30秒でわかる要点
- 分かれ目は、資料の中身ではなく置かれ方。広告該当性の3要件(平成10年9月29日 医薬監第148号)のうち、情報が置かれている状態について述べているのは「一般人が認知できる状態であること」の要件です。残る2つは、顧客を誘引する意図と、特定医薬品等の商品名について述べたものです。
- 医療法の指針は、場面を2つの項に分けて置いている。第2の4が「広告に該当する媒体の具体例」(チラシ・パンフレット、Eメール、説明会のスライド等)、第2の5が「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」で、医療機関内部の掲示・内部で配布するパンフレット等は後者の(4)にあります。(4)が理由に挙げているのは物の種類ではなく、情報の受け手の範囲です。
- 医療用医薬品の「資材等」は、提供方法も媒体も問わない。口頭による説明もパソコン上の映像も含みます(第1の2(3))。使用される前にあらかじめ販売情報提供活動監督部門の審査を受けること(第2の3)、手順書と、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録を作成・保管すること(第2の6)が定められています。
資料の置かれ方は、広告該当性のどの要件に関わるのか?
3要件のうち「一般人が認知できる状態であること」(一般認知性)です。残る2つは、誘引の意図と、特定医薬品等の商品名について述べた要件です。
3要件を示したのは平成10年9月29日 医薬監第148号で、要件ごとの解説は別ページにあります。
広告該当性の3要件のうち、情報が置かれている状態について述べているのは3つ目です。平成10年9月29日 医薬監第148号の記に並ぶ3つは、それぞれ別のことを述べています。1つ目は顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること、2つ目は特定医薬品等の商品名が明らかにされていること、3つ目は一般人が認知できる状態であることです。
資料をどこに置いたか、そこへどの経路で到達するかは、この3つ目の要件に関わります。以下では、その置かれ方について行政の文書が現に書いている記載を、3つ順に見ます。医療法の指針が施設内の掲示・配布と媒体の列挙をどう書き分けているか、令和8年3月30日の通知が提供の方法について何を書いたか、そして医療用医薬品について「資材等」がどう定義され、その管理に何が求められているかです。
3要件そのものと、現在の呼称(顧客誘引性・特定性・一般認知性)を用いた直近の通知の記載はそもそも「広告」とは — 薬機法における広告該当性の3要件にあります。薬機法第66条・第68条の名宛人が「何人も」であることは規制されるのは誰か — 「何人も」と、代理店・媒体・個人、それぞれの条が禁じている内容は第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止と第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止で扱っています。医療法第6条の5から第6条の8までの側の名宛人と枠組みは医療広告規制はなぜ限定列挙なのかにあります。
医療法の指針は、施設内で配る資料と、それ以外の媒体をどう書き分けているのか?
第2の4に広告に該当する媒体の具体例を、第2の5に通常は医療広告等と見なされないものの具体例を、それぞれ別の項として置いています。
施設内の掲示・施設内で配布するパンフレット等は、後者の(4)に置かれています。この項は「医療機関側のルール」のページでも扱っています。
指針は、場面を2つの項に分けて置いています。第2の4が「広告に該当する媒体の具体例」、第2の5が「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」です。医療機関の内部の掲示と、内部で配布するパンフレット等は、後者の(4)に置かれています。
第2の4 が挙げている媒体
ア チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
イ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
ウ 新聞、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの
エ 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)
オ 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の4「広告に該当する媒体の具体例」この項の本文は、「本指針第2の1において、医療広告等の定義を示しているが、広告の規制対象となる媒体の具体例としては、例えば、次に掲げるものが挙げられる」と書き出しています。列挙されているのは媒体です。そこに載せた個々の情報物が医療広告等に当たるかどうかは、指針第2の1が示す要件の側に置かれた構成になっています。
オには、説明会・相談会等で使用するスライド、ビデオ、口頭で行われる演述が並んでいます。配布物だけでなく、話した内容も媒体の例として書かれているということです。
第2の5(4)が挙げている場面
指針は、第2の5(4)で医療機関やオンライン診療受診施設の内部の掲示、内部で配布するパンフレット等を挙げています。理由として書かれているのは、その情報の受け手が通常は既に受診している患者等に限定されるため誘引性を満たすものではなく、情報提供や広報と解される、ということです。
要点
第2の4のアと第2の5(4)には、いずれもパンフレットが出てきます。(4)が理由として書いているのは物の種類ではなく、情報の受け手の範囲です。
第2の5(4)は医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律で既に扱っているため、ここでは繰り返しません。第2の5 が挙げる5類型の一覧、および医療法第6条の5から第6条の8までの規律の全体と医療広告等ガイドラインが示す医療広告等の要件は、医療広告規制はなぜ限定列挙なのか — 医療法第6条の5から第6条の8までにあります。
同じ内容の情報でも、提供の方法によって扱いを分けた整理はあるか?
