30秒でわかる要点
- 新しい規制ではなく、解釈の整理: 前文は、美容医療に係る違法事例等に適切に対処するため法令上の解釈を整理した、と書いています。第1が医師法・保健師助産師看護師法・医療法について7つの項目を並べ、各項目の末尾に「違法な例」が置かれています
- 「違法な例」の数は項目ごとに違う: 無資格者による行為はアからエまでの4つ、医療広告規制はアからキまでの7つ。3(メール・チャットのみによる診断・処方等)だけは記号を振った列挙が無く、述語も「医師法第20条違反となるおそれのある行為」と書かれています
- 最終的に判断するのは裁判所: 前文には、犯罪の成否は捜査機関によって収集された証拠に基づいて裁判所が最終的に判断することが付記されています。名宛人は都道府県知事等の行政機関で、通知が求めているのは管内での指導・取締りと周知です
1. この通知は、誰が誰に、何を示した文書か?
厚生労働省医政局長が、各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あてに、美容医療に係る違法事例等に対処するため法令上の解釈を整理して示した通知です。
発出日は令和7年8月15日、番号は医政発0815第21号です。
通知の名称は「美容医療に関する取扱いについて」です。発出者は厚生労働省医政局長、宛先は各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長で、公印省略の形で出されています。
前文は、この通知を出すに至った経緯を二つ書いています。
- 検討会の報告書 厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」がとりまとめた報告書(令和6年11月22日とりまとめ)で、患者がいわゆるカウンセラーのみと相談し決定した治療内容をそのまま医師が実施している事例などが指摘されたこと。
- 指導・取締りが難しいこと 問題事例について、医師法等に違反する行為か否かの判断基準や、どのような場合に保健所が立入検査できるのかが明確ではないため、効果的な指導や取締りが困難な事例があると指摘されたこと。
そのうえで、前文は、この通知が何をする文書なのかを書いています。
そこで、美容医療に係る違法事例等に適切に対処するべく、下記のとおり法令上の解釈を整理したので、御了知の上、貴管内の市町村、関係機関及び関係団体等に周知方願いたい。
なお、本通知については、警察庁及び消費者庁と協議を行い、内容について承知された上でお示ししているものであること、犯罪の成否は捜査機関によって収集された証拠に基づいて、裁判所が最終的に判断するものであることを申し添える。
美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)前文直感的なポイント
ルールブックそのものを書き換えたのではなく、既にあるルールブックのどの条文を美容医療のどの場面で見るのかという索引を、行政の側にそろえて配った、という形の文書です。前文が書いているのも「法令上の解釈を整理した」ことで、新しい規制を設けたとは書かれていません。
通知の構成
- 第1 医師法等の関係法令の解釈について(1から7までの7項目)
- 第2 病院等に対する対応について(1から3までの3項目)
- 第3 病院等以外の場所で医業が実施される場合の対応について(1・2の2項目)
- 第4 関係機関との連携
上の4つは、通知が冒頭に置いている目次の見出しです。分量の大半は第1に置かれています。
2. 第1は、どの法令のどこを整理しているのか?
医師法・保健師助産師看護師法・医療法と、それぞれの施行規則について、1から7までの7つの項目に分けて整理しています。
各項目は「基本的な考え方」「条文との関係」「違法な例」の順に書かれています。
第1の各項目は、同じ順序で書かれています。
- 基本的な考え方 (1)に置かれています。
- 条文との関係 どの条文に照らすのかを示します。
- 違法な例 アからの記号を振った行為を並べます。
第1の4だけは項が多く、(5)が「違法な例」にあたります。
第1の1(2)は、通知全体の土台になる語の意味を置いています。ここでいう「医業」と「医行為」の説明は、以降の項目でも前提として使われます。
無資格者による医業は、医師法第17条及び保健師助産師看護師法(昭和23年第203号。以下「保助看法」という。)第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである。
また、診察等により得られた患者の様々な情報から、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為は診断であり、このように医学的判断を伴う行為は医行為に該当するため、無資格者が業として(反復継続する意思を持って)行えば医師法第17条違反となる。
同通知 第1の1(2)第1の1(1)には、適用の範囲についての注記も置かれています。本通知における記載は、歯科口腔領域の範囲で提供される医療についても適用されるものである、というものです。医師について書かれた部分は、歯科の場合は歯科医師と読み替えられます。
次の表は、第1が並べる7つの項目について、通知が挙げている条文と、「違法な例」に並ぶ項目の数を取り出したものです。
| 項目 | 通知が挙げる条文 | 「違法な例」に並ぶ数 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 いわゆるカウンセラー等の無資格者による診断等 | 医師法第17条、保助看法第31条 | アからエまでの4つ | 第1の1 |
| 2 看護師等のみによる治療行為等 | 医師法第17条、保助看法第37条 | アからウまでの3つ | 第1の2 |
