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「再生医療等製品」とは、どんな製品? — 定義・11の区分・承認のしくみ

あるクリニックの事務長が、資料に「再生医療等製品」と「再生医療等」という似た言葉を見つけ、同じものか迷ったとします。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などを指す、薬機法の5つ目の製品区分です。範囲は、法律の定義と政令(内閣が定める決まり)の表の2段で決まります。「再生医療等」は別の法律の言葉で、再生医療等技術(細胞に培養などの加工をした物を用いる医療技術など)を用いて行われる医療を指します。このページでは、定義の場所と政令が挙げる11の区分、承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)のしくみを説明します。承認された製品の調べ方と2つの言葉の違いも扱います。

30秒でわかる要点

  • 範囲は、法律と政令の2段で決まる:定義は薬機法第2条第9項です。細胞に培養などの加工をした物と、細胞に入れられて体内ではたらく遺伝子を含ませた物を挙げ、どちらも「政令で定めるもの」に限っています。政令の別表第二(政令の末尾に付いた表)が、3つのまとまりに計11の名前を並べています。
  • 製造販売には、品目ごとの承認が要る:再生医療等製品を製造販売しようとする者は、品目(製品の1つ1つの種類)ごとに、厚生労働大臣の承認を受けなければなりません(第23条の25第1項)。製造販売は、作ったり輸入したりした製品を、市場に出すことです。第23条の26は、条件と7年を超えない範囲内の期限を付けた承認を別に置き、その期限内に改めて承認を申請することを求めています。
  • 「再生医療等」とは別の言葉:再生医療等製品は、薬機法が定める製品の区分です。「再生医療等」は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律が定める言葉です。再生医療等技術(細胞に培養などの加工をした物を用いる医療技術など)を用いて行われる医療を指します。

1. 「再生医療等製品」の定義は、薬機法のどこにある?

薬機法第2条第9項です。同項が挙げる物のうち、政令で定めるものが再生医療等製品にあたります。範囲は、政令である薬機法施行令の別表第二に置かれています。

同項は、医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)と化粧品を、再生医療等製品から除いています。

薬機法が扱う製品の区分は5つです。第1条(目的)は「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)」と並べ、5つをまとめて「医薬品等」と呼んでいます。

5つの定義は、第2条にまとまっています。第1項が医薬品、第2項が医薬部外品、第3項が化粧品、第4項が医療機器、そして第9項が再生医療等製品です。区分の全体像は『1-1 薬機法は、何のために何を扱う法律?』で扱います。

定義に挙がる2つの物

第9項は、一・二の番号を付けた2つの号(条文の中で番号を付けて並べた項目)で、物を挙げています。

  • 第1号:医療または獣医療(動物の医療)に使う目的の物のうち、「人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの」です。使う目的は、2つに分けて書かれています。イは体の構造や機能の再建・修復・形成、ロは病気の治療や予防です。
  • 第2号:病気の治療に使う目的の物のうち、「人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの」です。発現は、遺伝子がはたらくことです。第2号にはイ・ロの枝分かれがなく、目的は治療に限られています。

どちらの号も、第9項の冒頭の文(柱書き)の末尾で「政令で定めるもの」に限られます。法律の書き方に合うだけでは、再生医療等製品にあたるかどうかは決まりません。

例

A社が、人の細胞を培養して、けがで傷んだ体の組織の修復に使う製品を開発している場面で考えます。この製品は、第1号の「細胞に培養その他の加工を施したもの」で、目的はイの「修復」だとします。そのため、再生医療等製品の対象になり得ます。ただし、範囲は政令の別表第二まで見て決まります(2.の節)。

医薬品・医療機器の定義との関係

再生医療等製品や医薬品・医療機器などの定義には、ほかの区分の名前を挙げて除く括弧書きがあります。医薬品の定義(第1項)は、第2号と第3号で再生医療等製品を除いています。医療機器の定義(第4項)も、再生医療等製品を除いています。

