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広告の表現の範囲は、どの資料のどこに書いてある? — 表現と根拠の対照表

化粧品会社の広報担当者が、新商品の広告を作るとします。効能をどこまで書けるかは、どの資料のどこでわかるのでしょうか。医薬品や化粧品などの広告で、表現の範囲を定めた箇所は、医薬品等適正広告基準の第4にまとまっています。この基準は、厚生労働省の通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)の別紙です。承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)の要らない化粧品の効能の範囲について、基準は別の通知を参照しています。食品の表示や、病院・診療所などに関する広告では、根拠が別の法律に移ります。このページでは、根拠の探し方を表と例で説明します。個々の表現が使えるかどうかは扱いません。

30秒でわかる要点

  • この表に載っているのは、表現が使えるかどうかではなく、根拠のありか:行ごとに、資料の名前、出された日と番号、該当する箇所を示しています。特定の表示物についての判断も扱いません。
  • 効能効果等(効き目や性能)の範囲は、医薬品等適正広告基準の第4の3の1か所にまとまっている:承認等が必要なものは、承認等を受けた範囲が上限です。承認等とは、国が製品ごとに審査して製造販売を認める承認と、国に登録された機関が基準に合うかを確かめて認める認証のことです。承認等が不要なもの(化粧品を除く)は、医学、薬学上認められている範囲です。承認が不要な化粧品は、厚生労働省の通知(2011年7月)に定める範囲です。
  • 物や表示する側が変わると、根拠は別の法律に移る:医薬品等(薬機法が扱う5つの製品)の広告は、薬機法と適正広告基準です。食品として売られる物の表示は健康増進法第65条第1項です。事業者が、自社が供給する商品やサービスについて行う表示は、景品表示法(不当な景品類や表示を規制する法律)第5条第1号です。病院・診療所などに関する広告は、医療法第6条の5です。ただし、口から飲む物が医薬品にあたるかは、食品として売るつもりでも、成分や形状、表示などから判断されます(国の通知、1971年6月)。

1. この対照表には、何と何が並んでいるのですか?

製品の区分や表現の対象と、その範囲を決めている一次資料(法令や通知そのもの)の該当箇所です。個々の表現が使えるかどうかは載せていません。

効能効果等の範囲は適正広告基準の第4の3にまとまっていて、化粧品についてだけ、別の通知(2011年7月)を参照しています。

このページの表(表1〜表3)は、表現が使えるかどうかを並べた一覧ではありません。行ごとに、資料の名前、出された日と番号、該当する箇所を示しています。出典を書けない行は置いていません。

直感的なポイント

この対照表は、本の巻末の索引に似ています。索引は、言葉が何ページに出てくるかを示しますが、中身までは書いていません。この表も、表現の範囲がどの資料のどこにあるかを示します。

いちばん多く出てくる資料は、どんなものですか

表の根拠の欄にいちばん多く出てくるのが、医薬品等適正広告基準です。このページでは、適正広告基準とも呼びます。

基準は、厚生労働省の通知(2017年9月)に付けられた別紙(通知の本文に添えた文書)です。通知は、厚生労働省医薬・生活衛生局長から、都道府県知事、保健所設置市長(保健所を置く市の市長)及び特別区長(東京23区の区長)にあてて出されました。

通知の本文によると、医薬品等の広告は、薬機法第66条から第68条までの規定と旧通知に基づいて監視指導されてきました。旧通知は、それまでの基準を定めていた通知です。ここでの監視指導は、行政が広告を見て、問題があれば指導することです。その中心は、都道府県等です。本文は、そのうえで別紙のとおり基準を全面的に改正したとしています。

基準は、どんな形で書かれていますか

基準は、第1から第4までの4つでできています。第1が目的、第2が対象となる広告、第3が広告を行う者の責務(果たすべき務め)、第4が基準の本体です。

第2は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等の、すべての媒体の広告を対象にしています。この点と、そもそも広告にあたるかどうかの判断は、『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱っています。

第3は、広告を行う者に2つの務めを課しています。正確な情報を伝えるよう努めることと、医薬品等の品位を損なう、または信用を傷つけるおそれのある広告をしないことです。

原文で確かめる

第3(広告を行う者の責務)

1 医薬品等の広告を行う者は、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めなければならない。

2 医薬品等の広告を行う者は、医薬品等の本質に鑑み、医薬品等の品位を損なう又は信用を傷つけるおそれのある広告は行ってはならない。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第3

