30秒でわかる要点
- 薬機法に、写真を名指しした条文はない:厚生労働省の事務連絡(役所から担当者あての文書)は、使用前後の写真等が使えるようになったとしています。ただし、承認等(国が製品ごとに認めることなど)の範囲外の効き目などを思わせるもの、安全性の保証表現となるもの等は除くとしています。8事例のうち、「防ぐ」の効能表示が認められた製品の2件は、写真の使用が認められないとされました。
- 推せんは第4の10が扱い、基準の本文に「受賞」の項はない:第4の10は、医薬関係者や、公務所(役所など)・学校・学会を含む団体などが、指定・公認・推せん・指導・選用(選んで使うこと)している等の広告を禁じています。特別の場合についての例外(ただし書き)も置かれています。
- 医療機関の広告には、別の枠がある:医療広告等ガイドライン(医療法にもとづく、医療機関の広告についての厚生労働省の指針)は、誤認させるおそれがある治療前後の写真等を認めません。限定解除(要件を満たすと広告できる事項が広がる仕組み)の対象でなければ、術前術後の写真等は広告できないともしています。
1. 使用前後の写真を名指しで禁じた条文はありますか?
薬機法の条文に、使用前後の写真を名指しした規定はありません。判断の枠を置いているのは、医薬品等適正広告基準の第4の3(5)です。
基準は、厚生労働省が2017年9月に出した通知の別紙(通知に添えられた文書)です。
薬機法の第66条第1項は、医薬品等(薬機法が扱う5つの製品:医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品)の虚偽・誇大な広告を禁じています。虚偽・誇大とは、うそや大げさのことで、明示的か暗示的か(はっきり言うか、それとなく示すか)は問いません。条文が挙げるのは、名称、製造方法、効能、効果又は性能についての記事で、表現の媒体や形式は挙げていません。そのため、写真という形式を名指しした規定は、条文にはありません。
第66条が禁じている内容そのものは、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』で扱っています。
原文で確かめる(薬機法 第66条第1項)
医薬品等適正広告基準とは
写真や推せんを項目として置いているのは、医薬品等適正広告基準です。厚生労働省が2017年9月に出した通知の別紙として示されました。
基準の第2は、対象を「新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告」としています。ウェブサイトやSNSの広告も含まれます。
写真が結び付けられているのは、第4の3(5)
行政のQ&A(2の節で説明する事務連絡)は、使用前後の写真の可否を、第4の3(5)に結び付けています。「第4の3(5)」は、基準の「第4」の中の「3」の、さらに「(5)」という番号の項です。
効能効果とは、製品の効き目のことです。(5)は、具体的な効き目や安全性を示して、それが確実だと保証するような表現を禁じています。すぐ後の(6)は、効き目や安全性についての最大級の表現(それより上がないことを示す言い方)や、これに類する表現を禁じています。
(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止 医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。
(6)効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止 医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現をしてはならない。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の3(5)及び(6)同じQ&Aでは、第4の3の(1)と(2)もあわせて挙がります。どちらも、効き目の表現の上限を決めた項です。
- (1) 承認等を要する医薬品等の効能効果等の表現は、承認等を受けた範囲をこえてはならない、としています。承認とは、製品ごとに国が審査して、製造販売を認めることです。
- (2) 承認等を要しない医薬品等(化粧品を除く。)の表現は、医学、薬学上認められている範囲をこえてはならない、としています。
承認を要しない化粧品には、同じ(2)が別の上限を置いています。厚生労働省の通知(2011年7月)「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲です。その範囲は『4-1 化粧品がうたえる効能は、どこまで?』で扱っています。
この通知の正式な日付と番号は、平成23年7月21日 薬食発0721第1号です。なお、基準の文面は、この通知番号を「薬食発第0721第1号」と表記しています。
例
A社が化粧品の通販サイトに、使う前と使った後の肌の写真を載せる場面で考えます。写真が効き目を確実だと保証する見せ方なら、「効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止」(第4の3(5))との関係が問題になり得ます。化粧品の効能の範囲を超える変化を思わせるなら、第4の3(2)との関係が問題になり得ます。
2. 2017年の改正で、写真の扱いはどう変わりましたか?
