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薬機法は、何のために何を扱う法律? — 目的・5つの区分・条文の地図

化粧品を扱う会社の広報担当者が、薬機法に気をつけるよう言われたものの、何の法律なのかが分からない場面を考えます。薬機法が扱うのは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の5つです。医薬部外品は医薬品よりも作用がおだやかな製品、再生医療等製品は人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。目的は第1条、5つの定義は第2条にあり、法律の本体は18の章に分かれています。このページでは、法律の目的、5つの区分、どの決まりがどの章にあるか、2027年5月20日に動く条番号を、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • 目的は、保健衛生の向上:第1条は3つの措置(手立て)を挙げています。医薬品等(薬機法が扱う5つの製品)の規制、指定薬物(厚生労働大臣が指定する薬物)の規制、研究開発の促進です。これらによって保健衛生(人々の健康を守り、衛生を保つこと)の向上を図ることが、目的として最後に置かれています。
  • 扱うのは5つの製品区分:医薬品・医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品)・化粧品・医療機器・再生医療等製品(人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品など)の5つです。定義は第2条の第1項・第2項・第3項・第4項・第9項(「項」は条の中の段落)に分かれています。間の第5項から第8項までは医療機器の分類で、5区分ではありません。
  • 決まりは18の章に分かれている:製造販売業(製造や輸入をした製品を世に出す仕事)と製造業(製品を作る仕事)は、第4章から第6章にあります。承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)の決まりも、同じ第4章から第6章にあります。広告は第10章、監督は第13章、罰則は第18章です。2027年5月20日には、第72条の4以降が1つずつ繰り下がります(後ろの番号へずれます)。

1. 薬機法は、何のための法律ですか?

保健衛生の向上を図ることが目的です。第1条は、そのための措置として、医薬品等の規制、指定薬物の規制、研究開発の促進の3つを挙げています。

第1条のかっこ書きは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5つをまとめて「医薬品等」と呼ぶことも定めています。

第1条は、長い1つの文でできています。前半に「何をするか」を3つ並べ、最後に「何のためか」を1つ置く形です。「保健衛生」は、おおまかには、人々の健康を守り、衛生を保つことを指す言葉です。

3つの措置は、次のとおりです。

  1. 医薬品等の規制:医薬品等の品質・有効性・安全性を確保し、使うことで起きる保健衛生上の危害(健康への害)が発生したり広がったりするのを防ぐための規制
  2. 指定薬物の規制:指定薬物の規制に関する措置(指定薬物の定義は、第2条の第15項にあります)
  3. 研究開発の促進:医療上とくに必要性が高い医薬品・医療機器・再生医療等製品の研究開発を進めるための措置

最後に置かれているのは「保健衛生の向上を図ることを目的とする」という一文です。規制と、研究開発の促進が、同じ条の中に並べて書かれています。

例

冒頭の広報担当者が、薬機法を取り締まりだけの法律だと思っていたとします。第1条を最後まで読むと、規制と並んで、研究開発の促進も措置として書かれていることが分かります。

原文で確かめる(第1条)

第1章には、国や事業者の務めも書かれている

第1章は「総則」(法律全体に共通する決まり)で、第1条から第2条までです。ただし、その間に「第1条の2」から「第1条の6」までの条が挟まっています。

これらの条は、それぞれの立場の責務(果たすべき務め)や役割を定めています。第2条の定義で、第1章は終わります。

  • 第1条の2 … 国の責務
  • 第1条の3 … 都道府県、保健所を設置する市及び特別区の責務
  • 第1条の4 … 医薬品等関連事業者等の責務
  • 第1条の5 … 医薬関係者の責務
  • 第1条の6 … 国民の役割

2. 薬機法が扱う「医薬品等」とは、どの5つですか?

