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研究成果の発信と広告の境界 — 論文引用・治験情報の扱い

学術論文であることを理由に薬機法の広告規制の外へ置く規定は、薬機法にありません。広告に当たるかどうかは、平成10年9月29日 医薬監第148号の3要件で判断されます。そのうえで令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号は、治験等に係る情報提供を参加者募集のためのものとそれ以外に分け、それぞれについて広告に当たらないとされる要件を示しました。このページは、その要件と、医療関係者に向けた情報提供にどこまで及ぶかを、通知の原文で確認します。

30秒でわかる要点

  • 学術論文や学会発表を薬機法の広告規制から外す条文はない。広告に当たるかどうかは、平成10年9月29日 医薬監第148号が示した顧客誘引性・特定性・一般認知性の3要件で判断される。
  • 治験等の情報提供は、令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号が2つに分けた。参加者募集のためのもの(記2)は、4要件を満たせば媒体によらず広告に該当しないとされる。それ以外(記3)は、表紙ページを経由する個別ページに載せる等の要件を満たす場合に、広告に当たらないと判断して差し支えないとされる。
  • この整理が対象にしているのは患者等への情報提供で、医療関係者に対する販売情報提供活動には適用できない。そちらには平成30年9月25日 薬生発0925第1号のガイドラインが別に置かれ、引用元の明記などを第1の3(1)③・④が求めている。

論文や学会発表は、それ自体で薬機法上の広告になるのか

薬機法に、学術論文を対象から外す規定はありません。広告に当たるかどうかは、平成10年9月29日 医薬監第148号の3要件で判断されます。

医療法の側の指針は、学術論文・学術発表等を「通常、医療広告等とは見なされないもの」に挙げています。

薬機法の広告規制に、学術論文や学会発表を対象から外す条文はありません。第66条と第68条は「広告」という語を使いますが、どの表示が広告にあたるかの基準は条文の側に置かれていません。

基準を示したのは平成10年9月29日 医薬監第148号で、そこに挙げられた3要件で判断されます。令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号 記1は、この3要件を「顧客誘引性」「特定性」「一般認知性」と呼んで再掲しています。3要件の内容はそもそも「広告」とはで扱います。

研究成果の発信がこの規制と接するのは、承認を受けていない品目について次の条文が置かれているためです。

禁じられているのは「名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告」です。ここから、確かめる点は2つに分かれます。研究の内容がこれらに触れるかどうかと、その発信が3要件を満たすかどうかで、この2つは別々に問われます。第68条の内容は第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱います。

令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号の記1は、治験に係る情報提供とこの条文との関係を次のように書いています。

治験に係る情報提供についても上記の広告該当性の3要件を満たす場合は、医薬品医療機器等法第 68 条で禁止される未承認医薬品等の広告に該当することになりえるが、一方で、治験薬の名称等について言及がなく特定性がない場合や、情報を求める者のみに対する情報提供であって顧客誘引性がない場合など、治験に係る情報提供のすべてが広告に該当するものではない。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記1

医療法の側には、学術論文を挙げた記載がある

医療機関の広告を規律する医療法の指針は、「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」の筆頭に学術論文、学術発表等を置いています。

学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等は、社会通念上、広告と見なされることはない。これらは、本指針第2の1に掲げた要件のうち、①の「誘引性」を有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものである。

ただし、学術論文等を装いつつ、不特定多数にダイレクトメールで送る等により、実際には特定の医療機関(複数の場合を含む。)に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には、①の「誘引性」を有すると判断し、本指針第2の1及び2の要件を満たす場合には、広告として取り扱うことが適当である。

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の5(1)

ただし、この記載は医療法の広告規制についてのものです。規制の名宛人も、該当性の要件の立て方も薬機法とは別で、同じ論文でも、どちらの法律の物差しで見るかによって問いが変わります。医療法の側の枠組みは医療広告規制はなぜ限定列挙なのかで扱います。

薬機法の側に、これと同じ形の一般的な記載はありません。行政が薬機法上の取扱いを文書で整理しているのは、治験等に係る情報提供についてです。

治験の参加者を募集するための情報提供は、どの要件を満たすと広告に当たらないとされているか

記2(2)が挙げる4つ、対象となる試験・情報提供する内容・情報提供が可能な期間・留意事項の記載です。令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号が置いています。