一律に禁じる扱いではなくなりました。承認等の範囲外の効能効果等を思わせるものや、安全性の保証表現となるもの等を除き、使用可能になったと行政は書いています。
2017年9月の改正通知が「旧通知」と呼ぶ1980年10月の通知は、改正通知の本文で廃止されています。
医薬品等の広告では使用前後の写真は一律に使えない、という説明を見かけることがあります。医薬品等の広告についての厚生労働省の事務連絡(2018年8月)は、そうは書いていません。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
医薬品等の広告では、使用前後の写真は一律に使えない。
現行
行政の質疑応答は、基準の改正に伴い、承認等外の効能効果等を想起させるもの及び安全性の保証表現となるもの等を除き、使用前・後の写真等の使用が可能となった、と書いている。可否は基準の項への抵触の有無で書かれている。
医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q2の柱書。旧通知(昭和55年10月9日 薬発第1339号)は平成29年9月29日 薬生発0929第4号の本文により廃止。本ページは旧通知の本文を確認していない
ここで「行政の質疑応答」と呼んでいるのは、この事務連絡です。質問と回答(Q&A)の形で書かれ、都道府県等の薬務主管課(薬機法の事務を担当する課)にあてて出されました。
使用前後の写真等の使用が可能となった、というQ2の一文は、回答ではなく、質問の前提の部分に書かれています。
原文で確かめる(Q2の前提の一文)
医薬品等適正広告基準の改正に伴い、承認等外の効能効果等を想起させるもの及び安全性の保証表現となるもの等を除き、医薬品等の広告において使用前・後の写真等の使用が可能となった。
医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q2例
同じ事務連絡のQ1は、年齢の印象をイラストや写真で説明する表現を問うたものです。良い印象を受けるものと悪い印象を受けるものを並べて載せてよいか、という問いでした。回答は、写真という形式ではなく、項番号で答えています。使用前後の写真等の表現かどうかを問わず、第4の3(5)に触れると判断される場合は、指導の対象とすべきと考える、という回答です。
Q1の回答の原文は、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』に載せています。この事務連絡の3つの回答は、どれも基準の項番号で書かれています。挙がるのは、第4の3の(1)(2)(5)と第4の10の4つです。
改正通知と旧通知
2017年9月の改正通知は、本文で、基準を全面的に改めたことと、旧通知を廃止したことを述べています。
原文で確かめる(改正通知の本文)
医薬品等の広告を巡る環境の変化に伴い、今般、一般用医薬品及び指定医薬部外品に関する部分を中心に見直しの検討を行い、別紙のとおり医薬品等適正広告基準を全面的に改正しました。(中略)なお、本通知をもって、旧通知は廃止します。
医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)本文ここで旧通知として名指しされているのは、昭和55年10月9日 薬発第1339号です。この通知は、平成14年3月28日 医薬発第0328009号で改正されています。本ページはこの旧通知の本文を確認していません。そのため、旧通知のどの項に何が書かれていたかは扱いません。
関連するページ:
- 改正の時系列:『8-6 2025年の薬機法改正は、いつから、どの条が変わる?』
- 現行の記載と食い違う説明の一覧:『8-7 手元の解説は、いまの条文と合っている?』
3. 行政は、どんな写真の事例に可否を示していますか?