第4は、14の項に分かれています。書き方の単位は、個々の語句ではありません。表現の範囲と、行ってはならない広告の類型(型)を単位にしています。

例

ある会社の営業担当者が、使ってはいけない言葉の一覧が第4にあると思って開いたとします。その場合は、調べたい表現が、どの範囲や類型の話にあたるかを先に考えて、項を探すことになります。

後から同じ記載に戻るには、何を控えればよいですか

次の4つを控えておくと、後から同じ記載に戻れます。

  • 資料の名称(通知名・法令名)
  • 発出日と番号、または法令番号
  • 該当箇所(第・項・号、別紙の項番号)
  • 確認した日

このうち初めの3つは、表の各行にあります。確認した日は、ページ冒頭の法令確認日と、末尾の出典欄に書いています。

2. 効能効果等の表現の範囲は、どの資料が決めているのですか?

適正広告基準の第4の3です。承認等が必要なものは承認等を受けた範囲、不要なもの(化粧品を除く)は医学、薬学上認められている範囲が上限です。

承認が不要な化粧品だけは、第4の3(2)の後段が、2011年7月の厚生労働省の通知に定める範囲を上限にしています。

効能効果等(効能効果または性能)の表現の範囲は、適正広告基準の第4の3にまとめて書かれています。上限は、次の3つに分かれています。

  • 承認等が必要な医薬品等:承認等を受けた効能効果等の範囲(第4の3(1))
  • 承認等が不要な医薬品等(化粧品を除く):医学、薬学上認められている範囲(第4の3(2)の前段)
  • 承認が不要な化粧品:厚生労働省の通知(2011年7月)「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲(第4の3(2)の後段)

承認等は、承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)と、認証(国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めること)を指します。

定義は、基準の第4の1(1)にあります。薬機法第14条、第23条の2の5、第23条の25に基づく承認と、第23条の2の23に基づく認証です。

(1)は、はっきり書くかほのめかすかを問わず、承認等を受けた範囲をこえてはならないとしています。原文では「明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず」と書かれています。

例

冒頭の、化粧品会社の広報担当者の場面で考えます。扱う商品が承認の要らない化粧品なら、見る先は(2)の後段で、範囲を定めているのは2011年7月の通知です。

承認を受ける必要がある医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)なら、見る先は(1)で、承認等を受けた範囲が上限です。

原文で確かめる

(1)承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲

承認等を要する医薬品等の効能効果又は性能(以下「効能効果等」という。) についての表現は、明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはならない。

(2)承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲

承認等を要しない医薬品等(化粧品を除く。)の効能効果等の表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。

また、承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、平成23年7月21日薬食発第0721第1号医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲をこえてはならない。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(1)・(2)

効能効果のほかに、範囲が決まっているものはありますか

あります。名称、用法用量(使い方と使う量)、効き目の現れ方(速さや持続)についても、同じ別紙の中に範囲を定めた箇所があります。表1は、その場所をまとめたものです。

表1は、左から「何について」「どこまで」「別紙のどこに」の順に並んでいます。根拠の欄の「同」は、1行目と同じ別紙を指します。

表1:効能効果等・名称・用法用量について、範囲を定めている箇所
対象定められている範囲根拠(別紙の該当箇所)
承認等を要する医薬品等の効能効果等明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず、承認等を受けた効能効果等の範囲医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(1)
承認等を要しない医薬品等(化粧品を除く。)の効能効果等医学、薬学上認められている範囲同 第4の3(2)前段
承認を要しない化粧品の効能効果平成23年7月21日 薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲同 第4の3(2)後段
承認又は認証を要する医薬品等の名称承認等を受けた名称又は一般的名称以外の名称を、別に定める場合を除き使用しない同 第4の1(1)
医薬品等の用法用量承認等を要するものは承認等を受けた範囲、要しないものは医学、薬学上認められている範囲。これをこえた表現や不正確な表現等を用いて、効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしない同 第4の3(4)
速効性、持続性等(効能効果の発現程度)医学、薬学上認められている範囲同 第4の3(7)

各行は、医薬品等適正広告基準の別紙から、範囲の上限を定めている箇所を抜き出したものです。化粧品の効能の範囲そのもの(3行目にある平成23年の通知に定める内容)は、本ページでは扱いません。

例

ある医薬品の広告で、効き目の速さについて書く場面を考えます。表1の最後の行を見ると、根拠は第4の3(7)で、範囲は医学、薬学上認められている範囲です。具体的な言い回しがその範囲に収まるかどうかは、表だけでは決まりません。

3. 表現の種類ごとの決まりは、基準のどこに並んでいるのですか?