これを満たすものは顧客誘引性が認められず、掲載される媒体によらず広告には該当しないとされています。

治験等に係る情報提供の広告該当性は、令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号(厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)が整理しています。同通知は、規制改革実施計画(令和7年6月13日閣議決定)における「治験に係る広告規制の見直し」を踏まえて発出されたものです。

通知は、治験等に係る情報提供を目的で2つに分けています。参加者募集のための情報提供(記2)と、それ以外の情報提供(記3)です。前者について、記2(1)は次のように書いています。

治験等の参加者募集のために必要な限度での情報提供として、下記(2)の要件を満たすものについては、その目的は治験等の参加者募集であり、治験薬等に対する顧客を誘引する目的のものではないことが明らかであるため、顧客誘引性が認められず、その情報が掲載される媒体によらず、当該治験薬等の広告には該当しない。本項に示す参加者募集のための情報提供であれば、例えば、治験薬の名称、治験成分記号等の特定性を有する情報を含む情報提供が可能である。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記2(1)

記2(2)が置いている4つの要件

  1. ア 対象となる試験の範囲

    医薬品、医療機器又は再生医療等製品に係る治験及び製造販売後臨床試験、並びに臨床研究法(平成29年法律第16号)第2条第2項に規定する特定臨床研究(未承認又は適応外の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品を用いるものに限る)であること。これらの試験は、厚生労働省が整備する「臨床研究等提出・公開システム」(jRCT)に登録されている必要があるとされています。

  2. イ 情報提供する内容の範囲

    当該試験の同意説明文書に記載されている内容を限度として、参加者募集のために必要な情報の範囲とすること。あわせて、参加者募集のための情報提供であることを明示することとされています。

  3. ウ 情報提供が可能な期間

    当該試験の実施期間中とすること。治験の場合は、治験届の提出日以降が実施期間中とされます。原則として、実施期間中に参加者の募集が終了した場合は、ウェブサイト上の情報を削除するなど当該情報提供を終了することとされています。

  4. エ 留意事項の記載

    治験とは試験段階のものであり研究を伴うものであること、治験薬の有効性及び安全性は検証されたものではないこと等の治験等に関する一般的な説明を、分かりやすく、見やすい場所に記載しなければならないとされています。

記2(1)は、あわせて別の経路にも触れています。治験及び製造販売後臨床試験に関する参加者募集の情報提供は、令和7年4月1日 医薬薬審発0401第3号(「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスの改正通知)等でいう「被験者の募集手順(広告等)」に該当すると書いています。これに関する資料は、治験審査委員会における審査の対象となるとされています。

薬機法上の広告該当性とは別に、この審査の経路があるという整理です。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

治験に係る情報提供の広告該当性は、令和5年1月24日 薬生監麻発0124第1号「治験に係る情報提供の取扱いについて」による。

現行

令和5年通知は廃止されている。現行は令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号「治験等に係る情報提供の取扱いについて」で、表題も「治験」から「治験等」に変わっている。

根拠:令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号 本文「なお、本通知の発出に伴い、令和5年通知は廃止します。」(2026-09-08 確認)

参加者募集以外の治験等の情報は、どのような方法なら広告に当たらないとされているか

記3が示すのは、表紙ページを経由しないと開けない個別ページに載せる方法と、そこに載せてよい内容の範囲です。

この場合、顧客誘引性及び一般認知性の観点から、広告に当たらないと判断して差し支えないとされています。

記3が扱うのは、参加者募集の目的以外の情報提供です。出発点は、これらが広告に該当する可能性があるという整理に置かれています。

2.以外の治験等に係る情報提供(参加者募集の目的以外の情報提供)については、顧客誘引性がないことが明らかではなく、未承認医薬品等の広告に該当する可能性がある。しかし、下記(2)に示す一定の要件に該当する場合は、顧客誘引性及び一般認知性の観点から、当該情報提供は広告に当たらないと判断して差し支えない。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記3(1)

提供方法(記3(2)ア)

