改正で、第72条の5の周りの番号が、次のように動きます。

  • 違反広告に係る措置命令等:第72条の5 → 第72条の6
  • 損害賠償責任の制限:第72条の6 → 第72条の7
  • 業務の運営の改善に必要な措置の命令:第72条の4 → 第72条の5

直感的なポイント

条番号は、建物の部屋番号に似ています。部屋の付け替えが起きると、同じ番号の部屋に、別の住人が入ります。条番号だけを引いた文章は、付け替えの日を境に、指す先が変わります。

措置命令を引いている側の条文も、同じ日に書き換わります。

  • 第85条第6号:引く条番号が「第七十二条の六第一項」になります。
  • 第81条の3第1項・第2項:引く条番号が「第七十二条の六」に書き換わります。
  • 第69条第2項の括弧書き:「第七十二条の五」と「第七十二条の六」の両方を挙げる形になります。

いずれも、e-Gov 法令検索の2027年5月20日施行版で確認したものです。

確認した版の版IDは 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037 です。

例

2027年5月20日以降に、古い資料が、措置命令の条番号を第72条の5とだけ書いていたとします。その日以降の条文で第72条の5を開くと、出てくるのは業務の運営の改善に必要な措置の命令です。

古い条番号のまま残る記述の一覧は、古い理解の一覧に置いています。

理解の確認

第72条の5第1項が条番号を挙げているのは、第66条第1項と第68条だけです。それなのに、第66条第2項にあたる記事も措置命令の対象になり得るのは、条文のどの仕組みによるのですか?

第66条第2項は、ある種の記事を広告し、記述し、又は流布する(広める)ことを、「前項に該当するものとする」と定めています。対象は、効能、効果又は性能について、医師その他の者が保証したものと誤解されるおそれがある記事です。第2項にあたる記事は、この定めを通じて第66条第1項にあたることになります。そのため、第72条の5第1項が相手とする「第六十六条第一項……の規定に違反した者」に入ります。挙げられた条番号を数えるだけでは、命令が届く範囲は決まりません。なお、挙げられていない第66条第3項や第67条についても、罰則は別の条に置かれています。

根拠:薬機法第66条第2項・第72条の5第1項、第85条第4号、第86条第1項第17号(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)

広告をやめた後でも措置命令ができるのは、条文が、命令の中身と相手をどう定めているからですか?

命令の中身は「その行為の中止」だけではありません。ほかに2つが「又は」で並んでいます。「その行為が再び行われることを防止するために必要な事項」と、「これらの実施に関連する公示その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置」です。中止だけを命じるものなら、広告をやめた時点で命じる中身がなくなります。しかし、再発防止に必要な事項と公示は残ります。相手の側も、第1項の後段が「当該違反行為が既になくなつている場合においても」として、号に挙げています。違反行為をした者のほか、合併後存続し又は合併により設立された法人、分割により当該違反行為に係る事業を承継した法人、その事業を譲り受けた者です。

根拠:薬機法第72条の5第1項及び同項各号(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)

第85条は、第66条第1項・第68条の違反そのもの(第4号・第5号)と、第72条の5第1項の命令に違反したこと(第6号)を、別の号に分けています。両者は何が違うのですか?

第4号・第5号が挙げているのは、広告の違反そのものです。第6号が挙げているのは、その違反を前提に出された行政の命令に、従わなかったことです。後者は、命令が出た後にしか起きません。行為も時点も別なので、別々の号として並んでいます。刑は、同じ柱書が定める2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金、又はその併科です。法人には、第90条第2号により、各本条の罰金刑(ここでは第85条の罰金刑)が科されます。

根拠:薬機法第85条柱書・第4号・第5号・第6号、第90条第2号(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第67条・第68条・第69条第2項・第72条の5・第72条の6・第75条の5の2・第81条・第81条の3・第81条の4・第85条・第86条第1項・第90条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版条文(令和7年法律第37号による条番号繰下げ後。版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第69条第2項・第72条の4・第72条の5・第72条の6・第72条の7・第81条の3・第85条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)による薬機法の罰則の改正(薬機法への反映は2025年6月1日施行分) e-Gov 法令検索(沿革)(2026-09-08 確認)
  • 医薬品医療機器等法に基づく行政処分を行いました(2025年11月7日 報道発表資料。薬機法第72条の5第1項に基づく措置命令。照会先:医薬局 監視指導・麻薬対策課) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 報道発表資料 2025年11月(月別一覧。2025年11月7日(金)掲載の項目に上記の行政処分が置かれている) 厚生労働省(2026-09-08 確認)