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化粧品がうたえる効能は、どこまで? — 56項目の一覧と、成分の書き方

化粧品会社の広報担当者が、化粧水の広告を考えているとします。「肌のキメを整える」と書いてよいのか。成分の名前を大きく載せてよいのか。化粧品が効能(製品の働きとしてうたう内容)としてうたえる範囲は、法律の条文には書かれていません。厚生労働省の通知(国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書)の一覧に、56項目で並んでいます。成分の書き方には、薬機法の条文のほか、全ての成分を並べて示す全成分表示と、特定の成分を取り出して示す特記表示についての通知があります。このページでは、56項目の読み方、条件の付いた1項目、一覧の外で書けること、成分の示し方を、例を交えて説明します。

30秒でわかる要点

  • うたえる効能の範囲は、通知の56項目:範囲は薬機法の条文ではなく、厚生労働省の通知(2011年7月)の一覧にあります。国の広告基準(医薬品等適正広告基準)は、この範囲をこえてはならないとしています。(56)「乾燥による小ジワを目立たなくする。」だけは条件付きです。一覧の通知と同じ日に出た運用の通知(取扱い通知)が、学会のガイドラインに基づく試験か、同等以上の適切な試験で、効果を確かめることを求めています。
  • 一覧に無くても書けるもの、書けないもの:メーキャップ効果や使用感などの表示・広告は、事実に反しない限り認められます。厚生労働省の通知(2001年3月9日)がそう定め、2011年の改正後も取扱い通知が「従前通り」としています。広告基準の読み方と注意点を示した厚生労働省の通知(解説通知)もあります。一方、この解説通知は、一覧に無い薬理作用(成分が体の働きそのものに作用すること)による効能効果は表現できないとしています。
  • 化粧品で成分を取り出して示すのは、原則として行わない:化粧品で特定の成分を取り出して示す表示(特記表示)について、厚生労働省の通知(2025年3月)が定めています。原則として行わず、同じ通知の留意事項とQ&Aに基づく場合に限り認めるとしています。その場合は、配合目的(その成分を何のために入れたか)を必ず併記することとしています。

1. 化粧品がうたえる効能の範囲は、どこに書かれていますか?

法律の条文ではなく、厚生労働省の通知(2011年7月)に一覧として書かれています。56項目が並び、国の広告基準がこの通知を名指ししています。

医薬品等適正広告基準は、承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)を要しない化粧品について、効能の表現の上限としてこの通知を挙げています。

化粧品の広告や容器に、効能として書けることは、薬機法の条文には並んでいません。範囲を示しているのは、厚生労働省の通知です。

その通知を名指ししているのが、医薬品等適正広告基準(以下「広告基準」)です。医薬品等(薬機法が扱う5つの製品:医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)の広告についての基準です。広告基準は、薬機法の広告の規定(第66条から第68条まで)等に基づく、監視指導(行政が、決まりが守られているかを確かめて指導すること)の基準です。

一覧にたどり着くまで

範囲は、1つの文書に書き切られていません。次の順にたどります。

  1. 広告基準の第4の3(2):承認を要しない化粧品の効能の表現は、「化粧品の効能の範囲の改正について」という通知が定める範囲をこえてはならない、としています。
  2. その通知(2011年7月。以下「56項目の通知」):記(本文の箇条書きの部分)の1で、化粧品の効能の一覧(別表第1)に1項を加えるとし、加える項として(56)を挙げています。
  3. 同じ通知の別紙(通知に付いている資料):改正後の別表第1が、56項目として付いています。

直感的なポイント

住所にたとえると、町名までは広告基準に書いてあり、番地は最後の1枚(通知の別紙)にしか書かれていない、という形です。広告基準だけを読んでも、56項目にはたどり着けません。

例

冒頭の広報担当者(A社)が、化粧水の広告に「肌のキメを整える」と書けるかを調べる場面で考えます。確かめる先は、薬機法の条文ではなく、56項目の一覧です。一覧の(20)に「肌のキメを整える。」があります。

ただし、一覧が示すのは上限です。56項目の通知と同じ日に、厚生労働省は運用の取扱いを示す通知も出しています(以下「取扱い通知」。3.の節で扱います)。その記の1は、化粧品が効能として表示・広告できる範囲を、一覧の範囲で、しかもその製品に該当する効能の範囲としています。

原文で確かめる(広告基準 第4の3(2)と、56項目の通知 記の1)

承認等を要しない医薬品等(化粧品を除く。)の効能効果等の表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない。

また、承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、平成23年7月21日薬食発第0721第1号(中略)「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲をこえてはならない。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(2)

名指しされているのは、平成23年7月21日 薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」です。化粧品の効能の範囲を改正した局長通知(厚生労働省の局長名で出す通知)にあたります。

1.別表第1に次の1項を加える。

(56) 乾燥による小ジワを目立たなくする。

化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)記の1

第66条の中身は第66条 虚偽・誇大広告の禁止、何が広告にあたるかは『2-1 そもそも薬機法の「広告」とは?』で扱います。

56項目の通知が示しているのは、化粧品の範囲です。医薬部外品(医薬品よりも作用がおだやかな製品。薬用化粧品など)には、品目ごとに承認を受けた効能・効果があり、範囲の決まり方が違います。医薬部外品の側は、『4-2 医薬部外品の効能は、広告でどこまで書ける?』で扱います。区分そのものの分かれ方は、『1-3 医薬部外品と化粧品は、何で分かれる?』にあります。

別表第1そのものは、56項目の通知が新しく作ったものではありません。同通知の本文によると、1961年2月の通知の別表第1で定められ、2000年12月の通知で改正された化粧品の効能の範囲を、さらに改正したものです。(56)が加わる前は、55項目でした。

原文の番号で確かめる(別表第1の経緯)
  • 効能の範囲を定めた通知:昭和36年2月8日 薬発第44号
  • その範囲を改正した通知:平成12年12月28日 医薬発第1339号

2. 56項目には、どんな効能が並んでいますか?