第4が14の項に分かれています。効能効果、性能及び安全性の決まりは第4の3で、その中がさらに(1)から(8)までに分かれています。

効能効果等や安全性を保証する表現の禁止は(5)、最大級の表現の禁止は(6)にあります。

基準の番号は、本の目次と同じように入れ子になっています。第4(基準)の下に1から14までの項があり、第4の3の下には、さらに(1)から(8)までがあります。

表現の類型を探すときは、この2段を上から順にたどることになります。表2は、第4の14の項の見出しを、別紙の表記のまま並べたものです。

表2:医薬品等適正広告基準 第4(基準)の項の並び(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)
項見出し(別紙の表記)
第4の1名称関係
第4の2製造方法関係
第4の3効能効果、性能及び安全性関係
第4の4過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限
第4の5医療用医薬品等の広告の制限
第4の6一般向広告における効能効果についての表現の制限
第4の7習慣性医薬品の広告に付記し、又は付言すべき事項
第4の8使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項
第4の9他社の製品の誹謗広告の制限
第4の10医薬関係者等の推せん
第4の11懸賞、賞品等による広告の制限
第4の12不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限
第4の13テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い
第4の14医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限

見出しは別紙の表記のとおりです。番号は別紙が「第4(基準)」の下に付している項番号を指します。

例

医薬関係者等の推せん(推薦)に関わる広告なら第4の10、懸賞や賞品を使う広告なら第4の11が、見出しから探すときの入り口になります。中身は、各項の本文で確かめます。

効能効果、性能及び安全性関係(第4の3)は、さらに次の8つに分かれています。

  1. 承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲
  2. 承認等を要しない医薬品等についての効能効果等の表現の範囲
  3. 医薬品等の成分等及び医療機器の原材料等についての表現の範囲
  4. 用法用量についての表現の範囲
  5. 効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
  6. 効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止
  7. 効能効果の発現程度についての表現の範囲
  8. 本来の効能効果等と認められない表現の禁止

「範囲」の項と「禁止」の項は、どう違いますか

見出しの終わり方を見ると、(1)から(4)までと(7)が「表現の範囲」、(5)と(6)と(8)が「禁止」です。範囲の上限を定めた項と、行ってはならない類型を挙げた項が、同じ第4の3の中に並んでいます。

そのため、表現が範囲の内側にあるかどうかと、(5)(6)(8)の類型にあたるかどうかは、別々に見ることになります。

(5)は、具体的な効能効果等や安全性を示して、それが確実だと保証するような表現を禁じています。(6)は、効能効果等や安全性についての、最大級の表現やこれに似た表現を禁じています。

例

ある医薬品の広告が、承認を受けた効能だけを取り上げているとします。(1)の範囲の点では内側でも、具体的な効き目を示して、それが確実だと保証するような書き方なら(5)が問題になり得ます。最大級の表現なら、(6)が問題になり得ます。

原文で確かめる

(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。

(6)効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現をしてはならない。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(5)・(6)

このページは、項の場所を示すものです。各項の解説は、同じ日付に課長の名前で出された通知(課長通知)にあり、このページはその中身には立ち入りません。基準のもとになっている第66条が禁じている内容は、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』で扱っています。

4. 物や、表示する側が変わると、根拠の資料も変わるのですか?

変わります。医薬品等の広告は薬機法と適正広告基準、食品として売られる物の表示は健康増進法、病院・診療所などに関する広告は医療法です。

事業者が、自社が供給する商品やサービスについて行う表示は、景品表示法の対象です。

適正広告基準が対象にしているのは、第1のとおり、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の広告です。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などを指します。

そのため、ある物について基準を見る前に、その物が薬機法のどの区分にあたるかを先に確かめることになります。

口から飲む物が医薬品にあたるかは、どう判断されますか

人が口から飲む物について、判断のしかたを示しているのが、国の通知(1971年6月。最終改正は2020年3月)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」です。

別紙の柱書(項目の前に置かれた前置きの文)によると、判断の軸は2つです。医薬品としての目的を持っているか、または、通常人(ふつうの人)が医薬品としての目的を持つ物だと受け取るかです。目的の中身は、『1-2 「医薬品」とは、法律上どんな物?』で扱っています。