| 3 メール・チャットのみによる診断・処方等 | 医師法第20条 | 記号を振った列挙は置かれていない | 第1の3 |
| 4 診療録の作成・保存義務違反 | 医師法第24条、医師法施行規則第23条 | ア・イの2つ | 第1の4 |
| 5 病院等の管理者の一般的な管理義務違反(長期間にわたる不在を含む) | 医療法第10条、第15条第1項 | アの1つ | 第1の5 |
| 6 医療の安全確保に関する違反 | 医療法第6条の12、医療法施行規則第1条の11 | ア・イの2つ | 第1の6 |
| 7 医療広告規制に関する違反 | 医療法第6条の5、医療法施行規則第1条の9 | アからキまでの7つ | 第1の7 |
通知に表はありません。表は、第1の各項目の見出しと、各項目が条文との関係を述べている箇所((2)の見出しと本文)および「違法な例」の書き出しが挙げている条文、そこに並んでいる項目の数を取り出したものです。1の保助看法第31条は1(2)の本文、4の医師法施行規則第23条と5の医療法第10条・第15条第1項は各項目の(2)の見出しに出てきます。
要点
「違法な例」の書き出しは項目ごとに違います。1は「以下に示す各行為は、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する」、5は「以下に示すものは、医療法第15条に規定する管理者の義務に違反する」です。3だけは列挙の形をとらず、「医師法第20条違反となるおそれのある行為である」と書かれています。
3. 無資格者による行為として、何が挙げられているのか?
1の(3)が、アからエまでの4つを挙げています。無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する、という書き方です。
アは既に発出されている3本の医事課長通知が示した行為を引き、イからエまでは通知の本文に直接書かれています。
第1の1は、美容医療を提供する病院や診療所において、医師及び看護師等の免許を有しない者が「カウンセラー」等と称して患者に対して医療行為や診療に関連するカウンセリングを行う事例が報告されている、という記述から始まります。
そのうえで、無資格者による行為である以上は、医師法第17条に規定する「医業」に該当しない範囲で実施されなければならない、としています。
(3) 違法な例
以下に示す各行為は、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反する。
ア 脱毛行為等(「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日医政医発第105号厚生労働省医政局医事課長通知)において示した行為)、いわゆるアートメイク(「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日医政医発0703第5号厚生労働省医政局医事課長通知)において示した行為)、HIFU(高密度焦点式超音波。以下同じ。)施術(「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」(令和6年6月7日医政医発0607第1号厚生労働省医政局医事課長通知において示した行為))等の医行為。
イ 患者の主訴(例:一重まぶたを二重まぶたにしたいといった要望)や希望する処置(例:二重整形について埋没法ではなく切開法がよいとの希望、ダウンタイムの少ない処置がよいとの希望)を聞き取った上で、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為。
ウ 侵襲を伴う検体の採取をする行為。
エ 情報通信機器を用いて、ビデオ通話、電話、メール、チャット等により、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達等する行為。例えば、医学的判断を伴う行為である診察を行ったり、診断や薬剤の処方をする等の行為。
同通知 第1の1(3)(なお書きを除く全文)アが引いている3本は、いずれも厚生労働省医政局医事課長通知です。番号と発出年は次のとおりです。
- 平成13年11月8日医政医発第105号 2001年
- 令和5年7月3日医政医発0703第5号 2023年
- 令和6年6月7日医政医発0607第1号 2024年
この通知は、それらが示した行為を引き直したうえで、イからエまでを同じ並びに置いています。
アとイに続くなお書き
アには、名称についてのなお書きが続きます。通知は、針先に色素を付けながら皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為のうち、施術箇所に本来存在しうる人体の構造物(眉毛、毛髪、乳輪・乳頭等)を描く行為及び化粧に代替しうる装飾(アイライン、チーク、リップ等)を描く行為は医行為に該当する、と書いています。
そのうえで、例えば「○○メイク」「○○タトゥー」といった「アートメイク」以外の名称で提供されていたとしても、かかる行為に該当するものは医行為に該当する、としています。
イにも同様のなお書きがあります。形式的には各治療行為に係る料金設定の説明という体裁を取っていたとしても、実質的に患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達する行為は医行為に該当する、というものです。
挙げられている条文
上の引用にある「保助看法第31条」は保健師助産師看護師法の条で、その本文は本ページでは扱っていません。医師法の側で、第17条に違反した者に科される罰則は、同法第31条に置かれています。
資格を問う医師法の問いと、用いられる機器や物が薬機法上どの区分に置かれるかの問いは、別の法律の別の問いです。両者の関係はプログラム医療機器と「医業」で扱います。
4. 看護師等のみの施術と、メール・チャットのみの診療は?
