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海外製品を扱う・紹介するとき、薬機法はどう関わる? — 輸入の確認と紹介サイト

A社の担当者が、海外で作られたエクソソーム(細胞が外に出す小さな粒の一種)の製品を、自社のサイトで紹介しようとしています。資料には、海外で医薬品として承認されていると書かれています。注文は、海外の販売サイトで受けるそうです。海外の製品を扱う場面では、薬機法の「輸入」と「広告」という別々の決まりが、同時に関わります。まず押さえたいのは、外国での承認は、日本の承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)とは別のものだという点です。このページでは、海外での承認の扱い、紹介サイトについての行政の考え方、医薬品を輸入するときの手続を、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • 外国での承認は、日本の承認とは別:薬機法の承認は、品目ごとに厚生労働大臣が与えます。エクソソーム試薬の監視指導(行政が、決まりが守られているかを確かめて指導すること)について、厚生労働省は事務連絡(2024年7月)を出しています。事務連絡は、役所が、運用上の注意などを担当者あてに伝える文書です。この事務連絡は、諸外国で医薬品として承認等されている旨が説明されている製品を、指導の対象の一つに挙げています。
  • 承認などを受けずに医薬品を輸入するときは、原則として「確認」が要る:承認や認証を受けずに、または届出をせずに医薬品を輸入しようとする人は、厚生労働大臣の確認を受けなければなりません(第56条の2第1項)。確認は、申請書を出して、その輸入について厚生労働大臣に確かめてもらう手続です。認証は、国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めることです。届出は、決められた事項を行政に知らせる手続です。ただし、確認を受けることを要しない場合を、第56条の2第3項と施行規則第218条の2の4が定めています。決められた医薬品を、自分で使う目的で、決められた数量以下(塗り薬・貼り薬などの外用剤は24個など)で輸入する場合などです。この場合の対象からは、数量にかかわらず確認する必要があるものが除かれます。自分で使う目的というだけで、確認が要らなくなるわけではありません。
  • 紹介サイトが広告に当たるかは、個別に判断される:医薬品等(薬機法が扱う5つの製品)を海外から日本国内に販売するサイトなどを、紹介・誘導するサイトがあります。特定の医薬品名等を表示するこうしたサイトについて、厚生労働省の通知(2014年5月)のQ&Aは、広告に当たるかは「個別具体的に判断される」としています。同じQ&Aは、リンク先の事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合等には、医薬品等の広告に該当する可能性があるとしています。

1. 海外で承認されていれば、日本でも承認されたことになりますか?

なりません。両者は別のものです。厚生労働省の事務連絡(2024年7月)は、エクソソーム試薬について、海外で医薬品として承認等されていると説明された製品を、指導の対象に挙げています。

同じ事務連絡は、その時点で、エクソソーム試薬を含めエクソソーム等と称する製品に、薬機法に基づく承認を受けた医薬品は存在しないとして、留意を求めています(記2)。

薬機法の承認は、製品ごとに国が審査して、製造販売を認める手続です。条文では、品目ごとに厚生労働大臣が与えるものとして置かれています。外国での承認は、この承認とは別のものです。

この点に関わる記載が、厚生労働省の事務連絡(2024年7月)にあります。題名は「エクソソーム試薬に係る監視指導について」です。

事務連絡の本文は、「記」という見出しの下に、番号つきの項目を並べています(記1、記2…)。その記1は、エクソソーム試薬について、「以下の(1)から(6)までのいずれかに該当する製品については、指導を行うこと」として、6つの型を並べています。その2つ目の記1の(2)が、諸外国での承認等の説明です。

(2) 諸外国において、医薬品として承認等されている旨が説明されているもの

エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課)記1(2)

例

冒頭の場面で考えます。A社が紹介しようとしている製品は、エクソソーム試薬と称して売られているとします。その資料に、海外で医薬品として承認されていると書かれていたとします。