原文の言い回しを見る(ほかの区分を除く括弧書き)

第2条第1項第2号:機械器具等でないもののうち「(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)」

第2条第1項第3号:「(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)」

第2条第4項:「機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。」

第2条第9項:「医薬部外品及び化粧品を除く。」

製造販売業と製造業(製品を作る仕事)の章も分かれています。第4章が医薬品、医薬部外品及び化粧品、第5章が医療機器及び体外診断用医薬品、第6章が再生医療等製品です。再生医療等製品の販売業は第7章第3節、取扱いは第9章第6節です。

2. 政令は、どんな製品を再生医療等製品として挙げている?

施行令第1条の2が「別表第二のとおりとする」と定めています。別表第二は、ヒト細胞加工製品・動物細胞加工製品・遺伝子治療用製品の3つに、計11の名前を挙げます。

11のうち8つが細胞加工製品、3つが遺伝子治療用製品です。

範囲を具体的に決めているのは、薬機法施行令(以下、施行令)です。施行令は、薬機法の細かい決まりを定めた政令です。施行令第1条の2に置かれているのは、「別表第二のとおりとする」の一文だけです。

別表第二の読み方

名前は、ヒト細胞加工製品に4つ、動物細胞加工製品に4つ、遺伝子治療用製品に3つ並んでいます。ヒトと動物の4つずつは、加工する細胞の種類で名前が分かれています(表1)。

番号はまとまりごとに一から振られ、まとまりの側には番号がありません。

いくつかの名前には、括弧書きが付いています。たとえば一の「ヒト体細胞加工製品」には「(次号及び第四号に掲げる物を除く。)」とあります。二と四に入る物は、一には入らない書き方です。

表1:薬機法施行令 別表第二(第一条の二関係)が掲げる区分
まとまり(別表第二の記載)番号(別表第二の表記)名称(別表第二の記載)
ヒト細胞加工製品一ヒト体細胞加工製品(次号及び第四号に掲げる物を除く。)
ヒト細胞加工製品二ヒト体性幹細胞加工製品(第四号に掲げる物を除く。)
ヒト細胞加工製品三ヒト胚性幹細胞加工製品
ヒト細胞加工製品四ヒト人工多能性幹細胞加工製品
動物細胞加工製品一動物体細胞加工製品(次号及び第四号に掲げる物を除く。)
動物細胞加工製品二動物体性幹細胞加工製品(第四号に掲げる物を除く。)
動物細胞加工製品三動物胚性幹細胞加工製品
動物細胞加工製品四動物人工多能性幹細胞加工製品
遺伝子治療用製品一プラスミドベクター製品
遺伝子治療用製品二ウイルスベクター製品
遺伝子治療用製品三遺伝子発現治療製品(前二号に掲げる物を除く。)

出典:薬機法施行令(昭和36年政令第11号)別表第二(第一条の二関係)。記載をそのまま並べたもので、括弧書きも原文のとおりです。一・二・三・四の番号はそれぞれのまとまりの中で振られているため、「別表第二第一号」という引き方では対象が定まりません。

例

社内の資料に「別表第二の二」とだけ書かれていた場面で考えます。表1には「二」が3つあります。ヒト体性幹細胞加工製品、動物体性幹細胞加工製品、ウイルスベクター製品です。番号だけではどれかが決まらないので、まとまりの名前と一緒に控えると、行が1つに決まります。

直感的なポイント

再生医療等製品の範囲は、2階建てで決まります。1階は法律の第2条第9項で、どんな物かを書き、「政令で定めるもの」に限ります。2階は施行令第1条の2で、「別表第二のとおり」として区分の名前を並べます。1階の書き方に合い、2階の名前にも入る物が、再生医療等製品です。

3. 再生医療等製品の区分は、いつから薬機法にある?

