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再生医療等安全性確保法の射程 — 第1〜3種と2025年の条番号繰下げ

再生医療等安全性確保法の第1種から第3種までの定義は、2025年5月31日から法第2条第7項・第8項・第9項に置かれています。第5項から第7項までとして引く解説は、令和6年法律第51号の施行前のものです。区分を分けるのは人の生命及び健康に与える影響の程度で、第1種と第2種の類型は施行規則第2条と第3条が掲げ、どちらにも当たらないものが第3種になります。区分が違うと、意見を聴く委員会・提供計画の提出先・提供を始められる時期・提供基準の範囲が変わります。

30秒でわかる要点

  • 第1種・第2種・第3種の定義は、2025年5月31日から法第2条第7項・第8項・第9項にある。空いた第5項と第6項には核酸等と特定細胞加工物等の定義が入ったので、旧番号のまま引くと別の定義に当たります。
  • 分かれ目は、人の生命及び健康に与える影響の程度。第1種の類型は施行規則第2条、第2種の類型は同第3条が掲げ、どちらにも当たらないものが第3種です。
  • 区分で変わるのは4点。意見を聴く委員会、提供計画の提出先、提供を始められる時期、遵守しなければならない提供基準の範囲です。第1種だけは、提出から90日の期間(延長・短縮あり)を経過するまで提供できません。

この法律は、どの医療技術を対象にしているのか

細胞加工物を用いる医療技術と核酸等を用いる医療技術のうち、政令で定めるものです。政令は、核酸等の側の対象を別表で限り、2つの類型から一定の技術を外しています。

範囲を定めているのは、法第2条第2項と再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令第1条です。

この法律(再生医療等の安全性の確保等に関する法律。平成25年法律第85号)が対象にするのは、法第2条第2項が掲げる2つの類型です。第1号が細胞加工物を用いる医療技術、第2号が核酸等を用いる医療技術で、この2つが「再生医療等技術」の外枠にあたります。

ただし、この2つに当たるものがすべて入るわけではありません。同項は対象を「政令で定めるもの」に限っており、その政令が再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令(平成26年政令第278号)第1条です。施行令は、細胞加工物の側から4つの医療技術を外し、核酸等の側は別表に掲げる物を人の体内で細胞に導入する医療技術に絞ったうえで、さらに2つを外しています。

法第2条第1項は、この法律でいう「再生医療等」を、再生医療等技術を用いて行われる医療(薬機法第80条の2第2項に規定する治験に該当するものを除く。)としています。第2条第2項の条文は培養上清液・セクレトームは、どの法律のどこに置かれているかに掲げています。

厚生労働省医政局研究開発政策課長が令和7年5月15日に発出した施行通知(医政研発0515第18号)は、この構造を2つの要件と政令の列挙に分けて書いています。

「再生医療等技術」とは、人の身体の構造若しくは機能の再建、修復若しくは形成又は人の疾病の治療若しくは予防を目的とした医療技術であって(要件1)、細胞加工物又は核酸等を用いるもの(要件2)のうち、次に掲げる医療技術以外のものをいう。

「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則」等の取扱いについて(令和7年5月15日 医政研発0515第18号)Ⅱ(1)

政令が列挙している医療技術

同通知Ⅱ(1)は、政令が列挙するものを「法の対象とならない医療技術として政令で列挙するもの」という見出しの下に並べています。掲げられているのは、次の6つです。

  • 施行令第1条第1号イ — 細胞加工物を用いる輸血
  • 施行令第1条第1号ロ — 移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(平成24年法律第90号)第2条第2項に規定する造血幹細胞移植
  • 施行令第1条第1号ハ — 人の精子若しくは未受精卵又は受精胚に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術(人の胚性幹細胞又は当該胚性幹細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術を除く。)
  • 施行令第1条第1号ニ — 既承認医療機器等を、当該既承認医療機器等について受けた承認又は認証に係る使用方法等で用いて人又は動物の細胞に培養その他の加工を施した細胞加工物のみを、当該使用方法等で用いる医療技術
  • 施行令第1条第2号イ — 既承認医療機器等を当該既承認医療機器等について受けた承認又は認証に係る使用方法等で用いて生成した核酸等のみを、当該使用方法等で用いる医療技術
  • 施行令第1条第2号ロ — 人の疾病の予防に使用されることが目的とされている医薬品のうち、外国において販売等が認められている核酸等(感染症の予防のために必要なものとして厚生労働大臣が定める核酸等に限る。)のみを用いる医療技術

