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医療機器か雑貨かは、何で分かれる? — 定義の読み方と行政の資料の例

手袋は、病院の手術や検査でも、家の掃除でも使われます。東京都の資料『雑貨等の広告について(薬事該当性)』は、手袋には医療機器と雑貨の両方があるとしています。分かれ目は、形や仕組みではなく、その物が何に使うためのものとされているか(使用目的)です。このページでは、定義の読み方、東京都の資料が挙げる手袋・体温計・集音器などの例、医療機器に当たると決まる手続、迷ったときの確認先を説明します。

30秒でわかる要点

  • 分かれ目は、物ではなく使用目的:医療機器の定義が「目的とされている機械器具等」(機械や器具、プログラムなど)と書いているためです。東京都の資料は、医療機関等で患者と使う人を交差感染(人から人へ感染がうつること)から守るため、手術・検査等で使う手袋を医療機器に該当するとしています。掃除用・園芸用等で、単に手に汚れがつかないことを目的とする手袋は、薬事非該当(薬機法の製品の区分に当たらないという整理)としています。
  • 医療機器でなくても、薬機法の外とは限らない:薬機法が扱う製品には、医薬品・医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)・化粧品などもあります。東京都の資料は、「除菌」を目的とするものの項で、殺菌による菌の除去を明らかに目的としている場合は、医薬品か医薬部外品に該当するとしています。保湿成分を含み、着ることで成分による肌への保湿効果を目的とする肌着は、化粧品に該当するとしています。
  • 迷ったら、所管の窓口で確かめる:医療機器に当たるかどうか(該当性)の相談先は、所管の都道府県の薬務主管課(都道府県で薬事を担当する課。名称は自治体により異なります)です。プログラム(ソフトウェア)の医療機器該当性の相談は、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の相談窓口が、一元的に(1か所で)受けています。

1. 同じ物が、医療機器にも雑貨にもなるのはなぜですか?

医療機器の定義が「目的とされている」と書いているからです。物の材質や仕組みではなく、その物に与えられた使用目的で分かれます。

東京都の資料は、この点を、同じ種類の物に医療機器と雑貨の両方があるという形で説明しています。

医療機器の定義は、薬機法第2条第4項にあります。条文は、医療機器の要件の1つとして「目的とされている機械器具等」と書いています。条文の全文は2.の節で見ます。

この点を例で示しているのが、東京都保健医療局健康安全部薬務課の『雑貨等の広告について(薬事該当性)』です(以下「東京都の資料」)。表題の「薬事該当性」は、薬機法の対象の製品に当たるかどうかのことです。

例

冒頭の手袋について、東京都の資料は次のように分けています。

・医療機器に該当:医療機関等で、患者と使う人を交差感染(人から人へ感染がうつること)から守るため、手術・検査・検診・治療行為等で使うもの

・薬事非該当:その目的以外(掃除用・園芸用等)で、単に手に汚れがつかないことを目的とするもの

「薬事非該当」は、薬機法の製品の区分に当たらないという整理です(5.の節)。同じ資料は、はさみも、手術用は医療機器、文房具や理美容で使うものは「いわゆる雑貨」と並べています。

原文で確かめる(東京都の資料「手袋」の項)

Q 医療機器には該当しない?

A 医療機器と雑貨の両方が存在する。【医療機器】医療機関等で患者及び使用者を交差感染から守るため、手術、検査、検診、治療行為等で使用するものは、医療機器に該当。【雑貨】上記の目的以外(掃除用・園芸用等)で、単に手に汚れがつかないことを目的とするものは薬事非該当

雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)「手袋」の項

東京都の資料が示している範囲

東京都の資料は、東京都が都内の事業者向けに公開しているものです。全国一律の基準として出された通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)ではありません。ほかの道府県の運用が、ここに書かれているとおりとは限りません。

この資料は、項によって、末尾に【参考】として厚生労働省の通知の表題を掲げています。ただし、どの記述が通知の文言で、どこが都の記載かは、資料の上では区別されていません。このページは、それらの通知の原文を確認していません。

2. 医療機器の定義は、法律のどこに書かれていますか?