平成25年法律第84号という改正法が、施行(効力を持ち始めること)された日からです。

PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のサイトには、改正法を名指ししない「改正法施行(平成26年11月25日)」という表記があります。

再生医療等製品の区分を薬機法に加えたのは、平成25年法律第84号による改正です。

同じ時期に、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号。以下、再生医療等安全性確保法)も成立しました。この法律は附則第1条で、自らの施行日を、第84号の改正法の施行の日に合わせる形で書いています。附則は、法律の本体の後ろに付いて、施行日などを定める部分です。

附則第1条のただし書(例外を定める後半の文)は、附則第6条から第10条まで及び第13条の規定を、公布(法律を国民に知らせること)の日から施行するとしています。

原文で確かめる(再生医療等の安全性の確保等に関する法律 附則第1条)

この法律は、薬事法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八十四号)の施行の日から施行する。ただし、附則第六条から第十条まで及び第十三条の規定は、公布の日から施行する。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)附則第1条

施行の日の手がかり

改正法の施行の日については、PMDAの「新再生医療等製品の承認品目一覧」のページに手がかりがあります。そのページの承認審査関連業務のメニューに、「改正法施行(平成26年11月25日)前までの手続きについて」という項目があります。

ただし、これはメニューの項目名で、どの改正法かは名指ししていません。改正法そのものの条文と、施行期日を定める政令は、このページでは確かめていません。

この項目のメニュー上の位置は、GMP/QMS/GCTP適合性調査業務 — QMS適合性調査業務 — 各種様式等の下です。

「4区分」という説明

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

この法律(薬事法)が扱う製品は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の4区分である。

現行

第1条は「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品」と5つを並べる。第2条第9項に再生医療等製品の定義があり、第6章がその製造販売業及び製造業にあてられている。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第1条・第2条第9項・第6章。この区分は薬事法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八十四号)により加わった(再生医療等の安全性の確保等に関する法律 附則第1条が同改正法の施行の日を引いている)。

例

社内研修の古い資料に、この法律が扱う製品は4区分だ、と書かれていた場面で考えます。上の「現行」のとおり、いまの第1条は5つを並べています。その資料を使う前に、いまの条文と見比べることになります。

区分が5つになったのは、製品の側の話です。医療を提供する側のことは、再生医療等安全性確保法が別に定めています。2つの関係は、6.の節で扱います。

4. 再生医療等製品の製造販売には、国の承認が要る?

要ります。再生医療等製品の製造販売をしようとする者は、品目ごとに厚生労働大臣の承認を受けなければなりません(第23条の25第1項)。

第23条の26は、条件と期限を付けた承認を、別に置いています。

品目ごとの承認と、仕事として行うための許可

品目ごとの承認は第23条の25に、仕事として製造販売するための許可は第23条の20にあります。どちらも、第6章「再生医療等製品の製造販売業及び製造業」に置かれています。

第23条の20第1項は、「再生医療等製品は、厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、業として、製造販売をしてはならない。」と定めています。「業として」は、仕事として、という意味です。許可と承認の関係は『1-7 承認・認証・届出・許可は、何が違う?』で扱います。

例

A社が、再生医療等製品を2品目、製造販売しようとする場面で考えます。承認は品目ごとなので、2品目それぞれについて承認を受けることになります。また、仕事として製造販売するには、A社が第23条の20第1項の許可を受けていなければなりません。

承認しない場合と、審査で見る事項

承認を与えない場合は、同じ条の第2項が4つの号で定めています。そのうち審査の結果による第3号は、審査の対象に並べる語が、医薬品などの承認を定める第14条第2項第3号と違います(表2)。

表2:承認を与えない場合を定める号が列挙する審査事項
条項列挙されている語
第14条第2項第3号(医薬品、医薬部外品及び化粧品)名称、成分、分量、用法、用量、効能、効果、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項
第23条の25第2項第3号(再生医療等製品)名称、構成細胞、導入遺伝子、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項