要件のうち提供方法は、ページの構成そのものを指定しています。並んでいるのは次の3つです。

  • 情報はインターネット上の媒体で、ハイパーリンク等により他の情報から切り分けられた独立した場所(個別ページ)に掲載すること。
  • その個別ページへの直接のリンクは設定しないこと。
  • 個別ページのリンク一覧を掲載したページなど別のページ(表紙ページ)を設け、表紙ページを経由しないと個別ページにアクセスできないようにすること。

建物にたとえると、個別ページには外から直接入る扉を作らず、入口を表紙ページの1か所に絞る構成です。通知は、この経由を技術的な仕様によっても担保することが望ましい、と書いています。

なお、個別ページに掲載された情報がアクセス方法によらず常に広告に該当しないようにするため、個別ページへの直接のリンクを設定しないだけではなく、表紙ページを経由しないアクセスについては表紙ページにリダイレクトされる、個別ページのメタデータを検索エンジンのインデックス対象外とする設定をする等、表紙ページを経由することを技術的な仕様により対応することが望ましい。

同通知 記3(2)ア

内容の範囲(記3(2)ウ)

個別ページに載せる内容は、jRCT等に登録された情報、又は当該臨床試験の結果のレイサマリーとされています。登録された情報については、同義の内容であればより平易な表現とすることは差し支えないとされています。

レイサマリーは、臨床試験の結果のレイサマリーの作成に係るガイドラインを参考に作成することとされています。挙げられているのは、一般社団法人PPI JAPANの「レイサマリー作成の手引き」や欧州委員会の「Good Lay Summary Practice」等です。

留意事項の記載(記3(2)エ)

留意事項の記載は、記2と同じ一般的な説明を表紙ページの中の分かりやすく、見やすい場所に置くことを求めています。個別ページにも同様の記載があることが望ましいとされています。

同通知は、この情報提供が有効性や安全性に関わる治験等の結果を直接的に掲載する可能性があるものであり、掲載する情報の内容や記載方法については十分な慎重さを要するとも書いています。

表1:令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号が示す2つの整理
項目参加者募集のための情報提供(記2)それ以外の情報提供(記3)
広告該当性の理由づけ顧客誘引性が認められない(記2(1))顧客誘引性及び一般認知性の観点から、広告に当たらないと判断して差し支えない(記3(1))
媒体・提供方法掲載される媒体によらない(記2(1))インターネット上の媒体。表紙ページを経由する個別ページに掲載(記3(2)ア)
対象となる試験治験、製造販売後臨床試験、特定臨床研究(未承認又は適応外のものに限る)。jRCTに登録されていること(記2(2)ア)jRCT、UMIN臨床試験登録システム、ClinicalTrials.gov、EU Clinical Trials Register、Clinical Trials Information Systemに登録された、未承認又は適応外の医薬品等に係る臨床試験(記3(2)イ)
内容の範囲同意説明文書に記載されている内容を限度とする(記2(2)イ)jRCT等に登録された情報、又は臨床試験の結果のレイサマリー(記3(2)ウ)
期間試験の実施期間中。募集終了時は情報提供を終了(記2(2)ウ)記3(2)ア〜エに期間の項目は置かれていない
留意事項の記載分かりやすく、見やすい場所に記載しなければならない(記2(2)エ)表紙ページの中に記載しなければならない。個別ページにも同様の記載があることが望ましい(記3(2)エ)
対象となる相手記2(2)ア〜エに相手を限定する項目は置かれていない。通知全体の対象については、記1が「患者やその家族等を対象とした治験に係る情報提供」と書いている患者等を対象としたもの。医療関係者に対する販売情報提供活動などには適用できない(記3(1)なお書き)

各欄の根拠は、括弧内に示した同通知の記番号です。「項目は置かれていない」は、通知の当該項目に対応する記載が無いことを示します。

URLの紹介や公的データベースへの誘導は、どう位置づけられているか

中立的な記載であり顧客誘引性がない場合は、その記載のみをもって広告に該当するとは解さない、と書かれています。

一方、表紙ページ以外の場所に個別ページへの直接のリンクを設定することは、広告に該当する可能性があるとされています。

通知は、ページそのものだけでなく、そのページを指し示す行為についても記述を置いています。参加者募集のための情報提供については、記2(3)が次のように書いています。