この説明は、記1の(2)が挙げる説明に当たるかが問題になり得ます。また、この説明は、日本で承認を受けているかどうかを示すものではありません。

記1の(1)から(6)までの全体と、この事務連絡が誰に何を求めた文書かは、『5-1 エクソソーム「試薬」は、どんなときに指導の対象?』で扱います。記3は、この指導の方針がエクソソーム等を称する製品に限られないとしています。製品がどの区分に置かれるかは、培養上清液・セクレトームは、どの法律のどこに入る?で検討しています。

外国で作られる品目にも、日本の承認を受ける道がある

外国で作られる品目について、日本の承認を定めた条文もあります。第19条の2第1項(第19条の2の、1つ目の段落)です。対象は、日本に輸出される医薬品・医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)・化粧品です。

外国でその製造等をする者から申請があったとき、厚生労働大臣は品目ごとに承認を与えることができます。承認の中身は、その者が選んだ日本の製造販売業者に、製造販売をさせることについてのものです。製造販売業者は、製造販売業の許可(製造や販売を仕事として行うために、国や都道府県から受ける許可)を受けている業者です。

同じ条の第3項の名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)は、「第一項の承認を受けようとする者」です。この者は、承認を申請する際に、日本の製造販売業者を選任しなければなりません。日本国内で、その品目による保健衛生上の危害の発生を防ぐ措置をとらせるためです。選任できるのは、その品目の種類に応じた製造販売業の許可を受けている業者に限られます。

承認を受けた者のほうは、同じ条の第4項が「外国製造医薬品等特例承認取得者」と定義しています。受けようとする者とは別の語です。

原文で確かめる(第19条の2第1項・第3項)

2. 海外の販売サイトを紹介するサイトは、広告に当たりますか?

厚生労働省の通知(2014年5月)のQ&Aで、5番目の答え(A5)は、紹介サイトが広告に当たるかどうかは、個別具体的に判断されるとしています。

同じA5は、紹介サイトがリンク先の事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合等には、医薬品等の広告に該当する可能性があるとしています。

この問いには、厚生労働省の通知(2014年5月)が、問答(Q&A)の形で答えています。通知は、国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。

そのQ5(5番目の問い)は、次のようなサイトを紹介・誘導しているサイトを「紹介サイト」と呼んでいます。

  • 医薬品等(薬機法が扱う5つの製品:医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)を、海外から日本国内に販売するサイト
  • 個人輸入代行(個人が海外から取り寄せる手続を、代わりに行うこと)をするサイト

Q5は、紹介サイトに特定の医薬品名等が表示されている場合を取り上げています。A5は、上の結論の箱の2点に加えて、リンク先のサイトだけが違反している場合もあるので留意するよう書いています。

Q5.医薬品等を海外から日本国内に販売するサイト又は個人輸入代行を行うサイトを紹介・誘導しているサイト(以下「紹介サイト」という。)において、特定の医薬品名等が表示されている場合には、当該紹介サイトが広告を行っていると見なしてよいか。

A5.当該紹介サイトが医薬品等の広告に該当するかどうかについては、個別具体的に判断されることとなるが、当該紹介サイトが、リンク先の販売又は輸入代行行為を行う主体となる事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合等には、医薬品等の広告に該当する可能性がある。なお、リンク先のサイトのみが薬事法違反の場合もあるので、留意されたい。

インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)A5。局名・法律名は発出当時の表記

例

冒頭のA社の場面を、Q5の前提にそろえて考えます。仮に、A社のサイトが紹介してリンクで誘導する先が、医薬品等を海外から日本国内に販売するサイトだとします。A社のページには、特定の医薬品名等が表示されています。

この場面では、たとえば、A社と、リンク先で販売を行う事業者が同一か、同一とみなせる関係にあるかが、問題になり得ます(A5)。A5が挙げる場合には「等」が付いています。これに当たらない場合も、広告に当たるかは個別具体的に判断されます。

このQ&Aは、それより前の通知(平成10年9月29日 医薬監第148号)が示した広告該当性の3要件を、インターネット上の表示に適用して答えたものです。広告該当性は、ある表示が広告に当たるかどうかのことです。3要件の中身、同じQ&AのQ1からQ5までの全体、A4の書き方は、『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱っているので、ここでは繰り返しません。供給する側から見た線は、『5-6 供給者の説明は、どこから「広告」になる?』にあります。

