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医療機関へ渡した資料、置き方で扱いは変わる? — 届く相手・届け方による違いと、資材の管理

あるクリニックが、診療の案内のパンフレットを作ったとします。待合室で患者に手渡すことも、近所の家へダイレクトメールで送ることもあります。行政の文書は、同じ資料でも、どこに置かれ、どの経路で読まれるかで記述を分けています。一方、製薬会社などが医療用医薬品(医師・歯科医師が使うか、その処方や指示で使われる医薬品)の販売促進を期待して行う情報提供を、販売情報提供活動といいます。そこで使うものは、紙でも口頭でも「資材等」と定義されています。このページでは、3つの文書を説明します。医療広告の指針、治験の情報についての国の通知(役所が法律の運用のしかたを示す文書)、医療用医薬品の資材のガイドラインです。

30秒でわかる要点

  • 置かれ方は、3要件のうち「一般認知性」に関わる:薬機法上の広告にあたるかどうか(広告該当性)には、当時の厚生省の通知(1998年9月)が示した3つの要件(3要件)があります。そのうち、情報が置かれている状態について述べているのは「一般人が認知できる状態であること」(一般認知性)です。残る2つは、顧客を誘引する(買いたい気持ちを高める)意図と、特定の医薬品等の商品名についての要件です。医薬品等は、薬機法が扱う5つの製品(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)のことです。
  • 同じパンフレットでも、届く相手で項が分かれる:医療法(病院や診療所などについて定めた法律)の広告の決まりには、国の指針(医療広告等ガイドライン)があります。指針は、チラシ・パンフレット、Eメール、説明会のスライド等を「広告に該当する媒体の具体例」に挙げています(第2の4)。医療機関の内部の掲示や、内部で配布するパンフレット等は「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」にあります(第2の5(4))。指針がその理由に挙げているのは、物の種類ではなく、情報の受け手の範囲です。
  • 医療用医薬品の「資材等」は、提供方法も媒体も問わない:医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン(販売につながる情報提供についての国のガイドライン)の定義です。口頭による説明も、パソコン上の映像も含みます(第1の2(3))。資材等は、使用される前にあらかじめ、販売情報提供活動監督部門の審査を受けることとされています(第2の3)。手順書と、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録の作成・保管も定められています(第2の6)。

1. 資料の置かれ方は、広告かどうかを見るどの要件に関わる?

3要件のうち「一般人が認知できる状態であること」(一般認知性)です。残る2つは、顧客を誘引する意図と、特定の医薬品等の商品名についての要件です。

3要件を示したのは当時の厚生省の通知(1998年9月)で、要件ごとの解説は別のページにあります。

薬機法上の「広告」にあたるかどうか(広告該当性)には、3つの要件(3要件)があります。3つは、それぞれ別のことを述べています。

  • 1つ目:顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。買いたい気持ちを高めようとする意図が、はっきりしていることです。
  • 2つ目:特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。特定の医薬品等の商品名が、はっきり示されていることです。
  • 3つ目:一般人が認知できる状態であること。一般の人が見て知ることのできる状態にある、ということです。

この3つは、現在の呼び方では順に、顧客誘引性・特定性・一般認知性です。

このうち、情報が置かれている状態について述べているのは3つ目です。資料をどこに置いたか、そこへどの経路でたどり着くかは、この3つ目の要件に関わります。

例

A社が、自社の医薬品の説明資料を作ったとします。

資料で商品名が明らかにされているかどうかは、2つ目の要件の話です。その資料をどこに置き、だれがどこから読めるようにするかは、3つ目の要件の話です。このページが扱うのは、後者の置き方のほうです。

このページで見る3つの記載

置かれ方について、行政の文書が実際に書いている記載を、次の順に見ます。

  • 医療法の指針が、施設内の掲示・配布と、媒体の一覧をどう書き分けているか(2.の節)
  • 厚生労働省の通知(2026年3月)が、提供の方法について何を書いたか(3.の節)
  • 医療用医薬品の「資材等」がどう定義され、その管理に何が求められているか(4.の節・5.の節)

3要件を示した通知は、正式には平成10年9月29日 医薬監第148号です。3要件そのものは『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱っています。現在の呼称(顧客誘引性・特定性・一般認知性)を用いた直近の通知の記載も、同じページにあります。薬機法第66条・第68条の名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)は「何人も」です。このことは『1-6 規制されるのは誰?』で扱っています。それぞれの条が禁じている内容は『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』と2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?で扱っています。医療法第6条の5から第6条の8までの側の名宛人と枠組みは『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』にあります。

2. 院内で配る資料とほかの媒体を、医療法の指針はどう分けている?