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5つです。第1条のかっこ書きが、この5つをまとめて「医薬品等」と呼ぶと定めています。

それぞれの定義は第2条の第1項、第2項、第3項、第4項、第9項にあり、医療機器と再生医療等製品は範囲を政令(内閣が定める命令)に委ねています。

条の中の段落を「項」、項の中で番号を付けて並べた項目を「号」と呼びます。第2条は「この法律で「医薬品」とは」という書き出しの項が並ぶつくりです。5つの区分は、ひとことで言うと、それぞれ次のような物です。

  • 医薬品(第2条第1項):日本薬局方(国が定めた医薬品の規格書)に収められている物。また、人や動物の病気の診断・治療・予防に使うことが目的とされている物(機械器具等でないもの)など
  • 医薬部外品(第2条第2項):条文が挙げる物のうち、人体に対する作用が緩和なもの。医薬品よりも作用がおだやかな製品で、薬用化粧品などがあります
  • 化粧品(第2条第3項):体を清潔にし、美しく見せ、皮膚や髪を健やかに保つために、塗るなどして使うことが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの
  • 医療機器(第2条第4項):人や動物の病気の診断・治療・予防などに使うことが目的とされている機械器具等のうち、政令で定めるもの
  • 再生医療等製品(第2条第9項):人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などのうち、政令で定めるもの

業の許可(製造や販売を仕事として行うために受ける許可)と承認の決まりは、区分ごとに章が分かれています。製造販売業・製造業の章は、医薬品・医薬部外品・化粧品が第4章、医療機器が第5章、再生医療等製品が第6章です。

原文で確かめる(表1:定義の条文の書き方)
表1:「医薬品等」の5区分と、定義および製造販売業・製造業の規定の所在
区分定義の条項条文の書き方(抜粋)製造販売業・製造業の章
医薬品第2条第1項「日本薬局方に収められている物」(第1号)/「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの」(第2号)/「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの」(第3号)第4章
医薬部外品第2条第2項「次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なもの」第4章
化粧品第2条第3項「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」第4章
医療機器第2条第4項「(中略)目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるもの」第5章
再生医療等製品第2条第9項「次に掲げる物(医薬部外品及び化粧品を除く。)であつて、政令で定めるもの」第6章

出典は薬機法(昭和35年法律第145号)第1条、第2条第1項から第4項まで及び第9項、および第4章から第6章までの章名(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)。抜粋は条文の一部で、括弧書きの一部を省いています。

例

冒頭の広報担当者が、自社で扱う化粧品について条文を探す場面で考えます。定義は第2条第3項、製造販売業・製造業の決まりは第4章です。同じ会社が医薬部外品も扱うなら、定義は第2条第2項で、章は同じ第4章です。

第5項から第8項は、医療機器の分類

第2条の間に挟まる第5項から第8項までは、医療機器の分類の定義です。高度管理医療機器・管理医療機器・一般医療機器・特定保守管理医療機器の4つで、5区分ではありません。医療機器の分類は『1-4 医療機器かどうかは、何で決まる?』で扱っています。

区分どうしは、かっこ書きで仕切られている

5つの定義には、ほかの区分を名指しで除くかっこ書きが入っています。同じ物が2つの区分に同時に入らないよう、定義そのものの中に仕切りが立ててあるという形です。

  • 医薬品の第2号(第2条第1項第2号)には「(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)」
  • 医薬品の第3号(第2条第1項第3号)には「(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)」
  • 医療機器の第4項(第2条第4項)には「(再生医療等製品を除く。)」
  • 再生医療等製品の第9項(第2条第9項)には「(医薬部外品及び化粧品を除く。)」

例

たんすの引き出しの仕切りのようなものです。医薬品の第2号という引き出しには、医薬部外品と再生医療等製品は入れない、という仕切りが、はじめから書き込まれています。

医療機器と再生医療等製品は、範囲を政令が決める

医療機器と再生医療等製品は、どこまでがその区分かを、法律の条文だけでは決めきっていません。範囲は政令に任せています。

受け皿になる政令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)の第1条と第1条の2です。施行令は、医療機器を別表第一のとおり、再生医療等製品を別表第二のとおりとしています。別表は、条文の後ろに付いた一覧表です。

原文で確かめる(施行令 第1条・第1条の2)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第二条第四項の医療機器は、別表第一のとおりとする。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条

法第二条第九項の再生医療等製品は、別表第二のとおりとする。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条の2

別表第二に何が掲げられているかは『1-5 「再生医療等製品」とは、どんな製品?』で扱います。医薬品の定義が3つの号に分かれていること、そのうち第2号と第3号が使用目的を要件にしていることの扱いは、『1-2 「医薬品」とは、法律上どんな物?』で扱います。

3. 5つの区分のほかに、第2条は何を定めていますか?