柱書は、ふつうの人がどう受け取るかを、次の要素を総合して判断すべきものとしています。成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等)、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、販売の際の演述(売るときの説明)等です。剤型は錠剤やカプセルなどの形、意匠はデザインのことです。

例

健康食品を扱うA社が、カプセルの商品を食品として売るつもりでいるとします。この柱書によると、医薬品にあたるかどうかは、上の2つの軸と要素によって判断されることになります。

原文で確かめる

人が経口的に服用する物が、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断することとなる。通常人が同項第2号又は第3号に掲げる目的を有するものであると認識するかどうかは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断すべきものである。

無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号、最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」柱書

区分や表示する側が変わると、どの法律に移りますか

区分が変わったり、表示をする側が変わったりすると、根拠となる条文も別の法律へ移ります。表3は、その移り先をまとめたものです。対象の範囲は、各資料が条文や本文で自ら決めています。

左の「対象」で当てはまる行を選び、右の「根拠」で条文を確かめます。当てはまる行は、1つとは限りません。

表3:対象が変わったときに、表示・広告を規律する主な条文
対象定められている内容根拠
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の広告広告が虚偽、誇大にわたらないようにするとともに、その適正を図る基準(第4に14項)医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第1、同改正通知本文(薬機法第66条から第68条までの規定に基づく監視指導)
人が経口的に服用する物が医薬品に当たるかの判断成分本質(原材料)、形状、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断昭和46年6月1日 薬発第476号(最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙 柱書
食品として販売に供する物の広告その他の表示健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示、著しく人を誤認させるような表示をしてはならない健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示す表示等をしてはならない不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条第1号
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告広告することができる事項が限定されている(第6条の5第3項)医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5

各行の「根拠」は、その内容が書かれている条項または通知の該当箇所です。

例

あるクリニックが、自院の診療について広告を出す場面で考えます。表3では、病院・診療所に関する広告の行が対象になり得ます。根拠は、医療法第6条の5です。

同じクリニックでも、医薬品等の広告をするなら、表3の1行目の薬機法と適正広告基準の側も見ることになり得ます。

病院・診療所などに関する広告は、広告できる事項が限定列挙(決められた事項に限って並べる書き方)になっています。その理由と条文の構造は、『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』(第6条の8)で扱っています。

5. 根拠に挙げた資料がいまも有効かどうかは、どこで確かめるのですか?

その資料自身に書かれた、改正と廃止の記載で確かめます。適正広告基準を定めた通知は、旧通知を廃止する旨を本文に書いています。

1971年6月の国の通知は、別添(別紙に付けられた資料)の中身を、別の課長通知へ移す改正を受けています。

基準の本体を引くときに見るのは、厚生労働省の通知(2017年9月)の別紙です。

この通知の本文は、旧通知として「医薬品等適正広告基準について」を挙げています。そして末尾で、この通知をもって旧通知は廃止する、としています。

本文での旧通知の表記

昭和55年10月9日付け薬発第1339号厚生省薬務局長通知、改正平成14年3月28日医薬発第0328009号厚生労働省医薬局長通知。

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

医薬品等適正広告基準は、昭和55年10月9日 薬発第1339号(改正 平成14年3月28日 医薬発第0328009号)である。

現行

平成29年9月29日 薬生発0929第4号の別紙が現行の基準。同通知の本文が、昭和55年10月9日 薬発第1339号を旧通知として挙げ、「なお、本通知をもって、旧通知は廃止します。」としている。

根拠:医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)本文(法令確認日 2026-09-08)

廃止ではなく、中身が別の通知へ移る改正もあります

口から飲む物についての1971年6月の国の通知は、厚生労働省の通知(2020年3月)で一部改正されました。その「改正の趣旨」は、別紙「医薬品の範囲に関する基準」から、別添の2と3を削るとしています。

別添2は「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」です。別添3は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」です。標ぼうは、表示などで掲げてうたうことです。

改正の趣旨によると、削る理由は、これらの中身を課長通知(2020年3月)「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」に定めることに伴うものです。食薬区分は、食品か医薬品かの区分のことです。

課長通知の日付と番号

令和2年3月31日付け薬生監麻発0331第9号

同じ中身を引くときの参照先が、局長通知(局長の名前で出された通知)の別添から、課長通知へ移ったことになります。

例

健康食品の会社の担当者が、古い資料で、ある原材料を1971年の通知の別添2で確かめるよう書かれているのを見つけたとします。同じリストを引く先は、いまは2020年3月の課長通知(その後の改正を含む)の側です。

手元の説明が、いまの条文と食い違っている例は、『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』にまとめています。

6. 都道府県が公表している資料は、どんな資料ですか?