広告の側の条文は、名宛人を「何人も」(誰であっても)と書いている

広告の側の条文は、名宛人を「何人も」と書いており、販売する者に限っていません。その一つが第68条です。承認や認証をまだ受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品について、名称・製造方法・効能・効果・性能の広告を禁じています。対象の品目は、条文が条番号で定めています。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などです。

誰が規制されるのかは、『1-6 規制されるのは誰?』で扱います。第68条の内容そのものは、『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』にあります。個人輸入と代行業をめぐって広告が問題になる経路は、『6-9 個人輸入の代行業で、なぜ広告が問題になる?』にあります。

原文で確かめる(第68条)

輸入の手続を、申請者に代わって行う者については、輸入の側の条文にも記載があります。4. 確認を「しない」場合と「要しない」場合で扱います。

3. 医薬品を海外から輸入するには、どんな手続が要りますか?

承認や認証を受けずに、または届出をせずに医薬品を輸入しようとする者は、厚生労働大臣の確認を受けなければなりません(第56条の2第1項)。

申請書に書く事項と添付する書類は、施行規則(法律の細かい点を定めた厚生労働省令)の第218条の2の2が定めています。

第56条の2には、承認のほかに、認証と届出という手続が出てきます。認証は、国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めることです。届出は、決められた事項を行政に知らせる手続で、審査して認めるものではありません。

輸入という行為そのものには、第56条の2が条文を置いています。この条は、上の結論の箱に書いた者を、「申請者」と呼びます。

条文が挙げるのは、第14条・第19条の2・第23条の2の5・第23条の2の17の承認、第23条の2の23の認証、第14条の9・第23条の2の12の届出です。

申請者がすることは2つです。まず、厚生労働省令で定める事項を書いた申請書に、厚生労働省令で定める書類を添えて、厚生労働大臣に出します。そのうえで、その輸入について厚生労働大臣の確認を受けなければなりません。この確認は、「輸入の確認」と呼ばれます。

例

あるクリニックの医師が、日本で承認されていない医薬品を、診療に使う目的で海外から取り寄せようとしているとします。この場面では、第56条の2第1項の確認が問題になり得ます。

ただし、同じ条の第3項は、確認を受けることを要しない場合を定めています。4. 確認を「しない」場合と「要しない」場合で扱います。

申請書に何を書くか

申請書に書く事項は、施行規則第218条の2の2第1項が、11の号(番号つきの項目)にわたって定めています。物と数量のほか、輸入の目的と、手続に関わる人も書きます。

  • その医薬品の品目名(第1号)
  • その医薬品の数量(第2号)
  • 外国でその医薬品を製造する者の氏名(第3号)
  • 輸入の目的(第4号)
  • 輸入年月日(第5号)
  • 申請者の受けている製造販売業又は製造業の許可の種類(第6号)
  • 申請者の住所と医薬品の送付先が違う場合は、送付先の名称・住所・連絡先(第7号)
  • 申請者に代わって輸入の確認の申請に関する手続を行う者がいる場合は、その者の氏名・住所・連絡先(第8号)
  • その医薬品の輸入に係る船荷証券若しくは航空運送状又はこれらに準ずる書類の番号(第9号)
    船荷証券は船で、航空運送状は飛行機で荷物を送るときの書類です。
  • 輸入港又は蔵置場所(第10号)
    蔵置場所は、輸入した荷物を、税関の手続が済むまで置いておく場所です。
  • その他輸入の確認を行うために必要な事項(第11号)

申請は、様式第97の3(施行規則が定める書式)による申請書を、正副2通(正本と副本の2通)出して行うものとされています(同条第2項)。

添付する書類は、輸入の目的ごとに分かれている

添付書類は、同条第3項が定めます。その医薬品の仕入書の写しと、船荷証券若しくは航空運送状の写し又はこれらに準ずる書類は、目的を問わず共通です(第1号・第2号)。

そのうえで、輸入の目的ごとに5つの号が立てられています。

  • 個人的使用に供する目的(第3号)
  • 医師・歯科医師その他の医療従事者が、疾病の診断、治療又は予防等の目的で使用するため(第4号)
  • 試験研究の用(第5号)
  • 展示(第6号)
  • 外国に輸出した医薬品の再輸入(第7号)