第2条は全部で19項あります。5区分以外の項では、医療機器の分類、生物由来製品、薬局、製造販売、治験などの言葉の意味を定めています。

この法律の条文を読むときに意味を確かめる言葉の多くは、第2条のいずれかの項に定義があります。

5つの区分(第1項から第4項までと第9項)以外の項には、区分の中の細かな分類や、手続の名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)を決める言葉の定義が並びます。

生物由来製品は、人や動物などに由来する物を原料や材料にして作る医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器のうち、厚生労働大臣が指定するものです。

第2条の、5区分以外の項の一覧
  • 第5項から第8項:高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器、特定保守管理医療機器(いずれも厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定するもの)
  • 第10項・第11項:生物由来製品、特定生物由来製品
  • 第12項:薬局
  • 第13項:製造販売
  • 第14項:体外診断用医薬品
  • 第15項:指定薬物
  • 第16項:希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器、希少疾病用再生医療等製品、先駆的医薬品、先駆的医療機器、先駆的再生医療等製品、特定用途医薬品、特定用途医療機器、特定用途再生医療等製品
  • 第17項:特定医薬品
  • 第18項:治験(承認に向けて人で確かめる試験)
  • 第19項:この法律にいう「物」の範囲

ふだんの意味と違う言葉:「製造販売」

第13項の「製造販売」は、ふだん使う「製造」や「販売」とは別に定義されています。

条文が「製造販売」と呼ぶのは、製造をし、又は輸入をした医薬品等を、販売し、貸与し、若しくは授与すること(売る、貸す、ただで渡すこと)です。医療機器プログラム(医療機器にあたるソフトウェア)を、電気通信回線(インターネットなど)を通じて提供することも含まれます。

一方、他から委託を受けて製造をする場合は、ここから除かれています。「委託」は、仕事をほかに任せることです。

例

A社が、B社から委託を受けて、化粧品の製造だけを行う場面で考えます。A社のこの製造は、第13項の除外の対象になり得ます。ただし、この除外は「製造販売」という言葉の範囲についてのものです。化粧品の製造については、第4章に製造業の決まりがあり、A社はその対象になり得ます。

「物」には、プログラムも含まれる

第19項は「この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。」と定めています。第2条第1項第2号のかっこ書きが置く「機械器具等」の定義にも、プログラム及びこれを記録した記録媒体が含まれています。

例

病気の診断を助けるソフトウェアのように、形のある機械を持たない製品もあります。第19項により、こうしたプログラムも、この法律にいう「物」に含まれます。

第17項の「特定医薬品」は、2025年の改正で加わった

第17項の「特定医薬品」は、2025年の改正で第2条に加わった定義です。e-Gov 法令検索(国が公開している、法令の条文を調べられるサイト)の沿革(改正の履歴)を見ると、この項は2025年11月20日施行の版から現れます。施行とは、法律の決まりが効力を持ち始めることです。

決め方は、除外による定義です。第17項は、要指導医薬品(薬剤師による指導が必要とされる薬)や一般用医薬品(いわゆる市販薬)など、いくつかの医薬品を各号に挙げています。そのうえで、これら以外の医薬品を特定医薬品としています(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く)。

詳しく見る(第17項が各号に挙げる医薬品)
  • 要指導医薬品
  • 一般用医薬品
  • 薬局開設者が当該薬局における設備及び器具をもつて製造し当該薬局において直接需要者に販売し、又は授与する医薬品
  • その他製造販売又は販売の状況を把握する必要がないものとして厚生労働省令で定める医薬品

この改正法の番号は、令和7年法律第37号です。厚生労働省は、改正のまとめページに、関係する通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)を掲げています。公布から6か月以内に施行される分の欄には、特定医薬品一般の安定供給確保に関する規定の施行についての通知(2025年11月)が掲げられています。

通知の日付と番号

「6月以内施行関係」の欄:令和7年11月20日 医政産情企発1120第1号、感予発1120第2号、医薬血発1120第1号

4. どの決まりが、どの章に書かれているのですか?