医薬品等の広告についての厚生労働省の事務連絡(2018年8月)が8つの事例を挙げ、6件を「原則、差し支えない」、2件を「認められない」としています。
認められないとされた2件は、どちらも「防ぐ」という効能の表示が認められた製品の事例です。
Q&AのQ2は、8つの具体的な事例を挙げて、それぞれの適否(認められるかどうか)の判断を求めたものです。表1は、左の列が問われた事例、真ん中の列が回答です。回答に「原則」と付いている点と、事例2のただし書き(条件や例外を加えた部分。表の下で説明します)も、あわせて見てください。
| 問われた事例 | 回答 | 根拠 |
|---|---|---|
| 化粧品の |
原則 差し支えない | 同Q&A Q2に |
| 医薬品である |
原則 差し支えない | 同Q&A Q2に |
| 洗浄料 |
原則 差し支えない | 同Q&A Q2に |
| 化粧水、 |
原則 差し支えない | 同Q&A Q2に |
| シャンプー |
原則 差し支えない | 同Q&A Q2に |
| 「制汗」と |
原則 差し支えない | 同Q&A Q2に |
| 「メラニンの |
認められない | 同Q&A Q2に |
| 「ひび・ |
認められない | 同Q&A Q2に |
事例の文言は同Q&A Q2の記載を要約したものです。事例2の「鎮痒消炎薬」には、原文で効能(かゆみ、虫さされ、かぶれ、しっしん、じんましん、あせも、しもやけ、皮ふ炎、ただれ)が併記されています。事例3・事例4の括弧書きは、原文では「化粧品的医薬部外品(以下、薬用化粧品という。)等」「薬用化粧品等」です。
認められなかった2件に共通すること
×の2件(事例7・事例8)の回答には、理由が括弧で付いています。事例7には「(「防ぐ」との効能効果を使用前・後の写真等で表現することは不可能なため。)」、事例8には「(事例7と同様。)」と書かれています。2件とも、品目は薬用化粧品です。Q&Aは、化粧品的医薬部外品を「薬用化粧品」と呼んでいます。医薬部外品は、医薬品よりも作用がおだやかな製品です。
例
冒頭の化粧品会社が並べたいような肌の写真でも、Q&Aの回答は、品目と認められた効能によって分かれています。薬用化粧品等の洗浄料の広告で、肌が汚れた状態の写真と洗浄後の肌の写真などを使う事例(事例3)は、「原則、差し支えない」とされました。「防ぐ」の効能の薬用化粧品で肌の写真を使う事例7・事例8は、「認められない」とされました。本ページは、8事例をこう読みます。分かれ目は写真という形式ではなく、認められた効能効果をその写真が表せるかどうかです。どの回答も、表1に挙がったその品目・効能の事例についてのものです。
事例2のただし書き
事例2は、医薬品である鎮痒消炎薬(かゆみや炎症をしずめる薬)の広告で、虫刺されの患部と完治した患部の写真を並べます。回答は「原則、差し支えない」で、次の内容が続きます。
- 承認で、病気を治癒、完治する効能効果が認められた製品:治癒・完治している内容の写真でも差し支えない、としています。ただし、効果が出るまでの時間や効果が続く時間の保証となるもの、安全性の保証表現となるものは、この扱いから外れます。
- 「○○の緩和」のような効能効果の製品:治癒、完治するかのような写真の使用は、効能効果を逸脱する(認められた範囲をはみ出す)ため認められない、としています。
原文で確かめる(事例2への回答)
(事例2)原則、差し支えない。また、承認において疾病を治癒、完治する効能効果を有する製品においては、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現とならなければ、その使用前・後の写真等で治癒又は完治している内容であっても差し支えない。ただし、「○○の緩和」等の効能効果の場合においては、治癒、完治するかのような写真等の使用は効能効果を逸脱するため認められない。
医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q2に対する回答4. 推せんの広告は、基準のどこで止められていますか?