頭皮・毛髪から始まり、皮膚、爪、口唇、歯みがき類へと、対象とする部位の順に並んでいます。一覧には、注記が3つ付いています。

最後の(56)は2011年の改正で加わった項目で、ほかの55項目と同じ扱いではありません。

56項目の通知の別紙にある一覧(別表第1)の全文は、下の番号付きのリストです。番号は原文のとおりで、( )内の記載も原文に含まれます。まず、番号で大まかに分けると、次のようになります。

  • (1)〜(16):頭皮・毛髪
  • (17)〜(38):皮膚・肌など(ひげそり、あせも、日やけ、芳香の項目を含む)
  • (39)〜(41):爪
  • (42)〜(48):口唇
  • (49)〜(55):歯みがき類
  • (56):乾燥による小ジワ(2011年の改正で加わった項目。3.の節)
  1. 頭皮、毛髪を清浄にする。
  2. 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
  3. 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
  4. 毛髪にはり、こしを与える。
  5. 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
  6. 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
  7. 毛髪をしなやかにする。
  8. クシどおりをよくする。
  9. 毛髪のつやを保つ。
  10. 毛髪につやを与える。
  11. フケ、カユミがとれる。
  12. フケ、カユミを抑える。
  13. 毛髪の水分、油分を補い保つ。
  14. 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
  15. 髪型を整え、保持する。
  16. 毛髪の帯電を防止する。
  17. (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
  18. (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
  19. 肌を整える。
  20. 肌のキメを整える。
  21. 皮膚をすこやかに保つ。
  22. 肌荒れを防ぐ。
  23. 肌をひきしめる。
  24. 皮膚にうるおいを与える。
  25. 皮膚の水分、油分を補い保つ。
  26. 皮膚の柔軟性を保つ。
  27. 皮膚を保護する。
  28. 皮膚の乾燥を防ぐ。
  29. 肌を柔らげる。
  30. 肌にはりを与える。
  31. 肌にツヤを与える。
  32. 肌を滑らかにする。
  33. ひげを剃りやすくする。
  34. ひげそり後の肌を整える。
  35. あせもを防ぐ(打粉)。
  36. 日やけを防ぐ。
  37. 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
  38. 芳香を与える。
  39. 爪を保護する。
  40. 爪をすこやかに保つ。
  41. 爪にうるおいを与える。
  42. 口唇の荒れを防ぐ。
  43. 口唇のキメを整える。
  44. 口唇にうるおいを与える。
  45. 口唇をすこやかにする。
  46. 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
  47. 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
  48. 口唇を滑らかにする。
  49. ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  50. 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  51. 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  52. 口中を浄化する(歯みがき類)。
  53. 口臭を防ぐ(歯みがき類)。
  54. 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  55. 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
  56. 乾燥による小ジワを目立たなくする。

同じ一覧は、広告基準の解説通知にも「化粧品の効能の範囲の改正について(抜すい)」として載っています。解説通知は、広告基準の読み方と注意点を示した厚生労働省の通知です(2017年9月)。

一覧に付いている3つの注記

別紙の一覧には、読み方を補う注記が3つ付いています。

  • 注1:たとえば「補い保つ」は、「補う」または「保つ」という効能でもよい、としています。一覧では(13)と(25)に「補い保つ」が出てきます。
  • 注2:「皮膚」と「肌」は、使い分けてよいとしています。
  • 注3:( )内の言葉は、効能には含めないが、使用形態(どう使う製品か)から考えて限定するものだ、としています。

例

(18)は「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。」です。注3によると、2つの( )内は効能そのものではありません。洗顔料で、洗うことによって、という使い方からの限定です。

原文の言い回しを見る(別表第1の注記)
  • 注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
  • 注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
  • 注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

解説通知に載っている一覧には、これに加えて注4が付いています。注4は(56)だけについての注で、3.の節で扱います。

限定の言葉を省かない — しばり表現

解説通知の<化粧品>(4)は、しばり表現のある効能効果についての項です。しばり表現(効能に付けた限定の言葉など)を省かずに、正確に書き添えるか言い添えることを求めています。

同じ項は続けて、しばりの部分とその他の部分を、同じ程度の広告効果を見込める方法で広告することとしています。

例

ある化粧品の広告で、しばり表現の付いた効能について、効能の部分だけを大きな見出しにし、しばりの部分を小さな注記だけにする場面で考えます。しばりの部分とその他の部分を同じ程度の広告効果で示す、というこの項の求めとの関係が問題になり得ます。

原文で確かめる(解説通知 <化粧品>(4))

しばり表現のある効能効果は、しばり表現を省略することなく正確に付記又は付言すること。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(2)<化粧品>(4)

3. (56)の小ジワの項目は、ほかの55項目と同じ扱いですか?