本則(法律の本体)は18章です。製造販売業・製造業と承認は第4章から第6章、販売業等は第7章、広告は第10章、監督は第13章、罰則は第18章にあります。

章の並びと表題は、2027年5月20日施行版でも同じです。

薬機法は、総則と定義(第1章)のあとを、規制の対象と場面ごとに章で分けています。条番号だけを手がかりに探すより、章の表題から入るほうが、目当ての決まりの場所をたどれます。

直感的なポイント

章の表題は本の目次、条番号はページ番号のようなものです。目次で章を見つけてから開くほうが、目当ての箇所に早く着きます。

表2の「条の範囲」の列は、その章に入っている最初と最後の条です。たとえば第10章(医薬品等の広告)は、第66条から第68条までの3つの条です。

表2:薬機法 本則の章立てと、各章に置かれた条の範囲
章表題条の範囲
第1章総則第1条〜第2条
第2章地方薬事審議会第3条
第3章薬局第4条〜第11条
第4章医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売業及び製造業第12条〜第23条
第5章医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業及び製造業等第23条の2〜第23条の19
第6章再生医療等製品の製造販売業及び製造業第23条の20〜第23条の42
第7章医薬品、医療機器及び再生医療等製品の販売業等第24条〜第40条の7
第8章医薬品等の基準及び検査第41条〜第43条
第9章医薬品等の取扱い第44条〜第65条の5
第10章医薬品等の広告第66条〜第68条
第11章医薬品等の安全対策第68条の2〜第68条の15
第12章生物由来製品の特例第68条の16〜第68条の25
第13章監督第69条〜第76条の3の3
第14章医薬品等行政評価・監視委員会第76条の3の4〜第76条の3の12
第15章指定薬物の取扱い第76条の4〜第77条
第16章希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品等の指定等第77条の2〜第77条の7
第17章雑則第78条〜第83条の5
第18章罰則第83条の6〜第91条

出典は薬機法(昭和35年法律第145号)本則の章名と条の並び(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)。附則は表に含めていません。

第5章、第7章、第9章は、さらに節に分かれています。

節の分かれ方を見る
  • 第5章:第1節 医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業及び製造業/第2節 登録認証機関
  • 第7章:第1節 医薬品の販売業/第2節 医療機器の販売業、貸与業及び修理業/第3節 再生医療等製品の販売業
  • 第9章:第1節 毒薬及び劇薬の取扱いから第6節 再生医療等製品の取扱いまでの6節

登録認証機関は、国に登録されて、製品が基準に合っているかを確かめて認める(認証する)機関です。

章の並びには順序がある

章の並びは、物が作られて世に出てから、使われ、行政に見張られるまでの道筋をなぞっています。

  • 物を作って世に出す側の規制:第3章から第6章まで
  • それを流通させる側の規制:第7章
  • 物そのものの基準と検査:第8章
  • 容器や添付文書(製品に付ける説明書)などの取扱い:第9章
  • 広告:第10章
  • 市販後(製品が世に出たあと)の安全対策:第11章
  • 生物由来製品の特例:第12章
  • 最後に、行政の権限:第13章、罰則:第18章

製造販売業・製造業の章が区分ごとに分かれているため、同じ「承認」でも条文の場所が異なります。医薬品は第14条、医療機器及び体外診断用医薬品(体に直接使わず、病気の診断に使う医薬品)は第23条の2の5、再生医療等製品は第23条の25です。

例

医療機器の承認について、条文を探す場面で考えます。医療機器の製造販売業・製造業は第5章なので、承認の条も第5章の中の第23条の2の5です。医薬品の承認の第14条とは、別の場所です。

どの手続がどの条に基づくかは、『1-7 承認・認証・届出・許可は、何が違う?』で扱っています。

5. 広告と、行政による監督の決まりは、どこにありますか?