令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号は、同じ情報が、掲載の方法により広告に該当する場合と該当しない場合に分かれると書いています。
この項は、患者等を対象とした治験等に係る情報提供に限って述べられたものです。
令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号は、治験など未承認医薬品等の臨床試験に係る情報提供について、薬機法上の広告の取扱いを整理した通知です。その記の3(2)ウに、同じ情報でも提供の方法によって結論が分かれると読める一文が置かれています。
個別ページと表紙ページ
記の3は、参加者募集の目的以外の情報提供を対象としています。通知はまず、この情報提供について顧客誘引性がないことが明らかではなく、未承認医薬品等の広告に該当する可能性があるとしています。そのうえで、一定の要件に該当する場合は顧客誘引性及び一般認知性の観点から広告に当たらないと判断して差し支えない、としています。
要件のうち提供方法を定めたのが記の3(2)アです。ハイパーリンク等により他の情報から切り分けられた独立した場所を「個別ページ」、個別ページのリンク一覧を掲載したページなどの個別ページ本体とは別のページを「表紙ページ」と呼んでいます。表紙ページは、個別ページの一覧を置いた玄関にあたる位置づけです。
そのうえで、個別ページに載せる情報の範囲を定めた記の3(2)ウの末尾に、次の一文が置かれています。
これらの情報は、患者等に直接的に情報提供される場合には広告に該当する可能性がある情報だが、アに掲げる方法により情報提供されている限りにおいては広告に該当しない。
治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記の3(2)ウ同じ情報について、提供の方法によって結論が分けられています。記の3(3)には、逆向きの記載もあります。表紙ページ以外の場所に個別ページへの直接のリンクを設定することは、当該リンクの提供が広告に該当する可能性があることに留意すること、と書かれています。
この整理が及ぶ範囲
通知は、この項の適用範囲を自ら限定しています。
なお、本項については、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものであり、それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)について適用することはできないので留意すること。
治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の3(1)対象となる試験の範囲も、記の3(2)イで限定されています。挙げられているのは、厚生労働省が整備する「臨床研究等提出・公開システム」(jRCT)、大学病院医療情報ネットワークが整備する「UMIN 臨床試験登録システム」、米国の「ClinicalTrials.gov」、又は欧州の「EU Clinical Trials Register」若しくは「Clinical Trials Information System」に登録されている、未承認又は適応外の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品に係る臨床試験であることです。
この通知の全体構成と、参加者募集のための情報提供の扱いは第68条 — 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止、論文引用や治験情報の発信については研究成果の発信と広告の境界 — 論文引用・治験情報の扱いで扱っています。
事業者が作る資材そのものには、どんな定めが置かれているのか?