出典:薬機法(昭和35年法律第145号)第14条第2項第3号・第23条の25第2項第3号。両条の号が列挙している語を並べたものです。

例

表2の2行を見比べます。再生医療等製品の行には、「構成細胞」「導入遺伝子」「構造」「使用方法」「性能」があります。医薬品などの行にある「成分」「分量」は、再生医療等製品の行にはありません。

条件及び期限付承認

第23条の26には、「条件及び期限付承認」という見出しが付いています。第1項は、次の3つのいずれにもあたる再生医療等製品についての定めです。

  • 第1号:申請された再生医療等製品が、均質でない(1つ1つの性質がそろっていない)こと
  • 第2号:申請された効能、効果または性能を持つと、推定されること
  • 第3号:申請された効能、効果または性能に比べて著しく有害な作用があるために、再生医療等製品として使う価値がない、と推定されるものではないこと

この場合、厚生労働大臣は、薬事審議会(国が置く審議会)の意見を聴いて、承認を与えることができます。付けるのは、その製品を適正に使うために必要な条件と、7年を超えない範囲内の期限です。

原文で確かめる(第23条の26第1項)

ふつうの承認の条文とは、語の違いが2か所あります。どちらも、ふつうの承認で「認められる」とある所が、「推定される」になっています。第23条の25第2項第3号イ・ロは、「認められないとき」「認められるとき」と書いています。第23条の26第1項第2号・第3号は、「推定されるものであること」「推定されるものでないこと」と書いています。また、第1号は「均質でないこと」を要件(満たすべき条件)に置いています。

期限が来たらどうなるか

第1項の期限は、効力が切れる日というより、改めて承認を申請すべき期限として書かれています。

  • 期限内に申請する(第5項):条件及び期限付承認を受けた者は、期限内に、改めて第23条の25第1項の承認を申請しなければなりません。延長されたときは、延長後の期限内です。
  • 申請があれば、期限後も処分まで効力が続く(第6項):その申請があって、期限内に処分(申請に対する国の決定)がされない場合の定めです。このときは、期限が過ぎても処分がされるまでの間、条件及び期限付承認がなお効力を持ちます。
  • 期限の延長(第2項):第5項の申請の審査を適正に行うため、特に必要があると認めるときの定めです。薬事審議会の意見を聴いて、期限を3年を超えない範囲内で延長することができる、としています。
  • 調査と報告(第3項):条件及び期限付承認を受けた者は、厚生労働省令(大臣が定める決まり)で定める調査を行い、その結果を厚生労働大臣に報告しなければなりません。

例

A社が、条件及び期限付承認を受けた製品について、期限内に改めて承認を申請し、期限までに処分が出なかった場面で考えます。これが第6項の定める場面です。第6項は、処分が出るまでの間、その承認がなお効力を持つと定めています。

条文の言い回しを確かめる(第23条の26第2項・第5項・第6項)

第5項:承認を受けた者は、その品目について「当該承認の期限(第二項の規定による延長が行われたときは、その延長後のもの)内に、改めて同条第一項の承認の申請をしなければならない」。

第6項:その申請があった場合において期限内に処分がされないときは、条件及び期限を付した承認が「当該期限の到来後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する」。

第2項:「第五項の申請に係る第二十三条の二十五第二項第三号の規定による審査を適正に行うため特に必要があると認めるとき」に、薬事審議会の意見を聴いて、前項の期限を3年を超えない範囲内において延長することができる。

条件と期限を付ける承認は、第23条の26の2(緊急承認)にも置かれています。同条第1項の期限は「二年を超えない範囲内」です。その第1号は「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な再生医療等製品であり、かつ、当該再生医療等製品の使用以外に適当な方法がないこと」を要件に置いています。このページは第23条の26を扱います。

5. 承認された再生医療等製品は、どこで確かめられる?

