30秒でわかる要点
- 上限額は、条文ではなく告示にある:第4条が内閣総理大臣に与えているのは、景品類(お客を引き寄せるために取引に付けて提供する物やお金など。定義は次の項目)を制限・禁止する権限だけです。制限できるのは、価額(金額に直した値打ち)の最高額・総額、種類、提供の方法などです。制限の中身は、第6条第2項が「告示によつて行う」としています。確かめる先は、消費者庁が公表している告示です。
- 「景品類」の定義も、告示と合わせて読む:第2条第3項は、お客を引き寄せる手段として取引に付随して提供する、物品や金銭などの経済上の利益を挙げています。そのうち「内閣総理大臣が指定するもの」が景品類です。この指定も、第3条により告示で行われます。
- 違反したときの手続は、表示の違反と同じではない:措置命令(違反の中止などを命じる役所の命令)の条文は、第4条の制限・禁止に違反する行為も対象に挙げています(第7条第1項)。確約手続(違反の疑いがあるとき、事業者が直す計画を出して認定を受ける手続)の条文(第26条・第30条)も、第4条を挙げています。課徴金(違反で得た売上などをもとに、国が納めさせるお金)の第8条第1項と、命令を経ずに科される罰則(直罰)の第48条は、表示についての定めです。ただし、措置命令に違反したときの罰則は、第46条第1項にあります。
1. 景品の上限額は、景品表示法の条文に書いてあるのですか?
書いてありません。第4条は、内閣総理大臣に景品類を制限・禁止する権限を与えるだけです。制限・禁止は告示で行うと、第6条第2項が定めています。
「景品類」とは何かという定義も、第2条第3項が内閣総理大臣の指定に任せています。
景品表示法は、第2章第1節に「景品類の制限及び禁止並びに不当な表示の禁止」という節を置いています。景品類のルールが第4条、表示のルールが第5条です。
ところが、第4条には金額も割合も出てきません。条文は次のとおりです。
第4条が並べているのは、制限できる事項の種類です。
例
冒頭のA社の企画で、そのプレゼントが景品類にあたる場合で考えます。第4条から読み取れるのは、プレゼントの価額の最高額や総額、提供の方法などが、制限の対象になり得るということまでです。金額がいくらまでなら制限の範囲内かは、第4条を読んでもわかりません。
制限の中身は、告示で決める(第6条)
制限の中身をどこで決めるかは、第6条が定めています。第2項は「前項に規定する制限及び禁止並びに指定並びにこれらの変更及び廃止は、告示によつて行うものとする」と書いています。
第4条の制限・禁止や、第5条第3号の指定(禁止する表示を、内閣総理大臣が指定すること)を決めたり、変えたり、やめたりするときは、告示で行うという意味です。上限額は、この告示の側にあります。法律が細かい中身を別の決まりに任せることを、「委任」といいます。
第6条第1項は、告示を出す前の手続を定めています。内閣総理大臣が、第4条の規定による制限・禁止や、前条第3号(第5条第3号)の規定による指定をしようとするときの手続です。変更や廃止をしようとするときも同じです。
このときは、公聴会(広く意見を聞く会)を開いて、関係事業者と一般の意見を求めなければなりません。公聴会は、内閣府令(内閣府が定める細かい決まり)で定めるところにより開きます。あわせて、消費者委員会(内閣府に置かれた委員会)の意見も聴かなければなりません。
直感的なポイント
条文は、目盛りのない定規のようなものです。何を測るか(価額の最高額、総額、種類、提供の方法)は第4条が決めていますが、目盛りをどこに刻むかは告示に預けられています。
表示のルール(第5条)とは、書き方が違う
同じ節の第5条は、禁止する表示の中身を、第1号と第2号で条文に直接書いています。第1号は優良誤認、第2号は有利誤認と呼ばれる表示です。告示に任せているのは、第3号の「内閣総理大臣が指定するもの」だけです。
景品類の側は、これと違って、制限の中身がまるごと告示に任されています。
第5条第1号・第2号の内容と、第5条第3号の指定については、『7-1 優良誤認と有利誤認は、どこが違う?』で扱っています。ほかの法律との重なりは、『7-10 1つの広告や表示に、どの法律がかかり得る?』で扱っています。
「内閣総理大臣」の権限は、だれが使うのか
条文では、景品類の指定も、制限・禁止も、内閣総理大臣が行います。第38条第1項は、この法律による権限(政令で定めるものを除く)を消費者庁長官に委任しています。政令とは、内閣が定める決まりのことです。
同条第11項により、消費者庁長官に任された事務の一部は、政令で定めれば都道府県知事が行うようにもできます。
景品のルールをどこが受け持つか、どんな目的の法律かについては、今の条文と違う説明を見かけることがあります。よく見かける説明と今の条文を並べると、次のとおりです。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
