30秒でわかる要点
- 区分を決めるのは、成分ではなく使用の目的:薬機法第2条第2項(医薬部外品)と第3項(化粧品)は、どちらも使用の目的(何のために使う物か)で書かれています。人体に対する作用が緩和であることも、両方の要件です。両項の条文に「有効成分」という語はありません。
- 3つ目の号(医薬品と同じ目的の物)だけは、厚生労働大臣の指定が要る:医薬部外品の定義には3つの号(項の中の箇条書き)があります。第1号(3つの使用目的)と第2号(ねずみ・蚊などの防除)は、使用の目的の側だけで書かれています。第3号は、第1号・第2号にあたらない、医薬品と同じ目的の物のうち、厚生労働大臣が指定するものを医薬部外品としています。
- 区分が決まると、手続・表示・広告がまとめて分かれる:製造販売業の許可(製造販売を仕事として行うための許可)の種類と、品目ごとの承認(製品ごとに国が審査して、製造販売を認めること)が要るかどうかが分かれます。承認の対象でない品目の届出(決められた事項を行政に知らせる手続)を誰が受けるかや、容器に書く事項も分かれます。広告でうたえる効能・効果の上限は、医薬品等適正広告基準(厚生労働省が示した広告の基準)の第4の3が、まず承認等が要るかどうかで分けています。承認等には、承認のほか、認証(国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めること)も含まれます。
1. 医薬部外品は、法律でどう定義されているのですか?
薬機法第2条第2項が定めています。人体に対する作用が緩和な物のうち、3つの号に掲げる物が医薬部外品です。
第1号は3つの使用目的、第2号はねずみ・蚊などの生物の防除、第3号は厚生労働大臣が指定するものを掲げています。
薬機法の条文は、「条」の中が「項」に、「項」の中が「号」に分かれます。号は、項の中の箇条書きのようなものです。医薬部外品の定義は、第2条の第2項にあります。
第2項の書き出しの部分(柱書き)には、「人体に対する作用が緩和なもの」という限定があります。この限定は、3つの号すべてに掛かります。そのうえで、次の3つの号が並びます。
- 第1号:条文がイからハまでに挙げる、3つの使用目的のための物です。イは吐きけなどの不快感や、口臭・体臭の防止です。ロは、あせも・ただれ等の防止です。ハは、抜け毛の防止、育毛、除毛の3つです。
- 第2号:人や動物の保健(健康を保つこと)のために、ねずみ・はえ・蚊・のみなどの生物を防除する(駆除したり防いだりする)目的の物です。
- 第3号:医薬品と同じ目的の物のうち、厚生労働大臣が指定するものです。この節の後半で説明します。
第1号・第2号は、医薬品の目的も併せ持つ物を除いている
第1号と第2号には、同じ形のかっこ書き(括弧書き)が付いています。掲げた使用目的のほかに、医薬品の定義が使う目的のためにも併せて使われる物を、そこから除くものです。
かっこ書きが指す医薬品の目的は、2つあります。第1項第2号の目的は、疾病の診断、治療又は予防です。病気を見つけたり、治したり、防いだりすることです。第1項第3号の目的は、身体の構造又は機能に影響を及ぼすことです。体のつくりや働きに影響を与えることです。
例
A社が、口臭の防止を目的とする製品を作る場面で考えます。口臭の防止は、第1号イに挙がっている目的です。
ただし、その製品が、病気の治療の目的のためにも併せて使われる物であれば、条文の書き方では、第1号のかっこ書きにより第1号から除かれます。
第3号だけ、書き方が違う
第3号は、使用目的を条文に並べていません。医薬品と同じ目的(第1項第2号又は第3号の目的)の物のうち、厚生労働大臣が指定するものを医薬部外品としています。第1号・第2号に掲げる物は除きます。
第1号・第2号は、使用目的の側だけで書かれています。
原文で確かめる(薬機法 第2条第2項)
第3号の医薬部外品に関わる定めは、ほかに2つあります。第59条第7号と、同条第3号が文字の定めを任せている薬機法施行規則(薬機法を補う厚生労働省令)第219条の2です。第59条は、直接の容器又は直接の被包(中身にじかに接している容器や包み)の記載事項を定める条です。どちらも5.の節で扱います。
第1項第2号・第3号が使う「目的とされている物」が何を見て判断されるかは、『1-2 「医薬品」とは、法律上どんな物?』で扱います。5つの区分の定義の並び方は、『1-1 薬機法は、何のために何を扱う法律?』にまとめています。
2. 化粧品の定義は、医薬部外品とどこが違うのですか?