例

輸入の目的(第1項第4号)は、どの申請でも申請書に書く事項です。上のクリニックの場面では、添付書類のうち、医療従事者が使うための号(第3項第4号)が関わり得ます。

ある研究室が、臨床試験その他の試験研究に使う目的で、医薬品を輸入するとします。第5号がこの場面で挙げる書類は、計画書その他の試験研究の内容を明らかにする書類です。

第6号の催しは、販売などの広告・宣伝を目的とせず、医薬品の研究開発・普及や学術研究の発展に役立つことを目的とした展示会などです。そうした催しに出す目的なら、第6号は、催しの内容を明らかにする書類と、商品説明書などの医薬品の詳細を明らかにする書類を挙げています。

原文で確かめる(施行規則第218条の2の2第3項第5号・第6号)

五 臨床試験その他の試験研究の用に供する目的で医薬品を輸入する場合にあつては、計画書その他の試験研究の内容を明らかにする書類

六 医薬品の販売その他の営業についての広告又は宣伝を目的とせず、医薬品の研究開発及び普及並びに学術研究の発展に資することを目的とした展示会、見本市その他の催しにおいて展示する目的で医薬品を輸入する場合にあつては、次に掲げる書類 イ 当該展示会、見本市その他の催しの内容を明らかにする書類 ロ 商品説明書その他の当該医薬品の詳細を明らかにする書類

薬機法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第218条の2の2第3項第5号・第6号。参照した版は版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026-06-19

輸入の確認とは別に、輸入・販売にどの業許可が要るかという問いがあります。そちらは『1-9 医薬品や化粧品を輸入するとき、何が要る?』で扱います。

本ページが参照した施行規則は、e-Gov 法令検索の版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104 です。版IDは、改正ごとの版を見分ける番号です。この版の施行日(決まりが効力を持ち始める日)は 2026-06-19 です。同法令には、2026年8月24日施行の版(版ID 336M50000100001_20260824_508M60000100133)もあります。その本文を取得できていないため、同日の改正の内容は、このページに反映されていない可能性があります。

4. 確認を「しない」場合と「要しない」場合は、どう違いますか?

「しない」は、申請しても、厚生労働大臣の確認が出ない場合です(第56条の2第2項)。「要しない」は、そもそも確認を受けなくてよい場合です(同条第3項)。

どちらも、具体的な場合や数量は施行規則が受けて定めています。

名前は似ていますが、置かれている項が違います。法律と施行規則の二階建ての作りになっている点は、どちらも同じです。

直感的なポイント

役所の窓口にたとえると、「確認をしない」は、申し込んでも窓口で断られる場合です。「確認を受けることを要しない」は、窓口に行かなくてよい場合です。

確認を「しない」とされている場合(第2項)

第2項は、厚生労働大臣が確認をしない場合を、2つの号に分けています。

  • 第1号 申請者が、販売又は授与(無料で渡すこと)の目的で輸入するおそれがある場合として、「厚生労働省令で定める場合」。条文は、個人で使うもので、売り買いの対象にならないと認められる程度の数量を超えて輸入する場合を、その例に挙げています。
  • 第2号 輸入が不適当と認められる場合として、「厚生労働省令で定める場合」。条文は、その例として、違反行為から2年を経過していない場合を挙げています。対象になるのは、申請者と、申請者に代わって確認の申請に関する手続をする者の違反です。問われるのは、薬機法・麻薬及び向精神薬取締法・毒物及び劇物取締法と、政令(内閣が定める決まり)で定めるそのほかの薬事に関する法令です。これらに基づく処分への違反も含みます。
原文で確かめる(第56条の2第2項)