広告は第10章(第66条から第68条まで)、監督は第13章(第69条から第76条の3の3まで)にあります。罰則は第18章です。

広告の章である第10章は、3つの条だけでできています。

第10章「医薬品等の広告」は、次の3つの条でできています。

この3つの条は「広告」という言葉を使います。けれども、どの表示が広告にあたるかの基準は、条文の側には書かれていません。その基準がどこにあるかは、『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱います。

例

冒頭の広報担当者が、自社の化粧品の宣伝にかかわる決まりを探す場面で考えます。まず開くのは第10章です。条の見出しを見ると、第67条は特定疾病用の医薬品と再生医療等製品、第68条は承認前の医薬品・医療機器・再生医療等製品についての条です。ただ、自社のウェブページやSNSの投稿が広告にあたるかどうかの基準は、この章の条文には書かれていません。

第13章「監督」には、行政の権限が並ぶ

第13章「監督」は、行政の権限を定める章です。役所が立ち入って調べる、命令を出す、許可を取り消す、課徴金(違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金)を納めさせる、といった決まりが並びます。

広告にかかわる第72条の5(違反広告に係る措置命令等)も、この章にあります。措置命令は、違反の中止などを命じる役所の命令です。

第13章の主な条の見出しを見る
  • 第69条(立入検査等)、第69条の2(機構による立入検査等の実施)、第69条の3(緊急命令)
  • 第70条(廃棄等)、第71条(検査命令)
  • 第72条(改善命令等)、第72条の2、第72条の2の2、第72条の3、第72条の4(第72条の2から第72条の4までは見出しの無い条です)
  • 第72条の5(違反広告に係る措置命令等)、第72条の6(損害賠償責任の制限)
  • 第75条(許可の取消し等)、第75条の2(登録の取消し等)
  • 第75条の5の2(課徴金納付命令)から第75条の5の19(省令への委任)まで
  • 第76条の3の3(関係行政機関の連携協力)

罰則は、最後の第18章

罰則は第18章(第83条の6から第91条まで)です。

第90条は、法人の代表者や従業者などが違反行為をしたときの規定です。行為者(違反した本人)を罰するほか、法人又は人(違反した人が属する会社や、雇い主である個人)に対しても罰金刑を科します。このような決まりを、両罰規定と呼びます。

第91条は、過料(刑罰とは別に、お金を納めさせる制裁)の規定です。

例

A社の従業員が、A社の仕事の中で、第90条が対象にしている違反をした場面で考えます。この場面では、従業員本人のほか、A社も罰金刑の対象になり得ます。

違反したときの行政と刑事のそれぞれの流れは、『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』で扱っています。業の許可に対する処分は、『6-3 業務停止や許可の取消しは、どの条文で決まる?』で扱っています。

6. この法律の正式な名前(題名)は何ですか?

現行の題名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。法令番号(法律ごとに付く番号)は、昭和35年法律第145号のままです。

行政の通知には、出された当時の題名がそのまま残ります。

「薬機法」は、この長い題名を縮めた呼び名です。

題名が改められても、法令番号は変わりません。同じ昭和35年法律第145号が、いまは別の題名で公開されています。次の箱は、よく見かける説明と、いまの題名を並べたものです。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

この分野の法律の名は「薬事法」である。

現行

題名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。法令番号は昭和35年法律第145号で、e-Gov 法令検索でもこの題名と番号で公開されている(法令ID 335AC0000000145)。

根拠:e-Gov 法令検索における当該法令の題名と法令番号(法令確認日 2026-09-08)

例

古い資料や通知の中で、いまと違う題名の法律名を見かけたとします。そこに昭和35年法律第145号とあれば、いまの薬機法と同じ法令を指しています。条文を引くときに法令番号を書き添えておくと、資料ごとに題名の書き方が違っていても、同じ法令だと分かります。

e-Gov 法令検索が記録しているこの法令の公布(成立した法律を国民に知らせること)の日は、1960年8月10日です。題名と条文が改正を重ねても、公布日と法令番号は、法令を特定する手がかりとして残ります。

行政の通知は、出された当時の題名のまま引かれ続けることがあります。表題に古い題名が残る通知が、いまも引かれている例は『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』にあります。

題名が改められた経緯と、5つ目の区分が加わった経緯は、『1-5 「再生医療等製品」とは、どんな製品?』で確かめられます。手元の説明がいまの条文と食い違っていないかの確かめ方は、『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』で扱います。

7. この「条文の地図」は、いつ書き換わるのですか?

