30秒でわかる要点
- 該当性は、製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等に基づき、使用目的とリスクの程度が医療機器の定義に当たるかで判断されます。同じ機能を有するプログラムでも、使用目的が異なれば判断は異なる可能性があるとされています。
- 「当該プログラムは医療機器ではない」と書いても、それは医療機器ではないことの根拠になりません。そのような記載があっても、医療機器との認識を与える広告・標ぼうをする製品は医療機器に該当するとガイドライン8(1)の脚注12が書いています。
- 機器が医療機器かどうか(薬機法第2条第4項)と、その施術を誰が行えるか(医師法第17条の「医業」)は、別の法律に置かれた別の問いです。相談先も、プログラムの該当性は厚生労働省の監視指導・麻薬対策課、それ以外の製品は都道府県の薬務主管課と分かれています。
「医療機器プログラム」は、法令のどこに置かれているか
薬機法第2条第13項が語を定義し、範囲は第2条第4項と、その委任先である施行令別表第一のプログラムの区分が定めています。
プログラムが「機械器具等」に含まれることは、第2条第1項第2号の括弧書きが定めています。
プログラムの居場所は、法律と政令の二段に分かれています。薬機法第2条第4項が医療機器を定義し、どの物がそれに当たるかは政令に委ねています。定義の中にある「機械器具等」に何が含まれるかは、医薬品の定義を置いた第2条第1項第2号の括弧書きに書かれています。そこにプログラムと、これを記録した記録媒体が挙げられています。
医療機器のうちプログラムであるものを指す語も、法律の中に置かれています。第2条第13項が、製造販売の定義の一部として「医療機器プログラム」を定義しています。
法令の「医療機器プログラム」と、窓口の「プログラム医療機器」
ガイドラインの「1 はじめに」も、この法律の語をそのまま使っています。「医薬品医療機器等法に基づき規制される医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)」という書き方です。
これに対し、PMDAが相談窓口の案内で使っているのは「プログラム医療機器(SaMD:Software as a Medical Device)」という語です。薬機法の条文に「プログラム医療機器」という語は置かれていません。このページでも、法令の話では「医療機器プログラム」、窓口の話では「プログラム医療機器」と、資料の表記のまま書き分けます。
政令の側に何が置かれているか
薬機法施行令(昭和36年政令第11号)第1条は、「法第二条第四項の医療機器は、別表第一のとおりとする。」と定めています。その別表第一に何が置かれているかを、ガイドラインが次のように書いています。
また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和 36 年政令第 11 号)別表第一において、疾病診断用プログラム、疾病治療用プログラム及び疾病予防用プログラム(プログラムを記録した記録媒体も同様)が医療機器として定められている。
一方、各プログラムの定義において、「副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く」旨、併せて規定されており、その機能等が一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するものについては、医療機器の範囲から除かれる。
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和3年3月31日制定、令和5年3月31日一部改正)2(1)医療機器プログラムの範囲(法令上の定義)ガイドラインが扱う範囲も限られています。対象は、プログラム単体又はプログラムを記録した記録媒体として流通するプログラムの医療機器該当性です。有体物と一体として流通するプログラムは、有体物部分も含めて一体の製品として判断すると書かれています(同2(3))。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
ソフトウェアは物ではないので、単体で流通するプログラムは薬機法の規制の外にある。
現行
平成25年の医薬品医療機器等法の改正により、単体プログラムについても同法の規制対象としている、とガイドラインの「1 はじめに」が書いています。第2条第1項第2号の括弧書きが「機械器具等」にプログラム及びこれを記録した記録媒体を含めており、施行令別表第一に3つのプログラムの区分が置かれています。
根拠:プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和5年3月31日一部改正)1 はじめに、2(1)/薬機法第2条第1項第2号・第4項・第13項(e-Gov 法令検索、法令確認日 2026-09-08)
医療機器の定義そのものと、高度管理医療機器・管理医療機器・一般医療機器の3区分やクラス分類の仕組みは「医療機器」の定義とクラス分類 — 雑貨との境界で扱います。
同じ機能のプログラムでも判断が変わるのは、何を見ているからか