核酸等の側は、対象そのものが別表で絞られています。施行令別表に掲げる物を、人の体内で当該人の細胞に導入する医療技術が、第2号に当たります。

別表第3号の「厚生労働省令で定める物」は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則(平成26年厚生労働省令第110号)第1条の3が、ヒストンと定めています。

別表第4号には「細胞の分泌物を除く。」という括弧書きが付いています。同じ括弧書きは、施行規則第2条第5号ニにも置かれています。

第2条第2項の第1号・第2号がこの内容になったのは、令和6年法律第51号が施行された令和7年5月31日からです。改正前の第2項にも第1号・第2号は置かれていましたが、そこに掲げられていたのは医療技術の目的でした。

第1号が「人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成」、第2号が「人の疾病の治療又は予防」で、細胞加工物を用いるものであることは柱書が書いていました。改正で、目的の列挙が柱書へ移り、号には用いる物による2つの類型が入っています。

細胞の分泌物を用いる医療技術について行政が示している記載と、改正法の附則が置いている検討規定は培養上清液・セクレトームは、どの法律のどこに置かれているかで扱います。

第1種・第2種・第3種は、何によって分かれるのか

分かれ目は、人の生命及び健康に与える影響の程度です。第1種と第2種に当たる技術は厚生労働省令が類型を掲げ、どちらにも当たらないものが第3種です。

定義は法第2条第7項から第9項まで、類型は施行規則第2条と第3条にあります。

分かれ目は、人の生命及び健康に与える影響の程度です。法第2条第7項から第9項までが、この観点で3つの区分を置いています。施行通知Ⅲも、法は再生医療等技術を第一種再生医療等技術・第二種再生医療等技術・第三種再生医療等技術の3つに分類し、それぞれに応じた手続を定めていると書いています。

このカードの「施行日」欄は、e-Gov 法令検索が現行として示している版の施行日です。この版は令和4年法律第68号による改正のもので、第7項から第9項までの内容が動いたのは、その1つ前の版(令和6年法律第51号、施行日2025年5月31日)です。以下、法の条文カードの日付欄はいずれも同じ意味です。

第7項と第8項は、どの技術が当たるかを厚生労働省令に委ねています。その省令が施行規則で、第一種の類型は第2条、第二種の類型は第3条に置かれています。第9項の第三種は、このどちらにも当たらないものです。

順にふるいへ掛ける形になっています。まず施行規則第2条の各号で第一種を拾い、次に第3条の各号で第二種を拾い、どちらにも掛からずに残ったものが第三種です。

この2つの条の柱書は、引いている法の項番号が違います。施行規則第2条の柱書は、令和7年厚生労働省令第15号(令和7年5月31日施行)で「法第二条第五項の厚生労働省令で定める再生医療等技術は」から「法第二条第七項の厚生労働省令で定める再生医療等技術は」に改められました。

施行規則第3条の柱書は、同じ改正の前後を通じて「法第二条第六項の厚生労働省令で定める再生医療等技術は」です(e-Gov 法令検索の施行日2025年4月1日版・施行日2025年5月31日版・現行版を比較。2026-09-08 確認)。現行法の第2条第6項は特定細胞加工物等・製造・特定細胞加工物等製造施設の定義で、第二種再生医療等技術の定義は第8項です。

施行通知も、法の側の構造を同じように書いています。

「第三種再生医療等技術」とは、第一種再生医療等技術及び第二種再生医療等技術以外の再生医療等技術をいうこととしており、第一種再生医療等技術及び第二種再生医療等技術に該当しない場合は、第三種再生医療等技術となる。分類については、図2を参考とすること。