同じではありません。56項目の通知と同じ日に出た運用の通知(取扱い通知)が、学会のガイドラインに基づく試験などで、効果を確かめることを求めています。

広告基準の解説通知に載っている一覧にも、(56)だけに同じ趣旨の注4が付いています。

(56)「乾燥による小ジワを目立たなくする。」は、ほかの55項目と同じ一覧にあります。一覧の上では、ほかと同じ1行です。違うのは、一覧の外にある2つの文書が、(56)にだけ条件を付けている点です。

  • 取扱い通知(2011年7月)の記の2(1)
  • 広告基準の解説通知に載っている一覧の注4

この2つを外して一覧だけを見ると、条件は目に入りません。

取扱い通知が求めていること

取扱い通知の記の1は、化粧品が効能として表示・広告できる範囲を述べた部分です(1.の節の例を参照)。記の2に、(56)だけについての注意が並んでいます。

中心は記の2(1)で、次のことを求めています。

  • 品目ごとに、実際の効能に見合うかを確認・評価するときは、試験を行い、効果を確かめること。
  • 試験は、日本香粧品学会のガイドラインに基づく試験か、それと同等以上の適切な試験であること。
  • 行うのは、製造販売業者(製品を市場に出す責任を負う事業者)の責任においてであること。
  • 試験は、ほかの試験検査機関などに委託してもよいこと。ただし、試験結果や評価の資料は製造販売業者が保管し、試験の信頼性の確保と、効能に見合うかの判断も製造販売業者の責任で行うこと。

例

A社が、自社で製造販売する化粧品の保湿クリームの広告に、(56)「乾燥による小ジワを目立たなくする。」をうたいたい場面で考えます。一覧に載っていることだけでは、取扱い通知の条件は満たせません。

その品目について、上の箇条のとおり試験で効果を確かめることが、A社の責任として求められます。

原文で確かめる(取扱い通知 記の2(1))

それぞれの品目について、実際の効能に見合うことの確認又は評価を行う際には、製造販売業者の責任において、日本香粧品学会の「化粧品機能評価法ガイドライン」の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に基づく試験又はそれと同等以上の適切な試験を行い、効果を確認すること。

なお、試験等の実施を他の試験検査機関等に委託して差し支えないが、試験結果や評価に係る資料については、製造販売業者が保管し、試験の信頼性の確保及び効能に見合うことの判断は当該製造販売業者の責任において行うこと。

化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)記の2(1)

同通知の注は、2点を示しています。ガイドラインが日本香粧品学会のホームページに掲載されていること。今回の追加効能には、ガイドラインの中の「3.抗シワ機能評価試験ガイドライン-医薬部外品」とTable1が適用されないこと。

記の2は、ほかに次のことも挙げています。(2)は、製造販売業者が、消費者などからの問い合わせに適切に対応できる体制を整えることです。消費者から効能の根拠を示すよう求められたときは、適切な試験結果や評価資料などの概要を示して、根拠を説明することとしています。(3)は、日本化粧品工業連合会(化粧品の業界団体)が新たに追加して定めた「化粧品等の適正広告ガイドライン」に基づいて、表示・広告に配慮することです。

記の3は、いわゆる薬用化粧品について、記の1と記の2を守れば、追加された効能表現を広告の中で使用して差し支えないとしています。

もう1つの条件は、広告基準の解説通知に載っている一覧の注4です。学会のガイドラインに基づく試験などを行い、その効果を確認した場合に限る、としています。

原文で確かめる(解説通知の注4)

(56)については、日本香粧品学会の「化粧品機能評価ガイドライン」に基づく試験等を行い、その効果を確認した場合に限る。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(2)<化粧品>(2)の表 注4

ガイドラインの名称は、文書によって書き方が違います。取扱い通知は「化粧品機能評価法ガイドライン」、解説通知は「化粧品機能評価ガイドライン」です。

取扱い通知に添えられている業界団体の資料

取扱い通知には、業界団体の資料が参考として添えられています。日本化粧品工業連合会 広告宣伝委員会の「『化粧品等の適正広告ガイドライン』の改正について」(2011年7月)です。行政の通知そのものではなく、業界団体の自主基準です。

この資料は、同ガイドラインの第3章に、(56)に関する項をE18として加えるとしています。基本的な考え方は、加齢によるシワなども含め、全てのシワに効果があるものと誤認される表現をしてはならない、というものです。

同じ資料は続けて、認められる表現の範囲と、認められない表現の範囲を分けて示しています。

例

ある化粧品の広告が、(56)をうたいながら、加齢によるシワも含め、どんなシワにも効果があるかのように読める書き方をしている場面で考えます。業界団体の資料のE18が、してはならないとしている誤認との関係が問題になり得ます。

原文で確かめる(業界団体の資料 E18)

本効果の標榜にあたっては、加齢によるシワ等を含め、全てのシワに効果があるものと誤認される表現をしてはならない。

化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)別添参考資料「『化粧品等の適正広告ガイドライン』の改正について」(日本化粧品工業連合会 広告宣伝委員会)E18の1

同資料は、厚生省が昭和62年11月25日に日本化粧品工業連合会あてに示した注意点にも触れています。「しわ取り効果を標榜する化粧品の広告等の注意点(チェックポイント)」です。従前どおり有効で、このガイドラインにより緩和されるものではない、としています。

4. 56項目に無いことは、何も書けないのですか?

そうではありません。厚生労働省の通知(2001年3月9日)は、メーキャップ効果や使用感などを表示・広告することは、事実に反しない限り認められるとしています。

一方で、一覧に無い薬理作用(成分が体の働きそのものに作用すること)による効能効果の表現はできないと、広告基準の解説通知が述べています。

56項目は、「効能として表示し広告することができる事項」の範囲です。書けることを全部並べた一覧ではありません。

よく見かける説明と、現行の通知を並べて見る

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

化粧品の広告に書けるのは、56項目の効能だけである。

現行

56項目は、効能として表示し広告することができる事項の範囲である。平成13年3月9日 医薬監麻発第288号の記の2は、局長通知(平成12年12月28日 医薬発第1339号)の別表第1に掲げる効能以外に、メーキャップ効果および使用感等を表示し広告することは事実に反しない限り認められるとしている。平成23年の改正後についても、取扱い通知の記の2(3)が「従前通り」としてこの288号を挙げている。一方、別表第1に無い薬理作用による効能効果の表現はできないと、医薬品等適正広告基準の解説通知が述べている。