違いは、使い方が条文に書かれている点です。第2条第3項は、本文の要件の1つとして、身体に塗擦(塗ってすり込むこと)、散布などの方法で使うことを置いています。
例外を定めるただし書きは、医薬品の用途も併せて目的とされている物と、医薬部外品を、化粧品から除いています。
化粧品の定義は、医薬部外品のすぐ次の第2条第3項にあります。本文と、例外を定めるただし書きが、1つの文で続く形です。
本文は、3つの要素でできています。
- 使用の目的:人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つため
- 使用の方法:身体に塗擦(塗ってすり込むこと)、散布その他これらに類似する方法で使用されること
- 作用の程度:人体に対する作用が緩和なもの(医薬部外品と同じく、本文に置かれています)
このうち、使用の方法が条文に書かれている点は、医薬部外品の第2項には無い要素です。
ただし書きが除いている2つ
- 本文の使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途(病気の診断・治療・予防や、体のつくり・働きへの影響)に使われることも、併せて目的とされている物
- 医薬部外品
同じ向きのかっこ書きは、医薬品の定義の側にもあります。第1項第2号には「(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)」、第1項第3号には「(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)」が付いています。再生医療等製品は、人や動物の細胞に培養などの加工をして作る製品などのことです。
第2条第1項第3号は化粧品を除き、第2条第3項ただし書きは医薬部外品を除きます。同じ物が2つの区分に同時に入らないよう、条文が互いに相手を押し出す形で書かれています。第2項第3号の指定を受けた物は、第3項ただし書きにより化粧品から外れます。
例
A社が、皮膚を健やかに保つ目的で、身体に塗って使う製品を作る場面で考えます。第3項本文が挙げる目的と方法に沿った場面です。
ただし、その製品が、病気の予防に使われることも併せて目的とされている物であれば、条文の書き方では、ただし書きにより化粧品から除かれます。
3. 同じ成分・同じ中身でも、区分が変わるのはなぜですか?
定義が、成分ではなく使用の目的で書かれているからです。さらに第2条第2項第3号は、厚生労働大臣の指定を要件にしています。
第2条第2項と第3項の条文に、「有効成分」という語はありません。
医薬部外品と化粧品の定義に共通するのは、成分の側から書かれていないことです。条文が置いている要件は、次の3つです。
- 使用の目的が、どの項・どの号に掲げられた目的にあたるか(第2条第2項各号、第3項本文)
- 人体に対する作用が緩和であるか(第2条第2項柱書き、第3項本文)
- 第2項第3号にあたる物では、厚生労働大臣の指定があるか(第2条第2項第3号)
第2項第1号・第2号に掲げられた目的にあたらない物を考えます。医薬品と同じ目的(第1項第2号又は第3号の目的)で使われる物であっても、厚生労働大臣の指定が無ければ、第2項第3号の医薬部外品にはなりません。
例
冒頭の、似た成分のクリームの場面で考えます。A社はあせもの防止を目的として、B社は皮膚を健やかに保つために身体に塗る物として、同じ成分の製品を出すとします。
あせもの防止は第2項第1号ロ、皮膚を健やかに保つことは第3項本文に挙がっている目的です。どちらも作用が緩和であれば、2つの製品は、成分が同じでも別の区分になり得ます。区分を分けるのは、成分ではなく使用の目的だからです。
直感的なポイント
書類をファイルに分ける場面にたとえると、紙の材質(成分)ではなく、何に使う書類か(使用の目的)で、入れるファイルが決まる仕組みです。第2項第3号のファイルだけは、さらに、厚生労働大臣が名前を書き入れた物しか入れません。
有効成分で決まる、という説明との違い
「医薬部外品と化粧品の違いは有効成分が入っているかどうかで決まる」という説明を見かけることがあります。条文の書き方とは、次の点で食い違います。
- 第2条で「有効成分」という語が出てくるのは、第2項・第3項ではなく、第17項第3号です。
- 成分が出てくる場面の1つは、表示です。第59条第7号は、厚生労働大臣の指定する医薬部外品について、有効成分の名称と分量を、直接の容器又は直接の被包の記載事項にしています。
- 成分の記載は、化粧品の側にもあります。第61条第4号は、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品について、その成分の名称を記載事項にしています。
つまり、成分は表示や承認の要否の場面で出てくるもので、区分そのものを決める要件ではありません。