PMDAが「新再生医療等製品の承認品目一覧」を、年度ごとに公表しています。2015年度から2026年度までの一覧が並んでいます。

同じページには、2017年度について「承認品目はありません」との注記があります。

2015年度から2026年度までという範囲と、2017年度の注記は、PMDAのページを2026年9月8日に確認した時点のものです。

原文の言い回しを見る(PMDA のページの記載)

PMDAの「新再生医療等製品の承認品目一覧」のページは、「新再生医療等製品として承認された品目について、年度ごとの一覧を掲載しています。」と書いています。

ページ上の年度の表記は令和8年度から平成27年度までで、「(注:承認品目はありません)」の注記が付いているのは平成29年度です。

同じページの末尾には、「再生医療等製品の添付文書・審査報告書・申請資料概要は 再生医療等製品 情報検索 から検索可能です。」という案内があります。添付文書は、製品に添えて使い方や注意を示す文書です。品目ごとの承認の内容を確かめる経路は、一覧と検索の2つです。

例

取引先の資料に、ある製品が日本で再生医療等製品として承認されている、と書かれていた場面で考えます。その記載をPMDAの公表資料で確かめる手順が、次の3つです。

  1. 年度別の一覧で品目を探す

    PMDA「新再生医療等製品の承認品目一覧」の年度別リンクをたどる。年度に承認品目が無い場合は一覧側に注記が付く。

  2. 品目ごとの資料を検索する

    同ページが案内する「再生医療等製品 情報検索」から、添付文書・審査報告書・申請資料概要を引く。

  3. 確認した日付を控える

    承認品目は年度ごとに追加されるため、一覧を見た日付を記録する。本ページの記載は2026年9月8日時点のもの。

細胞の分泌物を用いる製品がどう位置づけられるかは、この一覧とは別の論点です。『5-3 培養上清液・セクレトームは、どの法律のどこに入る?』で扱います。

6. 「再生医療等製品」と「再生医療等」は、同じ意味?

別の法律の別の言葉です。再生医療等安全性確保法は、再生医療等技術(細胞に培養などの加工をした物を用いる医療技術など)を用いて行われる医療を「再生医療等」と定義しています。

同法第2条第4項は、再生医療等に用いられる細胞加工物(細胞に培養などの加工をした物)のうち、再生医療等製品であるもの以外を「特定細胞加工物」としています。

2つの法律は、言葉の役割が違います。薬機法は、再生医療等製品を定義し、その製造販売に許可と承認を課しています。再生医療等安全性確保法(平成25年法律第85号)は、再生医療等を提供する者がとるべき措置を定めています。

「再生医療等」の定義

「再生医療等」の定義は、同法の第2条第1項にあります。この定義からは、薬機法の治験(承認に向けて人で確かめる試験)にあたるものが除かれています。

原文で確かめる(再生医療等安全性確保法 第2条第1項)

この法律において「再生医療等」とは、再生医療等技術を用いて行われる医療(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第八十条の二第二項に規定する治験に該当するものを除く。)をいう。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律 第2条第1項

同じ条の第2項は、「再生医療等技術」を医療技術として定義しています。その第1号に挙がるのが、細胞加工物(細胞に培養その他の加工をした物)を用いる医療技術です。

ただし第1号は、括弧書きで2つのものを除いています。どちらも、細胞加工物として、承認を受けた再生医療等製品だけを用いるものです。

1つ目は、承認された用法等(用法・用量・使用方法・効能・効果・性能)で用いるものです。2つ目は、人の生命や健康に影響を与えるおそれが承認された用法等と同程度以下のものとして、厚生労働省令で定める用法等で用いるものです。

ここでいう「承認を受けた再生医療等製品」は、薬機法の第23条の25または第23条の37の承認を受けたものを指します。

原文の言い回しを見る(第2条第2項第1号の括弧書き)

括弧書きが除いているのは、細胞加工物として再生医療等製品のみを「その承認に係る用法等」で用いるものと、「人の生命及び健康に影響を与えるおそれが当該承認に係る用法等と同程度以下のものとして厚生労働省令で定める用法等」で用いるものです。