監視指導(ここでは、行政が広告を見て、問題があれば指導すること)を行う立場から作り、公表している資料です。本ページでは、東京都保健医療局の2件を例に見ます。

資料ごとに、公表または更新の時点と、作成した主体を確かめることになります。

適正広告基準を定めた2017年9月の通知は、都道府県知事などにあてて出されました。本文は、医薬品等の広告の監視指導が都道府県等を中心に行われているとし、管下(管轄する地域)の関係業者、関係団体等への周知を求めています。

東京都保健医療局の2件

1件目は「雑貨等の広告について(薬事該当性)」です。薬事該当性とは、ある物や広告が、薬機法の規制の対象にあたるかどうかのことです。この資料は、東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当が作りました。薬機法(資料では医薬品医療機器等法)上の広告にあたるかどうかについて、3つの要件を掲げています。

この3つの要件は、厚生省の通知(1998年9月)が示したものです。

通知の日付と番号

平成10年9月29日 医薬監第148号

資料の末尾には、都内の事業者向けの相談窓口が載っています。製造販売業者(医薬品等を市場に出すための許可を受けた事業者)向け、広告代理店・放送媒体向け、薬事該当性の3つです。

2件目は、同じ局のウェブサイトにある「不適表示・広告例又は解説(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器)」というページです。

ただし、本ページの法令確認日である2026年9月8日に取得した時点では、このページから表示例を確かめられませんでした。そのため、本ページはここから例を採っていません。取得した時点の表示では、更新日は2019年9月10日でした。

資料の名前だけでは、後から同じ記載に戻れないことがあります。作成した主体(局・部・課)、番号があればその番号、公表または更新の日付、確認した日も控えることになります。都道府県の資料は、その団体が自らの管内向けに作ったものである点も控える対象です。

例

ある健康食品の会社で、数年前に共有された都道府県の資料を見返すとします。確認した日と更新日が控えてあれば、いま公表されているページと見比べて、同じ版かどうかを確かめられます。

7. この対照表だけでは決まらないのは、どんなことですか?

個々の表示物の判定です。1971年6月の国の通知も、医薬品にあたるかどうかは、個々の製品ごとに要素を総合的に検討して判定すべきものとしています。

適正広告基準の第4の3(1)も、はっきり書いたか、ほのめかしたかを問わないとしていて、表示物の全体を見ることになります。

1971年6月の通知の別紙は、柱書で、判定の手順も示しています。まず、別紙のⅠにある各要素の解釈に基づいて、その物の成分本質(原材料)を分類します。次に、効能効果、形状、用法用量が医薬品的かどうかを検討します。そのうえで、別紙の「判定方法」により判定する、という流れです。

原文で確かめる

したがって、医薬品に該当するか否かは、個々の製品について、上記の要素を総合的に検討のうえ判定すべきものであり、その判定の方法は、Ⅰの「医薬品の判定における各要素の解釈」に基づいて、その物の成分本質(原材料)を分類し、効能効果、形状及び用法用量が医薬品的であるかどうかを検討のうえ、Ⅱの「判定方法」により行うものとする。

無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号、最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」柱書

適正広告基準の側では、結論の箱に書いた(1)に加えて、第4の3(8)があります。(8)は、本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現して、誤認させる(間違って受け取らせる)おそれのある広告を禁じています。

(8)も、表示物の全体を見ることになります。この対照表に載せていないものは、次の3つです。

  • 個々の表現が使えるかどうか
  • ある表示物の全体から受ける印象の評価
  • 特定の事業や表示物についての個別の判断

例

ある会社の広報担当者に、医療機器の広告で使いたい言い回しがあるとします。表2と第4の3の見出しから、最大級の表現を禁じる(6)の場所まではたどれます。ただ、その言い回しが(6)の最大級の表現にあたるかどうかは、この対照表では決まりません。

製品を供給する側の説明が、どこから広告の話になるかという線は、『5-6 供給者の説明は、どこから「広告」になる?』で扱っています。

理解の確認

承認等を受けた効能効果等の範囲に収まっている表現でも、第4の3に照らして確かめる点が残るのはなぜですか?