省令の側では、施行規則第218条の2の3が受けています。同条第1項は、法第56条の2第2項第1号を6つの場合に分けています。数量が個人で使う程度を超える場合のほか、医療従事者による使用・試験研究・展示・再輸入のそれぞれについて、「輸入する必要があると認められない場合」を並べています。第6号は「前各号に掲げる場合に準ずる場合」です。

同条第2項は、法第56条の2第2項第2号を受けて、申請者又は申請者に代わって手続をする者の違反行為から2年を経過していない場合を定めています。同項には、「ただし、」で始まる例外の文(ただし書)もあります。申請者が医薬品の製造販売業者又は製造業者で、試験研究の用に供する目的で輸入しようとする場合です。この場合には、同項の定め(違反行為から2年を経過していない場合)は当てはまりません(条文では「この限りでない」)。

例

ある人が、自分で使うと言いながら、個人で使う程度を超える数量の医薬品を輸入しようとしているとします。この場面では、法第56条の2第2項第1号の「確認をしない」場合に当たるかが問題になり得ます。

手続を代わりに行う者も、条文に出てくる

輸入の確認では、申請者に代わって手続をする者も、条文に名前が出てきます。施行規則第218条の2の2第1項第8号は、申請書の記載事項として「申請者に代わつて輸入の確認の申請に関する手続を行う者」の氏名・住所・連絡先を挙げています。上で見たとおり、法第56条の2第2項第2号は、同じ者の法令違反を、確認をしない場合の要素として挙げています。

例

B社が、個人から頼まれて、輸入の確認の申請手続を代わりに行うとします。申請書には、手続を行うB社の氏名・住所・連絡先を書くことになっています(第8号)。

B社が、上の第2号で挙げた法令(又はそれに基づく処分)に違反し、違反行為があった日から2年を経過していないとします。この場合は、法第56条の2第2項第2号の場合に当たるかが問題になり得ます。

確認を受けることを要しないとされている場合(第3項)

第56条の2第3項は、第1項の規定にかかわらず、確認を受けなくてよい場合を2つの号で定めています。そのうち第2号は、「厚生労働省令で定める数量」以下の医薬品を、自ら使う目的で輸入する場合などです。対象の医薬品は、第14条の3第1項第2号に規定する医薬品その他の厚生労働大臣が定める医薬品です。この数量を定めたのが、施行規則第218条の2の4第1項の表(表1)です。

表1:確認を要しない数量(施行規則第218条の2の4第1項)
医薬品使用数量
外用剤(毒薬、劇薬、処方箋医薬品、トローチ剤、舌下錠、付着錠、ガム剤、坐剤、膣錠、膣用坐剤及びバッカル錠を除く。)24個
毒薬、劇薬及び処方箋医薬品用法及び用量からみて1月間の使用数量
外用剤、毒薬、劇薬及び処方箋医薬品以外の医薬品用法及び用量からみて2月間の使用数量

出典:薬機法施行規則第218条の2の4第1項。参照した版は、版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104(施行日 2026-06-19)です。表の上欄(表の左の列)には「これらに準ずるものを含む」と書かれています。数量は、同項の表の下欄(右の列)の記載です。2026年8月24日施行の版(版ID 336M50000100001_20260824_508M60000100133)は本文を取得できていません。同日の改正は、この表に反映されていない可能性があります。

表1は、左の列が医薬品の種類、右の列が数量の上限です。

  • 外用剤(塗り薬・貼り薬など、体の外から使う薬) 24個。毒薬・劇薬(毒性などが強いため、法律にもとづいて指定されている医薬品)・処方箋医薬品と、トローチ剤・坐剤などは、この行から除かれています。
  • 毒薬・劇薬・処方箋医薬品 用法及び用量からみて1月間(ひと月分)の使用数量。
  • 外用剤・毒薬・劇薬・処方箋医薬品以外の医薬品 用法及び用量からみて2月間(ふた月分)の使用数量。