第4の10です。医薬関係者や、公務所・学校・学会を含む団体などが、指定・公認・推せん・指導・選用している等の広告を禁じています。
公衆衛生(人々の健康を守ること)の維持増進のため必要な場合等、特別の場合については、ただし書き(例外を定めた部分)が置かれています。
推せんとは、ある製品をよいものとして人にすすめることです。基準で推せんを扱っているのは、第4の10です。この項は、「だれが」(主体)と「何をしている」(行為)の2つの並びでできています。
- 主体:医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局。それに、医薬品等の効能効果等について世の中の人の認識に相当の影響を与える、公務所(役所などの公の機関)・学校・学会を含む団体です。
- 行為:指定する、公認する、推せんする、指導する、選用する(選んで使う)
ただし書きもあります。対象は、公衆衛生の維持増進のため、公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等です。こうした特別の場合は「この限りでない」(この項の禁止が及ばない)とされています。
10 医薬関係者等の推せん 医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。
ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。
医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の10例
A社が、化粧品の広告に、美容師が推せんしていることを載せる場面で考えます。美容師は第4の10の主体に、推せんは行為に、それぞれ並んでいます。この広告は、第4の10との関係が問題になり得ます。
薬機法の条文の側(第66条第2項)
条文の側にも、対応する項があります。薬機法第66条第2項が扱うのは、医師その他の者が効能・効果・性能を保証したと誤解されるおそれがある記事の広告等です。条文は、こうした広告等を、第1項(虚偽・誇大広告の禁止)に該当するものとしています。
原文で確かめる(薬機法 第66条第2項)
行政が第4の10を挙げて答えた例
Q&AのQ3は、いわゆる健康食品や化粧品等の広告についての問いです。「○○大学との共同研究」「○○大学との共同研究から生まれた成分」等の標榜(うたうこと)が認められるかを問うています。回答は、化粧品等と健康食品とを分けて書いています。
例
化粧品等の広告の事例:回答は、第4の10の医薬関係者等の推せんに抵触する(触れる)ため、「大学との共同研究」との記載は認められないとしています。さらに、そう記載することで広告全体として効能効果の逸脱となる場合は、第4の3(1)若しくは3(2)に抵触することとなる、と書いています。
健康食品の広告の事例:回答は、広告全体から判断することとなる、としています。回答によれば、広告全体で効能効果(暗示を含む)の標榜が無いのであれば、未承認医薬品(国の承認をまだ受けていない医薬品)の広告とは見なされません。そのため、薬機法による指導対象とはならない、という回答です。
食品の側の表示の枠は、『3-2 サプリメントの表現は、どこまで書ける?』で扱っています。化粧品等の部分の原文は、『2-2 医薬品や化粧品などの広告で、事実と違う・大げさな表現は禁止ですか?』に載せています。
原文で確かめる(Q3への回答のうち健康食品の部分)
健康食品の広告に関する事例については、広告全体から判断することとなるが、広告全体の効能効果(暗示を含む。)の標榜が無いのであれば、未承認医薬品の広告と見なさなれないことから、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による指導対象とはならない。
医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q3に対する回答。「見なさなれない」は厚生労働省が公開しているPDFの原文どおり関連するページ:
- 食品がどこから医薬品と判断されるか:『3-1 健康食品が医薬品とみなされるのはどんなとき?』
- 第三者の投稿や体験談を誰の表示として見るか:『2-7 体験談・口コミは誰の表示になる?』(2023年10月)
基準は、媒体の形態に応じた項も置いています。第4の13(1)は、テレビ、ラジオの提供番組又は映画演劇等についての項です。出演者が特定の医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について言及し、又は暗示する行為をしてはならないとしています。
5. 受賞歴や第三者の認定は、基準のどの項で見られますか?