第4の3には、範囲の上限を定めた項と、行ってはならない類型を挙げた項が並んでいるからです。(1)から(4)までと(7)は、見出しの終わりが「表現の範囲」です。一方、(5)(6)(8)は、範囲ではなく表現の類型を単位にしています。(5)は効能効果等や安全性を保証する表現を、(6)はそれらについての最大級の表現やこれに似た表現を禁じています。(8)は、本来の効能効果等と認められない表現を禁じています。範囲の内側にあるかどうかと、これらの類型にあたるかどうかは、別々に見ることになります。

根拠:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(1)から(8)まで(法令確認日 2026-09-08)

ある物の広告で医薬品等適正広告基準を見る前に、先に確かめることになるのは何ですか?

その物が、薬機法のどの区分にあたるかです。基準の対象は、第1のとおり医薬品等(薬機法が扱う5つの製品)の広告なので、区分が決まらないと、基準を使う前提が立ちません。区分や表示をする側が変わると、根拠は別の法律に移ります。食品として売られる物の表示は健康増進法第65条第1項、医業や病院・診療所などに関する広告は医療法第6条の5です。事業者が、自社が供給する商品やサービスについて行う表示は、景品表示法第5条第1号です。人が口から飲む物については、国の通知(1971年6月)の別紙が判断のしかたを示しています。成分本質(原材料)、形状、表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、販売の際の説明などを、総合的に判断するというものです。

根拠:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第1、昭和46年6月1日 薬発第476号(最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙、健康増進法第65条第1項、景品表示法第5条第1号、医療法第6条の5(法令確認日 2026-09-08)

行ごとに根拠を示したこの対照表でも、個々の表示物の判定までは決まらないのはなぜですか?

この対照表が対応させているのは、製品の区分や表現の対象と、その範囲を定めている一次資料の該当箇所だからです。医薬品にあたるかどうかについて、国の通知(1971年6月)の別紙は、個々の製品について要素を総合的に検討のうえ判定すべきものとしています。医薬品等適正広告基準の側でも、第4の3(1)は、明示的か暗示的かを問わないとしています。(8)は、本来の効能効果等と認められない効能効果等を表現して誤認させるおそれのある広告を、行ってはならないとしています。いずれも、表示物の全体を見ることになります。資料のありかの一覧と、その評価とは別のものです。

根拠:無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号、最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」柱書、医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(1)・(8)(法令確認日 2026-09-08)

承認を要しない化粧品の効能効果の表現は、どの資料が定める範囲をこえてはならないとされていますか?

厚生労働省の通知(2011年7月)「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲です。医薬品等適正広告基準の第4の3(2)の後段が、この通知を名指ししています。

根拠:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(1)から(8)まで(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)別紙「医薬品等適正広告基準」厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長)厚生労働省の恒久URLは未特定のため、リンクを付していません。本ページは各項の解説の内容に立ち入っていません(2026-09-08 確認)
  • 化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)原文URL未確定。本ページは医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(2)の引用により番号と表題を確認しており、定める範囲の内容は扱っていません。同基準の原文は「薬食発第0721第1号」と表記しています(2026-09-08 確認)
  • 無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日 薬発第476号/最終改正 令和2年3月31日 薬生発0331第33号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示(令和2年3月31日 薬生監麻発0331第9号)。本ページは、昭和46年6月1日 薬発第476号の一部改正(令和2年3月31日 薬生発0331第33号)の「改正の趣旨」の記載により、この通知の番号と表題を確認しています。リンク先は最終改正通知「「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」の一部改正について」(令和8年8月5日 医薬監麻発0805第1号)です 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 健康増進法(平成14年法律第103号)第65条第1項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条第1号 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条から第68条まで、第14条・第23条の2の5・第23条の2の23・第23条の25 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 雑貨等の広告について(薬事該当性)(東京都保健医療局健康安全部薬務課監視指導担当)東京都保健医療局(2026-09-08 確認)
  • 不適表示・広告例又は解説(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器)(東京都保健医療局)東京都保健医療局(2026-09-08 確認。取得した時点では表示例を確認できず、本ページは例示を採っていません)
  • 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長)厚生労働省 法令等データベース(2026-09-08 確認)