30秒でわかる要点
- 基準の中身は条文に書かれず、省令に送られている。主な送り先は2系統 — 製造販売業の許可を与えないことができる場合を挙げた条(第12条の2第1項など)と、品目の承認を与えない場合の号(第14条第2項第4号など)
- どの省令が当たるかは製品の区分で決まる。医薬品・医薬部外品・化粧品・再生医療等製品の品質管理はGQP省令、これに医療機器を加えた製造販売後安全管理はGVP省令、医療機器・体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理はQMS省令
- 「回収」は別々の条文に分かれている。自主回収をしたときの報告義務は法第68条の11(報告事項は施行規則第228条の22第1項の9号)、行政が命じる廃棄・回収は法第70条第1項。前者の括弧書きが、命令を受けて回収するときを報告義務から外している
品質と安全管理の基準は、どの業態のどの手続にかかるのか
主な送り先は、製造販売業の許可を与えないことができる場合を挙げた条と、品目の承認を与えない場合の号の2系統です。
各省令の名称と番号は、薬機法施行規則がそれらを掲げている条文でも確認できます。
薬機法は、品質管理や製造販売後安全管理の中身を条文に書いていません。書かれているのは「厚生労働省令で定める基準に適合しないとき」という形の送り先です。
主な送り先は2つの系統です。ひとつは、製造販売業の許可を与えないことができる場合を挙げた条で、医薬品等は第12条の2第1項、医療機器等は第23条の2の2第1項、再生医療等製品は第23条の21第1項です。もうひとつは、品目の承認を与えない場合を挙げた号で、第14条第2項第4号、第23条の2の5第2項第4号、第23条の25第2項第4号がこれにあたります。
このほか、輸出用の医療機器又は体外診断用医薬品の製造業者が受ける調査について、第80条第2項が別に「厚生労働省令で定める基準」を置いています。同条第1項と第3項は、それぞれ第14条第2項第4号、第23条の25第2項第4号の基準を引く形です。許可と承認という手続そのものの地図は承認・認証・届出・許可の地図で扱っています。
どの省令が、どの号の基準か
省令の側は、自分がどの号の基準であるかを第1条(趣旨)に書いています。法律の号と省令の第1条は、割り符の両片のように向かい合っていて、突き合わせると対応が決まります。
- GQP省令第1条は法第12条の2第1項第1号及び第23条の21第1項第1号
- GVP省令第1条は法第12条の2第1項第2号、第23条の2の2第1項第2号及び第23条の21第1項第2号
- QMS省令第1条は法第23条の2の5第2項第4号及び第80条第2項
各省令の名称と番号は、薬機法施行規則がそれらを掲げている条文でも確認できます。表1は、その確認箇所を省令ごとに並べたものです。
| 省令 | 何についての基準か | 名称と番号を確認した箇所 |
|---|---|---|
| GQP省令(平成16年厚生労働省令第136号) | 医薬品・医薬部外品・化粧品・再生医療等製品の品質管理の方法。法第12条の2第1項第1号及び第23条の21第1項第1号の基準(同省令第1条) | 薬機法施行規則第87条第1項第1号/GVP省令第3条第3号 |
| GVP省令(平成16年厚生労働省令第135号) | 医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の製造販売後安全管理の方法。法第12条の2第1項第2号、第23条の2の2第1項第2号及び第23条の21第1項第2号の基準(同省令第1条) | 薬機法施行規則第7条の3第1項第2号/GQP省令第19条 |
| QMS省令(平成16年厚生労働省令第169号) | 医療機器・体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の方法。法第23条の2の5第2項第4号及び第80条第2項の基準(同省令第1条) | 薬機法施行規則第114条の50第1項第1号/GVP省令第3条第3号 |
| 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第179号) | 医薬品製造管理者が行うこととされた業務の根拠として引かれている省令 | 薬機法施行規則第89条第1項第1号 |
| 再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第93号) | 再生医療等製品製造管理者が行うこととされた業務の根拠として引かれている省令 | 薬機法施行規則第137条の53第1項第1号 |
本ページが本文を参照したのは、表1のうちGQP省令・GVP省令・QMS省令の3つです。第4行・第5行は名称と番号を薬機法施行規則の条文で確認したもので、本文は参照していません。参照した薬機法施行規則は版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104(施行日 2026年6月19日)で、2026年8月24日施行の版はe-Gov法令検索が本文を返さないため確認できておらず、同日の改正内容は反映されていない可能性があります。