同じ括弧書きは、「用法等」を「用法、用量、使用方法、効能、効果及び性能をいう」と定義しています。ここでいう再生医療等製品は、「医薬品医療機器等法第二十三条の二十五又は第二十三条の三十七の承認を受けた再生医療等製品をいう」としています。医薬品医療機器等法は、薬機法のことです。

「特定細胞加工物」

同じ条の第4項は、細胞加工物と特定細胞加工物を、次のように定義しています。

この法律において「細胞加工物」とは、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したものをいい、「特定細胞加工物」とは、再生医療等に用いられる細胞加工物のうち再生医療等製品であるもの以外のものをいう。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律 第2条第4項

つまり、再生医療等安全性確保法の定義は、承認を受けた再生医療等製品かどうかで、言葉を分けています。

例

冒頭の、クリニックの事務長の場面に戻ります。資料が「再生医療等製品」を法令の用語として使っていれば、薬機法が定める製品の区分を指します。「再生医療等」と書いていれば、再生医療等安全性確保法が定義する医療の言葉です。どちらの言葉かを見ると、製品の話か医療の提供の話かを区別しやすくなります。

第1種から第3種までの区分と、条番号の繰下げ(条の番号が後ろへずれること)については、『5-4 再生医療等安全性確保法の対象と第1〜3種は、どう決まる?』で扱います。

理解の確認

第2条第9項の第1号や第2号の書き方に合う細胞加工物でも、それだけでは再生医療等製品にあたるかどうかが決まらないのは、なぜですか?

第9項の冒頭の文(柱書き)が、挙げた物のうち「政令で定めるもの」に限っているからです。その政令である施行令第1条の2は、「別表第二のとおりとする」の一文だけを置いています。別表第二は、ヒト細胞加工製品・動物細胞加工製品・遺伝子治療用製品の3つのまとまりに、計11の名称を掲げています。範囲は法律と政令の2段で決まります。そのため、法律の書き方に合うことと、政令の別表に名称が掲げられていることの両方が要ります。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第2条第9項/薬機法施行令(昭和36年政令第11号)第1条の2・別表第二(法令確認日 2026-09-08)

条件と期限を付けた承認は、その期限が来た時点で、当然に効力を失いますか?

そうとは限りません。第23条の26第5項は、承認を受けた者に、期限(第2項の規定で延長されたときは延長後の期限)内に、改めて第23条の25第1項の承認を申請することを求めています。第6項は、その申請があって期限内に処分がされないときは、期限が過ぎても処分がされるまでの間は、条件及び期限を付した承認がなお効力を持つと定めています。つまり第1項の期限は、効力が切れる日というより「改めて申請をすべき期限」として置かれています。その後の効力は、申請と処分の関係で決まります。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第23条の26第1項・第2項・第5項・第6項(法令確認日 2026-09-08)

「再生医療等製品」と「再生医療等」が同じ意味にならないのは、2つの法律が何を対象にしているからですか?

薬機法は物を対象にしています。再生医療等製品について、仕事として製造販売するための許可(第23条の20)と、品目ごとの承認(第23条の25第1項)を課しています。再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)の第2条第1項は、再生医療等技術を用いて行われる医療そのものを「再生医療等」と定義しています。同法は、その提供者がとるべき措置を定めています。同条第4項は、再生医療等に用いられる細胞加工物のうち、再生医療等製品であるもの以外を「特定細胞加工物」と呼んでおり、承認を受けた製品かどうかで言葉が分かれます。対象が「物」か「医療の提供」か、という違いです。

根拠:薬機法(昭和35年法律第145号)第23条の20・第23条の25第1項/再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条第1項・第4項(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第1条、第2条第1項・第4項・第9項、第14条第2項、第23条の20、第23条の25、第23条の26、第23条の26の2 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条の2、別表第二(第一条の二関係) e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条、附則第1条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 新再生医療等製品の承認品目一覧(独立行政法人医薬品医療機器総合機構) PMDA(2026-09-08 確認)