景品規制は公正取引委員会の所管であり、景品表示法は独占禁止法の特別法である。
現行
現行の条文では、指定も制限・禁止も内閣総理大臣が行います。第38条第1項は、この法律による権限(政令で定めるものを除く)を消費者庁長官に委任するとし、同条第11項は、委任された権限に属する事務の一部を政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができるとしています。目的規定である第1条は、この法律の目的を「一般消費者の利益を保護すること」と定めるにとどまり、事業者間の公正な競争の確保を挙げていません(その語は、公正競争規約について定める第36条第1項に現れます)。ただし公正取引委員会が条文から消えたわけではなく、第36条第1項は、景品類又は表示に関する協定又は規約の認定を内閣総理大臣及び公正取引委員会が行うと定めています。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第1条・第2条第3項・第36条第1項・第38条第1項・第38条第11項。e-Gov 法令検索の版 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048(施行日2026年5月21日)で確認。法令確認日 2026-09-08。なお、現に効力を有する各告示がどの名義で公示されているかは、本ページでは確認できていません。
上の箱に出てくる公正競争規約は、事業者や事業者団体が、景品類や表示について定める協定や規約です。
2. 「景品類」とは何か、条文はどう定めているのですか?
第2条第3項が定めています。要素は、お客を引き寄せる手段であること、取引に付随すること、経済上の利益であること、内閣総理大臣が指定するものであることです。
方法が直接的か間接的か、くじの方法によるかどうかは問わないと、第2条第3項は書いています。
「景品類」にあたるかどうかは、企画の呼び名では決まりません。定義は第2条第3項にあり、その要件に「景品」という名前かどうかは入っていないからです。
例
冒頭のA社が、企画書で「プレゼント」「特典」「ノベルティ」のどの呼び名を使っても、「景品類」にあたるかどうかは、呼び名では決まりません。見るのは、下の第2条第3項の要素と、それを受けた指定の告示です。
条文の語をそのまま分けると、次の要素が並んでいます。
- 顧客を誘引するための手段としてのもの(お客を引き寄せるためのもの)であること
- その方法が直接的であるか間接的であるかを問わないこと
- くじの方法によるかどうかを問わないこと(抽選かどうかで区別しない)
- 事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して提供するもの(自分の商品やサービスの取引にともなって提供するもの)であること
- 相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であること
- 内閣総理大臣が指定するものであること
定義も、告示と合わせて読む
定義の末尾は「内閣総理大臣が指定するもの」で結ばれています。そのため、第2条第3項だけでは、何が景品類にあたるかが決まりません。この指定は第3条第2項により告示で行われるので、条文と告示を合わせて読む必要があります。
指定の手続を定めているのは、第3条です。第6条と同じく、公聴会を開き、消費者委員会の意見を聴き、告示によって行う形です。景品のルールは、定義の側と限度額の側の2か所で、中身を条文から告示に任せています。
この形は、表示の側も同じです。第2条第4項の「表示」の定義も、「内閣総理大臣が指定するもの」で結ばれています。
「取引に付随して」の線引きは、条文からは決まらない
「取引に付随して」という語も、条文にあります。ただ、どんな提供が取引に付随するとされるかは、条文の文言からは決まりません。このページは、この点を扱う文書を確認できていないため、扱いません。
管理措置指針(第22条第2項に基づいて、事業者がとるべき管理の措置を示した指針)の別添は、企画・設計の段階で確認することの例を挙げています。そこには、どんな景品類の提供や表示ができるかを検討すること、と書かれています。検討の際に参考にするものとして挙げているのは、景品表示法の各種運用基準(法律をどう運用するかの考え方を示した文書)や、過去の不当表示などの事案の先例などです。
「運用基準」と呼ばれる文書群があること自体は、この記載からわかります。
原文で確かめる(管理措置指針 別添3(1))
景品表示法の各種運用基準、過去の不当表示等事案の先例等を参考にして、どのような景品類の提供や表示が可能なのか(中略)検討すること
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正 令和6年4月18日内閣府告示第92号)別添3(1)3. 消費者庁は、景品の事件をどんな区分で数えているのですか?