院内の掲示や院内で配るパンフレット等は、通常は医療広告等と見なされないものの例です(第2の5(4))。チラシ・パンフレット等は、別の項で広告に該当する媒体の例です(第2の4)。

(4)は、その理由に、情報の受け手が通常は既に受診している患者等に限られることを挙げています。

医療法にも、広告についての決まりがあります(第6条の5から第6条の8まで)。医業・歯科医業や病院・診療所に関する広告について、その扱いを示した指針が、医療広告等ガイドラインです。この節は、薬機法ではなく、この医療法の指針の話です。下に出てくる「誘引性」も、この指針の言葉です。

指針の中の項は、「第2の4」のような番号で呼ばれます。この指針は、場面を2つの項に分けて並べています。

  • 第2の4「広告に該当する媒体の具体例」:チラシ・パンフレット(ダイレクトメール等を含む)、ポスター・看板、Eメール・インターネット上の広告などです。
  • 第2の5「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」:その(4)に、医療機関やオンライン診療受診施設の内部の掲示と、内部で配布するパンフレット等が挙がっています。オンライン診療受診施設は、患者がオンライン診療を受けるための施設です。

第2の4に並ぶのは「媒体」

第2の4に並んでいるのは、媒体(情報を載せる入れ物)です。

オには、不特定多数の人に向けた説明会・相談会などで使うスライド、ビデオ、口頭で行われる演述(話して説明すること)が並んでいます。配った物だけでなく、話した内容も媒体の例として書かれています。

原文で確かめる(第2の4の一覧)

この項の書き出しは「本指針第2の1において、医療広告等の定義を示しているが、広告の規制対象となる媒体の具体例としては、例えば、次に掲げるものが挙げられる」です。続けて、次のアからオを挙げています。

ア チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)

イ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの

ウ 新聞、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの

エ 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)

オ 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の4「広告に該当する媒体の具体例」

第2の5(4)が挙げる理由

第2の5(4)が理由として書いているのは、次のことです。

  • その情報の受け手は、通常は既に受診している患者等に限られる
  • そのため誘引性(患者の受診などを誘う意図があること)を満たすものではなく、情報提供や広報と解される

(4)が理由に挙げているのは、物の種類ではなく、情報の受け手の範囲です。

例

冒頭のクリニックのパンフレットで考えます。

待合室で患者に手渡す場面は、第2の5(4)が挙げる、内部で配布するパンフレット等と同じ場面です。同じパンフレットを近所の家へダイレクトメールで送る場面は、第2の4のアが媒体の例に挙げるダイレクトメールと同じ場面です。

紙のパンフレットであることは変わりませんが、2つの場面は別々の項に置かれています。第2の4の媒体に載せた個々のチラシなどが医療広告等にあたるかどうかは、第2の1(医療広告等の定義を示した項)の要件の側で扱われています。

第2の5(4)は、「医療機関側のルール」のページ(『5-5 エクソソームなどを使う自由診療で、医療機関が守るルールは?』)でも扱っています。第2の5が挙げる5類型の一覧は、『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』にあります。同じページで、医療法第6条の5から第6条の8までの規律の全体と、医療広告等ガイドラインが示す医療広告等の要件も扱っています。

3. 同じ情報でも、届け方で扱いを分けた整理はある?