医療用医薬品については、販売情報提供活動に関するガイドラインが「資材等」を定義し、引用元の明記を求める要件を置いています。
対象は、医薬品製造販売業者等が医療用医薬品について行う販売情報提供活動です(第1の2(1))。
医療用医薬品については、平成30年9月25日 薬生発0925第1号(厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)の別添として「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が策定されています。このガイドラインが「販売情報提供活動」と「資材等」を定義し、資材等の作成・審査・記録について定めを置いています。
適用対象を定めているのは第1の2(1)です。医薬品製造販売業者、その販売情報提供活動の委託先・提携先企業及び医薬品卸売販売業者が医療用医薬品について行う販売情報提供活動が対象とされています。
第4の8「適用日」は、本ガイドラインは平成31年4月1日から適用するものとし、ただし第2及び販売情報提供活動の監督部門に関連する事項については同年10月1日から適用するものとする、と書いています。
「販売情報提供活動」と「資材等」の定義
(2)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動」とは、能動的・受動的を問わず、医薬品製造販売業者等が、特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安全性の認知の向上等による販売促進を期待して、当該医療用医薬品に関する情報を提供することをいい、医療用医薬品の効能・効果に係る疾患を啓発(一般人を対象とするものを含む。)することも含まれること。
(3)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動の資材等」とは、販売情報提供活動に使用される資料及び情報をいい、口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わないこと。
医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の2(2)・(3)(2)の定義は、能動的・受動的を問わないと書いています。そのうえで疾患を啓発することも含むとし、その啓発が一般人を対象とするものを含むことまで括弧書きにしています。
(3)の「資材等」は、資料と情報を並べています。口頭による説明とパソコン上の映像と電磁的に提供されるものを例に挙げたうえで、その提供方法、媒体を問わないとしています。紙かデータか、渡したものか話したものかで区切られていません。物の名前で線を引くのではなく、販売情報提供活動に使われたものをまとめて入れる器として定義されている、という書き方です。
引用について定めた要件
第1の3(1)は、販売情報提供活動が満たすべき要件を①から④まで並べています。引用に関する定めは、そのうち④の1項に置かれています。
④ 販売情報提供活動の資材等に引用される情報は、その引用元が明記されたものであること。また、社外の調査研究について、その調査研究の実施や論文等の作成に関して医薬品製造販売業者等による物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的内容も明記されたものであること。なお、社外の調査研究については、「臨床研究法」(平成29年法律第16号)、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)その他これらに準ずる指針等を遵守したもののみを使用すること。
医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の3(1)④1つの項の中に、3つのことが続けて書かれています。引用元の明記、事業者による物品・金銭・労務等の提供があった場合のその具体的内容の明記、そして社外の調査研究について遵守すべき法令・指針です。
第1の2(1)の原文は供給者はどこまで言えるか — 越えると広告になる線に引いてあり、薬機法の条文の名宛人が「何人も」であることとの関係も同ページで扱っています。このガイドラインの射程そのものは事業者間の情報提供はどこまで広告か — 販売情報提供活動ガイドラインの射程にあります。
作った資材は、誰がどう管理することとされているのか?
第2の3が、資材等は使用される前にあらかじめ販売情報提供活動監督部門の審査を受けることとし、第2の6が手順書と業務記録の作成・保管を求めています。
業務記録には、販売情報提供活動において口頭で説明等を行った内容の記録を含むと書かれています。
ガイドラインの第2は、医薬品製造販売業者等の責務を9項に分けて定めています。資材等そのものの管理に関わるのは、第2の3と第2の6です。定めは、作成・使用前の審査・使用・記録という順に並んでいます。
販売情報提供活動の資材等は、関係法令や本ガイドラインを遵守して作成されなければならず、最新の知見等を得たときは、適宜、更新・修正されること。(中略)また、販売情報提供活動の資材等は、使用される前に、予め、販売情報提供活動監督部門による審査を受けること。その際、販売情報提供活動監督部門は、審査・監督委員会の助言を踏まえて承認を行うこと。なお、審査については、適切にその作業を行うことができる機関に外部委託することは差し支えないが、承認に関する責任は、販売情報提供活動監督部門ひいては経営陣が負うものであること。
医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第2の3「販売情報提供活動の資材等の適切性の確保」第2の2は、この販売情報提供活動監督部門を、販売情報提供活動の担当部門から独立した形で社内に設け、その責任者を明確化することとしています。第3の4は、担当者について、第2の3の審査で適切と認められた資材等以外は用いないこと、としています。
作成
資材等は関係法令とガイドラインを遵守して作成し、最新の知見等を得たときは適宜、更新・修正する(第2の3)。