同条第2項は、確認を受けることを要しない場合を、3つの号で挙げています。

  • 第1号 申請者が自ら使う目的で輸入する場合です。表1の数量以下のものを携帯して持ち込むか、申請者が住所地で受け取る場合などが挙げられています。ただし、数量にかかわらず確認する必要があるものは、条文の括弧書き(括弧の中の文)で除かれています。
  • 第2号 承認や認証の申請をした者が、その申請に係る医薬品を輸入する場合です。対象は、法第14条、第19条の2、第23条の2の5若しくは第23条の2の17の承認又は第23条の2の23の認証の申請です。
  • 第3号 「その他当該医薬品の輸入が、法令に違反して販売又は授与を行うおそれがないものであることが明らかな場合」です。
原文で確かめる(施行規則第218条の2の4第2項第1号)

一 申請者が自ら使用する目的で輸入する場合であつて、前項の表の上欄に掲げる医薬品(数量にかかわらず医薬品を自ら使用する目的で輸入する場合に該当するか否かについて確認する必要があるものを除く。)で、それぞれ同表の下欄に定める使用数量以下のものを携帯して輸入し、又は申請者がその住所地で当該医薬品を受け取る場合その他これに準ずる場合

薬機法施行規則第218条の2の4第2項第1号(版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026-06-19)

例

ある人が、自分で使う目的で、外用剤を海外から携帯して持ち帰るとします。表1で、外用剤(毒薬・劇薬・処方箋医薬品と、トローチ剤・坐剤などを除くもの)の数量は24個です。

これを超える数量なら、施行規則第218条の2の4第2項第1号が挙げる場合には当たりません。24個以下でも、数量にかかわらず確認する必要があるものに当たれば、同じくこの第1号には当たりません。

この例は、この第1号に当たらない場合を示すものです。ほかの条件を満たせば確認が要らない、と言い切るものではありません。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

自分で使う分の医薬品であれば、数量にかかわらず手続なしで輸入できる。

現行

確認を受けることを要しない場合は、法第56条の2第3項の各号と、これを受ける施行規則第218条の2の4が定めている。数量は同条第1項の表が医薬品の区分ごとに定め、同条第2項第1号は表の上欄に掲げる医薬品から一部を括弧書きで除いている(表1と本文を参照)。

根拠:薬機法第56条の2第3項第2号、薬機法施行規則第218条の2の4第1項・第2項(版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026-06-19)。e-Gov 法令検索で条番号から確認できます。

5. 化粧品や医療機器などの輸入にも、同じ決まりがありますか?

準用(必要な読み替えをして、同じ条文を使うこと)という形で及びます。化粧品は第62条、医療機器は第64条などが、第56条の2を準用しています。

医薬部外品は第60条、再生医療等製品は第65条の4が準用しており、読み替えの中身はそれぞれの条に書かれています。

第56条の2は、医薬品の取扱いを定める節に置かれています。ほかの区分については、区分ごとの節に準用の条があります。どの条がどの範囲を準用しているかは、条文ごとに違います。

表2:第56条の2(輸入の確認)を準用している条
区分準用の条条文が準用の対象として挙げている範囲
医薬部外品薬機法 第60条第51条、第52条第2項及び第53条から第57条まで
化粧品薬機法 第62条第51条、第52条第2項及び第53条から第57条まで
医療機器薬機法 第64条第53条から第55条の2まで及び第56条の2
再生医療等製品薬機法 第65条の4第51条、第53条から第55条の2まで、第56条の2、第57条、第57条の2第1項及び第58条

出典:薬機法(昭和35年法律第145号)第60条・第62条・第64条・第65条の4。第64条・第65条の4は「第五十六条の二」を条番号で明示して準用しています。第60条・第62条は、準用の範囲を「第五十三条から第五十七条まで」と書いています。そのうえで、読み替えの規定の中で「第五十六条の二第一項中(中略)とあるのは(中略)と、同条第三項第二号中(中略)とあるのは(中略)と読み替えるものとする」としています。これにより、第56条の2が準用の対象に含まれることを、条文自身が示しています。版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21。