基準の本文に「受賞」の語を使った項はありません。第三者の関与を扱うのは第4の10で、挙がる行為は指定・公認・推せん・指導・選用です。
本ページが確認したのは基準の本文で、同じ日に出た、基準の解説と留意事項を示す別の通知の本文は確認していません。
隣り合う項
基準には、第4の10(団体の側は「公務所、学校又は学会を含む団体」と書かれています)と隣り合う項がほかにもあります。たとえば第4の3(6)は、効能効果等又は安全性についての、最大級の表現又はこれに類する表現を禁じています。
ほかにも、隣り合う項があります。第4の9は、医薬品等の品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗する(悪く言う)ような広告を禁じています。第4の1は、名称についての表現の範囲を扱います。第4の2は、製造方法について、実際の製造方法と異なる表現や、その優秀性について事実に反する認識を得させるおそれのある表現を扱います。
直感的なポイント
基準は、題材ごとの引き出しではなく、行為と表現の種類ごとの引き出しで整理された棚のようなものです。だから「受賞歴」「共同研究」「監修」という札の付いた引き出しは、探しても見つかりません。並んでいるのは、行為と主体の引き出し、そして表現の種類(保証表現・最大級の表現)の引き出しです。行政のQ&Aも、題材の名前ではなく項番号を挙げて答えています。
例
B社が、化粧品の広告に、ある団体から賞を受けたことを載せたい場面で考えます。本ページが確認した基準の本文に「受賞」の項はないため、表示の中身がどの項に関わるかが手がかりになります。表示が、第4の10に並ぶ団体による指定・公認・推せんなどを伝える内容であれば、第4の10との関係が問題になり得ます。効能効果や安全性について最大級の表現になる内容であれば、第4の3(6)との関係が問題になり得ます。
基準の解説と留意事項を示す通知は、同じ日付けの薬生監麻発0929第5号です。基準本体と解説通知の関係は『2-4 医薬品等適正広告基準とは何ですか?』で扱っています。
関連するページ:
- 表示された事実そのものが実際と異なる場合に、景品表示法の側でどう扱われるか:『7-1 優良誤認と有利誤認は、どこが違う?』(第5条第1号)
- 誰が名宛人(その条文で義務や禁止の対象になる人)になるか:『1-6 規制されるのは誰?』
6. 医療広告等ガイドラインは、治療前後の写真をどう扱っていますか?
医療広告等ガイドラインは、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等は、医療広告として認められない、としています。
ガイドラインは、治療効果は広告可能事項(広告してよいと決められた事項)ではないため、限定解除の対象でない場合は、術前術後の写真等は広告できないとしています。
医療機関が行う広告には、別の枠の決まりがあります。医療法第6条の5以下の規定と、その指針である「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」です。
枠組みそのものは『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』(第6条の8)で扱っています。ここでは、治療等の前又は後の写真について、指針が書いていることだけを挙げます。
ビフォーアフター写真(第3-1の1(7))
指針の第3-1の1(7)は、いわゆるビフォーアフター写真等を扱っています。指針によれば、治療等の結果は、個々の患者の状態等により当然に異なります。そのため、誤認させるおそれがある写真等は、医療広告としては認められないとしています。
同じ(7)は、詳細な説明を付した場合はこれ(誤認させるおそれがある写真等)に当たらない、とも書いています。説明とは、通常必要とされる治療内容・費用等に関する事項や、治療等の主なリスク・副作用等に関する事項等です。
(7)は、その説明の載せ方についても書いています。リンクを張った先のページへ載せることや、利点や長所の情報と比べて極端に小さな文字で載せることなどは、採用してはならない形式とされています。
さらに指針は、治療効果に関する事項は広告可能事項ではないとしています。そのため、第5に定める要件を満たした限定解除(要件を満たすと広告できる事項が広がる仕組み)の対象でない場合は、術前術後の写真等は広告できないとしています。要件は『7-7 医療広告の「限定解除」、要件はいくつある?』で扱っています。
原文で確かめる(第3-1の1(7))
省令第1条の9第2号に規定する「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと」とは、いわゆるビフォーアフター写真等を意味するものであるが、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療広告としては認められない。
また、術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合についてはこれに当たらない。
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第3-1の1(7)写真の加工や撮り方(第3-1の1(1)・(3))
指針は、写真の作り方についても項を分けています。
- (1) 虚偽広告:具体例として「加工・修正した術前術後の写真等の掲載」を挙げています。あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等は、虚偽広告として取り扱うとされています。
- (3) 誇大広告:撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、その効果又は有効性を強調することを挙げています。
手術前のみ・手術後のみの写真
手術前のみ、又は手術後のみの写真については、指針のQ&Aが答えています。
例
冒頭のクリニックの場面で、前後を並べずに、手術後のみの写真を載せることを考えたとします。指針のQ&A(Q2-8)は、まさにこの場面を問うています。回答は、手術前のみ又は手術後のみの写真も、手術の前後の写真と同様に扱っています。手術前のみの写真も、手術後のみの写真も、患者等を誤認させるおそれがある治療効果に関する表現に該当するため、広告できない、という回答です。
原文で確かめる(Q2-8)
Q2-8 手術前のみ又は手術後のみの写真を用いて広告することは、可能でしょうか。
A2-8 手術の前後の写真と同様、手術前のみ又は手術後のみの写真についても、患者等を誤認させるおそれがある治療効果に関する表現に該当するため、広告できません。
医療広告等ガイドラインに関するQ&A Q2-8・A2-8指針の出どころの正式な表記は、平成30年5月8日付け 医政発0508第1号 厚生労働省医政局長通知の別紙3です。指針のQ&Aは、平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添として示されたものです。どちらも、最終改正は令和8年3月30日です。
7. 推薦や団体の認定の表示は、医療広告等ガイドラインのどこで扱われますか?