表示・説明資料・広告等に基づいて、使用目的とリスクの程度が医療機器の定義に当たるかを見るとされているからです。
使用目的が異なれば、同じ機能でも該当性の判断は異なる可能性があると書かれています。
見られているのは、そのプログラムが何のために使われる物として示されているかと、リスクがどの程度かの2つです。判断の基本的な考え方は、ガイドライン3に置かれています。
特定のプログラムが、医薬品医療機器等法の医療機器に該当するか否かは、製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等に基づき、当該プログラムの使用目的及びリスクの程度が医療機器の定義に該当するかにより判断される。同じ機能を有するプログラムであっても、使用目的が異なれば、医療機器該当性の判断は異なる可能性がある。このため、開発の初期、企画段階においても、どのような表示等を行うかを含め、プログラムの使用目的を十分に検討することが望ましい。
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和5年3月31日一部改正)3 該当性の基本的考え方判断材料として挙げられているのは、製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等です。別紙1のフローチャート①Cは、この列挙に「口頭の演述を含む」という括弧書きを付けています。
製品の側で先に整理しておく項目も示されています。ガイドライン5(1)は、該当性判断の事前準備として明確にすべき項目の例示の筆頭に「プログラムの構成、提供方法」を挙げています。単体で流通するか、有体物と一体の製品として流通するか、併用する機器・プログラムの有無を確認することとされています。
判断の単位
ガイドラインは、機能ごとの確認と製品全体の扱いを、次のように書き分けています。
- 複数の機能を有するプログラムは、少なくとも1つの機能が医療機器プログラムの定義を満たす場合、全体として医療機器としての流通規制を受ける(3)。この「全体」は、同時に流通する不可分なプログラムをいい、別々に流通可能なものは含まれない(脚注6)
- この場合、医療機器ではない機能が医療機器としての承認又は認証範囲に含まれるような誤認を利用者に与えないように表示、広告等を行うなど、両者の適切な区別に留意する(3)
- 汎用コンピュータ等のWebカメラ等の内部又は外部センサと連動して医療機器としての機能を発揮するプログラムは、そのセンサ等を含めた一体の製品として見たときに定義を満たすか否かで判断される(3)
- 汎用コンピュータ等を利用して医療機器を操作するプログラムは、原則、操作対象の医療機器に含めたものとして取り扱われる(2(2))
要点
ガイドラインが挙げる判断材料は「製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等」です。単位については、機能ごとに確認したうえで、1つでも定義を満たせば全体が流通規制を受けると書かれています。
有体物の製品について同じ問い(どこを見て医療機器と雑貨が分かれるか)を扱うのは医療機器か雑貨か — 該当性の判断はどこを見るかです。
ガイドラインは、医療機器に該当しない典型的な事例として何を挙げているか
患者説明用、院内業務支援・メンテナンス、使用者本人の医療・健康情報の閲覧等、リスクが低いもの、の4区分です。
規制対象とならないプログラムの例は別途事例集に掲載するとされ、その例示は全てを網羅しているわけではないと書かれています。
ガイドラインの「4 医療機器に該当しない典型的な事例」は、4つの区分を置いています。冒頭に「以下を使用目的とする単一のプログラムは、医療機器の定義を満たさないため、医薬品医療機器等法の規制対象とはならない。」と書いたうえでの列挙です。
| 区分 | 挙げられている使用目的 | 該当箇所 |
|---|---|---|
| 患者説明を目的とするもの | 医療関係者が患者や家族に治療方法等を理解してもらうための患者説明用プログラム | ガイドライン 4(1)① |
| 院内業務支援、メンテナンスを目的とするもの | ①医療関係者が患者の健康記録等を閲覧等するプログラム(過去に実施した処置、治療内容、健康情報等を記録、閲覧又は転送するもの)/②診療予約や受付、会計業務等の一般事務作業の負担軽減等を目的とした院内業務支援プログラム/③医療機関に医療機器の保守点検や消耗品の交換の時期等を伝達するメンテナンス用プログラム | ガイドライン 4(2)①〜③ |
| 使用者(患者や健康な人)が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするもの | ①個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラム(経時的表示や統計処理をした数値の表示を含む)/②スポーツのトレーニング管理等の医療・健康以外を目的とするプログラム(疾病の診断や病態の把握、疾病の兆候の検出を目的としていないもの) | ガイドライン 4(3)①② |