令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅲ(1)法第2条第7項から第9項まで関係
表1:第1種・第2種・第3種の類型と、その根拠
区分掲げられている医療技術根拠
第1種人の胚性幹細胞、人工多能性幹細胞又は人工多能性幹細胞様細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術施行規則第2条第1号
第1種遺伝子を導入若しくは改変する操作を行った細胞又は当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術施行規則第2条第2号
第1種動物の細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術施行規則第2条第3号
第1種投与を受ける者以外の人の細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術施行規則第2条第4号
第1種人の体内で当該人の細胞(精子及び未受精卵並びに精子と未受精卵との受精により生ずる胚を除く。)に、イからニまでに掲げる物を導入する医療技術施行規則第2条第5号
第2種培養した幹細胞又は当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術施行規則第3条第1号
第2種培養した細胞又は当該細胞に培養その他の加工を施したものを用いる医療技術のうち人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成を目的とする医療技術施行規則第3条第2号
第2種細胞の相同利用ではない医療技術施行規則第3条第3号
第3種第一種再生医療等技術及び第二種再生医療等技術以外の再生医療等技術法第2条第9項

施行規則第2条第2号から第4号までと第3条第2号・第3号には、それぞれ前の号に掲げるものを除く旨の括弧書きが付いています。施行規則第3条の柱書は「法第二条第六項の厚生労働省令で定める再生医療等技術は、前条各号に掲げる医療技術以外であって、次のいずれかに該当する医療技術とする。」と定めています。第2条第5号ハの「前条に規定する物」は、施行規則第1条の3が施行令別表第3号の厚生労働省令で定める物としているヒストンです。

第2条第5号が掲げる、導入する物

表1の5行目の「イからニまで」は、同号が次のように分けているものです。

この第5号は、令和7年厚生労働省令第15号により令和7年5月31日から加わりました。施行日2025年4月1日版の施行規則第2条は、第1号から第4号までです。

第2条と第3条の規定を定め、又は改廃しようとするときは、厚生労働大臣は、あらかじめ厚生科学審議会の意見を聴かなければならないとされています(法第55条第2号)。同号は、法第2条第2項第1号・第2号、第7項および第8項の厚生労働省令と、法第40条第1項の特定細胞加工物等製造施設を定める厚生労働省令を挙げています。

第2種と第3種の境目にある「相同利用」は、どう定義されているのか

採取した細胞が、投与を受ける部位の細胞と同様の機能を持つ場合の投与方法をいいます。定義は施行規則第1条第4号に置かれています。

あてはめの例は、令和7年5月15日 医政研発0515第18号のⅢ2(3)に示されています。

「相同利用」が出てくるのは、施行規則第3条第3号です。同号は「細胞の相同利用ではない医療技術(前二号に掲げるものを除く。)」を第二種再生医療等技術として掲げています。第一種の類型にも第二種の類型にも当たらない技術が、法第2条第9項により第三種再生医療等技術になります。

その「相同利用」は、同規則第1条第4号に定義があります。

施行通知は、同じ語を「細胞加工物の投与方法」と書いたうえで、あてはめの例を挙げています。

「相同利用」については、採取した細胞が再生医療等を受ける者の再生医療等の対象となる部位の細胞と同様の機能を持つ細胞加工物の投与方法をいい、例えば、腹部から脂肪細胞を採取し、当該細胞から脂肪組織由来幹細胞を分離して、乳癌の術後の患部に乳房再建目的で投与することは相同利用に該当するが、脂肪組織由来幹細胞を糖尿病の治療目的で経静脈的に投与することは、脂肪組織の再建を目的としていないため相同利用には該当しない。また、末梢血を遠心分離し培養せずに用いる医療技術については、例えば、皮膚や口腔内への投与は相同利用に該当するが、関節腔内等、血流の乏しい組織への投与は相同利用に該当しない。

令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅲ 2 第二種再生医療等技術について(3)省令第3条第3号関係

通知が挙げているのは2つの例です。1つは脂肪組織由来幹細胞で、乳房再建の目的で患部に投与する場合と、糖尿病の治療目的で経静脈的に投与する場合とを分けています。

もう1つは、培養せずに用いる末梢血です。皮膚や口腔内への投与と、関節腔内等の血流の乏しい組織への投与とを分けています。どちらの例も、採取した細胞と投与する部位との関係を見ています。