原文で確かめる(よく見かける説明と、現行)
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
医薬部外品と化粧品の違いは、有効成分が入っているかどうかで決まる。
現行
薬機法第2条第2項と第3項は、いずれも成分ではなく、使用される目的と、人体に対する作用が緩和であることで書かれている。第2項第3号はこれに加えて厚生労働大臣の指定を要件にしている。
第2項が掲げる目的には、第2号の「人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除」のように、第3項本文の「身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されること」とは別の使用の方法をとるものも含まれている。
両項の条文に「有効成分」の語は置かれておらず、第2条で同語が現れるのは第17項第3号である。「有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量」が出てくるのは、直接の容器又は直接の被包の記載事項を定める第59条第7号で、その対象は「厚生労働大臣の指定する医薬部外品」に限られる。成分の記載は化粧品の側にもあり、第61条第4号が、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品について、その成分の名称を記載事項としている。
根拠:薬機法(昭和35年法律第145号。版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026年5月21日)第2条第2項・第3項、第59条第7号、第61条第4号。第2条第2項・第3項に「有効成分」の語が置かれていないことは、e-Gov 法令検索で取得した同法第2条の全文(第1項から第19項まで)を検索して確認(2026-09-08)。同条で「有効成分」の語が現れるのは第17項第3号である。
4. 区分が変わると、必要な許可・承認・届出はどう変わるのですか?
製造販売業の許可の種類が分かれます。品目ごとの承認は、医薬部外品では原則として要り、化粧品では厚生労働大臣の指定する成分を含む物に限られます。
化粧品の届出に係る事務は都道府県知事が行い、医薬部外品には機構(医薬品や医療機器の審査などを行う独立行政法人)へ届け出る場合の規定があります。
区分で分かれる3つを、許可、承認、届出の順に見ます。
例
会社が受ける許可と、品目ごとの承認は、別々の手続です。車にたとえると、運転する人が持つ免許と、車の型式ごとに受ける審査が、別の手続なのに似ています。承認の対象でない品目は、審査を受けるのではなく、行政に知らせる届出をします。
許可の種類は、第12条第1項の表で分かれる
製造販売業は、製造や輸入をした製品を世に出す仕事です。第12条第1項は、医薬品・医薬部外品・化粧品の種類ごとに、受けるべき厚生労働大臣の許可を表で定めています。ここでの医薬品からは、体外診断用医薬品(体に直接使わず、病気の診断に使う医薬品)を除きます。その許可を受けた者でなければ、業として(仕事として)製造販売をしてはなりません。
この表では、医薬部外品には医薬部外品製造販売業許可、化粧品には化粧品製造販売業許可が当てられています。
この許可には期限があります。同条第4項は、許可は「三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めています。政令(内閣が定める命令)で定める期間(三年以上)ごとに更新を受けないと、許可は効力を失うということです。
品目ごとの承認が要るかどうかは、第14条第1項で分かれる
第14条第1項は、承認が要る品目の範囲を、区分ごとに書き分けています。
- 医薬部外品:厚生労働大臣が基準を定めて指定するものを除いて、品目ごとの承認の対象です。
- 化粧品:承認の対象になるのは、厚生労働大臣の指定する成分を含有するものです。
第14条第1項にあたらない品目は、第14条の9第1項の届出の対象です。製造販売をしようとするときは、あらかじめ、品目ごとに届け出ます。
例
化粧品を製造販売するA社を考えます。その品目が、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品なら、品目ごとに承認を受ける対象です。
指定する成分を含有しない化粧品なら、承認の対象ではありません。製造販売の前に、品目ごとに届け出る対象になります。
原文で確かめる(第14条第1項・第14条の9第1項)
届出を受ける相手は、政令が区分ごとに振り分けている
届出の提出先として、厚生労働大臣・都道府県知事・機構の3つが省令(薬機法施行規則第70条)に出てきます。届出に係る事務が、政令で振り分けられているからです。