| 生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるもの | 有体物の一般医療機器(クラスⅠ医療機器)と同等の処理を行うプログラム(不具合等により副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの) | ガイドライン 4(4)① |
各行の出典は、ガイドライン(令和5年3月31日一部改正)の該当箇所のとおりです。ガイドライン4は、規制対象とならないプログラムの例は別途事例集に掲載するとしたうえで、これらの例示は全てのプログラムを網羅しているわけではなく、今後、事例が追加される場合があると書いています。
同じ箇所には、複数の機能を有するプログラムについての留意点が付いています。機能ごとに分類して確認を行い、いずれの機能も医療機器プログラムの定義を満たさない場合に規制対象外となる、というものです。
治験・臨床研究で使われる場合
臨床の場面については、ガイドライン4の末尾に「なお」書きが置かれています。治験の対象とされるプログラム(被験機器たるプログラム)は、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)等に基づき適切に管理・提供することとされています。
臨床研究等で有効性又は安全性の評価の対象となるプログラムについては、医療機器の定義に当てはまるものであっても薬機法が適用されない場合があるとされています(同4の末尾)。この後者について、同7が参照先として挙げているのが、平成30年4月6日付け薬生発0406第3号「臨床研究において使用される未承認の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の提供等に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の適用について」です。
医療機器の範囲から除かれることと、広告の側の規律とは別に書かれています。ガイドラインの脚注1は、クラスⅠ医療機器相当のプログラムであっても、クラスⅡ以上の医療機器との認識を与える標ぼうなどを行った場合、薬機法第68条等の広告規制に抵触するおそれがあるとしています。第68条の内容は第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱います。
使う人が医療関係者か個人かで、判断の道筋はどう分かれるか
フローチャートが、医療関係者が業務に使うものと個人使用のみのものに分け、それぞれ別の分岐に進ませています。
この分かれ道を置いているのは、ガイドライン別紙1のフローチャート②です。
別紙1のフローチャートは、①有体物との関係と使用目的、②使用者、③個人使用のみの場合、④医療関係者が業務に使用する場合、の順に並んでいます。②が使用者による分かれ道で、ここで③と④のどちらへ進むかが決まります。
その手前に見る場所も決められています。ガイドライン5(2)は、一般的名称通知(平成16年7月20日付け薬食発第0720022号)から検索することとしています。類別がプログラムであるもの(一般的名称に「○○プログラム」と掲載されているもの)は、186種類(令和5年1月16日現在)存在すると書かれています。
5(3)は、一般的名称に相当するものが存在しない、又は分からない場合に、別紙1「医療機器該当性に係るフローチャート」に従って判定するとしています。
②の分かれ道の説明は、次のとおりです。
医療関係者の管理とは別に、使用者が自己判断で使用することのみを想定しているプログラムは「医療関係者が業務に使用しない(個人使用のみ)」に該当し、フローチャート③へ進む。医療関係者が業務から離れて、個人使用するものもこちらに含む。
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン 別紙1 フローチャート② ②A「医療関係者が業務に使用」の側の例として挙げられているのは、次のプログラムです。
- 医療関係者が自ら診療する患者の診療等のために使用するプログラム
- 医師の指示の下で個人が使用するプログラム
- 使用者の情報を医師等の医療関係者にも共有することを前提としたプログラム
- 在宅医療や介護施設等で医療関係者の下で使用することを目的としたプログラム
個人使用のみの場合に置かれている分岐
- ③A データの表示、保管、転送のみか
- ③B 生活環境改善、スポーツのトレーニング管理等の医療・健康以外の目的のみか
- ③C 利用者へ情報提供のみを行うものか
- ③D 入力情報を基に疾病候補を表示するか
- ③E GHTFクラス分類ルールに基づき判断すると、クラスⅡ以上に相当か
③Aには、次の注が付いています。
なお、血中酸素飽和度、血圧、体温等のバイタルデータについて、センサで得られた信号を処理して計測値として表示するプログラムは「データの表示、保管、転送のみ」に該当しない。
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン 別紙1 フローチャート③ ③Aの注(※)③Bにも注があります。リハビリテーション、また、心筋梗塞、熱中症等の疾病(疑い)の兆候の検知、疾病の診断、重症度判定を意図するものは、疾病の診断、治療、予防に使用することが目的であると考えられるとされています。この場合は、フローチャート①Cに戻って当該設問をYESに進むこととされています。