上記(2)の要件を満たす場合として、例えば、本情報提供のためのウェブページを作成し、当該ウェブページのURL(二次元バーコード等の形態を含む。以下同じ。)について、製薬企業等のウェブページや新聞、雑誌等への掲載、ソーシャルネットワークサービス(SNS)への投稿、動画配信等での紹介を行うことも差し支えない。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記2(3)

同項は、留意事項の記載についても続けています。文字数やスペースの制限により記載が難しい場合には、URLの先のウェブページに留意事項の記載があることを条件に、やむを得ない範囲でその一部又は全部を省略しても差し支えない、というものです。SNS上の投稿が誰の広告として扱われるかという問題はSNSの投稿は誰の広告かで扱います。

表紙ページと、公的データベース

参加者募集以外の情報提供については、記3(3)が表紙ページの記載を扱っています。

たとえ表紙ページに、特定の治験薬の名称、治験成分記号、治験の名称等の特定性を有する情報が記載されていたとしても、中立的な記載であり、顧客誘引性がない場合は、その記載のみをもって広告に該当するとは解さない。

(中略)一方で、表紙ページ以外の場所に個別ページへの直接のリンクを設定することは、当該リンクの提供が、広告に該当する可能性があることに留意すること。

同通知 記3(3)

(中略)で省いた部分には、2つの記述があります。1つは、SNSの投稿等で表紙ページのURLを紹介した場合等についてのものです。URLの先のウェブページに何が記載されているかを記載する中で治験薬の名称等の特定性を有する情報が出てきても、中立的な記載であり顧客誘引性がない場合は、その記載のみをもって広告に該当するとは解さないとしています。

もう1つは、記2の参加者募集のための情報提供を表紙ページとし、個別ページへのリンクを設定することも可能とするというものです。

公的データベースについては、記3(4)が別に書いています。

従前より、jRCT等の公的データベース上の情報自体については、広告に該当しないものとして取り扱ってきたところであるが、jRCT等のトップページ、検索機能のあるページ、治験等の一覧が掲載されているページ等のURLを紹介することについても、その紹介が中立的な記載で顧客誘引性のないものである限りは、広告に該当しないとして差し支えない。

同通知 記3(4)

記3(3)と記3(4)には、いずれも「中立的な記載であり、顧客誘引性がない場合」(記3(4)は「中立的な記載で顧客誘引性のないものである限りは」)という条件が置かれています。判断の軸は、平成10年9月29日 医薬監第148号の3要件のうち顧客誘引性に戻っています。

医療関係者に向けた研究成果の提供にも、この整理は及ぶのか

及びません。記3は、医療関係者に対する販売情報提供活動などについて適用することはできない、と書いています。

医療用医薬品の販売情報提供活動には、平成30年9月25日 薬生発0925第1号のガイドラインが別に置かれています。

令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号の記3は、その射程を自ら限定しています。

なお、本項については、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものであり、それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)について適用することはできないので留意すること。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記3(1)なお書き

医療関係者に向けた側には、別の文書が置かれています。「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(平成30年9月25日 薬生発0925第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知の別添)です。適用日は平成31年4月1日で、第2及び販売情報提供活動の監督部門に関連する事項は同年10月1日からとされています(第4の8)。

同通知の前文は、策定の経緯を述べています。医療用医薬品に関する販売情報提供活動において「証拠が残りにくい行為(口頭説明等)、明確な虚偽誇大とまではいえないものの不適正使用を助長すると考えられる行為、企業側の関与が直ちに判別しにくく広告該当性の判断が難しいもの(研究論文等)の提供といった行為」が行われていた、というものです。前文は、これらの行為が医療用医薬品の適正使用に影響を及ぼすおそれが懸念されていることを挙げています。このガイドラインの射程は事業者間の情報提供はどこまで広告かで扱います。

研究成果の引用に関わる要件(第1の3(1))

ガイドラインは、販売情報提供活動が満たすべき要件を第1の3(1)に①から④まで置いています。研究成果の引用に直接関わるのは③と④です。

③ 提供する情報は、科学的及び客観的な根拠に基づくものであり、その根拠を示すことができる正確な内容のものであること。その科学的根拠は、元データを含め、第三者による客観的評価及び検証が可能なもの、又は第三者による適正性の審査(論文の査読等)を経たもの(承認審査に用いられた評価資料や審査報告書を含む。)であること。