原文で確かめる(施行規則 第70条:届書の様式と通数)
様式第三十九による届書(厚生労働大臣に提出する場合にあつては正本一通及び副本二通、都道府県知事に提出する場合にあつては正副二通)を提出することによつて行うものとする
上は第70条第1項の、法第14条の9第1項の規定による届出についての定めです。様式第39による届書で、厚生労働大臣あてなら正本1通と副本2通、都道府県知事あてなら正副2通です。同条第2項は、届け出た事項を変更したときの届出を様式第40による届書とし、通数の書き分けは第1項と同じです。同条第3項は、法第14条の10第1項の規定により機構に届け出ることとされている場合について、この括弧内を「正副二通)を機構に」と読み替えます。
化粧品の届出に係る事務は、都道府県知事が行います。薬機法施行令は、薬機法を補う政令です。その第80条第2項は、厚生労働大臣の権限に属する事務のうち、同項の各号に挙げるものを、都道府県知事が行うとしています。医薬品(体外診断用医薬品を除く)、医薬部外品又は化粧品に係る事務です。
その第8号が「法第十四条の九に規定する権限に属する事務のうち、化粧品の製造販売業者に係るもの」です。
第8号の事務をどの都道府県知事が行うかは、同項の柱書きが決めています。その化粧品を製造販売しようとする者の、医薬品等総括製造販売責任者が業務を行う事務所の、所在地の都道府県知事です。医薬品等総括製造販売責任者は、製造販売業者が置く責任者です(法第17条第2項に規定)。
例
A社の本社はX県にあり、医薬品等総括製造販売責任者が業務を行う事務所はY県にあるとします。施行令の書き方では、A社の化粧品の届出に係る事務を行うのは、Y県の知事です。
施行令第80条第9項は、第2項の場合についての定めです。法律の中には、厚生労働大臣について書かれた規定があります。そのうち、第2項により都道府県知事が行う事務に係るものは、都道府県知事についての規定として都道府県知事に当てはまる、としています。
医薬部外品の側には、機構(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が届出を受ける規定があります。法第14条の10第1項が対象にしているのは、厚生労働大臣が、第14条の2の3第1項の規定により、機構に審査を行わせることとしたときです。
その場合、医薬品、医薬部外品又は化粧品のうち「政令で定めるもの」について前条(第14条の9)の届出をしようとする者は、機構に届け出なければなりません。医薬品と医薬部外品は、専ら動物のために使うことが目的とされているものを除きます。
その「政令で定めるもの」の範囲を書いているのが、施行令第33条です。第33条が掲げているのは医薬品と医薬部外品で、化粧品は掲げられていません。
例
B社が、厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品(承認の対象でない品目)を、人に使う物として製造販売する場面で考えます。B社は、製造販売の前に、品目ごとに届け出ます。
厚生労働大臣が機構に審査を行わせることとしているときは、条文の書き方では、施行令第33条の範囲に入るので、届出の相手は機構です。
原文で確かめる(施行令 第33条)
医薬部外品と化粧品の違いを、表で一覧する
表1は、医薬部外品と化粧品で条文が分かれるところを、定義から広告まで、事項ごとに並べたものです。
いちばん右の根拠の列には、条文のほか通知も出てきます。通知は、国の役所が、法律の運用のしかたを自治体などに示す文書です。
| 事項 | 医薬部外品 | 化粧品 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 定義の条項 | 第2条第2項 | 第2条第3項 | 薬機法 第2条第2項・ |
| 製造販売業の | 医薬部 | 化粧品製造販売業許可 | 薬機法 第12条第1項の表 |
| 品目ごとの | 必要 | 厚生労働大臣の | 薬機法 第14条第1項 |
| 承認の | あらかじめ品目ごとに | あらかじめ品目ごとに | 薬機法 第14条の9第1項・ |
| 直接の | 12の号 | 7の号 | 薬機法 第59条/第61条 |
| 広告に | 承認等を | 承認等を | 医薬品等適正 |
記載事項の数は号の数です。第59条・第61条のいずれにも「厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない」というただし書きが付いています。各行の根拠は根拠列のとおりです。
表の条文と通知の版を確かめる