③Cで「利用者へ情報提供のみを行うもの」の例として挙げられているのは、次のものです。
- 医薬品、医療機器の使用方法の説明
- 医学教科書等の既存の書籍の電子化
- 統計情報の提供
- 健康な人の健康維持・増進のための一般的な生活習慣に関するアドバイス
- 個人を特定せずに一般的な情報の範囲で医療機関受診について助言するもの
疾病リスクを表示するものは別のフローチャート
疾病候補や疾病リスクの表示のみを行うプログラムについては、別紙1による判断がなじまない場合に、別紙2「医療機器該当性に係るフローチャート(疾病リスクを表示するもの)」を代わりに参照できるとされています。別紙2は、(1)B-1で「信頼性の高い医学薬学上公知の情報に従った情報提供か」、(1)B-2で「一般的な情報提供(書籍の電子化に相当)か」を置いています。公知の情報を基にしていても、結果の算出の過程が不明瞭なものや、新たな判断指標を設けて判定するものはNOに該当すると書かれています。
有体物として家庭で使う機器の線引きは、都道府県の資料が測る対象と目的で書き分けている例を医療機器か雑貨か — 該当性の判断はどこを見るかで扱っています。ガイドライン末尾の【参考通知】には、次の2件も挙げられています。
- 「血中酸素飽和度を測定する機械器具の取扱いについて」(令和4年2月3日付け薬生監麻発0203第1号)
- 「「疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項について」の一部改正について」(令和4年12月13日付け薬生機審発1213第4号・薬生安発1213第3号)
「医療機器ではない」と書けば、規制の外に出るのか
出ません。その記載があることをもって医療機器ではないことの根拠とはならない、とガイドラインの脚注が書いています。
記載すること自体は、利用者による誤解を防ぐために望ましいとされています。
ガイドラインの「8 その他留意事項」(1)は、医療機器ではないプログラム(一般医療機器(クラスⅠ医療機器)相当のプログラムを含む)について、記載、表示を行うことが望ましいとしています。文言として挙げられているのは、「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」又は「当該プログラムは医療機器ではない」旨です。
そのうえで、同じ箇所の脚注が、その記載の位置づけを書いています。
「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」又は「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載、表示があることをもって、当該プログラムが医療機器ではないことの根拠とはならない。そのような記載があっても、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告・標ぼうをする製品は医療機器に該当する。
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和5年3月31日一部改正)8(1)脚注12クラスⅠ相当のプログラムが標ぼうできる範囲
同項は、標ぼうできる範囲についても書いています。有体物として一般医療機器が存在する医療機器と同等のプログラムは、当該有体物と同等の性能等を標ぼうすることができるとされています。有体物の一般医療機器が存在しないものについては、個別の判断により一般医療機器相当の性能等を標ぼうすることができるとされています。
いずれの場合も、管理医療機器又は高度管理医療機器に相当する使用目的又は効果、性能等は標ぼうできないとされています。この最後の点の参照先として挙げられているのは、「医療機器プログラムの取扱いに関するQ&Aについて」(平成26年11月25日付け事務連絡)QA14です。
あわせて、利用者が事業者(開発者)の想定外の目的で使用しないよう、使用対象者や適切な使用目的について十分な周知啓発を行うことが重要であるとされています。その方法(自己学習、オンライントレーニング、対面研修等)は、プログラムのリスクに応じて決定することが望ましいと書かれています(同8(2))。
表示の文言の有無だけでは区分が決まらないという構造は、試薬の「研究用」表示についても行政の文書に現れます。そちらは「研究用」表示は何を意味するか — 表示の有無だけでは決まらないで扱います。
機器が医療機器かどうかと、その施術を誰が行えるかは、同じ問いか
別の問いです。前者は薬機法、後者は医師法第17条の「医業」の問題として、別の通知で整理されています。
美容医療について法令上の解釈を整理したのが、令和7年8月15日 医政発0815第21号です。
2つの問いは、別の法律の別の条文に置かれています。ある機器やプログラムが医療機器に当たるかは薬機法の問題です。その施術を誰が業として行えるかは、医師法第17条の「医業」の問題です。制度の形としては、車両が基準を満たすかという問いと、誰が運転してよいかという問いが別の法律に置かれているのと同じ並びで、片方に答えても、もう片方の答えは出てきません。