著名人の推薦などの表示は第3-1の1(2)の比較優良広告(他の医療機関より優れていると示す広告)、団体の認定は第3-1の1(3)の誇大広告の側で扱われています。
ガイドラインが誇大広告として取り扱うべきとするのは、その医療機関の関係者自身が実質上運営する団体や、活動実態のない団体などによる資格・施設の認定を受けた旨です。
指針では、「推せん」を漢字で「推薦」と書いています。比較優良広告とは、ほかの医療機関と比べて自らが優れていると示す広告のことです。
指針は、著名人との関連性を強調するなど、他の医療機関より著しく優れているとの誤認を患者等に与えるおそれがある表現を挙げています。こうした表現は、患者等を不当に誘引する(不当に引き寄せる)おそれがあるため、比較優良広告として取り扱うとされています。
同じ項の【具体例】には、次の3つが挙がっています。
- 「著名人も○○医師を推薦しています」
- 「著名人も当院で治療を受けております。」
- 「芸能プロダクションと提携しています」
団体による認定(第3-1の1(3))
団体による認定は、第3-1の1(3)の誇大広告の側で扱われています。具体例には「○○学会認定医」「○○協会認定施設」が、活動実態のない団体による認定として挙げられています。
指針が誇大広告として取り扱うべきとしているのは、次のような団体による資格認定や施設認定を受けた旨です。その医療機関の関係者自身が実質上運営している団体や、活動実態のない団体などです。指針は、こうした表示は患者等を不当に誘引するおそれがある、としています。除かれるのは、客観的かつ公正な一定の活動実績が確認される団体によるものです。
例
冒頭のクリニックの事務長が、ホームページに「○○学会認定」の表示を載せる場面で考えます。指針の(3)の記述で見ると、その認定をした団体がどのような団体かが関わります。その医療機関の関係者自身が実質上運営している団体や、活動実態のない団体などによる認定であれば、誇大広告として取り扱うべきとされる場面になり得ます。この例は(3)の記述だけで見たものです。医療広告で広告できる事項の枠組みは、『7-6 医療広告は、なぜ「書いてよいこと」を並べる形なのか?』で扱っています。
厚生労働省の認可をうたう例(第3-1の1(1))
認定をめぐっては、第3-1の1(1)にも具体例があります。虚偽広告の例として「厚生労働省の認可した○○専門医」を挙げています。指針は、専門医の資格認定は各学会及び専門医機構が実施するもので、厚生労働省が認可した資格ではない、と述べています。
事実を書くことについて
第3-1の1(2)(比較優良広告)は、客観的な事実の記載についても書いています。最上級を意味する表現その他優秀性について著しい誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではない、という内容です。
ただし指針は、求められれば内容の裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要があるとしています。調査結果等を引用する広告では、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期等を併記する必要があるとしています。
理解の確認
「受賞歴」や「共同研究」という題材の名前で医薬品等適正広告基準を探しても、その名前の項が見つからないのはなぜですか?