平成13年3月9日 医薬監麻発第288号 記の1・記の2は、東京都 医薬品等広告講習会資料(令和7年度)第4章に再録された全文で確認。化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)記の2(3)は保存した原文で確認。医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(2)<化粧品>(3)(5)は原文で確認。いずれも2026-09-08

メーキャップ効果などについての厚生労働省の通知(2001年3月9日)の記の2は、一覧の効能のほかに、次の2種類を挙げています。これらを表示・広告することは、事実に反しない限り認められる、としています。

  • メーキャップ効果(化粧によって見た目を整える効果):通知の例は「化粧くずれを防ぐ」「小じわを目立たなくみせる」「みずみずしい肌に見せる」など
  • 使用感など(使ったときの感じ):通知の例は「清涼感を与える」「爽快にする」など

この通知がいう一覧は、2011年の改正前のものです。改正後についても、取扱い通知(2011年7月)の記の2(3)が、「従前通り」として同じ扱いを述べています。広告基準の解説通知の<化粧品>(3)も同じ内容で、基礎化粧品などでも、メーキャップ効果や使用感は事実であれば表現できるとしています。

例

ファンデーションの広告に「化粧くずれを防ぐ」と書く場面で考えます。これは、2001年3月9日の通知がメーキャップ効果の例として挙げている表現です。この場面にも、同じ通知と取扱い通知が置く「事実に反しない限り」という条件がかかります。

事実であるかどうかの確かめ方は、これらの通知には定められていません。

原文で確かめる(2001年3月9日の通知 記の2と、取扱い通知 記の2(3))

局長通知別表第1に掲げる効能以外に「化粧くずれを防ぐ」、「小じわを目立たなくみせる」、「みずみずしい肌に見せる」等のメーキャップ効果及び「清涼感を与える」、「爽快にする」等の使用感等を表示し、広告することは事実に反しない限り認められるものであること。

化粧品の効能の範囲の改正について(平成13年3月9日 医薬監麻発第288号)記の2

この通知にいう「局長通知」は、平成12年12月28日 医薬発第1339号です。288号の記の1は、化粧品が効能として表示・広告できる範囲を、局長通知別表第1に掲げる範囲とし、かつ当該製品について該当する効能の範囲としています。記の2が、それ以外の表示・広告についての部分です。

同通知は、記の前の柱書(前書きの部分)で、昭和55年10月9日 薬監第123号 監視指導課長通知を、平成13年4月1日をもって廃止するとしています。

2011年の改正後について述べた、取扱い通知の記の2(3)は次のとおりです。

なお、従前通り、これらの効能以外のメーキャップ効果及び使用感等を表示し、広告することは事実に反しない限り認められる。

(平成13年3月9日医薬監麻発第288号医薬局監視指導・麻薬対策課長通知)

化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)記の2(3)

一覧に無い薬理作用による効能効果は、表現できない

もう一方の側は、薬理作用による効能効果です。広告基準の解説通知の<化粧品>(5)が定めています。

<化粧品>(5)は、化粧品は本来、そのほとんどが薬理作用によって効能効果が認められたものではない、としています。そのため、解説通知の<化粧品>(2)に書かれた効能効果以外の、薬理作用による効能効果の表現はできないとしています。<化粧品>(2)は、56項目の一覧が載っている項です。

例

A社の美容液の広告が、配合した成分が体の中の働きに作用して効果を出すかのように書いている場面で考えます。<化粧品>(5)がいう、薬理作用による効能効果の表現にあたるかどうかが問題になり得ます。

原文で確かめる(解説通知 <化粧品>(5))

化粧品は、本来そのほとんどが薬理作用によってその効能効果が認められたものではないため、上記(2)に記載する効能効果以外の薬理作用による効能効果の表現はできない。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(2)<化粧品>(5)

何種類かの化粧品をまとめて広告するとき

解説通知の<化粧品>(1)は、何種類かの化粧品を同じ広告文で広告する場合について定めています。それぞれの化粧品の効能効果の範囲を逸脱しないよう注意すること、としています。たとえば、シャンプーと化粧水を1つの広告文でまとめて紹介する場面です。

5. 化粧品の容器には、成分をどう書くのですか?

成分名は日本語の名称で書き、原則として分量の多い順に並べます。書き方は厚生労働省の通知(2001年3月6日)が示し、条文の側には薬機法第61条があります。

同じ通知は、名称と並べる順番のほか、原料に付いてくる、効果が出る量より少ない成分、混ぜ合わせた原料、抽出物、香料の書き方を示しています。

成分の書き方は、条文と通知の両方にまたがっています。

  • 条文:薬機法第61条。化粧品の直接の容器や直接の被包(中身を直接入れている容器や包み)に書く事項を定めています。
  • 通知:全成分表示(配合した全ての成分を並べて表示すること)の表示方法を示す、厚生労働省の通知(2001年3月6日。以下「全成分表示の通知」)。

全成分表示の通知が示す書き方

  • 名称:邦文名(日本語の名称)で書きます。日本化粧品工業連合会の「化粧品の成分表示リスト」などを使い、消費者が混乱しないよう気をつけることとしています。
  • 順番:製品に入っている分量の多い順です。ただし、1%以下の成分と着色剤は、互いに順不同で書いて差し支えないとしています。
  • 原料に付いてくる成分(いわゆるキャリーオーバー成分):配合した成分に付いてくる成分(不純物を含む)で、製品の中では効果が出る量より少ないものです。表示しなくてよいとしています。
  • 混ぜ合わせた原料(いわゆるプレミックス):混ぜてある成分ごとに書きます。
  • 抽出物:抽出された物質と、抽出や希釈(薄めること)に使った溶媒(溶かすための液体)を分けて書きます。ただし、最終製品に溶媒などが残らない場合は、分けて書く決まりは当てはまりません。
  • 香料:香りづけ(着香剤)として使う場合は、「香料」と書いて差し支えないとしています。