条文の引用は e-Gov 法令検索で取得した現行版(薬機法 版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026年5月21日/薬機法施行令 版ID 336CO0000000011_20260501_507CO0000000362、施行日 2026年5月1日/薬機法施行規則 版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026年6月19日)により、通知は厚生労働省が公開している原文によります(2026-09-08 確認)。
本ページで引いた第2条、第12条、第14条、第14条の9、第14条の10、第59条及び第61条は、2027年5月20日に施行される版でも同じ条番号のままです。施行は、法律の決まりが効力を持ち始めることです。この版は、令和7年法律第37号による改正を織り込んだものです。施行日ごとに動く条文は『8-6 2025年の薬機法改正は、いつから、どの条が変わる?』にまとめています。
5. 容器や包みに書くことは、区分でどう変わるのですか?
医薬部外品は第59条、化粧品は第61条が、直接の容器や直接の被包(中身にじかに接する容器や包み)の記載事項を定めます。第59条は「医薬部外品」の文字を挙げます。
医薬部外品は、第2条第2項のどの号にあたるかによって、容器に書く文字が変わります。
「直接の容器又は直接の被包」は、中身にじかに接している容器や包みのことです。第59条と第61条は、どちらも「その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない」という書き出しです。末尾には「ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない」というただし書きが付きます。厚生労働省令が別の定めを置いた場合の例外です。
主な号を、区分ごとに並べます。どちらも第1号は、製造販売業者の氏名又は名称及び住所です。
- 医薬部外品(第59条)
- 第2号:「医薬部外品」の文字
- 第3号:第2条第2項第2号・第3号の医薬部外品で、厚生労働省令が定める文字
- 第7号:指定する医薬部外品の、有効成分の名称と分量
- 化粧品(第61条)
- 第2号:名称
- 第3号:製造番号又は製造記号
- 第4号:指定する成分を含有する化粧品の、その成分の名称
- 第5号:指定する化粧品の、使用の期限
ここでいう「指定」は、どれも厚生労働大臣の指定です。
例
冒頭の、容器に「医薬部外品」と書かれた商品の場面です。第59条第2号は、医薬部外品の直接の容器又は直接の被包の記載事項として、「医薬部外品」の文字を挙げています。
原文で確かめる(第59条・第61条)
第59条第11号と第61条第6号は、どちらも第42条第2項を引いています。第42条第2項は、保健衛生上の危害を防止するために必要があるとき、厚生労働大臣が基準を設けることができる規定です。基準は、医薬部外品、化粧品又は医療機器の性状、品質、性能等に関するもので、薬事審議会の意見を聴いて設けるとされています。両号は、その基準が定められた医薬部外品・化粧品について、基準が直接の容器又は直接の被包に記載するよう定めた事項を、記載事項にしています。
「医薬部外品」の文字は、号によって変わる
第59条第3号がいう「厚生労働省令で定める文字」は、薬機法施行規則第219条の2が、区分ごとに書き分けています。第59条第3号が対象にしているのは、第2条第2項第2号と第3号に規定する医薬部外品です。施行規則第219条の2第1項の表も、区分の欄に、この2つの号の医薬部外品を並べています。
- 第2条第2項第2号の医薬部外品:「防除用医薬部外品」
- 第2条第2項第3号の医薬部外品のうち、第59条第7号に規定する厚生労働大臣が指定するもの:「指定医薬部外品」
- 第2条第2項第3号の医薬部外品のうち、それ以外のもの:「医薬部外品」
このように、1.の節で見た第3号の医薬部外品は、第59条第7号の指定があるかどうかで、容器に書く字句が分かれます。施行規則第219条の2第2項は、これらの字句が記載されている場合には、法第59条第2号に規定する「医薬部外品」の文字が記載されているものとする、としています。
例
第2条第2項第2号の医薬部外品、つまり、人や動物の保健(健康を保つこと)のために、ねずみ・はえ・蚊・のみなどを防除する目的の物で考えます。施行規則第219条の2によると、容器に書く字句は「防除用医薬部外品」です。
このうち厚生労働大臣が指定するものには、第59条第9号により、「注意―人体に使用しないこと」の文字も記載事項になります。
原文で確かめる(施行規則 第219条の2)
この省令の条文は、e-Gov 法令検索で取得した、2026年6月19日施行の版によります。同検索のメタデータには、2026年8月24日施行の版があります。本ページの作成時点でその本文を取得できていないため、同日の改正が第219条の2に及んでいる可能性があります。
6. 広告でうたえる効能・効果の範囲は、区分ごとにどこで決まるのですか?