あります。厚生労働省の通知(2026年3月)は、治験等の同じ情報でも、掲載の方法により、広告に該当する可能性がある場合と該当しない場合に分かれると書いています。

この整理は、患者等を対象とした治験等に係る情報提供に限って述べたもので、それ以外の情報提供には適用できないと、通知自身が書いています。

この通知は、治験など、未承認医薬品等(国の承認をまだ受けていない医薬品など)の臨床試験(人を対象に行う試験)についての情報提供を扱っています。承認とは、製品ごとに国が審査して、製造販売を認めることです。通知は、この情報提供を、薬機法上の広告としてどう扱うかを整理しています。

通知の組み立て

通知の本文は「記」の下に、番号を振った項目が並ぶ形です。その3つ目の項目(記の3)は、参加者募集の目的以外の情報提供を対象にしています。

通知はまず、この情報提供について、顧客誘引性がないことが明らかではなく、未承認医薬品等の広告に該当する可能性がある、としています。顧客誘引性がないことが明らかではないとは、買いたい気持ちを高めようとする意図が無いとは言い切れない、ということです。

そのうえで、一定の要件に該当する場合は、顧客誘引性及び一般認知性の観点から広告に当たらないと判断して差し支えない、としています。

個別ページと表紙ページ

要件のうち、提供の方法を定めたのが記の3(2)アです。ここに2種類のページが出てきます。

  • 個別ページ:ハイパーリンク等により、他の情報から切り分けられた独立した場所
  • 表紙ページ:個別ページのリンク一覧を載せたページなど、個別ページ本体とは別のページ

アの方法は、情報を個別ページに載せ、表紙ページを経由しないと個別ページにアクセスできないようにするものです。表紙ページは、個別ページの一覧を置いた玄関にあたる位置づけです。

個別ページに載せる情報の範囲を定めたのは、記の3(2)ウです。その末尾の一文は、同じ情報について、提供の方法によって結論を分けています。

患者等に直接届ける場合は、広告に該当する可能性がある情報です。アの方法で提供されている限りは、広告に該当しないとされています。

これらの情報は、患者等に直接的に情報提供される場合には広告に該当する可能性がある情報だが、アに掲げる方法により情報提供されている限りにおいては広告に該当しない。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記の3(2)ウ

記の3(3)には、逆向きの記載もあります。表紙ページ以外の場所に個別ページへの直接のリンクを設定すると、そのリンクの提供が広告に該当する可能性があることに留意すること、と書かれています。

この整理が及ぶ範囲

通知は、この項の適用範囲を自ら限っています。記の3(1)によると、この項は、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものです。それ以外の情報提供、たとえば医療関係者に対する販売情報提供活動などには、適用できないとしています。

原文で確かめる(記の3(1))

なお、本項については、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものであり、それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)について適用することはできないので留意すること。

治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の3(1)

対象となる試験の範囲も、記の3(2)イで限られています。未承認又は適応外(承認された使い方とは別の使い方)の医薬品、医療機器若しくは再生医療等製品に係る臨床試験で、次のどれかに登録されているものです。

  • 厚生労働省が整備する「臨床研究等提出・公開システム」(jRCT)
  • 大学病院医療情報ネットワークが整備する「UMIN 臨床試験登録システム」
  • 米国の「ClinicalTrials.gov」
  • 欧州の「EU Clinical Trials Register」若しくは「Clinical Trials Information System」

例

A社が、jRCTに登録された未承認医薬品の臨床試験について、患者等に向けて、参加者の募集ではない情報を自社のサイトに載せる場面で考えます。

記の3(2)は、対象となる試験(イ)や、載せる情報の範囲(ウ)などの要件を定めています。記の3(2)ウの整理が述べているのは、これらの要件に該当し、アの方法で提供している場合についてです。要件の全体は『2-10 論文や治験の情報の発信は、薬機法の広告になりますか?』で扱っています。

では、A社がサイトのトップページなど、表紙ページ以外の場所に、個別ページへの直接のリンクを置いたらどうでしょう。記の3(3)は、そのリンクの提供が広告に該当する可能性があると書いています。

例

医療用医薬品を扱うB社が、医療関係者に向けた製品の情報を、同じように表紙ページを経由させて載せる場面で考えます。

記の3(1)は、医療関係者に対する販売情報提供活動などには、この項を適用することはできないと書いています。表紙ページを経由させる形をとっても、記の3(2)ウの整理をそのまま持ち込むことはできません。

この通知の全体構成と、参加者募集のための情報提供の扱いは『2-3 承認前の医薬品・医療機器などは、広告できますか?』で扱っています。論文引用や治験情報の発信については『2-10 論文や治験の情報の発信は、薬機法の広告になりますか?』で扱っています。

4. 会社が作る資材そのものには、どんな決まりがある?