例

ある化粧水に、多い順に水、成分A、成分Bが入り、ほかにごく少量(1%以下)の成分C・Dと着色剤Eが入っているとします。表示は、水、成分A、成分Bの順に並べます。C・D・Eは、互いに順不同で書いて差し支えないと通知はしています。

なお、全成分表示の通知そのものについて、その後の改正の有無は、このページでは確認できていません。

原文で確かめる(表1:全成分表示の通知 記の1)
表1:163号通知の記の1が示す化粧品の全成分表示の表示方法
事項通知の定め(原文)
成分の名称成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
記載順序成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
付随する成分配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。
混合原料混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。
抽出物抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒をわけて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
香料香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差しつかえないこと。

全行の根拠は、化粧品の全成分表示の表示方法等について(平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号)記の1(1)〜(6)です。「通知の定め」列は同通知の文言です。

条文の側にある記載事項

薬機法第61条は、化粧品の直接の容器などに書かなければならない事項を並べています。製造販売業者の氏名または名称と住所、製品の名称、製造番号または製造記号などです。ただし、厚生労働省令で別段の定め(別の決まり)をしたときは、この限りでない(そのとおりでなくてよい)としています。

成分にかかわるのは第4号です。第4号は、「厚生労働大臣の指定する成分」を含む化粧品について、その成分の名称を書くこととしています。条文の文言は「指定する成分」で、「全成分」とは書かれていません。

どの成分が指定されているかは、条文には書かれていません。指定を行っている告示(国が定めた事項を公に知らせる文書)は、このページで用いた資料の範囲では特定できていません。そのため、第61条第4号と全成分表示との関係は、ここでは扱いません。なお、全成分表示の通知の本文にも、第61条への言及はありません。

原文で確かめる(薬機法 第61条)

直接の容器への記載を省略できる場合

薬機法施行規則(薬機法を実施するための細かな決まりを定めた省令)の第221条の2は、第61条第4号の事項について定めています。次のどれかに書かれている化粧品は、直接の容器や直接の被包への記載を省略できる、としています。

  • 外部の容器や外部の被包(外箱など)
  • 直接の容器や直接の被包に固着したタッグやディスプレイカード
  • 内容量50グラムまたは50ミリリットル以下の直接の容器等に入った化粧品と、上の2つのどちらも持たない小容器の見本品。書く先は、添付する文書です。
  • 外部の容器等がある化粧品のうち、内容量10グラムまたは10ミリリットル以下の直接の容器等に入ったもの。書く先は、外部の容器等に添付する文書か、直接の容器等に添付する文書とディスプレイカードです。

全成分表示の通知の記の2(2)は、小容器の特例規定(容器が小さい場合の特例の決まり)の適用を受ける化粧品について定めています。固着をしない貼付文書(容器に固定せずに添える文書)で全成分表示を行う場合は、直接の容器と被包に、添付する文書がある旨を書くこととしています。

記の3は、防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素の配合制限(ポジティブリスト:配合してよいものを並べた一覧)についての項です。化粧品基準(2000年9月の厚生省の告示)の別表第3と第4の用語が、どの化粧品を指すかを示しています。「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの」には、専ら洗い流す用法で使用される化粧品(いわゆる、清浄用化粧品)が該当するとしています。「粘膜に使用されることがある化粧品」には、いわゆるアイライナー化粧品、口唇化粧品及び口腔化粧品が該当するとしています。

原文の番号で確かめる(全成分表示の通知の柱書・記の3・記の4)
  • 柱書が挙げる上位の通知:平成12年9月29日 医薬発第990号
  • 処理基準(国が自治体に示す事務処理の基準)とされた部分:記の1、2(2)及び3(1)。根拠は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9
  • 化粧品基準:平成12年9月 厚生省告示第331号
  • 記の4で廃止された通知:昭和61年3月31日 薬審二第100号「化粧品配合禁止リストの作成について」(平成13年4月1日をもって廃止)
  • 全文の再録先:東京都 令和7年度 医薬品等広告講習会資料 第4章「表示・広告関連通知等」
  • 同じ章に収められた通知:平成13年3月9日 医薬監麻発第288号、平成23年7月21日の局長通知・取扱い通知

6. 特定の成分を取り出して示す表示は、どう扱われますか?

厚生労働省の通知(2025年3月)は、化粧品では原則として行わないこととしています。認められるのは、同じ通知の留意事項とQ&Aに基づく場合に限られます。

この通知は、1985年9月の古い通知を廃止して、それに置き換わったものです。

特記表示とは、商品に配合されている成分のうち、特定の成分を表示することです。2025年3月の厚生労働省の通知(以下「特記表示の通知」)が、このように定義しています。

原則として行わない理由を、特記表示の通知は、その成分が有効成分(効き目のもとになる成分)であるかのような誤認を生じるおそれがあるため、としています。

原文で確かめる(特記表示の通知 記)

特定成分の特記表示とは、商品に配合されている成分中、特定の成分を表示することである。

化粧品において特定成分を特記表示することは、あたかもその成分が有効成分であるかのような誤認を生じるおそれがあるため、原則として行わないこと。

ただし、以下の留意事項及びQ&Aに基づき、特定成分を特記表示する場合に限り認められる。

化粧品における特定成分の特記表示について(令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号)記

特記表示をするときの決まり(留意事項1)