美容医療について法令上の解釈を整理したのが、令和7年8月15日 医政発0815第21号「美容医療に関する取扱いについて」です。厚生労働省医政局長から各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あてに発出されました。
自由診療で行われる美容医療について、「美容医療の適切な実施に関する検討会」の報告書(令和6年11月22日とりまとめ)の指摘を受け、違法事例等に適切に対処するために法令上の解釈を整理したものとされています。この通知が使っているのは、薬機法ではなく医師法の条文です。
ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである。
また、診察等により得られた患者の様々な情報から、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為は診断であり、このように医学的判断を伴う行為は医行為に該当するため、無資格者が業として(反復継続する意思を持って)行えば医師法第17条違反となる。
美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)第1の1(2)通知が挙げている行為
通知は、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する行為を列挙しています。アに挙げられているのは、過去の課長通知が示した行為です。
ア (中略)いわゆるアートメイク(「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日医政医発0703第5号厚生労働省医政局医事課長通知)において示した行為)、HIFU(高密度焦点式超音波。以下同じ。)施術(「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」(令和6年6月7日医政医発0607第1号厚生労働省医政局医事課長通知において示した行為))等の医行為。
美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)第1の1(3)ア。冒頭の1件を(中略)で省いた同じ列挙の中には、機器を用いない行為も並んでいます。イは、患者の主訴や希望する処置を聞き取った上で、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為です。
イには、体裁ではなく実質で見る旨が添えられています。「形式的には各治療行為に係る料金設定の説明という体裁を取っていたとしても、実質的に患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為は、医行為に該当する」という書き方です。ウは侵襲を伴う検体の採取をする行為、エは情報通信機器を用いて患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達等する行為です。
看護師等が行う場合
通知は、看護師等について、保健師助産師看護師法第37条に基づき、医師の指示の下で、医行為に該当する診療の補助を行うことができると書いています。
そのうえで、看護師等が次の行為を行うことは、医師法第17条や保助看法第37条に違反するとしています(第1の2(3))。
- 医師の指示なく、上記アに挙げられた医行為を行うこと
- 医学的判断を伴う行為である診察を行うこと
- 具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達すること
医師法の側の罰則
罰則は、医師法第31条に置かれています。第1項は、第17条の規定に違反した者(同項第1号)と、虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者(同項第2号)について、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとしています。
同条第2項は、前項第一号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、三年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとしています。
通知の第3の1も、無資格者が医業を行うことは医師法第17条に違反し、刑罰の対象となるとしています。そのうえで、無資格による医業を確認した場合は刑事訴訟法第239条の規定等を踏まえ、警察等捜査機関に相談・告発を行うといった適切な対応を図られたい、と書いています。
同じ通知の第1の7は、医療広告規制に関する違反を、医療法第6条の5と医療法施行規則第1条の9を根拠に別立てで扱っています。医療広告の枠組みは医療広告規制はなぜ限定列挙なのかと限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載で、医療機関の側に掛かる規律は医療機関側のルールで扱います。
該当性が判然としないとき、行政はどこで相談を受けているか