区分が違うと、手続は何が変わるのか

変わるのは4点です。意見を聴く委員会、提供計画の提出先、提供を始められる時期、遵守しなければならない提供基準の範囲です。

根拠は法第7条・第8条・第9条・第11条と、令和7年5月15日 医政研発0515第18号のⅣおよびⅤです。

区分にかかわらず共通しているのは、再生医療等提供計画を出すことです。これは法第4条第1項が求めています。変わるのは、その先です。

提供計画の記載事項と手続は医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律で扱います。ここでは、区分によって変わる部分だけを見ます。

意見を聴く委員会と、提供計画の提出先

法第7条は第一種、法第11条は第二種について、提供計画に記載される認定再生医療等委員会が特定認定再生医療等委員会でなければならないとしています。「特定認定再生医療等委員会」は、法第7条の括弧書きにより、認定再生医療等委員会であって法第26条第4項各号に掲げる要件のいずれにも適合するものをいいます。

表2:区分ごとの、意見を聴く委員会と再生医療等提供計画の提出先
提供計画の種類意見を聴く認定再生医療等委員会提出先根拠
第一種再生医療等提供計画特定認定再生医療等委員会地方厚生局長を経由して厚生労働大臣法第7条/令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅴ
第二種再生医療等提供計画特定認定再生医療等委員会地方厚生局長法第11条/同通知 Ⅴ
第三種再生医療等提供計画認定再生医療等委員会地方厚生局長同通知 Ⅴ

「意見を聴く認定再生医療等委員会」と「提出先」の2列は、令和7年5月15日 医政研発0515第18号Ⅴが掲げている表の記載です。同通知Ⅴは、この表の前に「再生医療等を提供しようとする医療機関の管理者は、再生医療等提供計画について認定再生医療等委員会の意見を聴いた上で、あらかじめ、厚生労働大臣又は地方厚生局長に提出しなければならない。」と書いています。

提供を始められる時期

第一種には、提出から一定の期間が置かれています。この期間を経過するまでは、提供できません。

この期間は、法第8条第2項により延長されることがあり、同条第3項により短縮されることがあります。いずれの場合も、再生医療等提供機関の管理者への通知が求められています。法第10条第1項は、この2条を第一種再生医療等提供計画の変更に準用しています。

法第13条第2号は、医師又は歯科医師が第一種再生医療等を行おうとするときに、この期間が経過していることを確認しなければならないとしています。第二種および第三種について、これに当たる規定は置かれていません。

遵守しなければならない提供基準の範囲

再生医療等提供基準は、法第3条第1項に基づいて厚生労働省令で定められ、施行規則第4条により同規則第5条から第26条の13までがこれに当たります。施行通知Ⅳは、次のように書いたうえで、区分ごとの範囲を表で示しています。

省令第5条及び第6条は、第一種再生医療等及び第二種再生医療等の提供を行う医療機関が遵守すべき事項について規定するものであること。ただし、省令第5条第3項は、第三種再生医療等の提供を行う医療機関が実施責任者を置く場合は遵守すべきものであること。

令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅳ 再生医療等提供基準について
表3:提供する再生医療等の内容ごとの、遵守しなければならない事項
提供する再生医療等の内容遵守しなければならない事項根拠
第一種再生医療等省令第5条から第26条の13までに掲げる事項令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅳ
第二種再生医療等省令第5条から第26条の13までに掲げる事項令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅳ
第三種再生医療等省令第7条から第26条の13までに掲げる事項/省令第5条第3項に掲げる事項(実施責任者を置く場合に限る。)令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅳ

表の「省令」は再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則です。3行とも、令和7年5月15日 医政研発0515第18号Ⅳが掲げている表の記載を写しています。第三種の欄は第7条からとなっており、第5条第3項が実施責任者を置く場合に限って加えられています。

第5条と第6条の本文は、次のとおりです。

  • 施行規則第5条第1項 — 第一種再生医療等又は第二種再生医療等の提供を行う医療機関は、実施責任者を置かなければならない。同条第2項は、第三種再生医療等の提供を行う医療機関について「置くことができる」としている
  • 施行規則第6条 — 第一種再生医療等又は第二種再生医療等の提供を行う医療機関は、当該医療機関において再生医療等を受ける者に対し、救急医療を行うために必要な施設又は設備を有していなければならない。ただし書は、他の医療機関と連携することにより必要な体制があらかじめ確保されている場合を除いている