医療用医薬品については、販売情報提供活動に関するガイドラインが「資材等」を定義し、引用元の明記を求める要件を置いています。

対象は、医薬品製造販売業者(医薬品を市場に出す責任を負う会社)などが、医療用医薬品について行う販売情報提供活動です(第1の2(1))。

医療用医薬品(医師・歯科医師が使うか、その処方や指示で使われる医薬品)については、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」があります。厚生労働省の通知(2018年9月)の別添として作られたものです。このページでは、販売情報提供活動ガイドラインと呼びます。

このガイドラインは「販売情報提供活動」と「資材等」を定義し、資材等の作成・審査・記録について定めを置いています。

対象は、第1の2(1)が定めています。次の会社が、医療用医薬品について行う販売情報提供活動です。

  • 医薬品製造販売業者(医薬品を市場に出す責任を負う会社)
  • その販売情報提供活動の委託先・提携先企業(活動を任されたり、提携して行ったりする会社)
  • 医薬品卸売販売業者(医療機関や薬局などに医薬品を販売する業者)

「販売情報提供活動」と「資材等」の意味

  • 販売情報提供活動:医薬品製造販売業者等が、特定の医療用医薬品の情報を提供することです。その医薬品の名称や有効性・安全性を知ってもらうこと等による、販売促進を期待して行うものを指します。能動的・受動的を問わない、つまり自分から伝える場合も、求められて伝える場合も含みます。医療用医薬品の効能・効果に係る疾患を啓発すること(病気について知ってもらうこと)も含まれ、その啓発には一般人を対象とするものも含まれます。
  • 資材等:販売情報提供活動に使用される資料及び情報です。口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの(データで提供されるもの)等、その提供方法、媒体を問わないとされています。

直感的なポイント

資材等は、物の名前を並べた一覧ではありません。販売情報提供活動に使われたものを、形を問わずまとめて入れる器のように定義されています。

例

冒頭で触れた販売情報提供活動のうち、製薬会社が医療用医薬品を医師に紹介する場面で考えます。製造販売業者の担当者には、紙のパンフレットを渡す、パソコンの画面で映像を見せる、口頭だけで説明する、というやり方があります。

第1の2(3)の定義は、口頭による説明とパソコン上の映像を例に挙げ、提供方法・媒体を問わないとしています。紙かデータか、渡したものか話したものかで区切られていない定義です。

原文で確かめる(第1の2(2)・(3)の定義)

(2)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動」とは、能動的・受動的を問わず、医薬品製造販売業者等が、特定の医療用医薬品の名称又は有効性・安全性の認知の向上等による販売促進を期待して、当該医療用医薬品に関する情報を提供することをいい、医療用医薬品の効能・効果に係る疾患を啓発(一般人を対象とするものを含む。)することも含まれること。

(3)本ガイドラインにおいて「販売情報提供活動の資材等」とは、販売情報提供活動に使用される資料及び情報をいい、口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わないこと。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の2(2)・(3)

引用についての要件

第1の3(1)は、販売情報提供活動が満たすべき要件を①から④まで並べています。引用についての定めは④です。1つの項の中に、3つのことが続けて書かれています。

  • 資材等に引用される情報は、引用元を明記する
  • 社外の調査研究の実施や論文等の作成に、医薬品製造販売業者等による物品・金銭・労務等の提供があった場合は、その具体的内容も明記する
  • 社外の調査研究は、臨床研究法(臨床研究の実施の手続などを定めた法律)などの法令・指針を遵守したもののみを使用する

例

医療用医薬品の資材等に、社外の研究者が書いた論文の結果を載せる場面で考えます。

④は、その引用元を明記することを求めています。会社がその研究に物品・金銭・労務等を提供していた場合は、その具体的内容も明記することを求めています。

原文で確かめる(第1の3(1)④)