プログラムは厚生労働省の監視指導・麻薬対策課が、それ以外の製品は都道府県の薬務主管課が受けるとされています。
これらの申込みをまとめて受け付ける窓口として、PMDAにSaMD一元的相談窓口が置かれています。
受け先は、プログラムかそれ以外かで分かれています。ガイドラインは、5(3)と7の二か所で、「個々の具体的な事例における医薬品医療機器等法の適用につき判然としない場合には、監視指導・麻薬対策課において相談・助言等を行っていることから、これを活用すること」と書いています。5(3)の脚注は、その根拠として「プログラムの医療機器該当性の相談について」(令和3年3月31日付け事務連絡)を挙げています。
厚生労働省が公開している案内は、プログラムの医療機器該当性の相談を同省の監視指導・麻薬対策課で一元的に行うこととし、これに伴い令和3年4月1日から同課の窓口(メール)へ連絡することとしています。医療機器に該当しないプログラムの広告相談は、引き続き都道府県に相談することとされています。
相談にあたって確認する文書として挙げられているのは、「「プログラムの医療機器該当性の相談窓口」における相談手続きについて」(令和4年1月26日事務連絡)です。あわせて「プログラムの医療機器該当性判断事例」(令和5年3月31日)と「医療機器プログラム事例データベース」(令和7年7月3日更新)が公表されています。
PMDAのSaMD一元的相談窓口
これらの相談をまとめて受け付ける窓口として、PMDAに「SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)」が置かれています。同窓口のページは、受け付ける相談を3つに分け、それぞれの担当を次のように書いています。
| 相談区分 | 担当として示されている部署 |
|---|---|
| (1)医療機器該当性に関する相談 | 厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課 |
| (2)薬事開発に関する相談 | PMDA プログラム医療機器審査部 |
| (3)医療保険に関する相談 | 厚生労働省 医政局 医薬産業振興企画課 |
出典:SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)(PMDA、2026-09-08 確認)。同ページは、(1)から(3)の各相談について、当窓口を介さず直接個別に相談をすることも可能であると書いています。局名の表記は資料によって異なり、厚生労働省の案内ページは同じ課を「厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課」と書いています。
同ページは、扱う範囲について2つの注を置いています。プログラム以外の製品の医療機器への該当性は都道府県の薬務主管課に相談すること、薬事に係る広告相談については引き続き都道府県に相談することです。
よくある質問のQ1-3も、本相談はソフトウェア単体で提供・販売するもの専用の相談窓口であり、専用の装置と一緒に提供・販売するものは相談の対象にならないとしています。その場合は、都道府県への相談(該当性)や別の対面助言等の利用(薬事開発)を検討するよう書かれています。
同ページが書いている手続の要点は、次のとおりです。
- 相談は無料。(2)薬事開発に関する相談は、論点を整理したうえで有料の対面助言が案内されることがある(Q1-1)
- (1)該当性に関する相談は原則メールで行われる(Q2-1)
- 申込書の「相談概要の公表の可否(原則公表)」は、厚生労働省の「医療機器プログラム事例データベース」に概要のみを掲載することの可否を指す(注1)
- (1)該当性に関する相談は、監視指導・麻薬対策課からの照会に一定期間(概ね1か月)経過しても回答が得られない場合、相談終了として取り扱われる場合がある(申込後の流れ)
申込みの前に見ることとされている文書も、区分ごとに分かれています。(1)についてはガイドラインと「プログラムの医療機器該当性判断事例について」、(2)については「プログラム医療機器の薬事開発・承認申請に関する手引き(第四版)」等です。相談先全体の使い分けはどこに相談するか — 都道府県・PMDA・消費者庁の使い分けで扱います。
理解の確認
同じ機能を持つプログラムでも医療機器該当性の判断が分かれることがあるのは、ガイドラインが何を判断の材料に据えているからか。
ガイドライン3が、製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等に基づき、使用目的及びリスクの程度が医療機器の定義に当たるかで判断するとしているからです。見られているのは機能そのものではなく、その機能が何のために使われる物として示されているかなので、同じ機能を有するプログラムであっても使用目的が異なれば判断は異なる可能性があるとされています。だからガイドラインは、開発の初期、企画段階においても、どのような表示等を行うかを含めて使用目的を十分に検討することが望ましいと書いています。
根拠:プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和3年3月31日制定、令和5年3月31日一部改正)3 該当性の基本的考え方(法令確認日 2026-09-08)