医薬品等適正広告基準の第4の3です。承認等(承認や認証)が要るものは承認等を受けた範囲、要らないもの(化粧品を除く)は医学、薬学上認められている範囲が上限です。
承認を要しない化粧品については、この基準は、化粧品の効能の範囲を定めた別の通知(2011年7月)に定める範囲を上限としています。
広告でうたえる効能・効果の上限は、法律の条文ではなく、通知に置かれています。医薬品等適正広告基準の第4の3です。
この基準は、厚生労働省の通知(2017年9月)の別紙として示されたものです。医薬品等(薬機法が扱う5つの製品:医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)の広告について定めています。
第4の3は、その品目に承認等が要るかどうかで、上限を2つに分けています。承認等には、承認のほか、認証(国に登録された機関が、基準に合っているかを確かめて認めること)も含まれます(基準の第4の1(1)による)。
- (1)承認等を要する医薬品等:効能効果等(基準の言葉で、効能・効果などのこと)の表現は、承認等を受けた範囲をこえてはならない、としています。はっきり書く(明示的)か、それとなく伝える(暗示的)かは問いません。
- (2)承認等を要しない医薬品等:化粧品を除くものは、「医学、薬学上認められている範囲」が上限です。承認を要しない化粧品は、厚生労働省の通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(2011年7月)に定める範囲が上限です。
(2)の原文と、「医学、薬学上認められている範囲」がこの基準のどこにあるかは、『2-4 医薬品等適正広告基準とは何ですか?』で扱っています。第4の3が置く(1)から(8)までの8つの号の一覧は、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』(第66条)の表1にあります。
分け目は、区分の名前ではない
第4の3が(1)と(2)を分けるのに使っているのは、「承認等を要する」かどうかです。医薬部外品・化粧品という区分の名前ではありません。承認等が要るかどうかを定めているのは、薬機法第14条第1項です(4.の節)。
したがって、(2)の後段が対象にしているのは「承認を要しない化粧品」です。承認を要する化粧品、つまり第14条第1項にいう厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品は、(1)の対象になります。
例
A社の化粧品は、厚生労働大臣の指定する成分を含有するので、承認を受けているとします。B社の化粧品は、承認を要しないとします。
どちらも化粧品ですが、A社の品目は(1)で、上限は承認等を受けた範囲です。B社の品目は(2)の後段で、上限は2011年7月の通知に定める範囲です。
同じ分け方は、名称(製品の名前)についての第4の1にもあります。(1)承認又は認証を要する医薬品等は、承認等を受けた名称又は一般的名称です。(2)承認等を要しない医薬品等は、日本薬局方(国が定めた医薬品の規格書)に定められた名称です。または、法第14条の9若しくは第23条の2の12の規定に基づく届出を行った一般的名称又は届け出た販売名です。
(2)の後段が名指ししている2011年7月の通知には、別表第1に56項目が並んでいます。この56項目と、化粧品の成分の記載については、『4-1 化粧品がうたえる効能は、どこまで?』で扱います。
医薬部外品の効能・効果の範囲は、本ページでは扱いません。『4-2 医薬部外品の効能は、広告でどこまで書ける?』で扱っています。区分ごとの効能の範囲をまとめて見る入口は、化粧品・医薬部外品・医療機器 — 区分と効能の範囲です。
理解の確認
「医薬部外品と化粧品の違いは有効成分が入っているかどうかで決まる」という説明は、薬機法第2条第2項・第3項の書き方と、どこが食い違いますか?