薬機法第2条第4項です。使用目的の要件と、政令(法律を受けて内閣が定める決まり)で定めるものであることの両方を満たす機械器具等が、医療機器にあたります。

その政令は薬機法施行令で、第1条が、医療機器を別表第一(施行令に付いている表)のとおりとしています。

薬機法は、製品の区分の定義を第2条にまとめて置いています。医療機器の定義は、その第4項です。

この1文には、3つの要素が入っています。

  • 使用目的:人や動物の病気の診断・治療・予防に使うこと。または、人や動物の体の構造や働きに影響を与えること。このどちらかが目的とされていることです。
  • 機械器具等であること:機械や器具のほか、プログラムなども入ります(下の「機械器具等」の説明)。再生医療等製品(人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品など)は除かれます。
  • 政令で定めるもの:条文は、使用目的を書いたうえで、どの物を医療機器とするかを「政令で定めるもの」として政令に任せています(委任)。

つまり、医療機器の範囲は、第2条第4項の1か条だけでは決まりません。

直感的なポイント

扉が2枚ある入口を思い浮かべてください。1枚目の扉は使用目的、2枚目の扉は施行令の別表第一です。2枚とも通った物が、条文の上で医療機器になります。1枚目を通っても、2枚目で止まれば、医療機器にはなりません。

原文で確かめる(薬機法施行令第1条)

「機械器具等」がどこまでを指すか

「機械器具等」の中身は、医療機器の定義ではなく、医薬品の定義(第2条第1項第2号)の括弧書きに書かれています。

そこに並んでいるのは、機械器具・歯科材料・医療用品・衛生用品です。さらに、プログラム(コンピュータへの指令を、1つの結果が得られるように組み合わせたもの)と、それを記録した記録媒体も入ります。

同じ号と第3号は、医薬品を「機械器具等でないもの」に限っています。機械器具等にあたるかどうかで、医薬品の側に入るか、医療機器の側に入るかの入口が分かれています。

原文の言い回しを見る(第2条第1項第2号の括弧書き)

第2条第1項第2号は、機械器具等を「機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう」と定義しています。

例

機械器具等にプログラムが入るため、スマートフォンのアプリのようなプログラムも、医療機器に当たるかどうかが問題になり得ます。相談先は7.の節で見ます。

別表第一の各項目は、このページでは引用していません。表がどんな区分で並んでいるかは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の「医療機器 添付文書等情報検索」の類別欄で見られます。並びは、AからFの6つです。

  • A 機械器具等(A0100 手術台及び治療台からA8400まで)
  • B 医療用品
  • C 歯科材料
  • D 衛生用品
  • E プログラム
  • F プログラムを記録した記録媒体

3. 行政の資料は、どんな物をどちらに分けていますか?

東京都の資料は、使用目的で分けています。たとえば、ヒトの体温を測るものは医療機器に該当し、ヒト以外の料理・飲み物・風呂等の温度を測る目的のものは薬事非該当としています。

表1は、その資料の各項の記載を、対象・扱い・根拠の順に並べたものです。

東京都の資料は、物ごとに項を立てています。そして、医療機器に当たる場合と当たらない場合を並べて書いています。表1の読み方は次のとおりです。

  • 対象:資料が挙げている物の書きぶりです。多くの行で、物の名前だけでなく、何のために使うものかまで書かれています。ここが使用目的にあたる部分です。
  • 扱い:○は、資料が医療機器に該当する(または薬事該当とする)行です。×は、そうでない行です。
  • 根拠:その記載がある、資料の項の名前です。