医療機器等の許可の基準だけ、条文の書き方が他の2つと違います。法第23条の2の2第1項第1号が挙げているのは「製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制」の基準であり、QMS省令第1条が自ら掲げる根拠条項(法第23条の2の5第2項第4号及び第80条第2項)とは別の号です。本ページに割り当てられた資料には、法第23条の2の2第1項第1号の基準を定める省令の本文が無いため、その省令の内容は扱いません。
GQP省令は、製造販売業者に何をさせる省令か
品質管理業務の手順書を作らせ、品質保証責任者に市場への出荷の管理、品質情報の処理、回収処理を行わせることです。
医療機器と体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理は、QMS省令が定めています。
GQP省令は、医薬品等の製造販売業者に品質管理業務の手順書を作らせ、品質保証責任者にその実務を行わせる省令です。「品質管理業務」の定義は同省令第2条第1項にあり、市場への出荷の管理、製造業者等に対する管理監督、品質情報と品質不良等の処理、回収処理を並べています。
第6条第1項は、医薬品の製造販売業者が作成しなければならない品質管理業務手順書の手順を10号で挙げています。
- 市場への出荷の管理に関する手順
- 適正な製造管理及び品質管理の確保に関する手順
- 品質等に関する情報及び品質不良等の処理に関する手順
- 回収処理に関する手順
- 自己点検に関する手順
- 教育訓練に関する手順
- 医薬品の貯蔵等の管理に関する手順
- 文書及び記録の管理に関する手順
- 安全管理統括部門その他の品質管理業務に関係する部門又は責任者との相互の連携に関する手順
- その他品質管理業務を適正かつ円滑に実施するために必要な手順
誰に行わせることになっているか
第4条第2項は、品質管理業務の統括に係る部門として品質保証部門を置くことを求めています。医薬品等総括製造販売責任者の監督の下にあること、販売に係る部門その他の影響を及ぼす部門から独立していることなどが、その要件です。
第4条第3項の品質保証責任者は、品質保証部門の責任者であること、品質管理業務その他これに類する業務に3年以上従事した者であることなどを満たす必要があります。第3条は、医薬品等総括製造販売責任者に品質保証責任者を監督させることを定めています。
第9条第2項は、市場への出荷の可否の決定をロットごと(ロットを構成しない医薬品については製造番号ごと)に行わせ、その結果と出荷先等の記録を作成させることを求めています。
第7条は製造業者等との取決め事項を7号で挙げ、第6号イに、製造・輸入・販売の中止、回収、廃棄その他の措置に関する情報を製造販売業者へ速やかに連絡する方法と責任者を置いています。
回収は、どの条に置かれているか
第11条第2項は、品質不良又はそのおそれが判明した場合に、品質保証責任者から医薬品等総括製造販売責任者へ速やかに報告させています。報告を受けた総括製造販売責任者は、「危害発生防止等のため回収等の所要の措置を決定し、品質保証責任者及びその他関係する部門に指示すること」とされています。
回収そのものの取扱いは第12条にあります。回収した医薬品を区分して一定期間保管した後に適正に処理すること、回収の内容を記載した記録を作成して医薬品等総括製造販売責任者に文書で報告することの2号です。
医薬部外品・化粧品・再生医療等製品と、記録の保存期間
医薬部外品及び化粧品については、第3章に別の基準が置かれています。第17条が品質保証責任者の設置を定め、第18条第1項が6号の手順を挙げています。
- 市場への出荷に係る記録の作成
- 適正な製造管理及び品質管理の確保
- 品質等に関する情報及び品質不良等の処理
- 回収処理
- 文書及び記録の管理
- その他
再生医療等製品については、第21条が第2章を準用し、読替えの対象を列挙しています。
医薬品については、文書と記録の保存期間が第16条第3号にあります。
- 特定生物由来製品と人血液由来原料製品 — 有効期間に30年を加算した期間
- 生物由来製品と細胞組織医薬品 — 有効期間に10年を加算した期間
- それ以外の医薬品 — 5年間(有効期間に1年を加算した期間が5年を超える場合はその期間)
- 教育訓練に係るもの — 5年間
医薬部外品及び化粧品については、第19条が第16条を準用したうえで、同条第3号中「次に掲げる期間」を「五年間」と読み替えることとしています。
GVP省令は、何を集めて、何をすることを求めているのか
安全管理情報の収集・検討と、その結果に基づく措置です。措置の例として廃棄、回収、販売の停止が条文に挙がっています。
製造販売業者は取り扱う品目により第一種・第二種・第三種に分かれ、求められる体制が変わります。
GVP省令の骨格は、収集・検討・措置の3つです。第2条第1項は「安全管理情報」を、医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する事項その他医薬品等の適正な使用のために必要な情報と定義しています。同条第2項は「安全確保業務」を、安全管理情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置(安全確保措置)に関する業務としています。