2つの項は、どちらも成分の側から書かれていません。何のために使う物かと、人体に対する作用が緩和であることで、区分を定めています。条文に「有効成分」の語は無く、第2条でこの語が出てくるのは第17項第3号です。「有効成分の名称及びその分量」が出てくるのは、直接の容器又は直接の被包の記載事項を定める第59条第7号です。その対象は、厚生労働大臣の指定する医薬部外品に限られます。つまり、成分が出てくるのは表示の場面で、区分そのものを決める要件ではありません。
根拠:薬機法第2条第2項・第3項、第2条第17項第3号、第59条第7号(法令確認日 2026-09-08)
医薬部外品の定義(第2条第2項)と化粧品の定義(第2条第3項)に、互いに相手を除くかっこ書き・ただし書きが付いているのはなぜですか?
どちらの定義も使用の目的で書かれているため、目的が重なる物があり得るからです。そこで第2項第1号・第2号は、掲げた目的のほかに、第1項第2号又は第3号(医薬品の定義が使う目的)のために併せて使われる物を、かっこ書きで除いています。第3項ただし書きは、同じ用途を併せ持つ物と、医薬部外品を除いています。医薬品の側にも、同じ向きのかっこ書きがあります。第1項第2号には「(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)」、第1項第3号には「(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)」が付いています。互いに相手を押し出す書き方によって、同じ物が2つの区分に同時に入らないようにしています。
根拠:薬機法第2条第1項第2号・第3号、第2条第2項第1号・第2号、第2条第3項ただし書き(法令確認日 2026-09-08)
医薬品等適正広告基準の第4の3は、(1)と(2)を分けるのに、区分の名前を使っていません。このことは、化粧品についてどんな結果になりますか?
第4の3は、承認等を要する医薬品等(1)と、要しない医薬品等(2)とで分かれています。承認等が要るかどうかを定めているのは、薬機法第14条第1項です。化粧品は、厚生労働大臣の指定する成分を含有するものだけが、品目ごとの承認を要します。そのため、同じ化粧品でも、承認を要するものは(1)にあたり、承認等を受けた効能効果等の範囲が上限になります。それ以外の化粧品は(2)の後段にあたり、厚生労働省の通知(2011年7月)に定める範囲が上限になります。区分の名前で分けてしまうと、この化粧品の中の分かれ目を書き分けられません。
根拠:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(1)・(2)、薬機法第14条第1項、平成23年7月21日 薬食発0721第1号(法令確認日 2026-09-08)
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- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。版ID 335AC0000000145_20260521_505AC0000000063、施行日 2026年5月21日)第2条第1項から第3項まで・第17項、第12条第1項・第4項、第14条第1項、第14条の9、第14条の10、第42条第2項、第59条、第61条 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 同法 2027年5月20日施行版(版ID 335AC0000000145_20270520_507AC0000000037。令和7年法律第37号による改正後)— 第2条、第12条、第14条、第14条の9、第14条の10、第59条、第61条の条番号が現行と同じであることの確認に使用 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号。版ID 336CO0000000011_20260501_507CO0000000362、施行日 2026年5月1日)第33条、第80条第2項第8号・同項柱書き・同条第9項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。版ID 336M50000100001_20260619_508M60000100104、施行日 2026年6月19日)第70条第1項から第3項まで、第219条の2 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)。同検索のメタデータには2026年8月24日施行の版がありますが、本ページ作成時点でその本文を取得できていないため、同日の改正は反映されていない可能性があります
- 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)別紙「医薬品等適正広告基準」第4の1(1)・(2)、第4の3(1)・(2) 厚生労働省(2026-09-08 確認)