2は「医師法第17条や保助看法第37条に違反する」と書き、3は「医師法第20条違反となるおそれのある行為」と書いています。
3には、アからの記号を振った列挙が置かれていません。
第1の2は、医師の指示がない状況下で看護師等のみによって医行為を実施している事例を挙げています。(1)が述べているのは、次の二つです。
- 医師免許を有しない者 医師免許を有しない者は、医師法第17条に基づき医業を行うことはできないこと。
- 看護師等 看護師等は、保助看法第37条に基づき、医師の指示の下で医行為に該当する診療の補助を行うことができること。
(3) 違法な例
以下に示すものは、医師法第17条や保助看法第37条に違反する。
ア 看護師等が、医師の指示なく、脱毛行為等、いわゆるアートメイク、HIFU施術等の医行為を行うこと。
イ 看護師等が、医学的判断を伴う行為である診察を行うこと。
ウ 看護師等が、具体的な治療方法を選択して患者に対して提案し、又は決定するなど、患者の個別の状況に応じて医学的な判断を行い、これを伝達すること。
同通知 第1の2(3)(全文)(2)には、医師の側についての記載もあります。医師においても、所属医療機関の看護師等が上記の違反行為を行うような状況を作出することはあってはならない、というものです。
同じ2の中でも、述語は一様ではありません。(2)の本文は「違反する可能性がある」と書き、(3)の書き出しは「違反する」と書いています。
メール・チャットのみによる診断・処方等
第1の3は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月。令和5年3月一部改訂。厚生労働省)を引き、医師法第20条との関係を整理しています。通知が同指針から引用しているのは、次の2点です。
- オンライン診療では、可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること
- オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならないこと
あわせて、医師法第20条にいう「診察」について、問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものをいう、と述べています。
3の(3)は、他の項目と述語が異なります。
(前略)例えば、メールやチャットのみによるやりとりのみで、患者に関する必要な医学的情報の詳細、正確かつ適時な収集や、画像・動画による視覚情報の補完を行わず、対面診療と同程度の診察が行われているといえないにもかかわらず診断・処方等を行うなど、メールやチャットのみによる診療を行うことは、オンライン診療指針に違反しており、医師法第20条違反となるおそれのある行為である。
同通知 第1の3(3)5. 医療広告規制の違反として、何が並んでいるのか?
7の(3)が、アからキまでの7つを並べています。医療法第6条の5、医療法施行規則第1条の9に違反する、という書き方です。
虚偽広告・比較優良広告・誇大広告・公序良俗に反する内容の広告・広告可能事項以外の事項の広告・体験談の広告・治療等の前又は後の写真等の広告の7つです。
第1の7の(1)は、医療広告が限定的に認められた事項(広告可能事項)以外は原則として禁止されている理由を、2点挙げています。
- 被害が著しいこと 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され不適当なサービスを受けた場合の被害は他の分野に比べ著しいこと。
- 事前に判断しにくいこと 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
(2)は、医療法第6条の5第1項が何人にも虚偽広告を禁じていること、比較優良広告・誇大広告・公序良俗に反する内容の広告・体験談の広告・治療等の前後の写真等の広告が禁止されていることを述べています。
そのうえで、これらの違反に対しては、違反した病院等に対する医療法第6条の8第1項の報告命令又は立入検査、同条第2項・第28条・第29条の行政処分が適用され得るとしています。
(3) 違法な例
以下に示すものは、医療法第6条の5、医療法施行規則第1条の9に違反する。
ア 虚偽広告 「絶対に安全」「必ず綺麗になる」といった医学上あり得ない表現や、加工・修正した術前術後の写真等を広告するなど、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失させ、不適切な医療を受けさせるおそれがある場合。
イ 比較優良広告 自らの病院等が他の病院等よりも優良である旨の広告の他、「日本一」「No.1」といった最上級の表現、更には著名人との関係性を強調する広告を行った場合。
ウ 誇大広告 科学的根拠が乏しい情報であるにも関わらず、特定の治療、処置に誘導を行うなど、必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張して表現したり、人を誤認させたりするおそれがある場合。
エ 公序良俗に反する内容の広告 わいせつ若しくは残虐な図画や映像又は差別を助長する表現等を使用した広告を行った場合。