第7条第1項は、第一種製造販売業者が収集させなければならない安全管理情報を6号で挙げています。
- 医療関係者からの情報
- 学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報
- 厚生労働省その他政府機関、都道府県及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの情報
- 外国政府、外国法人等からの情報
- 他の製造販売業者等からの情報
- その他安全管理情報
集めた情報を検討した結果として何を立案するかは、第8条第1項第3号が列挙しています。回収は、この号の中に置かれています。
第一号の検討の結果、必要があると認めるときは、廃棄、回収、販売の停止、添付文書又は注意事項等情報の変更、医薬情報担当者、医療機器等情報担当者又は再生医療等製品情報担当者による医療関係者への情報の提供又は法に基づく厚生労働大臣への報告その他の安全確保措置を立案すること。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)第8条第1項第3号立案した案を評価して安全確保措置を決定するのは総括製造販売責任者で、第9条第1項第1号がその決定と記録の作成・保存を求めています。ただし、第9条第3項に例外が置かれています。あらかじめ製造販売後安全管理業務手順書等に定める安全確保措置案については、第1項第1号の業務を、総括製造販売責任者に代えて安全管理責任者に行わせることができます。
品質側との行き来も、条文に書かれています。第8条第1項第2号は、検討した安全管理情報のうち品質保証責任者等が把握する必要があると認められるものを、遅滞なく文書で提供させることとしています。GQP省令第11条第1項第6号にも、安全確保措置に関する情報を安全管理統括部門へ遅滞なく文書で提供する業務が置かれており、両省令が互いを向いています。
第一種・第二種・第三種の区分
GVP省令は、製造販売業者を取り扱う品目で3つに分けています(第2条第8項から第10項)。
- 第一種製造販売業者 — 法第49条第1項に規定する厚生労働大臣の指定する医薬品(処方箋医薬品)、高度管理医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者
- 第二種製造販売業者 — 処方箋医薬品以外の医薬品、管理医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売業者
- 第三種製造販売業者 — 医薬部外品、化粧品又は一般医療機器の製造販売業者
第2章は第一種を名宛人に書かれています。第14条が第二種について、第15条が第三種について、準用する条と読替えを列挙する形です。
市販直後調査は第10条第1項にあり、処方箋医薬品の製造販売業者が、販売を開始した後の6箇月間、医薬品リスク管理として行うものと定義されています。
記録の保存期間は第16条第1項にあります。
- 原則 — 利用しなくなった日から5年間
- 生物由来製品及び再生医療等製品 — 10年間
- 特定生物由来製品及び法第68条の7第3項に規定する指定再生医療等製品 — 30年間
- 特定保守管理医療機器及び設置管理医療機器 — 15年間
- 自己点検と教育訓練に係る記録 — 作成した日から5年間
医療機器と体外診断用医薬品では、どの省令が同じ役割を担うのか
QMS省令です。品質管理監督システムを文書化させ、苦情処理の手順に薬機法上の報告の必要性の評価を置かせています。
製造販売後安全管理については、QMS省令第70条がGVP省令にも従うこととしています。
医療機器と体外診断用医薬品では、QMS省令が同じ役割を担います。第1条は、この省令が法第23条の2の5第2項第4号及び第80条第2項に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものであるとしています。
第5条第1項は、製造販売業者等が第2章の規定に従って品質管理監督システムを文書化し、その実効性を維持しなければならないと定めています。第2項は、文書化することを求められている全ての要求事項、手順、活動及び実施要領を確立し、実施し、及び維持することを求めています。
回収に結び付く条は、どこにあるか
回収に結び付く条は、第6節(測定、分析及び改善)にあります。第55条の2第1項は、苦情を遅滞なく処理するために必要な手順を文書化させ、その手順に含める事項を6号で挙げています。
- 情報の入手及び記録
- 製品受領者からの情報が苦情であるかどうかの判断
- 苦情の調査
- 法第68条の10第1項及び法第68条の11の規定に基づく報告の必要性の評価
- 苦情に係る製品に対する措置
- 修正(発見された不適合を除去するための措置をいう。以下同じ。)又は是正措置の必要性の評価
第4号が、苦情処理の手順の中に副作用等報告(法第68条の10第1項)と回収報告(法第68条の11)の要否の評価を置いています。第55条の3は、この2つの報告に係る手順を文書化し、報告の記録を作成して保管することを求めています。