表2は、左から、区分・準用している条・その条が準用すると書いている範囲の順です。範囲の中に第56条の2が入っていることは、表の下の注で確かめています。

例

C社が、承認を受けず、届出もしていない化粧品を、海外から輸入しようとしているとします。化粧品については、第62条が第56条の2を準用しています。この場面では、輸入の確認が問題になり得ます。

読み替えの中身は、各条の後段に並んでいます。第62条は、化粧品について、第56条の2を次のように読み替えます。

  • 第1項中
    読み替え前:「第十四条、第十九条の二、第二十三条の二の五若しくは第二十三条の二の十七の承認若しくは第二十三条の二の二十三の認証」
    読み替え後:「第十四条若しくは第十九条の二の承認」
  • あわせて
    読み替え前:「第十四条の九若しくは第二十三条の二の十二」
    読み替え後:「第十四条の九」
  • 同条第3項第2号中
    読み替え前:「第十四条の三第一項第二号に規定する医薬品その他の厚生労働大臣」
    読み替え後:「厚生労働大臣」

第60条も、医薬部外品について同じ読み替えを置いています。区分ごとに承認・認証の条が異なるためです。

ある製品がどの区分に当たるかは、この表からは決まりません。医療機器に当たるかどうかは『4-3 医療機器か雑貨かは、何で分かれる?』で扱います。再生医療等製品という区分は、『1-5 「再生医療等製品」とは、どんな製品?』で扱います。医薬品の定義は、『1-2 「医薬品」とは、法律上どんな物?』にあります。

6. 輸入した未承認の製品を売る・配ることは、どう定められていますか?

第55条第2項が禁じています。日本の認定などを受けていない外国の製造所で作られた医薬品や、承認を受けずに製造販売をされた医薬品などの販売・授与等が対象です。

医療機器は第64条、再生医療等製品は第65条の4が、それぞれ第55条を準用しています。

輸入した後の取扱いは、第55条にあります。第1項は、表示等の規定に違反する医薬品について、販売・授与と、そのための貯蔵・陳列を禁じています。

第2項は、第1項と同じ禁止を、次の医薬品にも及ぼしています。

  • 外国にある製造所のうち、第13条の3第1項の認定や、定められた登録を受けていないところで製造された医薬品
  • 第13条第1項などの規定に違反して製造された医薬品
  • 承認を受けずに(第14条第1項などの規定に違反して)製造販売をされた医薬品

第13条の3第1項の認定は、日本に輸出される医薬品などを外国で製造しようとする者が、厚生労働大臣から受ける認定です。

医薬部外品は第60条、化粧品は第62条も、第55条を準用しています。表2の右の列の範囲にも、第55条が入っています。

例

D社が、海外の工場で作られた医薬品を輸入し、国内で売るために倉庫で保管しているとします。その工場が、第13条の3第1項の認定などを受けていない外国の製造所であれば、第55条第2項が問題になり得ます。

売る前の保管も、販売の目的での貯蔵として、禁止される行為に含まれています。

原文で確かめる(第55条)

無承認無許可医薬品(必要な承認や許可を受けずに作られたり売られたりしている医薬品)について、厚生労働省は次のように書いています。

無承認無許可医薬品は、日本の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされていません。

無承認無許可医薬品情報(厚生労働省)本文。同ページの照会先は医薬局監視指導・麻薬対策課

第55条が引く条番号は、2027年5月20日に施行される改正で、第1項・第2項ともに変わります。改正法は、令和7年法律第37号です。第1項・第2項の条番号は、次のように変わります。

  • 第1項
    改正前:「第六十八条の二第一項、第六十八条の二の三、第六十八条の二の四第二項又は第六十八条の二の五」
    改正後:「第六十八条の二の三第一項、第六十八条の二の五、第六十八条の二の六第二項又は第六十八条の二の七」
  • 第2項
    改正前:「第十四条第一項若しくは第十三項」
    改正後:「第十四条第一項若しくは第十四項」

条名は第55条のままです(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037 で確認)。施行日別の変更は『8-6 2025年の薬機法改正は、いつから、どの条が変わる?』にまとめてあります。

違反があったときに行政がとる手段は、行政指導(役所が、法的な強制力なしに協力を求めて行う指導)から刑事罰まで、複数の経路に分かれています。全体像は『6-1 薬機法に違反すると、どうなる?』にあります。

広告に係る措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)は、『6-5 違反広告の措置命令では、何を命じられる?』(第72条の5)で扱います。法定刑は、『6-7 薬機法に違反すると、どんな刑罰がある?』で扱います。

理解の確認

海外で医薬品として承認等されていると説明された製品を、厚生労働省の事務連絡(2024年7月)が指導の対象に挙げているのは、なぜですか?