令和7年法律第37号による改正は、何回かに分けて施行されます。2027年5月20日に、第72条の4以降の条番号が1つずつ繰り下がります(後ろの番号へずれます)。

第72条から第72条の3まで、本則の章の構成、第1条と第2条第1項から第9項までの文言は、その日以降も変わりません。

令和7年法律第37号は、決まりごとに施行日(決まりが効力を持ち始める日)が分かれています。題名は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律です。

この改正による薬機法の施行日は、e-Gov 法令検索の沿革では次の5つです。

  • 2025年5月21日(公布の日)
  • 2025年11月20日
  • 2026年5月1日
  • 2027年5月20日:条番号が動く日(まだ施行されていません)
  • 2028年5月20日:予定日

厚生労働省のまとめページに掲げられた通知は、表3で確かめられます。

原文で確かめる(表3:施行日と通知の一覧)
表3:令和7年法律第37号による薬機法の改正の施行日
施行日e-Gov 法令検索の沿革での扱い厚生労働省のまとめページに掲げられた通知
2025年5月21日(公布日)確定した施行日(版ID 335AC0000000145_20250521_507AC0000000037)公布についての通知(令和7年5月21日 医薬発0521第1号・産情発0521第4号)。施行事項別の欄は無い
2025年11月20日確定した施行日「6月以内施行関係」の欄に、特定医薬品一般の安定供給確保に関する規定の施行通知ほか(令和7年11月20日 医政産情企発1120第1号ほか)
2026年5月1日確定した施行日「1年以内施行関係(全体)」の欄に、施行についての通知(令和7年12月26日 医薬発1226第2号)。表題に「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(令和8年5月1日)施行事項関係」とある
2027年5月20日確定した施行日(未施行)「2年以内施行関係(全体)」の欄に、一部の施行期日を定める政令の公布通知(令和8年6月24日 医薬発0624第1号、産情発0624第5号)ほか。同欄に施行日そのものの記載は無い
2028年5月20日予定日(「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」)(2026年9月8日時点で掲載なし)

出典は e-Gov 法令検索の当該法令の沿革(版ID 335AC0000000145_20250521_507AC0000000037 ほか)と、厚生労働省「令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について」(法令確認日 2026-09-08)。同ページの「整備政令」欄には、施行期日政令として令和7年政令第271号(施行期日を定める政令)と令和8年政令第209号(一部の施行期日を定める政令)が掲げられています。各政令の条文は本ページでは確認していないため、どの規定がどの日に施行されるかの対応は示していません。

2027年5月20日に動く番号

第13章のうち、第72条(改善命令等)、第72条の2、第72条の2の2、第72条の3は、番号も見出しも現行のままです。

いま第72条の5に置かれているのは、次の条文です。

この条文は、令和7年法律第37号により 2027年5月20日 から 第72条の6 へ繰り下がります。空いた番号には別の規定が入ります(第72条の5 は業務の運営の改善に必要な措置の命令(現行の第72条の4の規定)になります)。2027年以降に条番号だけを引くと、別の規定に当たります。

この施行日は e-Gov 法令検索に確定した施行日として記録されているものです(施行期日を定める政令の番号は未確認)。これに対し 2028年5月20日 施行分は e-Gov 上も予定日で、政令で確定します。

2027年5月20日施行版では、第72条の4に、医薬品の製造販売業者の報告義務違反に対する是正命令等(誤りを正すよう命じる命令など)が新たに置かれます。これに押し出される形で、現行の3つの条が1つずつ後ろへ移ります。

  • 現行の第72条の4(業務の運営の改善に必要な措置の命令の規定)→ 第72条の5
  • 現行の第72条の5(違反広告に係る措置命令等)→ 第72条の6
  • 現行の第72条の6(損害賠償責任の制限)→ 第72条の7