第60条の3第1項は、製品の送達後又は使用・操作の後に不適合製品を発見した場合に、その影響又は起こり得る影響に対して適切な措置をとらなければならないとしています。同条第2項は、不適合製品に係る通知書の発行と実施に係る手順を文書化させています。
第63条第1項は、不適合の再発を防ぐために必要な是正措置を遅滞なくとることを求めています。同条第2項が、不適合の照査、原因の特定、再発しないことを確保するための措置の必要性の評価などの6号を挙げて、是正措置に係る手順の文書化を定めています。
誰が置かれるか、GVP省令との関係
第72条第1項は、国内の品質管理業務の責任者として、国内に所在する施設に国内品質業務運営責任者を置くことを求めています。要件として、次のことなどが挙げられています。
- 品質保証部門の責任者であること
- 品質管理業務その他これに類する業務に3年以上従事した者であること
- 国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること
- 医療機器等の販売に係る部門に属する者でないこと
同条第2項第3号は、市場への出荷の決定を、この責任者の業務としています。国内に流通させる製品について、ロットごと(ロットを構成しない医療機器等にあっては製造番号又は製造記号ごと)に決定し、その結果と出荷先等の記録を作成することです。
製造販売後安全管理は、この省令だけでは完結しません。第70条は、製品に係る医療機器等の製造販売後安全管理に関する業務を行う場合には、この省令のほかGVP省令の規定に従わなければならないとしています。第69条は、全ての施設と関連する登録製造所に、手順の文書化を求めています。施行規則第228条の20第1項各号・第2項各号に掲げる事項を知った場合に、製造販売業者等へ通知させるための手順です。
QMS省令第1条が引く法第80条第2項(輸出用の医療機器又は体外診断用医薬品の製造業者が受ける調査)は、2027年5月20日施行の版では第80条第4項に置かれています(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)。条番号ではなく項番号が動くもので、施行日別の変化は改正の時間軸で扱っています。
自主回収を行うとき、いつ、誰に、何を報告することになっているのか
回収に着手した後速やかに、厚生労働大臣へ施行規則が挙げる9項目を報告します。終了後にも終了した旨を報告します。
報告先は、施行令第80条により当該事務を都道府県知事が行うこととされている場合は都道府県知事です。
自主回収をしたときの報告義務は、法第68条の11が置いています。名宛人は製造販売業者、外国特例承認取得者、輸出用の製品の製造業者です。
「厚生労働省令で定めるところにより」の中身は、薬機法施行規則第228条の22(回収報告)にあります。同条第1項は、回収に着手した後速やかに報告することとし、報告事項を9号で挙げています。
- 回収を行う者の氏名及び住所
- 回収の対象となる医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、当該品目の製造販売又は製造に係る許可番号及び許可年月日又は登録番号及び登録年月日並びに当該品目の承認番号及び承認年月日、認証番号及び認証年月日又は届出年月日
- 回収の対象となる当該品目の数量、製造番号又は製造記号及び製造販売、製造又は輸入年月日
- 当該品目の製造所及び主たる機能を有する事務所の名称及び所在地
- 当該品目が輸出されたものである場合にあつては、当該輸出先の国名
- 回収に着手した年月日
- 回収の方法
- 回収終了予定日
- その他保健衛生上の被害の発生又は拡大の防止のために講じようとする措置の内容
報告は、着手時の1回では終わらない
同条第2項は、次の3つの場合に、速やかにその旨と内容(第3号の場合は回収の状況)を報告することとしています。
- 第1項各号の報告事項に、軽微な変更を除く変更が生じたとき
- 回収に着手した時点では想定していなかった健康被害の発生のおそれを知ったとき
- その他、厚生労働大臣が必要があると認めて回収の状況の報告を求めたとき
同条第3項は、回収終了後速やかに、回収を終了した旨を報告することとしています。報告先は厚生労働大臣で、括弧書きにより、施行令第80条の規定によりその権限に属する事務を都道府県知事が行うこととされている場合は都道府県知事です。
第228条の23は、法第68条の13第3項により独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対して行う報告について、第228条の22を読み替えて準用しています。
ここで参照した薬機法施行規則は、版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104(施行日 2026年6月19日)です。2026年8月24日施行の版はe-Gov法令検索が本文を返さないため確認できておらず、同日の改正内容は反映されていない可能性があります。