④ 販売情報提供活動の資材等に引用される情報は、その引用元が明記されたものであること。また、社外の調査研究について、その調査研究の実施や論文等の作成に関して医薬品製造販売業者等による物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的内容も明記されたものであること。なお、社外の調査研究については、「臨床研究法」(平成29年法律第16号)、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)その他これらに準ずる指針等を遵守したもののみを使用すること。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)第1の3(1)③・④

調査事業の報告書が挙げている事例

「医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業」は、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課の委託事業として実施されています。その報告書(令和8年3月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)は、医療現場のモニターからの報告に基づく事例を、企業名・製品名を伏せた形で掲載しています。学会の場に関するものとして、次の類型が挙げられています。

  • 製薬企業が企画・共催した学会セミナーで、未承認の自社医薬品を紹介した事例。「セミナーという場で承認前の医薬品を紹介することは不適切である」とされています。
  • 学会総会内の企業共催のランチョンセミナーで、その企業の医薬品の未承認の効能に関する治験結果について大学の研究者が講演を行った事例。「製薬企業が共催しているプログラムで、自社医薬品の未承認の効能効果に関する情報提供を行うことは不適切である」とされています。

同報告書は、平成28年度から運用されてきた広告監視モニター制度についても述べています。医療現場の医師・薬剤師に対する製薬企業の販売促進活動の状況を直接収集して評価等を行い、不適切な事例については製薬企業及び医療関係者に広く公表し、警鐘とするとともに、必要に応じて行政指導等の対応を行ってきた、というものです。

事業の名称は、令和6年度に「医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業」から「医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業」に変更されています。

「大学との共同研究」という記載は、どの規定で見られているか

医薬品等適正広告基準 第4の10(医薬関係者等の推せん)です。化粧品等については、この項目に抵触するため認められないとされています。

健康食品については、広告全体に効能効果の標榜が無ければ薬機法による指導対象とはならないとされています。

研究成果の発信は、研究そのものの内容ではなく、研究に関わった主体の名を挙げる形をとることがあります。この形を正面から扱った行政のQ&Aがあります。平成30年8月8日 事務連絡「医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」のQ3です。いわゆる健康食品や化粧品等の広告における「○○大学との共同研究」や「○○大学との共同研究から生まれた成分」等の標榜が認められるかを、問いに立てています。

健康食品の広告に関する事例については、広告全体から判断することとなるが、広告全体の効能効果(暗示を含む。)の標榜が無いのであれば、未承認医薬品の広告と見なさなれないことから、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による指導対象とはならない。

また、化粧品等の広告に関する事例については、医薬品等適正広告基準第4の10の医薬関係者等の推せんに抵触するため、「大学との共同研究」との記載は認められない。さらに、「大学との共同研究」と記載することにより広告全体として効能効果の逸脱となる場合は、医薬品等適正広告基準第4の3(1)若しくは3(2)に抵触することとなる。

医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)Q3・A。「見なさなれない」は原文のまま

回答は、物の区分によって根拠となる規定を分けています。健康食品については、薬機法の指導対象になるかどうかを広告全体から見るとしています。化粧品等については、医薬品等適正広告基準の項目を名指ししています。

名指しされた第4の10は、次の文言です。

医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。

ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の10 医薬関係者等の推せん

基準の文言に「学校又は学会を含む団体」が挙がっており、大学名や学会名を伴う記載がこの項目の対象に入る形になっています。あわせて挙げられている第4の3(1)(2)は、承認等を要する医薬品等・要しない医薬品等それぞれについて効能効果等の表現の範囲を定めた項目です。

基準の全体の構成は医薬品等適正広告基準 — 本体(薬生発0929第4号)の構成と、解説通知の位置づけ、表現の類型と根拠の対応は表現と根拠の対照表で扱います。

治験以外の臨床研究や、海外で実施されている試験の情報にも、同じ考え方が及ぶのか

及ぶ部分があります。通知は、未承認又は適応外の医薬品等を用いる臨床研究や海外の臨床試験にも同様にあてはまる部分があるとしています。

記3(2)イは、海外の登録システムに登録された臨床試験を対象の範囲に含めています。

令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号の記1は、基本的な考え方の末尾に次の一文を置いています。