あわせて、第72条の8(薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令)が加わります。

例

ある会社の担当者が2026年に、違反広告への措置命令の条番号を、第72条の5とだけメモしたとします。2027年5月20日施行版で第72条の5を開くと、出てくるのは業務の運営の改善に必要な措置の命令の規定です。番号だけのメモでは、もとの規定に戻れません。

条番号の追い方は『6-3 業務停止や許可の取消しは、どの条文で決まる?』で扱っています。

2027年5月20日でも変わらない部分

第1条の本文は、令和7年法律第37号による改正の後も変わりません。本則の章の数と表題も、2027年5月20日施行版で現行と同じ18章です。第2条第1項から第9項までの文言も、同じ版で現行と同一です。第2条では、第17項と第18項が中で引いている条番号が読み替えられます。

手元の説明がどの時点のものかは、e-Gov 法令検索でこの法令の沿革を開き、施行日ごとの版を比べれば確かめられます。探し方は『1-10 法令や通知の原文は、どこで読める?』で説明しています。

理解の確認

第1条は、規制のための措置と、研究開発の促進のための措置を同じ条に並べています。2つは、何に対してどんな関係にありますか?

どちらも、保健衛生の向上という1つの目的に向かう手段です。第1条は、取るべき措置を3つ並べ、最後に「保健衛生の向上を図ることを目的とする」を置く形で書かれています。3つの措置は、どれも目的そのものではなく、そこへたどり着くための手段です。だから規制と研究開発の促進は対立するものではなく、同じ目的へ向かう別々の措置として、同じ条に収まっています。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第1条(法令確認日 2026-09-08)

第2条の5区分の定義に、互いを名指しで除くかっこ書きがあるのは、何を避けるためですか?

同じ物が2つの区分に同時に入ることを避けるためです。たとえば、医薬品の第2条第1項第2号には「(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)」、医療機器の第2条第4項には「(再生医療等製品を除く。)」とあります。区分が1つに決まれば、製造販売業・製造業の章も1つに決まります。医薬品・医薬部外品・化粧品は第4章、医療機器及び体外診断用医薬品は第5章、再生医療等製品は第6章です。そのため、同じ「承認」でも根拠になる条が分かれます。

根拠:薬機法第2条第1項第2号・第3号、第2条第4項、第2条第9項、および本則第4章から第6章までの章名(法令確認日 2026-09-08)

条文を引くとき、条番号だけでなく施行日の版も確かめる必要があるのはなぜですか?

2027年5月20日に第72条の4より後の条が1つずつ繰り下がり、空いた番号には別の規定が入るためです。現行で「違反広告に係る措置命令等」が置かれている第72条の5は、同じ日に第72条の6へ移ります。同じ番号が、版によって別の規定を指すことになります。番号だけを手がかりにせず、条の見出しと施行日の版をあわせて特定する必要があります。

根拠:薬機法 2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第72条の4から第72条の6までと、現行版(2026年5月21日施行)の同条との対照(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第1条・第2条・第4章〜第6章・第10章(第66条〜第68条)・第13章(第69条〜第76条の3の3)・第18章(第83条の6〜第91条)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 薬機法 2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第1条・第2条・第72条〜第72条の8および本則の章立て e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • e-Gov 法令API 沿革(改正履歴)エンドポイント(薬機法の施行日ごとの版の一覧。公布日施行分は版ID 335AC0000000145_20250521_507AC0000000037)e-Gov(2026-09-08 確認)
  • 令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について(令和7年法律第37号。施行期日政令=令和7年政令第271号・令和8年政令第209号、公布通知=令和7年5月21日 医薬発0521第1号・産情発0521第4号、6月以内施行関係の通知=令和7年11月20日 医政産情企発1120第1号ほか、1年以内施行関係の通知=令和7年12月26日 医薬発1226第2号、2年以内施行関係の通知=令和8年6月24日 医薬発0624第1号・産情発0624第5号)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条(医療機器の範囲。別表第一)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条の2(再生医療等製品の範囲。別表第二)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)