法第68条の11は、2027年5月20日施行の版では、名宛人を挙げる部分の引用が変わります。「第八十条第一項から第三項までに規定する輸出用の(中略)製造業者」が「第八十条第一項、第四項若しくは第五項に規定する輸出用の(中略)製造業者」となるもので(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)、報告義務の内容そのものの文言は同じです。
回収のクラス分類(クラスI・II・IIIの区分)と、回収の公表・社告の取扱いは、条文ではなく厚生労働省の通知に置かれています。本ページに割り当てられた資料には、その通知の発出日・番号・現行版が含まれていないため、分類の定義はここでは扱いません。
回収の報告と並ぶもうひとつの報告が、法第68条の10第1項の副作用等報告です。医薬品については薬機法施行規則第228条の20第1項が、第1号に掲げる事項(死亡の発生のうち副作用によるものと疑われるものなど)を15日以内、第2号に掲げる事項を30日以内に厚生労働大臣へ報告することとしています。QMS省令第55条の2第1項第4号は、この報告と回収報告の必要性の評価を、苦情処理の手順に含めることを求めています。
行政が命じる回収と、自主回収は同じ条文なのか
別の条文です。第70条は行政が命じる廃棄・回収を、第68条の11は自主回収をしたときの報告義務を定めています。
第68条の11の括弧書きが、命令を受けて回収するときをその報告義務から除いています。
別の条文です。法第68条の11は自主回収をしたときの報告義務を、法第70条第1項は行政が命じる廃棄・回収を定めています。同じ「回収」という語が2か所に出ますが、第68条の11の括弧書きが、両者が重ならないように仕切りを入れています。
第68条の11は「回収するとき(第七十条第一項の規定による命令を受けて回収するときを除く。)」と書いており、命令に基づく回収は、この報告義務の対象から外されています。条文の側で切り分けが明示されている箇所です。
第70条は、誰が何を命じる条か
法第70条第1項が命令の権限を置いているのは、厚生労働大臣又は都道府県知事です。相手方は医薬品等を業務上取り扱う者で、命じる内容は、廃棄、回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置です。対象となる物は条文に長く列挙されており、第43条第1項に違反して貯蔵・陳列された医薬品、第55条・第56条等に規定する医薬品等、承認を取り消された医薬品等、不良な原料若しくは材料などが並びます。
第70条には、このほか2つの項があります。
- 第2項 — 第56条の2等に違反して輸入しようとする者又は輸入した者に対する廃棄等の命令
- 第3項 — 第1項・第2項の命令に従わないとき又は緊急の必要があるときに、当該職員が行う廃棄・回収その他の処分
第70条の各項の並びと、命令をする者の書き分けは薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルートで扱っています。
| 条文 | 誰が動かすか | 条文が定めている内容 |
|---|---|---|
| 法第68条の11、薬機法施行規則第228条の22 | 製造販売業者、外国特例承認取得者、輸出用の製品の製造業者 | 回収に着手した旨及び回収の状況の報告、変更等が生じたときの報告、回収を終了した旨の報告 |
| 法第70条第1項 | 厚生労働大臣又は都道府県知事 | 業務上取り扱う者に対する、廃棄、回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置の命令 |
| 法第72条第1項 | 厚生労働大臣 | 品質管理又は製造販売後安全管理の方法が第12条の2第1項第1号・第2号等の基準に適合しない場合の、改善命令又は改善までの業務の全部若しくは一部の停止 |
表2の最後の行が、このページの前半とつながっています。GQP省令・GVP省令・QMS省令に適合しないことは、法第72条第1項の改善命令と業務停止命令の要件として条文に書かれています。業の許可に対する処分の条文の並びは業許可への処分 — 業務停止・許可取消し・改善命令は、どの条文にあるかで扱っています。
要点
回収という同じ語が、別の条文に現れます。自主回収をしたときの報告義務(第68条の11)と、行政が命じる廃棄・回収(第70条第1項)です。加えて、基準に適合しない場合の改善命令・業務停止(第72条第1項)が別に置かれています。
理解の確認
法第68条の11の括弧書き(第七十条第一項の規定による命令を受けて回収するときを除く。)は、同じ「回収」という語について何を仕切っているか。
第68条の11は、事業者が自ら回収するときに、回収に着手した旨と回収の状況を厚生労働大臣へ報告させる条で、動くのは事業者の側です。第70条第1項は、厚生労働大臣又は都道府県知事が、業務上取り扱う者に対して廃棄、回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置を命じる条で、動くのは行政の側です。括弧書きが「第七十条第一項の規定による命令を受けて回収するときを除く」と置かれているため、同じ「回収」の語でも、命令を受けて行う回収は自主回収の報告義務の側には入りません。二つの条文が重ならないよう、条文自身が仕切りを明示している箇所です。