2025年5月31日に、第2条の条番号はどう動いたのか

第1種から第3種までの定義が、法第2条第5項から第7項までにあったものが、第7項から第9項までへ移りました。空いた第5項と第6項には、別の定義が入っています。

動かしたのは令和6年法律第51号(令和6年6月14日公布)で、施行日は令和7年5月31日です。

動いたのは第一種から第三種までの定義です。法第2条第5項から第7項までに置かれていたものが、第7項から第9項までへ2つずつ繰り下がりました。空いた第5項と第6項には、核酸等と特定細胞加工物等の定義が新しく入っています。

棚の段をずらしたうえで、空いた段に別の物を入れたようなものです。番号だけを頼りに引くと、同じ番号から別の定義が出てきます。

これを動かしたのが、令和6年法律第51号「再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律」です。同法は法第2条第2項の柱書と号を書き換え、核酸等と特定細胞加工物等の定義を新たに置きました。その結果、第2条の各項が置いている定義が入れ替わっています。

表4:再生医療等安全性確保法第2条の各項が置いている定義(令和7年5月31日の前後)
条項令和7年5月30日まで令和7年5月31日から
第2条第2項柱書=「次に掲げる医療に用いられることが目的とされている医療技術であって、細胞加工物を用いるもの(中略)のうち(中略)政令で定めるもの」/第1号=人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成/第2号=人の疾病の治療又は予防柱書=「人の身体の構造若しくは機能の再建、修復若しくは形成又は人の疾病の治療若しくは予防に用いられることが目的とされている医療技術であって、次に掲げるもののうち(中略)政令で定めるもの」/第1号=細胞加工物を用いる医療技術/第2号=核酸等を用いる医療技術
第2条第3項細胞(「この法律において」)細胞(「この法律(第五項を除く。)において」)
第2条第4項細胞加工物、特定細胞加工物、製造、細胞培養加工施設細胞加工物、特定細胞加工物
第2条第5項第一種再生医療等技術・第一種再生医療等核酸等、特定核酸等
第2条第6項第二種再生医療等技術・第二種再生医療等特定細胞加工物等、製造、特定細胞加工物等製造施設
第2条第7項第三種再生医療等技術・第三種再生医療等第一種再生医療等技術・第一種再生医療等
第2条第8項特定細胞加工物製造事業者第二種再生医療等技術・第二種再生医療等
第2条第9項(規定なし)第三種再生医療等技術・第三種再生医療等
第2条第10項(規定なし)特定細胞加工物等製造事業者

「令和7年5月30日まで」は e-Gov 法令検索の施行日2024年6月14日版、「令和7年5月31日から」は施行日2025年6月1日版の第2条によります(2026-09-08 確認)。第1項は、どちらの版でも「再生医療等」の定義です。

変わったのは、項の位置だけではありません。呼称も変わっています。旧第2条第4項の「細胞培養加工施設」は現行第2条第6項の「特定細胞加工物等製造施設」に、旧第2条第8項の「特定細胞加工物製造事業者」は現行第2条第10項の「特定細胞加工物等製造事業者」になりました。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

第一種再生医療等技術の類型を定める省令は、「法第二条第五項の厚生労働省令で定める再生医療等技術」として、第1号から第4号までを掲げている。

現行

「法第二条第七項の厚生労働省令で定める再生医療等技術」として、第1号から第5号までを掲げている。第5号は、人の体内で当該人の細胞に核酸等を導入する医療技術に関するもので、令和7年5月31日から加わった。

根拠:再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則第2条。e-Gov 法令検索の施行日2025年4月1日版と施行日2025年5月31日版の同条を比較して確認(2026-09-08 確認)

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

この法律・施行令・施行規則の取扱いを示した通知は、平成26年10月31日 医政研発1031第1号(厚生労働省医政局研究開発振興課長通知)である。

現行

令和7年5月15日 医政研発0515第18号(厚生労働省医政局研究開発政策課長)である。令和7年5月31日から適用され、旧通知は同日付けで廃止された。

根拠:令和7年5月15日 医政研発0515第18号 本文。同通知は「なお、本通知は改正法の施行の日(令和7年5月31日)から適用することとし、この施行に伴い、(中略)(平成26年10月31日付け医政研発1031第1号厚生労働省医政局研究開発振興課長通知)は、同日付けで廃止します。」と記載している