表の中の「標ぼう」は、広告や表示で、効き目や使い道をうたうことです。

表1:東京都『雑貨等の広告について(薬事該当性)』が挙げている区分の例
対象扱い根拠
医療機関等で患者及び使用者を交差感染から守るため、手術、検査、検診、治療行為等で使用する手袋 医療機器に該当 同資料「手袋」の項
掃除用・園芸用等、単に手に汚れがつかないことを目的とする手袋 薬事非該当 同資料「手袋」の項
不織布等でできており、単に物理的な除去を目的とするマスク 薬事非該当 同資料「マスク(不織布等)」の項
ヒトの体温を測定するもの 医療機器に該当 同資料「体温計・サーモグラフィ装置」の項
ヒト以外の料理・飲み物・風呂等の温度測定を目的とするもの 薬事非該当 同資料「体温計・サーモグラフィ装置」の項
聴力障害(老人性のものも含む)者の聴力を補助する目的を持つもの 医療機器に該当 同資料「聴力補助・集音器具」の項
健常者を対象とし、騒がしい環境等の中で遠くの音や特定の音域の音を拡張して聞くことを目的とするもの 該当しない場合 同資料「聴力補助・集音器具」の項
疾病の診断や医療機関への受診勧奨を目的とするもの、「パルスオキシメータ」と標ぼうするもの、医療機器である旨を暗示させるもの 医療機器と判断 同資料「パルスオキシメータ(SpO2測定機器)」の項(参考として令和4年2月3日付 薬生監麻発0203第1号を掲記)
健康な者を対象として、運動におけるトレーニングの効果効率の向上、運動強度の管理を目的とするもの 雑貨でも標ぼう可能 同資料「パルスオキシメータ(SpO2測定機器)」の項
筋肉の運動のみを目的としている筋肉運動補助器具 医療機器非該当 同資料「筋肉運動補助器具」の項
タトゥー施術行為に使用することを目的とした器具 薬事非該当 同資料「タトゥー施術用機器」の項(参考として令和4年4月28日付 薬生監麻発0428第1号を掲記)
医療の用途で使用することを目的とした穿刺針や色素注入器等 従前どおり薬事該当 同資料「タトゥー施術用機器」の項

扱いの列の語は、資料の各項の記載を、表の幅に合わせて短くしたものです。原文の表現は、根拠の列に挙げた項で確かめられます。この資料は東京都が都内の事業者向けに公開したもので、全国一律の基準として出された通知ではありません。

例

表1で、集音器の行を見てみます。資料は、聴力障害(老人性のものも含む)のある人の聴力を補助する目的のものを、医療機器に該当するとしています。健常者を対象に、騒がしい場所などで遠くの音や特定の音域の音を大きくして聞く目的のものは、「該当しない場合」としています。

体温計の行も、結論の箱で見たとおり同じ形です。どちらも、何を測るか、何のために使うかで分かれています。

物の説明と、うたい方の説明は分けて書かれている

東京都の資料は、物によっては「問題となる標ぼう」を別に挙げています。物そのものの説明とは別に、どんなうたい方が問題になるかを書いているのです。

例

マスクの項がその形です。資料は、不織布等でできていて、単に物理的な除去を目的とするマスクを、薬事非該当としています。そのうえで、問題となる標ぼうとして「細菌やウィルスに対する殺菌・不活化効果、感染症予防を標ぼうするもの」を挙げています。

ですから、表の1行だけでは、その物のすべての場合はわかりません。うたい方についての記載は、4.の節で見ます。

4. 行政の資料は、どんなうたい方を医療機器に該当するとしていますか?

東京都の資料は、衣類等の項で、疾病の治療・予防や、体の特定の不調の改善をうたう標ぼうを、医療機器に該当するものとして一覧で挙げています。

一覧に並んでいるのは、物の種類ではなく、標ぼうの内容です。

東京都の資料には、衣類等の扱いが変わったことを説明する項があります。医療機器の一般的名称(医療機器の種類ごとの名前)が新しく設けられたことに伴う変更です。

この項は、変更後の扱いを2つに分けて書いています。

  • 「血行促進」といった標ぼうだけでは、医療機器に該当するとは判断しない:対象は、着た人自身の体温によって血行を促進する目的や効果を持つ衣類等です(範囲の細部は下の原文)。ただし、電動式のものや、体への侵襲性(体を傷つけたり、体の中に入ったりする性質)があるものなどは除かれます。除かれるものの全体は、下の原文の「※」で確かめてください。
  • 一覧にある標ぼうは、医療機器に該当:疾病の治療や予防のほか、痛み・こり・むくみなど、体の特定の不調の改善をうたうものが並んでいます。

着用した使用者自身の体温により(衣類等からの遠赤外線の輻射によるものを含む。)血行を促進する使用目的又は効果を有する衣類等は、血行促進といった標ぼうのみをもって医療機器に該当するとは判断しない ※能動型のもの、電動式のもの又は身体への侵襲性があるものは除く

以下のような標ぼうは医療機器に該当 疾病の治療、疾病の予防、疲労回復、筋肉の疲れをとる、筋肉のこりをほぐす、腰痛・肩こり・関節痛・炎症等の改善、神経痛・筋肉痛の緩和、疲労物質の蓄積の抑制、冷え性等の体質の改善・変化、平熱の上昇、免疫機能の向上、新陳代謝を高める、若返り、臓器・組織・細胞の活性化(胃腸の働きを活発にするなど)、むくみの改善

雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)「遠赤外線を輻射する衣類等」の項。同項は参考として令和4年12月14日付 薬生監麻発1214第1号を掲記している

例

A社が、電動式のものなどではなく、着た人自身の体温によって血行を促進する目的の肌着を売る場面で考えます。東京都の資料は、このような衣類等について、「血行促進」といった標ぼうだけで医療機器に該当するとは判断しない、としています。

一方で、同じ肌着に一覧にある標ぼう(腰痛・肩こりの改善など)をすれば、資料はそれを医療機器に該当するとしています。なお、資料が述べているのは、医療機器に該当するかどうかです。そのうたい方がほかの点で問題にならないとまでは、述べていません。

よく見かける説明との違い

「血行促進」と書けば、それだけで医療機器の標ぼうにあたる、という説明を見かけることがあります。東京都の資料の記載とは、次の点が違います。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

衣類に「血行促進」と書けば、それだけで医療機器の標ぼうにあたる。

現行

医療機器の一般的名称に「家庭用遠赤外線血行促進衣」が新設されたことに伴い取扱いが変更され、着用した使用者自身の体温により血行を促進する使用目的又は効果を有する衣類等は、血行促進といった標ぼうのみをもって医療機器に該当するとは判断されない。能動型のもの、電動式のもの、身体への侵襲性があるものは除かれ、上の一覧にある標ぼうを行う場合は医療機器に該当する。

根拠:雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)「遠赤外線を輻射する衣類等」の項。同項が参考として掲記する通知は令和4年12月14日付 薬生監麻発1214第1号。なお同項は、一般的名称を本文で「家庭用遠赤外線血行促進衣」、参考として掲げる別の通知の表題で「家庭用遠赤外線血行促進用衣」と書いており、表記が一致していない。正式な名称は一般的名称の指定告示で確認する必要がある。

現行の記載と食い違う古い説明は、ほかにもまとめてあります。『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』を参照してください。

測る機器は、何を・何のために測るかで書き分けられている

血中酸素飽和度(血液にどれだけ酸素が含まれているかの目安)を測る機器についても、東京都の資料は書き分けています。医療機器と判断するものと、雑貨でも標ぼうできる範囲です。この項は、参考として厚生労働省の通知(2022年2月)を掲げています。

  • 医療機器と判断するもの:疾病の診断や、医療機関への受診勧奨(受診をすすめること)を目的とするもの。「パルスオキシメータ」と標ぼうするもの。医療機器である旨を暗示させるもの(海外で承認取得済等)。
  • 雑貨でも標ぼうできる範囲:健康な人を対象に、運動のトレーニングの効果・効率の向上や、運動強度の管理を目的とするもの。

同じ資料の「スマートウォッチ」の項も、同じ通知を参考として掲げています。医療機器と判断するものとして、次の機能などが挙がっています。

  • 血圧の測定機能
  • 体温の測定機能
  • 疾病の兆候の検出等を目的とした血中酸素飽和度の測定機能
  • 心電図の測定機能
  • 睡眠の質の測定機能

雑貨でも標ぼうできる範囲として、この項は次のものなどを挙げています。

  • 健康な人を対象に、運動のトレーニングの効果・効率の向上や運動強度の管理を目的として、血中酸素飽和度を測定するもの
  • 運動管理の目的で心拍数を測定するもの

5. 医療機器に当たらなければ、薬機法とは関係ないのですか?

医療機器に当たらないことは、薬機法の外という意味ではありません。東京都の資料は、医療機器ではないが、医薬品・医薬部外品・化粧品に当たる例を挙げています。

東京都の資料が使う「薬事非該当」は、薬機法の各区分に当たらないという整理です。

薬機法が扱う製品は、医療機器だけではありません。医薬品・医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)・化粧品・再生医療等製品もあります。

例

東京都の資料には、次のような例があります。

・除菌:殺菌による菌の除去を明らかに目的としている場合は、医薬品か医薬部外品に該当するとしています。ふき取る・洗い流す等で除菌をうたう場合は、薬事非該当としています。

・虫除け:衛生害虫(資料の注記は「はえ、蚊、のみ等」)の駆除や忌避(寄せつけないこと)を目的とする場合は、医薬品又は医薬部外品に該当するとしています。植物を虫から守るものは、薬事非該当としています。