オ 広告可能事項以外の事項の広告 HIFU施術や糸リフト、二重埋没術等を始め、自由診療で行う美容医療といった広告可能事項となっていない内容を広告した場合。また、問い合わせ先を明示したウェブサイト等において広告する場合であっても、自由診療で行われる治療の内容、費用、リスク・副作用等に関する詳細な事項が情報提供されていない場合。
カ 患者等の主観又は伝聞に基づく治療等の内容又は効果に関する体験談の広告 患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介している場合。
キ 治療等の内容又は効果について患者等を誤認させるおそれのある治療等の前又は後の写真等の広告 治療の前又は後の写真や映像のみが提供され、治療の内容、費用、リスク・副作用等に関する詳細な事項が情報提供されていない場合。
同通知 第1の7(3)(ア〜キ。末尾の「また」書き・「なお」書きを除く)医療法第6条の5がなぜ広告可能事項を限定列挙する形をとっているのかは医療広告規制はなぜ限定列挙なのかで、オの後段が触れているウェブサイト等での情報提供の要件は限定解除の4要件と、未承認医薬品等を用いる場合の追加記載で扱います。
通知が参照先として挙げている文書
通知は、医療広告についての詳述は別の文書にあるとして、2つを挙げています。
- 医療広告ガイドライン 基本的な考え方について詳述している文書として挙げられています。
- 事例解説書 「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」(令和7年3月11日 厚生労働省医政局総務課事務連絡の別紙)です。
そのうえで、これらは厚生労働省ホームページに掲載されているため最新版を参照されたい、と書いています。指導・措置の進め方については、「医療広告ガイドラインに基づく標準的な対応期限も含めた指導・措置等の実施手順書のひな型について」(令和6年8月23日 厚生労働省医政局総務課事務連絡)を参照することとされています。
よく見かける説明と、現行
よく見かける説明
厚生労働省の医療広告の指針の略称は「医療広告ガイドライン」である。
現行
表題は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」のままだが、令和8年3月30日最終改正の版が表題の下に置いている略称は「医療広告等ガイドライン」である。令和7年8月15日の通知が引いているのは令和6年9月13日最終改正の版で、そこでの略称は「医療広告ガイドライン」。通知自身も「最新版を参照されたい」と書いている。
根拠:令和8年3月30日最終改正の指針本文(厚生労働省)の表紙にある表題・略称・改正日表示、および美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)第1の7(1)。いずれも 2026-09-12 確認。
本ページでは、通知が引いている版を指すときは通知の表記どおり「医療広告ガイドライン」、令和8年3月30日最終改正の版を指すときは「医療広告等ガイドライン」と書き分けています。
6. 行政の側は、どう動くことになっているのか?
第2が立入検査等・是正命令等・警察等捜査機関への相談告発の3つを、第3が病院等以外の場所での対応を2つ挙げています。
立入検査等の根拠は医療法第25条第2項で、犯罪捜査のために行うものではないと書かれています。
第2の1は、立入検査等の根拠を、違反の種類で書き分けています。
- 第1の1から4まで(医師法違反・保助看法違反) 病院等の管理者が医療法第15条に基づく監督義務を果たせていない疑いがあると認めるときに、医療法第25条第2項に基づき立入検査等を行うことが可能である、という書き方です。
- 第1の5から7まで(医療法違反) 同項が直接の根拠として挙げられています。
上の条文は、e-Gov 法令検索で施行日2026年6月5日の版として公開されているものです。通知の発出日は令和7年8月15日で、条文の版は異なります。文中の「オンライン診療受診施設」は、医療広告等ガイドラインが医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)により創設されたと説明している施設です。
通知は、立入検査等が犯罪捜査のために行うものではないことに留意が必要である、と書いています。根拠として挙げているのは医療法第25条第5項において準用する同法第6条の8第4項です。
立入検査等への不協力については、医療法第89条第2号が挙げられています。同号は、報告若しくは提出を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときの罰則で、20万円以下の罰金です。
通知は、病院等を廃止して立入検査等を逃れ、その後しばらくして新規に病院等の開設許可の申請等を行うといった対応について、こうした病院等の廃止は「検査を拒み、妨げ、若しくは忌避」することに該当する可能性があると書いています。
第2の2が並べる順序
- 病院等の業務が法令又は法令に基づく処分に違反する場合等は、医療法第24条の2第1項に基づく改善命令
- 改善命令に従わないときは、同条第2項に基づき、期限を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずる
- 停止の命令に違反したとき等は、同法第29条第1項に基づき、開設許可の取消し又は期間を定めた閉鎖命令
管理者が第1の1から4までの行為を指示して行わせている等、犯罪又は医事に関する不正行為等を行っている場合については、医療法第28条に基づき開設者に対して期限を定めて管理者の変更を命じ、その命令に違反したときは開設許可の取消し又は閉鎖命令を行うことができる、と書かれています。開設者自身が犯罪又は医事に関する不正行為等を行っている場合も、同法第29条第1項により開設許可の取消し又は閉鎖命令の対象として挙げられています。
第28条の変更命令、第29条第1項の取消処分又は閉鎖命令に違反した者には、同法第87条第3号により6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されます。
通知は、開設許可の取消し等の根拠として第29条第1項の号番号も挙げています。手元で確認した e-Gov 法令検索の現行版(施行日2026年6月5日)の第29条第1項では、第24条の2第2項の命令違反が第4号、開設者又は設置者に犯罪又は医事に関する不正の行為があつたときが第5号に置かれています。通知が発出された令和7年8月15日時点の条文の版は確認していないため、本ページでは条の単位で書いています。
第2の3は、医師法や保助看法違反に該当する行為や医療法上の刑事罰に該当する行為を確認し、犯罪があると思料するときは、刑事訴訟法第239条の規定等を踏まえて警察等捜査機関に相談・告発することとしています。
第3と第4
第3は、病院等以外の場所で医業が実施される場合を2つに分けています。
- 無資格者が実施している場合 医師法第17条違反として、刑事訴訟法第239条の規定等を踏まえた相談・告発が挙げられています。
- 臨床研修等修了医師等が実施している場合 医療法第8条により診療所の開設後10日以内に都道府県への届出が必要とされているところ、届出がなされていない場所での医業が疑われるときの医療法第25条第2項に基づく立入検査等が挙げられています。
第4は、契約内容や解約条件など契約に関する相談について、各自治体の消費生活センターや消費生活相談窓口との適切な連携を求めるものです。
7. この通知で決まったこと、決まっていないことは何か?
新たな規制を設けた文書ではありません。前文は、既存の法令について「下記のとおり法令上の解釈を整理した」と書いています。
犯罪の成否は、捜査機関によって収集された証拠に基づいて裁判所が最終的に判断するものである、と付記されています。
通知が整理の対象にしているのは、医師法、保健師助産師看護師法、医療法と、それぞれの施行規則です。いずれもこの通知より前から存在する法令で、通知自身が新たな義務や基準を設けたとは書いていません。
第1の各項目が並べているのは、それらの条文に照らした「違法な例」です。
要点
前文のなお書きは二つのことを述べています。一つは、この通知が警察庁及び消費者庁と協議を行い、内容について承知された上で示されているものであること。もう一つは、犯罪の成否は捜査機関によって収集された証拠に基づいて、裁判所が最終的に判断するものであることです。通知が「違法な例」として挙げた行為について、通知そのものが最終的な判断者ではないことを明示した箇所です。
宛先は各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長で、周知の先として貴管内の市町村、関係機関及び関係団体等が挙げられています。名宛人は行政機関であり、通知が求めているのは、その行政機関が管内で行う指導・取締りと周知です。第2と第3が並べているのも、行政機関の側がとる手続です。
第1が置かれているのは病院等における医療の提供についてで、第3は病院等以外の場所で医業が実施される場合を別に立てています。医療機関の側にかかる規律の全体像は医療機関側のルールで扱います。物を供給する側にかかる規律の中心は薬機法など別の法律に置かれており、この通知はそこに触れていません。
8. 用語の定義
この通知は「医業」「医行為」「診断」「診察」といった語の意味を本文の中で自ら置いており、第1の各項目はその意味を前提に書かれています。
意味が置かれている箇所は、第1の1(2)・1(1)・3(2)・7(1)です。
次の表は、通知が本文の中で意味を置いている語を、その意味と、置かれている箇所とともに並べたものです。意味の欄は、本ページで引用した通知の文言から、語の意味にあたる部分を取り出したものです。
| 語 | 通知が置いている意味 | 箇所 |
|---|---|---|
| 医業 | 医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと | 第1の1(2) |
| 医行為 | 医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医業」の定義の中に置かれた語) | 第1の1(2) |
| 診断 | 診察等により得られた患者の様々な情報から、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為 | 第1の1(2) |