④ 販売情報提供活動の資材等に引用される情報は、その引用元が明記されたものであること。また、社外の調査研究について、その調査研究の実施や論文等の作成に関して医薬品製造販売業者等による物品、金銭、労務等の提供があった場合には、その具体的内容も明記されたものであること。なお、社外の調査研究については、「臨床研究法」(平成29年法律第16号)、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)その他これらに準ずる指針等を遵守したもののみを使用すること。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の3(1)④

このガイドラインの適用は平成31年4月1日からです。ただし、第2と、販売情報提供活動の監督部門に関連する事項は同年10月1日からです(第4の8)。第1の2(1)の原文は『5-6 供給者の説明は、どこから「広告」になる?』に引いてあります。薬機法の条文の名宛人が「何人も」であることとの関係も、同じページで扱っています。このガイドラインの射程そのものは『2-9 事業者間の情報提供は、どこまで広告ですか?』にあります。

5. 作った資材は、だれがどう管理することになっている?

医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドラインは、資材等を使う前の監督部門の審査(第2の3)と、手順書・業務記録の作成と保管(第2の6)を求めています。

業務記録には、販売情報提供活動において口頭で説明等を行った内容の記録を含む、と書かれています。

ガイドラインの第2は、医薬品製造販売業者等の責務を9つの項に分けて定めています。資材等そのものの管理に関わるのは、第2の3と第2の6です。

審査を担うのは、販売情報提供活動監督部門です。第2の2は、この部門を、販売情報提供活動の担当部門から独立した形で社内に設け、その責任者を明確化することとしています。

ガイドラインが定める流れを、作成から提出までの順に並べると、次のとおりです。

  1. 作成

    資材等は、関係法令とガイドラインを遵守して作成します。最新の知見等を得たときは、適宜、更新・修正します(第2の3)。

  2. 使用前の審査と承認

    使用される前に、あらかじめ販売情報提供活動監督部門による審査を受けます。監督部門は、審査・監督委員会(第2の2が設けるとしている委員会)の助言を踏まえて承認を行います(第2の3)。ここでの承認は、社内の監督部門が、審査した資材等を認めることです。国が製品ごとに製造販売を認める承認とは別のものです。

  3. 使用

    担当者は、第2の3の審査で適切と認められた資材等以外は用いません(第3の4)。

  4. 記録の作成と保管

    担当部門・担当者に、必要な手順書を作成させます。口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録も作成させ、適切に保管させます(第2の6)。

  5. 求めがあった場合の提出

    厚生労働省、関係自治体やPMDAから、販売情報提供活動に関係する資料の提出を求められることがあります。PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)は、医薬品等の審査などを行う機関です。その場合は、資材等に加えて手順書や業務記録を提出すること等により、活動状況を速やかに報告させます(第2の6)。

審査は、適切にその作業を行うことができる機関に外部委託しても差し支えないとされています。ただし、承認に関する責任は、販売情報提供活動監督部門、ひいては経営陣が負うとされています。

原文で確かめる(第2の3)

販売情報提供活動の資材等は、関係法令や本ガイドラインを遵守して作成されなければならず、最新の知見等を得たときは、適宜、更新・修正されること。(中略)また、販売情報提供活動の資材等は、使用される前に、予め、販売情報提供活動監督部門による審査を受けること。その際、販売情報提供活動監督部門は、審査・監督委員会の助言を踏まえて承認を行うこと。なお、審査については、適切にその作業を行うことができる機関に外部委託することは差し支えないが、承認に関する責任は、販売情報提供活動監督部門ひいては経営陣が負うものであること。

医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第2の3「販売情報提供活動の資材等の適切性の確保」

例

医療用医薬品の製造販売業者の担当者が、販売情報提供活動として、資料を渡さず口頭だけで医師に説明した場面で考えます。

第2の6は、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録を作成させ、適切に保管させることとしています。販売情報提供活動での口頭の説明も、記録の対象として書かれています。