・浴用製品:化粧品又は医薬部外品に該当するとしています。ただし、色を楽しむ(お風呂の着色料)・香りを楽しむ(お風呂の香料)のみの目的であれば、薬事非該当としています。

・肌着:保湿成分を含む肌着で、着ることで成分による肌への保湿効果を目的とする場合は、化粧品に該当するとしています。

原文で確かめる(東京都の資料「「除菌」を目的とするもの」の項)

Q 医薬品には該当しない? A 殺菌による菌の除去のことを明らかに目的としている場合は、医薬品か医薬部外品に該当

Q 「除菌効果」は標ぼうできる? A ふき取ること、洗い流すこと等により除菌を標ぼうしている場合は、薬事非該当

雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)「「除菌」を目的とするもの」の項

区分ごとに、定義の書き方が違う

薬機法第2条は、区分ごとに要件の書き方を変えています。

  • 医薬品(第1項第2号・第3号):「機械器具等でないもの」に限っています。
  • 医薬部外品(第2項第1号・第2号):同じ限定を置いています。
  • 化粧品(第3項):この限定はありません。

医療機器に当たらなくても、ほかの区分の側で判断される物があります(上の例)。

なお、東京都の資料が扱っているのは、表題のとおり薬事該当性です。ほかの法令の適用については述べていません。

6. 医療機器に当たると、次に何が決まるのですか?

まず、3つの区分のどれかが決まります。区分で、製造販売を仕事として行う許可の種類が決まります。品目(製品の1つ1つ)ごとの手続は、承認・認証・届出のどれかです。

承認は国が製品ごとに審査して認めること、認証は国に登録された機関が基準に合うかを確かめて認めること、届出は審査ではなく、決められた事項を行政に知らせる手続です。

医療機器に当たるとされると、まず3つの区分のどれかが決まります。分け方の基準は、副作用や機能の障害が起きたときに、人の生命と健康に与えるおそれの大きさです。

  • 高度管理医療機器(第2条第5項)
  • 管理医療機器(第6項)
  • 一般医療機器(第7項)

3つとも、厚生労働大臣が薬事審議会(専門家の意見を聴くために国が置いている会議)の意見を聴いて指定するものと、条文に書かれています。

例

東京都の資料は、体温計の区分を次のように示しています。電子体温計・皮膚赤外線体温計・耳赤外線体温計・赤外線サーモグラフィ装置は、管理医療機器(クラスⅡ)。水銀毛細管体温計は、一般医療機器(クラスⅠ)。同じ体温計でも、種類によって区分が違います。括弧内のクラスは、資料が添えている表記です。

この3区分とは別に、第8項が特定保守管理医療機器を置いています。保守点検・修理などの管理に専門的な知識と技能が必要なため、適正な管理が行われなければ、疾病の診断・治療・予防に重大な影響を与えるおそれがあるものです。

区分で、受ける許可の種類が決まる

区分が決まると、製造販売業許可(医療機器などの製造販売を仕事として行うために受ける許可)の種類が決まります(表2)。薬機法第23条の2第1項は、種類ごとに決まった許可を受けた者でなければ、業として(仕事として)製造販売をしてはならないと定めています。

表2:種類と製造販売業許可の種類
種類許可の種類根拠
高度管理医療機器第一種医療機器製造販売業許可法第23条の2第1項の表
管理医療機器第二種医療機器製造販売業許可法第23条の2第1項の表
一般医療機器第三種医療機器製造販売業許可法第23条の2第1項の表
体外診断用医薬品体外診断用医薬品製造販売業許可法第23条の2第1項の表

最下行の体外診断用医薬品(体に直接使わず、病気の診断に使う医薬品)は、医療機器ではなく医薬品の区分です。第23条の2第1項が、同じ表の中に置いています。

品目ごとの手続は、承認・認証・届出のどれか

もう1つ決まるのが、品目(製品の1つ1つ)ごとの手続です。承認・認証・届出の3つに分かれ、どれになるかは区分と指定によって決まります(表3)。

  • 承認:厚生労働大臣が行います。一般医療機器と、認証の対象に指定された高度管理医療機器・管理医療機器を除いた医療機器が対象です。
  • 認証:登録認証機関が行います。厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器・管理医療機器が対象です。
  • 届出:承認・認証のどちらの対象でもない医療機器が対象です。届け出る先は厚生労働大臣です。
表3:品目ごとの手続と根拠条文
手続対象根拠
厚生労働大臣の承認医療機器(一般医療機器並びに第23条の2の23第1項の規定により指定する高度管理医療機器及び管理医療機器を除く)法第23条の2の5第1項
登録認証機関の認証厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器又は管理医療機器法第23条の2の23第1項
厚生労働大臣への届出第23条の2の5第1項又は第23条の2の23第1項に規定する医療機器以外の医療機器法第23条の2の12第1項