関係する告示ごとに分けた、懸賞景品告示・総付(そうづけ)景品告示・業種別景品告示の3区分です。令和7年度の運用状況の資料が、この区分で件数を数えています。
これは処理した件数の内訳で、告示の一覧ではありません。
告示がどう呼ばれているかは、消費者庁が毎年公表する運用状況の資料で確かめられます。消費者庁表示対策課は、令和8年5月に、令和7年度の処理状況をまとめた資料を公表しました。
この資料は、景品の事件を、関係する告示ごとに分けて数えています。表1がその集計です。区分の名前になっている告示が、それぞれ何を定めているかは、告示の本文で決まります。このページでは、その本文を確かめられていません。
| 関係告示 | 措置命令・ | 指導 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 懸賞景品告示 | 0 | 0 | 0 |
| 総付景品告示 | 0 | 3 | 3 |
| 業種別景品告示 | 0 | 0 | 0 |
| 合計 | 0 | 3 | 3 |
出典:「令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」(令和8年5月28日 消費者庁表示対策課)表7。単位は件。対象期間は令和7年4月1日から令和8年3月31日まで。この表は消費者庁における処理を集計したもので、都道府県の処理は含まれていません。
表1から読めることは、2つです。1つは、消費者庁が景品の事件を、懸賞景品告示・総付景品告示・業種別景品告示という3つの区分で整理していることです。もう1つは、令和7年度に消費者庁が処理した景品の事件が、総付景品告示に係る指導3件だけだったことです。
指導とは、役所が法的な強制力なしに、協力を求めて行うものです。表1の見出しにある「確約計画の認定」は、違反の疑いについて、事業者が出した是正の計画が認められることです(次の節で説明します)。
例
ある県が、景品の件で事業者を指導した場面で考えます。その指導は、表1の3件には入りません。表1は消費者庁の処理を集計したもので、都道府県の処理は含まれていないからです。
この表から読めないこと
区分の名前には「懸賞」「総付」(そうづけ)「業種別」の語が使われています。しかし、それぞれの告示の番号・発出日・限度額は、この資料には出てきません。区分の数がそのまま告示の本数であるかどうかも、この資料からはわかりません。
管理措置指針も、これらをまとめて「同法第4条の規定に基づく告示」と呼んでいます。指針によると、第22条第1項が求める措置は、この告示に違反する景品類の提供と、第5条に違反する表示を、未然に防ぐためのものです。
原文で確かめる(管理措置指針 第2の1)
景品表示法第 22 条第1項は、それぞれの事業者内部において、景品表示法第4条の規定に基づく告示に違反する景品類の提供及び景品表示法第5条に違反する表示(以下「不当表示等」という。)を未然に防止するために必要な措置を講じることを求めるものである。
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正 令和6年4月18日内閣府告示第92号)第2の1なお、「景品類」を指定する定義の告示は、第3条に基づいて別に置かれています。
4. 景品の制限に違反すると、どんな手続があるのですか?