留意事項1は、特記表示をする場合の要件を2つ置いています。

  • 配合目的(その成分を何のために入れたか)を必ず併記すること。配合目的は、化粧品の効能効果と製剤技術(製品のつくり方の技術)に基づく表現で、客観的に実証されているものであること。
  • 特定成分を写真やデザイン(英文などの表示を含む)で表している場合も、配合目的とともに成分名も書くこと。

例

冒頭の化粧水で、A社がパッケージの正面に、ある成分の名前を大きく載せたい場面で考えます。これは特記表示の通知が扱う場面です。この通知は、特記表示を原則として行わないこととし、留意事項とQ&Aに基づく場合に限り認めています。その場合も、留意事項1により、成分名には配合目的を必ず併記します。成分名に「薬」の字が入るものなど、特記表示が認められない事例も、下の留意事項2に挙がっています。

原文で確かめる(留意事項1)

(1)特定成分を特記表示する場合、配合目的を必ず併記すること。なお、配合目的は、化粧品の効能効果及び製剤技術に基づく表現とし、客観的に実証されているものであること。

(2)特定成分を写真、デザイン(英文等の表示を含む)で表現している場合は、「○○(成分名)△△(配合目的)」などと、配合目的とともに成分名も記載すること。

同通知 Ⅰ 留意事項 1

特記表示が認められない例(留意事項2)

留意事項2は、特記表示が認められない事例を2つ挙げています。成分の名称に「薬」の字が入っているものと、医薬品かのような印象を与えるものです。通知の例は次のとおりです。

(1)特定成分の名称に「薬」の字が含まれるもの (例)「生薬エキス」、「薬草抽出物」、「薬用植物のエキス」

(2)医薬品かのような印象を与えるもの (例)「漢方成分抽出物」

同通知 Ⅰ 留意事項 2

何が「特記表示」にあたるのか

特記表示の通知のQ&Aは、どんな場面が特記表示にあたるかを個別に答えています。表2は、その回答を並べたものです。○は「該当する」、×は「該当しない」という回答です。

表2:特定成分の特記表示に該当するか
場面扱い根拠
配合成分の全てを表示する場合 該当しない 同通知 Ⅱ Q&A 2(配合成分の全ての成分を同等に表示する限り)
広告のボディーコピー中に特定成分が記載された場合 該当する 同通知 Ⅱ Q&A 4(全てが特記表示に該当する)
外部の容器・被包、又は直接の容器、被包及び添付文書等に特定成分を記載する場合 該当する 同通知 Ⅱ Q&A 5(全てが特記表示に該当する)
特定成分を外国語で表示する場合 該当する 同通知 Ⅱ Q&A 6(外国語と邦文を区別して取り扱うものではない)

この表の記号は、表示の内容の適否ではなく、特記表示に該当するかどうかについての回答を示しています。全行の根拠は同一の通知のQ&Aで、番号は根拠列のとおりです。

例

冒頭の化粧水の広告で考えます。A社が広告の本文(ボディーコピー)の中に、ある成分の名前を書く場面は、Q&A 4が扱う場面です。Q&A 4の回答は、全てが特記表示に該当するとしています。

特記表示については、広告基準の解説通知の側にも項があります。7.の節で扱います。

医薬部外品等の有効成分にもなる成分を示すとき

Q&A 17は、医薬部外品などの有効成分として配合されることのある成分を、化粧品で特記する場合について答えています。配合目的が満たすべき3点を挙げています。

医薬部外品等の有効成分として配合されることのある成分を特記する場合、以下の3点を全て満たした配合目的を記載する必要がある。

① 明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず、有効成分であるかのような誤認を生じさせ、薬理作用などを暗示させないこと

② 化粧品の効能効果の範囲であること

③ 客観的に実証されたことに基づくこと

同通知 Ⅱ Q&A 17

同じ回答は、配合目的も含め、広告全体としての表現にも十分注意することとしています。医薬部外品については、Q&A 7が別に答えています。承認を受けた有効成分以外の特定成分の特記表示は、化粧品に準じて差し支えない、としています。

例

医薬部外品等の有効成分として配合されることのある成分を、A社が化粧品の成分として取り出して示したい場面は、Q&A 17が扱う場面です。書き添える配合目的は、上の3点を全て満たす必要があります。

Q&A 8は、配合目的を、特記表示している成分名の前又は後などに書くこととしています。注記などで別の場所に書く場合は、文字の大きさ、フォント、配置、コントラスト、色、表示時間(動画広告)などに気をつけ、容易に読めるようにすることとしています。

Q&A 11は、回答10にいう「客観的に実証されている」を、その効能効果や製剤技術に基づく表現として客観的に説明できることだとしています。説明資料は社内データでもよいが、客観性のあるものであることが必要だとしています。

2025年に置き換わった通知

以前の1985年9月の通知は、特記表示して差し支えない事例として「植物成分」「植物抽出物」「天然植物エキス」などを挙げていました。この通知は、2025年3月の特記表示の通知によって廃止されました。今の通知に「特記表示して差し支えない事例」の区分はありません。

特記表示の通知は、改正の理由を「化粧品の広告を巡る環境の変化を考慮し、より理解しやすい表現に修正するため」と述べています。

よく見かける説明と、現行の通知を並べて見る

よく見かける説明と、現行

よく見かける説明

化粧品の特定成分の特記表示は、昭和60年9月26日 薬監第53号による。同通知は、特記表示して差し支えない事例として「植物成分」、「植物抽出物」、「天然植物エキス」等を挙げていた。

現行

令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号による。同通知をもって薬監第53号は廃止された。現行の通知に「特記表示して差し支えない事例」の区分は無く、特定成分を特記表示する場合は配合目的を必ず併記することとされている。

化粧品における特定成分の特記表示について(令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号)本文および記のⅠ、ならびに同通知末尾の【参考】「化粧品における特定成分の特記表示について(昭和60年通知からの変更点)」の新旧対照。2026-09-08に原文で確認

7. 成分の表現について、広告基準は何を決めていますか?