第23条の2の23第1項は、認証の対象をまとめて「指定高度管理医療機器等」と呼んでいます。この語には、同項が基準を定めて指定する高度管理医療機器・管理医療機器のほか、体外診断用医薬品も含まれます。

承認・認証を受けていない品目の広告

承認や認証の対象になる品目には、広告の決まりもあります。第68条は、まだ承認・認証を受けていないものについて、その名称・製造方法・効能・効果・性能に関する広告を禁じています。条文は「何人も」と書いており、だれであっても、この広告をしてはならないとしています。

条文が対象として挙げているのは、第14条第1項・第23条の2の5第1項・第23条の2の23第1項に規定する医薬品・医療機器と、再生医療等製品です。どれも、まだ承認・認証を受けていないものに限られます。

第68条の内容は『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』で扱います。広告に当たるかどうかの判断基準は『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱います。区分とクラス分類の制度そのものは『1-4 医療機器かどうかは、何で決まる?』で扱います。

7. 判断に迷ったら、どこに確認すればよいですか?

所管の都道府県の薬務主管課(都道府県で薬事を担当する課。名称は自治体により異なります)が相談先です。東京都の資料は、薬事該当性の窓口を薬務課監視指導担当としています。

プログラムの医療機器該当性の相談窓口は、2021年4月1日から、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課に一元化されています。

東京都の資料は、最後に「都内事業者の広告・表示の相談窓口」というページを置いています。相談する人の立場や相談の内容で、窓口が分かれています。

  • 製造販売業者:東京都健康安全研究センター 広域監視部 薬事監視指導課・医療機器監視課(新宿区百人町3-24-1 本館1階)
  • 広告代理店・放送媒体、および薬事該当性:東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当(新宿区西新宿2-8-1 都庁第一本庁舎30階北側。主に面談による相談で、予約制)

これは東京都の窓口の分け方です。ほかの道府県が同じ分け方をしているかどうかは、このページで確認した資料からはわかりません。

条文の側では、薬機法第69条第1項が、製造販売業者などから報告を求めたり、立入検査をしたりする主体を「厚生労働大臣又は都道府県知事」と定めています。

例

冒頭の手袋で考えます。都内で雑貨を売る会社が、新しく扱う手袋が医療機器に当たるかどうか迷ったとします。東京都の資料の分け方では、この相談は「薬事該当性」の欄にあたり、窓口は薬務課監視指導担当です。都外の会社であれば、確かめる先は、所管の都道府県の薬務主管課(名称は自治体により異なります)です。

プログラムの該当性は、窓口が違う

プログラム(ソフトウェア)が医療機器に当たるかどうかの相談は、窓口が違います。東京都の資料は、この相談窓口が厚生労働省に一元化されたと記載しています。厚生労働省の案内も、プログラムの医療機器該当性の相談は、同省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課で一元的に行うとしています。

一方、医療機器に該当しないプログラムの広告の相談について、厚生労働省の案内は、引き続き都道府県に相談するよう求めています。

東京都の資料は、相談の前に「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」を確認するよう書いています。このガイドラインは、厚生労働省の通知(2021年3月)で示されたものです。

日付と文書番号を確かめる

プログラムの該当性の相談窓口が一元化された日(東京都の資料の記載):令和3年4月1日

相談の前に確認するガイドライン:令和3年3月31日付 薬生機審発0331第1号・薬生監麻発0331第15号

例

ある会社が作ったスマートフォンの健康管理アプリが、医療機器に当たるかどうかを確かめたいとします。この相談先は、上の厚生労働省の窓口です。

プログラムの該当性の考え方は、『4-4 プログラム(ソフトやアプリ)は医療機器に当たる?』で扱います。

すでにある品目を調べる

すでに指定されている一般的名称や、公開されている添付文書(製品に付ける、使い方や注意を書いた文書)は、PMDAの「医療機器 添付文書等情報検索」で調べられます。

この検索では、一般的名称・販売名や、類別(2.の節で紹介したAからFの並び)から探せます。探せるのは、添付文書が公開されている品目です。

相談先の全体の使い分けは『6-10 どこに相談すればいい?』で扱います。

理解の確認

使用目的の条件を満たす機械器具等でも、条文の上では医療機器にならないことがあるのはなぜですか?