施行日ごとに何が変わったかは改正の時間軸 — 施行日別に変わった条文を追うで追えます。

要点

この法律の条項を引くときは、法・施行令・施行規則の3つを同じ時点の版でそろえます。第2条は、項の番号が動いただけでなく、空いた番号に別の定義が入っています。

特定細胞加工物等をつくる側には、法は何を求めているのか

医療機関が製造を委託できる相手を特定細胞加工物等製造事業者に限り、製造をしようとする者に、施設ごとの許可、外国での製造の認定、又は届出を求めています。

根拠は法第12条、第35条第1項、第39条第1項および第40条第1項です。

つくる側に置かれている規律は、2つです。1つは、医療機関が製造を委託できる相手を特定細胞加工物等製造事業者に限ること(法第12条)。もう1つは、製造をする施設ごとに、許可・認定・届出のいずれかの手続を置いていることです(第4章)。

「特定細胞加工物等」は、法第2条第6項が特定細胞加工物および特定核酸等をあわせて呼ぶ語で、その製造をする施設が「特定細胞加工物等製造施設」です。特定細胞加工物は、再生医療等に用いられる細胞加工物のうち再生医療等製品であるもの以外のもの(第2条第4項)、特定核酸等は、再生医療等に用いられる核酸等のうち医薬品および再生医療等製品であるもの以外のもの(第2条第5項)です。

再生医療等製品という薬機法上の区分は「再生医療等製品」— 薬機法に5つ目として置かれた区分で扱います。

製造をする側の手続は、第4章(第35条から第54条まで)に置かれています。施設ごとの手続は、次の3つです。

  • 法第35条第1項 — 特定細胞加工物等の製造をしようとする者(第40条第1項の規定に該当する者を除く。)は、特定細胞加工物等製造施設ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければならない
  • 法第39条第1項 — 外国において、本邦において行われる再生医療等に用いられる特定細胞加工物等の製造をしようとする者は、特定細胞加工物等製造施設ごとに、厚生労働大臣の認定を受けることができる
  • 法第40条第1項 — 病院若しくは診療所に設置されるもの等に限られた特定細胞加工物等製造施設において特定細胞加工物等の製造をしようとする者は、施設ごとに、厚生労働大臣に届け出なければならない

許可および認定の有効期間は、法第36条第1項(法第39条第2項において準用する場合を含む。)の政令で定める期間として、施行令第5条が5年としています。

法第2条第10項は、法第35条第1項の許可若しくは第39条第1項の認定を受けた者、または第40条第1項の規定による届出をした者を「特定細胞加工物等製造事業者」としています。法第12条の委託先は、この3つのいずれかに当たる者です。

令和6年法律第51号の附則は、特定核酸等の製造について経過措置を置いていました。

附則第6条は、施行の際現に特定核酸等の製造をしている者について、施行日から起算して6月を経過する日までの間(その期間内に許可の申請をした場合には、当該申請について許可又は許可の拒否の処分があるまでの間)は許可を受けないで製造を続けられるとし、附則第7条は届出について同じ期間を置いています。施行日は令和7年5月31日です。

現行の条文と通知は、どこで確かめられるのか

e-Gov法令検索で、法・施行令・施行規則を施行日ごとの版で見比べます。通知は発出元が公開している原文で確認します。

3つの法令は、いずれも「現行」として示される版の施行日が異なります。

この法律の内容は、法律・政令・省令の3層に分かれています。条番号を引くときは、この3つを同じ時点の版でそろえます。

  1. 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)— e-Gov 法令検索の法令ID 425AC0000000085
  2. 再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令(平成26年政令第278号)— 426CO0000000278
  3. 再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則(平成26年厚生労働省令第110号)— 426M60000100110

2026年9月8日に確認した時点で、e-Gov 法令検索が現行として示している版の施行日は、法が2025年6月1日、施行令が2025年5月31日、施行規則が2025年11月20日です。同じ「現行」でも施行日が異なります。

そのため、改正の前後を比べるときは、それぞれの沿革から版を選んで見比べます。法の現行版は令和4年法律第68号による改正のもので、令和6年法律第51号による改正は、その1つ前の版(施行日2025年5月31日)に入っています。施行日ごとに何が変わったかは改正の時間軸 — 施行日別に変わった条文を追うで追えます。