条文が定めているのは、第7条の措置命令です。第8条の課徴金納付命令は第5条第1号・第2号の表示に、第48条の直罰は表示に限って定められています。
第26条・第30条の確約手続(違反の疑いがあるとき、事業者が直す計画を出して認定を受ける手続)も、第4条の制限・禁止に違反する疑いを対象に挙げています。
第4条の制限・禁止に違反する行為に対して、条文が用意している手続は、第5条の表示の違反に対するものと同じ範囲ではありません。条文には、第4条と第5条を並べて書いている規定と、第5条だけを挙げている規定があります。
第7条第1項の措置命令は「第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為があるときは」と、両方を並べています。確約手続の条文(第26条・第30条)も、両方を並べています。
これに対して、課徴金(第8条第1項)・直罰・適格消費者団体の差止請求は、第5条だけを挙げています。適格消費者団体とは、第34条第1項に基づいて、事業者に差止め(行為をやめさせること)を請求できる消費者団体です。
例
冒頭のA社のキャンペーンで、景品の提供が、第4条の規定による制限に違反するとされた場面で考えます。条文の上では、第7条第1項の措置命令の対象になり得ます。
A社がキャンペーンのチラシに載せた表示が、第5条第1号・第2号に違反するとされた場面では、課徴金納付命令も問題になり得ます。
表2の読み方
表2は、手続ごとに、その条文が第4条を挙げているかどうかを並べたものです。「○」は第4条の違反も対象に挙げている条、「×」は挙げていない条です。
確約手続には、2つの型があります。今も続いている違反の疑いについての是正措置計画と、すでに終わった違反の疑いについての影響是正措置計画です。どちらの条文も、第4条を挙げています。
| 対象 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 措置命令 | 定めがある | 第7条第1項 |
| 是正措置計画の |
定めがある | 第26条 |
| 影響是正措置計画の |
定めがある | 第30条 |
| 課徴金納付命令 | 同条の |
第8条第1項は |
| 罰金 |
同条の |
第48条各号は |
| 適格消費者団体の |
同条の |
第34条第1項各号は |
不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)の各条によります。e-Gov 法令検索の、施行日2026年5月21日の版です。表の各行は、当該条が第4条を挙げているかどうかという条文の文言だけを見たものです。「定めなし」は、第4条に基づく告示に違反する行為が問題とならないという意味ではありません。措置命令に従わない場合の罰則は、次の節で扱います。
これらとは書き方が違う条もあります。第5節「報告の徴収及び立入検査等」の第25条第1項は、対象を「この法律を施行するため必要があると認めるとき」と書いていて、第4条にも第5条にも触れていません。
5. 令和5年の改正で、景品の側は何が変わったのですか?
確約手続が新しく設けられました。その条文は、第4条の制限・禁止に違反する疑いも対象に挙げています。同じ改正で新しくできた直罰は、表示についてだけです。
消費者庁の概要資料は、直罰の対象を優良誤認表示・有利誤認表示と書いています(どちらも第5条第1号・第2号の表示です)。
令和5年改正景品表示法は、令和6年10月1日に施行(法律の決まりが効力を持ち始めること)されました。景品類の側と表示の側とで、改正の及び方が違います。
消費者庁表示対策課が公表した概要資料は、主な改正事項を3つに分けています。「事業者の自主的な取組の促進」「違反行為に対する抑止力の強化」「円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等」です。
確約手続は、景品類の側も対象にしている
概要資料は、確約手続を次のように説明しています。優良誤認表示等の疑いのある表示等をした事業者が、是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から認定を受けたとします。そのときは、その行為について措置命令と課徴金納付命令を受けないこととして、迅速に問題を改善する制度で、この改正で新しく設けられました。
原文で確かめる(改正景品表示法の概要 主な改正事項 1)
優良誤認表示等の疑いのある表示等をした事業者が是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から認定を受けたときは、当該行為について、措置命令及び課徴金納付命令の適用を受けないこととすることで、迅速に問題を改善する制度の創設(第26条~第33条)
【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法、消費者庁表示対策課)主な改正事項 1この確約手続を定めるのは、第26条と第30条です。どちらの条文も「第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実」と書いています。景品類の側も含んでいるということです。前の節の表2のとおりです。
直罰は、表示についてだけ
一方、直罰について、概要資料は対象を次のように書いています。
優良誤認表示・有利誤認表示に対し、直罰(100万円以下の罰金)の新設(第48条)
【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法、消費者庁表示対策課)主な改正事項 2優良誤認表示・有利誤認表示は、第5条第1号・第2号の表示です(内容は『7-1 優良誤認と有利誤認は、どこが違う?』で扱っています)。どちらも第5条の側の話で、景品類(第4条)の側ではありません。
措置命令に従わない場合
第4条に基づく告示に違反する行為に対する罰則は、条文上、措置命令を経由する形で置かれています。まず措置命令が出され、その命令に違反したときに罰則の対象になる、という順番です。
第46条第1項は、措置命令に違反したときは、その違反行為をした者を2年以下の拘禁刑(刑事施設に収容する刑)または300万円以下の罰金に処すると定めています。同条第2項により、事情に応じて両方をあわせて科すこともできます。
第49条第1項第1号は、両罰規定(違反した人だけでなく、その人が属する会社も罰する決まり)です。法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務に関して第46条第1項の違反行為をしたとします。そのときは、行為者を罰するほか、その法人にも3億円以下の罰金刑を科すとしています。
例
A社が景品の提供について措置命令を受けたのに、その命令に違反した場面で考えます。違反行為をした従業者は、第46条第1項の罰則の対象になり得ます。その違反がA社の業務に関してされたものなら、A社も、第49条第1項第1号により3億円以下の罰金刑の対象になり得ます。
6. 景品を出す事業者に、法律と指針は何を求めているのですか?