作った資材を、別の会社が使う場合

資材等を作った会社とは別の会社が、その資材等を使う場面についても定めがあります。

  • 委託先・提携先企業(第4の5):次の2つを満たす場合に限り、第2の2の規定にかかわらず、審査・監督委員会を設ける必要はないとされています。1つは、委託元・提携元(活動を任せた側・提携した側の会社)の販売情報提供活動監督部門による審査及び承認を経た資材等のみを使うことです。その資材等は「作成企業名が明示されたものに限る」とされています。もう1つは、委託元・提携元の定めるところに従って活動することです。この場合、委託先・提携先企業の担当部門・担当者及び販売情報提供活動監督部門は、委託元・提携元に実施状況の報告を行うこととされています。
  • 医薬品卸売販売業者(第4の6):医薬品製造販売業者が作成した資材等を、そのまま使用して行う販売情報提供活動についての項です(第4の5に該当する場合を除く)。この場合、卸売販売業者で資材等の審査を行わなくても差し支えないとされています。

第4の1は、ガイドラインで定められていないこと(禁じられていないこと)であれば自由に行ってもよい、という誤った認識を持たないよう求めています。自らを厳しく律した上で販売情報提供活動を行うこと、と書いています。

6. 置かれ方の違いは、行政の資料のどこにどう書かれている?

医療広告等ガイドラインは場面ごとの具体例を項に分けて置き、厚生労働省の通知(2026年3月)は提供の方法ごとに扱いを書いています。

表1は場面が置かれている項を、表2は通知が方法ごとに示した扱いを並べたものです。

ここまでに見た記載を、2枚の表にまとめます。

  • 表1:それぞれの場面が、行政の文書のどの項に置かれているか
  • 表2:厚生労働省の通知(2026年3月)が、提供の方法ごとに示した扱い

2枚は、根拠となる法律も判断の枠組みも異なります。行を横に並べて読み比べることはできません。

表1の読み方

左の列が場面、真ん中の列が文書での位置づけ、右の列が出典です。

表1:資料の置かれ方について、行政の文書がその場面を置いている箇所
場面文書での位置づけ出典
チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む)「広告に該当する媒体の具体例」として列挙医療広告等ガイドライン 第2の4 ア
情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)同じく媒体の具体例として列挙同 第2の4 エ
不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの同じく媒体の具体例として列挙同 第2の4 オ
医療機関やオンライン診療受診施設の内部の掲示、内部で配布するパンフレット等「通常、医療広告等とは見なされないものの具体例」として列挙。その情報の受け手が通常は既に受診している患者等に限定されるため誘引性を満たすものではなく、情報提供や広報と解される、と記載同 第2の5(4)
学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等同じく見なされないものの具体例として列挙。ただし書きで、学術論文等を装いつつ不特定多数にダイレクトメールで送る等により実際には特定の医療機関に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には誘引性を有すると判断し、本指針第2の1及び2の要件を満たす場合には広告として取り扱うことが適当、と記載同 第2の5(1)
販売情報提供活動に使用される資料及び情報「販売情報提供活動の資材等」として定義。口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わない、と記載医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン 第1の2(3)

表1は、それぞれの場面がどの文書のどの項に置かれているかを示したものです。医療広告等ガイドライン第2の4は媒体の列挙であり、そこに載せた個々の情報物が医療広告等に当たるかどうかは、同指針第2の1が示す要件の側に置かれています。

例

表1の5行目は、学会や専門誌等で発表される学術論文などです。第2の5(1)は、これを通常は医療広告等と見なされないものに挙げています。

ただし書きもあります。学術論文等を装いつつ、不特定多数にダイレクトメールで送る等により、実際には特定の医療機関への患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合です。この場合は誘引性を有すると判断し、第2の1及び2の要件を満たす場合には広告として取り扱うことが適当、としています。

同じ種類の物について、送り方や目的によって扱いを書き分けている行です。

表2の読み方

表2の「×」は広告に該当しない、「△」は該当する可能性がある、という意味です。「×」は、よくない、という意味ではありません。

表2:治験等に係る情報提供について、令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号が提供方法ごとに示した扱い
提供方法通知が示した扱い根拠
記の3(2)アに掲げる方法(個別ページに掲載し、表紙ページを経由しないと個別ページにアクセスできないようにする)により情報提供されている場合広告に該当しない治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の3(2)ウ
同じ情報が、患者等に直接的に情報提供される場合該当する可能性がある情報同 記の3(2)ウ
表紙ページ以外の場所に、個別ページへの直接のリンクを設定すること該当する可能性同 記の3(3)