なお、上述の考え方については治験のみならず、未承認又は適応外の医薬品等を用いる臨床研究や、海外で実施されている臨床試験に関する情報においても、同様にあてはまる部分があるものと考えられる。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記1

この考え方は、記3(2)イの対象試験の範囲に具体化されています。同項が挙げているのは、次の登録システムに登録されている、未承認又は適応外の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品に係る臨床試験です。

  • 厚生労働省が整備する「臨床研究等提出・公開システム」(jRCT)
  • 大学病院医療情報ネットワークが整備する「UMIN臨床試験登録システム」
  • 米国の「ClinicalTrials.gov」
  • 欧州の「EU Clinical Trials Register」及び「Clinical Trials Information System」

参加者募集の側(記2(2)ア)は、jRCTへの登録を求めています。医薬品と医療機器のほか、再生医療等製品に係る治験が記2(2)アと記3(2)イのいずれにも含まれています。

再生医療等製品という区分の内容は「再生医療等製品」— 薬機法に5つ目として置かれた区分、供給する側から見た線の引き方は供給者はどこまで言えるかで扱います。医療機関の側が未承認の医薬品等を用いる場合の記載事項は限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載で扱います。

要点

この通知が要件に置いているのは、公的な登録システムへの登録があること(記2(2)ア・記3(2)イ)と、提供する内容が同意説明文書や登録された情報の範囲にとどまること(記2(2)イ・記3(2)ウ)です。判断の基準そのものは、平成10年9月29日 医薬監第148号の3要件のままです。

理解の確認

「学会や専門誌で発表される学術論文は広告に当たらない」という説明を、薬機法の場面にそのまま持ち込めないのはなぜか。

その説明の出どころは医療法の医療広告等ガイドライン第2の5(1)で、医療機関の広告について誘引性を有さないと述べたものです。薬機法の側には学術論文を対象から外す条文も、これと同じ形の一般的な記載もなく、平成10年9月29日 医薬監第148号の3要件で見ることになります。医療法の側でも、学術論文等を装いつつ不特定多数にダイレクトメールで送る等により実際には特定の医療機関への受診等を増やすことを目的としていると認められる場合は誘引性を有すると判断するとされており、形式が論文であることが結論を決めるわけではありません。

根拠:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の5(1)、平成10年9月29日 医薬監第148号(法令確認日 2026-09-08)

治験等の情報提供のうち、参加者募集のためのもの(記2)は媒体を問わないのに、それ以外(記3)には表紙ページを経由する掲載方法が要件として置かれているのはなぜか。

記2(1)は、目的が参加者募集であって治験薬等に対する顧客を誘引する目的のものではないことが明らかだとして、顧客誘引性そのものを否定しています。目的の側で要件が1つ欠けるため、どの媒体に載せるかは結論を左右せず、治験薬の名称や治験成分記号など特定性を有する情報を含めることもできるとされます。記3(1)は、参加者募集以外では顧客誘引性がないことが明らかではないとしており、否定の根拠を目的に置けません。そこで届き方の側を絞り、表紙ページを経由しないと開けない個別ページに載せることで、顧客誘引性及び一般認知性の観点から広告に当たらないと判断して差し支えない、という組み立てになっています。

根拠:治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記2(1)・記3(1)・記3(2)ア(法令確認日 2026-09-08)

患者等への治験等の情報提供についての記3の整理を、医療関係者に向けた研究成果の提供にそのまま用いることができないのはなぜか。

記3(1)のなお書きが、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものであり、医療関係者に対する販売情報提供活動などについて適用することはできないと、射程を自ら限定しているためです。医療関係者に向けた側には医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)が別に置かれています。同ガイドライン第1の3(1)③・④が求めるのは、科学的及び客観的な根拠に基づき第三者による検証や査読を経た情報であることと、引用元の明記(社外の調査研究に企業から物品、金銭、労務等の提供があった場合はその具体的内容も)で、記3の掲載方法とは要件の中身が違います。

根拠:治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記3(1)なお書き、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添)第1の3(1)③・④(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)
  • 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の5(1)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号 別添、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)第1の3(1)③・④、第4の8厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)Q3厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3・第4の10厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医療用医薬品の販売情報提供活動調査事業 報告書(令和8年3月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社。厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 委託事業。モニター調査対象期間は令和7年度中の9か月間)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第68条。版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026-05-21e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)