| 診察 | 問診、視診、触診、聴診その他手段の如何を問わないが、現代医学から見て、疾病に対して一応の診断を下し得る程度のもの | 第1の3(2) |
| 無資格者 | 医師及び看護師等の免許を有しない者 | 第1の1(1) |
| 広告可能事項 | 医療広告として限定的に認められた事項 | 第1の7(1) |
通知に表はありません。表は、本ページの2で引用した第1の1(2)、4で紹介した第1の3(2)、5で紹介した第1の7(1)、3で紹介した第1の1(1)から、語の意味にあたる部分を取り出して並べたものです。
本ページの「違法な例」の引用は、いずれも通知の原文です。条文の引用は e-Gov 法令検索の本文で、確認日と施行日を各カードに併記しています。
理解の確認
メール・チャットのみによる診断・処方等(第1の3)の「違法な例」は、他の6項目と書き方がどう違うでしょうか。
二つ違います。一つは形式です。他の項目がアからの記号を振った行為を並べているのに対し、3にはその列挙がなく、文章で書かれています。もう一つは述語です。1は「医師法第17条に違反する」、5は「医療法第15条に規定する管理者の義務に違反する」、7は「医療法第6条の5、医療法施行規則第1条の9に違反する」と書くのに対し、3は「オンライン診療指針に違反しており、医師法第20条違反となるおそれのある行為である」と書いています。
根拠:美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)第1の1(3)・2(3)・3(3)・4(5)・5(3)・6(3)・7(3)(2026-09-12 確認)
「この通知によって、無資格者が行う施術が新たに医師法違反とされた」という説明は、通知の書き方とどこが食い違うでしょうか。
前文は「美容医療に係る違法事例等に適切に対処するべく、下記のとおり法令上の解釈を整理した」と書いており、新たな規制を設けたとは書いていません。第1の1(3)アが挙げる行為も、平成13年11月8日医政医発第105号、令和5年7月3日医政医発0703第5号、令和6年6月7日医政医発0607第1号という、この通知より前に発出された3本の医事課長通知において示された行為として引かれています。整理されたのは、既存の医師法第17条・保助看法第31条等の解釈です。
根拠:同通知 前文および第1の1(2)・1(3)ア(2026-09-12 確認)
通知が「違法な例」として挙げた行為をした人について、この通知が出ただけでは決まらないことは何でしょうか。通知はそれをどこに書いているでしょうか。
犯罪の成否です。前文のなお書きが、犯罪の成否は捜査機関によって収集された証拠に基づいて、裁判所が最終的に判断するものであることを申し添える、と書いています。同じなお書きには、この通知が警察庁及び消費者庁と協議を行い、内容について承知された上で示されているものであることも書かれています。なお、行政の側の手続としては、第2が医療法第25条第2項に基づく立入検査等、第24条の2に基づく改善命令・業務停止命令、第28条・第29条第1項に基づく処分、刑事訴訟法第239条の規定等を踏まえた相談・告発を挙げています。
根拠:同通知 前文および第2(2026-09-12 確認)
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- 5-5 医療機関側のルール — 再生医療等提供計画と、医療広告の規律 エクソソームなど細胞の分泌物を用いる自由診療では、医療機関の側に2系統の規律がかかります。
- 2-8 使用前後の写真・推せん・受賞歴 — 医薬品等適正広告基準はどの項で扱っているか 使用前後の写真や推せんを名指しで扱っているのは、薬機法の条文ではなく医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日 薬生発0929第4号 別紙)です。
- 8-5 該当性の判断枠組み — 制度の見取り図 該当性の基準は、一つの文書にまとまっていません。
- 美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号 厚生労働省医政局長通知)厚生労働省法令等データベース(2026-09-12 確認)
- 医師法(昭和23年法律第201号)第17条、第20条、第24条、第31条 e-Gov 法令検索(2026-09-12 確認)
- 医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5、第6条の8、第6条の12、第8条、第10条、第15条、第24条の2、第25条、第28条、第29条、第87条、第89条 e-Gov 法令検索(2026-09-12 確認)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン。令和8年3月30日最終改正)厚生労働省(2026-09-12 確認)
- 医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省医政局。本通知が参照先として掲げるページ)厚生労働省(2026-09-12 確認)