ガイドラインが「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載を行うことが望ましいとしながら、その記載があっても医療機器に該当することがあるとしているのは、なぜか。
該当性は、その製品の表示、説明資料、広告等の全体に基づいて使用目的とリスクの程度を見て判断されるので、そこに一文が加わっても、他の広告・標ぼうが医療機器との認識を与えていればそちらで判断されるからです。ガイドライン8(1)の脚注12は、そのような記載があることをもって医療機器ではないことの根拠とはならず、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告・標ぼうをする製品は医療機器に該当する、と書いています。記載が望ましいとされているのは利用者に使用目的を正しく伝えるためで、該当性を打ち消す働きを持たせるためではありません。
根拠:プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン 8(1)及び同(1)脚注12、3 該当性の基本的考え方(令和5年3月31日一部改正、法令確認日 2026-09-08)
ある機器やプログラムが薬機法の医療機器に当たるかを確かめても、それを用いる施術を誰が行えるかの答えが出てこないのは、なぜか。
2つは、別の法律の別の条文に置かれた別の問いだからです。物が医療機器に当たるかは薬機法第2条第4項の定義と、その委任先である施行令別表第一の問題で、誰が業として行えるかは医師法第17条の「医業」の問題として、令和7年8月15日 医政発0815第21号「美容医療に関する取扱いについて」が整理しています。同通知は、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行いこれを伝達する行為は、形式的に料金設定の説明という体裁を取っていたとしても医行為に該当し、無資格者が業として行えば医師法第17条違反になるとしています。機器の側の該当性に答えても、この問いの答えは出てきません。
根拠:薬機法第2条第4項、医師法第17条/美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)第1の1(2)(3)イ(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 4-3 医療機器か雑貨か — 該当性の判断はどこを見るか 医療機器かどうかを分けるのは、物の形や仕組みではなく、その物に与えられた使用目的です。
- 1-4 「医療機器」の定義とクラス分類 — 雑貨との境界 「医療機器」の範囲は、薬機法第2条第4項と、その委任先である薬機法施行令 別表第一の二段で決まります。
- 5-5 医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律 エクソソームなど細胞の分泌物を用いる自由診療では、医療機関の側に2系統の規律がかかります。
- 6-10 どこに相談するか — 都道府県・PMDA・消費者庁の使い分け 用件ごとに、行政が案内している窓口が違います。
- プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインの一部改正について(令和5年3月31日 薬生機審発0331第1号・薬生監麻発0331第4号)別添「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(令和3年3月31日制定、令和5年3月31日一部改正)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号、厚生労働省医政局長)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
- SaMD一元的相談窓口(医療機器プログラム総合相談)PMDA(2026-09-08 確認)
- プログラムの医療機器該当性について(相談窓口・医療機器プログラム事例データベース)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号・第2条第4項・第2条第13項 e-Gov 法令検索(版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21。2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)第1条 e-Gov 法令検索(版ID 336CO0000000011_20260501_507CO0000000362、施行日 2026-05-01。2026-09-08 確認。別表第一の本文は手元の取得結果に含まれていないため未確認)
- 医師法(昭和23年法律第201号)第17条・第31条 e-Gov 法令検索(版ID 323AC0000000201_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21。2026-09-08 確認)