第2条第4項が、使用目的を書いたうえで「政令で定めるもの」と委任している(どの物を医療機器とするかを政令に任せている)からです。これを受けた薬機法施行令第1条は、「法第二条第四項の医療機器は、別表第一のとおりとする」と定めています。つまり、定義には関門が2つあります。使用目的という1つ目を通っても、施行令の別表第一に掲げられていなければ、条文の上では医療機器になりません。医療機器の範囲は、法律の1か条だけを読んでも決まらないということです。

根拠:薬機法第2条第4項(施行日2026-05-21)・薬機法施行令第1条(施行日2026-05-01)(法令確認日 2026-09-08)

同じ「手袋」に医療機器と雑貨の両方があるのは、定義のどの書き方から来ていますか?

第2条第4項が「目的とされている機械器具等」と書いている点から来ています。定義に入っているのは、物の材質や仕組みではなく、その物がどんな目的で使われるものとされているかです。そのため、名前が同じでも、与えられた使用目的が違えば、別の区分に置かれます。東京都『雑貨等の広告について(薬事該当性)』も、手袋を2つに分けています。医療機関等で患者と使う人を交差感染から守るため、手術・検査・検診・治療行為等で使うものは、医療機器に該当するとしています。掃除用・園芸用等で、単に手に汚れがつかないことを目的とするものは、薬事非該当としています。

根拠:薬機法第2条第4項(法令確認日 2026-09-08)・雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)「手袋」の項

医療機器に当たらないとされた物は、薬機法の外にあるということですか?

いいえ、そういう意味ではありません。薬機法第2条は、区分ごとに要件の書き方を変えています。医薬品の定義(第1項第2号・第3号)は「機械器具等でないもの」に限り、医薬部外品の定義(第2項第1号・第2号)も同じ限定を置いています。一方、第3項の化粧品の定義には、この限定がありません。医療機器の定義に当たらないことは、薬機法のどの区分にも当たらないことと同じではなく、ほかの区分の側で判断される物があります。東京都の資料も、殺菌による菌の除去を明らかに目的としている場合は、医薬品か医薬部外品に該当するとしています。また、保湿成分を含む肌着で、着ることで成分による肌への保湿を目的とするものは、化粧品に該当するとしています。

根拠:薬機法第2条第1項第2号・第3号、第2項第1号・第2号、第3項(法令確認日 2026-09-08)・雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)「「除菌」を目的とするもの」の項ほか

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  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項から第8項まで、第23条の2第1項、第23条の2の5第1項、第23条の2の12第1項、第23条の2の23第1項、第68条、第69条第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2026-05-21施行の版)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条・別表第一 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認。2026-05-01施行の版。本ページは第1条の本文により確認し、別表第一の各項目は引用していない)
  • 雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当、令和5年度)東京都(2026-09-08 確認)
  • 遠赤外線を輻射する衣類等の取扱いについて(令和4年12月14日 薬生監麻発1214第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長)(原文未取得・上記東京都資料の記載により確認、2026-09-08 確認)
  • 血中酸素飽和度を測定する機械器具の取扱いについて(令和4年2月3日 薬生監麻発0203第1号)(原文未取得・上記東京都資料の記載により確認、2026-09-08 確認)
  • タトゥー施術行為に使用されることが目的とされている機械器具について(令和4年4月28日 薬生監麻発0428第1号)(原文未取得・上記東京都資料の記載により確認、2026-09-08 確認)
  • プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和3年3月31日 薬生機審発0331第1号・薬生監麻発0331第15号、令和5年3月31日一部改正)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • プログラムの医療機器該当性について/医療機器プログラム相談窓口について 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療機器 添付文書等情報検索(類別・一般的名称による検索)独立行政法人医薬品医療機器総合機構(2026-09-08 確認)