通知の側は、後から出た通知が前の通知を廃止することがあります。令和7年5月15日 医政研発0515第18号は、本文で適用日と旧通知の廃止を書いています(前掲)。手元の記述が現行の条文と食い違っていないかを確かめる手順は古い理解の一覧 — 現行の条文と食い違う記述を更新するで扱います。

理解の確認

2025年5月31日より後に法第2条第5項を引いても第一種再生医療等技術の定義が出てこないのは、条文に何が起きたからか。

第一種から第三種までの定義が第5項から第7項までにあったものが第7項から第9項までへ2つずつ繰り下がり、空いた第5項・第6項には核酸等と特定細胞加工物等の定義が新しく置かれたからです。項が削られたのではなく別の内容が入ったため、旧番号で引いても条文自体は表示され、取り違えたことに気づけません。棚の段をずらしたうえで、空いた段に別の物を入れた状態です。番号だけを頼りにせず、引き当てた条文の中身と、見ている版の施行日をあわせて確かめる必要があります。

根拠:再生医療等の安全性の確保等に関する法律第2条(e-Gov 法令検索の施行日2024年6月14日版と施行日2025年6月1日版の比較)/令和6年法律第51号(法令確認日 2026-09-08)

施行通知が、脂肪組織由来幹細胞を乳房再建の目的で患部に投与する場合と、糖尿病の治療目的で経静脈的に投与する場合とを分けているのは、相同利用の定義が何を見ているからか。

施行規則第1条第4号の「相同利用」は、採取した細胞が再生医療等の対象となる部位の細胞と同様の機能を持つ細胞の投与方法をいうものとされており、細胞の種類ではなく、採取した細胞と投与する部位との関係を定義しているからです。そのため同じ細胞でも、投与先が変われば結論が変わります。培養せずに用いる末梢血について、皮膚や口腔内への投与と、関節腔内等の血流の乏しい組織への投与とが分けられているのも同じ理由です。相同利用ではない医療技術は施行規則第3条第3号により第二種再生医療等技術に入るため、この線引きは第2種と第3種の境目に直結します。

根拠:再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則第1条第4号・第3条第3号/令和7年5月15日 医政研発0515第18号 Ⅲ2(3)省令第3条第3号関係(法令確認日 2026-09-08)

第一種だけ、提供計画の提出から一定の期間を経過するまで提供できないとされているのは、その期間に何が予定されているからか。

厚生労働大臣が、提供計画に記載された第一種再生医療等が再生医療等提供基準に適合していないと認めるときに変更その他必要な措置を命ずることができるのは、提出があった日から起算して90日以内に限られています(法第8条第1項)。法第9条の提供の制限は、この命令を出せる期間が終わるまで提供を止めるもので、期間は行政が計画を確かめる時間として置かれています。だから期間は固定ではなく、法第8条第2項により延長され、第3項により短縮されることがあり、その場合は通知された期間によります。法第13条第2号が、第一種を行おうとする医師又は歯科医師にこの期間の経過の確認を求めているのも同じ流れで、第二種・第三種にこれに当たる規定は置かれていません。

根拠:再生医療等の安全性の確保等に関する法律第8条第1項から第3項まで・第9条・第13条第2号(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)第2条・第3条・第4条・第7条〜第13条・第26条・第35条・第36条・第39条・第40条・第55条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。現行として示されている版は施行日2025年6月1日〈令和4年法律第68号〉、比較に用いた改正前の版は施行日2024年6月14日)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令(平成26年政令第278号)第1条・第5条・別表 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。現行として示されている版は施行日2025年5月31日)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則(平成26年厚生労働省令第110号)第1条第4号・第1条の3・第2条・第3条・第4条〜第6条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。現行として示されている版は施行日2025年11月20日、比較に用いた改正前の版は施行日2025年4月1日および施行日2025年5月31日)
  • 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行令」、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則」等の取扱いについて(令和7年5月15日 医政研発0515第18号、厚生労働省医政局研究開発政策課長)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律(令和6年法律第51号)附則第6条・第7条 衆議院 制定法律(2026-09-08 確認)。附則の本文は、e-Gov 法令検索に収録されている同法附則により確認