使用前の審査と承認
使用される前に、あらかじめ販売情報提供活動監督部門による審査を受ける。承認は審査・監督委員会の助言を踏まえて行う(第2の3)。
使用
担当者は、第2の3の審査で適切と認められた資材等以外は用いない(第3の4)。
記録の作成と保管
担当部門・担当者に必要な手順書を作成させるとともに、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録を作成させ、適切に保管させる(第2の6)。
求めがあった場合の提出
厚生労働省、関係自治体やPMDAから販売情報提供活動に関係する資料の提出を求められた場合には、資材等に加えて手順書や業務記録を提出すること等により、活動状況を速やかに報告させる(第2の6)。
作った資材を、別の会社が使う場合
第4の5は、販売情報提供活動の委託先・提携先企業について、審査・監督委員会を設けなくてよい場合を定めた項です。委託元・提携元の販売情報提供活動監督部門による審査及び承認を経た販売情報提供活動の資材等(作成企業名が明示されたものに限る。)のみを使用し、委託元・提携元の定めるところに従って販売情報提供活動を行う場合に限り、第2の2の規定にかかわらず審査・監督委員会を設ける必要はないこと、としています。この場合、委託先・提携先企業の担当部門・担当者及び販売情報提供活動監督部門は、委託元・提携元に販売情報提供活動の実施状況の報告を行うこととされています。
第4の6は、医薬品卸売販売業者についての項です。医薬品製造販売業者が作成した販売情報提供活動の資材等をそのまま使用して行う販売情報提供活動(上記5に該当する場合を除く。)については、卸売販売業者において当該資材等の審査を行わなくても差し支えないこと、としています。
要点
第4の5が資材等に付した条件は「作成企業名が明示されたものに限る」です。また第4の1は、本ガイドラインで定められていないこと(禁じられていないこと)であれば自由に行ってもよいとの誤った認識を持つことなく、自らを厳しく律した上で販売情報提供活動を行うこと、と書いています。
置かれ方の違いを、行政の資料はどこにどう書いているか?
医療広告等ガイドラインは場面ごとの具体例を項に分けて置き、令和8年3月30日の通知は提供の方法ごとに扱いを書いています。
表1は場面がどの項に置かれているかを示すもので、表2は通知が方法ごとに示した扱いです。
ここまでに見た記載を、2枚の表にまとめます。表1は、それぞれの場面が行政の文書のどの項に置かれているかを示すものです。表2は、令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号が提供の方法ごとに示した扱いです。2枚は根拠となる法律も判断の枠組みも異なるので、行を横に並べて読み比べることはできません。
| 場面 | 文書での位置づけ | 出典 |
|---|---|---|
| チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む) | 「広告に該当する媒体の具体例」として列挙 | 医療広告等ガイドライン 第2の4 ア |
| 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等) | 同じく媒体の具体例として列挙 | 同 第2の4 エ |
| 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの | 同じく媒体の具体例として列挙 | 同 第2の4 オ |
| 医療機関やオンライン診療受診施設の内部の掲示、内部で配布するパンフレット等 | 「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」として列挙。その情報の受け手が通常は既に受診している患者等に限定されるため誘引性を満たすものではなく、情報提供や広報と解される、と記載 | 同 第2の5(4) |
| 学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等 | 同じく見なされないものの具体例として列挙。ただし書きで、学術論文等を装いつつ不特定多数にダイレクトメールで送る等により実際には特定の医療機関に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には誘引性を有すると判断し、本指針第2の1及び2の要件を満たす場合には広告として取り扱うことが適当、と記載 | 同 第2の5(1) |
| 販売情報提供活動に使用される資料及び情報 | 「販売情報提供活動の資材等」として定義。口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わない、と記載 | 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン 第1の2(3) |
表1は、それぞれの場面がどの文書のどの項に置かれているかを示したものです。医療広告等ガイドライン第2の4は媒体の列挙であり、そこに載せた個々の情報物が医療広告等に当たるかどうかは、同指針第2の1が示す要件の側に置かれています。
| 提供方法 | 通知が示した扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 記の3(2)アに掲げる方法(個別ページに掲載し、表紙ページを経由しないと個別ページにアクセスできないようにする)により情報提供されている場合 | 広告に該当しない | 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の3(2)ウ |
| 同じ情報が、患者等に直接的に情報提供される場合 | 該当する可能性がある情報 | 同 記の3(2)ウ |
| 表紙ページ以外の場所に、個別ページへの直接のリンクを設定すること | 該当する可能性 | 同 記の3(3) |