第22条第1項は、景品の出し方や表示を適正に管理するための、体制づくりなどの措置を事業者に求めています。管理措置指針は、景品類を提供しようとする場合に、違法とならない最高額・総額・種類・提供の方法等の確認を挙げています。
このページは告示の本文を確認できていないため、限度額そのものは載せていません。
第22条第1項は、事業者に必要な措置をとることを義務づけています。目的は、「自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう」にすることです。
自分の商品やサービスの取引で、景品や表示によってお客を不当に引き寄せ、消費者が自分で合理的に選ぶことを妨げないように、という意味です。
そのために求められるのは、体制の整備などの必要な措置です。適正に管理する対象として、条文は次の2つを挙げています。
- 「景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項」
- 「商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項」
つまり、景品の出し方と、商品やサービスの中身についての表示を、社内で適正に管理するための体制づくりなどが求められています。
措置の中身を定めているのが、同条第2項に基づく管理措置指針です。条文の全文と、指針の第4が挙げる7つの項目は、『7-1 優良誤認と有利誤認は、どこが違う?』で扱っています。第24条第1項の勧告(必要な措置をとるよう求めること)と同条第2項の公表について、消費者庁の執行状況も同じページにあります。ここでは、景品類に固有の記載だけを見ます。
指針の第3の1は、「必要な措置」という語を説明しています。そこでは、措置の例として、景品類の提供が違法とならないかどうかを判断する上で必要な事項の確認を挙げています。第4の3は、確認すべき対象を項目の形で書いています。
事業者は、(1)景品類を提供しようとする場合、違法とならない景品類の価額の最高額・総額・種類・提供の方法等を、(2)とりわけ、商品又は役務の長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合には、当該表示の根拠となる情報を 確認すること。
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正 令和6年4月18日内閣府告示第92号)第4の3指針が挙げている「価額の最高額・総額・種類・提供の方法等」は、第4条が制限の対象として並べている事項と同じ並びです。
例
冒頭のA社で、担当者がプレゼント付きの企画書をまとめる場面で考えます。管理措置指針の別添は、企画・設計の段階で確認することの例を挙げています(「景品類」の定義の節で紹介した記載です)。そのプレゼントを景品類として提供しようとする場合、A社の担当者は、この段階で告示を探し、指針の第4の3が挙げる価額や提供の方法などを確かめることが考えられます。
告示の本文をどう確かめるか
条文と指針は、どちらも「告示に照らして確認せよ」という形で書かれています(かぎかっこ内は、文言の引用ではなく、このページによる要約です)。そのため、探す相手は、法律の条文ではなく告示です。第3条第2項と第6条第2項が、指定と制限・禁止は告示によって行うと定めているからです。告示は、発出元である消費者庁が公表しています。
このページは、限度額を定める告示(懸賞景品告示・総付景品告示・業種別景品告示)と、「景品類」を指定する定義の告示の本文を確認できていません。そのため、限度額の数値、各告示の番号、発出日は載せていません。
資料を発出日・番号で特定し、後の告示で改正・廃止されていないかを確かめる手順は、『1-10 法令や通知の原文は、どこで読める?』で扱っています。条番号から条文の解説を探すときは、条文索引が入口です。
理解の確認
景品表示法の条文を最後まで読んでも、景品の上限額が見つからないのはなぜですか?