基準は、題材ごとではなく、行為と表現の種類を単位に項を立てているからです。第三者の関与は、第4の10が主体(医薬関係者、公務所、学校又は学会を含む団体)と行為(指定・公認・推せん・指導・選用)で捉えます。保証表現や最大級の表現は、第4の3(5)(6)が表現の種類で捉えます。だから行政のQ&Aも、題材の名前ではなく項番号で答えています。化粧品等の「大学との共同研究」という標榜も、第4の10に抵触するとされました。なお、本ページが確認した基準の本文に、「受賞」の語を使った項はありません。
根拠:医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)第4の10、第4の3(5)(6)/医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q3に対する回答(法令確認日 2026-09-08)
Q&Aの8事例のうち、6件は「原則、差し支えない」、2件は「認められない」とされました。その2件は、ほかの事例と何が違ったのですか?
認められないとされた事例7・事例8は、どちらも「防ぐ」という効能表示が認められた薬用化粧品でした。回答は理由を「「防ぐ」との効能効果を使用前・後の写真等で表現することは不可能なため」と書いています。分かれ目は写真という形式ではなく、承認された効能効果をその写真が表せるかどうかにあります。染毛料の色の対比や、「制汗」の腋臭防止剤のように表せるものは、原則差し支えないとされました。事例2のただし書きが、「○○の緩和」の効能で治癒、完治するかのような写真を効能効果の逸脱として認めないのも、同じ見方によります。
根拠:医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡)Q2に対する回答(事例2・事例6・事例7・事例8)(法令確認日 2026-09-08)
「治療内容や費用、主なリスク・副作用の説明を付ければ術前術後の写真を広告できる」という理解は、医療広告等ガイドラインの記述とどこが食い違いますか?
指針は、詳細な説明を付した場合は、誤認させるおそれがある写真等に当たらないとしています。ただ、話はそこで終わりません。同じ第3-1の1(7)は、載せ方にも条件を置いています。説明をリンクを張った先のページへ載せることや、利点や長所の情報と比べて極端に小さな文字で載せることは、認めていません。さらに、治療効果に関する事項は、そもそも広告可能事項ではありません。そのため、第5に定める要件を満たした限定解除の対象でない場合には、術前術後の写真等は広告できないとされています。説明を付けることは誤認のおそれを外す話で、広告できる事項の枠そのものを広げるものではありません。
根拠:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)第3-1の1(7)、第5(法令確認日 2026-09-08)
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- 2-4 医薬品等適正
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口コミは 化粧品の会社が、SNSで発信する人に新商品を無料で渡し、感想の投稿を頼んだとします。誰の 表示に なる? — 2023年10月に 加わった ステルスマーケティング 告示 - 4-1 化粧品が
うたえる 化粧品会社の広報担当者が、化粧水の広告を考えているとします。効能は、 どこまで? — 56項目の 一覧と、 成分の 書き方 - 2-2 医薬品や
化粧品などの 化粧品の会社で、新商品の広告を作っているとします。広告で、 事実と 違う・ 大げさな 表現は 禁止ですか? — 薬機法第66条
- 医薬品等適正広告基準の改正について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号、厚生労働省医薬・生活衛生局長)本文及び別紙「医薬品等適正広告基準」第1・第2・第4の1・第4の2・第4の3(1)(2)(5)(6)・第4の9・第4の10・第4の13。同日付けで解説及び留意事項等についての通知(薬生監麻発0929第5号)が発出されているが、本ページはその本文を確認していない 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品等広告に係る適正な監視指導について(Q&A)(平成30年8月8日 事務連絡、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課)Q1・Q2・Q3と、それぞれに対する回答(原文の回答見出しは番号を伴わない「A」) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第66条第1項・第2項 e-Gov 法令検索(2026-09-08 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。平成30年5月8日付け医政発0508第1号 厚生労働省医政局長通知の別紙3、最終改正 令和8年3月30日)第3-1の1(1)(2)(3)(7) 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(平成30年8月10日付け厚生労働省医政局総務課事務連絡の別添、平成30年8月作成・最終改正 令和8年3月30日)Q2-8・A2-8 厚生労働省(2026-09-08 確認)
- 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について(令和8年3月30日 事務連絡、厚生労働省医政局総務課)本文。上記の指針とQ&Aの発出番号・別紙/別添の関係・最終改正日は、この事務連絡本文の記載により確認した 厚生労働省(2026-09-08 確認)