広告基準の第4の3(3)が、成分などについて、うそや不正確な表現で効能効果や安全性を事実と違うように思わせるおそれのある広告を禁じています。

解説通知は、この項の下に、医薬品等に共通する<共通>と、製品の区分ごとの4つの留意事項を置いています。

効能の範囲とは別に、成分の表現そのものについての項があります。広告基準の第4の3(3)です。

この項が扱うのは、医薬品等の成分や分量、本質など(医療機器では原材料・形状・構造・原理)です。承認書などに書いてあるかどうかは問いません。

原文で確かめる(広告基準 第4の3(3))

医薬品等の成分及びその分量又は本質等並びに医療機器の原材料、形状、構造及び原理について、承認書等への記載の有無にかかわらず、虚偽の表現、不正確な表現等を用い効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしてはならない。

医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(3)

<共通>に置かれていること

解説通知の<共通>は、医薬品等に共通する留意事項です。次のような項が並んでいます。

  • 成分等((1)):単味(1つの成分だけでできていること)であるものを、「総合」「複合」などとする表現は認められない。
  • 特定成分の未配合((2)):特定の薬物を配合していない旨の広告は、他社誹謗(他社をけなすこと)か安全性の強調にならない限り、理由を併記して行ってよい。付随して2次的効果(配合していないことから生じるとする効果)を訴えないこと。
  • 配合成分の表現((3)①②):「各種…」「数種…」は、配合成分名を具体的に全部挙げる場合のほかは使わないこと。配合成分数を挙げるのは事実である限りよいが、強調表現にならないよう注意すること。
  • 特定成分の表現((3)③):特定成分を取り出して表現するのは、その成分が有効成分で、しかも承認された効能効果等と関連がある場合に限ること。ただし一般用医薬品(処方箋なしで薬局などで買える医薬品)では、添加物成分に、添加物である旨と承認書の配合目的を明記してよい。有効成分であるかのような表現はしないこと。
  • 原産国((4)):原料を輸入して国内で製造した場合に、製品を輸入したと誤認させるおそれのある表現を使わないこと。
  • 安全性((5)):「天然成分を使用しているので副作用がない」などのような表現を認めない趣旨である。
  • 配合成分の略号((6)):成分をアルファベットなどの略号・記号で表すのは、本来の成分名をはっきり説明している場合以外は行わないこと。

例

A社の広告が「天然成分を使用しているので副作用がない」のように書いている場面で考えます。解説通知の<共通>(5)が、認めない趣旨の表現として例に挙げている書き方です。

原料を海外から輸入して、国内の工場で製造した化粧品の広告で、製品そのものを輸入したと受け取られる書き方をする場面は、<共通>(4)が扱う場面です。

化粧品にかかわる区分

区分ごとの留意事項のうち、化粧品にかかわるのは<医薬部外品・化粧品>と<化粧品>です。

<医薬品>は一般用医薬品の「漢方処方」「生薬配合」などの表現、<医薬部外品>は浴用剤の「生薬配合」などの表現についての項です。

<医薬部外品・化粧品>(1)は、化粧品と薬用化粧品で、ある成分を含んでいないことを広告する場合についての項です。「肌のトラブルの原因になりがちな指定成分・香料を含有していない」などの表現は、不正確だとしています。それらの成分を含む製品の誹謗(悪く言うこと)につながるおそれもあるため、「含有していない」旨の広告にとどめ、必要以上に強調しないこととしています。

原文で確かめる(<医薬部外品・化粧品>(1))

化粧品及び薬用化粧品において、「肌のトラブルの原因になりがちな指定成分・香料を含有していない」等の表現は不正確であり、また、それらの成分を含有する製品の誹謗につながるおそれもあるので、「指定成分、香料を含有していない」旨の広告にとどめ、(中略)必要以上に強調しないこと。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(3)<医薬部外品・化粧品>(1)

<化粧品>には2つの項があります。

  • (1)特記成分:承認を要しない化粧品で特定成分を表示することは、原則として認められないとしています。有効成分であるかのような誤解を生じるためです。配合目的を併記するなど、誤解を与えないように表示する場合は差し支えないとしています。特定成分を表現することは、全てが特記表示に該当するとも述べています。
  • (2)成分の表現:成分が有効成分であるかの誤解を与えないこと、薬理効果を明示または暗示する成分が配合されている旨の広告は行わないことを求めています。
原文で確かめる(<化粧品>(1)(2))

(1)特記成分について 承認を要しない化粧品において特定成分を表示することは、あたかもその成分が有効成分であるかのような誤解を生じるため、原則として認められない。ただし、特定成分に配合目的を併記するなど誤解を与えないよう表示を行う場合は差し支えない。なお、特定成分を表現することは、全てが「特記表示」に該当することとなるため注意すること。

(2)化粧品の成分の表現について 化粧品の配合成分の表現に際しては、当該成分が有効成分であるかの誤解を与えないようにすること。また、薬理効果を明示又は暗示する成分が配合されている旨の広告は行わないこと。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(3)<化粧品>(1)(2)

2つの文書が同時にかかる

成分の表現には、この第4の3(3)と、特記表示の通知の両方が同時にかかる場面があります。前者は広告基準の解説通知の項、後者は特記表示についての通知です。出したところも年も違う、別の文書です。

2025年の特記表示の通知が廃止したのは、1985年9月の古い通知です。解説通知のこの項は、廃止されていません。

例

冒頭の化粧水の広告で、成分名を大きく載せる場面に戻ります。この場面には、特記表示の通知(6.の節)と、解説通知の第4の3(3)<化粧品>(1)の両方がかかわり得ます。

広告基準の本体と解説通知の全体は、『2-4 医薬品等適正広告基準とは何ですか?』で扱います。

理解の確認

一覧(別表第1)だけを読んでいると、(56)「乾燥による小ジワを目立たなくする。」の扱いを取り違えやすいのはなぜですか?