根拠:薬機法第68条の11、第70条第1項(法令確認日 2026-09-08、施行日 2026-05-21)
GQP省令が定める基準は、医療機器の製造管理及び品質管理にも当たるのか。
当たりません。GQP省令第1条が掲げる根拠条項は法第12条の2第1項第1号及び第23条の21第1項第1号であり、同省令第2条第1項の「医薬品等」は医薬品・医薬部外品・化粧品・再生医療等製品を指すためです。医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の方法の基準は、QMS省令第1条が法第23条の2の5第2項第4号及び第80条第2項の基準として別に定めています。どの省令が当たるかは、製品の区分によって決まるということです。
根拠:GQP省令(平成16年厚生労働省令第136号)第1条・第2条第1項/QMS省令(平成16年厚生労働省令第169号)第1条(法令確認日 2026-09-08)
品質管理や製造販売後安全管理について、薬機法の条文を読むだけでは基準の中身が分からないのはなぜか。
法律が基準の中身を書かず、「厚生労働省令で定める基準に適合しないとき」という形で送り先だけを置いているからです。送り先は、製造販売業の許可を与えないことができる場合を挙げた条(第12条の2第1項など)と、品目の承認を与えない場合の号(第14条第2項第4号など)の2系統に分かれています。省令の側は第1条(趣旨)で自分がどの号の基準であるかを書いているので、法律の号と省令の第1条を突き合わせて初めて、その製品にどの省令が当たるかが決まります。
根拠:薬機法第12条の2第1項、第14条第2項第4号、第23条の2の5第2項第4号、第23条の21第1項/GQP省令第1条、GVP省令第1条、QMS省令第1条(法令確認日 2026-09-08)
次に読む
- 6-3 業許可への処分 — 業務停止・許可取消し・改善命令は、どの条文にあるか 業の許可に向けられた処分は、薬機法第13章「監督」のなかで条文ごとに分かれています。
- 1-7 承認・認証・届出・許可の地図 — どの手続がどこに載っているか 薬機法の手続は二層になっています。
- 6-1 薬機法に違反するとどうなるか — 行政指導から刑事罰までの6ルート 「薬機法に違反すると2年以下の罰則」は、用意されている効果のうち刑事罰だけを取り出した説明です。
- 1-8 売る側の許可 — 薬局・店舗販売業・卸売販売業・医療機器の販売業 売る側に置かれているのは、薬局開設の許可(第4条)、医薬品の販売業の許可(第24条)、医療機器の販売業・貸与業の許可(第39条)、再生医療等製品の販売業の許可(第40条の5)です。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号、版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026年5月21日)第12条の2・第14条・第23条の2の2・第23条の2の5・第23条の21・第23条の25・第68条の10・第68条の11・第70条・第72条・第80条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号、版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026年6月19日)第7条の3・第87条・第89条・第114条の50・第137条の53・第228条の20・第228条の22・第228条の23 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号、版ID 416M60000100136_20210801_503M60000100015、施行日 2021年8月1日)第1条・第2条・第3条・第4条・第6条・第7条・第9条・第11条・第12条・第16条・第17条・第18条・第19条・第21条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号、版ID 416M60000100135_20260501_507M60000100117、施行日 2026年5月1日)第1条・第2条・第3条・第7条・第8条・第9条・第10条・第14条・第15条・第16条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第169号、版ID 416M60000100169_20260501_507M60000100117、施行日 2026年5月1日)第1条・第5条・第55条の2・第55条の3・第60条の3・第63条・第69条・第70条・第72条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 薬機法 2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037)第68条の11・第80条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)