表2の整理は、通知の記の3(1)により、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものとされています。それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)については、適用することはできないとされています。対象となる試験の範囲も記の3(2)イで限定されています。表1の医療法の指針とは、根拠となる法律も判断の枠組みも異なります。

広告に該当した場合に、表示の内容そのものがどう見られるかは『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』と2-4 医薬品等適正広告基準とは何ですか?(薬生発0929第4号)で扱っています。体験談や第三者の投稿が誰の表示として扱われるかは『2-7 体験談・口コミは誰の表示になる?』で扱っています。ウェブ上の表示の扱いは『2-5 Web上の表示は形式で扱いが違う?』にあります。

理解の確認

「口頭で説明しただけの内容は資材ではないから、審査も記録も及ばない」。この理解は、販売情報提供活動ガイドラインのどこと食い違いますか?

第1の2(3)は「販売情報提供活動の資材等」を定義しています。販売情報提供活動に使用される資料及び情報をいい、口頭による説明、パソコン上の映像、電磁的に提供されるもの等、その提供方法、媒体を問わない、という定義です。紙かデータか、渡したものか話したものかで線を引いていないので、口頭の説明も資材等に含まれます。そのため、第2の3の「使用される前に、予め、販売情報提供活動監督部門による審査を受けること」も及びます。また第2の6は、口頭で説明等を行った内容の記録を含む業務記録を作成させ、適切に保管させることとしています。口頭の内容が記録の対象であることを、はっきり書いています。

根拠:医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号)第1の2(3)・第2の3・第2の6(法令確認日 2026-09-08)

同じ「パンフレット」が、医療広告等ガイドラインの第2の4アと第2の5(4)の両方に出てくるのはなぜですか?

第2の4は「広告に該当する媒体の具体例」を並べた項で、並んでいるのは媒体です。そこに載せた個々の情報物が医療広告等に当たるかどうかは、指針第2の1が示す要件の側に置かれた構成です。一方、第2の5(4)は、医療機関やオンライン診療受診施設の内部で配布するパンフレット等を挙げています。その理由として書かれているのは、情報の受け手が通常は既に受診している患者等に限定されるため、誘引性を満たすものではない、ということです。両方に出てくるのは、分かれ目が紙という物の種類ではなく、誰に届く置かれ方かという点にあるからです。

根拠:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の4ア・第2の5(4)(法令確認日 2026-09-08)

表紙ページを経由させる形の情報提供を広告に当たらないとした、厚生労働省の通知(2026年3月)の整理。これを医療関係者に対する販売情報提供活動にそのまま持ち込めないのはなぜですか?

通知が、記の3(1)で自ら適用範囲を限定しているためです。本項は、患者等を対象とした治験等に係る情報提供について述べたものだと書かれています。それ以外の情報提供(例えば、医療関係者に対する販売情報提供活動など)については、適用することはできない、としています。対象となる試験の範囲も、記の3(2)イで限定されています。jRCT・UMIN 臨床試験登録システム・ClinicalTrials.gov・欧州の登録システムに登録された、未承認又は適応外の臨床試験です。記の3(2)ウの結論は、この限定された場面について、顧客誘引性及び一般認知性の観点から述べたものです。提供方法に関する一般則として置かれたものではありません。

根拠:治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号)記の3(1)・記の3(2)イ・記の3(2)ウ(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(平成30年9月25日 薬生発0925第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)第1の2・第1の3(1)④・第2の2・第2の3・第2の6・第3の4・第4の1・第4の5・第4の6・第4の8 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第2の4・第2の5(1)・第2の5(4)厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 治験等に係る情報提供の取扱いについて(令和8年3月30日 医薬監麻発0330第1号、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長)記の3 厚生労働省(2026-09-08 確認)
  • 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日 医薬監第148号、厚生省医薬安全局監視指導課長)記 厚生労働省法令等データベース(2026-09-08 確認)。法律名は発出当時の表記
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条・第68条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5から第6条の8まで(版 323AC0000000205_20260605_508AC0000000031、施行日 2026-06-05)e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)