(56)に条件を付けているのは、一覧そのものではなく、別の2つの文書だからです。取扱い通知の記の2(1)は、製造販売業者の責任において試験を行い、効果を確認することを求めています。その試験は、日本香粧品学会のガイドラインに基づく試験か、それと同等以上の適切な試験です。ガイドラインの名は「化粧品機能評価法ガイドライン」の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」です。広告基準の解説通知に載っている一覧の注4も、(56)だけに同じ趣旨の条件を付けています。この2つを外して一覧だけを見ると、(56)はほかの55項目と同じ1行に見えます。

根拠:化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)記の2(1)/医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(2)<化粧品>(2)の表 注4(法令確認日 2026-09-08)

2001年3月9日の通知は、「化粧くずれを防ぐ」のようなメーキャップ効果を、事実に反しない限り表示・広告できるとしています。一方、解説通知は、一覧に無い薬理作用による効能効果の表現はできないとしています。両者の何が違うのですか?

一覧(別表第1)が示しているのは、「効能として表示し広告することができる事項」の範囲だからです。メーキャップ効果や使用感などは、効能の主張ではありません。そのため2001年3月9日の通知の記の2は、これらを表示・広告することは事実に反しない限り認められるとしています。2011年の改正後についても、取扱い通知の記の2(3)が「従前通り」としています。これに対し、薬理作用による効能効果は、効能そのものの主張にあたります。そのため解説通知の<化粧品>(5)は、同(2)に掲げる効能効果以外の、薬理作用による効能効果の表現はできないとしています。56項目は「書けることの全部」の一覧ではなく、「効能として書けること」の一覧だ、という構造です。

根拠:化粧品の効能の範囲の改正について(平成13年3月9日 医薬監麻発第288号)記の2/化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)記の2(3)/医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)第4の3(2)<化粧品>(3)(5)(法令確認日 2026-09-08)

「植物成分や天然植物エキスなら特記表示して差し支えない」という説明は、今の通知のどこと食い違いますか?

その説明は、1985年9月の古い通知(薬監第53号)の考え方です。この古い通知は、2025年3月の特記表示の通知をもって廃止されています。今の通知に、「特記表示して差し支えない事例」という区分はありません。今の通知の記は、化粧品で特定成分を特記表示することを、原則として行わないこととしています。その成分が有効成分であるかのような誤認を生じるおそれがあるためです。認められるのは、留意事項とQ&Aに基づく場合に限られます。ですから、成分の種類によって扱いが決まるのではありません。留意事項1(1)は、特記表示をするなら配合目的を必ず併記することを求めています。その配合目的は、化粧品の効能効果と製剤技術に基づく表現で、客観的に実証されているものであることとしています。

根拠:化粧品における特定成分の特記表示について(令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号)本文・記・Ⅰ 留意事項 1、および同通知末尾の【参考】「化粧品における特定成分の特記表示について(昭和60年通知からの変更点)」(法令確認日 2026-09-08)

次に読む

  • 化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)別紙 別表第1。厚生労働省の原典URLは未取得。本ページは保存した原文、および医薬品等適正広告基準の解説通知に再掲された同一覧により確認(2026-09-08 確認)
  • 化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて(平成23年7月21日 薬食審査発0721第1号・薬食監麻発0721第1号)記の1〜3および別添参考資料。厚生労働省の原典URLは未取得。本ページは保存した原文により確認(2026-09-08 確認)
  • 化粧品の効能の範囲の改正について(平成13年3月9日 医薬監麻発第288号)記の1・記の2。厚生労働省の原典URLは未取得。本ページは東京都 医薬品等広告講習会資料(令和7年度)第4章に再録された全文により確認 東京都保健医療局(2026-09-08 確認)
  • 化粧品の全成分表示の表示方法等について(平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号)記の1〜4。厚生労働省の原典URLは未取得。本ページは東京都 医薬品等広告講習会資料(令和7年度)第4章に再録された全文により確認 東京都保健医療局(2026-09-08 確認)
  • 東京都 医薬品等広告講習会 資料(令和7年度)冊子「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告と表示について」第4章 表示・広告関連通知等 東京都保健医療局(2026-09-08 確認)。平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号、平成13年3月9日 医薬監麻発第288号、平成23年7月21日の局長通知および取扱い通知の全文が収められている
  • 化粧品における特定成分の特記表示について(令和7年3月10日 医薬監麻発0310第3号)静岡県(再掲)(2026-09-08 確認)。厚生労働省の原典URLは未取得のため、都道府県による再掲PDFで確認
  • 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)別紙「医薬品等適正広告基準」厚生労働省(2026-09-08 確認)。本ページの第4の3(2)・第4の3(3)の引用はこのPDFによる
  • 医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生監麻発0929第5号)厚生労働省(2026-09-08 確認)。本ページの<化粧品>(1)〜(5)、注4、第4の3(3)の<共通>・<医薬部外品・化粧品>・<化粧品>の引用はこのPDFによる。基準の本体(薬生発0929第4号)は別のPDF(0000179264.pdf)で、そちらに解説通知は含まれない
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第61条・第66条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第221条の2 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
  • 化粧品基準(平成12年9月 厚生省告示第331号)別表第3・第4。原典URLは未取得。本ページは平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号 記の3における引用により確認(2026-09-08 確認)