薬機法の承認は、厚生労働大臣が品目ごとに与えるものだからです。外国で作られる品目についても、第19条の2第1項は、品目ごとに承認を与える形をとっています。日本に輸出されるものについて、外国でその製造等をする者から申請があったときに与える承認です。外国での承認が、そのまま日本の承認になる経路は、条文に置かれていません。つまり、諸外国での承認等は日本の承認とは別のもので、その説明は、日本で承認を受けているかどうかを示しません。事務連絡は、こうした説明がされている製品を、記1の(2)として指導の対象に並べています。

根拠:エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡)記1(2)、薬機法第19条の2第1項(法令確認日 2026-09-08)

「自分で使う分の医薬品であれば、数量にかかわらず手続なしで輸入できる」という説明は、条文のどこと食い違いますか?

自分で使う目的でも、確認が要らない数量には上限があります。外用剤は24個、毒薬・劇薬・処方箋医薬品は用法及び用量からみて1月間、それ以外は2月間の使用数量です。この上限は、施行規則第218条の2の4第1項の表が、医薬品の区分ごとに置いています。確認を受けることを要しない場合は、法第56条の2第3項の各号と、これを受ける施行規則のこの条が定めています。施行規則の同じ条の第2項第1号は、表の上欄の医薬品のうち、数量にかかわらず確認する必要があるものを、括弧書きでさらに除いています。法の側でも、第56条の2第2項第1号が、厚生労働大臣が確認をしない場合を挙げています。個人で使うもので、売り買いの対象にならないと認められる程度の数量を超える輸入が、その一つです。自分で使う目的というだけで、確認が要らなくなるわけではありません。

根拠:薬機法第56条の2第2項第1号・第3項第2号、薬機法施行規則第218条の2の4第1項・第2項第1号(版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026-06-19。法令確認日 2026-09-08)

自分では販売していない紹介・誘導サイトでも、広告に該当する可能性があるとされるのは、行政のQ&Aが何を見ているからですか?

サイトの形の上の役割ではなく、リンク先の主体との関係を見ているからです。A5は、まず、広告に当たるかは個別具体的に判断されるとしています。そのうえで挙げているのが、紹介サイトが、リンク先の販売又は輸入代行行為を行う主体となる事業者と同一である場合や、同一とみなせるような場合等です。そうした場合には、広告に該当する可能性があるとしています。広告の側の条文である第68条も、名宛人を「何人も」と書いており、販売する者に限っていません。あわせてA5は、リンク先のサイトのみが法令に違反している場合もあるとして、両者を切り分けて見ることにも触れています。

根拠:インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号)A5、薬機法第68条(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第19条の2・第55条・第56条の2・第60条・第62条・第64条・第65条の4・第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。参照した版は版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第218条の2の2・第218条の2の3・第218条の2の4 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。参照した版は版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026-06-19。同法令には2026年8月24日施行の版〈版ID 336M50000100001_20260824_508M60000100133〉が存在しますが本文を取得できておらず、同日の改正内容は反映されていない可能性があります)
  • エクソソーム試薬に係る監視指導について(令和6年7月31日 事務連絡、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課)記1(2)・記2・記3 厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
  • インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集(Q&A)について(平成26年5月22日 薬食監麻発0522第9号、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知。局名は発出当時の表記)A5 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 無承認無許可医薬品情報(厚生労働省 医薬局監視指導・麻薬対策課)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 2027年5月20日施行版(令和7年法律第37号による改正後・未施行)第55条第1項・第2項・第56条の2・第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)