第4条が内閣総理大臣に与えているのは、価額の最高額・総額、種類、提供の方法などを制限し、または提供を禁止する権限だけで、金額も割合も書かれていないからです。制限の中身をどこに置くかは、第6条第2項が「告示によつて行うものとする」と定めていて、数値は告示の側にあります。任せているのは限度額だけではありません。第2条第3項は「景品類」の定義を「内閣総理大臣が指定するもの」で結び、その指定も第3条により告示で行います。条文は何を測るかを決め、目盛りは告示が刻む形なので、条文と告示を合わせて読む必要があります。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第2条第3項・第3条・第4条・第6条第2項(e-Gov 法令検索、施行日2026年5月21日の版、法令確認日 2026-09-08)
措置命令は第4条の制限・禁止に違反する行為にも及ぶのに、課徴金納付命令や直罰は表示の側にしか置かれていません。この差は、どこから来るのですか?
手続を定める各条が、第4条を挙げているかどうかで分かれます。第7条第1項の措置命令と、第26条・第30条から始まる確約手続は、「第四条の規定による制限若しくは禁止又は第五条の規定に違反する行為」と両方を並べています。これに対して、第8条第1項は課徴金の対象行為を「第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。)」と定めています。第48条の各号は「表示をしたとき」、第34条第1項の各号は「表示をすること」を要件にしていて、どれも第4条を挙げていません。ただし、第4条に基づく告示に違反する行為に罰則が無いわけではありません。第46条第1項が、措置命令に違反したときの罰則という形で置いています。
根拠:不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第7条第1項・第8条第1項・第26条・第30条・第34条第1項・第46条第1項・第48条(e-Gov 法令検索、施行日2026年5月21日の版、法令確認日 2026-09-08)
消費者庁の運用状況の資料は、景品の事件を懸賞景品告示・総付景品告示・業種別景品告示の3区分で数えています。ここから、限度額を定める告示が3本あると読んでよいですか?
読めません。この表は、消費者庁が処理した件数を関係する告示ごとに数えたもので、告示の一覧ではないからです。表の見出しに「懸賞」「総付」「業種別」の語は出てきますが、それぞれの告示の番号・発出日・限度額はこの資料に載っていません。区分の数がそのまま告示の本数かどうかもわかりません。本数や数値を確かめるには、発出元である消費者庁が公表している告示の本文にあたる必要があります。
根拠:令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁表示対策課)表7
次に読む
- 7-1 優良誤認と
有利誤認は、 健康食品を扱うA社の広報担当が、新しいチラシを作るとします。どこが 違う? — 景品表示法第5条に ある 2つの 号と 違反した ときの手続 - 7-10 1つの
広告や 健康食品の会社で、新しい商品の広告を作るとします。表示に、 どの 法律が かかり得る? — 薬機法・ 景品表示法・ 健康増進法・ 医療法の 重なり - 8-9 表示や
広告を 化粧品を扱うA社の広報担当者が、新商品のチラシを作ったとします。出す前に、 何を 確認する こととされている? — 公開前に 確認される 観点 - 7-4 景品表示法の
課徴金は 健康食品を扱うA社の広告に、景品表示法(不当な景品類や、広告などの表示を規制する法律)に違反する疑いが持たれたとします。どう 決まり、 確約手続は どう 進む? — 令和5年改正の 要点
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第1条・第2条第3項・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条・第22条・第25条・第26条〜第28条・第30条〜第32条・第34条・第36条・第38条・第46条・第48条・第49条 e-Gov 法令検索(版 337AC0000000134_20260521_504AC0000000048、施行日2026年5月21日)(2026-09-08 確認)
- 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(平成26年11月14日内閣府告示第276号、改正 平成28年4月1日内閣府告示第125号/令和4年6月29日内閣府告示第74号/令和6年4月18日内閣府告示第92号)第2の1・第3の1・第4の3・別添3 消費者庁(2026-09-08 確認)
- 令和7年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(令和8年5月28日 消費者庁表示対策課)⑹景品事件の処理状況 表7 消費者庁(2026-09-08 確認)
- 【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要(令和5年改正景品表示法、消費者庁表示対策課)主な改正事項 1・2 消費者庁(2026-09-08 確認)