表2の整理は、通知の記の3(1)により、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものであり、それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)について適用することはできないとされています。対象となる試験の範囲も記の3(2)イで限定されています。表1の医療法の指針とは、根拠となる法律も判断の枠組みも異なります。
広告に該当した場合に、表示の内容そのものがどう見られるかは第66条 — 虚偽・誇大広告の禁止と医薬品等適正広告基準 — 本体(薬生発0929第4号)の構成と、解説通知の位置づけで、体験談や第三者の投稿が誰の表示として扱われるかは体験談・口コミは誰の表示かで扱っています。ウェブ上の表示の扱いはWebは全部広告か — LP・リスティング・タイアップ・オウンドメディアにあります。
理解の確認
「口頭で説明しただけの内容は資材ではないから、審査も記録も及ばない」という理解は、販売情報提供活動ガイドラインのどこと食い違うか。
第1の2(3)は「販売情報提供活動の資材等」を、販売情報提供活動に使用される資料及び情報をいい、口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わない、と定義しています。紙かデータか、渡したものか話したものかで線を引いていないので、口頭の説明も資材等に含まれます。そのため、第2の3の「使用される前に、予め、販売情報提供活動監督部門による審査を受けること」も及びます。第2の6は、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録を作成させ、適切に保管させることとしており、口頭の内容が記録の対象であることを明示しています。
根拠:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の2(3)・第2の3・第2の6(法令確認日 2026-09-08)
同じ「パンフレット」が、医療広告等ガイドラインの第2の4アと第2の5(4)の両方に出てくるのはなぜか。
第2の4は「広告に該当する媒体の具体例」を並べた項で、列挙されているのは媒体です。そこに載せた個々の情報物が医療広告等に当たるかどうかは、指針第2の1が示す要件の側に置かれた構成になっています。第2の5(4)が医療機関やオンライン診療受診施設の内部で配布するパンフレット等を挙げた理由として書いているのは、その情報の受け手が通常は既に受診している患者等に限定されるため誘引性を満たすものではない、ということです。両方に出てくるのは、分かれ目が紙という物の種類ではなく、誰に届く置かれ方かという点にあるからです。
根拠:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の4ア・第2の5(4)(法令確認日 2026-09-08)
表紙ページを経由させる形の情報提供を広告に当たらないとした令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号の整理を、医療関係者に対する販売情報提供活動にそのまま持ち込めないのはなぜか。
通知が記の3(1)で自ら適用範囲を限定しているためです。本項は患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものであり、それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)について適用することはできない、と書かれています。対象となる試験の範囲も記の3(2)イで、jRCT・UMIN 臨床試験登録システム・ClinicalTrials.gov・欧州の登録システムに登録された未承認又は適応外の臨床試験に限定されています。記の3(2)ウの結論は、この限定された場面について顧客誘引性及び一般認知性の観点から述べたものであり、提供方法に関する一般則として置かれたものではありません。
根拠:治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の3(1)・記の3(2)イ・記の3(2)ウ(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 2-9 事業者間の情報提供はどこまで広告か — 販売情報提供活動ガイドラインの射程 事業者間の情報提供にも、専用の文書があります。
- 5-6 供給者はどこまで言えるか — 越えると広告になる線 薬機法は、広告の規律を「何人も」に向けています。
- 5-5 医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律 エクソソームなど細胞の分泌物を用いる自由診療では、医療機関の側に2系統の規律がかかります。
- 2-10 研究成果の発信と広告の境界 — 論文引用・治験情報の扱い 学術論文であることを理由に薬機法の広告規制の外へ置く規定は、薬機法にありません。
- 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)第1の2・第1の3(1)④・第2の2・第2の3・第2の6・第3の4・第4の1・第4の5・第4の6・第4の8 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の4・第2の5(1)・第2の5(4)厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記の3 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長)記 厚生労働省法令等データベース(2026-09-08 確認)。法律名は発出当時の表記
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5から第6条の8まで(版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026-06-05)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)